※余話。
11月1日の東方紅楼夢、最高に楽しかったです!
この話の一部は、イベント開催中に執筆したものです。
翌朝、朝食を食べ終わった2人は、慌ただしく出掛ける準備を進めていた。
「忘れ物が無い様に、ちゃんと荷物の確認をするんだぞ」
「はーい」
小傘が自信の荷物の整理をしている間に(とは言っても、簡単な手土産と唐傘しか無いのだが)、俺も準備を始めた。
「えっと……とりあえず、『道具』は持っていくとして…」
人里の外へ出るんだ、仕事で無くても道具は必要だよな。
で、今日はリュックでは無く、肩から担げる、中位の鞄を使う、それで上等だ。
「それから………あっ! そうだ……」
ちょっと思い出した事があり、押し入れをガサゴソ。
「………あったあった!」
それは、随分と前に香霖堂で見つけた物だった。
無縁塚辺りで見付けて来たらしく、なかなかの優れものアイテムらしい。
値段を聞くと、11円(11万円)という高額商品(ぼったくりかもしれないが)
その代わり、オマケとして取り替えカートリッジを10個も付けてくれたので、思い切って買ってやった。
あんなに、高い買い物をするのは久しぶりだったぞ…。
こんな小さな物に、それだけの価値があるのか?
今日、それを確かめてやる。
「試そう試そうと思ってて、今まで日の目を見なかったんだっけな、今日は使ってやろう!」
そうと決まれば、鞄に詰め込むっと。
「よし、着替えて…」
基本的に、出掛ける時は着物では無い。
外の世界で言う、背広というモノを着る。
見た目もすっきりしており、以外と動きやすく気に入っている。
ただ、ネクタイは締めない、ちと苦しいのだ。
ネクタイをすれば、もっとシャキッとするのだが、少しラフな格好の方が気楽である。
「着替えよしと…」
ポケットに、博麗札を数十枚入れる。
「……こいつもっと」
相棒の警戒棒を、内ポケットに収納し、有事には何時でも出せるようにセット。
「短刀は…、鞄に入れとけばいっか」
それほど大きな鞄では無いが、短刀位は入る。
「拳銃は…、今日はいいや」
よし、準備完了!
今は、それ程荷物の入っていない鞄だが、手土産やら何やら買ってたら、すぐにいっぱいになる。
「後は、財布だな」
財布が無きゃ、買い物が出来ない。
金は…………何の問題も無い!(ニヤリ
「…よっしゃ、準備万端!」
俺の方はよしと、小傘はどうなったかな?
「おーい小傘、そっちはどうだ?」
「うん、もう大丈夫だよ!」
「そうか、それじゃあでようか」
「はーい!」
家の戸締まりだけはちゃんと施して…
それでは、出掛けますか!
――――――――――――――――――
命蓮寺に行く前に、手土産としてお菓子と酒類を問屋で大量購入しておいた。
みんな女の癖に、大食らいに大酒飲みなヤツばっかりだから、これ位買っておかないと間に合わない。
あれだけ軽かった鞄が、もういっぱいいっぱいになっていた。
うん、結構重い…。
これだけで、随分と出費をしたが、まだまだ余裕あるわ(フッ
「師匠、命蓮寺のみんなは、お酒は飲まないよ?」
「それは、聖さんだけだろ? 他のメンバーは裏でこっそり飲んでるって聞いたぞ?」
「そ、それは……」
「まぁ、流石に堂々と渡すのは拙いから、お菓子を渡した後に、さり気なく渡すつもりだ」
「大丈夫かな…?」
若干不安そうな小傘だったが、多分大丈夫だろう。
村沙か一輪に辺りに渡せば、後は勝手にやってくれるだろうし。
里から歩く事しばらく、命蓮寺の本堂が見えてきた。
「見えてきたな」
「うん…、何だか凄い久しぶりって感じだわ…」
「…行き辛いか?」
「う、うん…少し……」
「心配しなさんな、俺が付いてるからさ」
「ありがとう、師匠…」
そうして、俺達は命蓮寺に続く石段を登って行く。
登り始めて、直ぐに聞き慣れた声が聞こえて来た。
「ぎゃーてー、ぎゃーてー!」
元気が良いな、あの山彦は。
「オッス! 響子ちゃん!」
「うん? ………あっ! 祐さんだぁ! こんにちは!」
「声が小さ――い!!!」
「ひぃぃっ!? こ、こんにちはー!!!!」
へへっ、してやったりだお!
