黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

駆け足で話が進みます…(;^ω^)

それではどうぞ!



第149Q~執念と結末~

 

 

 

「舐めるな火神。まだ勝負は付いていない。俺の進化はまだまだ止まらないのだよ!」

 

逆転を許した秀徳だったが、緑間の起死回生のスリーで再び逆転に成功した。

 

 

第4Q、残り1分52秒。

 

 

誠凛 93

秀徳 95

 

 

『スゲー! 緑間のスリーは何でもありか!?』

 

スリーポイントラインからさらに離れた所からのタフショットに観客が沸き上がった。

 

「マジすか…。よくあんなの決められるッスね…」

 

黄瀬も驚愕しており、表情は引き攣っていた。

 

「もしかしてミドリン、ゾーンに入ってる?」

 

「いや、そんな感じはねえな。だが、緑間に限って言えば、スリーに関しては常にゾーンに入ってるようなもんだけどな」

 

桃井の疑問に否定するも、青峰は緑間のスリーをそう評した。

 

 

「スゲーぜ真ちゃん! いつの間にあんなの出来るようになったんだよ!?」

 

大はしゃぎで高尾が駆け寄る。

 

「なってないのだよ」

 

対して緑間は表情を変える事なく返す。

 

「イチかバチかやってみせただけだ。あんな芸当、何度も上手くはいかないのだよ」

 

「マジかよ…」

 

この返事を聞いて高尾の表情が曇る。

 

「…だが、今の火神を相手にするには賭けを打つのもやむなしだ。勝つ為ならどんな危険な橋だろうと渡ってやる…!」

 

決意に満ちた表情で緑間が宣言したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「(キセキの世代はホントに飛んでもない事をやってのける。嫌になるぜ…!)」

 

ボールを運ぶ新海。先程の緑間のビッグショットの衝撃が未だ残っていた。

 

「(だが、例え緑間さんと言えども、火神さん相手に何度もあんなシュートを決められるはずがない。残り時間、選択はここ一択だ!)…火神さん!」

 

意を決して新海が火神にパスを出した。

 

「行くぜ」

 

「…来い」

 

右45度付近のスリーポイントラインを挟んで睨み合う両者。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ボールを動かしながら牽制した後、火神が仕掛ける。

 

「…っ」

 

緑間もこれに何とか食らいつく。

 

 

――スッ…。

 

 

次の瞬間、火神はバックロールターンで反転し、緑間の反対側から駆け抜ける。

 

「…ぐっ、おぉっ!!!」

 

逆側を抜けようとする火神を強引に身体を動かしてボールに手を伸ばす。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

しかし、火神はその手をボールを切り返してかわした。そのままリングに向かって飛んだ。

 

「(まだだ、まだ終わっていない!)」

 

伸ばし手を床に付け、強引に転倒を防ぎ、そのまま立ち上がる緑間。

 

「おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!」

 

 

――ドン!!!

 

 

ダンクに向かう火神に対して後ろからブロックに飛んだ緑間。その際に火神と接触する。

 

「…っ!」

 

後ろから接触され、表情を歪める火神。

 

 

『ピピーーーーーーーーー!!!』

 

 

これを見て審判が笛を吹いた。

 

『ディフェンス、プッシング、白4番! フリースロー!』

 

審判が緑間のファールをコールした。

 

「ハァ…ハァ…!」

 

肩で息をしながら立ち上がる緑間。

 

「(こいつ、あの体勢から…。がむしゃらにブロックに来やがった…)」

 

泥臭く自分を止めに来た緑間に驚く火神。

 

 

――ザシュッ!!! …ザシュッ!!!

 

 

フリースロー2本。火神はきっちり決めた。

 

 

誠凛 95

秀徳 95

 

 

「っしゃ! この調子ならもう貰ったも同然だぜ」

 

勝利を確信し、表情を緩めながら火神に近寄る池永。

 

「バカな事言ってんじゃねえぞ。まだ同点だ。気を抜いてんじゃねえ」

 

そんな池永に怒りの表情をぶつける火神。

 

「キセキの世代の恐ろしさはお前もよく知ってんだろ。追い詰められたキセキの世代はあり得ない事も平気でしてくる。試合が終わるまでそんな甘い事は口にするな」

 

そう説教すると、火神は緑間のマークへと向かった。

 

「…ちっ、分かってるっての」

 

苛立ち交じりにそう呟くも、顔を叩いて表情を改める池永であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

秀徳のオフェンス。

 

「(ここはアレしかねえ!)」

 

何かを決めた高尾。

 

 

――スッ…。

 

 

ボールを保持していない緑間がシュートの構えを始めた。

 

「来るか、させねえぞ!」

 

