インフィニット・ストラトス ~神に抗った少年と少女の物語~ 作:ぬっく~
そして、春名の様子が!?
鈴の転入から数日が過ぎた頃だった。
一夏の対抗戦に備えて、セシリアと箒が付添で訓練に励んでいたが……
「死ぬ! 死ぬ! 死ぬ!!」
「逃げるなぁ!!」
「お行きなさい!!」
二体一とスパルタ訓練が繰り広げられていたのだ。
専用機を纏ったセシリアと訓練機である打鉄を纏った箒が逃げ回る一夏を追いかけると言う何とも言えない光景に私はため息を吐く。
「ぎゃあああ!!」
その日は逃げることしか出来ず、貴重な訓練を無駄にするのだった。
◇
放課後のアリーナを後にし、寮に戻るが珍しく楯無の姿が無った。
まあ、その方が私的にはよかったので、久々にゆっくり寝ることが出来る。
“織斑一夏■■■■!!”
「っ!?」
私の中にある何かが伝えてくるが、解らない。
「織斑一夏……」
私の兄に何か関係のあるのだろう。
けれど、解らない。
「今日は早く寝よ……」
寝る準備をさっさと済ませ、私はベットに潜り込んだ。
一方、一夏の部屋では鈴と箒が部屋を交換しようと言い出し、鈴を怒らせていたことは知る由も無かった。
(私は何者なんだろう……)
その疑問は解消されることは無かった。
◇
「今年の対抗戦の目玉は断然、織斑一夏くん!」
「彼の試合を観たいと生徒は数多……」
「けれど客席は試合前予約で既に満員状態」
アリーナの影で二人の生徒が見るに怪しい話をしていた。
「そーこーで! 何人かの生徒から座席券を買い上げたってわけよ」
「ふむ」
「後はこれを、希望者に一万程で売りつける……どう?」
「美味しい話ですなぁ……」
そんな話をしている生徒の後ろから悪魔が近づいていることに知らず……
「ほう……その話」
気付いた時には遅かった。
生徒はブリキ音を立てながら後ろを向く。
「私にも是非、聞かせてほしいものだ」
悪魔……もとい、織斑千冬がいたのだ。
その後、悲鳴が響き渡ったことは言うまでもなかった。
◇
「あっ、いたいたー! 織斑せーんせ! 聞きましたよ~」
「……職員室に何の用か? 黛」
「じゃーん! 対抗戦の取材許可を貰いに来たんです!」
黛は織斑先生に取材許可書を渡す。
「ってそれより織斑先生に聞きたい事が……。試合前予約で客席が取れなかった人に座席券を売ろうとした輩がいるらしいじゃないですか。噂によると首謀者達は織斑先生に制裁を下されたとか……。彼女達は何日も部屋から出ず、おもけに部屋からはうなされるような声が聞こえるとか……。一体何をしたんですか~?」
「人聞きの悪い事を言うな。厳重注意をしただけだ」
その答えに山田先生は苦笑いをする。
「そんなくだらない事を聞きに来たのか?」
「ああ、いえ。それも質問の一つではあるんですが、今年の対抗戦は例年にない目玉がありますから、新聞部も大々的に特集してるんです。それで試合直前の号に織斑先生のインタビューを載せたいと……」
「……目玉……か……」
織斑先生はため息を吐く。
「何も面白い事は言えないぞ」
「何でもいいんですって! 教師にして実の姉! 絶対読者は期待してるんですから~!」
「そうだな……アレは女子のようにISの教育を受けていない。ほんの数か月ISに触れただけ……。そんな人間が果たしてどこまで戦えるのか、興味深いところではあるな」
「ふむふむ、なる程。で?」
「“で”?」
黛の最後の言葉が解らなかった織斑先生は聞き返してしまう。
「いや……だからですねぇ。アイツならきっとやれる! とか、怪我しないか心配だなぁ……とか姉目線の意見ですよ!」
「あ……それは私もちょっと気になります」
「でしょー! 姉弟の微笑ましいエピソードを一つ……」
織斑先生には何故か弟に関しては結構敏感であることを彼女らは知らない。
