それでは今回も…ゆっくり読んでいってね。
というわけで第8幕、開幕です
見つけておいた軍部のシェルターにあった地図とコンパスで敵国の方向を把握し、その方向へ足を向ける。
円形に形作られた城壁は、もはやその役目を成せるほどの頑丈さもない。
拳を叩き込めば割れてしまいそうだ。
それでも僕はそれを壊さず、門番がいなくなってしまった城門を通る。
ふと名残惜しく、今までに起きたたくさんのことを思い出して感慨深くなり、後ろを振り返ると、そこには誰もいない、寂れた焦土が広がっていた。
家屋は崩れ、ビルは倒れ、アスファルトには焦げ跡がある。木造の建築物に至っては消し炭になっている。
恐怖の形相を浮かべている死体、涙の乾いた跡のある死体、何もわからずに死んでいってしまった小さな死体。
地獄のような光景がそこにはあった。
それを目に焼き付けて進む。
乗り物も当然壊れており、使えないため、歩いて赤々と燃える夕焼けの先にある敵国を目指す。
それを見ながら不意に君のことを思い出す。
(ああ、あの横顔は、夕焼けは、透き通って見えたのに、今の僕にはこの夕焼けが血の色にしか見えない。約束を守れなかったのだ、もはやこの感情は本当に汚れすぎてしまった。)
そんなことを考えながらいく日も歩き続け、ついにたどり着いた。
目の前には自分の国よりも大きな城壁があった。
門番の首を持ってきていた暗殺用ナイフ(兵士の死体から拝借しておいた。)二本で貫き、警報を発令される前に殺す。
そのまま敵国に潜入する。
何気ない動作で国中のあちこちにこれまた拝借した遠隔操作式の超強威力の爆弾を設置する。
そして国中を爆風が網羅する形で爆弾を設置し終えると、残りの爆弾の中の必要以上の個数を敵国総帥がいる建物に設置し、そのまま爆弾のスイッチを押す。残りの爆弾は非常用にとっておく。
凄まじい振動とともに爆風と爆炎が巻き起こり、あちこちで悲鳴がわく。
焦げて黒くなった人がバラバラになり、吹き飛ぶ阿鼻叫喚の巷が出来上がった。
ところで少年は何も考えずに復讐のためだけに国一つまるまる爆破したわけではない。
爆弾は少年の国で新開発された超小型かつ、放射線を発さずに原子爆弾並の破壊力を持つものであるために普通の建築物ならば消し飛ばしてしまうほどの威力がある。
国中どこもその爆弾の爆炎を同時に浴びた今。無事に立っている建物は軍部や、政府の大事な“モノ”を守るためのシェルターである。
それから少年はもう一度、今度は建物を注視しながら国中を歩いた。
その中で唯一、崩壊していない建物があった。何が起きたかわからない今、中にいた人は出てきてはいないだろう。
ドアを蹴破り中に入る。
そこは真っ暗の部屋だった。どれだけ広いかもわからず、外に出ようと思ったらドアが勝手に閉まり、カチッという音とともに鍵が掛かる。
蹴っても叩いても開かない扉。その時、パッと明かりがついた。
突然ついた明かりに目が眩む。
「⁉︎」
誰かいる。目が眩んで焦点が合わずよくわからないが誰かがいることはわかった。
やがてその明るさに目が慣れてくると…
「え……ど、どういう、ことだ…?これは……どうなっているん…だ?」
そこには、何世紀も前に死んだはずの“君”が虚ろな目で、何の感情もない顔でそこに立っていた。
「え……。」困惑して口をパクパクとしていると、今いる白い部屋のどこかしこに取り付けられたスピーカーから
「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ……」と、甲高い男の声がする。その声は言う。
「いや〜お笑いだったね。どうしてこいつがここにいるかって?簡単な話さ、不老不死なのはあんただけじゃなかったってことさ
ヒャッヒャッヒャツヒャッヒャ」
その笑い声に腹が立ち、「どういうことだ、説明しろ⁉︎」
「仕方ないねぇ。 数世紀前に、あんたはこの小娘と大人になりたくないって言った。その晩、夢にバーテン服の女が出てきただろう?それであんたは不老不死になった。だがあんたは一ぉつだけ間違っていた。
大人になりたくないと真剣に願ったのはこの小娘も同じだったのさ。
あんたと同時に小娘も不老不死になった。そしてバカなあんたは小娘が誰にも言わないでおこうと思った不老不死の話を小学校でペラペラと喋った。その話は当時研究者だったワタシの先祖の耳にも入った。そして、ワタシの先祖が研究していたテーマは、「不老不死の兵器への転用」だった。
隣国に不老不死の少年がいる。だがさすがに拉致するのは難しかった。だがここでチャンスが舞い込んだ。
小娘のクラスが国の外の世界に遠足に来た。格好の獲物だったんだ飛びつかないと勿体無いだろぉ?ワタシの先祖は当然ながら飛びついた。
小娘があんたと一緒に大人になりたくないって言ったことも、あんたが不老不死ってことを信じたって情報は当時潜入させていたスパイのおかげでわかっていた。あんたがペラペラと自慢したせいで小娘は隣国にさらわれたんだ。ハハハッ
ワタシの先祖は聡明だった。小娘がおよそ不老不死であろうと推測し、遠足の時に接触し、拉致した。代わりに、クローンを即席で作って記憶を脳に焼き付けて遠足の列に戻した。
オリジナルの小娘のは細胞一つ一つに至るまで何回も検査されたが、何もわからなかった。
その研究はワタシの先祖の息子、孫、ひ孫へと受け継がれていった。
だがバカな政府はこの研究への援助を断ち切ろうとしたんだ。
だがそこで戦争が起きた。とても好都合だったよ。
何せ手元には死なない兵士がいるのだから。
ワタシは政府と取引きして、小娘を訓練させ、兵士に仕立て上げる代わりに研究予算を回せと言った。
この取引きには案の定乗ってきたさ。政府のバカな高官どもは。
ワタシは小娘を兵士に仕立て上げるために洗脳を施し、破壊衝動を極限まで高めた。
今は鎮静剤を打っているが一度命令すれば…
それでは回収させていただこう。」そう言って男は君に一言、「殺れ」と命令する。
それを聞いて君は、獣のように僕に襲いかかってきた。
確かにお笑いだった。彼女を守るどころか僕のせいで彼女はさらわれた。
僕は臆病だ。それでも今なら言えるんだ。いや、言わなきゃならない!今こそ、地球最後の告白を!
そして僕は目の前の少女の猛攻をかろうじてかわしながら自らの想いを告げる。
「ずっと言おうと思ってたけど、言えなかったんだ。でも今だから言うよ。僕は…
君が好きだ‼︎」
その言葉を聞いて君は、僕に突進して掴みかかろうとしていたのに、すんでのところで止まった。
スピーカーから若干焦ったような男の声が
「おい何をやっている⁉︎さっさとそいつを殺せ‼︎」
だが君は、
「コろ、ス?いヤ、だ。コろしタく、なイ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ‼︎」
そして君の目に光が戻った。
To be continued …
次回、最終話です。
ついにこの時が…
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