「はい、良く出来ました!」
「もう! それは私の台詞よ!」
「ハハハ、俺もやってみたかったんだ」
「むぅぅぅぅ…」
むくれる響子ちゃん、なかなか可愛かったりする、妖怪だけどな。
「まあ、そう膨れるなよ、それより、誰か上層部を呼んで来てくれないかな?」
「えっ…?」
すると、俺の陰から小傘が顔を出した。
「お…お久しぶり……響子ちゃん……」
「あれっ…? 小傘ちゃん!?」
小傘の姿を見て、驚く響子ちゃん。
「一体、今までどうしたの? 急に姿を見せなくなったから、みんな心配してたんだよ?」
「ご、ごめんね…、ちょっと色々あったんだ…」
「色々…?」
「まあ、そこんとこも俺から説明するから、誰か呼んできてくれ」
「うん、分かったよ!」
早速、誰かを呼びに駆け足で本堂に向かう響子ちゃん。
一体、誰が応対するのだろうか?
「あら……祐さんじゃないの」
おや…? 呼びに行った割には早過ぎる。
声のした方向を見ると、紺色の頭巾に白い長袖上着姿の彼女、『雲居一輪』が近付いて来た。
「……何だ、一輪さんか、久々じゃないかな?」
「ええ、そうね。 此処最近は出歩いて無かったから」
「奇遇だな、俺も先日まで謹慎の身で、出歩いて無かったんだ」
「謹慎って…、何をしたの?」
「色々あって、話せば長くなる」
「まさか…、あの噂は本当だったの?」
「えっ……それって、俺が怪我したってのが、広まってる訳?」
「大体の妖怪達には、広まってますわよ?」
「……誰だよ、広めたヤツ…」
色んなヤツの顔が、脳裏に浮かぶ。
多過ぎて、誰の仕業か把握出来ない。
「でも、元気そうで何よりだわ」
「おかげさんでこの通り、全快さ!」
「また、勝負してくれるの?」
「雲山さん抜きなら、相手になるぜ」
「それはダメよ、雲山とのコンビネーションは私のスタイルですからね」
「だよな」
別に、雲山さんありでも勝負は出来るが、あの当たり判定のデカさは、結構パネェ。
今思い出せば、初めて会った時は、この女にいきなり襲われて、訳も分からず戦闘になったっけ。
説得しようにも、人の話を聞こうとせずに攻撃して来たもんだから、かなりムカついてな…
躊躇わずに、思いっ切りぶん殴ってやったんだ。
雲山さんも、札の猛攻と警戒棒の一撃で、真っ二つにしてやった。
他の命蓮寺メンバーが、呆気にとられていた光景は笑えた。
その後は、聖さんが頭を下げ謝り、彼女は腫れた顔で半泣きで睨み付けていたのが印象的だった。
俺も、流石にやり過ぎたと思い、何度もお詫びをして、どうにか許して貰えた。
今では、気さくに話し合える仲になった。
あの口数が少ない雲山さんとも親しく会話が出来るのが、密かな自慢だったりする。
数年程前の話なのに、何故か懐かしい。
「……どうかしたの?」
「…ああ、ゴメン。 何でも無い」
いかんいかん、思い出に耽ってしまった。
「……っ? まあ、いいわ。 今日は何をしに来たの? 入門する気になったとか?」
「まさか、そうやって誘ってくれるのは嬉しいが、寺に縛られるってのは性に合わないんだ。 俺は自由人なんでね」
命蓮寺からの勧誘も、何十回断った事か、とにかくしつこい。
「それじゃ…」
「あの……私の事で、なの…」
小傘が申し訳無さそうに、俺の後ろから姿を出した。
「貴女…、小傘じゃない!? 今まで何処に行ってたの? 聖様が心配してたのよ?」
「ご、ごめんなさい…」
心配だったのだろう、一輪さんが食って掛かろうとしていたので、俺が助け舟を出した。
「まあまあ一輪さん、落ち着きなって。 これには訳があるんだ」
「どういう事…?」
「それはな……」
「お待たせしました、祐助さん」
一輪さんに説得をしようと思った所で、タイミングよく『聖白蓮』住職が現れた。
「聖さん、こんちは。 お変わり無いようで」
「ええ、こんにちは。 今日は小傘の事で来たと伺いましたが…」
