ゴッドイーター アンソロジーノベル~the memory of love~   作:鷹師

14 / 18
第十三章 戯曲

「このわたくしがアラガミに!それも脚で扱われて飛んでいるですって!?これほどの屈辱は受けたことがありませんわ!」

突然の出来事の連続に頭がフリーズしていたのだろう。再起動がかかったリズは捲くし立てるように声を荒げる。

タカシに連れられて飛び立ってからそう時間はたってない。タカシがリズに説明を始めたので私は眼下を見下ろした。

 

アラガミが草木をなぎ倒し、積もる雪すらも残らない密度でロシア支部へと行進している・・・・・・

こいつらがロシア支部へたどり着いたらこの大群が通った後の大地のようにまっさらな荒野と化すことは火を見るよりも明らかであった。

オペレーター、購買のおばちゃん、下町の人々の笑顔・・・・・・そのすべてが焼けたフィルムのように消えていく地獄絵図を私は頭から振り払ってキッと進路を見つめた。

アラガミが向かう遥か先にロシア支部が見える。こいつらがたどり着くまでになんとしても装置を止めなくては!

「タカシ、リズ。ケンカはナシです。全力でとめますよ!」

「「了解!!」ですわ!」

不安を振り払いただ最善を尽くす。私たちはさらに加速した。

 

 

「ザックさん率いる第一部隊が下町で交戦中!多数の教団の進入で町は混乱しています!また、アリサさんたちクルイローがこちらに向かっています!」

「なんとしても耐えるんだ!今輸送隊を武装させて各部隊へ向かわせている!」

「第三、第六部隊の反応をロスト!これまでの通信から恐らく教団による妨害かと思われます!」

「踏ん張れ!ここで私たちが通信を統制、各班に状況を伝えることが戦局の打破につながる!」

オペレーターは八名。人手は潤ってきたとはいえ長いこと極東支部の傀儡であったロシア支部はまだまだ人手不足だ。現場指揮や情報関係に強いものが少なく、人手の半分以上が門兵や後方支援部隊に配属される。

作戦室でせわしなく動くオペレーターを見ながら副支部長アレクサンドルは苦虫を噛み潰した。

「サイラス、その調子でオペレーターの統括を頼む。避難民の受け入れが最優先だ、町を焼かれようと人がいれば立て直せる。後方支援部隊、門兵でもいい、戦えるものは私と内部に侵入した教団を退け装置の様子を見に行く」

指示を出しアレクサンドルは立ち上がった。そこにオペレーターの一人が告げる。

「副支部長、後方支援部隊の通信が途絶えました」

胸騒ぎを感じつつもアレクサンドルは通信室を後にした。

 

 

「アリサとリズは避難民の捜索をしながら支部へ、俺は第一部隊の加勢に行く。いいね?」

下町で私たちを下ろしたタカシが告げる。

「現状での最良の判断です。私はリズと行きますが死んだら許しませんからね」

「劉にもそれをいってやればよかったのに、行ってくる」

少し笑った(様な表情を見せた)シユウとなったタカシは道中のアラガミを翼と腕を使ってものすごい速さで蹴散らしながら角を曲がって見えなくなった。

周りを見渡すと瓦礫、炎、死体・・・・・・震える気持ちを抑えてリズの手を引き支部へと駆け出した。

道中の浮遊する天使のような球体のアラガミ「ザイゴート」を屠りながらリズはアリサの手を振り払う。

「弱者の扱いは辞めてくださる?わたくしだってゴッドイーターですのよ?」

唇を震わせながらも似合わない笑顔を浮かべるリズ。

「ペースを上げますから逸れないでくださいね?」

「望むところですわ、遅すぎて野原をお散歩でもしているのかと思いましたわ」

道中で襲われる人々を救出しながら私たちは支部を目指す。

刻一刻と迫るアラガミの大群の手に追いつかれないように、地獄を再現させないように・・・・・・




11/4 お気に入り合計4名さま。応援してくださっていることを心から感謝いたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。