痛快! 男達の幻想郷   作:豊之丞

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前半、ほとんど戦闘描写です。
残酷描写も多いので、ご注意下さい。

それでは、どうぞ。


最後に始末をつけたのは…

「貴方の仕事が…、妖怪退治だったなんて…」

 

(あっ…、逆に警戒されてしまったか…)

 

「心配するな、今君を退治しようなんて、これっぽっちも考えちゃいないよ」

 

「…本当に?」

 

朱鷺子は、恐る恐る祐助に聞いてきた

 

「本当だって! それよりも、油断するなよ。 まだ4匹居るんだからな」

 

「あっ…、うん…」

 

4匹の妖怪相手に、2人は身構えた

 

「良いか朱鷺子、お前は俺が合図したら弾幕を撃ちまくれ。 3匹は俺が相手をする。 お前は1匹だけ相手をしてくれればいい」

 

「えっ、貴方が3匹も!? 大丈夫なの?」

 

「君は戦闘が苦手なんだろ? だが、1匹なら何とかなるだろ?」

 

「まあ…、1匹位なら何とかしてみるけど…」

 

「よし、恐らく奴らの狙いは『人間』である俺だ。 君は、そのついでなんだろう…」

 

「何よそれ…、迷惑千万じゃない!」

 

「まあ、文句もあるだろうが…、話の続きはこいつらを殺ってから聞こう」

 

「もう……」

 

若干涙目の朱鷺子

 

 

「ガァァァァ!!」

 

ついに、4体の妖怪が動き出した

 

「朱鷺子、ぶっ放せ!!」

 

「ええい! 行くわよぉ!」

 

祐助の掛け声で、弾幕を展開する朱鷺子

 

「はぁぁぁ! 当たれぇぇぇ!」

 

一心不乱で、弾幕を撃つ

 

「グワァァァ!」

 

数発の弾幕が、妖怪達にヒットし動きが鈍る

 

「いいぞ朱鷺子、その調子だ!」

 

弾幕が展開される中、隙を見て祐助が飛び出した

 

走りながら、警戒棒に博麗札を巻く

 

「先ずはお前からだ」

 

先頭に居た妖怪に狙いを定め、襲いかかる

 

「はぁぁ!!」

 

警戒棒の一撃を、顔面へと叩き込む。

 

「ガァァァァ!?」

 

『グシャッ』っという鈍い音、妖怪の顎の骨が砕けた。

 

「ラァァァ!」

 

そして、間髪入れずに妖怪の心臓目掛けて、棒を突き刺した

 

「ウガァァァ!!」

 

妖怪は悲鳴を上げながら倒れた

 

「まず一匹と…」

 

血で汚れた腕を気にすること無く、すかさず残り三体の妖怪をけしかけに入る

 

「何処を見ている? こっちからも来るぞ!」

 

三体の妖怪目掛け、博麗札を投げつける

 

「1…2…3…4…」

 

カウントしながら、縦横無尽に動き回る

 

「5…6…7…」

 

妖怪達に触れる度に、札は爆発を起こす

 

それを見ながら、祐助は確実に妖怪の動きを封じていた

 

「8…9……」

 

次のカウントに入る瞬間、祐助の動きが妖怪の方へと向いた

 

「10!!」

 

一気に、一体の妖怪との間合いを詰める

 

その動きは、もはや人間離れしている様な機敏なもの

 

「先ずは右腕だ」

 

妖怪の懐に潜り込み、先ずは右腕を突く

 

「ガァァァァ!」

 

『バギッ!』骨が砕ける

 

「お次は左ぃぃ!」

 

その勢いで、左腕を串刺しにする

 

「ウガハァァァ!!」

 

両腕を封じられたら妖怪は悲鳴の様な叫びを上げる

 

「お前は…」

 

祐助は、最初に倒した妖怪に使った針を手に持ち

 

「そこで、一生寝てなぁぁ!」

 

『グサリッ!』

 

顎下から針を突き通す

 

針先は、妖怪の脳天を貫通し、それは正に『串刺し』であった

 

あれほど暴れ狂っていた妖怪が、静かに倒れる

 

「す…、すっげぇぇぇ…」

 

その衝撃的な光景を、朱鷺子は唖然として見ていた

 

「スリーダウン!残り二匹!」

 

再び狙いを定めるも、予想外の事態が起きる

 

爆発から復帰した一体の妖怪が、朱鷺子目掛け突進し出したのだ

 

「ああ!? 私のところに!?」

 

「いかん! 朱鷺子、弾幕を撃ちまくれ!」

 

祐助は直ぐに朱鷺子に指示を出す

 

「来るなぁ! 来たら殺すわよ!」

 

朱鷺子は、がむしゃらに弾幕を放った

 

「大丈夫かアイツ…」

 

横目で見ながらも、祐助は体勢を崩さない

 

「グルルルル…」

 

目の前には、まだ一体の妖怪が今にも襲わんとばかりに唸り声を上げていた

 

「チッ…、針と棒を回収する間は無さそうだ…」

 