「そうなんだ、その事だが……話すと、少々長くなるんでな、中で話せないかな?」
「…分かりました、では案内しますわ」
聖さんに案内され、俺達は本堂に向かった。
――――――――――――――――――
本堂には、俺と小傘が二人だけ並ぶ。
そして、それに相対して、聖白蓮、寅丸星、雲居一輪と雲山、村沙水蜜、幽谷響子、二ッ岩マミゾウ、偶々命蓮寺に来ていたナズーリンが座っていた。
うん、なかなか豪華な面子な事で。
他にも、信者がいる筈だが、今日は姿が見えない。
その中で、秦こころも信者の筈だが、アイツの居所は知っている。
神霊廟しか無いだろ。
……そういえば、封獣ぬえの姿も見えない。
まあ、アイツは基本的に普段は行方知れずだから、気にしない。
それからは、俺は小傘に起こった出来事、彼女が人間達にリンチされていた事、俺が助けて怪我の手当てをした事、怪我が治るまで自宅で預かっていた事…。
それまでの経緯を、全員に説明していた。
「―――――そういう事だったんだ」
「そうでしたか…」
俺の話を、一同は静かに聞いてくれていた。
何処かの神社とか、紅い館とか竹林の屋敷とは大違いだな。
「だから、小傘さんを余り責めないで欲しい。 今まで、あんた達に繋ぎを付けなかった俺にも非があるんだからな」
「祐助さん…」
「そういう事だから………本当に申し訳無かった!」
俺は正座をし、手を付いて謝った。
…土下座だよ。
「えっ…!?」
「し、師匠!?」
「祐助さん、何故貴方が謝るのですか?」
聖さんも星さんも、そして小傘も驚き、他のメンバーも驚きを隠せない様子であった。
「元はといえば里の人間による所業、だから里に住む者として責任を感じている。あんなヤツらが居るから、小傘さんはあんな目に遭ったんだ、何と詫びて良いものか……だから…」
「祐助さん、顔を上げて下さい!」
「そうだよ、何も祐さんが謝る事無いよ!」
「みんなの言う通りだから、顔を上げなさいよ…」
「………っ」
星さん、村沙さん、一輪さんが必死で説得している。
しかし、俺は土下座の体制を崩せなかった。
「祐助さん…、貴方の言う事は良く分かりましたわ。 小傘の事をこれ以上責めるつもりはありません。 ですから、頭を上げて下さい」
「…本当に、済まなかった…」
聖さんの一言を聞き、ようやく頭を上げる事が出来た。
「師匠…、ありがとね……」
「いいって事よ」
申し訳無さそうにしている小傘に、ウィンクして和ませてやる。
「でも小傘、今までみんなを心配させたんですから、しばらくは住み込みで手伝いをしなさい」
「えっ…」
「小傘、聖さんの言う通りにしな」
「うん…、分かったわ」
「よしよし…」
不安げな小傘の頭を優しく撫でてやり、落ち着かせた。
「随分と手懐けましたね」
「そうか? まあ、しばらく一緒に暮らしてれば、多少はな…」
緊張が和らいだせいか、煙草が吸いたくなった。
鞄から煙管箱を取り出し、煙管に葉を摘める。
「ほれ、火はこれを使うといい」
「マミゾウさん、おおきに!」
マミゾウさんに火種を渡され、煙草に火を点けた。
「ふぅ…、とりあえず皆さん、話を聞いてくれてありがとな」
「いえ、お礼を言うのは私の方です。 小傘を危ない所から助けてくれまして、ありがとうございます」
「その上、土下座までされては、我々の立場がありませんよ」
「君は本当に律儀な人間だな、呆れてしまうよ」
煙草を吸いながら、そんな雑談が続いた。
「祐助さん、やはり貴方に普通の日々を過ごさせるには惜しい人物です。 是非とも信者になって…」
「聖さん、前にも言っただろ? その話は断るって」
「し、しかし……」
「俺はな、そんな事は出来ない身なんだよ、色んな罪を背負い過ぎてしまってな…」
「その、お主の罪とは、何じゃ?」
マミゾウさんが、怪訝な表情で聞いてくる。
「口に出すのもおぞましい事をして来たのよ、そんな俺が仏門に入るなんて、罰当たりな事は出来ない」
パンッ、パンッ!
