黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

これにて115話目、気が付けば黒バス二次の最多話数投稿者になっていた…(>_<)

それではどうぞ!



第115Q~劣勢~

 

 

 

第1Q、終了。

 

 

花月 17

鳳舞 20

 

 

第1Qが終わり、両校の選手達がベンチへと戻っていった。

 

 

鳳舞ベンチ…。

 

「お疲れ様~。まずまずの立ち上がりだね」

 

ニコニコ笑顔を浮かべながら監督の織田が選手達を迎えた。

 

「イマイチ流れに乗り切れてないんだよねー。困ったねー」

 

「ハッ! 決まってんだろ。何処ぞの下手くそ共がゴール下で良い様にやられてっからだろ? …おら! チンタラしてねえでさっさとドリンク寄越せ!」

 

「は、はい!」

 

ベンチにドカッと腰掛けた灰崎は後輩に強い口調で命令した。

 

「…っ」

 

「てめえ、録にヘルプに来ねえ癖に…!」

 

灰崎の指摘に大城は口を噤ませ、鳴海は怒りを露にした。

 

「俺は向こうの大したことのねえエースと外潰してやっただろうが。こんだけやってやったんだから目の前の雑魚くれえてめえでどうにかしろボケ」

 

そんな鳴海にもお構いなしに灰崎は悪態を吐きながらドリンクを口にした。

 

「この野郎…! 1度ぶっ殺して――」

 

「ダメだよ鳴海君ー」

 

立ち上がろうとした鳴海の眉間を押さえる。すると鳴海は立ち上がれずにその場で止まった。

 

「喧嘩なら構わないけど暴力はダメだよ。試合中なんだから」

 

「うぐっ! …す、すいません」

 

諫められ、落ち着きを取り戻したのか、一言謝って頭を落ち着かせた。

 

「お前ら何回目だ? 少しは仲良く出来ないのか?」

 

呆れた顔で尋ねる大城。

 

「冗談だろ? こんな小物と」

 

「ざけんな! 何でこいつと!」

 

「…ハァ。少しは主将をやってる俺の身にもなれ」

 

2人の返事に思わず溜息を吐く大城。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

昨年の4月。進級に合わせて鳴海が…。2年時の2学期に灰崎が他校から特別奨学金制度によって転校してきたのだが、2人は顔を合わせた初日からこのような喧嘩をしていた。

 

 

――鳴海大介…。

 

高校1年時は東京都の丞成高校に進学した。彼の加入もあり、丞成高校はその年のインターハイ予選でベスト8まで進出する事が出来たのだが、その年に同時に進学してきたキセキの世代の青峰と緑間。そして火神の圧倒的な力を目の当たりにした。

 

丞成はその圧倒的なキセキ達の力とチームの総合力の前に大敗した。

 

鳴海は悩んでいた。先輩達が引退してチームの弱体化に加え、大物新人も同じ東京都の三大王者や新たに現れた誠凛や桐皇がいる為、望めない。他県に比べて全国大会の出場枠が多いとは言え、いずれの挙げられた高校を倒して全国大会に出場出来る可能性はほぼ0と言ってもいい。

 

そんな時、彼に声をかけたのが鳳舞のスカウトだった。強豪が犇めく東京都で実力がありながら燻っている鳴海に鳳舞は特別奨学金制度の話を持ち掛けてスカウトをかけた。鳴海は丞成の事も頭をよぎったが、全国出場の自身の目標と夢の為、何よりチーム全体が東京都の情勢に半ば諦めムードだったので、この話を受けたのだった。

 

 

――灰崎祥吾…。

 

福田総合学園高校に進学し、ウィンターカップではその力を遺憾なく発揮し、あの海常を後一歩まで追いつめる程の活躍を見せた。

 

だが、その一方で傍若無人の振舞をし、チームメイトからは反感を買っていた。元々は礼儀を重んじるチームであったのだが、灰崎の加入によってチームは変わってしまった。だが、当時の主将である石田はそれでもウィンターカップでキセキの世代のいるチームに対抗する為、チームの不満を抑えて何とかチームを纏めていた。結果、キセキの世代の黄瀬を擁する海常に敗れたものの、ベスト8まで勝ち進む事が出来た。

 

その後、石田達3年生は引退し、チームは新体制に移行するのだが、新体制を迎えたチームは灰崎を拒絶した。石田から主将を引き継いだ新しい主将は灰崎以外のチームメイトと話し合い、結果、灰崎の強制退部を監督に直訴した。やはり、これからも傍若無人の灰崎と共にバスケを続けるのに抵抗があったのだ。