「っ!」

 

2人の狙いに気付いた火神、黒子が動く。

 

…空中装填式(スカイ・ダイレクト)スリーポイントシュート。ボールを持たずにシュート態勢に入った緑間の手元に高尾が正確無比なパスを送り、そのままシュートを放つ2人の連携技。

 

「(何度も見せつけられたんだ、今度こそ止める!)」

 

火神が高尾のパスに注意を払う。しかし…。

 

「っ!?」

 

緑間は空中に飛ぶのではなく、前へと走り出した。

 

「フェイクか!? くそっ!」

 

まんまと騙された火神は慌てて緑間を追う。

 

「もう遅ぇぜ!」

 

中に走り込んだ緑間に高尾がパスを出す。ボールを受け取った緑間はそのままリングに向かって飛んだ。

 

「止める!」

 

「おぉっ!」

 

そこへ、池永と田仲がブロックに現れた。

 

「おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「がっ!」

 

「ぐっ!」

 

だが、緑間はお構いなしに2人を弾き飛ばしながらボールをリングに叩きつけた。

 

『うおぉぉぉぉっ!!! 豪快なダンクだぁっ!!!』

 

 

誠凛 95

秀徳 97

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

ダンクを決め、着地した緑間は肩で息をしながらディフェンスに戻っていった。

 

「2人のブロックもお構いなしかよ…」

 

190㎝を超える2枚のブロックを吹き飛ばしたダンクに朝日奈が言葉を失う。

 

「緑間君がダンクをしてきたという事は…」

 

「あぁ。プライドも何かもかなぐり捨てて勝ちに来てる。だが、俺達だって負けねえ。勝つのは俺達だ!」

 

緑間の執念に中てられ、火神の闘志にも火が付いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ゾーンに入った火神とがむしゃらに勝利を目指す緑間がぶつかり合う。

 

だが、それでもゾーンに入った火神が緑間の上を行き、緑間は火神を止める事が出来ない。しかし、オフェンスではチームメイトがカバーに入り、何とか得点を奪う。

 

激しくぶつかり合う両校。タイムアップの時間は刻一刻と近付いていた。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

第4Q、残り14秒。

 

 

誠凛 99

秀徳 99

 

 

緑間の放ったシュートが火神のブロックによってリングに嫌われるも戸塚がタップで押し込んだ。

 

『土壇場で同点に戻したぞ!』

 

いよいよクライマックス。迫る決着を前に観客のボルテージは最高潮であった。

 

「走れ! 最後の1本、決めて終わるぞ!」

 

「歯を食い縛れ! ここを止めて逆転するのだよ!」

 

両校の主将が声を上げる。

 

互いに延長戦を考えておらず、この第4Qで決める覚悟だ。

 

「「…っ!」」

 

ボールを運ぶ新海に激しく当たる斎藤。新海も必死にボールをキープする。

 

「おぉっ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

咆哮を上げながら新海が強引にカットインする。

 

「っ!?」

 

追いかけようとする斎藤だったが、何かに阻まれる。

 

「…いつつ! くそが!」

 

池永がスクリーンをかけていた。

 

『嘘だろ!? あの池永がスクリーン!?』

 

この行動にベンチの選手達が驚いていた。

 

自分勝手で自分本位だった池永が仲間を活かすために身体を張った汚れ役を引き受けたのだ。

 

「させねえ!」

 

カットインすると、すぐさま木村がヘルプに飛び出し、新海の前に立ち塞がった。同時にボールを掴んだ。

 

「(この位置であの体勢でシュートはない。パスしかない…!)」

 

ハイポスト付近で立ち止まった新海。ここで打てるのはジャンプショットのみ。それならば木村でも止められる。残された選択肢はパスしかいない。ならばパスターゲットは…。

 

「(んなの、火神しかねえだろ!)」

 

誰で決めてくるか、秀徳の選手達の予想は一致した。

 

 

――火神だ!!!

 

 

新海が動く、火神に視線を向け、パスを出した。

 

『っ!?』

 

次の瞬間、秀徳の選手全員の表情が驚愕に染まった。パスの先は火神ではなかったからだ。ボールは、黒子の手に収まった。

 

「(ここで黒子だと!?)」

 

「(この試合、1度も打ちに行かなかったのは全て布石だったのか!?)」

 

この試合……いや、黒子は予選から今に至るまでほとんど言っていいほどシュートを打ってこなかった。得意ではないが、黒子にも得点手段はある。それでも黒子はパスの中継に徹してきた。

 

黒子がボールを胸の位置に構える。得意のファントムシュートの構えだ。誰もが秀徳選手の誰もが火神に気を取られ、黒子への意識がなかった為、ヘルプに行けない。そう思われたその時!

