すっかり間が空いてしまいました(汗)
それでは、どうぞ!
「ふぅ……」
荷物の整理を終え、俺はバルコニーで煙管を吹かしていた。
昨晩の羞恥には、ホトホト参ってしまった。
本当に、此処の住人の神経を疑ってしまう。
「早いとこ、帰らなきゃな…」
あんな思いをしたなら、普通の人間はとっくに逃げ出しているだろう。
未だにこの場所に居る自分は、我ながら大したもんだぜ。
「おはようございます、祐さん」
「………?」
振り向くと、何事も無かったかのように、咲夜が立っていた。
服装も、何時もの様に整ったメイド服、少しめかしつけている様にもみえるのだが。
「あの、朝食の準備が出来ました…」
「…………っ」
俺は何も答えずに、煙管を咥えたままジト目で睨んだ。
「えっ……あの………祐さん…?」
「お前さぁ…、昨晩あんな事をしておきながら、よくも俺の前に平然とツラを出せたものだな」
「祐さん…あれは、その……」
「ああっ!?」
俺の問いに口ごもり、俯き目が泳いでいる。
普段の咲夜さんなら、絶対に有り得ないだろう。
「すぅ………ふうぅぅ……」
「ゴホッ!……ゲホッ、ゲホッ……」
わざと、煙草の煙を咲夜さんに吹きかけてやった。
ささやかだが、昨日の仕返しだ。
『パンッ、パンッ!』
「朝飯は要らねえ、俺はもう帰る」
煙管をしまうと、客室へ向かおうと歩き出した。
「祐さん、待って!」
後ろから咲夜に声を掛けられるが、最早振り向く気もしない。
そのまま、歩き続けた。
「昨日は……その………ごめんなさい……」
後ろから追って来る咲夜さんから、ようやく詫びの言葉が出た。
「昨晩のあれは………本当にお詫びがしたいと思って……その場の雰囲気っていうか、つい…」
「その結果はどうだった? 俺は非常にムカついたんだが?」
「そ、それは…」
「あれはな、変態がやる所業だ、まともな人間がやる事では無い。 俺は変態と友人になった覚えは無い」
「うっ……」
「寧ろ、男として屈辱を受けたぜ。三十余年生きて来たが、あんな事は初めてだったぞ」
「………っ」
「あんな屈辱、そう簡単に忘れられる様な出来事では無いだろ? こんな事があるのなら、もう紅魔館には来ない。 そんじゃ、あばよ」
客室に到着し、自分の荷物を担ぐと、直ぐに玄関へと向かう。
「待って、祐さん!」
そこで初めて、咲夜に腕を掴まれた。
振り向くと、彼女は涙目で俺を見つめていた。
「本当に…本当にごめんなさい! 貴方が屈辱を受けたというのなら、私は手を付いてでも謝ります! 許して欲しいなんて言いません、しかし……」
「しかし…?」
「私の事は嫌いになってもいい、でも、紅魔館やお嬢様を嫌いにならないで!」
「何故お嬢様が出てくる? これは君の問題だろ?」
「それは……貴方は大事なお客様です、お嬢様にとっても私にとっても……だからまた……来て欲しいの! お嬢様の為にも!」
そうやって自分の事を蔑ろにするのか、コイツは。
「…自分はどうなっても良いっていうのか?」
「はい……」
「この馬鹿たれが!」
「………っ!?」
「お前がいるからこそ、紅魔館は機能してるんだろうが! お前が居なくなったら何にも無くなるんだよ! 主を大切するのは結構だが、自分の事も大事にしろ! 俺はそういうのが嫌いなんだ!!」
「ゆ、祐さん…!」
俺を見つめる彼女の目から、一筋の涙が流れた。
全く、俺ってこういうのに弱いんだよな…。
掴まれた腕をほどき、彼女の涙を拭ってやった。
「はぁ………もう良いよ、今回は水に流してやる」
「えっ…?」
「今回はな、次またやったらキレますよ?」
「………はい!」
やっと彼女に笑顔が戻ってきた。