 

選手達の意志は固く。強制退部を認めない場合は部員全員が辞めるとまで覚悟を見せたので、福田総合の監督は灰崎を退部とした。灰崎もこれを受け入れ、チームを去った。

 

2年に進級し、退屈な日々を何処か苛立ちながら過ごす中、そこへ…。

 

『君、暇そうだねー。良かったら僕と一緒にバスケしないかなー』

 

声をかけたのは監督の織田だった。灰崎がバスケ部を退部した話を聞き、織田が直接交渉に行ったのだった。当初は意地もあって灰崎はこの申し出を拒否していたのだったが、織田は根気強く…しつこく交渉し、灰崎は半ば口車に乗せられる形でこの話を受け、2年の2学期に合わせて鳳舞高校に転校したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

このような経緯から2人は鳳舞高校に転校したのだが、とある事が原因で2人は衝突し、絶えず喧嘩を繰り返す関係となった。

 

現在のスタメンの5人が昨年の2学期に集まったのだが、規定によって灰崎と鳴海が半年間公式戦に出場出来ない為、昨年1年は公式戦の出場を見送り、今年の夏の大会に照準を合わせて力を蓄える選択をし、今年、晴れてインターハイ予選岡山県大会を突破し、今に至る。

 

「さてさてー、休憩時間は短いから手短に対策を打たなきゃね」

 

手をパンパンと鳴らして選手達の注目を自分に向ける織田。

 

「とりあえず、目下の課題はゴール下だね。まさか鳴海君があそこまでやられるとは思ってなかったらねー。さて、困った困った」

 

「…ぐっ」

 

監督の織田にまで指摘されてしまい、言葉を失う鳴海。

 

「大丈夫大丈夫鳴海君。ちゃーんと手はあるから安心してね。これから僕の言う事よーく聞いといてね」

 

織田はにこやかな笑みを浮かべながら鳴海に秘策を授けた。

 

 

※ ちなみに、喧嘩の原因は灰崎が鳴海のエロ本パクった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

「さて、何とか食らいついているが、決して良い状況ではないな」

 

選手達の前に立った上杉が両腕を胸の前で組みながら言った。

 

「イクのスリーが入らへんようになったのが痛いわ。どないなっとんねん」

 

「…ごめん、みんな」

 

苛立ち半分戸惑い半分の表情で天野が愚痴ると、生嶋が頭を下げた。

 

突如として、生嶋のスリーが決まらなくなったのだ。第1Qで最初の1本こそ決まったのだが、2本目以降、リングに嫌われ続けていた。生嶋のスリーはボールに触れられなければ百発百中の精度を誇る飛び道具なのだが、今日は見る影もない。

 

「入らなくて当然ですよ」

 

沈黙する花月のベンチ。その中で大地が口を開いた。

 

「何か分かったのか?」

 

「はい。生嶋さん。あなたのスリーは2本目以降、微妙にリズムが狂っています」

 

「…えっ?」

 

大地の指摘に生嶋が思わず声を上げる。

 

「これまであなたのスリーを練習でも試合でも何度も見てきたので私には分かります。今のあなたのスリーは私の知ってるあなたのスリーとリズムが微妙に異なっています」

 

「どういう事や!?」

 

思わず立ち上がりながら尋ねる天野。

 

「生嶋さんのスリーは…いえ、これは生嶋さんに限った話ではありません。優秀なシューター程ボールを受けてからシュートを放つまでのリズムは基本一定です。ですが、今日の生嶋さんのスリーはリズムが僅かに狂っています。ただでさえ、リングから距離のあるスリーでは僅かなズレが命取りになります。リズムが狂えば入らなくなるのは道理です」

 

「ちょっと待て綾瀬。例えそうだとしても、生嶋は多少リズムが狂った所で外れる代物ではないはずだ」

 

この指摘に松永が異を唱える。過去に生嶋はブロックをかわす為に不安定な態勢からや早いリズムでスリーを放ったりしている。

 

「それは正確ではありません。厳密には生嶋さんはリズムが乱れても決められるのではなく、直前に新たなリズムを組みなおしてスリーを決める事が出来るのです。ですから生嶋さんのスリーは基本外れません」

 

「せやったら…」

 

