黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

だんだん自身のネタの引き出しがなくなってきたorz

それではどうぞ!



第103Q~トライアングルツー~

 

 

 

第2Q、残り6分38秒

 

 

花月 29

陽泉 34

 

 

花月、上杉が動く。松永に代わって室井を投入した。

 

「頼む、任せたぞ」

 

「はい。死力を尽くします」

 

コートが出る松永が室井をハイタッチを交わし、室井の肩と腰を叩きながら激励をした。

 

『交代はともかく、何で8番(松永)と交代なんだ? それじゃサイズダウンして余計ゴール下が薄くなるだろ…』

 

『代えるならせめて5番(生嶋)だろー』

 

観客席からこの交代策への疑問の声が飛び交う。松永の身長は196㎝。対して室井は188㎝。ただでさえサイズで劣る花月がサイズダウンさせる事は普通に考えてリスクが大きい。

 

 

「さつき、あいつの事、知ってるか?」

 

「ちょっと待って。えっと…」

 

青峰に尋ねられ、桃井は持っていた。鞄から1冊のノートを取り出し、めくり出す。

 

「室井総司。今年花月に入学した1年生。データがあまりないからどういう選手かは分からないけど、少なくともバスケを始めたのは高校に入学してからだし、きーちゃんのような才能もないから大ちゃんが注目する程の選手とは思えないけど…」

 

自身のノートを読みながら分かっている事を説明する桃井。

 

「ただ、中学時代は陸上の選手で、色んな競技で入賞や表彰台に上がった選手らしいから、身体能力はかなり高いと思うわ」

 

「ふーん」

 

一瞬興味を抱いた青峰だったが、桃井の話を聞いて興味をなくしたのであった。

 

 

陽泉ボールで試合が再開される。

 

「…」

 

ボールは木下から永野に渡る。依然として花月のディフェンスはマンツーマン。先程入った室井は松永がマークしていた紫原に付いている。

 

「(サイズダウンしてまで交代してきたんだ、12番(室井)は紫原対策なのは間違いない…)」

 

ローポストに立つ紫原。その背後でマークしている室井に視線を向けながら思考する。

 

「寄越せ!」

 

背後の室井を背負いながら紫原がボールを要求する。

 

「(あいつに紫原が止められるとは思えない。向こうが何をするつもりか、試してみるか!)」

 

意を決して永野が紫原にパスを出した。

 

「何のつもりかは知らないけど、お前じゃ俺は止められないよ」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

紫原はボールを突きながら背中で室井を押し込んでいく。

 

「…ぐっ!」

 

パワー勝負を仕掛ける紫原。室井はジリジリと押し込まれていく。

 

『そりゃそうだ! あのサイズで止められる訳がない!』

 

観客から溜息が漏れる。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ゆっくり、確実にゴールへと近づいていく紫原。

 

「ダメか…!」

 

ベンチから悲痛の表情で呟く菅野。その時…。

 

 

――キュッ…。

 

 

紫原の侵入が止まった。

 

『なっ…!』

 

「何だと!?」

 

侵入が阻止された事に陽泉の選手及び荒木が驚愕の声が飛び出る。

 

「っ! ものすごいパワーだ。だが、止められない程ではない…!」

 

決死の表情で踏ん張り、紫原を押し止める室井。

 

「(…ちっ、力を込めても押し込めない)」

 

自分が押し止められている事に軽く苛立つ紫原。

 

「ふーん、意外とやるんだねー。…けどさ」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ここで紫原は高速でスピンターンで反転、室井の裏を抜ける。

 

「っ!?」

 

押し返す事に全力を注いでいた室井はこの動きに対応出来なかった。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

そのまま紫原はワンハンドダンクを叩きつけた。

 

『おぉぉぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

「それで止めたとか思わない事だね。その程度じゃ俺は止められないから」

 

リングから手を放し、振り返った紫原は睨み付けながら室井に言い放った。

 

「(…ローポストからのオフェンスのパターンは松永先輩から教わっていたが、この人と松永先輩とではスピードとキレが比較にならない…!)」

 

何とか紫原の押し込みを阻んだ室井だったが、その後の動きに対応出来なかった。たださえ押し返す事に全力を注いでいるのに、そこにこのスピードで来られればバスケを本格的に初めて4ヶ月足らずの室井では対応出来ない。

 

室井の投入は紫原対策。その役を担い、役目を理解している室井は表情が若干曇る。

 

「よーやった室井」

 

そこへ、天野が駆け寄った。

 

「あの紫原の侵入を阻めただけでも上出来や。お前さんがパワーで対抗出来る事が出来るなら、後はやりようあるわ」

 