咲夜さんには、笑顔がよく似合う。
「あの…それで……」
「分かったよ、朝飯を食べさせて貰うよ」
「はい! では、案内しますわ」
彼女は俺の手を取り、食堂へと案内した。
場所は分かってるんだけどなぁ…。
――――――――――――――――――
「ふぅ、朝から食った食った!」
朝っぱらから、鱈腹飯を食ってしまった。
やはり、咲夜さんの作る飯は美味い。
さっきの発言は撤回しよう、そう思ってしまった。
本当、甘いよなあ、俺って。
ひと息入れたら、今度こそ帰ろう。
このまま居座ると、面倒な事になりそうな予感がするのだ。
特に、パチェとリトルには会いたくない。
あの寝言を聞いた後だ、リアルで何か起きそうな気がする。
鞄を担ぎ玄関へと向かう。
扉を開けた瞬間、眩しい日差しが入ってくる。
「朝日が眩しいな…」
一瞬目が暗むが、直ぐに元に戻る。
すると、視界の先に
「えっと、水やりはこんなもなかな?」
美鈴が、花壇の花に水やりをしている最中であった。
「あの野郎……」
彼女を見た瞬間、怒りが沸々と沸き上がって来た。
「………あっ、祐さん! おはようございます!」
「…………っ」
昨晩の事があるから、返事はせずに睨んでいた。
「あの……祐さん……?」
「美鈴…、昨晩はよくもやってくれたな、それでいて今朝は何事も無かったかの様に挨拶か、良い根性してるよなぁ」
「あ…!………あれは…その……咲夜さんがあんな事をするから…つい……」
「人の所為にすんな!」
「いや……だから……」
「オマケに、フランに俺の居場所を教えたな?」
「あれは、えっと……仕方無かったんですよ…妹様に責められたら、嘘は通せないですから……」
「あの時のフランは、能力を封印してあったんだ。 お前は黙ってたって無事だったんだよ」
「そんな!? そんなの聞いてませんよ! 初耳ですよ!」
「じゃかぁしい! 居場所をバラしたらどうなるかって、ちゃんと言ったよなあ?」
「ごごごごめんなさい! どうか許して下さい!」
「聞く耳持たん! 表出ろや!!」
「ひぃぃぃぃ!?」
「貴様のその腐った根性、叩き直してやる!」
「ど、どうかご勘弁を…」
「いいから来い!」
「や、止めて下さぁぁぁぁい!!」
激しく嫌がる美鈴の手を掴み、無理矢理引きずりながら門の方へと向かった。
しっかり、ヤキ入れてやるからな。
――――――――――――――――――
「さあメイちゃんよぉ、此処まで来たら覚悟を決めな!」
「祐さん…、お願いですから止めましょうよ…」
「おいっ! お前は紅魔館の門番だろ? そんな弱気でどうする!? 仮に俺が侵入者だったら何とするつもりだ!?」
「だって……祐さんと闘うと、ボコボコにされちゃうんですから…」
実は、以前何度か稽古と称してメイちゃんと勝負をして、全て俺が彼女をフルボッコにしているのだ。
本人にしてみれば、トラウマものであろう。
「勝てるように努力しろって、何時も言ってるだろう?」
「祐さん強過ぎですよ! 博麗の巫女を育てた実績は、伊達じゃ無いんですから!」
「それとこれとは話は別だ、苦手意識は捨てて、さあ掛かって来い!」
「うぅぅぅ……」
渋るメイちゃん、逃げ場は無いぜ。
「仕方無い………祐さん! 手加減出来ませんよ!」
「いいとも、本気で来い!」
「すぅぅぅ……」
ようやくその気になったメイちゃんが気を練り出し、一気に臨戦態勢に入る。
「はいやぁぁ!」
「ふんっ!」
美鈴が打ち込んで来るのを見定め、次の一手を決める。
「はぁぁ……」
蹴りのモーションに入ったのを見逃さない。
「そらぁ!」
「ふぇっ!?」
両手で脚を止め、
「オラァ!」
『ドガッ!』
「ぐへぇぇぇぇ!?」