煙管の灰を落とし、煙管を片付けると立ち上がった。
用事は済んだし、次の目的地もあるからな。
「貴方の罪とは…」
「別に仏教が嫌いな訳じゃないよ、俺も信仰心は持ってるもつりだ。 しかし、信者にはなれない」
「それはどうしてなの?」
「それはな…、俺が今まで殺してきた妖怪の御霊に、詫びなきゃならないからだ」
「………っ!?」
その一言に、一同は目を見開き俺に注目した。
まだ、あの事は、多くは語りたくない…。
「信じられないだろうが、今でこそあんた達や他の妖怪達とは仲良くしているが、一昔前の俺は、ほぼ毎日の様に血に染まっていた。 妖怪と名の付くヤツらは見境無く叩き殺した。 骨を砕くのは当たり前、首を切り、手足をもぎ取り、上半身と下半身が二つに別れたり、時には肉片になるまで叩いた事もあった。 手に掛けた妖怪は100や200では利かないだろうな、そんな血で血を洗う殺戮を平然とやり通してきた俺に、仏門に入る資格など無いんだ」
「あっ……」
「今更だが後悔しているよ、酷い事をしたもんだ………地獄行きは間違い無い。 でなきゃ、殺したヤツらに顔向け出来ないじゃないか」
俺は、みんなとは違う方向を向き、語っていた。
自虐的な笑いしか出なかった。
本当は、まだまだ酷い事をしてきたが、とても口には出来ない。
それこそ、美咲さんを犯し殺した妖怪の事を言えない位の事を。
「……もう行くわ」
「………っ」
一同は、誰も声を発さず黙っていた。
「それからな…」
「えっ……」
「ウラァァァ!!」
『スパーンッ!』
「きゃぁぁぁ!?」
「………っ!!?」
気配がした方向に、思いっ切り小柄を投げつけた。
それに驚いた一同も、悲鳴のした方を向く。
「…何時まで、其処に居るんだ?」
「へっ……気付いてたの?」
「つい、さっきだがな」
「……こいし!?」
俺が小柄を投げた先には、古明地こいしがいた。
彼女には命中していない、命中したのは、彼女の帽子だ。
「何で、其処で隠れてやがる…」
「いや…、隠れては無いけど…」
「嘘だな……テメェ、俺に何かしようとでもしていたのか?」
「そんな!? 何もしてないよ?」
「どうだかなぁ…」
こいしに近付き、顎を掴む。
ちょいと、意地悪してやるか。
「うぎゃぁっ!?」
「大袈裟だなぁ、まだ力は入れてないぞ?」
「あ…ぁぁぁぁ……」
「なぁ、こいし。 俺が一番嫌いな事は何だか分かるか?」
「き、嫌いな…こと…?」
「テメェのように、コソコソと隠れて何かを企むヤツが、一番腹が立つんじゃ、ゴラァァァァ!!!!!」
「ひぃぇぇぇぇ!? ごめんなさい! ごめんなさーいぃ!!」
少しやり過ぎたかもしれないが、コイツがトラウマになる位の怒声と殺気を当てておいた。
こんな事を繰り返さない為にも…、彼女の為だ。
まぁ、無意識で行動してるうちは、無理だろうけどな。
「ゆ、祐助さん!」
「……心配するな、何もしやしない」
聖さんが直ぐに宥めに入って来たが、元から俺はどうするつもりは無い。
それまで放っていた殺気を引っ込め、手を引いた。
「運が良かったな、こいしちゃん。 命蓮寺の敷地内で殺生はしない。だが…、それ以外の場所だったら………その首、飛ぶかもしれませんぜ?」
「ひぇぇぇぇぇん……」
こいしちゃん、腰が抜けて泣き出してしまいました。
やり過ぎてしまったな…、流石に罪悪感を感じてしまう。
…ありゃっ、粗相してるよ…。
こりゃ、いかんな……。
「……冗談だよ、本気にするなよ!」
小柄で貫いていた帽子を取り、彼女に被せてやった。
「……へっ!?」
「悪かった、ごめんな こいしちゃん。 でも、無意識でも、あんまり人の後を着けたりはいかんぞ?」
「う、うん……」
「よしよし、分かればいい(分かっちゃ居ないだろうけど) せめてものお詫びだ、これをあげるよ」
「何コレ………お菓子だ! いいのこんなに?」
「ああ、好きに食べな」
「やったぁぁ!」
少しは、機嫌を直してくれただろうか?
