艦娘と巨人とネクサスと   作:瞳琥珀

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第陸話「赤城-dunamist-」(後編)

デュナミストーそれは光の巨人となる資格を得た人物を指す言葉。赤城改は"二番目"のデュナミストである。これから語ることは、彼女がデュナミストとして覚醒するまでの軌跡である。

 

 

 

2年前のMI作戦で、妹同然に可愛がっていた吹雪改を失った赤城改。失意の中、彼女は不思議な夢を見始める。東南アジアのとある熱帯雨林の入口にいつの間にか移動したかと思うと、彼女の目前に沈んだ筈の吹雪改の姿が現れた。

 

赤城改「ふ…吹雪さん…?」

 

吹雪改は微笑みを浮かべながらも無言で熱帯雨林の奥に進んでいった。

 

赤城改「あ…。ま、待って!」

 

赤城改は吹雪改を追って熱帯雨林の奥に進んでいく。ある程度行ったところで急に視界がホワイトアウトし、眠りから覚める。

 

 

 

以来同じ夢を見続け、その度に進んだ距離も長くなっていく。そして何日目だろうか。熱帯雨林の最奥に、蔦などに覆われた石造りの遺跡を彼女は見つけた。

 

赤城改「これは…。」

 

遺跡内にも水路で繋がっていたので彼女はそのまま進んでみることにした。すると遺跡の最奥に奇妙な石碑を発見。彼女が現在所有する特殊な艦載機;ストーンフリューゲルと形状は似ている。彼女が石碑に触れた途端、彼女の体内に電流が走り、思わず手を離すと、石碑が蒼白く光り始め、彼女はその光に飲み込まれていく。光が晴れると、自分がSF映画などにある異次元空間に浮かんでいるのを彼女は感じることになった。キョロキョロ見回していると、その異次元空間にもう一つの巨人の姿が現れた。それこそが銀色の巨人、ウルトラマンネクサスの姿である。

 

赤城改「貴方は…、貴方は誰なの…?貴方が私を呼んだの…?」

 

赤城改の問いに、ネクサスはゆっくりと頷いた。彼女が呆気にとられていると、空間内に大きな獣の声が谺す。

 

赤城改「な…何…!?」

 

異次元空間の一角に映像が出現する。そこには遺跡近くに紫色の光に包まれて、三つの頭部を持ったスペースビースト;ガルベロスが出現し、遺跡に向けて侵攻している光景があった。

 

赤城改「は…早く追い払わないと…!で、でもどうすれば…。」

 

狼狽えていると、赤城改の身体が紅く輝きだした。ネクサスの方を見た彼女は、不思議とネクサスの意図を読み取った。

 

赤城改「私に…戦えということ…?貴方の力を使って…。…いえ、四の五の言っている場合じゃないわね。降りかかる火の粉は、払うまで…!」

 

赤城改は一回深呼吸をした後、両手を前に突き出し、叫んだ。

 

赤城改「一航戦赤城、変身します!」

 

赤城改を取り巻く紅い光は益々輝きを増し、彼女を包み込んで行く。これが、彼女の初の変身となった。

 

 

 

遺跡の外では、ガルべロスが遺跡に向けて、狼の唸るような声を出しながら歩みを進めていく。

 

ガルべロス「グルルル…グォォォ…グアアアア!」

 

すると遺跡の上部が蒼白く発光し、そこから紅い光弾が飛び出す。光弾は遺跡の前に着弾し、中から赤城改が変身しウルトラマンネクサスの姿が現れる。

 

ネクサス「シュッ!フッ!」

 

ネクサスは左手を胸に添えた後サッと下ろすと、青色のオーラに包まれ、ジュネッスという赤い形態に変化した。ネクサスはすかさずフェーズシフトウェーブという青い光線を頭上に発射。光のドームがネクサスとガルべロスを包み込み、両者をメタフィールド内に誘った。

 

ガルべロス「グアアアオ!グル……グオオオン!」

 

ネクサス「シュアッ!」

 

突進してきたガルべロスに対し、ネクサスは飛び上がってガルべロスにキックを決めようとする。しかしいとも簡単にいなされ、地面に転がる。赤城改が巨人としての戦闘に慣れていないのも一因だろう。ネクサスが向き直ると、ガルべロスの右の頭の口から火炎球が発射されようとしていた。ネクサスはジャンプしてこれを回避、ガルべロスの背後に着地した。対してガルべロスは右の頭だけを後方に回転させて火炎球発射の準備に入る。ネクサスは高速移動(マッハムーブ)でガルべロスの前方に移動することでまたもこれを回避。すかさずキックを一発決めたが、二発目はまたもいなされた。更にガルべロスの腹部に向けて突進をかまし、中央の頭にキックとパンチを一発ずつ決める。だが、ネクサスの腹部にガルべロスの腕の一撃が加わり、ネクサスが怯むと、ガルべロスの腕や脚による集中攻撃が始まり、ネクサスは追い詰められていく。

