夕時(ゆうぐれ)どきの海    作:マキシマ

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夕時(ゆうぐれ)どきの海 下

夕立似の深海凄艦が現れてからというものの遠征艦隊など出撃すると夕立似の深海凄艦率いる艦隊が現れてはこちらを攻撃を仕掛けられるようになった...

 

だが不思議なことに中破以上にみんなが傷つけられることはなかった。しかし、遠征、出撃を妨げれ必ず失敗して帰投することが続いている。

そのせいで我が鹿屋基地は少しづつではあるが資源が少なくなってきた。

 

この状況から俺は近くの基地や鎮守府に資源を分けてもらおうと連絡を入れて、それを了承してくれたのだが、鹿屋基地に来る途中にまた夕立似の艦隊に攻撃され輸送艦隊の物資が乗っている船が襲われまた護衛艦隊も壊滅的打撃を受け帰投してしまう...

 

またここでも不思議なことがある。

 

 

それは誰ひとりとして轟沈の被害が出ていないという事なのだ。

 

どういう意図があるのか分からない。もしかするとあの夕立似の深海凄艦のどこかにまだ俺たちの知っている夕立の『心』、『気持ち』が残っているのか...

いや、たぶん残っているはずだ、なぜならあの深海凄艦は俺や時雨のことを知っていた。

否、知っているどころかあれは俺の知っている夕立そのものだ...

 

もし、元に戻せるのなら戻ってほしいものだが

 

戻すちいっても方法は全くと言っていいほど見当もつかない、過去にそんな例もない。

もしなにかのきっかけで俺たちの知っている夕立に戻るかもしれないしな...

 

さて、これから俺はあるところに向かわないといけない、というよりも向かっているのだった。

その場所は...

 

「おーい時雨、俺がいなくて寂しかったかぁ?」

 

そう、以前夕立似の深海凄艦にやられ大けがをした時雨だったが、医療ドックにすぐに運んだかいがあって今では普通に過ごせる状態まで回復したのだった。

今はまだ安全のためにベッドで寝ているがもうすぐ退院できるって医療妖精さんが言ってたしな

しかし、木漏れ日が差し込む病室で窓から風が入ってきて時雨の姿...良い物だな。

 

「提督よさないか?いちようここは病院みたいなものなんだよ?あまりうるさくしないでね」

 

「はいよ」

 

「うん、よろしい♪」

 

「そうだ、時雨に差し入れを持ってきたぞぉ」

 

「ん、なんだい?」

 

中身が気になるのか、時雨の耳のように見えるくせっ毛がぴくぴく動いている、本当に髪の毛なんだよな?

 

「気になるのかぁ?中身は間宮さん特製のお菓子だよ、俺が間宮さんに頼んで作ってもらったんだ」

 

「うわぁ、間宮さんのお菓子なんて久しぶりだなぁ、食べてもいいかい?」

 

「もちろんだとも、食べるためのお菓子だぞ?遠慮はするなよ」

 

「うん、ほど良い甘さ、やさしい味わい、これを昔から夕立と食べていたんだよね、懐かしい思い出だよ」

 

寂しい気持ちが顔に出ているのが見ているだけでよくわかる...

だけど、ここであえて聞いてみようと思う。

 

「時雨...あの時見た夕立似の深海凄艦をどう思う?」

 

「どう思うって言われても......うん、あれは紛れもない僕たちが知っている夕立だよ」

 

「時雨がそういうなら間違いないと思う、もしあの夕立が俺たちに接触したことになんだかの意味があるなんだ」

 

「それはどういうことだい?」

 

「ええとだな、最近になって遠征や出撃すると毎回と言っていいほど夕立似の深海凄艦群に襲われ失敗して今やこの基地の資材が少しづつではあるけど確実に消耗してきているんだ」

 

「うん、でもそれとさっき言ったこととどうつながるんだい?」

 

「ここからが少し不思議なことにだな、誰ひとりとして大破以上の被害が出ていないんだ。

 普通の深海凄艦なら航行が不能になったら確実に沈めに来るだろう?だけど大破させるとそれ以上の攻撃、追撃をしてこないんだ」

 

