Doctor Who Who is this girl? 作:ストロマトライト
再び投稿が一ヶ月ぶりになってしまいました。
嘆きの天使編、今回がラストです。
ドクター、司、ユーリが現在置かれている状況は、はっきり言ってかなり劣勢であった。
「よし。順調に天使たちがついてきてる。このまま上手く行けば……」
「良くないって! さっきより天使と俺たちの距離は縮まってるぞ!」
司の言う通り、天使を誘導させ始めた時よりは確実に天使たちは近づいていた。
今のところまだ追いつかれてはいないが、そうなるのも時間の問題だろう。
「議事堂まであと600メートルってとこだ。正面から行けば早いが、どうするドクター?」
ユーリの問いにドクターは首を振る。
「いや。それはダメだ。正面は戦闘が激しすぎるよ。煙のせいで天使が見えなくなる」
目標の議事堂に近づくにつれて砲撃や銃声が激しく響く。今まさに、ソ連軍が最後の猛攻に出ているのだ。
だがそんなことは三人には関係ない。とにかく目の前にいる天使を誘導する、それだけに集中しなければならない。
そんな時だった。
「……何か、聞き覚えのある音がする」
そう言って空を見たのは司だ。煤で汚れた灰色の空。その空に、轟音を立ててこちらへ向かってくる黒い粒のようなもの。
「司、どうしたの!? 上に何が?」
一人天使を見る人間が減った分、ドクターは上空が気になるものの天使の軍団を見続けていた。
ユーリも同じく天使を見ているが彼はさすが軍人、音だけで迫ってくるものに察しがつく。
「おい、ドクター。こりゃあ少しマズイぞ」
「マズイって? 大量の嘆きの天使に追われるよりマズイことが……」
そこまで言ったところで、ドクターも気づいた。
砲撃の音に混じって近づいてくる航空機のエンジンの音。司とドクターがベルリンに来た時初めて聞いたあの音だ。
ベルリン中心街に最後の一撃を加えるためにやって来た、ソ連空軍の爆撃機。
「確かに、天使と同じくらいマズイかも」
「どうするドクター!? あの爆撃機、この道を吹っ飛ばしに来るぞ!」
正面には嘆きの天使たち。後ろからは爆撃機。
二律背反とはまさにこのこと。
「仕方ない。一旦そこの建物に隠れよう!」
言ったドクターが先導して、続きユーリと司が側の建物へ転がり込む。
司が建物内に入った直後に爆撃は始まった。さっきまで三人がいた道に上空から爆弾が投下され、砂塵を巻き上げて道を吹き飛ばす。
「あれで、天使も粉々にならないもんかね」
ユーリが水筒のウォッカを喉に流し込む。その後水筒を司の方へ差し出したが、中身を知って司は首を振った。
「あれくらいの攻撃で破壊できるなら楽なんだけどね。クオンタムロック状態の嘆きの天使は、宇宙にあるどんな兵器でも破壊できない。多分天使たちはまだ健在だ」
爆弾が落ちてくるたび、建物が地震のように音を立てて揺れる。三人は倒壊を恐れたが、それは何とか免れた。
やがて上空のエンジン音が離れていく。
「爆撃が……終わった?」
司はホッと胸をなでおろす。
「おっと司、僕たちの問題はまだ解決してないよ。……状況は悪くなってるみたいだ」
ドクターがソニックドライバーを持って入ってきたドアに近づく。彼女がドアを足で蹴破ると、そこにはドクターの想像通りの光景が広がっていた。
入り口を塞ぐように集まった天使の石像。その鋭い牙を剥き出しにして、怒りの表情をその顔に浮かべている。
「これで裏道から議事堂に行く道は断たれたな。どうするドクター」
三人にはもう選択肢はない。残された道はただ一つ。
「戦闘のど真ん中を突っ切って行くしかないのか……天使を引き付けながら、飛んでくる銃弾にも気をつける。そんなことできる?」
司の問いに、正面の天使を見続けながら腕を組むドクターが答える。
「僕が先導しよう。ソニックなら銃や戦車の発射装置を破壊できる。二人はその後に続いて」
