黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

2回戦の日程を全て消化します。

それではどうぞ!



第112Q~アクシデント~

 

 

 

花月対陽泉の試合は昨年の冬に続いて番狂わせを起こり、優勝候補の一角であった陽泉を花月が降した。

 

インターハイ2回戦はまだ始まったばかりで、花月に続き、シード校の試合が始まる。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

誠凛高校、火神のワンハンドダンクが炸裂する。

 

『キタァァァァァァッ! 誠凛火神の代名詞のダンク!』

 

ハイジャンプからのダンクに観客が沸き上がる。

 

シード校であった誠凛は1回戦がなく、2回戦である今日がインターハイ初試合である。相手は1回戦を勝ち上がった島根県代表の矢満田高校。だが、緊張はなく、先程の花月対陽泉戦に触発されたのか、誠凛の選手達は軒並み気合いが入っていた。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

ボールを回す相手選手だったが、そのパスを新海がスティールした。

 

「速攻!」

 

スティールと同時に新海はそのままドリブル。速攻をかけた。

 

「くそっ! 決めさせるか!」

 

何とか新海の速攻に追い付いた相手選手が回り込み、進攻を阻んだ。

 

「4番(火神)をチェックしろ!」

 

新海の後ろから続いて速攻に走る火神を要警戒し、指示を飛ばす。

 

 

――ボムッ!!!

 

 

ここで新海はパスを出す。左から走る火神……ではなく、右へとボールを弾ませながらパスを出した。

 

「ナイスパス! 誠凛は火神だけじゃねぇんだよ!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

ボールを受け取った池永。池永はそのままボールを右手で掴んで跳躍し、そのままリングに叩きつけた。

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

2連続ダンクに観客がさらに沸き上がった。

 

「いいぞ池永! ナイスパスだ新海!」

 

「当然だろ!」

 

「うす」

 

得点とアシストをした池永、新海を労う火神。池永は不敵な笑みでガッツポーズをし、新海はそのまま表情で頷いた。

 

 

――バシィィィィッ!!!

 

 

相手センターのゴール下からのアタックを田仲がブロック。ルーズボールをすぐさま拾い、新海にボールを渡して速攻。ペイントエリアまで右へとボールを流した。

 

「ナイスパス」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールを受け取った朝日奈は即停止し、そこからジャンプショットを放つ。ボールはリングの中心を射抜いた。

 

『去年の主力がいなくなっても誠凛強ぇーっ!』

 

今年の誠凛は日向や伊月、木吉と言った昨年までの主力が抜け、新体制となっているのだが、昨年時の勢いそのまま…いや、昨年以上の勢いで試合を進めていた。

 

新海が巧みにボールを運び、火神、池永が得点を量産。朝日奈と田仲が上手くフォローしつつも着実に得点を重ねていった。

 

試合は完全に誠凛ペースで進み、相手チームに1度も流れを渡す事無く優勢に試合を進めている。

 

「(…うずうず)」

 

ベンチにて黒子がうずうずさせている。チームの皆が試合で活躍しているを見て自身も試合に出たくてたまらないのだ。

 

「黒子君。悪いけど今日は試合に出さないつもりだからそのつもりでね」

 

「分かっています。…けど、身体が疼いて仕方ありません」

 

リコが声を掛けて落ち着かせるが、黒子は理解しているのだが、身体を疼かせている。

 

「黒子、明日以降は出番があるんだしさ…」

 

「今は我慢しようぜ!」

 

「そうだよ。俺達と一緒に応援しようぜ!」

 

同学年の降旗、河原、福田が黒子に声を掛ける。

 

「言っとくけど、あなた達はすぐに試合なんだからいつでも試合に出れる準備をしておきなさないよ」

 

『えっ!?』

 

リコの言葉に3人は思わず声を失う。

 

「当たり前でしょ? 点差が付いたらスタメンは少しずつ下げて休ませるんだから、早ければこのQからでも投入するわよ」

 

『…』

 

まさかの言葉に3人の背中にプレッシャーがのしかかる。

 

「何ビビってんの! あなた達も試合に出る為に頑張ってきたんでしょ? なら、覚悟を決めなさい。…心配いらないわ。あなた達は今日まで私の練習に耐えてきたんだから充分やれるわ! それに、一昨年の赤司君のマッチアップに比べればなんてことないはずよ」

