やっとアップすることができました。亀更新で申し訳ありません。
それでは「地球最後の告白を」
最終幕・喜終、開演です。
正気に戻った君は、壁をいとやすやすと拳で叩き壊した。
驚いている僕を見て君が、「最高の兵器にするために訓練されたから。」と短く説明する。
そして次々に壁を突き破り、ドアをぶち抜いて突破し、スピーカーの声の主のいる部屋までたどり着く。
君は無表情でその首をひっつかみ、片手で科学者の足を地面から浮かせる。
科学者も最初はジタバタともがいていたがすぐに動きは止まった。
人間の死はあっけないものだった。
そしてその死体を無造作に放り投げる君は、6兆年の時を経たゆえに決定的に変わってしまったように見えた。
そんな君に僕は言う。
「いつか、君と話している時に見た夕焼けは綺麗に見えた。でもそれは夕焼けが綺麗だったんじゃない。君が綺麗だったんだ。
僕のこの想いは、恋なんて呼ぶにはもう、遠回りしすぎたものかもしれない。でもこの何もかもが手遅れになって壊れてしまった世界で僕は今更思うんだ。」
僕は赤面しそうになるのをこらえて虚勢を張り、、君は無表情だった頬に涙の筋を二本、左右対称に作る。
「君が好きだって。不老不死になる前からずうっと好きだったって。」
そして最後に言う。
「こんな僕だけど、君が好きです。ずっと僕の隣にいてください!」
そして……
「もちろんです。私、嬉しくて嬉しくて、言葉にも出来ない……」
君は僕に今まで見た中で最高の満面の笑みを浮かべて僕のプロポーズを受けてくれた。
「じゃあ、とりあえずこの気味の悪い研究所を脱出しちゃおう。」
僕は明るく言う。
「うん!」
君も無邪気に答える。
僕は6兆年ぶりに心にぽっかり空いてしまった穴が埋まったような気がした。
研究所を出ると、瓦礫だらけだと思っていたそこには、赤い実を二つつけた青々とした大樹が根を生やしていて、その下には他ならぬマキちゃんがいた。
マキちゃんは言う。
「この実は
しかしそれは不老不死という神の祝福から逃れる唯一の術でもある。
この実を喰らえば君たちの不老不死は打ち消され、空腹に悩まされ、死に怯えるただの人間になる。
だが、それは2人の婚姻を意味する。
私は願いを叶えるモノ。今回叶えた願いは、不老不死にして運命を狂わせ、2人を婚姻させること。
それが2人の願いだった。」
そこで僕は声を上げる。
「それも信じられないけど、今、アダムとイブって言った?どうして僕たち2人と同じ名前なの?」
マキちゃんは何の感情もない声で、
「ああ。毎回、世界が作り変えられる時、神は初めの2人の名をアダムとイブにする。単純に識別しやすくするためだ。
しかし今回の君は、生き残って世界を再興させる者。箱舟のノアの役割も果たしている。
君たちがこの実を喰らわなければ永遠に生き続けることができる。しかし神に祝福されし子は子を作れぬ。
すなわち夫婦にはなれない。この木は再生の木。神の奇跡によって作られたモノ。長持ちはしない。
決断の時は今だ。」
とマキちゃんは僕らを急かす。しかしもう答えは決まっている。
「「食べるよ」」
2人の声が揃い、木から実をもぐ。
実が離れると同時に木は眩い金色の光を放ってユッサユッサと揺れたかと思えばもうそこにはなかった。
ほぼ同時に果実にかぶりつく。今まで感じたことのないほどの甘さ。
美味しい。そう言おうとした時だった。
僕とイブの胸から拳くらいの大きさの青白い光が飛び出して二つは螺旋を描きながら天に昇る。
美しい光景。その次には黒雲が空を覆い神の怒りの象徴たる雷が鳴り響き雷光が世界を照らす。
僕たちが6兆年ぶりに死ねる体になった瞬間だった。
走馬灯のようにその間に起きたことが鮮明に蘇る。
そして僕たちはキスをし、愛を誓い合う。
その頃にはもうマキちゃんの姿はそこにはなかった。
✳︎エピローグ✳︎
神の怒りを受けたあの日から数十年。僕の魂はこの世を離れようとしていた。
世界を再び興すという使命からイブは10人もの息子と娘を産み育ててくれた。
金属の道具を作れるほどの技術はないので石器を作り、とても文明人には見えない暮らしをしている。
足りないモノはたくさんあった。それでも僕は、イブと結婚できただけて幸せだった。
Happy end fin ...?
これで「地球最後の告白を」シリーズは終です。楽しめていただけたでしょうか。
次に創作熱が沸いたらカミサマネジマキを書こうかなと思ってます。
バッドエンドをまだ読めていない方はそちらも読んでくださいね。