「それに、俺の銃もある」
ユーリがPPsh-41サブマシンガンを掲げる。
その銃に対し、ドクターは即座にソニックを向けた。淡いオレンジの光と奇妙な音が鳴る。
「おいドクター、あんた何した?」
不審に思ったユーリが動作確認を行うと案の定。引き金を引いても弾丸が出なくなっていた。
「僕の前で人殺しなんてさせないよ。大丈夫、そんなもの使わなくたって上手くいく」
「だが俺たちが今から通るのはベルリン一の激戦地だぞ。大丈夫なのか」
「信じろ……としか言えないけど、ここで天使を前にして立ち止まってる訳にもいかないだろ? 二人はどうする」
ドクターは既に議事堂正面へと続く正面の扉へ後ろ歩きで向かっていた。
彼女は本気だ。確かに裏道への道が絶たれた今、正面の激戦を通り抜けるより他はない。
「俺は、ドクターを信じるよ。行こう」
先に決意したのは司だ。
今までドクターを信じてきて、危険はあったが最後には必ず助かってきた。故の決意だ。
「……まあ確かに、ここで天使に消されるのを待つのもゴメンだしな」
ユーリがもはや機能しないサブマシンガン、そして余計な軍用品を次々にその場へ捨てる。
それを見てドクターが頷いた。
「よし。全員準備できた。じゃあ行こうか」
ドクターがソニックドライバーを天使たちへ向けた。気休めかもしれないが、これで少しは天使の動きを抑えることができる。
三人が正面の扉へ集まった。
視線はまだ天使に向いたまま、ドクターが後手でドアノブに手をかけた。
「二人とも準備して。3、2……1」
ドアが開け放された。
焦げた空気。つん裂く轟音。それらが一気に飛び込んでくる。
怒号と銃声が響く。
司にできるのは、ひとまず頭を低くして移動すること。とは言っても、既に二、三度銃弾が頭上を掠めていった。
「ドクター向こうだ! あの自動小銃持った二人!」
「見えた! これで……どうだ!」
ユーリが指差し、ドクターがその方向へとソニックドライバーを向ける。
方々へソニックを振り回す彼女の姿は、まるで有名なファンタジー映画に出てくる魔法使いのよう。
だが、そんな悠長なことも思っていられない。
「司、天使の方はどう!?」
「しっかり追ってきてる。あいつら俺たちを確実に捕らえる気だ」
笑顔、怒り、無表情。多様な顔の天使たちが三人の後ろにいた。
彼らは他のこの場にいる多くの兵士たちには目もくれない。兵士たち以上に、目の前にいる時空を旅したドクターと司の方が良い栄養分だと分かっているのだ。
「にしても、何で他の兵士は天使に気づいてないんだ?」
「この戦闘中に石像なんか気にしやしない。ほら司、足上げろ。行くぞ!」
ユーリに引っ張られ、先導するドクターを追うように司も歩みを進めた。周囲には自分の持つ銃が突然動かなくなり困惑する兵士たちと少しずつ近づいてくる天使の石像。
だが周囲の人数が多い分、天使は動きづらいだろう。知らずのうちに天使を見ている兵士もいるからだ。
三人が進むに連れ、議事堂の建物が目の前に大きく迫ってくる。
入り口には7本の巨大な柱。議事堂の上層階から、ドイツ兵たちがひっきりなしに対戦車砲を撃ってくる。
「ユーリ、鏡の間とやらは議事堂の地下でいいんだね?」
「恐らくな。こっからは……賭けだ」
ユーリの話はあくまで噂の域を出ない。議事堂内に入り、鏡の間がないと分かれば状況はかなり絶望的なものとなる。建物の中で天使から逃げるのは、街全体を使って逃げるより遥かに難しい。それはドクター自身、過去の経験からよく分かっていた。
「だからって、今更戻れない。俺は何もできないけど、ユーリの情報とドクターの知識を信じる」
司の言葉に、二人も頷いた。
「お前の言う通りだな。戻れないなら、思い切って進もう」
「ありがとう司。じゃあ行こうか」
三人は一斉に駆け出す。