「それは確かに変だね」

 

「だろ、ってことはあの夕立似の深海凄艦はまだ完全に深海凄艦になっていなくて、夕立自身の心がまだ残っているんじゃないかって思うんだ。

 だから深海側の提督の命令で通商破壊をしているが、夕立自身はまだ完全な深海凄艦になったわけじゃなく、遊び感覚で動いているんじゃないかな?だから沈めようとはしないんじゃないか?」

 

「その可能性は十分にあると思うよ。夕立が心を失っていないのなら話してみてこっちに戻ってくるよう説得してみるのはどうかな?」

 

「それも考えたけど、やはり危険すぎる。確信がないとそういう直接説得みたいなのは避けるのが一番だと思うな」

 

「そうだよね」

 

「なぁに慌てることはないさ、どうせ出撃とかすれば向こうから出てきてくれるんだ、だったら今は...」

 

そういって俺は時雨の手を握った。

 

「ん?どこへ行くんだい?」

 

「時雨もずぅぅっとこんなところにいたら暇だろ?なぁに散歩だよ散歩♪」

 

こうして時雨と2人で手を握って歩く久々だなぁ。時雨もまんざらじゃなさそうだし

このままこうして2人で平和なところで暮らしたいものだ。

 

 

 

僕はこのまま提督と居ていいのかな?あの時の夕立は恨み、妬みさえ感じ取れた...

やっぱり恨んでいるのかな?僕は幸せになってもいいのかな?

夕立も提督が幸せにしてくれるはずだった...仲良くいられるはずだった...

今じゃ敵同士になってしまったけれど夕立はまだ心まで失ったわけじゃないんだろう?

だったら昔みたいに一緒に暮らそうよ...

お願いだから...

 

 

2人は違うことを思いつつも平和で幸せな世界になる夢は同じなのだ。

季節は夏から秋に変わりつつある。昼過ぎから話し、散歩をするうちに夕方になっていた。

この季節の風はぬるいがどこか涼しさを感じられるそんな気にさせてくれる何とも言えない温度。そして切なさも同時に味わうヒグラシの鳴き声。

この鳴き声で2人は言葉にはしないが夕立を思うのであった......

 

 

 

 

時間は一週間ほどたったある日、ついに鎮守府から命令が鹿屋基地に電文によって伝えられるのだった

 

『鹿屋基地近海ニ出没並びに周辺鎮守府、基地ニ害ヲ及ぼす敵新深海凄艦ヲ撃滅セヨ』

 

「.........はぁ、これ明らかに夕立似の深海凄艦のことだよなぁ」

 

「ついに上もしびれをきらせたって感じかな?どうする?」

 

「どうするもなにもこれ命令だから逆らえないでしょ?でもアイツとは戦いたくないな、時雨だってそうだろ?」

 

「出来ることなら僕だって戦いたくはないさ、だけどこのままこの件を放置することなんかできないし、この問題は僕たち、鹿屋基地で処理しないといけないと思うんだ」

 

「時雨の言う通りなんだけどな、まぁ俺にも考えがないわけじゃないんだが...」

 

「‼‼」

 

「まぁ驚くだろうな、だけどこれは外に漏らすわけには絶対にいかないんだ」

 

「僕にも教えてはくれないのかい?」

 

「そんなはずないだろ?時雨は俺の大事な秘書艦でもあるし今じゃ大事な人だよ、そんなひどいことをするわけないよ、

 でだ、俺が考えた作戦っていうか考えはこうだ。

 まず命令通りに夕立とは戦うそして...」

 

「まってよ‼夕立とは戦いたくはないってさっき言ったばかりじゃないか」

 

「まぁ待てそうあわてるな、確かに戦いたくはないとは思うが命令に従う、だが撃破轟沈はさせない。大破させ、敵の動きが鈍くなったところを捕縛する、そして鹿屋基地に連れて帰る。

 上には撃破したと報告なりなんでもすればいい」

 