「ですが、もし、リズムを合わせる為の調律が狂わせられたとしたら?」

 

「…あっ」

 

この言葉に生嶋が声を上げる。

 

「リズムを組みなおす事が出来ませんからスリーは外れてしまう…。生嶋さんの言ったノイズとは、外的要因によってリズムが狂わされた事による、発生した不協和音なのでしょう」

 

「うん。ダイの言う言葉がしっくり来るよ」

 

これに生嶋も同意した。

 

「話は分かったで。その仮説が正しかったとして、いつや? イクのリズムはいつ狂わされたんや?」

 

「灰崎さんが生嶋さんのスリーを打った時ですよ」

 

天野の疑問に大地が答える。

 

「生嶋さんのスリーが外れだしたのはあれ以降です。…最初は半信半疑でしたが、竜崎さんのスクープショットが外れたのを見て確信しました。恐らく、彼は真似るのと同時に多少リズムを変えて再現したのでしょう。それを見せられてしまった為、リズムが狂わされた。…この辺りは仮説ですが、間違いないかと」

 

「…ほならなにかい、灰崎に技真似られたら軒並みその技は使えへんようになる言うんかい?」

 

「えぇ。リングから離れたものや難易度の高い技程影響は大きいでしょうね」

 

大地は天野の疑問に頷いた。

 

「…では、これからどうする? どう攻めていく?」

 

神妙な顔で松永が尋ねる。

 

「…現状は松永さんを中心に攻めるのがベターかと。ここのマッチアップはこちらに分がありましたし、ゴール下ならば灰崎さんに踏み込まれなければ技が使えなくなる事はありませんし、仮に真似られてもダメージは最小限で済むでしょうから」

 

「決まりやな。第2Qからマツを中心に点取っていくで。無論、一辺倒やと読まれるからのう。周りもフォロー頼むで。外す事は気にせんでええ。俺がリバウンドは全部取ったるからのう」

 

『おう!!!』

 

右拳で左拳の手のひらに当てながら天野が意気込んだ。他の選手達もこれに応えた。

 

「イクはどないする? 菅野と代わるか?」

 

生嶋の外が入らないとなると、生嶋より身体能力とスタミナがあり、ディフェンスの上手い菅野の方が機能すると言える。

 

「いや、このまま出させてほしい。…もう少し、もう少し時間があれば…」

 

「…分かった。ほならこのまま続投や。…監督。何かありますか?」

 

「…」

 

竜崎が尋ねると、上杉は何か考える素振りを見せた。

 

「……いや、特に言う事はない。試合に動きがあればこちらからも動く」

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここでインターバルが終了し、第2Q開始のブザーが鳴った。

 

「ほなら行くで! 花月ーーーっ!!! ファイ!!!」

 

『オゥッ!!!』

 

花月の選手達はコートへと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

両校の選手達がコートへとやってきた。双方選手交代はなく、試合開始時のメンバーがそのまま出てきた。

 

審判からボールが鳳舞の東雲に渡され、スタート。ボールは三浦に渡された。

 

「キャプテン!」

 

ここで三浦がハイポストに立った大城にパスを出した。

 

「東雲!」

 

ボールを受け取るとすぐさま大城は外の東雲にパスを出した。

 

「こっちだ颯!」

 

スリーポイントラインの外側、中央でボールを受けた三浦はすぐさまボールを中、ローポストの鳴海に入れた。

 

「来い!」

 

「言われなくても行ってやるよ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

鳴海の背中に立つ松永。鳴海は松永を背中で押し込みながらドリブルを始めた。

 

「…っ! 絶対中には入れさせん!」

 

強引に押し込もうとする鳴海のポストアップに対して、松永も力を込めてこれを阻止する。

 

「(やはり来たか。だが、これでは第1Qの再現だ。第2Q最初のオフェンス。流れを持っていく為にも是非とも成功させたいはず。わざわざボールを回し、そこに入れて来たんだ。…何を用意している?)」

 

2人の対決を上杉が注視しながらも相手の狙いを考える。

 

「残念だったな。もうお前は俺には勝てねえ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「…ぐっ!」

 

強くボールを突いたのと同時に松永の身体がグラつく。

 

「隙だらけだぜ!」

 

同時に鳴海がボールを右手で掴んでリングに向かって飛んだ。

 

「っ!? くそっ!」

 

慌てて松永もブロックに飛んだが…。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「…っ!」

 