俺の膝が、美鈴の鳩尾にクリーンヒット。
メイちゃん、うずくまり悶絶。
「おい、何だそのシケた攻撃は? 本気で来いって言っただろ!?」
「い…いえ……本気ですから……」
「立て! まだ終わりじゃ無いぞ!」
「は、はい……」
何とか立ち上がると、再び気を練り出す。
俺も少しだけ霊力強化しとくか…。
懐に忍ばせた札を取り出し、術式を唱える。
「行きます! 虹府『彩虹の…………うがぁぁぁぁ!?」
彼女がスペルを宣言しようとした瞬間には、一気に踏み込み、またしても鳩尾に一撃を叩き込んだ。
メイちゃん、またしても倒れ込んで悶絶。
ついでに、のたうち回っていた。
「今、何をしようとした?」
「す…スペルの宣言を……」
「遅い、遅過ぎる!」
「そ、そんなぁ!?」
普通の人間じゃ、彼女を伏せる事など出来はしない。
だが俺は…、それが可能である。
普通じゃないから(笑)
「(どうしよう…、このまましゃ、絶対負ける…!)」
「おいおい、俺は人間だぞ? そして君は妖怪だ。 人間なんかに負けて悔しくは無いのか?」
「悔しいけど……けど、祐さんは別格です」
「人間に違いはねぇよ、そんな弱気じゃあまた負けるぞ。 今度こそ本気で来い!」
「く…クソ……!」
立ち上がった可能から、一気に妖気が溢れて来た。
いよいよ本気になってくれたか?
「はぁぁぁぁあ!!」
「あれは……」
「華符『彩光蓮華掌』!」
「来たな…」
米粒のような弾が、拡散しながら俺へと向かって来た。
「こりゃ、勝負というよりスペル攻略だな…」
なかなか、いい弾幕だ。
弾の動きを見極め、右へ左へと回避する。
地上で回避するのは難易度が上がるが、俺にしてみればこれは普通だ。
そうしている間にも、メイちゃんも動き回っている。
彼女のスペルの特徴でもあるな。
これでカメラでも持ってりゃ、切り取り撮影してやるのだが。
「なあ、全く当たらないんだが…、ワザとか?」
「そ、そんな……」
「俺も色んなヤツのスペルカードを見てきたからな、これ位はそよ風が吹いてるみたいで心地良いな、それっ!」
地上での回避が面倒になったので、軽く飛び上がってみた。
「あれっ、祐さん飛べるんですか?」
「おや?以前見せなかったっけ? 一定の条件下なら短時間だけ飛ぶ事も可能だが?」
「し、知りませんでした…」
「最も、俺が空を飛ぶなんて超希少なんだがな」
やっぱり飛ぶと疲れるから止ぁめた。
ゆっくり地上へと降りると、
「…今だ!」
「………っ?」
「それを待っていたわ! 隙ありぃ!」
狙っていたかと言わんばかりに、飛び蹴りを繰り出してきた。
あれで、隙があるように見えたのかね?
大した眼力だ(笑)
「フンッ!」
美鈴の脚を僅かに避け、直ぐに胸倉を掴む。
「なっ……!」
「はいっ!」
そのまま、投げ飛ばしてやるが、
「ふぁぁぁ!」
態勢を取り直した美鈴は、そのまま着地する、流石だ。
だが………!
「隙ありってのはな…」
「えっ……」
彼女が顔を上げた時には
「こうするんだぁぁ!」
『ドゴッ!』
「うがぁぁ!?」
俺の右フックが炸裂し
「はぁっ!」
『ガッ!』
「がはぁぁ!?」
そのまま連続攻撃!
次に左裏拳!
「オラァァァ!!」
『バギィッ!』
「ごばぁぁぁぁ!?」
最後は右アッパーで締め!
俺のお得意の3連続攻撃。
通称、ガ○リングアタック!
それを食らった美鈴は、盛大に吹っ飛んだ。
大抵の相手は、これでKOだ。
幻想郷の強者もこれを受けたら、しばらくは立ち上がれない。
「あーあ、スッキリした……」
「うぎぎぎ……痛い……もうダメ……」
立ち上がる事も出来ず、満身創痍の美鈴。
ちょいと、本気を出し過ぎたかな?