肩に手を置き、室井を激励した。

 

「そんじゃ、当初の予定通り行きますか」

 

「せやな」

 

やってきた空が天野に語りかけ、ニヤリと笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

フロントコートまでボールを運ぶ空。

 

「…こい」

 

ディフェンスに立つ永野が気合い充分で待ち受ける。

 

「…」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

一気に加速した空が中へと切り込む。

 

「…っ、行かせるか!」

 

空のドライブを読み切った永野はピタリと横に並びながら空を追いかける。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

バックロールターンで反転し、逆を付いて永野をかわす。

 

「ちっ!」

 

集中力を全開してもなお止められなかった事に悔しそうに舌打ちをする永野。

 

「止める!」

 

「サセナイヨ!」

 

渡辺とアンリがヘルプに飛び出し、空の進路を塞ぎにかかる。

 

 

――スッ…。

 

 

囲まれる前に空は頭上から真後ろにボールを放る。

 

「…あっ!?」

 

ボールの先、リングからほぼ正面のスリーポイントラインの外側に走りこんでいた生嶋にボールが渡る。生嶋をフリーにしてしまった木下は思わず声を上げる。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

フリーでボールを受け取った生嶋は悠々とスリーを決めた。

 

「さすがです。生嶋さん」

 

「これが僕の仕事だからね」

 

ハイタッチをしながら大地は労った。

 

 

「神城、広い視野をだいぶ生かせるようになったな」

 

一連のプレーを見ていた赤司がポツリと呟いた。

 

 

オフェンスは切り替わり、陽泉ボール。永野がぼーるを運ぶ。

 

「…おっ?」

 

「これは…!」

 

花月のディフェンスが変わった事に声を上げる永野と渡辺。

 

これまでマンツーマンでディフェンスをしていた花月。それが大地がアンリ、生嶋が木下をマークし、残りはインサイドでゾーンを組むいわゆるトライアングルツーに変わった。

 

「正気か? ウチの最大の得点源は紫原だぞ。普通やるなら2-3ゾーンだろ…」

 

花月の選択を理解出来ない永野は思わず本音が口から飛び出る。

 

トライアングルツーは永野の言う通り、得点力の高いインサイドプレーヤーがいる場合、効果は薄い。

 

「(さてどうするか。木下は……マークがきついな、ボールは渡せるだろうがあれじゃ外は打てねえ。ならアンリで外から切り込ませるか…)」

 

如何にアンリと言えど、大地は簡単にかわせる相手ではない。仮に抜けても中には3人のゾーンが待ち受けている。

 

「いつまでボール止めてんの? いいから俺にボール寄越せよ!」

 

ドリブルをしながらゲームメイクをしている永野に痺れを切らし、背中に立つ室井とポジション争いをしている紫原がボールを要求する。

 

「(…何かしらの策があるのは明白だが、だからと言ってそこを攻めない手はないか。その何かを早めに引きずり出した方が対策を考えられるし、何より紫原をどうにか出来るとは思えねえ!)紫原!」

 

素直に紫原にパスを出した永野。

 

 

――ガシィィィッ!!!

 

 

「ぐっ! 行かせん!」

 

腰を落として全身に力を込めて紫原の侵入を防ぐ室井。

 

「無駄だって言ってんの分かんないかなー」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

紫原はスピンムーブで室井をかわす。

 

 

――バチィィィィッ!!!

 

 

だが、その直後伸びてきた1本の手が紫原の持つボールを叩いた。

 

「良いんだよ。室井の仕事はあんたを押し止める事だからな。ゴール下に入られたら止めようがねえが、入られなけりゃ止める方法はある!」

 

ボールを叩いたのは空。スピンムーブでかわした直後の一瞬の隙を狙いうった。

 

「っ!? くそっ!」

 

空にボールをカットされた紫原は睨み付けるような視線を空に向ける。

 

「速攻!」

 

ボールを確保した空はすぐさま前線へとボールを放った。

 

「さすがです、空!」

 

前線に既に走っていた大地がボールを受け取り、そのまま速攻をかける。リング付近までドリブルした所でボールを掴み、跳躍する。

 

「打タセルカ!」

 

速攻に大地に追い付いたアンリがブロックに現れる。

 

『うわー! 速い上にたけー!』

 

大地より高く飛んだアンリに観客が悲鳴のような歓声を上げる。

 

「やはり来ました。ですが、想定済みです!」

 

 

――スッ…。

 

 

大地は掲げたボールを下げ、ブロックに現れたアンリをかわしながらそのままリングの下を通過する。

 

「ッ!?」

 

 

――バス!!!

