黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

大雑把に誠凛対秀徳をお届けします…(^_^)/

それではどうぞ!



第147Q~チーム~

 

 

 

「…ちっ!」

 

シュート体勢に入ろうとしている緑間に対し、火神が慌てて距離を詰め、ブロックに飛んだ。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

しかし、緑間は火神がブロックに現れるとシュートを中断、ドリブルに切り替えて中へと切り込んだ。

 

「くそっ!」

 

フェイクにかかった火神は思わず悪態を吐いた。

 

「…っ! 緑間先輩!」

 

直後、ヘルプに飛び出した池永が緑間の前に立ち塞がる。

 

 

――スッ…。

 

 

同時に緑間は急停止。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「(ロッカーモーション!?)…くっ!」

 

すぐさま再加速。緩急で池永を抜きさった。池永を抜きさった緑間はそのままドリブル。ハイポスト付近で止まり、ボールを掴んだ。

 

「…くっ、おぉっ!!!」

 

これを見た田仲は打たれる前にと飛び出し、ブロックに飛んだ。だが、緑間はシュートを打たず、田仲の足元にボールを弾ませるようにパスを出した。

 

「だらぁっ!!!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

ゴール下でボールを受け取った戸塚はそこからボースハンドダンクでボールをリングに叩きこんだ。

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

「ナイスパス緑間!」

 

ダンクを決めた戸塚が緑間を労う。

 

 

第1Q、残り5分4秒

 

 

誠凛 6

秀徳 13

 

 

第1Qがもうすぐ半分が過ぎようとしている。試合は秀徳ペースで進んでいた。

 

「(くそっ! 的が絞れねえ!)」

 

緑間をマークする火神は大いに苦しんでいた。

 

「嘘だろ…、火神にとって緑間は相性が良い相手のはずなのに…」

 

劣勢を強いられている火神を見てベンチの河原が表情を強張らせる。

 

「確かに、河原君の言う通り、緑間君にとって火神君は最悪の相性だったわ。事実、そのおかげでうちは今日まで秀徳相手に勝ち越しが出来ていた」

 

『…』

 

「けどそれは、緑間君の高身長から放たれる高弾道のスリーを火神君がブロック出来たことと、緑間君が狂信的にスリーにこだわっていたからよ」

 

打点が高い緑間が最高到達点放ったスリーをブロックが出来るのは確認出来ているだけでも火神のみ。故に、緑間にとって火神は相性の悪い相手であった。

 

「例えパスを捌くようになっても、プレーの中心がスリーであった緑間君だったから火神君は過去の試合において優勢に進められた。けど、今日の緑間君は違う。積極的に中に切り込む上、中から積極的に点を取りに行っているわ」

 

リコの言う通り、ここまで緑間の得点の内訳はスリーが1本。後は中から得点かアシストであった。

 

「けど! 火神はあの青峰のドリブルだってある程度止めてるんですよ? いくら中でのプレーが増えたと言っても止められないものなんですか?」

 

全国屈指のアジリティとスピード。予測の出来ないプレーをする青峰を引き合いに出して福田が尋ねた。

 

「確かに、緑間君のドリブル技術は黄瀬君やそれこそ青峰君に比べればそこまで脅威ではないわ。火神君なら容易くとは言わないまでも止められない事はないわ」

 

「だったら…!」

 

「それが出来ない為の布石は最初の2つのプレーで打たれているのよ」

 

「…どういう事ですか?」

 

その意味を理解出来なかった夜木が聞き返す。

 

「緑間君の最初のオフェンスで中からのプレーがあることとそれが付け焼き刃ではなく、熟練されたものである事を印象付けた。次のオフェンスではのクイックリリースでのスリー。この2つの得点のせいで火神君がディフェンスで的を絞れないのよ」

 

緑間のスリーは言わずと知れた、打たれればボールに触れれない限りまず決められてしまう。その為、シュート体勢に入ったら即座にチェックに向かわなければならない。だが、ドリブル技術も黄瀬や青峰程ではないにしてもそれでも全国トップレベルであり、インサイドでのプレー技術も同様である為、火神は狙いを絞れず、翻弄されてしまっているのだ。

 

