痛快! 男達の幻想郷   作:豊之丞

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主人公が、吸血鬼相手に「遊び」に付き合わされます。



攻略せよ!「カゴメカゴメ」

「……そいつは、またまた厄日だったなぁ」

 

「まさか、フランが魔理沙に焚き付けられて、私に仕掛けてくるなんて、大変だったわ…」

 

あの夕食の後、俺とレミリアさんは、客間でチェスを打っていた。

 

はっきり言って、チェスはまだ慣れていない。

将棋なら、そこそこ自信があるのだが、チェスはちと勝手が違う。

 

何せ、紅魔館が幻想郷に来るまでは、やった事すら無かったんだから。

 

「だけどさ、フランちゃんの相手を真っ向から出来るのは、あんた位だよ……それ!」

 

「けど、あの子の一撃はキツいのよ、同じ吸血鬼でも荷が重いわ………甘いわね!」

 

「えっと、そうなると………げぇ! これって…」

 

「チェック…メイト!」

 

「……参りました………」

 

「ハッハハハハ…! これで2連勝ねぇ!」

 

「くぅ…、やっぱり将棋じゃないと勝てないぜ…」

 

「将棋は私が分からないわ」

 

「だったら覚えろよ、そんなに難しくは無いんだから」

 

「考えておくわ」

 

「適当なヤツめ……」

 

多分覚える気は、無いんだろうなぁ。

 

「どう? もう一戦やらない?」

 

「…よし、やってやる!」

 

このままでは、終われない。

もう一戦やるために、駒を直す。

 

「それにしても、さっきの話だけど…」

 

「さっきの話?」

 

「パチェを怒鳴りつけた貴方、凄い迫力だったわ。 思わず、びっくりしちゃったぁ」

 

「ああ、さっきのパチェは余りにも平然としてやがったからな、腹が立ったんだ。 本当に危なかったのが分かってなかったんだろうよ」

 

「普段は物静かな彼女が、そんな事になるなんて、貴方って意外とパチェに気に入られてるのかもね」

 

「だからと言って、そんなんで熱くなるとは…、そんな事でよく弾幕ごっこに生き残れたもんだ」

 

「あの子の心魂は熱いのよ、それになかなかの強者だし、簡単に負ける訳無いじゃない?」

 

「知ってるよ、俺も彼女と一戦交えた事があるんだからな」

 

過去に、パチュリーさんとバトッた事があり、結果は辛勝だった。

魔理沙の助言が無ければ、負けていただろう。

 

そう考えると、あれを初見で撃破した魔理沙は凄いよな。

改めて、その凄さを実感したのだ。

 

「…後で様子を見に行ってやるかな、まだ落ち込んでるかもしれないし」

 

「大丈夫でしょ、彼女もそんな事で引きずるタイプじゃないんだからさ」

 

「そうかな? アイツ、普段は感情を顔に出さないが、案外繊細な所あるんだぜ」

 

「私だって、繊細よ?」

 

「良く言うぜ、あんたはなかなかの女傑だよ」

 

「それは、褒めてるのか?」

 

「好きな様に解釈してくれ」

 

「むぅぅぅぅ……」

 

少しむくれたレミィも、また可愛い。

 

「ねぇ〜、まだぁ?」

 

其処へ、順番を待ちかねたフランが入ってきた。

 

「悪いな、まだ勝負がついてないんだ、もう少し待ってな」

 

「もう、早くしてよ! 体がウズウズしてるんだから!」

 

「ダメだ! レミィとのチェスが一段落するまでは、大人しくしてろ」

 

「うぅぅぅ……」

 

「フフッ、残念だったわね、フラン」

 

「あーもう、早くしてよー!」

 

フランのおねだりを横目に、俺達はチェスを再開した。

 

 

その後、三回戦続けたが、結局一回も勝てなかった。

それに気を良くしたレミィ、俺を見下ろすように笑いやがった。

 

悔しすぎる!

