-彼岸-
生と死の狭間、あの世とこの世の境目にある
死んだものの魂がたどり着く場所。 三途の川で隔たり、ここには閻魔様
『四季映姫・ヤマザナドゥ』を唯一にして絶対の最高裁判官とした裁判所がある。
幻想郷へ、博麗大結界を越え踏み居るには常識の世界から忘れられ幻と実の境界に誘われる必要が
ある。
そしてかつて外の世界の死人がこちら側にやってくることが有った。
死体ではないが死にかけ、そして長くもなく妖怪に食われる。
すでに事切れたはずの人間がなぜこちらでかろうじて生きていたのか。
なぜあちらで裁きを待っていたはずの魂が流れてきたのか。
俺と紫で調査を重ね、どうやら博麗大結界が緩んでいるらしいことが解った。
「そんで、紫の幻と実の境界の強さの調節と俺の力を込めた輪廻を刺して
ひとまず安定するまではそのままにしてたんだが・・・」
「だが?」
隣を飛ぶ祥磨に聞き返され答える。
「ここ最近、靈夢さんや霊夢を筆頭に才能にあふれた博麗の巫女が続いたろ?
それにともなって緩みもだんだんと収まってきてたから霊夢が産まれる少し前に
紫と様子をみながら輪廻を取っ払ってきたんだ。」
おそらく緩みの原因は距離もあったんだと思う。
彼岸や無縁塚は幻想郷のほぼ端っこで霊力が届ききって無かったんだろう。
「なるほど。そこを突かれたのかもしれないってことか。
今あいつが根城を張ってるのは神社方面。博麗神社には霊夢が居ないし・・・」
「このまま、数も強さも増え続けたら・・
仮に霊夢と靈夢さんが本気を出さざるを得ないほどに強大になってしまったら。
すげぇフラグみたいだけど正直今感じてる結界の揺れはまずいんだ。
なるべく急いで、なんとかしないと。。
ただ・・もう一度輪廻を刺せば良いわけでもない過剰供給はむしろ壊れちまう。」
紫の力は全然俺に追いついてない 大結界だけ強めてもシステムが狂う。。
「っ・・双覇。そのあたりは後だ。 着いたみたいだぜ彼岸。」
祥磨の言葉で眼下を見据えると、見知った奴が居たのでそこに降下。
「久しぶりだな小町。それと・・映姫さん。」
予想通りここにもかなりの数の忘却の悪魔が差し向けられていた。
そして目の前に居るのは
「んんー? あんた、双覇!?
まさか死んだわけないしというかそんな連絡来てないし。。
また生身でここに来たね・・?」
赤い髪を上の方で二つに結び、青と白の衣を纏って
その手には奇妙な歪み方をした形の大鎌。
三途の川の船頭にして幻想郷で最も有名な死神 三途の水先案内人『小野塚小町』
「小町、ひとまず集中してこいつらの対処を。
情報の共有と整理、指示は私の方が得意分野でしょう。」
そして、少々小柄ながら絶対的な威厳を感じさせる彼女。
肩にかかる程度の緑色のショートヘアー 紅白のリボンと金で装飾を施された帽子
右手には悔悟の棒を持ち、所持する手鏡は浄玻璃の鏡。
少々幼いようにも見えなくはないが、彼女がこの世界の閻魔様。
その眼は真実を見据え、その判断は絶対なる審判を下す。
楽園の最高裁判長『四季映姫・ヤマザナドゥ』
「・・・貴方、今少々失礼なことを考えませんでしたか?
顔に出やすく嘘の付けない人間性なのは結構なことですが時には伏せなければ
いけないこともあることを解っているのですか?
そう・・・貴方は少し協調性が無さ過ぎる。 そもそも!」
まずいっ!!!!
「あー。。映姫さん。ちょっといいか。
説教ならあとにして欲しいんだ・・ 今は最初に言ったように情報交換と
現状そんで対策とか話さなきゃいけないことがたくさんだろ?
あそこで鎌を振りまくってる部下も泣きそうな顔してるからさ。。」
そう遮ってくれのは祥磨。 た、助かった!!
「ん・・それもそうですね。 現状、説教を強行する方が黒。
感謝しますが・・貴方と貴女・・・は霧雨魔理沙さんでしたね。」
あぁ・・・そう言えば此処には俺一人で来たんだった。
「あぁ・・ええと。俺は神薙祥磨と言います。
この白雲双覇の友人です。 魔法を行使できること以外は普通の人間です。」
「やっと喋れるぜ・・・。 私は霧雨魔理沙。
幻想郷の異変解決を霊夢とやったり魔法の森で魔法の研究をしてる。
これから宜しく頼むぜ。」
祥磨、そして俺と祥磨の話が処理しきれていなかったのかプスプス状態だった
魔理沙がそれぞれ自己紹介をすました。
「ふむ・・・。嘘は無さそうですね。
全員白。とはいってもそこのお二人は私の能力でどこまでを推し量れているのか
疑問を感じるところではありますが。
さて、ひとまず現状は小町や死神達そして私であの影たちを
三途の川へと返していくそれを作業のようにしている感じでしょうかね。」
映姫さん・・浄玻璃の手鏡を持ってきてたのか。。。
てことは多分俺と祥磨の秘密はもうばれてるなぁ。。。。
「ん?あの川に落とすと倒せるのか?