「容易く行けるなんて露程も思ってなかったけど、これは予想外ね。正直、ドリブルもインサイドでのプレーもスリーをより打ちやすくする為のものだと思ってたから。緑間君がここまでスリーのこだわりを捨てたとなると、火神君1人では止められないかもしれないわ」

 

顎に手を当て、神妙な表情で呟くリコ。

 

「…黒子君、予定では出番はもう少し後のつもりだったけど、早まるかもしれないわ。いつでも行ける準備はしておいて」

 

「分かりました」

 

そう指示を出された黒子はベンチを立ち上がり、準備を始めた。

 

「(とは言え、このままただ黒子君を試合に出す事だけは避けたいわ。これでは引きずり出されただけ。試合に出すにしても何かきっかけがほしいわ。何か良いきっかけが…)」

 

コートに視線を移したリコは何かヒントはないかと探し始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

ボールを運ぶ新海。秀徳はゾーンディフェンスで中を固めていた。

 

「…っ」

 

外でボールを掴んだ火神だったが、目の前の緑間のディフェンスに攻めあぐね、ボールを新海に戻した。

 

「俺にくれ! 俺が決めてやる!」

 

逆サイドに立つ池永が痺れを切らしてボールを要求した。

 

「…」

 

少し考えた後、新海は池永にパスを出した。

 

「行くぜ」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

宣言と同時に加速。ドライブで目の前の木村の横を一気に駆け抜けた。

 

「おらぁ!」

 

中へと切り込んだ池永はボールを右手で掴み、リングに向かって飛んだ。

 

「調子にのんなよおらぁ!!!」

 

決めさすまいと戸塚がブロックに現れた。

 

「どけぇっ!!!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「っ!?」

 

ブロックに飛んで来た戸塚の上からリングにワンハンドダンクを叩き込んだ。

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

『誠凛には火神以外にもあんな奴もいるのか!?』

 

派手なダンクを見た観客が沸き上がった。

 

 

誠凛 8

秀徳 13

 

 

「たりめえだ。帝光中の元エースで、誠凛の影のエースは俺だぜ」

 

歓声を受けてドヤ顔で言う池永。

 

「良く決めた池永。…だが、くれぐれも1人でやれるなんて考えんなよ。また去年みたいに勝手なプレー繰り返したらベンチに下げるからな」

 

「わーってるよ! 俺だっていつまでも同じじゃねえんだよ」

 

調子に乗らないように褒めつつも釘を刺す火神に、鬱陶しがりながらも素直に聞き分けた池永だった。

 

「…ちっ、伊達に帝光中でレギュラーを張ってた訳じゃないって事か…」

 

あっさり中に切り込まれた木村が悔しがる。

 

「去年は自分勝手な性格でチームの足引っ張ってたけどよ、それでもテクニックは相当だった。油断すんなよ」

 

「はい! すいません!」

 

油断禁物と高尾が木村の横っ腹に拳を突きながら注意を促すと、木村は頭を下げながら謝罪をした。

 

「派手に決めてくれちゃってよ…」

 

ボールを運ぶ高尾。平静を装っていたが、それでも目の前で派手なダンクを決められた事が癪に障っていた。その時、木村が火神にスクリーンをかけ、緑間が動き出した。

 

「やり返してやれよ真ちゃん!」

 

高尾がパスを出す。

 

「こんなんでフリーにさせっかよ!」

 

木村のスクリーンをかわした火神が緑間を追いかけた。

 

「なんてな♪」

 

だが、高尾は緑間へのパスを中断。逆サイドの斎藤にノールックビハインドパスを出した。

 

「よし!」

 

ボールを掴んだ斎藤。スリーポイントラインの少し後ろの位置からシュート体勢に入った。

 

「ちっ」

 

意表を突かれ、斎藤のマークを外してしまった朝日奈が慌ててチェックに向かった。しかし、紙一重で朝日奈のブロックは間に合わなかった。

 

 

――ガン!!!