 

見てろよ、このままじゃ終わらんぞ…。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「やっと、弾幕ごっこが出来るね!」

 

「出来れば、やりたくは無かったんだが…」

 

レミリアさんとのチェス勝負が終わり、次はフランちゃんとのスペルカード攻略という名の弾幕ごっこが始まる。

 

場所は、紅魔館内にある大広間。

普段はパーティーに使われているが、弾幕ごっこにも使われる場所で、とにかく広い。

 

レ「私達は、傍観させて貰うわ」

 

パ「私も、祐助の闘いぶりを見せて貰うわ」

 

咲「祐さん、頑張ってね」

 

美「祐さん、ファイトです!」

 

祐「おのれら…、人の事だと思って…」

 

紅魔館メンバーが、ギャラリーを決め込んでいる。

俺は、見せ物かっつーの。

 

「そう言えば、祐さんはまだスペルカードは持ってないの?」

 

「残念だが持ってない、作る予定も無いんだよな」

 

「え〜、つまんないのー」

 

「大体な、俺と君とでは理念が違うんだよ」

 

 

 

 

 

スペルカードルール

 

博麗の巫女が作ったとも言われているが、あの八雲紫もそれに携わったのは間違いなかろう。

 

弾幕ごっこってのは『命名決闘法案』に基づくものであり、本気の殺し合いではない。

魔理沙曰く、殺し合いを遊びに変えるルールであり、最も無駄なゲームだなんて言ってたっけな。

 

とはいえ、闘いの方は本気であり、場合によっては死者が出る場合もある。

 

弾幕ごっこは、見た目の美しさを重点に置かれているため、精神的な勝負の面が大きい。

 

「女の子の決闘」なんて、言われる事もある。

 

だからこそ、このスペルカードルールが制定されてから、俺は弾幕ごっこには、あまり携わっていなかった。

 

基本的に、傍観するだけにしていた。

寧ろ、弾幕ごっこは見ている方が楽しめる。

 

俺が参戦しないのには理由がある。

妖怪退治に、その様な生温いものは不要だ。

殺るか殺られるかの世界、そのようなものに付き合えない。

 

男の闘いは一撃必殺だ、如何に短時間で確実に相手を仕留めるかが勝負なのだ。

俺の使う古武術は、それを徹底的に極めた、間違い無く『殺人拳』なのだ。

これは、慶治と平九郎、そして、先代の博麗の巫女の4人で作り上げた、対妖怪戦の為の究極技である。

実戦では、それに呪術を組み合わせている。

 

そんな血生臭い拳法を使う俺が、弾幕ごっこなんて出来る訳が無いと思っていた。

 

実は、以前霊夢にスペルカードの素紙を何枚か貰ったのだが、未だに白紙のままで部屋の飾りになっている。

『お父さんも実力あるんだから、弾幕ごっこしない?』なんて直接誘われた事もあったが、もちろん断った。

因みに、慶治と平九郎もスペルカードの素紙を持っているが、俺と同様、手付かずになっている。

 

しかし、苦手だとか、肌に合わないと言って避けているだけでは、それを理解する事は出来ない。

 

だから、俺なりにスペルカードルールを把握する為に、最近は少しだけ弾幕ごっこに付き合うようにしている。

 

その一環が、スペルカード攻略である。

 

俺の場合、スペルは持たないし、弾幕も撃てないし(代わりに札を放っている)、空を飛ぶのも極限定的である。

札の霊力を、特殊な術で体内に吸収し、多少の肉体強化をする程度である。

 

……弾幕、撃てるかもな?

 

とにかく、その条件で何処まで頑張れるか?