態勢が不十分だった為、ダンクを阻止出来ず、ボールはリングに叩きつけられてしまう。

 

「分かったか? ここから先、お前が俺を止める事では出来ねえ」

 

拾ったボールを尻餅を付いた松永にヒョイと放り渡しながら鳴海が告げた。

 

「っ!? 上等だ…!」

 

この言葉を受けて松永の闘志に火が付いたのだった。

 

 

オフェンスが変わって花月ボール。竜崎がボールをキープする。

 

「来い!」

 

ローポストで松永がボールを要求する。

 

「頼みます!」

 

要求通り竜崎が松永にパスを出した。

 

「来いよクソガキ!」

 

「行くぞ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

背中で鳴海を背負いながら松永がドリブルを始める。

 

「どうしたどうした! その程度じゃ俺はビクともしねえぞ!」

 

松永のポストアップに耐えながら吠える鳴海。

 

「…ちっ、だが、パワー勝負だけがゴール下じゃない!」

 

押し込めないと見た松永はそこからバックステップをし、そこからフェイダウェイシュートの態勢に入った。

 

「(これなら…!)」

 

身体を強くぶつけてからバックステップした為、鳴海は反応出来ていない。松永はボールを放った。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

「…なっ!?」

 

しかし、そのシュートはブロックされた。だが、鳴海はこのフェイダウェイシュートに反応出来ていない。

 

「残念だが、敵は1人ではないぞ」

 

「(大城か!?)」

 

ブロックをしたのは大城だった。松永の動きに対応する為にすぐさま動いていた。

 

「ナイスキャプテン!」

 

ルーズボールをすぐさま東雲が拾った。

 

「さっさとこっちに寄越せ!」

 

「頼みますよ、灰崎さん!」

 

前に走りながらボールを要求する灰崎に東雲が縦パスを出した。

 

「…止めます」

 

すぐさま灰崎の横に並んで走る大地。

 

「ハッ! 懲りねえな。てめえじゃ俺の相手にならねえって言ってんだろ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

1度ロッカーモーションを入れてから再度前進する灰崎。

 

「…くっ!」

 

何とか止めようとする大地だが、強引に突き進む灰崎の身体に押されて止められない大地。

 

「らぁっ!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

強引に突き進んだ灰崎はそのままリングに向かって飛び、ボールをリングに叩きつけた。

 

「ちょろ過ぎだぜ、お前」

 

嘲りの言葉を大地に放ち、灰崎はディフェンスに戻っていった。

 

 

「第2Q最初のオフェンスを決められ、直後のオフェンス失敗からの失点。…まずいな。流れを持っていかれちまうぞ」

 

今の状況を見て悪い状況を懸念する火神。

 

 

「…こっちだ! 俺にくれ!」

 

オフェンスが切り替わり、松永がボールを要求した。

 

「(…嫌な予感がする。作戦では松永先輩を中心に攻めるって決めたけど、ここを失敗するとウチはかなりヤバい状況になる)」

 

インターバルを終え、第2Qは松永を中心にオフェンスを組み立てると決めた作戦が機能しないとなると早くもタイムアウトを取って作戦を練り直すしかなくなる。だが、インターバル直後に出来れば限りのあるタイムアウトは使いたくない。

 

「…っ」

 

他を見渡すが、大地は灰崎がしっかりマークしている為、パスが出せない。生嶋は現在外が封じられている為ここもダメ。天野はパスこそ出せるが天野自身のオフェンス力はこの状況では機能しにくい。自分で自ら行くにしても大地の言葉を信じるならスクープショットが封じられている為、確率は低い。

 

「(…当初の予定通り、任せるしかない!)…頼みます!」

 

意を決して竜崎は松永にパスを出した。

 

「次は決める!」

 

「何度来ても同じだ!」

 

 

――ダム!!! …ダムッ!!!

 

 

背中で押し込みながらドリブルを始める松永。だが、鳴海はビクともしない。

 

「…っ! ならば!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

スピンターンで反転して鳴海をかわす。

 

「っ!? やろ…!」

 

鳴海をかわした松永はボールを掴み、リングを背にしながらリバースレイアップの態勢に入った。

 

「させんぞ!」

 

だがそこへ、大城のブロックが現れた。

 

「(来たか! だが、お前がヘルプに来たという事は、天野先輩が空くという事だ!)」

 

レイアップを中断した松永は天野のパスに切り替えた。

 

 

――バシィィィィッ!!!

