こんな俺らが、世界に認められたら。   作:yosshy3304

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こんな俺らが、世界に認められたら。PART.3

 宇宙から、地上から、海から、地下から。異世界から、多次元世界から、それこそ様々な世界から日々侵略を受けている現状。ただ、その侵略者以上の数の英雄が跋扈するのが現代という。それ故に、それこそ怪人や悪人、悪魔の一体二体すぐさま処理される。すぐ傍に居たヒーローがよってたかって凹殴りにするイジメの様な光景はもはや日常だ。

 

「……この香りだけが、私の血への衝動を抑えてくれる……」

「そんな物で、血の衝動を抑えられたら、苦労せんわぁっ!!」

 

 シルクハットにタキシードを着たジェントルマン。頑張って吸血鬼をイメージしてみました、的なコーディネイトの初老の男性に突っ込みを入れたのは、いつの間にか来ていた小学生の様な容姿の、15年間女子中学生をやっている真祖の吸血鬼である。

 

 男性は別に吸血鬼という訳では無く、ただの中二病患者であり、この喫茶アドレシェンツァの常連客の一人である。喫茶アドレシェンツァは日に日に総二の母親の趣味が反映されるかのように、中二病患者で溢れていた。

 

 だが本物の吸血鬼からすれば思わずツッコみたくなるようで、このやり取りもエヴァンジェリン・AK・マクダウェルが来ている時は何時もの光景。男性側もほっほっと朗らかに笑っている。

 

 見た目はおじいちゃんと孫娘なのに、不老不死のエヴァの年齢は600歳。中身は遥か逆と言うどうにも困った光景でもある。

 

「エターナルロリータですよっ!! 至高のロリですよっ!! 本物のロリ婆なんですよっ!!」

「落ち着きなさいっ!!」

 

 そんなエヴァが来ると、幼女サイコ―な変態科学者が暴走し、今まで通り、期待通りに愛香によって無理やり止められる。

 

「誰がロリ婆だ、誰がっ!!」

 

 これは愛でるしかありませんと暴走して、地に沈められたトゥアールの言い放った言葉に反応するエヴァ。地に沈んだトゥアールに、床が砕けるような威力でストンピングを繰り返していた愛香に合流しにいった。

 

 麻帆良群に作られた街一つを学園都市にした場所、麻帆良学園に封印されていたエヴァは、こうして出歩けるようになってからは見た目通りの行動というか、人懐っこいというか。コミュニケーションを良く取るようになった。

 

「おいっ、そこっ!! 今私を猫扱いしなかったかっ!?」

「してない、してない。」

「本当だろうなっ!!」

 

 女性の感の鋭さを垣間見たかのような。エヴァのミドルネームであるアタナシア・キティの意味は『不死の子猫』であり、だからこそ名前ネタでもある猫扱いすると怒る。ただ本人の気質と言うか行動が気まぐれなネコっぽい事もあって、頻繁にからかわれていたりもする。

 

 そんなエヴァだが、麻帆良に住まう自称正義の味方である火星に異界を作った魔法使い達には毛嫌いされていた。

 

 そんな魔法界において寝物語に語られる化け物であり、600万ドルもの賞金を掛けられていたからなのだが、この世界には本物の正義の味方がゴロゴロと存在する世界。そんな本物の正義の味方にとってはエヴァは救う対象らしく、麻帆良の魔法使い達を説得(その手段が双方とも、離れて見れば暴力沙汰であるというのはツッコんではいけない。)したのだ。

 

 自称とは言え正義の味方を名乗る麻帆良の魔法使い達はついには膝を折り、エヴァとの本来の約束通りに解放しようとしたのだが、エヴァ自身がエヴァに呪いを掛けた男を待つといい、麻帆良に残留すると言う。

 

 正義の味方達がこの言葉に感動して、本来ならば麻帆良という地から出る事の出来ない封印のみを破壊してしまい、もしエヴァが麻帆良の外で悪さをした場合、自分達が責任を取ると言う事で、こうして自由に出歩ける事となっていた。

 

 ただ本来の呪い、登校地獄の呪い、学校がある日は登校しなければならないという呪いは残っており、いまだにエヴァは女子中学生を続けていたりする。

 

「ぶわぁ、冷てぇ! 何しやがるあかねっ!!」

 