弾幕ごっこの付き合いも兼ねて、自分自身の修行にも利用している。

 

一つずつ、地道に攻略中である。

 

そのおかげか、最近では弾幕ごっこに対する考え方が変わって来た。

 

 

 

 

 

「……どうしたの? そんなにぼうっとして、まさか体調が悪くなったとか言うんじゃないでしょうね?」

 

「あっ…悪い、弾幕ごっこに関しては、俺も色々思う所があってな」

 

「思う事って、何か分かんないよ」

 

「すまん、気にするな」

 

「ふーん……まぁいいや、そろそろ行くよ!」

 

「よし! それじゃ……」

 

俺は、斜め前に構えフランを見つめる。

何時もの仕事道具を身に付け、一応反撃出来るようにしておく。

それを見たフランも、あの特徴的なグネグネと折れ曲がった棒を構える。

 

 

「禁忌『カゴメカゴメ』、来い!!」

 

「行っくよー! 禁忌『カゴメカゴメ』!」

 

フランから、一気に弾幕の嵐が襲ってきた。

 

「魔理沙の言っていた通りだな…」

 

魔理沙から聞いていたものと同じパターンで弾幕が放たれる。

光弾に囲まれながらも、僅かな合間を縫って回避に出る。

 

「きゃっは! いいよー! もっと動いてよぉ!」

 

「ふっ……」

 

軽いジャンプで、さっと向こう側まで回避するも、そんなに慌てる必要が無い。

 

何でだろう……遅く感じる。

 

地上での回避は厳しいかと思ったが、そうでもないな。

ギリギリで避けるのが、難しくない。

 

しかし、フランが手抜きをしているとは思えないのだが。

 

「フラン、一つ聞いていいか?」

 

「何?」

 

「それは、本気か?」

 

「えっ…!?」

 

「言っちゃ悪いが、遅く感じるんだよな…」

 

現に、光弾に包囲されながらも、あの弾幕の嵐の中を歩きながら回避している。

 

「うっそ、そんな…」

 

「次に来る弾幕のパターンは…」

 

魔理沙が言っていた、コイツのスペルのパターンは、全て頭の中に叩き込んである。

 

「見えたぜ!」

 

まさに、予想通りの展開なのだ。

事前に知識を得ておいて、良かった(フッ

 

 

 

 

 

美「嘘…、妹様の弾幕をいとも簡単にかわしている…」

 

咲「多分、魔理沙から妹様のスペルの事を聞いているんでしょうけど、それにしても凄いわ…」

 

パ「普通なら、もっと慌てふためいてる筈なのに、あの余裕は…」

 

レ「まだまだよ、これからどうなるか、見物ね…」

 

 

 

 

 

「まだまだよ! 絶対に攻略なんてさせないんだから!」

 

「その意気だ、フランちゃん」

 

あえて、フランちゃんを本気にさせる。

でなければ、本当の意味での攻略にはならない。

 

弾幕の間を前転したり、側転したり、身体をクネらせたり、宙返りしたりして回避する。

 

弾が干渉し、制御不可能な感じになっているようにも見えるが、回避出来ない程では無い。

 

下級妖怪が束になって襲って来るのを退治している事を考えれば、楽勝である。

 

 

「(♪)ずいずいずっころばし…」

 

「へっ…?」

 

「(♪)ごまみそ ずい

茶壺に追われて トッピンシャン…」

 

「な、何で歌ってるの!?」

 

「(♪)抜けたら ドンドコショ

俵のネズミが米食ってチュウ

チュウチュウチュウ…」

 

「バカにしてるの!!?」

 

ちょこまかと動きながら歌を歌ってみる。

相手にとっては、これは屈辱ものである。

 

「……おい、そろそろ制限時間じゃないのか?」

 

「クソ…! このままじゃ終わらないんだから!」

 

俺の心理戦に、見事に掛かってくれたな。

 

その瞬間から、最後の猛攻が始まった。

どうやら、仕上げに入らないといけないみたいだな。

 

「やっと来たな! 君が本気になったのなら、俺はそのスペルを時間内に攻略してやろう」

 

「出来るもんならやってみなさいよ! 絶対にさせないんだから!!」

 