 

 

「…っ!?」

 

「いただきだ!」

 

しかし、そのパスは東雲にスティールされてしまう。

 

『うわぁぁぁぁぁぁぁっ! また失敗だぁっ!!!』

 

「颯!」

 

ここで既に速攻に走っていた三浦がボールを要求した。

 

「おらっ! 頼む!」

 

すぐさま前に縦パスを出した。

 

「くそっ! させるか!」

 

 

――バチィッ!!!

 

 

出された縦パスに対して竜崎が走り込んで必死にジャンプしてボールを弾いた。

 

「…ちっ」

 

カウンターからのワンマン速攻が失敗し、軽く舌打ちを打つも急停止してすぐさまボールを拾った三浦。

 

その間に花月の選手達はディフェンスに戻り、速攻を防いだ。

 

「(…まあいい。なら、当初の予定通り、ここだ!)」

 

1度ボールを止め、直後、三浦がパスを出した。

 

「ナイスパース!」

 

パスの先はローポストに立つ鳴海。

 

「おらぁっ!」

 

ドリブルをしながら背中で松永を押し込みにかかる鳴海。

 

「…ぐっ、やらせるか…!」

 

歯を食いしばって鳴海の侵入を防ぐ松永。

 

「無駄だぁっ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「…がっ!」

 

鳴海の強い当たりに身体が仰け反ってしまう。

 

「いただき!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

その隙を付いて鳴海がボールをリングに叩きこんだ。

 

「いいぞ鳴海!」

 

「おっしゃぁっ!!!」

 

ハイタッチを交わす鳴海と大城。

 

「どうなってんだよ。さっきまで松永の優勢に戦ってたのに…」

 

突如として鳴海に圧倒され始めた松永を見て菅野が表情を曇らせる。

 

「…」

 

上杉は顎に手を当てて思案していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「うんうん。ちゃーんと言い付けを守ってくれてるみたいだねー」

 

コート上の選手達を見て満足そうに頷く織田。

 

織田がインターバル時に出した指示はインサイドの要である松永を封じる事。

 

純粋なパワーなら鳴海に分があるマッチアップである為、松永は中では鳴海をかわしにくる選択肢が自然と多くなる。そこで、松永にボールが渡ったら大城にはすぐさまヘルプに行けるよう指示を出していた。万が一鳴海が抜かれたら大城に止めさせる為である。

 

仮に空いた天野にパスを出された場合、そこを東雲にパスコースに入らせ、スティールする。

 

オフェンスの際はとある秘策を授け、鳴海に実戦させた。結果、得点を重ねる事に成功した。これが出した策の全容である。

 

現状、生嶋は外が封じられてるので多少空けても問題はないし、大地は灰崎がマークしている。竜崎もスクープショットが封じられている為、自ら決める得点力がない。

 

「さてさて、この第2Q、どれだけリードを作れるかな?」

 

笑みを浮かべながら呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「さて、みんな、行くッスよ!」

 

コートへと続く通路を先頭を歩く黄瀬が声を出した。

 

試合を控える海常。第2Q終了後のハーフタイムに合わせてコートへと向かっている。

 

「コートでは花月と鳳舞が試合してるんだよな?」

 

「ああ。確か予定表はそうだったな」

 

小牧の問いに末広が答えた。海常の選手達がコートのあるフロアへと足を運ぶと…。

 

「…なっ!?」

 

「これは!?」

 

点数が表示された電光掲示板を見て2人は驚愕したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

試合は第2Qに入ってから鳳舞に流れが傾いた。

 

当初の予定であった松永を中心に攻める作戦は開始早々に失敗し、1度タイムアウトを取って流れを切り、作戦を練り直した。だが、悪い流れを変える事は出来なかった。

 

やはり、生嶋が機能しなくなった事が響いており、オフェンスに決定打が欠けていた。大地が要所要所で得点を重ねるも点差はジワジワと開いていた。

 

 

第2Q、残り11秒。

 

 

花月 26

鳳舞 41

 

 

「何やってんだよ花月は…!」

 

点差を見て怒りを露にするのは海常とほぼ同時にコートのあるフロアにやってきた桐皇の福山。

 

「15点差か。…結構開いとるのう」

 

電光掲示板の点差を見ながら呟くように言う今吉。

 

「どうしたんでしょう。…やっぱり神城君がいない事が原因でしょうか?」

 

心配そうにコートを見つめる桜井。

 