 

 

だが、ボールはリングに嫌われ、弾かれた。

 

 

「さっきの派手なダンクを意識し過ぎたのか、力んだッスね」

 

シュートフォームから身体に余計な力が入っていた事を見抜いた黄瀬が呟いた。

 

 

『リバウンド!』

 

各ベンチから指示が出る。

 

「よし!」

 

リバウンドボールを田仲が抑える。

 

「速攻!」

 

ボールを新海に渡し、新海がそう声を出し、誠凛の選手達は速攻に駆け上がった。

 

「っと、行かせねえよ」

 

スリーポイントライン僅か手前で高尾が新海を捉え、立ち塞がり、新海は足を止めた。その間に秀徳の選手達はディフェンスに戻り、ディフェンス態勢を整えた。

 

『秀徳はゾーンディフェンスを組んでるから中が固い。外がない誠凛はキツイぞ』

 

観客席からそんな声がチラホラ飛び交う。昨年時までは日向鉄平と言う、強力なシューターがいたが、今年の誠凛にはシューターがいない。その為、ディフェンスを外に広げられない。

 

「外がない? 甘いわね」

 

リコがそう呟くと、新海が右45度付近スリーポイントラインの外側に立っていた朝日奈にパスを出した。

 

「っ!?」

 

ボールを掴んだ朝日奈はすぐさまそこからスリーを放った。外の警戒を緩めていた斎藤はそれを目を見開きながら見送った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

放たれたスリーはリングを潜り抜けた。

 

 

誠凛 11

秀徳 13

 

 

「っしゃ!」

 

スリーを決めた朝日奈は拳を握りながら喜びを露にした。

 

「コンバートするにあたって朝日奈君には練習後にスリー300本をノルマに課したわ。さすがに日向君程とまでとはいかないけど、今では武器と呼べるレベルまでになっているわ」

 

フフンと笑みを浮かべるリコ。

 

「…くそっ」

 

悔しがる斎藤。

 

「ドンマイ! 取り返そうぜ!」

 

高尾がそう声を出し、ボールを運ぶ。フロントコートまでボールを運ぶと、右45度付近のスリーポイントラインの外側に立つ斎藤にパスを出した。

 

「今度こそ!」

 

願いを込めてスリーを放った。

 

「…っ」

 

放たれたボールの軌道を見て緑間が眉をひそめる。

 

 

――ガン!!!

 

 

「…あっ」

 

しかし、願いは叶わず、ボールはリングに嫌われた。

 

 

「雑念が入り過ぎた。対抗しようと打ったスリーなんざ緑間でもねえ限り入らねえ」

 

欠伸をしながら青峰が呟く。

 

 

『…っ』

 

ゴール下では火神、田仲、池永。緑間、戸塚、木村がリバウンドに備える。

 

「(ぐっ! こいつ、去年までガードプレーヤーだったはずなのに、スクリーンアウトが上手ぇ!?)」

 

良いポジションを取ろうとする火神だったが、緑間が抜群の身体の使い方でポジションをキープし、許さない。

 

「おぉっ!!!」

 

リバウンドボールを緑間が強引に確保した。着地と同時に即座に斎藤にアウトレットパスを出した。

 

「…っ」

 

ボールをフリーで掴んだ斎藤だったが、先程外したスリーが頭にチラつき、躊躇う。

 

「打て!」

 

緑間が叫ぶと、斎藤は再度スリーを放った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

今度は的確にリングを射抜いた。

 

 

誠凛 11

秀徳 16

 

 

「決まった…」

 

今度こそ決まり、胸を撫で下ろす斎藤。

 

「外れたらなどと考えなくていい。俺が何度でもボールを拾ってやる。だから躊躇わず打てばいいのだよ」

 

そう言って斎藤の肩を叩きながら緑間が励ました。

 

「真ちゃんはお前の事、信頼してるんだぜ? 言ってたぜ、スモールフォワードへのコンバートに踏み切れたのはお前がいたからだってな」

 

「高尾…」

 

「ガンガン打ってけよ。馬鹿みたいにスリー決めまくる真ちゃんが異常過ぎるだけなんだから、別に外したって何とも思わねえからよ」

 

肩に手を置きながら斎藤を励まし、高尾はディフェンスに戻っていった。

 

「緑間…、高尾…」

 

中学時代は県でも指折りのシューターとして鳴らしていた斎藤。当時、シューターが弱かった秀徳で一花咲かせる為に入学したものの、緑間という天才が同時に入学してしまったが為に控えに甘んじていた。3年になり、緑間がコンバートした為、後釜としてスタメンに収まったものの、コンプレックスを抱いていた。だが、今の言葉を聞き、斎藤の中にあったモヤモヤはなくなった。