そう呟くと、祐助は懐ポケットから短刀と札を取り出し、札を短刀に巻き付け始める

 

「グォァァァ!!」

 

それを待つこと無く、妖怪が奇襲をした

 

「甘い!」

 

素早く横へと回避し、妖怪に札を投げつける

 

「ガァッ!」

 

妖怪は、飛んで来る札を全てかわしてしまった

 

「ほう…、少しは学習した様だな…」

 

「ガルルル…」

 

札を避けた妖怪が、再び祐助を睨み付ける

 

「だが…」

 

「グォォォォ!」

 

祐助目掛け猛ダッシュする妖怪

 

 

「足下だぁぁ!」

 

 

祐助が叫んだ瞬間、爆発が起こった

 

 

「ガァァァァ!?」

 

 

あの僅かな時間で、妖怪の足元に複数の博麗札が撒かれていた

 

 

「終わりにしてやる…」

 

 

彼は、短刀の鞘を抜くと、爆発で怯む妖怪目掛けて全力疾走した

 

 

「ガルルル!!」

 

 

怒り心頭する妖怪

 

 

「その身に刻め…」

 

 

だが

 

 

「ガァッ!?」

 

 

再び、祐助の姿を捉えた時

 

 

「紫電……」

 

 

既に、目の前に迫り飛び上がっていた

 

 

「一閃!!!」

 

 

祐助の叫び声と共に、刃先が妖怪の頭目掛けて振り下ろされた

 

 

「ギャォォォォォ!!」

 

 

頭から真っ二つに切り裂かれた妖怪は、断末魔の叫びと共に血飛沫を上げ、果てた

 

辺りは、既に血の海と化していた

 

「迷う事無く地獄に行きな…」

 

短刀に付いた血を振り払いながら、祐助は言い放った

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

すると、少し離れた場所から朱鷺子の叫び声が聞こえた

 

「朱鷺子!?」

 

すぐさま、彼女の元へ向かう祐助

 

「ガァォォォ!」

 

最後に残った妖怪は、朱鷺子を執拗なまでに攻めていた

 

「何で、コイツは弾幕が効かないのよ!?」

 

朱鷺子から放たれた弾幕は、妖怪にヒットするも全くダメージを与えられていない

朱鷺子のスタミナが、限界に近付いていたのだ

 

「どうしよう、何か手を……うわぁ!?」

 

慌てていたせいで、石に躓いてしまう

妖怪は、その隙を見逃さなかった

 

「グォァァァァ!!」

 

妖怪から繰り出された一撃が、彼女を捉える

 

「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!」

 

強烈な一撃に、朱鷺子は吹っ飛ばされた

 

「朱鷺子!? この野郎ぉぉ!」

 

それに激怒した祐助が、妖怪の背後から博麗札を投げつけた

 

「ガァァァァ!?」

 

爆発により妖怪を足止めし、朱鷺子の元へ駆け寄る

 

「朱鷺子! 大丈夫か!?」

 

「ゆ、祐助…、痛いよぉぉ…」

 

彼女の身体は、妖怪の一撃によって、腕と腹部が切り裂かれ、血が流れていた

 

「…大丈夫だ、傷はそこまで深くはないぞ」

 

「で、でも…、私…限界……」

 

「グォァァァァ!!」

 

二人の会話を遮る様に、妖怪が再び迫ってきた

 

「来やがったな…!」

 

構え直し、懐に手をやる

 

しかし…

 

「……っ!? しまった!!」

 

先程の妖怪との戦闘で、博麗札を使い果たしてしまっていたのだ

 

「朱鷺子! 危ない!!」

 

祐助は、庇う様に朱鷺子の前に出る

 

「ゴァァァ!」

 

「うぉぁぁぁぁ!!」

 

妖怪の放った一撃に、今度は祐助は吹き飛ばされてしまう

その衝撃で、持っていた短刀を離してしまった

 

「ゆ、祐助ぇぇぇ!!」

 

朱鷺子は悲鳴を上げながら祐助の元へと駆け寄った

 

「クソ…、俺とした事が…」

 

「祐助! しっかりしてぇぇ!!」

 

切り裂かれ傷からは、朱鷺子以上の血が流れ、紺色の服を赤く染めていた

 

「仕方ない、飛び道具を…」

 

「グァァァァ!!」

 

祐助が拳銃を出そうとした時には、妖怪が迫って来ていた

 

「きゃぁぁぁ! 来ちゃうぅぅぅ!?」

 

「クソ、間に合わない! 朱鷺子ぉ!」

 

彼は庇う様に、朱鷺子を抱いた

 

 

その瞬間であった

 

 

「ギャォォォォォ!?」

 

 

その妖怪は、何者かによって切り裂かれたのだ

 

「…へっ!?」

 

「な、何が起こった…?」

 

 

「ふう…、ギリギリ間に合ったようだね」

 

「り、霖之助さん!?」

 

妖怪の骸の後ろから現れたのは、草薙の剣を持った森近霖之助であった

 

「助太刀が遅くなって済まない、大丈夫かい?」

 

