こんな俺らが、世界に認められたら。 作:yosshy3304
宇宙から、地上から、海から、地下から。異世界から、多次元世界から、それこそ様々な世界から日々侵略を受けている現状。ただ、その侵略者以上の数の英雄が跋扈するのが現代という。それ故に、それこそミサイル程度、ビーム兵器程度等では日常は壊せない。だがそれもそう言った過去があっての事で。今年に入ってからは特に安定してきたと思う。
近年の大事件と言われるのは二つ。一つは去年に起きたアシュタロス事変だろう。地獄の大公であるアシュタロスが神界、人間界、魔界の支配を目論見、侵略してきた事件の事だ。
「どちくしょーっ!! やっぱり男は顔なのかぁ!!」
そんなアシュタロス事変の解決者。英雄と呼ばれる人物は、ナンパに失敗して叫びを上げた。時代遅れのジージャンジーパン姿。赤いバンダナを巻いた横島 忠夫は待ち合わせ場所でもある喫茶店のドアを開ける。
「おっねいさーん。俺、横島 忠夫。どぅ、これから俺とアバンチュールな一日を過ごしてみない?」
ただ懲りると言う事を知らないその男は、ドアを開いた瞬間目についた銀の長い髪の女性に飛びつくようにして手を握り、ナンパを始める。
「すみません、私は、身も心も総二様の物なので。あーんな事や、それこそこーんな事までも……」
「なっ、なぁっ!!」
「こらこら、嘘を教えるんじゃない。」
忠夫にナンパされた人物。異世界からエレメリアンと呼ばれる怪物を追いかけてきた幼女好きという変態科学者トゥアールの嘘に忠夫が一昔前のマンガの様なショックを受けている中、津辺 愛香の冷静なツッコみを受けてトゥアールが空中を飛ぶ。三回転半程視界が回って、まるで地面に突き刺さる様にして落ちた。
「総二ぃぃぃ……!!」
「ちょっ、待て、それはトゥアールの嘘でっ!?」
「問答無用っ!!」
「やばっ!?テイル、オン!!」
血涙を流しながら鬼の形相で総二を睨みつける。総二が手を振り無実を訴えるも、嫉妬マスクと化した忠夫は聞く耳持たず、懐から藁人形を取り出すと、釘を打ち付け始めた。
人口増加に伴い地価の高騰。日本と言う狭い土地に遊ばせておける土地等無く、そう言った土地に未練を残した地縛霊。要するに幽霊を住まわせておける土地など無くなった。そう言った幽霊を退治する国家資格GS資格を有する忠夫の、しかも女性関連においてはGS業界ナンバーワンと神様すら認める人物の呪いである。圧倒的に簡易な呪いの掛け方でも、対象へと正確無比にかかってしまう。
別に死ぬ訳では無く、只々痛みが続くだけの呪いではあるが、それでもやられた方は堪ったものでは無く、咄嗟に総二はテイルレッドへと変身してしまった。
小学生低学年程度の身長。腰まであるツインテールが風も無いのに靡いている。スクール水着の様なインナーに、腰回りに羽の様な形をしたアーマー。手甲具足姿の赤い幼女戦士である。
「がっはぁ!?」
「うわきゃぁっ!?」
テイルレッドであるとバレテいると判ってしまったが為の咄嗟の行動であったが、それでもこの呪い返しの手段としては最上であったと言える。
横島 忠夫の霊力は煩悩である。しかもこの呪いは女性には絶対に届かないよう出来ており、ましてや年上だろうと年下だろうと、人外だろうと女性には手が出せない横島 忠夫の呪いなのだ。
対象が総二、女体化してテイルレッドへと移った今、呪いが数倍化して横島 忠夫へと全速力で帰って来てしまったのだ。
目を見開いて吐血しつつ倒れる忠夫。降りかかった忠夫の血を、見た目通りの可愛らしい声で叫びながら避けるテイルレッド事総二。無意識にツインテールを抱きしめる様に守っているのはツインテール馬鹿の面目躍如と言えるだろう。