あいつら、めっちゃくちゃ強いのにそれはすごいぜ。。」
魔理沙のつぶやきに
「いいえ。倒すというのは適切ではありませんね。
三途の川の底にはその者の魂を喰らうものがあるのです。
ゆえにもし亡くなってここに死者としてくることがあったなら絶対に船から飛び降りてはいけませんよ?
それは実在せず。ただ魂を無に帰す者。」
主たる映姫さんが答える。
ほんとに・・恐ろしいとこなんだよなぁ。。。
「ん?でも、あの悪魔たちに反応するのか?
その・・魂を喰らう怪物?は。」
「あの影が出現するようになってからすぐに浄玻璃の鏡で確認しましたが
なんらかの能力下に存在するためかぼんやりとしか見えませんでしたが罪と過去が
見えました。 つまりあの影は主の罪と過去を引き継いでる。」
・・・正直、さすが映姫さんだわ。
ここまで頭がキレてここでしかできない最適解を早々に出して実行している。。
「さぁ、こちらの状況はこのようなところです。
そちらの状況の説明もお願いします。」
・・・(少年説明中)・・・
「なるほど。 あの影たちの名は忘却の悪魔。
黒霧ソラに、博麗大結界への攻撃ですか・・・とてつもないことになっていますね」
相変わらず魔理沙のやつはぷしゅううううう状態になってしまったが
映姫さんは問題なく理解できたらしい。 ぷしゅううう状態の映姫さんも見たいところだが今はその理解力にただただ助かる限りだ。
「あぁ、だから昔博麗大結界に緩みが生じた場所を回ってるんだ。
たぶん紫のとこの蘭達も回ってるはず。」
「ええ。八雲紫自身は幻と実の境界の維持とバランスの調整で動けない状態
というのは想像に難くない。 となるとやはり迅速に対処せねば。」
そういうと、最後の悪魔をふっとばした小町を呼ぶ映姫さん。
「小町、この方々を無名塚に案内しなさい。
あそこはたしか今でも歪みの起きやすい場所のはずです。」
「はぁ・・はぁ・・っ うぇぇぇ!!!
四季様、さっき最後の奴ふっ飛ばしたばかりで腕が上がらないですよッ!?」
「・・・良いから。 小町、貴女は私の部下でしょう。」
なかなかの凄味を伴っての閻魔様の一言。
これには死神も。
「は・・・はいっ。。行けます! 何度でも何人でも!!」
「・・全く。それで業務終了です。 あとはしばらく休んでなさい。
この件が終わったらしばらく休暇を与えますので。
私は貴女の上司です 貴女の限界くらい解ってるんですよ。
三人送り届けたら本当に限界でしょう。いつも仕事に出し尽くさないので叱りますが
限界を認めず無理をするつもりならいつもの倍説教ですからね。
私の元で働く以上、一切の妥協も一切の無理も禁止です。」
「四季様。。。 ・・小野塚小町行って来ますっ」
ええ。しっかりね。
言葉を交わし俺、祥磨、魔理沙の三人を連れて小町は斧を振った。
「んっ!!!・・・ふうううう。。
すまないね。。。 ちっとだけ距離がズレちまった。」
次の瞬間、そこは無名塚。
小野塚小町 能力は『距離を操る程度の能力』
自身の居る地点と目標地点の距離を自由自在に制御し移動できる。
主に渡し船に乗せた霊の現世での善行に応じて、三途の川の彼岸までの距離を変えることに使用する。 つまり悪行が多ければ長く長く恐ろしい川を渡ることになる。
「いや、この程度なら全然大丈夫だ。 映姫のところに戻ってやってくれ。
よっ・・とこれで帰り分くらいは力が戻ったろ?」
さらっと手を握り、能力発動。
自分の力をわける。
「・・・力が戻った。。これが結を司る程度の能力ってやつかい?
全くすごい通り越してあきれるね・・。」
「あはは・・良く言われるよ。 道中、気をつけてな?」
「ふふ・・道なんて、有って無いようなもんさ。
それじゃあ。。頼んだよ。」
来た時と同じように鎌を振って距離を『刈り取った』かのように消えた。
「行ったな。。ほら、魔理沙ー大丈夫かー?」
祥磨が手を繋いだ先の魔理沙に声をかける。
「う・・ううううううううん。」
金髪魔法使い・・どこのおぜうさまだ。
まだピヨってるみたいだな。
「おーい・・キスしちまうぞー。」
ようやく聴こえたのかハッ!とした魔理沙は。
「っっっ!? な、何を言ってるんだぜ!?