最後の方、骨が砕けた音がしたような…?
「おーい、生きてるかー?」
倒れたメイちゃんに声を掛けるが、弱々しい返事が返って来た。
「な…何とか……生きてる……みたい………です……」
「まだ続けるかい?」
「もうダメです………勘弁して下さい……私、死んじゃいます……」
「心配するな、君はこの程度では死にはしないさ」
「祐さん、酷いです……ていうか、全く手も足も出ませんでした……」
「言っとくけど、そこまで本気で攻めてなかったんだぞ? 最後の一撃は本気だったが」
「あれで本気じゃなかって……悔しい過ぎるぅぅぅぅ!!」
彼女は寝たまま泣き始めた。
こりゃ、本当に悔しかったんだろうなあ。
「悪いが、修羅場を潜ってきた数は君より多い筈だ。 それこそが、俺を鍛えた一因でもある」
「……どうすれば、そんなに強くなれるんですか…? 私ももっと……強くなりたい……」
「強くなりたいなら、武者修行の旅をオススメするよ、幻想郷を歩いていれば幾らでも妖怪が襲って来るからな、それを片っ端からぶちのめして行けば、自ずと実力がついて来る」
「でも、そんな事で……」
「修行あるのみだ!」
俺は、メイちゃんに手を差し伸べた。
「………っ!」
彼女も、俺の手を掴んだ。
そして、起こしてやった。
「大分怪我したな、手当てしてやるよ」
「祐さん…」
近くに置いておいた鞄を取り、中から治療道具を取り出す。
これは何時も持ち歩いているものだ、何かあった時はとても役に立つ。
何てたって、永遠亭の八意永琳の作った薬だからな、信頼性は高い。
「ちょっと染みるぞ、我慢しな」
「あ………いぃぃぃぃ…!!」
消毒液を傷口に付けると、メイちゃんは苦悶の表情で、歯を食い縛っていた。
「此処も傷があるな、ちょちょっと…」
「し、染みるぅぅぅ…!」
「もう少しだ、我慢我慢!」
「ぐぅぅぅぅ……」
手早く傷口の消毒をして、薬を塗り付けた絆創膏を貼り付ける。
「こ、これは……痛いぃぃぃ!!」
「………よし、もう終わりだ。 妖怪の君なら明日には完治するさ」
包帯を巻き終え、今度は薬と水を用意する。
「何ですか、コレ?」
「痛み止めだ、これを飲めばしばらくは痛みを和らげてくれる。 さあ、ぐっと飲め」
「はい……うぐっ…うぐっ…」
俺が渡した薬と水を一気に飲み干すメイちゃん。
「ふう…、ありがとうございました」
「もう大丈夫か? 立てるか?」
「はい…、何とか…」
俺の手を借りて、痛そうにしてたが立ち上がる事が出来た。
「何とか大丈夫そうだな」
「はい、お陰様で。 祐さんは、こんな治療も出来るんですね!」
「俺の稼業は怪我が絶えないからな。 これ位の応急処置はお手の物さ」
まあ、大体は鈴仙さんに教わったんだがな。
「それから…気を付けろよ、肋骨が砕けてるかもしれないからな」
「えっ……」
「さっき吹っ飛んだ時に、鈍い音がしたからさ」
「あう……」
それを聞いてショックを受けたのか、ガックリと肩を落とした。
…敢えて、見なかった事にしよう。
「さて、そろそろ……」
「あ、あの……」
今度こそ帰る支度をしようとすると、メイちゃんに声を掛けられる。
「うん? どうした?」
「また…、勝負してくれますか?」
「もちろんだ、次こそ俺を手こずらせてくれよ?」
「は、はい!」
「よし! そろそろ帰ろうかな……」
「待ちなさい」
「……っ?」
不意に声を掛けられる。
そこには、日傘を差して立っているレミリアさんと咲夜さん、リトルがいた。
レ「面白い余興だったわ」
祐「何だ、見てたのか」
レ「最初からじゃないけどねえ」
咲「やっぱり、美鈴じゃ歯が立たなかったわねぇ」
美「見てたんなら、止めて下さいよ…」
咲「無理よ、ああなったら私じゃ止められないもん」