「…なぁ、本物のカゴメカゴメは知ってるか?」

 

 

「何よそれ!? 言いたい事が分からない!」

 

 

一歩踏み出す。

 

 

「(♪)かーごめ かごめ…」

 

 

懐から博麗札を取り出し、

 

 

「(♪)かーごの中の鳥は…」

 

 

霊力を込めた警戒棒で、弾幕を弾く

 

 

「えっ……弾幕が…?」

 

 

「(♪)いーつーいーつー出やるー」

 

 

札を周囲にばらまき

 

 

「な、何を……」

 

 

「(♪)夜明けのー晩にー」

 

 

俺が手を上げた瞬間に、札は飛び上がり、光弾にぶつかり爆発を起こす。

 

起きた爆発で埃が立ち、一時的に視界が遮られる。

 

 

「うはっ…前が…見えない……」

 

 

動揺するフランの声が聞こえる。

 

 

「(♪)つーるとかーめがすーべったー…」

 

 

その隙に、博麗札をフランの居る方向へ飛ばす。

 

 

「………きゃぁっ!?」

 

 

敢えて霊力を弱めにした札を使う事で、フランは仰け反る程度の衝撃しか感じていないはず。

 

これで、終わりだな。

 

 

「(♪)後ろの正面 だあれ…?」

 

 

「………………っ!!?」

 

 

フランちゃんが振り向こうとした時には、既に遅し。

彼女の後ろを取り、首に小柄を突きつけてやった。

 

「勝負ありだな」

 

「うわぁ…あああああ……」

 

恐怖に引きつったフランちゃんの横顔が、はっきり見える。

 

「この小柄には霊力をたっぷり込めてある、少しでも君の肌に傷を付ければ、地獄の痛みを伴う事になるが、それでもよいか?」

 

「う、う、うぅぅ………また負けちゃったよぉぉぉ……」

 

抵抗出来ないと察したフランちゃんは、ガックリとうなだれ、座り込んでしまった。

 

「…それでいい、下手に抵抗して君を傷付けたく無いからな」

 

「く…悔しい! 祐さんにまた負けるなんて、悔しいよぉ!」

 

「…禁忌『カゴメカゴメ』、攻略大成功!」

 

やっと終わりましたか、

マジで疲れたわ…。

 

 

 

 

 

美「い、妹様が…負けた……」

 

咲「一体、何がどうなってたのか…、さっぱり…」

 

パ「まさに、頭脳プレーってヤツかしらね…」

 

レ「やってくれるじゃない、祐助……しかも、フラン相手に血を流すこと無く綺麗な勝ち方だった、凄い人間だな…」

 

一同は驚愕していた。

美鈴と咲夜は開いた口が閉まらず、

パチュリーとレミリアは苦笑いしか出来なかった。

 

 

 

 

 

「そう落ち込むな、なかなか手強いスペルだったぜ、フランちゃんよ」

 

「で、でも……あんな簡単に攻略されたら、自信無くしちゃうよ…」

 

「ならば、次こそ負けないように、努力すればいいんじゃないのか?」

 

「えっ…?」

 

「努力の積み重ねが大切なんだ、それが自信にも繋がるんだからな」

 

「………っ!」

 

「そうじゃないのか? フランちゃん!」

 

 

「……うん! そうだよね!」

 

泣き顔になっていたフランの顔が笑顔に戻り、頭を撫でてやる。

 

「また相手になってやるよ、今度は勝てるように、しっかり頑張れよ!」

 

「うん! 次こそ負けないんだからね!」

 

「よし、その調子だ!」

 

彼女の手を取り立たせてやる

軽いなあ、この子も。

 

 

「なかなか良い勝負だったわよ」

 

「おっ?」

 

傍観していた4人が近付いて来た。

 

美「凄いです、あんなにあっさり攻略しちゃうなんて…」

 