祥磨・・わたっボクと私・・キス・・へっ!?」
別のベクトルでピヨらせたら意味が無いじゃろうが祥磨さんや。。
その気持ちを込めて視線を向けると、めちゃくちゃ良い笑顔の祥磨が居た。
「あははー。 まぁ無理やりはしないからな。」
そう言ってポンポンと頭を撫でる。
あぁ・・・・リア充爆発しろ。
「リア充爆発しろ。」
「聴こえてるからな。さて、魔理沙も帰ってきたし行くk
『ガッぁァァァぁァァァぁァァァぁ!!!!!!』
どうやら、向こうから来たらしいな。」
言うとおり、なかなかゴツイやつが目の前に現れた。
無名塚と彼岸の歪みが合わさってとんでもないエネルギーが取り込まれて
行ってるらしい。
「外見上は、これまで通りだけどなんかまた進化してそうな感じだな。
『ネダマジイ”””!!!!』
っ!? 飛べっ!!!!!」
あいつが殴ったところから俺達の後方。目測100mまで
地割れ、地盤沈下を引き起こした。
「このパワーは妖怪の山での戦闘によって、鬼のパワーもキャパいっぱいまで
学習したらしいな・・ いや、そんなことより。。っ!?」
消えたっ・・・? いや。。
「祥磨! 後ろっ!!!」
「なっ? ぐっ!!!!???」(ズ・・・ガンッッッ!!!!
ギリギリガードしたけど、その上からアームハンマーを喰らった。。
結構な勢いで叩き落とされたけど・・・
「八門遁甲第五杜門 開! はぁぁっ!」
八門遁甲の第五杜門を開門し、全力で右ストレートで吹っ飛ばす。
そして能力で魔理沙を引き寄せて抱え祥磨のところに降りる。
「しょ・・と。 おい大丈夫かよ親友。」
まさか、死んでは居ないと思うが声をかけると。
「おおおお・・痛ったたたたたたた・・・。
双覇・・・あいつやっぱり。。」
割と元気そうだな。
「あぁ。。鬼のパワーと鴉天狗の速度。 殴った時の手ごたえと良い・・
ありゃ特別製だな・・・恐らくはここに満ちてる霊の記憶・・憎しみや怨念に
よって形作られてる。 だから人間みたいに頭を使うことも習得してるぞ・・。」
『オバエルァガ・・ゴンナ姿にシダノガッ!?
ユルザナイ・・・ゴロズッ!!!!!」
しっかりとした発音じゃないけど、聴き取れるレベルで言語も使えるのか。。
相当知能が高い個体ってことみたいだな。。。
さっきも、あたる瞬間後方に跳んで衝撃を受け流してたし。
「わ・・わわわわ来たぜっ。 どうするんだよぅ。。。」
「双覇っ。お前の
投げかけられた問いに残念だが。と返してやる。
「絶対中立は敵意に干渉できるけど、憎悪や殺意みたいな強い意志には干渉できないっ。
それにあれは生物じゃなく死者の怨念。干渉できるのは
閻魔様くらいだよっ! 避けろっ!!」
こんどはカマイタチかっ!!
近づく隙が・・・・・
「第六景門・・開。 ふっ・・んっ・・よっと・・・」
景門でさらに身体能力を向上させる。
何か・・何かないか奴を消滅させる方法・・・いやそれより先に近づかなきゃ。。
「うっぁぁぁぁぁ!!!」
「っ!魔理沙っ!!!! 大丈夫だすぐに治すっ。」
被弾して足に怪我を負った魔理沙を祥磨が助けに入る・・
肉盾にしてる背中は血だらけでズタズタになっていく。
「しょ・・祥磨。。私おばけ・・苦手でごめん・・・っ。。
背中・・・しょう・・まっ!!」
「ぐっ・・ぁっっがっぐ。。 だいっじょうぶだっ! お前のマスパに比べたら。
こんなの石ころと大差ない。・・・よし。。魔理沙もうこれを飲んで。 少ししたら歩けるようになると思うけど
ゆっくりだからな。」
『ゴロズ・・ゴロス・・コロズ・・・スィネェェェェェエエェェ!!
オマエガラダ・・マモッデスィネ・・ガぁァァぁ!!!』
狼天狗の聴覚で聴こえてたのか!?
マズイっ!! あのでかさは。。
「祥磨ぁァァァっ!!!!」
間にあわ・・ッ!? (ゾクッ・・・
「「(ボクの)私の所為で傷つけるのは、もう・・・やだっ!!!!!
全部。全部をここで! (いくよっ)いくぜ!!! 『魔法』
立ち上がった金髪の少女はその両の(掌)から、生あるものの象徴を。
絶大で膨大な生命の奔流を。
いつかのように・・・
今度は愛する人に『見せる』ためにじゃない。
愛する人を『護る』ために。
溢れ出る想いを、生を、自らの全てを注ぎ迫る闇を吹き飛ばした。