 突如聞こえて来た、最初は男の声だったが、水か何かを掛ける音の後は甲高い女性の声へと変わった叫びに、ストンピングを止めた愛香とエヴァも含めてそちらを見る。

 

「何だ、お前ら、また痴話喧嘩か?」

「違いますっ!!」

 

 ここの所よく見かけるようになった許婚カップルの女性の方に向かってエヴァがまたかと呆れたように声を掛けていた。

 

「大丈夫かよ、乱馬?」

「あ、ああ、サンキュ。」

 

 ついでに赤毛のおさげの女性の方には総二がタオルを渡しながら声を掛けている。

 

 おさげの女性の本名は早乙女 乱馬。無差別格闘早乙女流という流派の格闘技を修めている列記とした男である。中国奥地、それも秘境中の秘境である伝説の修行場、呪泉郷で修行中に娘溺泉に落ちてしまい、以来水を被ると女になってしまう体質になってしまったのだそうだ。

 

「相変わらず、ガキだな。」

「少なくとも、もう少し男連中の子供っぽさを容認してあげなきゃ。」

「というより、あかねさんの方が大人になるべきでは?」

 

 目の前で乱馬がオロオロとしている。後ろでだって乱馬が、乱馬がというあかねの言い訳は、鈍感な男に苦労している連合の三人には通じていない。

 

 トゥアールと愛香の二人はどれだけ分かり易いアピールをしてもツインテールだけに目を奪われている総二に恋しているし、その鈍感さに苦労している。エヴァもまた好きになった男性を約束の期限を過ぎても待ち、十五年間女子中学生をしている。

 

 そんな三人からすれば、デリカシーが無いと言われようが、水を被ると女になってしまう体質だろうが、確りとあかねの方を見ており、反応し、体を張って守ってくれる乱馬は羨ましいのだろう。

 

 ちなみに乱馬があかねに酷い言葉を言う時は、大抵あかねが先に酷い事を言っていたりする。だが試合中や修練中以外では手を出していないし、周りから言い寄られても、見て分かる様に知り合いと遊んでいるというスタンスを崩さない。許婚であり、劇でキスシーンを行おうと、あかねが傷つくんじゃないかと心配する場面もあったり。

 

 あかねの実家に居候中である以上、家の中でしか見せない顔を知っているあかねの言い分の方が正しい事もあるのだろうが、それでも知っている範囲ではあかねが悪いと思えてしまう。

 

「えっとな、ほら、あかねの言い分もあってだな……」

「ほう? ではその言い分とやらも聞かせて貰えるか? ただ恥ずかしがって素直になれないだけ。なんて言わないんだろう?」

「ううう……」

「えっと、俺は気にしてないし……」

「ここで甘やかせてしまえば、この女の為にならんぞ?」

「うぐっ」

 

 はぁ、仕方ない。被害者側である乱馬がいいって言っている以上、いじめっ子エヴァちゃん化しているエヴァから助けてあげるとするか。

 

「ほれほれ、嫉妬はみっともないぞ?」

「だ、誰が嫉妬かっ!?」

「だったら人それぞれの付き合い方があるんだから、乱馬が良いって言っている以上、その辺で終わっとけよ?」

「ちっ……分かった。」

 

 乱馬を成長させて更に破天荒さを増せば、エヴァの思い人に似るからと言って、エヴァは乱馬を可愛がり過ぎる。そういう意味では、乱馬にツインテール馬鹿を足せば総二にも似てしまうから仕方無いのだろうが。

 

 少なくとも喫茶店でデート擬き出来るぐらいには成長してるだろうがとも思うが、祝言を挙げそこなった後でこれなんだから、周りもあれこれ言いたいんだろうけど。言い合いしている雰囲気が楽しそうなんだからほっとけばいいのにとも思ったりする。

 

「ほら、風呂沸かしてきたから、入ってこいよ。」

「おう、サンキュ!」

 

 まぁ、この光景も見慣れつつあるなと、茜色に染まり始めた空を眺めた。遠くでマジンガーZが光子力ビームを放っているのが見えた。

 

「にしても遅いな。」

 

 もう何杯目だろうか、コーヒーを口に運びながら最後の一人が来ない事の愚痴が口をついて出たのだった。

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