 

「黒子ぉっ!!!」

 

秀徳の選手の中でただ1人、黒子のシュートコースを塞ぐように緑間がブロックに現れた。

 

『緑間(先輩)(キャプテン)!!!』

 

緑間が現れた事に秀徳の選手達が歓喜した。

 

『どうして緑間が!? まさかこれを読んでいたのか!?』

 

まさかの人物が現れた事に観客も驚いている。

 

火神をマークしているはずの緑間。その緑間がもっともマークを外してはいけない相手のマークを外し、黒子のヘルプに来ていた。

 

緑間が黒子のシュートコースを塞ぐようにブロックをし、誰もが緑間のブロックを確信した。

 

「さすが緑間君です。『やっぱり』、来ましたね」

 

黒子が顔を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクは影だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時に黒子の手から放たれるボール。だが、その軌道はリングから逸れていた。

 

「っ!?」

 

ハッとして緑間が振り返ると、そこに1つの影が現れた。

 

『火神!!!』

 

タイミング良く現れた火神の右手にボールが収まった。

 

『行けぇぇぇぇぇーーーっ!!!』

 

「おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

右手に収まったボールを火神がリングに叩きつけた。

 

 

第4Q、残り3秒。

 

 

誠凛 101

秀徳  99

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

同時に観客がこの試合1番の歓声を上げた。

 

「まだ試合は終わってねえぞ! 緑間のマークは絶対に外すな!!!」

 

リングから手を放して着地した火神がすぐさま指示を出した。

 

残り時間はたった3秒。しかし、それだけあれば緑間には充分過ぎる時間。池永と新海がすかさず緑間に張り付くようにマークする。

 

「…」

 

この時、誰もが気付いていなかった。緑間の表情が焦りや決死の表情ではない、完全な集中状態である事に…。

 

「真ちゃん!」

 

2人のマークもお構いなしに高尾が緑間にパスを出した。

 

「「っ!?」」

 

高尾は池永と新海には届かず、緑間がだけが取れる高さにパスを出し、緑間のボールを届けた。

 

「くそっ! 打たせるか!」

 

「何としてでも!」

 

着地した池永と新海はすぐさまディフェンスに入った。

 

「…」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「「っ!?」」

 

しかし、緑間はワンドリブルで2人を同時に抜きさった。直後、緑間はシュート体勢に入った。

 

「これで終わりだ緑間ぁっ!!!」

 

その時、後ろから火神がブロックに現れた。アリウープを決めた直後に緑間の下に向かった火神。ジャンプしてボールを掴み、2人を抜きさった僅かな時間に緑間に追い付いた。

 

『頼む、火神!!!』

 

決死の緑間のブロックに願いを込める誠凛の選手達。しかし…。

 

「っ!?」

 

火神の表情が驚愕に染まった。何と、緑間はシュート体勢に入っていなかった。

 

「(今確かにシュート体勢に入って…! 今のフェイクは、タツヤ並…いやそれ以上!?)」

 

確かにシュート体勢に入ったと思い込んだ火神。ゾーンに入った火神すら出し抜いた緑間のフェイクに火神は驚きを隠せなかった。

 

ここで改めてボールを掴んだ緑間がシュート体勢に入る。しかし…。

 

「…っ!」

 

緑間の持つボールを狙う1つの影が現れた。

 

『黒子!?』

 

そう、黒子だ。黒子もまた、火神同様緑間の下へと走っていた。最後の最後に狙ってくるであろう緑間を止める為に。

 

『頼む、止めてくれ黒子!!!』

 

最後の要である黒子に期待と共に願いを込める誠凛の選手達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――だろうな。お前は来ると思ったのだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

シュート体勢に入ろうとした緑間は上へとリフトしようとしたボールを止め、ターンアラウンドで反転しながら黒子の手をかわした。

 

『っ!?』

 

最後の要の黒子がかわされ、絶望の表情に染まる誠凛の選手達。阻む障害がなくなった緑間は今度こそシュート体勢に入り、ボールをリリースした。

 

『…っ!』

 

高い軌道を描いてリングへと向かうボールに選手のみならず、試合を見つめる全ての者が注目する。ボールが落下を始め、リングへと向かい、そして…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リングの中心を射抜いた。

 

緑間がフォロースルーに掲げていた右手を力強く握ると、同時に秀徳ベンチのいる全ての者が立ち上がり、コート上の選手達が緑間の下へ駆け寄る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――秀徳が土壇場で逆転に成功した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ピピーーーーーーーーー!!!』

 

その時、審判の笛が鳴った。

 

『っ!?』

 