 

「っ! そ、そうだな」

 

「そうだよ。こんなん一昨年のウィンターカップの時と比べれば余裕だよな!」

 

「そうだ! 俺達も頑張らないと! さっそくアップを始めよう!」

 

胸にあった不安は薄まり、闘志が高まり始め、アップを始めた。

 

「……羨ましいです」

 

そんな3人を黒子は羨望の眼差しで見ていたのだった。

 

試合は誠凛が危なげなく快勝し、緒戦突破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

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同じくシード校の1校である洛山高校…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

「よし!」

 

赤司からパスを受けた四条がジャンプショットを決める。

 

急遽先発出場した赤司が巧みにゲームメイクをし、洛山が圧倒的な力で滋賀県代表田岡高校を圧倒していった。

 

赤司のゲームメイクは完璧の一言で、相手に一切の追随を許さず、チームメイトの4人を存分に活かしながら試合を進めた。

 

第2Qが終わる頃には圧倒的な点差が開いており、赤司はここでベンチに下がった。第2Qが終わるとスタメンが2人下がり、第3Q中盤を回る頃にはスタメンは全員ベンチに下がっていた。

 

スタメンが下がり、何とか一矢報いて再びスタメンを引きずり出したい田岡高校だったが、控えであっても洛山の選手。点差を縮める事なく試合を進め、そして、洛山は緒戦を突破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

「行くぞ!」

 

『おう!!!』

 

緑間率いる秀徳高校と鹿児島県代表の大蔵高校との試合が始まる。

 

 

――ダムッ…ダムッ…。

 

 

秀徳のポイントガードである高尾がボールを運び、広い視野を持つホークアイを生かしてボールを供給する。

 

「むん!」

 

緑間は自身の代名詞のスリーではなく、背中をぶつけて相手を押し込んでいく。

 

 

――バス!!!

 

 

ローポストまで押し込み、そこから反転し、距離を作って後方に飛びながらフェイダウェイでシュートを放ち、バンクショットで得点を決めた。

 

1回戦同様、緑間はスリーではなく、積極的に中に切り込み、ミドルショット、またはポストアップで押し込んでローポストからのアタックなど、バリエーション豊かなオフェンスを見せた。

 

他の秀徳の選手達も緑間に負けじと得点を重ね、リードを広げていく。広がりゆく点差を目の当たりにしてどんどん焦りを広げていく大蔵高校の選手達。

 

「あっ!?」

 

大蔵高校の選手の1人が声を上げる。

 

スリーポイントライン2メートル手前でボールを持った緑間。大蔵高校は中を固めてオフェンスに備えていた。しかし、緑間は中に切り込まず、そこからシュート態勢に入り、ボールを放った。

 

「…」

 

高いループで放たれた緑間のボール。放ったのと同時に踵を返し、ディフェンスに戻る緑間。言葉を失う大蔵高校の選手達。そして…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールは高いループから落下し、リングの中央を射抜いた。

 

『出たー!!! 緑間の代名詞、高弾道スリー!!!』

 

この日初めて飛び出した緑間のスリーに観客は興奮した。

 

「1本、止めるぞ! 気を緩めるな!」

 

『おう!!!』

 

緑間が檄を飛ばし、さらに気合いを入れた秀徳の選手達。試合は秀徳が圧倒的な優勢なまま勝利した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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続いて始まったのは海常高校と宮城県代表、笹野高校との試合。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

小牧が一気に加速。中へとカットインする。

 

「囲め!」

 

中へ切り込まれたと同時に笹野の選手達が小牧を包囲する為に集まる。

 

 

――スッ…。

 

 

だが、小牧は慌てる事なく包囲される前にボールを外に出した。

 

「ナイスパス!」

 

 

――バス!!!

