フェアリーフェンサーエフ~無口っ子と旅をする~   作:黒金の孤狼

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第1話 出会い

さて、無事に転生出来たみたいだが…

 

「なんでいきなり落ちてるんだぁぁぁ!!」

 

現在、俺は空から落下していた。転生したら紐なしバンジーしてるってどういう状況だよ!

 

“きゅー♪”

 

「お前は何で楽しそうなんだ!?ていうか何とかしないと!」

 

転生したばっかりなのに死んでたまるか!

 

「久遠、何とかなんないか!?」

 

“きゅ!”

 

任せろと言った感じで俺の前へ飛び出し子狐の姿から大人1人が乗れそうな位の大きさになり、俺を乗せて地面へと着地する

 

「すげーなお前…ありがとな久遠。助かったよ」

“きゅー♪”

 

嬉しそうに一鳴きし、元の大きさに戻り肩の上に乗っかる。

 

「さて…無事に転生出来たは良いが…此処は何処だろうか。どうやらダンジョンみたいだが…ん?」

 

辺りを見渡しているとドラゴン型の魔物と対峙しているフードを被った少女が目に入る。苦戦しているみたいだ

 

「見過ごす訳にはいかないな……久遠!」

 

“きゅ!”

 

俺の呼び掛けに反応し、光に包まれ日本刀へと姿を変え俺の手の中に収まる

 

「それがお前の武器形態か…よし行くぞ!」

 

武器を構え、女の子を助けるべく駆け出す「くっ…この…しつこい…!」“エフォール、危ない!”「あぐっ…!?」

 

フードの少女がドラゴンに吹き飛ばされる。その衝撃で持っていた弓が光り、狐耳の少女に変わる

 

「エフォール、しっかりして下さい!」

 

「うぅ…果林、逃げて…」

 

「何を言ってるんですか!そんな事出来るわけ……!?」

 

トドメと言わんばかりにドラゴンが少女達へ腕を振り下ろそうとする。

 

「させるかぁぁっ!!」

 

“ガキィィン!”

 

間一髪、ドラゴンの腕を刀で防ぎ力任せに弾き返す。

 

「そこの2人、大丈夫?怪我は無い?」

 

「はい、何とか」

「ん…平気」

 

「そっか…なら良かった」

 

2人の無事を確認し、安堵する…ってあれ?もしかしてこの子達ってι

 

「まさかな…いきなり原作キャラに会うなんて…いや…でもなぁ…」

 

「…?」

 

ブツブツと呟く俺を首を傾げて、不思議そうに見つめるフードの少女。うわ、可愛い

 

“グガァァァ!”

 

おっと…そういえば戦闘中だったな…

 

「見逃しちゃくれないよなぁ…やっぱり。ちょっと手伝ってくれないかな…助けに入ったは良いけど俺1人じゃ太刀打ち出来ないから」

 

自分で言ってて物凄い情けないが、こればっかりは仕方ない。魔物とは無縁の世界に居たしι

「ん、分かった…果林、行くよ」

 

「はい!」

 

狐耳の少女の体が光り、再び弓に変わってフードの少女の手に収まり、臨戦態勢に入る

 

 

 

「武器は弓か…よし、君は後ろから援護して。俺が前衛に出るから」

 

「ん…分かった。任せて」

 

「よし、やろうか久遠!」

 

“きゅっ!”

 

久遠の返事を聞き、ドラゴンへと駆け出し横一閃に切り裂く

 

“グガァァァ!?”

 

「よし、効いてる…うおっ!?」

 

思い切り振り下ろされた爪をギリギリで回避する。危ねぇ…あんなの貰ったら絶対、死ぬわι

「…っ!」

 

“ギャアァァッ!?”

少女が隙を突いてドラゴンの瞳を射抜く。激痛に悶え苦しみ倒れる

 

「トドメだ!せぇぇいっ!」

 

高く飛び上がり、急所へ刀を深く突き刺す。暫く痙攣した後、動かなくなり粒子となって消滅した

「ふぅ…終わったな」

 

“きゅー♪”

 

久遠も元に戻り肩へ乗る。此処がお気に入りなのかな?

 

「あの…ありがとうございます」

 

「助かった…ありがと…」

 

そんな事を考えていたら狐耳の少女とフードの少女がお礼を言い、頭を下げる

 

「あぁ…良いってば、お礼なんて。当たり前の事をしただけだし…それに2人の援護が無かったら多分倒せなかったし。えーと…名前、聞いても良いかな?俺は煉弥、不知火 煉弥」

正体の予想は付いてるが、確信が持てない以上は下手な事は言えないからな

 

「エフォール…こっちの子は」

 

「果林です。レンヤさん本当に助かりました…」

あぁ…やっぱりエフォールと果林か…お気に入りキャラにいきなり出会うとは…運が良いんだか悪いんだか

 

「エフォールに果林ね。2人はこんな所で何してたの?」

 

「はい…実は私達、旅の途中なんです」

 

「旅…2人だけで?差し支えなければ聞かせてくれないかい?」

 

「私は構いませんが…」

果林は言葉を濁し、エフォールの方をちらりと見る。おっと…聞いちゃいけなかったかなι

「大丈夫…平気だから」

「分かりました…ではお話します。私達は幼い頃、フェンサーを育成する施設に居ました。戦う事だけを教え込まれてきました」

 

「逆らったりしたら殴られた……酷い事いっぱいされた……っ」

 

消えそうな声でエフォールは呟き俯く。表情は見えないがきっと泣きそうになってるだろう…よっぽど酷い目に遭ったんだな…

 

