ゴッドイーター アンソロジーノベル~the memory of love~ 作:鷹師
今回は少し長いです
2/13重大な設定ミスにより第十章の一部を変更いたしました
なぜ夫婦として出してしまったのか…
「まだ生き残りがいたか」
敵意と怒りが渦巻くダークブルーの瞳が次はお前たちだと語りかけてくる。
来る!
本能が警鐘を鳴らし神機を構えた瞬間に衝撃が走る。
「ほう、いい反応だな」
「くっ・・・・・・!」
すばやい斬撃に冷や汗を飛ばしながらも距離をとり、状況を確認・・・・・・
ガギン!
重い音を響かせて再び衝突する神機達、経験が浅く状況の処理に頭が追いついていないリズを放置しイワンは私を狙って距離をつめる。思考をさせない怒涛の連続攻撃を受けながら距離をとる隙を探すも躊躇いや戸惑いのない刃は容赦なく肉薄する。
本来神機は人に向けるべきものではない、かつて私は人に向けトリガーを引こうとしたがそのときも神機使いとしてのプライドかそれとも人間としての心かはわからないが、結局その人を穿つ事はできなかった。今でも痛い炎の記憶。
それでも迫り来るこの凶刃は躊躇いなど一切もない。目の前に立ちふさがるものを切捨て、屠り、喰らい、倒す。一撃一撃から感じる排斥の意思は私の心を締め上げる。
「隊長!」
声の主にイワンが一瞬ピクリと気をとられる。
――ここ!
左わき腹から股関節を通り左足先へ力を伝達させた渾身の回し蹴り!
「うぉ・・・・・・!」
反動を逃すために弾け飛ぶようにしてお互いに距離をとる。
イワンは蹴りをもらった右脇を押さえながら忌々しげに私と声の主であるリズを見やった。
「リズ!副支部長を保護!手当てをお願いします!」
僅かな望みをかけて副支部長をリズに託す。
「あの男は終わりだ。そしてお前達も逃がさん」
殺気が含められた声、以前のイワンと別人のように憎しみでゆがむ顔
「なぜ・・・・・・なぜですかイワン!私達はアラガミを倒すゴッドイーターでしょう!?なのになぜ私達を、副支部長を裏切ったのですか!?」
「親のいない貴様にはわかるはずがない!」
「わかりません!親としても人としても立派な副支部長を憎むその気持ちが!」
再び距離をつめようとするイワンに対し咄嗟に人体へのダメージの低い麻痺弾を連射して牽制する。端でリズが懸命に副支部長の手当てを行っている。なんとしても守り抜く!
「親として立派だと・・・・・・?あの男が?笑わせるなァッ!!!!」
弾丸を避け、または弾き飛ばしながらイワンが接近する。
「病気の母を見捨て!仕事に邁進し!その仕事先で家族ごっこをする男が立派なものかァ!!!!!」
すべての弾を防ぎきり、ありったけの叫びと共に真一文字になぎ払われる神機。
でもそれは・・・・・・
「副支部長が寝る間も惜しんでアラガミを討伐したのは奥さんのためです!副支部長はいつも言っていました。いい医者を招くためにここロシアを安定させると!」
イワンの攻撃を掻い潜り再び麻痺弾を連射する。足元を狙って動きの制限を図った攻撃に再び距離をとるイワン。
「詭弁だ!苦しむ母のそばにいることこそが父のすべきことだったのだ!」
「その機会すらあなたは奪ってしまったのです!その逆恨みにどれだけの人が巻き込まれたと思っているのですか!!!」
イワンの表情に曇りが差す。更に畳み掛けるように言葉をつないだ。
「ここに来るまでに大勢の人を見ました、傷だらけの人や家を失った人、そしてもう生きることの出来ない人たち・・・・・・みんなあなたの個人的な恨みによって何の罪もない大勢の命が失われています!教団にまで手を貸してこれがあなたのやりたかったことですか!?」
歯噛みをしながら私の言葉に動揺するイワンだが「それでも」とかぶりを振って前進する。
「あいつ・・・・・・
反論できずに責任転嫁!恋人のためにも残されたとっておきの切り札で決着をつける!
「副支部長はあなたのためにタカシを鍛えたんです!友達を作らないあなたのために!ライバルとして一緒に鍛えあえる存在としてタカシを選んだ。そしてタカシもあなたをライバルとして認めていた!そうでしょうタカシ!!!!」
呼びかけにこたえるように壁を突き破って私とイワンの間に入ってきた黒い翼。
――本当にあなたは一番きてほしいときに私の元へ現れてくれる
「大丈夫?アリサ」
表情がないアラガミの姿であっても私には彼のいつもの微笑がはっきりとわかる。
力強く頷くと二人でイワンを見据える。驚愕の色を浮かべたイワンからは攻撃の意思が抜け落ちていた。
「タカシ・・・・・・なのか・・・・・・?」
「黙っていて悪かった・・・・・・副支部長から口止めされていたんだ。この体のことも君に対する副支部長の思いのことも。」
「私に対する思いだと・・・・・・?」
「そう、イワンは素直じゃないから友達が出来にくいこと。だから友達になってやってほしいってね。」
「私はそんなこと望んでいない!」
「俺は友達でありたいと思っている!今だっていいライバルだと思ってる。」
「フン、アラガミが私と友だと?」
「身寄りのない俺は君たち親子がうらやましかった・・・・・・だからせめて友として弟子として君たち親子とかかわりたかったんだ!我がままなのはわかってる。でも君の孤独も!葛藤も全部わかってるつもりだ!一人だなんて思わないでくれイワン!一緒に帰ろう!」
ゆっくりとタカシが手を差し出す人は皆孤独と戦っている。どんな人間も一人では生きていけない・・・・・・
「アラガミがわかったような口を利くなああああああああああああ!!!!」
イワンがタカシに向かって走り出す
タカシは動かずじっと手を差し出している
斬られる!
銃を構えるが間に合わない!
刃が迫るあと数センチのところでイワンの動きが止まった
「なぜだろうな・・・・・・こんなに憎い相手なのに・・・・・・」
イワンの手から神機が滑り落ち大きな音を立てた。
「帰ろう、イワン」
タカシが神機を拾い上げイワンに渡すが・・・・・・
「一緒には帰れん」
イワンは神機を受け取ると踵を返しポケットから何かのリモコンを取り出しスイッチを押す。
――ズゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
地鳴りが鳴り響き屋根が落ちてくる
「イワン!」
「爆破スイッチを起動させた。もうすぐここは崩れ落ちるぞ?早く脱出しろ」
「君も一緒に!!!」
「早くいかんと彼女達も巻き添えだ。私は覚悟を決めた。行け!」
「イワーーーーーーーンッ!!!」
「さようならだ・・・・・・
イワンは神機を天井に向けて撃つ。
ガラガラと音を立てて落下した天井はあっという間にイワンを覆い隠した。
タカシは副支部長を脇に抱え私とリズを瓦礫から守りながら脱出した。
音を立てて崩れる研究棟を目に私達は一言も発することが出来なかった。
まるで墓石のように光を失った偏食フィールド発生装置が半壊のまま残っていた・・・・・・