「こんな様じゃあいつらに手こずった俺達の株が下がるじゃねえかよ…!」

 

かつて自分達を苦しめた花月の不甲斐なさに憤慨する福山。

 

「…」

 

色めき立つ桐皇の選手達。その中で松葉杖を付いた青峰だけが黙ってコートを見つめていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

現在がボールは花月が保持している。最後の1本を確実に決める為、パス回してチャンスを窺っている。

 

「こっちです!」

 

右側スリーポイントラインから2メートル離れた場所で大地がボールを要求した。そこへボールを持っていた竜崎がすぐさまパスを出した。

 

 

――スッ…。

 

 

「あん?」

 

ボールを受け取った瞬間、大地はすぐさまシュート態勢に入り、素早くボールをリリースした。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

同時に第2Q終了のブザーが鳴った。

 

「(…ふん、最後にやぶれかぶれに打ちやがって。…まあいい。この程度の雑魚なら第3Qにトドメを――)」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールはリングを潜り抜けた。

 

『うおぉぉぉぉっ!!! ブザービーターだ!』

 

最後に放ったシュートが決まり、観客は沸き上がった。

 

「…ちっ、運のいい奴だ」

 

既に自身のベンチの方角へと向かって行った大地の背中に対して舌打ちを打つ灰崎。…この時、灰崎は気付いていなかった。大地の表情に薄く笑みが浮かんでいた事に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

両校がベンチに戻り、10分間のハーフタイムの為、控室へと向かって行く。

 

「何だその様はよ? 仮にも俺達と互角やりあったチームが随分と無様な試合をしてくれるじゃねえかよ」

 

控室に続く通路に向かう途中、桐皇の選手達とすれ違う花月の選手達。

 

「やかましいわ! こっから盛り返したるから大人しい見とけや!」

 

この言葉に天野が反応し、ツッコミを入れるように言い返し、そのまま通り過ぎていった。

 

「…どういうつもりだ?」

 

横を通り抜ける瞬間、青峰が大地に問いかけた。

 

「…さて、何の事でしょうか?」

 

「…ふん」

 

質問の問いに満足せず、青峰は鼻を鳴らした。大地はそう返してすぐその場を後にしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

鳳舞の選手達も控室に向かって行く。リードがある為か、チームの雰囲気は明るい。

 

「…よう、リョータ」

 

「久しぶりッスね。ショウゴ君」

 

黄瀬の隣まで歩み寄った灰崎が軽く挨拶を交わした。

 

「去年、姿が見えなかったからてっきりバスケはもう辞めたものかと思ってたッスけど…」

 

「前にも言っただろ? ただの暇潰しだ。監督のジジイがうるせーから付き合ってやってるだけだ」

 

鼻で笑いながら黄瀬の問いに答える灰崎。

 

「まだキセキの世代の座に未練があるんスか?」

 

「ハッ! んなもんねえよ。あんな雑魚に負けちまう程度の名前なんかに興味沸くかよバーカ。ったく、あんなんに手こずったダイキと、挙句負けたアツシもシンタロウも地に落ちたもんだな」

 

「…」

 

「次はてめえだリョータ。せいぜい首洗って待ってるんだな」

 

ひとしきり言いたい事を言った灰崎は控室に続く通路へと向かって行った。

 

「……相変わらずッスね。けど、生憎ッスけど、俺は慣れない主将をやるのでいっぱいっぱいッスから。明日やるかどうか分からない相手の事に気を回す余裕なんてないッスよ」

 

既に灰崎が通路に消えた為、聞こえる事はないが、黄瀬は自嘲気味にそう呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

場所は変わって花月の選手達が宿泊する旅館。

 

「…」

 

姫川から鳳舞高校のひと通りの情報を聞いた空は布団の上で後頭部に両手を重ねながら天井を見つめていた。

 

「…なるほど」

 

それだけ感想を述べた。

 

「……それだけ?」

 

「何が?」

 

「いえ、私はてっきり、これを話したら試合会場まで飛んでいくと思ってたから…」

 

あまりに想定外の空の反応に面を食らう姫川。

 

「俺を何だと思ってんだよ…」

 

呆れ顔で返す空。

 

「それにな、姫川は花月を分かってねえよ」

 

「…えっ?」

 