ただしここに居る変態は忠夫だけでは無い。先にテイルレッドの姿を描写しておくと、変身前に総二が来ていた喫茶アドレシェンツァのエプロンをその上に羽織り、インナーの隠れる範囲と被ってまるで正面から見ると裸エプロンの様。
「総二様、その姿、最高ですっ!!ついでに首輪もしてしまいましょうっ!!」
「黙れ変態。」
「ちょ、何なんですか、この蛮族は!!可愛らしい総二様の可愛さを理解しようとしないなんて、万死に値しますよ。ああ、そう言えば理解しようとする頭も胸も無いんでしたね。」
「ふっ、言いたい事はっ!!それだけかっ!!」
いつの間にか逆さまに突き刺さったトーテムポールから復活を遂げたトゥアールが総二、テイルレッドを抱きしめて拘束しており、その豊満な胸にテイルレッドの顔を埋めさせている。
そんなトゥアールの肩を後ろから握りしめ、ベキベキ鳴ってはいけない音が鳴っているが、暴走しているトゥアールは気にせず、愛香を挑発して顎をかち上げられている。その胸にテイルレッドを抱いたまま。
まぁ、何時もの光景だ。だからこそテイルレッド、総二ももう好きにしてくれと言わんばかりに諦め顔で。
「れ、恋ちゃん、慰めて、くれ。」
「うん…………よしよし。」
「……わいはぁ、わいはぁ…!!」
忠夫と言えば、俺の目の前でモキュモキュとハムスターみたいに頬を膨らませて、一刀が頼んだ青春セットを平らげていた呂 奉先へと矛先を変えていた。ただ、奉先の幼い子の様な純粋さにやられて頭を抱えて悶えていたりもする。
「受験勉強はいいのかよ? 大学へと進学するんだろ?」
「思い出させるなやぁー!!」
俺の言葉にイヤイヤと駄々を捏ねる。何でこんな奴がモテるんだろうとも思う。九尾狐や人狼の弟子。元幽霊で三百年間人柱をやっていた娘や、金の亡者の雇い主。更にはその妹にと幅広いが、まぁ好意を向けていると言うのが分かり辛い。だからこそこいつもそれらに気付かず、純粋に好意を向けてくる蛍の魔族の娘にコロッと行ったんだろうな。こんなのでも彼女持ちという。
「まぁルシオラからこのままでも大丈夫ってお墨付きは貰ってるからなぁ……」
「ふーん……なら、徹夜でカラオケでも行くか? こんなの貰ったんだけど。」
「おっ、無料券。俺は大丈夫だな。明日日曜って事もあって寮の方も門限は緩くなってるし。」
「わいも行くぞ。まだ見ぬネェチャーン、今あなたの忠夫が向かいまーす。」
まだ一人来てないし、総二の方はまだゴチャゴチャとやっているが、大丈夫なようだ。忠夫はナンパの事で頭がいっぱいの様で、グフフとヤバく笑っている。
「……恋も行く。」
「あ、ああ。構わないよな?」
「ああ、十人まで大丈夫だな。」
「なら、私達も大丈夫よね?」
俺達の会話を聞いていた呂布が自分も行くと言い出し、一刀が俺に訊ねてきた。チケットを見れば十人まで無料となっており、それを告げたら、俺からすれば目の前。一刀と忠夫からすれば後ろから声が届く。
「ル、ルシオラ!?」
「あら? ダメなの?」
「いえいえ、そんな事はありませんっ!!」
ボブカットの女性。二本の触覚がピョコンと飛び出している蛍の魔族。忠夫の彼女が忠夫を笑顔で威圧しており、その隣。
「鈴々も行くのだぁ!!」
「あ、ああ。と言うか、愛紗は如何した?」
「ここに居ますが?」
「うっ!?」
幼女、身長の何倍もの長さを誇る蛇矛を自由自在に振るう怪力無双の将。張飛益徳とヒョッコリ顔を出し、自分も行くと呂布の隣で一刀に笑顔で抱き着いている。一刀がそんな張飛を追いかけていた関羽は如何したと尋ねると、今まさに扉を開けて入って来たところだった。逃げた手前、別に不倫していた訳でもないのに、バツが悪く感じてしまい口籠る一刀。
「平和だねぇ……」
遠くでインベーダーとゲッターロボの戦いを見つつ呟く俺に、何処がだっ!!とい周りからツッコみが入った。