こんな俺らが、世界に認められたら。   作:yosshy3304

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こんな俺らが、世界に認められたら。第4章

 一人は、リスの様に頬を膨らまし、周りに癒しをばら撒きながら口の中に食べ物を放り込んでいる。

 一人は、「こりゃ美味い、こりゃ美味い。」といつ喋っているのか判らない程早く丼の中をかきこんでいる。

 一人は、泣きながら久々の真面な飯だと感動しながら口に物を詰め込んでいた。

 

 近年の大事件と言えばアシュタロス事変ともう一つ、そのアシュタロス事変において、アシュタロスが多種多様なヒーローが跋扈する人界を脅す為に、世界中に存在するミサイルをハッキングし、各国に向けて撃ち放った事があった。

 

 その中で特に、ヒーローの数も、スーパーロボットの数も桁違いに多かった日本は約二千発ものミサイルに襲われたのだ。

 

 他国に向かって放たれたミサイルは、地球連邦統一軍によって撃退されたものの、念には念を入れられた日本に迫るミサイル群に対処するには手が足りなかったのである。

 

 そんな中で颯爽と登場し、ブレード一本でミサイルを撃墜、更にはその実力を恐れた軍上層部からの命令でその機体を捕獲しようとしたスーパーロボット、モビルスーツから逃げ切ってみせた小柄な人型の何かが居た。

 

 後にその機体は世に出た最初のIS(インフィニット・ストラトス)であり、白騎士と名付けられ、この事件を白騎士事件と呼ぶようになった。

 

 ISは現存する兵器群の上を行く。そんな謳い文句と、確かな実力で世に出たのだが、女性にしか扱えず、更にISの心臓部と言われるコアは467個しか作られず、欠陥兵器の烙印を押されたのだった。

 

 ただその威力は計り知れず、また人型兵器、特に特機と呼ばれる所謂スーパーロボットの研究開発と言う面においては世界のどの国よりも先を行っている日本に、そのISを扱う専門学校は置かれた。

 

 ただ軍において正式採用されるのは、量産性、整備性、コストパフォーマンスを重視された機体であり、量産性を高められたモビルスーツである事が多く、また一部のエース機として高性能機、特機に混じってISが採用されていたりする。

 

 目の前で泣きながら食事をしているクロウ・ブルーストもまたアクシオン財団が作り上げた特機を駆り、日夜迫りくる脅威と戦ってはいる。

 

 戦ってはいるんだが、クロウの命の値段よりも背負った借金の方が多いというのは涙を誘ってしまう。

 

 まぁ、それも自業自得を掠めるような行いをしているからこそ、偶々顔を合わせた時ぐらいにしかこうやって奢ったりしないんだが……

 

「御馳走様でした。はぁ、美味かった。ここ一週間砂糖水だけだったから……」

「普通死ぬわぁっ!!」

 

 クロウの言葉、こいつの事だから本当の事なんだろうけど、に口に入った物をまき散らしながら忠夫がツッコみを入れる。ついついボケにツッコみを入れてしまうのは関西人の血だからだろうか。

 

 いやいや、これが結構丈夫なんだよ。とそれは如何なんだろうとも思う言葉を発するクロウ。カウンターの奥では総二が苦笑しているし、後ろで乱馬が顔を引き攣らせていたり。

 

 ああ、こいつも貧乏だったっけ?それも極貧と言っていい様な。だからこそ家があるのに、一家揃って許婚の家で世話になってたり、内職手馴れていたりするし。乱馬の引き攣った顔を視界の端に収めながら置いてあった古い号の週刊雑誌をペラりと捲る。

 

「にしても、日本の変態技術ってすげぇな。」

「残り二つの日本の方はそうじゃないのか?」

「違う、違う。まぁ、形態電話とかの小物関係ならあっちが上だけど、こうやってビームも実弾も全部跳ね返しちまうバリアとか、イレブンにももう一つの日本にもないしな。」

 