「どうやら二人とも、私に厳重注意されたいようだな……」
「い……いいえ!!」
「めめめ滅相もありません!!」
「まったく……黛! 用が済んだなら教室に帰れ」
「ああ、待ってください~! あと一つ」
黛は最後の質問を聞く。
「凰さんも一夏さんの幼馴染なんですよね? 昔から知っている子が相手と言う事で、何か思うところがあれば……」
「ああ、そうだな……。よくもこう懐かしい顔が集まったものだ。凰 鈴音……それに、篠ノ之………………」
「「織斑先生?」」
「いや……少し昔の事を思い出しただけだ……」
◇
そして、その時が来た。
対抗戦の一試合目から注目の集まる試合、その上相手は一組の織斑 一夏と二組の凰 鈴音でもあった為、さらに盛り上がっていた。
「はる~はピットの方に行かなくてもいいの?」
「今日はここがいいの」
クラスメイトののほほさんに心配されるが、私は素直に答える。
その隣にはあの子もいた。
「簪さんは次の試合だったね」
「うん……」
あれから、あんまり会っていなかったが……元気な顔を見れてよかったと私はここの奥で微笑む。
そして、多くの観客が見る中、試合の合図が鳴った。
『それでは両者……試合開始!!』
合図と同時に最初に仕掛けたのは鈴だった。
鈴の機体はいかにも中国と思わせる機体で主力武器と思わせる剣は大きな青龍刀が二本。
しかも、それは連結可能と結構厄介な武器であることは間違いない。
「結構やるわね……」
「中国のISは燃費と安定性を第一に設計されているからね~」
「確かに……対する一夏の場合」
「速攻決着型だから、最初に仕掛けられなかったのが痛い……」
のほほさんと簪共にこの試合を細かく分析し、お互いに意見を交わす。
そして、ちょうどその時、中国の第三世代装備を目の当たりにする。
「? 今のって……」
「おりむ~が何かに飛ばされたね」
「多分あれが……」
音も無く、鈴の手には青龍刀があるだけ、となると……
「あの肩の上で飛んでいるあれか」
それが一夏を飛ばした正体だと気付いた頃には、鈴の猛攻が始まっていた。
「なる程……空間自体に圧力をかけ砲身を作り、衝撃を砲弾として打ち出す衝撃砲なのね」
「リンリン、すごーい!!」
「これ……彼に厳しいんじゃない?」
確かに砲弾が見えない以上、かわすのは難しいだろう。
しかし、第三世代は搭乗者のイメージ・インターフェイスを用いた特殊兵器の搭載を目標している。
つまり、あの衝撃砲を打つ装備は目線先しか打てない。
「だけど、大丈夫。一夏は何かを隠している」
「?」
簪はそのことに聞くもよく分かっていなかったようだ。
お互いが再びぶつかり合う瞬間、アリーナの遮断シールドを破り、何かが入って来る。
「何……?」
多くの生徒が思っただろう。
しかし、次の瞬間、私たちは閉じ込められ、アリーナ側は防御壁が下りてしまう。
「何!? 何なのよ!!」
突如起こった事態にパニックなる生徒が多発し、多くの生徒が出入口付近に集まっていた。
私とのほほさん、簪を除いて。
「ッ!?」
「ど、ど、どうしたの?」
「頭が……ッ!!?」
のほほさんに心配されるが、私の頭痛が酷くなる一方だった。
さらに私の中で何かが鼓動を打っていた。
◇
私の中で何かが鼓動を打つ。
あれを見た時から私の中で何かが反応している。
「あ……あ……あ……!!」
身体が熱い。
煮えたぎるよに熱い。
「倒さなきゃ……」
“どうやって?”
黒いISが目の前にある。
「倒さなきゃ……」
“どうやって?”
私の
「倒さなきゃ……」
“どうやって?”
私は人形……
「倒さなきゃ」
その時、私の中に掛けられていた鍵が砕け散った。
「
私はISを展開した。
黒い装甲、紅いラインの入った全身装甲を。