 

 

リングを通過した所でボールを再び掲げ、リングに背を向けたままボールを放る。ボールはバックボードに当たりながらリングを通過した。

 

『うおぉぉっ! こっちもスゲー!!!』

 

技ありのダブルクラッチで大地が得点を決めた。

 

「クッ!」

 

ブロック出来なかったアンリは悔しさを露にする。

 

「ドンマイアンリ! 取られたなら取り返そうぜ!」

 

「アァ、ソウダネ」

 

永野に声を掛けられたアンリは気持ちを切り替え、ボールを永野に渡したのだった。

 

 

「…」

 

再び陽泉のオフェンス。花月は先程と同様トライアングルツーで待ち受けている。

 

「(…ちっ、このトライアングルツーは紫原を止める為のものか…!)」

 

花月のこのトライアングルツーの意図に気付いた永野。

 

室井がそのパワーで紫原のゴール下への侵入を阻止し、そこからターンやムーブで動いた所を空か天野がすかさずボールを奪い去る。それがトライアングルツーに切り替えた目的だ。

 

 

「無茶苦茶に見えるけど、結構理に適っているかもしれないわね」

 

先程のディフェンスを見たリコが感想を話す。

 

「パワーに特化した室井君が紫原君の侵入を阻み、スピードに優れる神城君とディフェンスに優れた天野君がボールを奪う。外の木下君とアンリ君はしっかりカバーされてるし、万が一他から攻められても神城君と綾瀬君ならそこもカバー出来る」

 

『…』

 

「あの室井君。合宿の時に服越しから見たから正確な数値ではなかったけれど、全体の数値は火神君より高かったのは知っていたけど、まさか紫原君とパワー勝負が出来る程だったとはね。おじ様ったらとんでもない隠し玉を用意していたのね」

 

ベンチに座っている上杉に視線を向けるリコ。

 

「完全にではないけど、これで花月の懸念の材料が1つ減ったわ。後はもう1つね」

 

リコはコート上のある選手に視線を向けたのだった。

 

 

「(中に切り込んでもゾーンが待ち受けてる。神城が紫原対策で距離を取ってるから外は打てるが俺は外はあまり得意じゃねえし。何よりこの距離、神城なら一瞬で潰してくる)」

 

現状、永野はボールをキープしているが実質ノーマークの状態である。だが、空の放つプレッシャーを肌で感じており、ここから打っても切り込んでも止められる事を肌で理解していた。

 

「(だったらここだ。ウチは紫原だけじゃねえんだからな)」

 

ここで永野がパスを出す。ボールの行き先は…。

 

『また来た!』

 

アンリが右45度の位置でもボールを受け取る。

 

「今度こそ…!」

 

これまで何度もやられている大地。今度こそはと気合を入れる。

 

「無駄ダヨ。君ニ僕ワ止メラレナイ」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

歩幅を広くとったストライド走法からの高速のドライブで大地を再び抜き去るアンリ。

 

「くっ!」

 

集中力を高めてもなお止められなかった事に大地は悔しさを露にする。

 

大地を抜き去ったアンリはボールを掴んでリングに向かって跳躍する。

 

「くっ、何度も決めさせへんわ!」

 

ヘルプに出た天野がリングに向かうアンリに向かってブロックに飛んだ。

 

 

――ガシィィィッ!!!

 

 

空中で両者が激突する。

 

 

『ピピーーーーーーーーー!!!』

 

同時に審判が笛を吹いた。

 

「…クッ!」

 

ダンクを阻まれたアンリ。苦し紛れにリングにボールを放る。だが、ボールはリングまで数㎝の所で落ちていった。

 

『ディフェンス! イリーガル、緑7番! フリースロー!』

 

ディフェンスファールが宣告され、陽泉にフリースロー2本が与えられた。

 

「…っ、俺も焼きが回ったもんや」

 

ディフェンスに定評がある天野がファールをする事でしかアンリを止められず、表情が曇る。

 

「…」

 

フリースローラインに立ったアンリが何度かボールを弾ませ、ボールの縫い目を確かめながら構え、1投目を放つ。

 

 

――ガン!!!

 

 

ボールはリングに嫌われる。

 

「ムゥ」

 

1投目を外し、落胆の溜め息を吐くアンリ。

 

 

――ガン!!!