「花月のキャプテンは俺だけど、花月は俺1人のチームじゃない。松永は去年の敗戦からさらにフィジカルアップに努めてもともとのテクニックと合わさって今ではそこらのセンターでは相手にならない程に成長してるし、生嶋の外は健在だし弱点だったスタミナも強化した。天さんのディフェンスとリバウンドは誰よりも頼りになるし、竜崎も帝光中で育っただけあって俺の代わりを任せるには申し分ない」

 

「…」

 

「それに大地がいる」

 

「えっ?」

 

「あいつは俺のもっとも頼りになる相棒だ。昨日の試合だってあいつがいたから勝てたようなもんだ。俺の1番の親友であり、相棒であり…、ライバルである大地がいる。だから――」

 

空は姫川の方へ振り返り…。

 

「何の心配もいらねえよ」

 

そう言ってニコッと笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

両校の選手達がコートのあるフロアへと戻ってくると、観客が沸きあがった。各々がベンチに戻ると、選手達がコートへと向かって行った。

 

お互いにメンバーチェンジはなく、第2Q終了時のメンバーがコートへとやってきた。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

後半戦、第3Qが開始される。

 

竜崎がボールを受け取り、ボールを運び、フロントコートに入るとボールを回す。竜崎から天野。天野から外の生嶋。生嶋から中の松永。松永から竜崎にボールが戻ると、大地にパスを出した。

 

「チマチマボール回しても結果は変わらねえんだからさっさと来いよ」

 

「えぇ、言われずともそのつもりですよ」

 

スリーポイントラインの僅か外側でトリプルスレッドの態勢でボールを構える大地。一息フゥッと息と吐き…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

一気に加速。切り込んでいった。

 

「ハッ! そんな温いドライブで俺が抜けるかよ!」

 

同時に灰崎も動き、切り込んだ大地を並走する。だが、次の瞬間…。

 

「…っ!?」

 

灰崎の視界から大地の姿が消え失せた。

 

「(何処に行きやがっ――なっ!?)」

 

消えた大地の姿を探す灰崎。ふと振り返ると、先程ドライブを仕掛けた位置に大地はいた。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

充分な距離を空けた大地は悠々と構え、スリーを沈めた。

 

「なん…だと…」

 

灰崎は信じられないものを見る目をして驚愕した。先程大地が切り込んだ時点では確かに大地の姿を捉えていた。だが、切り込む大地に対応しようと動いた瞬間、大地の姿を見失い、次にその姿を捉えたのはドライブで切り込む前の場所だった。まるで大地の時間だけが戻ったのようにそこにいた。

 

「これで9点差。…そうですね。第3Q、10分あれば充分ですね」

 

そう呟き、大地の瞳に力強いものが宿ったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





前の試合と違い、この試合はサクサク進んで行きます…(;^ω^)

思えば黒子のバスケ連載当初、正直主人公の黒子の事があまり好きじゃなかったんですよね。理由として、必要な情報をチームメイトはおろか監督にすら教えない。自身の特性であるミスディレクションに時間制限がある事や、サイクロンパスの存在。理由は聞かれなかったから。正直これには( ゚Д゚)ハァ?ってマジで思いました。イグナイトパスに至っては教えても取れないから教えなかったみたいですし。特に敵の情報…それもキセキの世代の情報を教えないのはどうかと思ったんですよね。黄瀬は練習試合前に来た事もあってある程度情報を教えていましたが、緑間と青峰に関しては教えてる感じがしないんですよね。少なくとも、帝光中時代に緑間はハーフラインからはスリーを打っていたんですから教えておけばリコなら自軍のゴール下からスリーを打てる可能性に気付いたと思うんだけど…。青峰も、中学時代からあのスタイルのバスケをしてたんだから教えてあげればいいのに…。緑間の事ハーフタイム時の日向のセリフで、青峰の事は火神の反応で教えてない事は明白なのでなんだかなぁと思ってました。まぁ、秀徳戦は勝ちましたし、桐皇戦は教えても結果は変わらなかっただろうけど。

自分が完全に黒子の事を一時嫌いになったシーンは、秀徳の試合を観戦していた時、火神の『緑間の調子が良さそうだな』っていう言葉に対して『そうなんですか?』って返した所です。これ見て何だかんだ黒子も帝光中出身である事を鼻にかけて誠凛の連中の事舐めてんだなって思いました…(;^ω^)

原作が終えた今では好きなキャラです…!(^^)!

この二次だと出番少ないですが…(>_<)

長々と失礼しました…m(_ _)m

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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