 クロウは軍属であり、だからこそ侵略者が現れれば、そこに急行し戦っているからこそ、この世界にある三つの日本を見ている。

 

 そんなクロウの感想に一刀が興味深そうに聞き返す。

 

 過去の中国を見て回った時から、国の違いによる文化の違いに興味を持ったらしい。だからこそ、彼方此方見て回れるクロウが少し羨ましいらしい。

 

 そんな事を言えば、戦争なんかしない方が良いぞと注意がとんでくるが、一刀は既に戦争を体験している。それも機体に乗り込み、直接死体を見る機会が少ないそれよりも、文字通り死体の山が築かれる人同士が刃を交えるそれを。

 

 ちなみに一つはイレブンと呼ばれる植民地化された日本、一つはスーパーロボットが多数存在する、侵略者が日夜侵攻してくる日本、最後がここ、ヒーローが跋扈する日本である。

 

「悪い、遅れたっ!!」

「「「遅ぇっ!!」」」

 

 クロウの話を聞きだした一刀を横目で見て、雑誌を捲った瞬間、扉を勢いよく開けて唯一の男IS乗りが入ってくる。俺と忠夫、一刀の文句が織斑 一夏(おりむら いちか)に向かって放たれたのだった。

 

「悪かったって。鈴の奴が帰って来ててさ、またこっちに住むからって必要な物買いに行ってたんだよ。」

「へ~、鈴音帰って来たんだ。」

「ああ、しかも中国の国家代表候補生だってさ。」

 

 確かに時間を決めて無かったし、あっても何だかんだと遅れたりするから、約束なんか有って無い様なもんだけど。それでも閉店時間ギリギリに来るのは如何なんだと一言物申そうとして、一夏の口から飛び出て来た懐かしい名前に文句を忘れる。

 

 中学に上がる前だったかに日本に転校して、何時もの様に一夏が惚れさせ、いつの間にか俺達の輪に入っていた活発で小柄な少女の顔が浮かぶ。

 

「うわぁ~、天才って何処にも居るんだな。」

 

 一刀がそう言いつつ、いまだモッキュモッキュと食べ物を口に運んでいる奉先の方を見ながら言うが、それ才能だけで片付けるなよ?

 

「分かってるって。鈴音の態度、分かり易かったし。」

 

 俺の視線の意味に気付いたのか、そう言い訳しつつ一夏の方を意味有り気に見る。

 

「俺の顔になんか付いているか?」

「「あーあ。」」

 

 そんな一刀の視線の意味に気付かず、首を傾げる一夏に呆れた一刀と忠夫の怨差の声が重なる。

 

「取り敢えず、ほら、一夏も行くだろ? これ。」

「おお、カラオケか。IS学園入ってから行けてないからなぁ。当然行く行く。」

 

 このままだと忠夫が藁人形と五寸釘をまたぞろ取り出しかねない為、俺が二人の言葉を遮り、カラオケの無料券を一夏に見せれば、一夏も久々に羽を伸ばせると乗り気になっている。

 

「なら、そろそろ行くか?」

「そうだな。それ場所何処のだ?」

「えーと、穂群原郡冬木市深山町だな。」

 

 皿を洗い終わった総二がエプロンで手を拭いて、そのエプロンを脱ぎながらカラオケ店の場所を聞いてくる。

 

 券の裏側に書かれている場所を見れば、新円都市の名前の通り円形に作られた都市郡の、北西に位置する町の名前が書かれていた。ワイノワイノと総二の実家の喫茶店を出る。

 

 俺、忠夫、一刀、総二、愛香、奉先、雲長、益徳、ルシオラの総勢9人。トゥアールはエレメリアンが出た時の事も考えて留守番しているそうだ。は今いる中央に位置する居類友郡(おりしゅぐん)地異土市(ちいとし)中央、文字通り新円都市の中央にある駅へと歩き出したのだった。




アドレシェンツァのある都市の名前の構成に気付いた人はニヤリとするか、よくある名前だと馬鹿にするか、少し怖いですが。

漢字の意味と構成の方も考えてみました。
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