 

 

続く2投目も外す。

 

「リバウンド!」

 

すかさず天野が動き、最良のポジションを確保する。

 

「おっしゃ! リバウンドは――」

 

手を伸ばしてリバウンドボールを抑えようとしたその時…。

 

「もーアンちん。ちゃんと決めてよー」

 

天野の後ろから紫原が手を伸ばしてボールが天野の手に収まるより早くボールを手中に収めてしまった。

 

「何やと!?」

 

リバウンドを取れたと思っていた天野は思わず声を出てしまう。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

着地を同時にもう1度飛び、右手に持ったボールをリングに叩きつけた。

 

「アリガトウ、助カッタヨ!」

 

「次はちゃんと決めてよ」

 

紫原に駆け寄ったアンリが笑顔で礼を言うと、ジト目で紫原は返した。

 

「あれを取ってまうんかい。冗談きついで」

 

自身の後ろからあっさりリバウンドボールを取ってしまった紫原の高さと腕の長さにげんなりする天野。

 

「ドンマイです、天野先輩」

 

天野に歩み寄った大地が激励する。

 

「スマンのう。ファールした挙句にリバウンドも取られてしもた」

 

「あれは仕方ありません。それに、今のファールのおかげでアンリさんを止める糸口が見つかりました」

 

「ホンマか!?」

 

「完全には難しいですが、これまでのように抜かれないようにする事は出来そうです」

 

「そら何よりや。紫原は俺達に任せとき。お前はあの外人を何とかしいや」

 

「任せて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

花月のオフェンス。空がボールを運ぶ。

 

「…」

 

陽泉のディフェンスがより前へとプレッシャーをかけてきた。紫原を除く4人はとにかくスリーを要警戒、生嶋には特にプレッシャーをかけていた。万が一突破されても紫原のディフェンスエリアと能力を信頼しての選択だ。

 

「…フー」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

息を深く吐いた空は同時に一気に中へとカットインをした。グングン加速をし、ゴール下で待ち構える紫原に接近していく。

 

「なに? お前が来るの? いいよ。捻り潰してやるよ」

 

紫原が空を睨み付けながら待ち構える。

 

「(…チラッ)」

 

距離が詰まる直前に空が視線を左に向ける。同時に生嶋が動き、マークを外す。

 

「なーんだ、結局パスするんじゃん」

 

「何度もスリーが撃てると思うな!」

 

左アウトサイドに走る生嶋にいち早く気付いた木下が生嶋を追いかける。気付いたのが早かった為、生嶋はマークを外してきれていない。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

だが、空はパスをする事無くリングへと突っ込んでいった。

 

「生嶋への視線はフェイクか!」

 

「つまんねー小細工したって無駄なんだよ!」

 

視線のフェイクに一瞬釣られるもすぐさま反応した紫原がリングを塞ぐようにブロックに飛んだ。

 

 

――フワッ…。

 

 

紫原がブロックに現れる直前に空はボールを右手で構え、紫原のブロックを越えるようにフワリとボールを押すよう放った。

 

「っ!?」

 

 

――ガガン!!! バス!!!

 

 

ボールはリングの縁に2度当たり、バックボードに当たってリングを潜った。

 

 

『スゲー! あいつ、紫原から点を奪いやがった!』

 

「…っ、ティアドロップ……いや、あれは…」

 

「ヘリコプターショットだ。それも紫原のブロックをかわす程の…!」

 

技ありの空のシュートを見て四条と五河が驚愕する。

 

空が見せたのはフィンガーロール、指先でボールに回転をかけながらボールを真上に上げながら放つヘリコプターショットと呼ばれるハイループレイアップである。

 

 

「俺ならいつでも止められると思った? 油断してると今みたいに足元掬われるぜ」

 

ドヤ顔で紫原に言い放つ空。

 

「…っ! 何度も決められると思うなよ。次は絶対捻り潰す!」

 

空に自身をかわして得点を決められるという屈辱を味わった紫原は一層闘志を燃やした。

 

「(…紫原の高さを想定して高いループのレイアップを練習してきたけど、想定と実物じゃ、プレッシャーがまるで違う。正直、今のは運よく入っただけだ。もう少し修正しねーとな)」

 

ブロックに来た紫原のプレッシャーで僅かに手元を狂わせてしまい、キレイに決められなかった空。紫原のスピード、高さ、反射神経を再度計算し直したのだった。

 

再び陽泉ボール。永野はゾーンディフェンスの中心にいる紫原を避け、アンリにボールを渡す。

 

「…」

 

「…」

 

再度対峙する大地とアンリ。

 

 

――スッ…。

 

 

「っ!?」

 

大地は後方に下がり、アンリとの距離を取った。

 

これまでもアンリのドライブを警戒して通常より距離を取ってディフェンスをしていたが、大地はそこからさらに距離を取ったのだ。

 

『おいおい、いくらドライブが怖いからって、あれはやり過ぎだろ…』

 

『あれじゃドライブは防げても外から打たれたら止められないだろ』

 