「「た、助かった…」」

 

助かった事を実感した二人は、その場にへたり込んでしまった

 

――――――――――――――――――

 

「…全く、危ない所だったね」

 

「いやぁ、今回はマジで死ぬかと思いましたよ…」

 

「君ともあろう者が…、僕が居なかったら間違い無く死んでいたんだよ?」

 

「面目ない…」

 

霖之助に傷の手当てを受けながら説教を受け、祐助はうなだれていた。

 

「そんなに怒らないで、彼は命がけで私を助けてくれたんだから!」

 

先に傷の手当てを済ませた朱鷺子が、祐助を庇護した。

 

「…君がそこまで言うなら仕方ない、説教はこれ位にしておこう」

 

「霖之助さん、本当に恩に着る…」

 

手当てを終えた祐助は、霖之助に頭を下げた。

 

「…ところで、君達は今日は何をしに店に来たんだい?」

 

「ああ、それなんだが…」

 

 

祐助は、これまでの経緯と事情を霖之助に説明した。

 

 

「…なるほど、霊夢が売りに来た本は、その妖怪から奪った本だった訳だね」

 

「そうなんですよ、霊夢のヤツ、今度説教してやらないと…」

 

「もう何年も前の事だから、彼女は忘れてるんじゃないかな?」

 

「可能性は十分にありますね……で、その3冊の本はまだありますか?」

 

「どうだろう? 売れた記憶は無いのだが…、その本棚を調べてみるといい」

 

「分かりました、朱鷺子、探してみな」

 

「う、うん」

 

霖之助の許可を貰い、彼女は本を探し始めた。

 

「うーん、これは違うし…、これも違う…」

 

「俺も手伝ってやりたいが、今は休みたいから…」

 

「ううん、大丈夫! 私が探すから」

 

朱鷺子は笑顔で応えて、本を探し続けた。

 

 

探す事、約30分…。

 

 

「えっと……あっ…、あった―――!!」

 

「あったか!?」

 

「うん! これで間違い無い! あったよぉ!」

 

彼女は満面の笑みを浮かべ、その本を見せた。

 

「これか………ほう…、君はこんな難しい本を読んでいたのか」

 

「うん、とっても面白いのよ!」

 

「そっか…、ていう事で霖之助さん、この本を買い取りますよ」

 

「買ってくれるのは嬉しいけど、良いのかい? 君自身の買い物はしていないが」

 

「良いんですよ、自分の買い物は次回にでも出来ますし、彼女の笑顔を見てたら苦労した甲斐があったってもんです」

 

「祐助…、ありがとう……ありがとう…、この恩は一生忘れない…、うぇぇぇん…」

 

朱鷺子は、祐助の手を取り泣きじゃくっていた。

 

「おい、もう泣くなよ、面倒くせえなぁ…」

 

「全く、君もお人好しだね…」

 

祐助は戸惑い、霖之助は苦笑いしながらも、何処か温かい眼差しで二人を見ていた。

 

 

しばらくの間、二人は香霖堂で過ごし、日が傾きかけた頃に店を出た。

 

「また来ますよ、霖之助さん」

 

「君は大切なお客だからね、何時でも歓迎するよ」

 

「あっ…、店の前を荒らしてしまい、すみません…」

 

「気にしなくていいよ、後で片付けておくから。霊夢に退治依頼をしようかと思っていた所だから、手間が省けたよ」

 

「そ、そうですか…」

 

「今日はありがとね!」

 

「ああ、今度は霊夢に奪われないようにするんだよ」

 

「うっ…」

 

「「ハハハハ…」」

 

そうして、店を後にした二人。

 

「私、行くね」

 

「ああ、気を付けて帰れよ」

 

そう言って朱鷺子は背を向けたが、もう一度祐助の方を向いた。

 

「ねぇ…」

 

「…うん?」

 

「今日は、助けてくれて本当にありがとう…」

 

「気にするな、困った時はお互い様だ」

 

「うん……ねぇ、今度遊びに行っても…良い…?」

 

「ああ、いいとも。 何時でも来な」

 

「ああ……、嬉しい…」

 

「…どうした?」

 

「祐助、だ――いすき―――!!!」

 

朱鷺子は、思いっ切り祐助に抱き付いて来た。

 

「ちょ、おい! 何だよ!? 痛えよぉ!」

 

「約束だよ! また遊ぼうね!」

 

そう言って、彼女は飛び去って行った。

 

「…何だったんだ? 今のは…」

 

突然の出来事に、祐助は呆然としていた。

 

「はぁ、帰るか…」

 

仕事道具が入った鞄を担ぎ直し、里へと歩き出した。

 

 

しかし、後に慧音達に怪我の原因を追及され、こっぴどく怒られたのは言うまでもない

 




朱鷺子って、可愛いですよね!
書いているうちに、そう思うようになってきました^^

でも、メインヒロインは朱鷺子ではありません。
今後も、それなりに出番はあると思いますが…。

本作は、「男臭い」がウリの小説ですから。


……やっぱ、無理かな?(爆
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