祐「いや、君なら止められるだろ…」
小「祐さーん!」
祐「うおっ!?」
リトルがいきなり抱き付いてきやがった。
小「次はいつ来るんですか?」
祐「さあ…、いつになるかまだ分からないが……」
小「えぇぇぇ!? 私、寂しいよぉぉ! 出来るだけ早く来てね! 次こそ祐さんをモノにするんだから!」
祐「おいリトル! 誤解を招くような言い方は…………っ!?」
ふと、辺りを見ると、3人が俺をジト目で見つめていた。
レ「祐助…、これは一体どういう事なの?」
祐「どういう事って……小悪魔に聞いてくれないか?」
小「ウフフ♪ 祐さんは私とお付き合いするんですよ!」
『はぁぁぁぁ!?』
一同は驚きの声を上げる。
一番驚いているのは、俺だっつーの。
レ「お、お前! 一体誰に許可を得てそんな事を言っているんだ!?」
小「あら、お嬢様。 妬いてるんですかぁ?」
レ「そ、そんな訳無いでしょ! 祐助は貴女のモノじゃないのよ!?」
小「いいえ、お嬢様のものではありません。もちろん、パチュリー様のものでも無いわ」
祐「そう言えば、そのパチュリーさんは?」
小「まだ寝てますわ、今日はもう起きないかもね?」
「……………っ」
何をしたんだコイツは…。
まさか……そんな事は無いよな?
レ「……とにかく、そんな事は許さないわ!」
小「横取りはいけませんよ?」
レ「うるさーい! 横取りも何も無いでしょうがぁ!」
レミリアさん、顔を真っ赤にして怒っている。
何とかしないと、本当に殺し合いが始まりそうだ。
祐「リトル、 それ位にしな。俺は君と付き合うつもりは無いって言っただろ?」
小「そんなぁぁ!?」
レ「……なぁんだ、ちゃんと分かってるじゃないの、祐助」
祐「かと言って、君でもないからな?」
レ「う〜〜…!」
そこら辺は、はっきりさせておかないといかんからな。
「さて、後は君達で話し合ってくれ。 俺はお暇させてもらう」
鞄を持ち湖の方向を向くと、そのまま歩き出す。
レ「また、必ず来なさいよ。 色々と相手になって貰うから」
咲「祐さん、来てくれたらまた夕食をご馳走しますわ」
美「次は絶対、一矢報いてやりますから!」
祐「おう、期待してるぜ。 じゃーなー」
俺は、振り向く事無く手だけ振って、その場を後にした。
この後はきっと、修羅場になるんだろうな…。
小「ウフフフフ……祐さん、次はいつ来てくれるのかなぁ?」
レ「小悪魔……話がある、今から図書館へ来なさい」
小「何ですぅ? やっぱり嫉妬してるんですか、お嬢様?」
レ「違うと言っているだろ!? 一度お前は躾をし直さなきゃならないようだな!」
小「いやだ、こわーい♪」
レ「コイツぅ……!」
咲「お嬢様、何故そこまでムキになるのですか?」
レ「へっ? 咲夜…?」
咲「彼はモノではありません、ましてやお嬢様1人のモノでは無いのです」
レ「さ、咲夜? 貴女まで何を言い出すの?」
咲「彼は私の……」
美「祐さんは、私と勝負するんです! だから、誰にも手出しさせませんよ!?」
咲「美鈴…、どさくさに紛れて何を言っているの?(怒」
美「祐さんの相手は私です、お嬢様でも咲夜さんでもありません!」
レ「ふーん…、大した度胸ねぇ…」
咲「貴女がそんな事をホザくなんて、思ってもいなかったわ…」
美「やる気ですか? 受けて立ちますよ!」
レミリアは爪を向け、咲夜はナイフを構え、美鈴も直ぐに踏み込める態勢に入った。
小「ちょっと! 私を差し置いて何を勝手な事を言ってるの? 祐さんは私の……」
レ「うるさい! みんな纏めて痛い目に遭わせてやる!」
そこへ、思わぬ横槍が入る。
フ「わーい! 何か面白そうだから、私も混ぜてぇぇ!」
レ「フ、フラン!?」
ズド―――――――ン!!
