こんな俺らが、世界に認められたら。 作:yosshy3304
三つある日本の一つ。俺達が暮らすこの日本は、正確には日本とは呼べないのかもしれない。俺が生まれた年に起きた天変地異と呼べばいいのか、ありとあらゆる並行世界、時間の違う、また異世界の土地のごく一部がここに跳ばされてきた。
あくまで日本の形をしているだけで、その土地土地は日本ではない場所も多く、また同じ土地が複数あるといった事も当たり前だ。
実際東京なんか7つもあったり、しかも何処がどうなったのか膨れて北海道の形になって、北海道の代わりに存在していたりする。
「この前第六旧東京に遊びに行ってきたんだ。」
「うわ、あの昭和感漂う第六かよ。」
「ちょっと待て、お前平成生まれで昭和を知らないだろうがっ!!」
「それでも第六が古臭いってのは分かるぞ。」
「まぁな。」
なんて会話が目の前で繰り広げられるのなんて日常茶飯事だったり。ちなみに第六東京都は大正時代から来ているらしく、何もかも、それこそ建物まで現代建築に見慣れた人間からすればどうしても古臭いイメージが。
ただそこも並行世界らしく霊子甲冑という霊力で動かすロボットが平和を守っていたり、人斬り抜刀斎とか名乗る侍が居たりと結構危ないのだが、目の前の学生二人は、たぶん科学が進んでいる日本から飛ばされてきた第四東京都の学生ではなかろうか。
あそこはそれこそ生きているんじゃないかとしか思えない、ドジすら自然と行なえてしまう猫型ロボットとか、この日本を被うバリアとか開発した所で、スマホ型の、このバリアを小さくした物が一般的に普及してたりするからなぁ。
危険な場所ほど人気が出るから。ただそこで暮らそうとすると不便らしいが。
『まもなく、第三新東京市ぃ、第三新東京市ぃ。お降りの方は、現在襲来している使徒にご注意ください。』
「うぅおおい!?」
とんでもない車内アナウンスに忠夫が思わず立ち上がりながら、空中を裏拳でビシッとしながらツッコみを入れた。
神奈川県の場所に跳んできた第三東京都新東京市には使徒と呼ばれる怪物や、様々な宇宙人、何処に居たのか分からない原生生物、一般的に怪獣と呼ばれる巨大な化け物が度々襲ってくる。
その度にエヴァンゲリオンと呼ばれる人型決戦兵器と銘打たれたロボット、ちなみにトゥアールや知り合いの天災科学者二人、その他様々な人物が、あれは人造人間であり、内部に人を取り込んでいると断言した。や科学特捜隊を源流とする様々な特殊部隊とそれに協力する宇宙人。本人曰く宇宙警備隊員である『ウルトラマン』達の協力の元撃退されている。
目の前に居た学生風の二人の目的地は違うのだろうが、それでも面白そうだといって降りて行った。
「……もう着くから、大人しくしとけよ。」
「わー……とるわっ!!」
第三東京都には美人女性が多い。それこそ幼稚園児から皺くちゃの筈の老婆まで。元女優やアイドルと言われた方が納得するほどであり、それは基本的に他の地域にも一部言えたりするのだが、なぜか此処は皆薄着なのだ。
跳んでくる前まで、地軸の歪みから起きた異常気象で常夏の地域であった事も関係しており、この日本に跳ばされてきた後も、いまだ暑い日ばかりである。
降りようとした忠夫の腕を掴みつつ注意する。無意識だったのか、ハッとした忠夫は一度薄着の女性駅員の方を見て、血涙を流しながら大人しく席に着いた。
『次は、彩南、彩南。ドアは左側だけが開きます。足元に注意してお降りください。』
「あら?」
「おっ!」
「よっ!」
ガタンゴトンと列車は進み、次の駅で乗客を数名乗せる。三人姉妹の様で、顔立ちは似ているものの、体の極々一部は一人だけぺったんこだった。
「けっ…、モテル男は運命にも愛されてるってか!?」
「落ち着けよ、ただの偶然だろ?」
その三人は知り合い。いや、正確には一人彼女と呼んでも否定されない人物もいる。もっと正確に言えば、俺も憎からず思っており、相手も積極的にアプローチしてくる相手であり、だがいまだ告白等をしていないという相手だ。
モモ・ベリア・デビルーク。今時珍しくもない宇宙人である。元々姉であるララが親に無理やりさせられたお見合いから逃げ出し、彩南町にやってきて、そんな姉を探しに双子の妹であるナナと共にやってきたという話だ。俺はそう聞かされていた。
性格は真正のドS。でありながら奥手であり、愛情深く、友情に熱く、また好きになった人に体も含めて尽くす正確である。ドSなのは本人の性格だが、それ以外はデビルーク星のお姫様であり、箱入り娘。政略結婚の道具でもあるという自覚からのものであった。
「にしても、今日土曜日だよな?」
「ええ、部活の帰りなんです。」
「あれ?部活なんて入ってたっけ?」
「いえ、入ってませんよ。」
助っ人としてボランティア部であるスケット団の手伝いをしていたからこんな時間になってしまったという事だった。
「モモも来るか?ほら、これ。」
「うわぁ、カラオケですか?」
俺はモモにカラオケの無料チケットを見せながら聞くも、今結城家に居候の身でもあり、だから迷惑は掛けられないからと断られる。ただ、耳元でボソッと、今度家の方へと行かせてもらいますね。と呟くのは反則だと思う。
意味としては何でもないことなんだろうけど、こう色っぽく言われるとどう反応すればいいか困ってしまう。
「あははは、忠夫、何だよ、それ!」
「いや、ナナちゃん。何も聞かないでくれ。男には、男にはやらなければならない時があるんだっ!!」
「少なくとも今じゃないだろっ!!」
「押さえつけろ、うわっ、無駄に力が強いんだからっ!!」
凄く迷惑なんだろうけど、今回だけはよくやった忠夫。ララやナナを含めた女性陣が苦笑したり大爆笑していたりする中、忠夫が騒ぎ、一刀と一夏と総二に取り押さえられている。なんというか、雰囲気がブレイクした。
「それじゃぁ、また今度誘ってくださいね。」
「ああ。じゃぁな。」
そんな騒ぎの中列車は進み、そして三人は降りて行った。忠夫は騒ぎすぎたのか、ルシオラによって沈黙させられている。具体的には人が空いている事をいいことに、横に長い座席を一つ使っての膝枕。
女、女騒がしい忠夫も、以外に女性陣からぐいぐい来られる事は苦手なのか、顔を真っ赤にして沈黙。ただスケベの面目躍如なのか、無意識に手が臀部に伸び、むしろぶん殴られ伸されている。
「次は、冬木市、冬木市。」
やっと目的地に着いたと安堵のため息ともいうべきものを、俺は吐いた。ここでも大騒動に巻き込まれるとは知らずに、カラオケを楽しみにしていた。
空をウルトラマンがジュワッチと言いつつ飛んでいく。以外に声が煩いんだよなぁ。