後ろからは嘆きの天使。戦車、軍用車、瓦礫の影、至る所に天使はいた。ドクターたちの作戦に気づかぬまま、ただ時間という栄養を求めて追ってくるのだ。
「正面入り口の左端、守りが薄い。あそこから入るぞ」
ユーリの指差す方へ三人は走る。
最後に残るのはドクターたちか、嘆きの天使か。全てはここで決まる。
議事堂内も戦闘は行われていたが、正面ほど激しくはなかった。
おまけにドクターたちが目指したのは地下だ。上層になるにつれ戦闘は増しているらしいが、下になれば戦闘どころか人も少ない。
だがその代償として、天使たちの動きはより活発になっていた。
「司、天使はどう?」
「動きが早くなってる。早くしないと……それに」
「それに?」
「俺の目がそろそろ限界……涙溜まってきた」
それを聞きすぐさまドクターが振り向く。司が瞬きする間一髪のところで彼女が間に合った。
「急ごう。ユーリ、鏡の間は地下のどの辺なの?」
「デカい部屋だってのは分かってるんだが、正確な位置までは」
地下には幸い電灯がまだついているため、大きな部屋なら探すのは困らない。
人が全くいない道を三人が進む。足音だけが大きく響いた。天使たちの動きは音すら立てない。
「どう、それらしい部屋はある?」
「いや、こっちは違う。これも……本当にあるのかな」
突然、頭上の電灯が明滅し始めた。光と闇が交互に訪れ、視界を不安定にさせる。
それはすなわち、天使たちの接近を許すということだ。
「なんだこれ!? ドクター、どうなってんの!」
「天使たちが電灯に干渉してるんだ! 急がないと追いつかれる!」
暗闇が支配する一瞬の間に、天使たちは一気に距離を詰めてきた。地下を埋め尽くす天使の像。その光景は一種美しさと狂気を併せ持っている。
ユーリはポケットからライターを取り出し、それを光の代わりにして探した。
オレンジの光が灯す先。黒く大きな鉤十字の書かれた扉がそこにある。
「あれだ、あの向かいの一番先! デカい扉がある!」
「本当だ! ユーリ、君は見つける天才だ!」
「それより早く部屋に行こう!」
電灯への干渉が増し、暗闇の時間の方が長くなってくる。司が振り返ると、顔の目の前に限界まで伸ばされた天使の手が現れた。
思わず悲鳴を上げるが、足は動かし続ける。
「よし、開けるぞ」
扉の前まで最初にたどり着いたユーリが二つの取っ手を掴み引こうとする。しかし、扉は無情にも施錠されていた。
が、鍵などソニックドライバーの前では無意味だ。すかさずドクターが扉へとソニックドライバーをかざす。瞬時に鍵の開く音がした。
巨大な扉が音を立てて開かれる。だが待っていたのは、暗闇だった。
鏡があるかも分からない。ただ何も見えない空間がそこに広がっている。天井には電灯があるようだが、運悪く切れていた。
まさに、絶体絶命。
「ドクター、鏡は!?」
「こう真っ暗だと分からない! こうなったら、とにかくユーリのライターが頼りだ!」
ユーリのライターの淡い火が灯す先。目と鼻の先にはついに食事にありつけると喜ぶ笑顔の天使たち。
「これで……間に合え間に合え!」
ドクターがソニックドライバーを天井へと向ける。
「おいドクター、俺のライターじゃカバーできる範囲が狭い! 急いでくれ!」
三人は進む天使から逃れるためにジリジリと後退していく。部屋の奥、いつかは壁に当たり追い詰められると分かっていながらも今はこうするしかない。
ソニックドライバーが電灯に効くのが先か、天使が追いつくのが先か。
「ドクター! このままじゃ俺たち……」
言いかけて、司は視界の端に現れたそれに息を飲む。
ライターの明かりの外から接近してきた一体の天使。その二本の手は、優しく、そして残酷に司の頬へ。
「ドク……」
「司っ!!」
突然感じたのは、強い力で弾き飛ばされる感覚。
倒れた司がすぐに目を開ける。映ったのは、先ほど司を狩ろうとした天使の手がユーリに触れる瞬間。
そして、ユーリが消えた。
「……そんな」