 

「よし!」

 

斎藤は気合いを入れ直したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「あれならもう大丈夫そうだな」

 

「ふん。俺はあんな事は言った覚えはない」

 

緑間に並んだ高尾が斎藤の様子を聞かせると、緑間は鼻を鳴らしながら返した。

 

「良いじゃねえか。事実だろ?」

 

ニヤニヤしながら尋ね返す高尾。

 

「…フン」

 

緑間はただ鼻を鳴らしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

スランプに陥りそうだった斎藤が緑間と高尾の言葉で立ち直った。ここからさらに秀徳がペースを握るかと思われたが…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ここから誠凛のスリーが決まり始める。朝日奈だけでなく、池永も続けてスリーを決める。この事から、秀徳はゾーンディフェンスを外に広げざるを得ず…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「…っ」

 

火神が緑間を抜きさり、着後にジャンプショットを決めた。

 

外から中からと決め、リズム良く誠凛が得点を重ねる。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「くそっ!」

 

一方、秀徳も緑間が火神を翻弄。立て続けに得点、または起点となって得点を重ねる。

 

チーム全体で得点を重ねる誠凛と、緑間を中心に得点を重ねる秀徳。試合は序盤の秀徳ペースから互角の様相を呈した。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここで第1Q終了のブザーが鳴った。

 

 

誠凛 21

秀徳 25

 

 

選手達がベンチへと下がっていった。

 

 

「4点差。点差だけ見ればそこまで差はないッスね」

 

「だが、秀徳ペースだ。今は上手くスリーが決まってるが、それは流れが来てるからに過ぎねえ。途切れれば、入らなくなる。そうなれば、さらに点差は開く」

 

最初の10分を振り返る黄瀬と青峰。

 

「問題は、火神っちと緑間っちッスね。今の所、火神っちはほとんど対応出来てない。火神っちが緑間っちを止められない限り、点差は開き続けるだけッスね」

 

「なら、秀徳有利?」

 

2人の解説を聞いて尋ねる桃井。

 

「ああ。…だが、誠凛はまだテツを出してねえ」

 

「そうッスね。黒子っちが出れば流れは確実に変わる。誠凛にもチャンスはあるッスよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

第2Qが始まり、誠凛ボールでスタート。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

新海が隙を付いて自ら決め、最初の攻撃を成功させた。続いて、秀徳のオフェンス。

 

「…」

 

高尾が緑間にパスを出すと、火神がディフェンスに入った。

 

「(読み合いでは緑間に勝てねえ。だったら…)スー…フー…」

 

第1Qでは後手後手となり、緑間にやられ続けた火神。大きく深呼吸をすると、四肢の力を抜き、自然体の構えを取った。

 

「…」

 

ボールを小刻みに動かしながらチャンスを窺う緑間。

 

 

――スッ…。

 

 

突如として、緑間がシュート体勢に入った。

 

「…っ!」

 

これに火神が反応し、ボールに右手を伸ばす。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

しかしこれはフェイク。ボールを頭上にリフトさせると、緑間はドライブで切り込んだ。

 

『抜いたか!?』

 

「っ!?」

 

だが、火神も同時に緑間を追いかけ、並走する。

 

「…っ!」

 

中に切り込んだ直後、緑間がボールを掴み、僅かに左方向へとステップバック。火神と距離を空けた。

 

「…ちっ!」

 

距離を取られた火神はすぐにその空いた距離を詰める。だが、緑間のその前にシュート態勢に入った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

フェイダウェイで後ろに飛びながらクイックリリースで放たれたボールはリングを潜り抜けた。

 

『うおー! あんなプレーまであるのか!』

 

「くそっ!」

 

ブロック出来ず、悔しがる火神。

 

「だが、今のは結構危なかったぞ。真ちゃんの動きに追い付いてた」

 

何とか得点に繋げたものの、紙一重であった事に驚く高尾。

 

「なるほど、野生か」

 

緑間がそう呟いたのだった。

 

 

「何とかしろよ。お前が緑間先輩止めなきゃ話にならねえだろうが」

 