 

ネクサス「フアアアア!」

 

ガルべロスの腕の一撃により大きく吹き飛ばされたネクサスだったが、早めに立て直すと、今度は突進してきたガルべロスにキックをかまして後退させる。そしてネクサスの優勢が始まった。チョップや膝蹴り、更には投げ飛ばしも行い、ガルべロスの体力を徐々に削っていく。

 

ネクサス「フッ!フオオオオォ……トゥア!」

 

ガルべロスの立て直しが終わらないうちにネクサスは胸のV字の器官(エナジーコア)から白い光線(コアインパルス)を放つ。直撃したケルベロスは倒れこむと、大爆発を起こした。ケルベロスの消失を見届けたネクサスは白く輝き出し、同時にメタフィールドも消えていく。暫くして紅い光弾が熱帯雨林の入口に降下し、中から憔悴した赤城改が現る。彼女の右手にはいつの間にかエボルトラスターが握られていた。

 

 

 

夢はそこで途絶えていた。そして起き上がった赤城改の右手にもまた、エボルトラスターが握られていた。彼女は分からなくなった。自分が見たのは夢だったのか、又は現実だったのか。それから間もなく、彼女は幌筵泊地を去った。

 

 

 

⁇?「…?…ぎ?赤城?お〜い、聞こえとるか?」

 

軽快な関西弁で赤城改の目が覚めた。

 

⁇?「おお、やっと目が覚めたな。」

 

赤城改「…あれ?何で龍驤さんがここに…?」

 

龍驤改二「何や、ど忘れかいな。まあ、さっきまで飲んどったし、しゃあないな。」

 

赤城改「あ、そうでした…。空き巣紛いなことをされて、お酒で丸め込まれて…。」

 

龍驤改二「そこは覚えてんのかい。まあ、鍵開けであんたが帰る前に寛いどったのは事実なんやけどな。アハハハ…。」

 

赤城改「…全く。私が追われている身でなければ通報するところでしたよ。」

 

龍驤改二「アハハハ…。…なあ、赤城。ちょいと聞いてもええか?」

 

赤城改「…何をです?」

 

龍驤改二「一航戦のエースやったあんたが、お尋ね者になってまで、何を探しとるんや?」

 

赤城改「…。」

 

龍驤改二「…あたしらの見えんところで、何か巨大な力が動いとる気がするんよ。不気味な…死の匂いさえ感じさせる力や。あたしはその正体を突き止めようと、独自に調査を進めとった。せやけど、その現場にはいつも、あんたがおった。泊地を去って艦娘であることを放棄した筈のあんたがな!」

 

赤城改「…偶然です。」

 

龍驤改二の持つビール缶がひしゃげる音がする。

 

龍驤改二「何が偶然や。この間もあんたを尾けとって、また情報操作の壁にぶつかったんや!」

 

龍驤改二はその肩掛け鞄から複数枚の写真を取り出した。

 

龍驤改二「見てみぃ!素性は明らかではあらへんが、この青葉改を旗艦とする部隊が情報操作に絡んどったのは間違いあらへん。あたしらの見えないところで、何が起こっとるんや?あんたは何を追ってるんや?答えるんや、赤城!」

 

赤城改「…話すことは何もありません。出て行ってください。」

 

龍驤改二「赤城…。…今日は引いといたるが、次会う時にはバッチリ聞かせてもらうで。」

 

龍驤改二はそのまま赤城改の部屋を出た。そしてアパートの外に出るも、夜通し赤城改の部屋の様子を観察し続けたのだった。

 

ー第漆話に続くー

 

 




割と遅れた実感があるんですが、後編書き上げました。
最初、根来さんの立ち位置の艦娘を嵐にするつもりでしたが、
彼女を所持していないのでイメージが作りにくかったのと駆逐艦と正規空母の同僚っていう構図がイメージしずらいながらも無理やり持っていこうとしたため、執筆を遅らせることになってしまいました。
結局龍驤さんにやってもらうことにしましたけどね。

それでは、次回をお楽しみに!
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