こんな俺らが、世界に認められたら。 作:yosshy3304
「ふぅ……」
喫茶店の窓際のテーブル席でコーヒーブレイクとしゃれ込んでいた俺は、一つ溜息を溢す。
「あいつ等、遅っそいなぁ。」
「そう言ってやるなよ。学校も違えば、年代も違うんだぞ。」
「それはそうだけど……でも今日は土曜日だろ?流石に半日授業だけだろ?」
そんな俺のカップにコーヒーを注ぎ足しに来た赤い髪の青年。俺より一個年下で、ツインテール馬鹿で、だけど正義感に熱い熱血漢。何だかんだと腐れ縁のこの喫茶店のオーナーの息子が、何時も集まる奴等が中々来ない事にぼやいた。
週休二日制なんか今は懐かしい。土曜日も半日授業はあり、俺やこいつは既に帰宅して喫茶店で待ち合わせ中なのだ。
こいつも、待っている奴らも小さい頃から一緒の奴等で、同い年だとばかり思っていたせいで敬語を使われると違和感が凄いと言う事で、ほぼタメ口。
一人は一個年上。もう受験の筈なのに、いまだに隙あらばナンパしようとして、周りにいる女性陣の折檻を受けている奴で、受験の為に土曜日は早く帰れる筈だから、もう来ていてもおかしくはないんだが……。
一人は結構有名な進学校に通う同い年。こいつ異世界移動と言うか、並行世界移動と言うか、そんな体験をした奴で、そっちの世界で分かれた女の子達が、こっちの世界に帰ってきた時に何故か自分のクラスメイトになっていたという。クラス比も断然おかしい状態で、そいつ男子一人に、残り異世界で落とした女子というハーレムクラスである。
こいつは女子連中に連れ回されているので、何時も一番遅いから不思議では無い。
最後にこいつと同い年の、俺の一個下の一応軍学校になるんだろうか?そんな場所に通っている奴。なんでも女性しか動かせない兵器を動かしてしまったとかで、無理やり入学させられたのだそうだ。
両親が蒸発して、姉と二人暮らしだから、育てて貰った姉を楽させる為に近所の奨学金のある高校を受験しようとして、間違えてその軍学校の受験部屋に入ってしまったそうだ。そこで兵器を動かしてしまい、強制的入学を果たしてしまう。
最終的に、その姉が教師をやっていたり、幼馴染が居たりと楽しくやっているそうだから一個上の馬鹿が騒ぎ立てたりしている。
「なぁ……」
「なんだよ?」
「テイルレッドたんでウェイトレスすれば、もっと人くんじゃねぇ?」
「ぶっは!? な、なな、なあ!?」
俺の言葉に狼狽する『観束 総二』。何でこいつは気付かれていないと思っていたんだろうか?
「なん、なんの、事でしょう!!」
「慌てすぎだろ? お前の学校の連中もみんな知ってたぞ?」
「マジでっ!?」
「ほら、これ。」
みんなはみんなだろ?総二繋がりの連中何人かに確認されたからそう言ったが、みんなは言い過ぎかもしれないなぁ。
総二が何で知ってんのっ!?と詰め寄って来たので動画サイトyou tuve(ようつべ)から動画を探し出し、再生して見せた。
『なんで女になってんだよぉ』
「ぶほっ!?」
そこには幼女の姿になって戸惑う総二の姿が。何でも異世界からの侵略者に対抗する為に日夜幼女に変身して戦っているのだ。
もう死にたいとテーブルに突っ伏してしまった総二の後頭部を眺めながら、俺はコーヒーを啜った。
「あれ?まだ皆揃ってないのか?」
カランカランとドアにつけた鐘が鳴る。入って来て開口一番に発した言葉がそれだ。まぁ、それも仕方ないだろう、普段ならこいつが一番最後なんだから。
「おう、一刀。今日は早かったな。」
「女性陣は皆で買い物だってさ。」
俺の言葉に、聖フランチェスカ学園の白い学ラン姿で現れた北郷 一刀は苦笑しつつ真向いの席に座る。
「い、らっしゃ~い。」
「うお!? どうしたんだこいつ。」
「テイルレッドたん。バレテなかったと思ってたんだと。」
「ああ、あはは……」
一応客でもある為、総二が一刀に声を掛ける。だけどその様子はゾンビの様で、一刀がドン引きしながら俺に何があったか尋ねてきた。簡潔に答えると納得したのか頷き、苦笑気味に笑う。
「……注文、いいか?」
「すみません。どうぞ。」
「じゃぁ、コーヒーと青春セット一つ。コーヒーは飲み放題で。」
「……少々お待ちください。」
流石に人の良いこいつでも、総二が発する空気は耐えられなかったらしく、注文して合法的に総二を引き離す。
「着替えてこいよ。」
「うっ、だが寮に帰ると捉まりそうで。」
「やっぱ、逃げて来てたか。」
一刀が来た時に女性陣は買い物だと言っていた。だがそれではここに居る訳がないのだ。絶対荷物持ちで連れて行かれる筈。なのにここに居るというのは、学ラン姿を加味しても、やはり逃げて来たんだろう。
「孟徳とか、孔明とか、雲長とか、探してるんじゃないのか?」
「華琳には断ってあるし、朱里は今日は図書館に籠る日だったから。愛紗は鈴々を追いかけていった。から大丈夫だな。」
一刀の言葉にふーんと相槌を打ちつつ、じゃぁこれは?と窓の外を指差す。
「げっ、恋!?」
窓の外では天下無双の呂布が、ぐ~と間抜けな腹の虫を鳴らしながら、窓にベッタリとくっついていた。