「そんな毎日が続いて…エフォールは段々と感情が無くなって……そんな彼女を見ていられなくて施設から脱走したんです」

 

そう語る果林も辛いのかちょっと涙ぐんでいる。ゲームじゃあまり触れられなかったから分からなかったけど……相当暗い過去を持ってるなι

 

「その時は生きる事で精一杯だった……でもふと時々思うの……私と同じように戦う事だけを教えられた子達はどうしているんだろうって…」

 

今まで黙っていたエフォールが俯いたまま、ぽつりぽつりと話し始めた

 

「もしかしたら前の私みたいに…戦うだけが目的の化け物になってるかもしれない……だから」

 

言葉を一旦切り、顔を上げる…若干、涙目だが決意の籠もった瞳をしていた

 

「その子達を助けたい…世界にはもっと…楽しい事がいっぱいあるって…教えたいの…」

 

「…もしかしたら会えないかもよ?」

 

「絶対諦めない…」

 

「…会えたとしても理解してくれなかったら?」

「それでも…伝わるまで何度でも教える…っ」

 

迷うことなくエフォールは言う。ふぅ…心配するまでもなかったな

 

「そっか…そこまで心に決まってるんなら大丈夫だな…。その旅に俺も付いて行っても良いかな?」

 

「え…?」

 

「いやな、そんな混み合った事情があったなんて思わなくてさ…聞いちゃった以上、無視出来なくてさ。それに女の子2人だけっていうのも何かと危険だし」

 

エフォールはフェンサーだから、よほど強力な魔物ではない限り、苦戦する心配は無いだろうが、それはあくまで魔物と対峙した時だ。人間…しかも同じフェンサーだったらそうはいかない。敗北…下手をすれば命を奪われかねないしな

「有り難い申し出ですが…良いんですか?レンヤさんも旅の途中なのでは?」

 

「あぁ、それだったら心配ない。ただ宛もなく気ままに旅していただけだし」

 

転生したばっかりだから目的なんて無いなんて言っても信じる訳ないし…まぁ行く宛てがないのは本当だし嘘は吐いてない

 

「まぁ…迷惑でなければだけどさ」

 

「そんな…迷惑だなんてとんでもない。どうします?エフォール」

 

「ん…私は付いて来て欲しい…2人きりは寂しい。果林はどう?」

 

「私も出来る事なら一緒に来ていただけるなら有り難いですが…」

 

「よし、じゃあ決まりだな。これから宜しくな?エフォール、果林」

 

「はい、此方こそ宜しくお願いします」

 

「宜しく、レンヤ」

 

差し出した手を2人が握り返す。心なしか2人とも嬉しそうだ

 

‘クキュ~'

 

「……っ///」

 

控え目なお腹の鳴る音が聞こえ、エフォールの顔が真っ赤になる

 

「そういえば朝から何も食べてませんでしたね」

「お腹…すいた」

 

「はは…じゃあ一旦、街に戻ろうか」

 

「うん、早く行こう?」

 

そう言いエフォールは歩き出す。全く…そんなに急がなくても

 

「あの…レンヤさん」

 

「ん?どうした果林」

後を付いて歩き出そうとしたら果林に呼び止められる。なんだか真剣な顔をしている

 

「一つだけ…お願いしたい事があるんです…聞いて貰えないでしょうか」

「俺に出来る事なら何でもするよ。言ってみて?」

 

そう返事をすると果林は深呼吸をして、言葉を発した

 

「あの…エフォールを女にして下さい!!」

 

「……ゑ?」

 

ちょっと待て、何て言ったこの子!?とんでもない事口走んなかったか!?

 

「えっと果林?自分が言った台詞の意味、分かって言ってるよね…?」

 

「え……あっ!す、すみません!間違えました!///」

 

顔を真っ赤にして、慌てて否定する。可愛いなぁ…

 

「で、何て言おうとしたの?」

 

「あ、はい…あの、出来たらで良いんです…エフォールに女の子らしい事を教えて下さい!」

 

「…はい?」

 

「さっきも話したように、あの子はずっと戦う事以外何も知らずに過ごしてきました…私も色々試してはみたんですが空回りばかりで…無理にとは言いません。出来る範囲で構いません」

 

そう言った果林は真剣だった…。そこまで言われちゃ無碍には出来ないな

「分かった…出来る限りの事は協力するよ」

 

「ありがとうございます!レンヤさん!」

 

「気にしないで、強引に旅に付いて行くようなもんだし、それくらいの見返りは当然だよ。それにしてもエフォールは幸せだね」

 

「え?何故ですか?」

 

「だってさ、こんなにも相手を思ってくれる優しい子がパートナーなんだもの」

 

そう言って果林の頭を撫でる。ちょっと恥ずかしそうにしていたが、若干嬉しそうに見えるのは俺だけだろうか

 

「レンヤさん、恥ずかしいです///」

 

「あぁ、ごめん。嫌だった?」

 

「嫌では…無いです…///」

 

「そっか…さて、そろそろ行こうか。エフォールが待ちくたびれてるだろうからな」

 

「あ、はい…そうですね……ってあの子ったらもうあんな所まで」

 

ギリギリ視認出来るか出来ないかぐらいの距離までの所にエフォールは居た、早いなι

 

「じゃあ行きましょうか」

 

「あぁ、そうだな」

 

果林の言葉に頷き、俺達は歩き出す。………女の子らしい事って何があるんだろうι

 

今更ながら重要な事に気が付く俺だった…




前から書きたいと思っていたフェアリーフェンサーエフの小説を我慢出来ずに投下してしまいました。表現が乏しかったり読みづらい所もあると思いますが生暖かい目で見守って下さいm(_ _)m。
それでは!


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