インフィニット・ストラトス ~神に抗った少年と少女の物語~   作:ぬっく~

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そろそろ、セシリア戦に入りたいな……


7話

ガチャ。私は疲れた身体を引きずりながら、指定された自室のドアを開けた。

 

「お帰りなさいませ、ご主人様。ご飯にします? お風呂にします? それとも……」

 

―――バタン。ドアを閉じて一秒、状況を整理する。

 

「…………」

 

現在地、一年寮。私の部屋の前。

表札に織斑の字を確認。……うん、間違っていない。間違っていないはず。

 

(さっきのは夢か幻でしょう。いくらなんでも裸エプロンの痴女が私の部屋に待っている訳がない)

 

そう思いながら、再度ドアを開ける。

 

「お帰りさいませ、ご主人様。私にします? 私にします? それとも……」

 

「選択肢がない!」

 

「あるわよ。一択なだけで」

 

私の部屋で待ち構えていたのは裸エプロンの痴女だった。

しかし、この人の髪色は何処かで見たことがある。

 

「で? あなたは誰ですか?」

 

「ん? 私はこの学園の生徒会長よ」

 

夜だからいいけど、こんなのが生徒会長でいいの?

明らかに不味い姿に私は頭を抱える。

 

「目的はなんですか?」

 

「貴女の監視よ……春名ちゃん」

 

「私の?」

 

「そうよ。学園初の天才と呼ばれた貴女の監視よ。全教科合わせて462点と高得点取り、IS適正A+の上、教員を倒す程の実力を持った貴女を監視されない理由はないわ。それ以前に貴女の失われた経歴で重要人物に指定されているのよ」

 

「…………」

 

私の過去を知っている人物は誰もいない。

記憶喪失であることを知っているのは千冬姉さんと一夏を除けば一部の人間しか知らない。

となると……

 

「貴女は裏の人ですか……」

 

「ええ、改めて名乗りましょう。更識家17代目当主、更識楯無よ」

 

何処から取り出したのか手元には扇子が握られており、そこには『暗部』と書かれていた。

 

「つまり、私は超危険人物と言う事で自分の目の届く場所に置いておきたいと言う訳ですか」

 

「ええ、そうよ。私はこの学園の長として、生徒を守る義務があるわ」

 

ここまで警戒されてしまっているのは予想外だった。

しかし、それ以上に何かの怒りを感じる。

 

「それと……」

 

その正体をこの後、私は知る。

 

「これ以上、簪ちゃんには近づかないで」

 

更識と言う言葉で大方予想していたが、どうやら当たっていたらしい。

 

「やはり、姉妹でしたか」

 

「そうよ、簪ちゃんは私の妹よ」

 

確かに髪色を除けば、僅かだが似ている。

 

「それは、あの子が決めることです。楯無さんが差し伸べなかった手を私がやっただけですから」

 

「っ!」

 

「大方、あの子に“もう何もしなくていい”、“無能のままでいなさい”とか言ったのでしょうけど」

 

「……貴女にあの子の何が解るのよ!」

 

「今ここではっきり言わせてもらいます……貴女は愚か者です」

 

私には差し伸べてくれる手などなく、織斑家に差し伸べられた手を私は取った。

簪ちゃんは差し伸べてくれる手があったのに取ってくれなかった。

 

「人は一人では生きられない。それを貴女はあの子にやってしまった。あの子だって差し伸べて欲しかった。それを貴女は見捨てた。そんな貴女が姉を名乗るのはいいのでしょうか?」

 

「貴女に……」

 

「あの子の未来はあの子だけのもの。それが私のもっとうなので、私は導くだけです。あの子が暗部に関わる関わらないはあの子が決めることです。それだけは覚えててください」

 

「っ……」

 

それ言い残して、私は部屋を出た。

 

 

 

    ◇

 

 

更識と口論のち、私は屋上に来ていた。

空には星と月が出ており、輝いていた。

 

「この空の先に行きたい……それがISに込められた願い」

 

本当の願いからかけ離れてしまったISは未だに輝き続けている。

何時しかそうなってほしいと。

 

「そうだ。アイツはそう願って作ったが……そううまくいく訳がなかった」

 

背後から返って来た答えに私は黙る。

 

「織斑先生はこの世界はどう思いますか?」

 

「……つまらないな」

 

返って来た答えには私は黙る。

 

「だが、それがまた面白い」

 

「?」

 

その後の答えに私は疑問を抱いた。

 

「まあ、その内お前にも分かる時が来るさ」

 

「そうだと、いいんですけど……」

 

夜風になびかれた髪をまとめ振り返る。

 

「今日は織斑先生の所に泊まってもいいですか?」

 

「なんだ、更識と喧嘩でもしたのか」

 

「まあ、そうなところです」

 

「ふ。ほらよ」

 

そう言って、織斑先生は鍵を投げる。

 

「私はまだ仕事が残っているから先に行っていろ」

 

「では、お休みなさい。千冬姉さん」

 

「ああ、お休み。春名」

 

別れの挨拶を交わして私たちは屋上を後にした。

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