この行動を理解出来なかった観客から批判の声が上がる。だが、観客の指摘はもっともで、身長差とアンリのジャンプ力を考慮しても、もし、アンリがスリーを放った場合、止めようがない。

 

「(いえ、大丈夫です。私の予想が正しければ、この方に外はありません。ドライブだけに集中していればいい)」

 

大地はこれまでの得点パターンと先程のフリースローを見てアンリに外がない事を予測し、外を捨て、ドライブのみを要警戒にした。

 

「…」

 

距離を取った大地を見て小刻みに動かしていたボールを止めるアンリ。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

アンリは加速し、ドライブを仕掛けた。

 

『あくまでもドライブで勝負する気か!?』

 

「っ!」

 

だが、大地もこれに対応、瞬時に進路を塞ぎ、アンリを抜かせない。

 

「…クッ!」

 

突破を阻まれ、思わず声を上げるアンリ。

 

大地の予測は当たっていた。アンリは外からのシュートを得意としていないのだ。

 

中へ切り込んだ事で天野がヘルプにやってきた。

 

「アンリ! 1度戻せ!」

 

「…クッ!」

 

2人に包囲される前にアンリは永野へとボールを戻した。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「迂闊だぜ!」

 

パスコースに割り込んだ空がボールをスティールした。

 

「速攻!」

 

「まずい、戻れ!」

 

間髪入れずに速攻に走る空。永野が声を出し、陽泉の選手達は慌ててディフェンスに戻る。

 

「クッ! コレ以上ハヤラセナイ!」

 

ブロックされたアンリだったが、その持ち前のスピードで空を捉え、スリーポイントライン目前で回り込んだ。

 

「っ! 簡単に追いついてくれやがって、嫌になるぜ…!」

 

自身のワンマン速攻に追い付かれる事がほとんどない空は思わず顔を顰める。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

クロスオーバーを仕掛け、アンリを抜きにかかる。

 

「遅イ!」

 

スピードに乗った空のクロスオーバーだったが、アンリはこれに反応。空の進路を塞ぐ。

 

「…ちっ」

 

抜けなかった空は舌打ちをし、ビハインドパスでボールを右へと流す。そこへ大地が走り込み、ボールを掴み、そのままリングに向かって飛んだ。

 

「よし! これで同点だ!」

 

ベンチの菅野が立ち上がりながら声を出す。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「ぐっ!?」

 

「お前もちょっと調子に乗り過ぎ。何度も決めさせるわけないじゃん」

 

ボールがリングに叩きつけられる直前に紫原が大地の右手に収まったボールを弾き飛ばした。

 

「アリガトウ! 助カッタ!」

 

ルーズボールを拾ったアンリは紫原に礼を言うと、そのまま速攻に走った。

 

「ちぃ、戻れ!」

 

今度は空が声を上げ、花月の選手達はディフェンスに戻っていく。

 

「簡単に速攻決められると思うなよ!」

 

横を駆け抜けたアンリをすぐさま追いかけ、センターラインを越えた所で空がアンリを捉え、アンリの横に並ぶ。

 

「(ッ!? コンナニ早ク追イツカレタ!?」

 

同じくスピードに自信があるアンリ。先頭を走っていたにも関わらず早々に追い付いてしまった空を見て驚く。

 

「ダガ、コノママ行カセテモラウヨ!」

 

それでもアンリはお構いなしに強引に突破を図る。

 

「…ぐっ!」

 

全速力で走っている為、強引に突破を図るアンリがキープするボールをカット出来ない空。やがてフリースローラインを越えた所でボールを掴み、リングに向かって飛んだ。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

そのままワンハンドダンクを叩き込んだ。

 

「…っ」

 

今追いついた大地は歯を食い縛る。

 

「負ケナイヨ。勝ツノワ僕達ダ」

 

リングを掴んでいた右手を放し、コートに着地すると、アンリは空と大地に振り返り、真剣な表情で言い放った。

 

「っ! 上等だ!」

 

「負けません。勝つのは私達です」

 

対して空は不敵に笑い、大地は睨むような表情で返したのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





本当はもう少し進みたかったのですが、長くなったので一旦ここまでとします。

何と言うか、だんだん試合展開がワンパターンかしてきたなと自己嫌悪してきました…(;^ω^)

原作終了からさらに1年が経過した為、原作キャラがほとんど卒業し、現状全チームオリキャラが大半を占めているので、空気には出来ないし、かと言って注目を浴びせ過ぎても原作にいないキャラの描写なんて誰も求めていないのでは? と考えてしまいます。何と言うか、難しいですね…(>_<)

感想、アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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