お菓子で釣るなんて、安易な方法過ぎたかもしれないが。
謝ってはおいたが、こいしちゃんはどう考えているのか。
俺もバカだ、つい昔の性格が出てしまった。
極力、人には見せない様にしていたのに。
「皆さん、済まなかった。 邪魔者はさっさと消えるよ」
「あ、あの…」
「詮索無用」
「うっ……」
睨みはしなかったが、そう一言だけ言ったら、誰も何も言わなかった。
「……おっと、その前に……小傘、こっち来な」
「えっ…、どうしたの、師匠…?」
「さっさと来い」
「は、はい……」
さっきのを見ていたせいか、ビクビクしながら俺の元へ来た小傘。
「ちょっと、ジッとしてな」
「な、何を……」
小傘の額を指を触れ、呪術を唱える。
「―――――――っ!」
その瞬間、僅かだが小さな衝撃波が本堂中を襲い、一部の物が倒れてしまった。
「あ、あの……師匠…?」
「祐助さん、一体何を…?」
聖さんが驚きの表情で訊ねて来る。
「ああ…、皆さんを驚かせて済まない、今やったのは小傘に掛けていた拘束術式を解いたんだ」
「拘束術式?」
「人里に置く以上、念の為だったんだ、悪く思うなよ小傘」
「ぜ、全然……知らなかった…」
「その代わり、今君の妖力は以前より倍増している。 今度、弾幕ごっこで試してみるといい」
「ふ、増えてるって…」
「特訓の成果が少しは出たみたいだな。 流石は俺の弟子だ、将来は有望だぞ?」
「ぁぁぁぁ…! ありがとう! 嬉しいよ師匠!」
抱き付いて来る小傘を、優しく撫でてやる。
やっぱり、可愛いよな。
「それじゃ皆さん、ごきげんよう」
鞄を持ち、一礼して本堂を出る。
何だか、ようやく解放された感じだ。
「あっ……星、お見送りをして来て」
「は、はい、分かりました」
聖さんの指示で、星さんが追って来た。
正に、目論見通りだ(ニヤッ
「祐助さん! 待って下さい!」
「…待ってたよ、星さん」
「へっ!? 待ってたって…」
「こっち来な」
「な、何をするんですか!?」
「いいから、早く」
星さんの手を引っ張り、本堂の死角になる場所に連れて来た。
「祐助さん、一体何を…」
「あんたに渡したいものがあるんだ」
そう言って鞄から出したものとは、そう……
「これだよ」
「……っ!?」
酒の入った一升瓶を二本渡してやった。
「俺からの土産だ、みんなで飲みな。 呉々も聖さんには見付かるなよ?」
「祐助さん…、ありがとうございます!」
それを見た星さんの表情に笑顔と、何故か安堵感が見れた。
俺、何もしないよ……。
そんな表情を見ると、何だかショックだわ…。
まぁ、渡したい物は渡したし、いっか。
俺は星さんに手を振って、命蓮寺を後にした。
さて、次の目的地を目指しますか。
その目的地はもちろん……
博麗神社だ!
――――――――――――――――――
祐助が居なくなった本堂では、聖とマミゾウのこんなやり取りがあった。
「のう……」
「どうしました?」
「あの男、やはりただ者では無いな」
「何故、そう思いますか?」
「あの、こいしという妖怪に向けられた殺気…、一瞬ではあったが、本物じゃった」
「やはり、貴女も気付きましたか…」
「当然じゃ、あの殺気はビリビリと感じたぞ。 弱い妖怪なら一目散に退散するじゃろうな」
「確かに、あれは尋常ではありませんでした。 本当に人間なのか、疑いたくなる程です」
「あやつは人間じゃよ、間違い無く。 じゃがな……」
「…どうしましたか?」
「殺気以上に、あの男の目……とても、悲しげじゃった…」
「えっ…!?」
「あんなに悲しい目をした男、儂は……初めて見たのう…」
「………っ」
その時、聖は感じた。
彼が背負っているものを、マミゾウが薄々気が付いている事に…。
「お主は、何か知っているのじゃろ? あの男に何があったのかを」
「……私の口からは、言えません…」
「そうか……」
それを聞いたマミゾウは、立ち上がり本堂から出て行った。
「………っ」
聖は、それを止める事無く、黙って彼女を見送った。
続く。
主人公は博麗神社へ向かいますが、その道中は…。
前書きにも書きましたが、東方紅楼夢に参加してきました。
ああいったイベントに行くと、かなりの刺激がありますね。
作品的にも、体力的にもw
他の作者様の二次創作作品、かなり参考になります!