 

 

ボールを受け取った末広がゴール下を沈めた。

 

「ナイスパスッスよ!」

 

「どうもです!」

 

「いいぞ! その調子だ!」

 

「あざっす!」

 

アシストした小牧を黄瀬が、得点を決めた末広を三枝が労った。

 

この日は黄瀬、三枝以外の選手達が奮起。存在感を露にした。

 

『スゲーぞ! 今年の海常は黄瀬のワンマンチームじゃねえぞ!?』

 

周囲の選手達の奮闘を見て観客はその評価を改めた。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

もちろん、黄瀬も要所要所で活躍を見せる。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

三枝も同様にインサイドからの攻撃をことごとくブロックし、その存在感をアピールした。

 

第2Q終盤には明日の試合に備え、黄瀬と三枝がベンチに下がった。後を引き継いだ選手達がそこからさらに奮闘し、リードを広げていった。

 

そして海常は1回戦同様圧倒的な力を見せつけ、2回戦を突破した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

ここは桐皇選手達の控室。観客の歓声が微かに響き渡る。

 

『…』

 

迫る試合に向けて選手達が準備を進める。

 

「……あん? …ちっ」

 

バッシュの靴紐を結んでいた青峰が舌打ちをする。

 

「さつきー」

 

「どうしたの?」

 

同じく試合の準備を進めていた桃井を呼ぶ青峰。

 

「バッシュの紐が切れた。替えの紐取ってくれ」

 

「はーい。……あった! はいこれ! …けど、そのバッシュってまだ買ってまもないよね? もう切れちゃったの?」

 

紐を渡しながら尋ねる桃井。

 

「ったくめんどくせえ…」

 

ポツリとボヤキながら切れた靴紐を外し、新しい靴紐を結ぶ青峰。

 

「おいおい、靴紐が切れるとか縁起わりーな、今日の試合で何か起きるんじゃねえか?」

 

横目で見ていた福山が半分茶化しながら尋ねる。

 

「ハッ! 馬鹿か。あの程度の雑魚相手に起こるわけねえだろ」

 

呆れながら返す青峰。

 

事前の情報と先程のハーフタイム中の練習を横目で見ていた青峰は、力の差が歴然である事を理解していた為、福山の言葉を一笑する。

 

だが、この時は誰も思っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――福山が何気なく言った言葉が現実になるとは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

桐皇の試合が始まると、特攻隊長桜井のスリーを皮切りに桐皇の圧倒的なオフェンスが茨城県代表、馬原高校に牙を向く。

 

 

――バス!!!

 

 

青峰の無造作に投げたボールがバックボードに当たりながらリングを潜り抜ける。

 

つまらないと感じながらも、それでもエースとしての役割を果たし、得点を重ねていく。

 

 

――バシィィィィッ!!!

 

 

相手選手の不用意に出したパスを今吉がスティールする。

 

ディフェンスでも桃井のデータが健在。相手の動きを先読みし、相手はミスを連発。パスをカットされるか、ブロックされるかを繰り返していた。

 

試合は第1Qが終わる頃に既に点差は大きく開いていた。そして第2Q中盤、それは起こった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『ピピーーーー!!!』

 

『レフェリータイム!』

 

審判が笛を吹き、試合を中断する。

 

「……ぐっ…!」

 

コート上の一角で、青峰が右足を抑えながら倒れていた。

 

「……っ」

 

目の前で相手選手の1人が茫然と座り込んでいた。

 

…事故だった。

 

第2Qに突入しても尚も広がっていく点差。

 

「(…俺が何とかしなくちゃ!)」

 

馬原高校の9番がこの流れを変えなければと焦り、動く。

 

この選手は2年生で唯一のスタメンに抜擢された選手で、先輩を差し置いての抜擢に大きなプレッシャーがのしかかっていた。

 

広がる点差。プレッシャーからくる使命感に駆られ、この流れを変える為に動いた。…最悪のタイミングで。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

中へと切り込む青峰。その青峰と止める為に慌ててヘルプに飛び出す9番。ここで不幸が起こってしまう。

 

青峰が加速し、ちょうどスピードが乗り切ったタイミングで青峰の死角、選手の影から飛び出る形で飛び出してしまった相手の9番。

 

 

――ドン!!!

 

 

激突してしまう青峰と馬原高校の9番。

 

 

『ピピーーーーーーーーー!!!』

 

 

ファールと判断した審判が笛を吹いた。

 

笛が鳴り終えると、尻餅を付いたまま茫然とする9番と、右足を抑えながら蹲る青峰。

 

『アンスポーツマンライクファール、白9番!』

 

審判はアンスポをコールした。

 

「青峰!」

 

非常事態である事を察知した福山が青峰の下に駆け寄る。

 

「くそっ…! あの野郎…!」

 

痛みを堪えながら相手9番を睨み付ける青峰。

 

「とりあえず、ベンチまで運ぶぞ。國枝! 手伝ってくれ!」

 