本当に消えたのだ。最初からそこに、ユーリ・クロポトキンは存在しなかったかのように。
「ドクター! ユーリが! ユーリが天使に!」
司の叫びを聞いたドクターが見ると、確かに彼がそこにいない。
ドクターは悔しさに歯を噛み締めるつつソニックドライバーを向け続けた。
「間に合えっ……早く!」
ドクターの脳裏に浮かぶ、これまで天使の犠牲となった者たち。
かつて旅した赤毛の友人。ボロを着たドクターにさよならを告げ、天使の前に消えた女性。
もうこれ以上、嘆きの天使の犠牲は出さない。
「間に合えっ……!」
神が光をこの世界に作った瞬間とは、こんな感じだったのではないだろうか。
それが司の率直な感想だった。
それまでの暗闇をかき消すように、天井の電灯が一斉に人工的な光の華を咲かせる。同時に現れたのは、部屋を四方を囲む巨大な鏡。
ユーリの言った通り、ここは鏡の間だったのだ。
そして今、天使たちは鏡に映る自らの姿に「見られ」、ただの石像と化していた。
「ギリギリだった……司、大丈夫!?」
ほっと胸をなでおろし、ドクターが司の方へ駆け寄る。
「俺は大丈夫。だけどユーリが……」
さっきまで彼のいた場所を二人は見つめる。
おそらく歴史において語られることはないユーリ・クロポトキンという英雄は、どこかの時代へと消えていった。
二人が外へ出た時、何故かそこに銃声も砲撃もなく、ただ一つの放送が響いていた。
「……時刻を持って、ドイツ政府はソヴィエト政府の降伏勧告を正式に受け入れた。戦闘中の部隊は即時戦闘を中止、武装を解除し赤軍の指示に従え。繰り返す……」
どうやら、戦争は終わったようだ。
「司、あれ見て」
ドクターに言われて、司は議事堂の一番上、ドーム状の部分を見た。
翻る赤いソ連の旗。勝利の証だ。
「それで、これからどうする? ターディスは瓦礫に埋まっちゃったし」
「まあ爆撃くらいで吹き飛ぶようなヤワなタイムマシンじゃないから、何とか瓦礫をどかせば大丈夫だよ」
二人はターディスの止まっている場所へと歩いていく。
何もかもが崩壊した街。
投降したドイツ兵たちが死者の列のようにソ連兵たちに率いられて歩いていく。議事堂の前で空に向かって銃を撃ち歓声を上げるソ連兵たちとはまるで対照的だ。
これが戦争を終わり。それを司は実感した。
「この光景……なんだか懐かしいな」
ドクターがふと呟く。
「懐かしいって?」
「ガリフレイ。僕の星が戦争で滅びる直前も、こんな感じだった」
ガリフレイの戦争。確か彼女が言っていた『タイムウォー』。何とかという種族と長きにわたる争い。
それを止めたのはドクターで、彼女自身がガリフレイを滅ぼしたという。
いつか、本当は何があったのか教えてくれる時は来るのだろうか。
「……あれ、何だろう」
司はある一団の列に気づいた。
先ほどの投降ドイツ兵と似ているが、その一団は誰も軍用の鉄帽を被っていない。それに着ているものも皆バラバラで、その不健康そうな見た目はとても軍人には見えない。
「多分民間人だ。それも、ナチスに強制収容されていた人たち。みんな解放されたんだよ」
確かに、そう言われると彼らは軍人たちと違い少し明るい表情をしていた。
二人はその列を突っ切って、ターディスの埋まってるであろう場所へ向かう。
瞬間。バタっという音と共に誰かが倒れた。二人が振り向くと、列にいた一人の老いた男が倒れている。
隣にいたその男の娘と思われる女性が、男をさすりながら叫ぶ。
「お父さん! しっかりして! 誰か、誰かお医者様……」
「見よう。僕はドクターだ」
ドクターが男の方に駆け寄った。
「彼には持病が何か?」
「心臓が悪くて……なのに収容所にいた時は酷い扱いを受けてたから」
ソニックドライバーを心臓へとかざす。かなり動きが弱っていた。これはおそらく助からない。
と、その男が急にドクターの手をしっかりと、力強く握る。
