インフィニット・ストラトス ~神に抗った少年と少女の物語~ 作:ぬっく~
「山田先生が元代表候補生!?」
「うっそぉ……」
「もしかして山田先生ってすごい人……?」
いつもの山田先生から想像できない事に生徒たちは再び驚く。
「え~と、織斑先生。私の相手は山田先生と言う事でよろしいんでしょうか?」
千冬姉さんは私の質問に頷く。
「では、はじめ!」
号令と同時に私は飛翔する。それを目で一度確認してから、山田先生も空中へと躍り出した。
「参ります!」
「い、行きます!」
言葉こそはいつもの山田先生だったが、その目はさっき程と同じく鋭く冷静なものへと変わっている。先制攻撃をしたのは私だったが、それを簡単に回避された。
「さて、今の内に……デュノア! 山田先生が使っているISについて説明してみろ」
「あ……はい!」
空中での戦闘を見ながら、シャルルがしっかりとした声で説明を始める。
「あのISはデュノア社製……『ラファール・リヴァイヴ』です。第二世代最後期の機体ですが、第三世代にも劣らない安定性と汎用性、豊富な後付武装が特徴です。現在配置されている量産型の中では世界第三位のシェアを持ち……七ヵ国でライセンス生産。十二ヵ国で正式採用されています。特筆すべきは操縦の簡易性で……それによって操縦者を選ばないことと
「よし……説明はそこまでで十分だ。そろそろ決着がつくぞ」
シャルルの説明に聞き入っていた女子たちは、戦闘がどうなっているのかを完全に忘れていた。
改めて見ると、春名のブレードをガードと同時に弾き飛ばし、そのままアサルトライフルを捻じ込む。
(負ける……)
その時、春名の中で何かが鼓動を打つ。
「!!」
山田先生が引き金を引くと瞬間、春名は山田先生の射撃を回避したのだ。
そして、一本の白いブレードを展開し斬りかかるが、山田先生はもう片方にあった銃でそれを防ぐ。
山田先生は一旦距離を取るが、それは悪手だと後で気付かされた。
「
詠唱を終えると春名の機体と身体が発光する。
それは織斑先生の予想を遥かに超える展開でもあった。先程の射撃を受けて、この試合は山田先生が勝つはずだったのだが、春名はそれを回避する。その上、よくわからない現象が起こった事によりこの試合は未知へと変わった。
「っ!?」
それは一瞬の出来事だった。
春名は一瞬にして山田先生の後ろへと移動し、手元のブレードを斬り上げる。
その行動に気付いた山田先生はアサルトライフルを楯に空いた方の手にマシンガンを呼び出す。
欠かさず、山田先生が反撃に入るが……
「え!? うそですよね!?」
アサルトライフルとマシンガンの同時射撃を春名は一本のブレードで防ぐ。
否、何発かは機体に当たっているのを確認していたのだが、それら全てが
その後の展開は山田先生は春名の猛攻に耐え切れず地面へと落下した。
「これは、予想外だったな……」
「ほ、本当ですよ~……」
辛うじて生きていた山田先生は落ちて来た場所から自力で上がってくる。
春名は試合が終わると同時に発光していた身体が元に戻る。
「さて……これで諸君にも教員の実力が理解できただろう。以降は敬意をもって接するように」
ぱんぱんと手を叩いて織斑先生は皆の意識を切り替える。
「この後は八人ずつのグループで実習を行う。グループリーダーは専用機持ちが行うこと」
織斑先生が言い終わるや否や、一夏とシャルルに一気に二クラス分の女子が詰め寄って来る。
『織斑君、(デュノア君、)よろしくお願いしまーす!!』
「この馬鹿どもが……。出席番号順に分かれろ!!」
鶴の一声というやつだろうか。それまでわらわらとアリのように群がっていた女子たちは、蜘蛛の子を散らすがごとく移動して、それぞれの専用機持ちグループは二分とかからず出来上がった。
そんな中、春名は先程の事を思いかいしていた。
山田先生との模擬戦、負けると分かった瞬間、私の中で何かが鼓動を打った。その後は、うろ覚えだが山田先生を圧倒し勝った。
(これが、エイヴィヒカイトの力なのかな……)
今は授業の方を優先し、放課後にでもこの機体を調べる事にした。
◇
昼休みは購買で軽く買って教室で食べることにした。
その前に一夏から屋上で食べないかと誘われたが、このISについて調べたいからと理由を言ってその誘いを断った。
「……分からない」
ハッキリ言ってこの『エイヴィヒカイト』は色々とおかしい。
世代は不明、出力系統のデータも表示されず、唯一表示されたのは名前と武装、各装甲のダメージレベルのみと一般的なISとは全く違っていたのだ。
「制作者すら分からないとなると、これは……」
自分の記憶の手がかりになると思ったのだが、外れてしまったのが一番のショックでもある。
しかもあの後、千冬姉さんから人気のない場所で『エイヴィヒカイト』の事について聞かされた。
(私自身がISだったなんてね……)
予想外の真実に私自身も驚いていた。
その時外が騒がしい事に気付くと、そちらの方へと視線を向ける。
そこにいたのは、あの人だった。
「やあ!」
「……何の用ですか? 楯無さん」
かの生徒会長が私のいる一年一組の教室に足を運んで来たのだ。よっぽどのことがあるのだろう。
そう思っていると楯無はある物を私の前に置いた。
「……果たし状?」
「そう。その意味がわかるよね?」
何時しか話ことを思い出した。
たぶん、私が専用機を持ったことが関係あるのだろう。
「楽しみに待っているよ♪」
そう言って、楯無はこの教室から出て行く。
「面倒事が増えた……」
更なる予想外の展開に私は肩を落とすしかなかった。