インフィニット・ストラトス ~神に抗った少年と少女の物語~   作:ぬっく~

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ダメだぁ……全然伸びない。
どうすれば、いいのだ……。



10話

観客席、待機していた一夏と箒に山田先生、セシリアは春名の放ったスタングレネードの光と音で一時感覚が麻痺っていた。

特に酷かったのは目の前で浴びてしまったセシリアであった。

殆どの人が回復した時、この試合の結果を知った。

 

『勝者・織斑春名』

 

スタングレネードの効果で行動できなかったセシリアを倒す。

訓練機が専用機を倒すと言うこと自体、あり得なかったのだが……あれを見せられては全員がなっとくする。

それと同時に学年主席と言う二つ名をここに来て思い知らされたのだ。

 

「わたくしの負けですわ……」

 

セシリアはこの試合の負けを認める。

 

「また、やりましょう」

 

「ええ。その時はお互い専用機を使った時に」

 

お互いに握手を交わし、戻った。

 

 

    ◇

 

 

「ただいま、戻りました」

 

最初に来た所に戻るとISを纏った一夏とクラスメイトの箒、織斑先生と山田先生が待っていた。

安全を確認してISを降り、山田先生に後を任せる。

 

「まったく、やってくれたもんだ……」

 

帰って来て最初の言葉はこれだった。

それもそのはず、私が使っていたIS・打鉄は限界点にたしていたのだ。

もし、あの時スタングレネードを無効化された上に攻撃を受けていたら、間違いなく私が負けていた。

 

「だが、まあ。よくやった」

 

最後は姉としての言葉だったのだろうか、私を褒めてくれた。

 

「さて、最後はお前だ。織斑」

 

「はい」

 

一夏は気合いの入った返事をして、セシリアの回復が完了と同時にアリーナへと出た。

だが、ここで私はあることに気付く。

先程から私を睨む視線があったのだ。

その者は箒。

私が睨まれる理由は知らない。

 

「何故、私を睨んでいるのですか? 箒さん」

 

「お前は……何者だ」

 

「…………」

 

「初心者のお前があんな芸当ができる訳がない」

 

篠ノ之箒、ISの開発者の妹ある以前に彼女は剣道をしている。

その為、剣の扱いにはなれていたのだ。

しかし、先程の試合を見て、疑問が生まれたのだ。

 

「剣道、剣術の経験のないお前がなぜ、あんな事ができる。もう一度言う。お前は何者だ?」

 

しかし、この質問は答えることが出来ない。

 

「答えたいところですが、それはできません」

 

「何故だ!!」

 

「私には過去の記憶が無いのですよ」

 

それを聞いた箒は一瞬、織斑先生の方に顔を向ける。

私たちの話を聞いていた織斑先生は私が言ったことが本当だと言う事を証言するかのように頷く。

箒はそれを見て、まだ納得出来なかったが、織斑先生の答えが本当である以上、認めるしかなかった。

 

『試合終了。勝者・セシリア・オルコット』

 

アリーナから聞こえたアナウンスは試合終了のブザーだった。

同時に一夏の敗北の知らせでもあった。

 

 

    ◇

 

 

負けた理由は《雪片》による自爆。

追加で言えばセシリアのレーザー群を浴びてしまったこと。

帰り道で一夏を慰めながら帰る事になったのは、言うまでもない。

 

「はぁ~」

 

「また今度、頑張れればいいじゃない」

 

私は一夏の試合を見てはいなかったが、実は私の試合でやったいた技を実戦したらしいが……出来なかったらしい。

 

「あれって結構難しいのだよ?」

 

「実演してみてわかったが、春名はよくできたな……」

 

「う~ん。多分だけど、私の身体が覚えていたのだと思う」

 

「どう言うことだ?」

 

一夏の反対側を歩いていた箒がそのことについて返して来た。

 

「記憶って実の所二つあるだって、一つが人格、もう一つが身体にね」

 

「それって……」

 

「うん。記憶喪失とかになっても、道具が使えると同じ。多分だけど、前の私はISを使っていたんだと思う」

 

「そうなのか」

 

実際に私がすぐに社会に適合できたのはこれが理由でもあった。

しかし、ここで一つの疑問が生まれる。

一夏と箒は気付いてはいないだろうが、ISが使える私が何故専用機をもっていない。

企業所属であれば、すぐに身元が確認が取れるのにそれすらない。

ISが使えるとすれば、あと一つ……裏側だ。

 

(私は裏側の人間なのかもしれないね……)

 

自分の正体を知らない私でも、これは少し恐怖を感じる。

私の手が汚れているかもしれないと……。

 

 

    ◇

 

 

一夏と箒を見送った後、自室に戻ると楯無が待ち構えていた。

いつも通り、裏の顔を全開にて私を睨んでいる。

 

「言いたいことはわかっていますけど、流石にやめてもらえませんか? メンタル面で結構きついのですよ?」

 

「貴女の正体が解るまでやめるつもりはないわ」

 

「はぁ~」

 

ここまで警戒されてしまった以上、もう無理だったことを私は理解する。

そんなこんながある中を私は寝ることにした。

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