「うす!」

 

福山は國枝を指名し、それぞれの肩に腕を回し、ベンチまで運んでいった。

 

「右足ですね? 青峰君、バッシュを脱がしますよ」

 

一言告げてから靴紐を解き、バッシュを脱がせる原澤。

 

「……新村君、すぐに準備を始めて下さい」

 

原澤は右足の様子を見てすぐにこれ以上の続行は不可能と判断し、交代を命じた。

 

『メンバーチェンジ!』

 

準備を終えた新村がコートへと入る。

 

直後、やってきた担架に青峰を乗せ、運ばれていった。

 

突如、青峰を失った桐皇。そのQ中は動揺もあり、リードが縮まったが、第3Qが始まる頃には気持ちを切り替え、試合に臨んだ。

 

エースを失ってもその桐皇は健在で、その後の試合は終始相手を圧倒し、桐皇が勝利したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

医務室に運ばれた青峰は医者の診断を受け、治療処置を受けた。

 

「捻挫ですね。足に負担がかからないように安静にして足を冷やして下さい。その際は凍傷にならないよう気を付けて――」

 

「んな事はどうでもいい。明日には治んだろうな?」

 

「ちょっと、お医者様に失礼でしょ!」

 

医者の言葉を遮りながら乱暴に尋ねる青峰に、医務室まで同行した桃井が諫める。

 

「るせーな。…で、どうなんだよ?」

 

「…残念ですが、この足では試合どころか歩く事さえ困難です。明日までにはとてもではありませんが…」

 

「ふざけんじゃねぇぞ! てめえ医者だろ!? 何とかしやがれ!」

 

診断に納得がいかなかった青峰は医者に掴みかかる。

 

「ちょ、ちょっと大ちゃん! やめなって!」

 

そんな青峰にしがみ付きながら止める桃井。

 

「青峰君、やめなさい」

 

そこへ、入り口から監督である原澤がやってきて青峰を制止した。

 

「…ちっ」

 

原澤に諫められ、渋々医者から手を放す青峰。

 

「監督! 試合は…」

 

「えぇ、試合は先程終わりました。無事、勝利しましたよ」

 

試合結果を聞いた桃井は結果を聞いて胸を撫で下ろした。

 

「遅れて申し訳ありません。…それで、診断の結果は?」

 

「捻挫です。全治は一ヶ月程でしょう。それまで、激しい運動は控えて下さい」

 

「…ふむ、そうですか。それは困りましたね」

 

診断結果を聞いた腹差は顎に手を当てながら思案した。

 

「やむを得ませんね。明日からは青峰君抜きで戦うしかありませんね」

 

「っ!? ふざけんじゃねぇぞ! 俺抜きで黄瀬に勝てる訳ねえだろうが!」

 

苦渋の決断をした原澤に青峰が激怒した。

 

「その足では致し方ないでしょう。…気持ちは分かりますが、堪えて下さい」

 

「冗談じゃねえ! 俺は出るぞ。俺がいなきゃあいつには勝てねえんだからな」

 

それでも試合を強行しようとする青峰。

 

「ふぅ。…やれやれ困りましたね。では言い方を変えましょうか。青峰君。まともに歩く事も出来ないあなたではかえって足手纏いです。大人しくベンチに下がって下さい」

 

「…っ! …ざけんじゃねえ…! こんなの認められる訳ねえだろ…! おい、ホントにどうにもなんねえのかよ?」

 

縋るような気持ちで青峰が医者に尋ねる。医者は首を横に振り…。

 

「残念ですが…」

 

青峰にとって非常の言葉を投げかけたのだった。

 

「ちくしょう…、何でこんな…! ちくしょうがぁっ!!!」

 

非情の結末に、青峰は悔しさからくる怒りを座っている椅子にぶつける事しか出来なかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「黒子! 医務室ってどっちだ!?」

 

「こっちです、火神君!」

 

火神と黒子が慌てながら医務室を目指す。

 

誠凛の試合が終わり、試合の反省会を兼ねたミーティングが終了後、他校の試合の観戦に向かった誠凛の選手達。そこで青峰がコートにもベンチにもいない事に気付き、疑問に思っていると、近くの観客同士の会話で事情を知り、居ても立っても居られなくなった火神と黒子は一目散に医務室へと向かっていた。