「……ドク……ター?」
「そうだ。僕は医者だ。大丈夫」
だが男は、弱々しく首を振る。
そしてドクターの隣に立つ司の方を見て言った。
「……ツカ……サ」
男は、二人の名を知っている。
ドクターのことも、医者としてでなく名前として読んだのだ。
「なんでこの人、俺たちの名前を知ってるんだ?」
「……もしかして」
ドクターは何か思いつき、彼の娘の方へ顔を向けた。
「この人の名前は?」
「名前……?」
「そう! 君のお父さんの名前だ!」
当惑して、しかし娘はその名を答える。
「ユーリです。ユーリ・クロポトキン」
その名は、ドクターと司を驚かせるには十分であった。
天使に過去へ飛ばされたユーリは、ここドイツで生活していたのだ。
男は、弱々しく話し続けた。
「お前たちが……ここにいる……やったん……だな。天使を……」
「そう。僕たちは天使を倒した。君のおかげだ。あの部屋は鏡の間だったんだ」
「ユーリのおかげで俺は助かったんだ。ありがとう。本当に」
司も老いて皺だらけになったユーリの手を握る。
「やったな……やったんだな……」
ユーリの目尻に涙が浮かんだ。
「天使のクソッタレめ……やってやった……」
握る手の力が、次第に弱くなっていく。
最後の瞬間。ユーリは笑っていた。
瓦礫の山の上に青いポリスボックスはぽつんと孤独に立っていた。
ドクター曰く優秀なポリスボックスであるから、自分で這い出てきたのだという。
相変わらず、ターディスの中では中心の円柱で何かが忙しく動いている。ドクターは早速、次の冒険に行くためいくつかのレバーを引いたりボタンを押したりしていた。
「そういえば俺たち、なんでこの時代のベルリンに来たんだっけ」
「なんでってそれは……そうだった!」
思い出したのか、ドクターは放っていた美術雑誌を手に取る。
「タイムロードの絵画について調べに来たんだ。嘆きの天使が現れたからすっかり忘れ……」
パラパラとページをめくるドクター。が、目当てのページは中々見つからない。
「どうした?」
「あの絵のページがどこにもないんだ。消えたみたいに」
「消えたって、そんなバカな。見落としてるだけだよ」
彼女から雑誌を渡され、司も自分で例の絵を探す。
本当に消えていた。雑誌の中ごろにあったはずだが、そこには代わりに森と川の絵が載っていた。
「どうなってんだ? あの絵は確かにここにあったはずなのに」
「分からない。でももしかしたら、誰かが僕たちをこの時代のこの場所に来るよう仕向けたのかも」
「まさか。なんの目的で」
「例えば、嘆きの天使がベルリンにいることを知っていて、それを僕に止めさせるためだったとか」
雑誌から消えたタイムロードの絵。そこにいた嘆きの天使。
偶然というには出来すぎている。何かが、誰かがドクターと司を誘導するように動いていた。
無数の天使が石と化したドイツ国会議事堂地下、鏡の間。
そこへ一人の少女が入っていく。
「さすがは迫り来る嵐。みんなここに閉じ込めるなんて」
天使一体一体に、少女がそっと触れる。まるで自分のペットか何かのように
「最後のタイムロード。今度はちゃんと挨拶したいわね」
少女が右手の指を鳴らす。
刹那、鏡の間にいた天使が全て消えた。
「ドクターと、文月 司。『鍵穴』のことには、いつ気づくかしら」
少女は笑う。
ドクター、司、タイムロード、そしてこの宇宙。その全てを繋げるある壮大な計画を思いながら。
ストロマトライトです
もっと早く投稿するつもりがまさかの一ヶ月かかりました。うーん執筆って大変。
嘆きの天使は狭いフィールドで動かした方がいいですね。街レベルの広さだと動かすのが難しい……
次回はまた新エイリアン登場を予定しています。そして歴史上の有名なあの人が登場。
なるべく早く投稿できるよう力を尽くしますので、引き続き読んで頂ければ大変ありがたいです
それでは、今回はこの辺で