「うるせぇ黙ってろ。あと少しで…」

 

文句を言う池永を遮り、さらに集中を高める火神。

 

 

続くオフェンス。新海は火神へとボールを託した。

 

「…行くぜ」

 

そう目の前の緑間に告げると、火神が動いた。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

一気に加速し、切り込む。

 

「…っ、甘い!」

 

緑間もこれに対応。火神に並走しながら追いかける。

 

 

――スッ…。

 

 

直後、火神はボールを掴んでターンアラウンドし、シュート体勢に入った。

 

「…っ!?」

 

ブロックに向かった緑間。火神のシュートコースを塞いだのだが…。

 

「(くそっ!)」

 

後に飛んだはずの緑間が先に床へと落ちていく。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

障害がなくなったと同時に火神はボールをリリースし、ジャンプショットを決めた。

 

『うおー! 何だ今の!?』

 

『いつまで飛んでんだよ!?』

 

その長い滞空時間に観客がどよめいた。

 

「ここからだぜ。覚悟しな」

 

緑間に振り返り、宣言する火神。

 

「面白い」

 

眼鏡のブリッジを押し上げながら緑間はただそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ここから試合は両チームの主将、火神と緑間によるエース対決が繰り広げられる。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

火神が決めれば…。

 

 

――バキャァァッ!!!

 

 

緑間が決め返す。一進一退の試合展開となった。

 

 

誠凛 27

秀徳 31

 

 

「互角ッスね」

 

「あぁ」

 

火神はそのジャンプ力と勝るフィジカルを駆使し、ガンガンボールを叩き込み、緑間はドリブル、ターンなど、バリエーションを駆使して攻め立てている。

 

「これは、このエース対決を制した方が流れを持っていきそうッスね」

 

 

「緑間!」

 

「火神!」

 

両者共に退くことなくぶつかり合い、均衡を保っている。エース対決が始まって3分程が経過したその時、その均衡が揺れ動いた。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

火神が緑間の横を抜け、そのままリングに向かって飛んだ。

 

「まだなのだよ!」

 

懸命に火神の後ろから腕を伸ばし、ダンクを阻む。

 

「らぁっ!!!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「ぐっ!」

 

そんな緑間のブロックを弾き飛ばしながら火神はボールをリングに叩きつけた。

 

 

『ピピーーーーーーーーー!!!』

 

 

『ディフェンス、バスケットカウント・ワンスロー!』

 

審判が笛を吹き、ディフェンスファールがコールされ、フリースローが与えられた。

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

値千金の豪快なダンクに観客が大歓声。

 

「っしゃ!」

 

決めた火神は拳を握りながら喜びを露にした。

 

「…っ」

 

緑間は歯を食い縛りながら立ち上がった。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

与えられたフリースローを火神が落ち着いて決め、3点プレーを成功させた。

 

「よし!」

 

フリースローを決めた火神は拳を握りながらディフェンスへと戻っていった。

 

 

「今の良い1発ッスよ。流れを変えるには充分――」

 

誠凛に流れが傾くと黄瀬が言おうとしたその時…。

 

 

「何を得意げな顔をしているのだよ。流れが変わるとでも思ったか?」

 

『っ!?』

 

その時、誠凛の選手達の目に移ったのは、自陣のリングの下でボールを構える緑間の姿。

 

「もう忘れたのか? 俺のシュートエリアを」

 

「しまっ――」

 

火神が振り返った時には既に遅く、緑間はシュート態勢に入り、大きなループを描くように高い軌道でボールを放っていた。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

放たれたボールはリングに触れる事無くリングを通り抜けた。

 

『…』

 

静まり返る会場。

 

『おっ…』

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

静まり返った会場が再び大歓声。先程の火神のダンクを上回る大歓声が会場を包み込んだ。

 

「そう簡単に流れは渡さん。勝つのは秀徳(俺達)だ」

 

緑間は、誠凛の選手達に向けて言い放ったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

ベンチで試合の様相を顎に手を当てながら見守っていたリコ。

 

「……黒子君。準備は出来てるわね」

 

「はい。いつでも行けます」

 

指名された黒子が返事をした。

 

「時計が止まったら投入するわ。頼むわよ」

 

「はい、任せて下さい」

 