 

「あそこです!」

 

医務室を見つけた黒子が指差し、2人はそこへ向かう。同時に医務室から原澤が出てきた。

 

「おや? 君達は誠凛の…」

 

「すいません、青峰が運ばれたって聞いて! それで、青峰は!?」

 

血相を変えて原澤に容体を尋ねる。

 

「捻挫です。少なくとも、選手生命に関わるよう重い怪我ではありませんよ」

 

「…っ、そうですか」

 

軽症である事を聞いて胸を撫で下ろす火神と黒子。

 

「ですが、今年のインターハイの試合にはもう出場出来ません」

 

「っ!? そんな!」

 

「…っ!?」

 

続けて原澤の口から出た言葉に2人は言葉を失った。

 

「不本意ですが、仕方ありません」

 

残念そうな表情で原澤は首を横に振った。

 

「では、私は選手達を待たせているのでこれで失礼します。わざわざ彼を心配してここまで足を運んでいただきありがとうございます。では」

 

そう言い残し、原澤はその場を去っていった。それを見送り、火神が医務室のドアノブに手を伸ばそうとすると、黒子がその手を掴み、首を横に振った。

 

「…戻りましょう」

 

「戻るって、良いのかよ? 声かけていかなくて」

 

「そうしたいのはやまやまですが、それは青峰君も望んでいないでしょう。かえって青峰君を傷つける事にしかならないと思います」

 

「…っ、それもそうか」

 

青峰の立場に立ったのなら黒子の言う通りだろうと、火神は納得し、踵を返してその場を後にした。

 

「…高校最後の夏がこうなっちまうなんてな」

 

「…」

 

思わず火神の口から出た言葉に黒子は何も返す事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

海常控室…。

 

試合を無事快勝で終えた選手達は勝利の余韻を残しながら着替えをしていた。

 

「失礼します! 桐皇の試合が終わりました! 桐皇の勝利です」

 

偵察班が控室にやってきて結果を報告した。

 

「ま、当然ッスね」

 

報告を受けて黄瀬は当然のごとく頷いた。

 

「…それと」

 

『?』

 

何かを言いよどむ偵察班を見て他の選手達の注目を集める。

 

「試合は桐皇の勝利で終わったんですが、第2Q途中で青峰さんが相手選手と接触して、担架で運ばれて…」

 

「っ!?」

 

それを聞いた黄瀬が衝動的に部屋を飛び出そうとする。

 

「何処へ行くつもりじゃ?」

 

そんな黄瀬に三枝が声をかけて制止した。

 

「何処にって、青峰っちの所に――」

 

「行ってどうするんじゃ? 激励でもするのか? それとも同情の言葉でもかけるつもりか?」

 

「…っ」

 

その言葉を聞いて返す言葉がなく、立ち止まる黄瀬。

 

「情に駆られるなとは言わん。じゃが、情で動くな。今のお前は選手なのだからな」

 

「…」

 

その言葉を聞いてさらに言葉を失う黄瀬。

 

もし黄瀬が同じ立場であったなら、今1番会いたくないのは明日の対戦相手となるはずだった青峰だろう。そう理解してしまった黄瀬は青峰の下に向かう事は出来なかった。

 

「……一昨年の借りが返せると思ったんスけどね」

 

傍にあった椅子に座りこんだ黄瀬はそんな独り言を呟いたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

インターハイ3日目、2回戦の試合が全て終わった。

 

花月が陽泉を相手に奇跡の番狂わせを起こした傍ら、キセキの世代のエース、青峰大輝が試合中の不幸な事故により、戦線離脱を余儀なくされた。

 

2回戦が終え、インターハイは4日目へと突入する。

 

翌日、8校の生き残りを賭けた激闘が、始まるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





これで2回戦は終了です。

内容に恐らく納得出来ない方もいると思います。負傷による戦線離脱ではなく、真っ当に戦わせて負けでも良いのでは? という方もいると思いますが、そうなると、どうしても桐皇がそこそこの点差を付けられて負ける展開か、接戦にしても三枝が事実上のかませ犬となってしまう事が否めず、もちろん、話を上手く作れる人は双方立てながら上手く描写出来ると思いますが、自分の想像力では無理だったのですみません…m(_ _)m

さて、次から3回戦。ネタを探しながらの投稿となります。書けるかな…(;^ω^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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