「捕縛って言ってもあの夕立似の深海凄艦はとてもじゃないくらい強いのはしっているだろう?しかもこちらから反抗すると知られれば向こうもそれなりの備えはしてくるはずだよ。

 情報によれば夕立似の深海凄艦の装備は駆逐艦とは思えない装備だそうだよ。そんな相手に太刀打ちできるのかい?」

 

「夕立似の深海凄艦の相手をしてもらうのは時雨、君に頼みたいと思っている」

 

「それはいったいどうしてだい?」

 

「あの夕立似は俺たちの前に現れた、そして会話もできた。だがそれ以上に時雨には嫉妬のような感情を俺は感じていたんだ。それは逆に時雨と話せば何かが起きるんじゃないかと俺は思っている。

 どうだ、やってくれるか?」

 

「もし僕がそれに失敗した場合は?」

 

「さっき言ったとおり大破させ捕縛させる。そのために今回は我が鹿屋基地の主力メンバーで出撃してもらう。そのなかには時雨、君が一番重要だと思っている、この作戦で時雨には少しばかり荷が重いことをさせてしまうと思うが、許してくれ...」

 

「僕のことは気にしないでおくれ、だけどあの夕立似の深海凄艦にどう話せばいいのかな」

 

「ふっ」

 

「なぜ笑ったんだい?提督?そこ笑うとこかな」

 

「いや、そんなに考えることかなって思ってさ」

 

「だって話が通じるか分からないんだよ?」

 

「それはないね、大丈夫、時雨は今まで通り夕立に接してたころのように話せばいいんだ」

 

「ほんとうにそんな感じで大丈夫かな、僕すこしばかり不安になってきたよ...」

 

「大丈夫さ、俺だって話せたんだ、だったら時雨も俺以上に話せるだろ?俺なんかよりずっと付き合いは長いはずだろ、夕立をもとに戻せるのは時雨だけだと俺は思ってるし、時雨を信頼しているよ」

 

「.........」

 

時雨は考えるように黙り込んだ。やっぱもう少しこのことを早く時雨と考えるべきだったかな、こうなることは簡単に想像できたことだし。

そして時雨は口を開いた

 

「僕も自分なりに考えたけど、提督、これは出来ることか分からないんだけど、君も今回来てくれないかな?」

 

「え、俺も?」

 

「うん」

 

「いや、無理無理!俺海泳げないし、そこまで行く前にお終いだと思うんだが...」

 

「だけど提督も一緒に話したほうが夕立の心にも響くと思うんだ。無理は承知で言ったんだ、僕たちも出来る限り提督を守りながら航行しようと思う」

 

「俺はかなずちだぞ!俺が乗る船がやられたら時雨が俺のことを助けてくれるっていうなら俺も行こうと思う」

 

「ようし!そうと決まればこれからみんなで作戦会議だよ!さぁみんなところへ行こう提督♪」

 

「待て時雨!そう手を引っ張るんじゃない...って聞いてるのかー!」

 

そのときの時雨は飼い主を引きずり回す犬のように見えていたのは俺だけだろうか?

まぁいい、その後作戦計画は決まり出撃は二日後の明朝となった。

 

待ってろよ夕立、今度はお前を裏切るようなことは絶対にしないからな!

 

 

 

                                   続きます

 

 

 

 





報告です、最初は三部構成を予定しておりましたが、四部~五部構成ほどになり、その後続きのストーリを展開させようと思っております。
また、その後の展開は現在骨組みのようにばらばらの状態で頭の中にあるだけなので、唐突に違う方向になる可能性があります。その場合ご了承ください


話は変わりますが、
夏コミでいろいろな艦これ同人誌を購入してきてとても満足な私です!特に時雨&夕立系を買ってきました(´艸`*)
これからのssにも参考になるようなものもあってよかったと思っていますが、それ以上にムフフッってなっています♪

では近日中にまたあげたいと思っていますので、読んでくれている方初めて方も長い付き合いのほどよろしくお願いします!

マキシマ
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