リストバンドを腕に巻きながら黒子が立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…来たか」

 

オフィシャルテーブルに向かう黒子を見ながら呟く青峰。

 

「遂に真打登場ッスね。黒子っちの投入で変わらなかった流れは変わる」

 

期待を込めた視線を黒子に贈る黄瀬。

 

 

『ビビーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

「メンバーチェンジ! 白(誠凛)!!!」

 

ボールデッドと同時にメンバーチェンジがコールされた。

 

 

OUT 池永

 

IN  黒子

 

 

「俺かよ!? …ちぇっ、黒子先輩、頼みます」

 

「任せて下さい」

 

交代を命じられてへそを曲げる池永だったが、黒子に声を掛けて渋々ベンチへと下がった。

 

「池永君。集中を切らさないでよ。まだあなたには試合に出てもらうつもりなんだから」

 

「わーってますよ。これで終わりじゃシャレになんないからな」

 

「任せたわよ、黒子君」

 

リコは黒子に期待を込めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「すまねえ黒子。引きずり出される形でお前を出させちまった」

 

緑間を止められず、その不甲斐なさから火神が黒子に謝った。

 

「今日の緑間君は僕の知る彼とは大きくかけ離れていました。そんな緑間君相手にここまで健闘してくれた火神君が謝る必要はありませんよ」

 

謝る火神を制する黒子。

 

「倒しましょう2人で緑間君を。勝ちましょう、皆で」

 

『おう(はい)!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

黒子がコートに入り、試合が再開される。

 

「秀徳のディフェンスが変わった」

 

「やっぱりそう来たわね」

 

ディフェンスの変化に気付いた池永。リコは予想していたのか、頷いていた。

 

「よう。やっとコートで会えたな」

 

「よろしくお願いします」

 

黒子の前に立って挨拶する高尾とそれに応える黒子。

 

「ボックスワン…!」

 

降旗が声を上げた。

 

高尾が黒子にマンツーマンでマークし、他の4人はゾーンディフェンスを組んだ。

 

ホークアイでミスディレクションで姿を見失う事無くマークが出来る高尾を黒子に付け、他の4人は中を固めた秀徳。

 

「…」

 

高尾の顔を覗きながら機会を窺う黒子。機を見て黒子が動いた。

 

「何度も試合してんだ。逃がしは――っ!?」

 

黒子の後を追おうとした高尾だったが、何かにぶつかり、阻まれた。

 

「さすがに黒子先輩の姿を追いながらスクリーンに気を配るのは無理みたいですね」

 

身体を張って高尾を食い止めながら言い放つ朝日奈。

 

「何度も試合してるのよ。対策は万全よ!」

 

したり顔でリコが言う。

 

黒子のマークに有効な高尾。その対策としてリコが用意したのは、高尾にスクリーンをかける事だった。如何にコート全体が見えるホークアイを持っていても、影の薄い黒子を追うとなるとその瞬間は黒子に集中しなければならない。そうなれば他の者の警戒は緩くならざるを得ない。

 

新海からパスを受けた黒子はタップで軌道を変え、ゴール下の田仲にパスを通した。

 

 

――バス!!!

 

 

田仲は落ち着いてゴール下から得点を決めた。

 

『出た! 誠凛の魔法のパス!』

 

新海から黒子。そこから田仲に中継し、得点に繋げた。

 

「…っ」

 

黒子にパスを中継させてしまい、悔しがる高尾。

 

「黒子…!」

 

そんな黒子を忌々しく睨み付ける緑間。

 

「ここからです。最後の夏ですので、そう簡単には譲れません」

 

2人に向けて、黒子が言ったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

第2Qに入り、エース対決が始まるも、均衡は崩れる事はなかった。

 

誠凛は遂に切り札である幻のシックスマン、黒子テツヤを投入。

 

試合は、新たな局面に突入する……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





イマイチオリキャラを活躍させられんな…(;^ω^)

正直、困っている事が2つ。1つ目はこの試合の結末です。当初は決めていたのですが、この緑間を見ていると、勝たせてあげたいんですよね~(>_<)

もう1つは、緑間のゾーンはどうしたらいいのか…(T_T)

スリーは既に完成してるし、これ以上パワーアップさせるともうチートだし…(-_-;)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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