咲「私だって、妹様相手に弾幕ごっこをしたら、多少の怪我はするわ」

 

パ「上手い具合に心理を突いてきたわね、そういう闘い方、貴方は得意ね」

 

祐「これも、君達や他の人妖のおかげさ。 弾幕ごっこってのがどういうものなのか、ようやく理解出来てきたからな」

 

レ「それにしたって、なかなかやるじゃない、スペルカードも持たない人間が、フランのスペルを撃破するなんて」

 

祐「これまでの経験ってやつだよ、生きてきた時間こそ、あんたの半分以下にも満たないが、潜ってきた修羅場の数だけは、負けてないつもりだ」

 

レ「そう……」

 

祐「さて、少し休憩させてくれ、流石に疲れた」

 

俺は、休憩の為に大広間を出た。

 

煙草吸いに行こうっと!

 

 

レ「さあ、私達も戻りましょう」

 

レミリアの一声で、他のメンバーも散っていった。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「次は何する?」

 

「まだまだ夜は長いわよ?」

 

「待てって…、慌てさせんな…」

 

玄関先で煙管を吹かしていると、フランとレミィが抱き付いてきやがった。

フランは何時も通りとして、レミィは従者が居なくなった途端に態度が変わり、幼くなる。

 

上手く、人払いしやがったな。

 

本当に500年以上生きてるんかよ?

この精神的幼い所を見せられると、マジで疑ってしまう。

 

「煙草位吸わせろよ………ふう〜」

 

「「ゲッホ! ゲッホ!」」

 

わざと、煙をコイツらにかけてやった。

 

フ「ちょっと、わざとやったでしょう!?」

 

祐「うん、やった」

 

レ「酷いじゃないのよ!」

 

祐「君達、はしゃぎすぎだ」

 

フ「早く遊びたい!」

 

祐「うるせーよ!」

 

レ「早くしなさいよ!」

 

祐「ゆっくり煙草も吸えないよ……」

 

何かストレス溜まる。

 

祐「はぁ………分かった、相手になってやる」

 

『パンッ、パンッ』と煙管の灰を落とし煙管入れへと仕舞う。

 

フ「ねえ、何して遊ぶ?」

 

レ「また、弾幕ごっこでもする?」

 

祐「ふざけんな」

 

そう言った次の瞬間、隙を突いて二人の背中に、お札を貼り付けてやった。

 

レ「ちょっと、何を…」

 

フ「あれ……力が抜けていく…」

 

祐「やっぱり、吸血鬼にも拘束術式は有効なんだな」

 

「「拘束術式!?」」

 

祐「間違っても札には触るなよ、腕が吹っ飛ぶからな………それっ!」

 

レ「あっ!?」

 

フ「私の帽子?」

 

祐「さぁ、ゲームを始めようか」

 

フ「ゲーム?」

 

祐「そう、これからやるのは、本当の『吸血「鬼」ごっこ』だ」

 

レ「お、鬼ごっこ!?」

 

祐「今の君達は、吸血鬼の力は封印され人間並みの力しか出せない。 もちろん、飛ぶことだって出来ない」

 

フ「えぇぇぇ!?」

 

レ「そんな状態で、私にどうしろって言うのよ!?」

 

「簡単だ、吸血鬼の能力が無くたって走る事は出来る。 その状況で俺から帽子を取り返してみな!」

 

レミィの帽子を被り、フランの帽子を指で回しながら、軽く挑発してやる。

 

フ「お姉様…!」

 

レ「所謂ハンディキャップってやつね………良いわ、やってやるわ、能力を使えなくたって絶対に取り返すしてやるんだから!」

 

おっ、その気になったな!

