インフィニット・ストラトス ~神に抗った少年と少女の物語~ 作:ぬっく~
水樹奈々さん出ていたんだ……
「それでは、この時間は実戦で使用する各種装備の特性について説明を……」
織斑先生が教壇に立ち、授業を始める。
「ああ、その前に、再来週のクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」
ざっくり言えばクラス委員長を決めようととのこと。
「自薦他薦は問わない。ちなみに他薦されたものに拒否権などない。選ばれた以上は覚悟しろよ」
と言いつつ、この推薦の犠牲者はあらかた決まってた。
「はーい!! 織斑君がいいと思います!」
「私もそれがいいとおもいます」
そう。
私の兄、織斑一夏がこの推薦で選ばれる確率が高いのだ。
しかし、このクラスの中にはそれに納得しない者もいる。
「納得できませんわ!!」
突如、後方から怒鳴り声が聞こえる。
振り返ると金髪の少女が立っていた。
「そのような選出は認められません! 大体、男がクラス代表なんていい恥さらしですわ! この学年次席であるセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえと仰るのですか?」
ISの登場により男女の立場が逆転した。
優遇どころか、もはや女=偉いの構図が最も分かりやすい。
それがこのクラス、私の後ろで威張っている現代女子がそこにいた。
「いいですか!? クラス代表は実力トップがなるべき。それはわたくしですわ!」
とまあ、私にとしてはどうでもいいのだが、そう簡単には収まりそうにないだろう。
「何せわたくし、入試で教官を倒した者の一人ですから」
ほうほう。
いい度胸ですね。
「織斑先生。このクラスで教官を倒した生徒は何人いますか?」
「ん? 3人だ。それ以前に出来た者も3人しかいない」
『え!?』
クラスに居た全員が驚く。
「それは誰なんですか!?」
どうやら、セシリアはこのクラスでただ一人しかいないと思っていたらしく、喰いかかった。
「目の前にいるだろう。なあ、織斑兄妹」
織斑先生の一言に全員が驚いた。
「追加で言えば、私が主席です」
さらなる追い打ちにセシリアは言葉を失った。
上には上がいる。
それを実感してしまったのだ。
「っ!! 決闘ですわ」
セシリアは痺れを切らせ、私たちに決闘を申し込む。
「いいでしょう。その勝負、受けましょう」
私の背後では織斑先生が笑っているだろう。
ここまで、予想通りに進んだことに。
「勝負は一週間後の月曜日。放課後、第三アリーナにて織斑兄妹とオルコットの両者3名で行う。それぞれ用意しておくように」
「え? なぜ俺もなんですか?」
「推薦されたかに決まっているだろ」
それを聞いた一夏はorz状態になった。
◇
セシリアとの決闘が決まり、私は今第三アリーナに来ていた。
そこで私はある物を眺めていた。
「こっちが打鉄でこれがラファールか……」
整備室にあるISを私は見に来ていたのだ。
ISを借りるのに一週間以上かかると分かってしまった以上、それ以外で準備を整えることになる。
その為、私は現地視察に来たのだ。
「ん?」
並べられているISを一つ一つ確認していた時、一番奥にあったISに目が止まった。
足元にはいくつもの書類と機材が散らばっており。
どう見ても先程まで、そこに誰かがいた痕跡が残っていた。
「整備? いや違う。これは……作成?」
書類を確認するとISの基礎構造から何かも書かれており、すぐに作成していることが分かった。
しかし、ここで疑問が生まれる。
「IS制作にしても人がいない……」
機材と工具はある。
しかし、肝心の制作者たちがいないのだ。
「まだ温かい……だけど、これは……」
どうやら、このISを一人で作っていたことが分かった。
それは、無謀なことだと言うことをその者は知らない訳がない。
「……そこに居るんでしょ?」
「っ!?」
物影に隠れていた少女は、私に言い当てられたことに驚く。
すぐには出てこなかったが、彼女は私の前に出て来た。
「随分と無謀なことをやるのね」
「…………」
だけど、彼女はだんまり。
顔の表情を見る限り図星だったようだが、それでもこれを一人で完成させようとしたのだ。
「そう言えば、まだ名乗っていなかったね。私は織斑春名よ」
「更識……簪」
「簪ちゃんね」
今でも物影に隠れてしまうぐらいに、おどおどさせていた。
「ねえ、これさあ……私も手伝ってもいい?」
「っ……!」
簪ちゃんはそれを聞いて驚くが……。
「いい……。私が一人で、作る……」
あっさりと断ったのだ。
「どうして?」
「……お姉ちゃんは一人で完成させた。だから……」
「だから、私もそれぐらいできないといけない」
「…………」
簪ちゃんは頷く。
「それは間違いだよ。お姉ちゃんはお姉ちゃん、簪ちゃんは簪ちゃんなんだから、お姉ちゃんの真似をする意味がないよ」
「っ……!」
「私も超人的って中学の時言われたけど、英語だけはダメダメだったんだから。人はそれぞれ個性があるの。お姉ちゃんが出来たから私も出来るとは限らないんだよ」
「それでも……」
「追い付きたいと考えているけど、追い付いたらどうするの?」
「それは……」
「また引き離されての繰り返しになるだけよ」
私は簪ちゃんに近づき、その両手を掴んだ。
「だから、私が導いてあげる」
「え……」
「追い付くじゃなく、追い抜こうよ」
「……うん」
簪ちゃんは恥ずかしながら頷く。
それから私たちは簪ちゃんの専用機、打鉄弐式の完成に全力を注ぐ。
この後、痴女に出会うまで……。