「うん………何だ……?」
何か、もの凄い爆発音がしたので振り返ってみる。
紅魔館の方角から、凄い煙が上がっているのが見えた。
「あいつら…、やっぱりやっちまったか………放っとけ、気にしない気にしない」
もう、あそこに行くのは懲り懲りだ。
出来れば、もう行きたくは無いな。
……でも、また行くんだろうなあ、きっと………。
お人好しな性格は、これだから困る(苦笑)
「そう言えば、土産物のお菓子が少し残ってたな、誰かに渡さなきゃ…」
鞄の中を確認すると、粒餡最中の箱が幾つか残っていた。
ちと、買いすぎたか…。
「はぁ…、渡すたってなぁ……誰に渡そうか……」
森を歩きながら、その事で悩む俺。
『グォォォォォォォ!!』
「……お前には、これをやる」
シュッ…………チュドーン!
『ギャオォォォォォ…!!』
不意を突いて来る悪い妖には特別サービス。
博麗札では無く、守矢札をお見舞いしてやる。
「どうだい? 霊力ばかりじゃ詰まらないだろ? たまには神力で退治されるのも最高じゃないか?」
『……………っ』
だが、その妖はピクリとも動かなかった。
「おやっ、即死か………お気の毒様」
博麗札も十分凄いが、守矢札もなかなかの威力だ。
流石は、あの二柱が力を込めてるだけはあるな。
「一応、封印しておくか…」
屍になった妖の身体に博麗札を貼り付け、封印術式を唱える。
これで、復活する事は二度と無いだろう。
別に殺してしまう事は無かったか?
仕方ない、これは不可抗力だ。
守矢札が凄すぎるんだ。
それに、身に降る火の粉は振り払わなければならない。
コイツも、襲う相手が悪かったな…。
しかし、よく考えてみれば、今回の外出で初めて妖に襲撃されたんだよな。
……何かこう、もっと骨のある妖は居ないもんかねぇ?
「慶治や平九郎の方がよっぽど手応えあるぜ…」
まあ、あの2人と比べたらダメか。
その場を離れ、再び森の中を歩き出す。
「(♪)春は名のみの 風の寒さや
谷のうぐいす 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず〜…」
早春賦を口ずさみながら、森を散策して歩く。
童謡を歌うと、何だか気持ちが落ち着く。
さっきの様な殺伐とした妖怪退治をした後でも、童謡を口ずさむと気持ちが和むものである。
「(♪)氷融け去り 葦はつのぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日も昨日も 雪の空
今日も昨日も 雪の空〜……
………昔を思い出すなぁ…」
柄にもなく、黄昏ってしまった。
すると、遠くの方から何か音が聞こえた。
「うん……?」
『ドドドドン!………ドンドンドン……ドガガガガ……!』
「何だか、激しいリズムだな……」
『ドガガガガ! ドドドドドドドドドンドガ!………ヒャッハ―――!!』
「………プリズムリバーの音では無いな……」
こんな激しいドラムのリズム……、ビートを奏でるのは幻想郷じゃ、1人しかいない。
「堀川雷鼓め……」
昼間だからいいものの、こんな音を真夜中に放たれては、近所迷惑もいいとこだ。
「せっかくだし、行ってみるか…」
お土産のお菓子も残ってる事だし、丁度良い。
そんな訳で、俺は激しいビートを奏でるライブ会場(笑)へと、向かってみるのであった。
続く…。
紅魔館を離れても、また一騒動の予感が……?
すっかり、失踪常習犯になってしまいました、皆さんお元気ですか?
ペースは上がらなくても、どうにか続けてはおりますw
執筆ペースが上がらないのは、単に自分のモチベーションに問題があるんですが…。
暑い日々が続きますが、少しずつ進めていきます。。。