 

祐「よし、吸血鬼のスピードが出せない君達が、俺の韋駄天に付いて来れるかな?」

 

レ「それは、やってみなければ分からないわね。 でも、その前に……」

 

祐「どうした?」

 

レ「貴方から帽子を奪い返したら、何かご褒美でもくれるの?」

 

なるほど、そう来たか。

 

祐「褒美か、何が望みだ?」

 

フ「えっとね、私は…」

 

レ「私は…」

 

「「貴方の血が欲しい」」

 

祐「俺の血!?」

 

レ「貴方の血、以前少しだけ味見したら、なかなか美味しかったのよ」

 

祐「味見って…、俺は味見などさせた覚えは無いぞ…」

 

フ「私もね、味見したんだ! 祐さんの血って、濃い口で美味しかったよ!」

 

祐「な、何を言っているんですか貴女達は…、意味が分かりません」

 

まさかの、吸血鬼姉妹からの逆襲か?

何気に、死亡フラグが立ってるんですが。

 

レ「どう? その条件、乗る?」

 

祐「………っ」

 

フ「やろうよぉ!」

 

祐「……大量に吸わないだろうな?」

 

レ「大丈夫よ、そこはちゃんと加減するわ」

 

フ「飲み過ぎないようにするよ、約束するからさ!」

 

祐「……………っ」

 

条件に乗るべきか、乗らないべきか…。

 

祐「……1時間だ」

 

レ「えっ…1時間?」

 

祐「そうだ、1時間以内に俺から帽子を奪い返したら、その条件を飲もう」

 

フ「本当だね?」

 

祐「もちろんだ、男に二言は無い。 ただし、1時間を超えても奪い返せなかったから…」

 

レ「うっ……」

 

祐「君達が二度と吸血鬼の能力が使えないように、永久拘束術式を掛けてやるからな」

 

フ「ひぃぃ……」

 

レ「くっ………分かったわ、私達もその条件を飲みましょう、良いわね、フラン?」

 

フ「へっ? 本当にやるの? ヤバくないかな?」

 

レ「やるわよ、私もスカーレット家の当主として、この勝負、受けて立つ。 貴女も同様よ」

 

フ「…わ、分かった……」

 

レミィは少し体が震えているようにも見えたが、その瞳は力強く、確かな決意が感じられた。

フランちゃんは、若干嫌々だったが。

 

祐「よし……これでお互い、勝負に真剣味が増した訳だな」

 

意を決して、腕時計を見る。

時計の針は、もう直ぐ11時を指そうとしている。

 

祐「それじゃあ、ジャスト11時になったら、ゲーム開始だ」

 

レ「分かったわ」

 

フ「…よし!」

 

腕時計を見ながら、その瞬間を待つ。

 

そして、いよいよその時が迫る。

 

祐「時間だ……行くぞ」

 

レ「ええ……」

 

フ「うん……」

 

時計の針が、真上を指した瞬間だった。

 

祐「オラァァァ!!」

 

「「へっ……きゃぁぁぁぁ!?」」

 

俺は、2人を思いっ切り張り倒し、速攻で館へと駆け込み、逃走を開始する。

 

スタートダッシュ成功(笑)

 

レ「ちょっと………そんなの卑怯よぉぉ!!」

 

フ「いったぁぁい……、もう! 許さないわよ! 待てえ、祐助ぇぇ!!」

 

痛みを堪えながら、レミィとフランが立ち上がり、物凄い形相で俺の後を追って来た。

 

 

 

俺は、1時間逃げ切れる事が出来るのか?

 

吸血鬼の能力が使えない彼女達は、俺から帽子を取り返す事が出来るのか?

 

紅魔館を舞台とした、吸血鬼ごっこの始まり始まり!!

 

 

 

続く。




紅魔館を舞台にした「逃走中」が、始まります!

祐助は、最後まで逃げ切れるのか?
レミリアとフランドールは、帽子を取り返せるのか?

その先に、待っているものとは…!?


本来の予定だと、続けて書くつもりでしたが、あからさまに長くなるので、一旦区切りました。


次話の展開がどうなるか、更新まで気長にお待ち下さい。

次回もお楽しみに。
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