会場が静まり返り、何事かと審判に注目が集まる。審判は両腕を交差し、左右に掲げると…。

 

『タイムアップ!!! ノーカウント!!!』

 

そうコールした。

 

『タイムアップ!!!???』

 

大歓声に包まれる会場。

 

緑間がボールを放つほんの僅か前に、試合は終わっていた。

 

「っしゃぁぁぁぁっ!!!」

 

大声で絶叫した池永が両拳を突き上げる。

 

「勝った…のか…」

 

「終わった…」

 

少しずつ事実を理解しだした新海と田仲が嘆息する。

 

「タイム…アップ…」

 

審判の言葉が耳に入るも頭に入らない火神が独り言のように呟く。

 

「ハァ…ハァ…」

 

肩で息をしながら得点が表示されている電光掲示板を見つめる黒子。

 

 

試合終了。

 

 

誠凛 101

秀徳  99

 

 

「…」

 

緑間が両目を深く瞑りながら天を仰いだのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「誠凛が勝ったか…」

 

観客席で試合を見守っていた上杉がポツリと呟いた。

 

「秀徳は、後1秒…いや、0.5秒あったら勝ってた。ツイてないね」

 

生嶋がラストショットを放った緑間に感情移入させる。

 

「…違う」

 

そんな生嶋の言葉を空が否定する。

 

「最後、スリーを打って決めるだけの時間は充分あった。誠凛がその時間を稼いだ。これは誠凛の勝利への執念の結果だ」

 

「空…」

 

しみじみと語る空を見つめる大地。空は踵を返し、歩き出した。

 

「空坊、何処行くねん!?」

 

「…帰ります。今、無性に身体を動かしたいんで…」

 

そう言って、空は出口に向かって歩き出した。

 

「ったく、あいつ自分がキャプテン言うの忘れとんちゃうか?」

 

呆れる天野だったが、空の心情を理解出来たのか、空を咎める事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「誠凛が最後は勝ったッスね」

 

試合が終わり、背もたれにもたれ掛かる黄瀬。

 

「惜しかったね。後もう少し時間があれば…」

 

「結果が全てだ。勝たなけりゃ意味がねえ」

 

厳しい現実を口にする青峰。

 

「…最後の緑間っち、入ってたッスね」

 

「…あぁ」

 

確認するように黄瀬が言うと、青峰は頷きながら返事をした。

 

「…あん?」

 

ふと、青峰が視線を通路に向けると、出口に向かう空と視線があった。

 

「…」

 

「…」

 

数秒視線を交わす2人。空はすぐさま視線を逸らし、改めて出口へと空は歩き出した。

 

「…ふん」

 

鼻を鳴らした青峰は立ち上がり、その場を後にした。

 

「帰るんスか?」

 

「たりめえだろ。試合終わったのにもうここには用はねえ」

 

そう返し、青峰は歩き出した。

 

「ちょっと大ちゃん! それじゃきーちゃん、またね! 今日はありがとう! 大ちゃん、先行かないでよ!」

 

黄瀬に礼を言いながら桃井は青峰を追って行った。

 

「俺も行くとしますか。…そういえば、拓馬君、何処言ったんスかね」

 

ここで一緒に試合を見に来た小牧の存在を思い出した黄瀬は小牧に連絡を取り始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激闘準決勝が終わり、洛山高校と誠凛高校がインターハイ、ファイナルへと勝ち進んだのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

翌日…。

 

インターハイの決勝、夏の覇者を決める試合が行われた。

 

 

 誠凛高校 × 洛山高校

 

 

共に激闘の準決勝を勝ち抜き、ここまで来た猛者達。試合前の予想では洛山有利。やはり、赤司率いるハイレベルのオールラウンダーが揃いの洛山が勝利と予想する者が多く、ある程度点差が開く展開もあり得るとの声もあった。

 

そんな予想がされる中、試合は始まった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

大歓声が会場を包む中、両校が激しくぶつかり合う。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

火神が三村と四条のダブルチームを抜きさり、カットインした。

 

「…っ!」

 

中に切り込まれたのを見て五河がヘルプに飛び出る。

 

 

――ボムッ!!!

 

 

五河が前に出て来たのを見計らって火神はボールを弾ませるようにしてパスを出した。

 

「ナイスパス!」

 

 

――バス!!!

 

 

ゴール下でノーマークでボールを掴んだ田仲が落ち着いてゴール下を沈めた。

 

 

第4Q、残り3分23秒。

 

 

誠凛 81

洛山 67

 

 

試合は終盤、誠凛が点差を大きく広げていた。

 

下馬評を大きく覆す点差。今日の洛山はとにかく精彩を欠いていた。序盤こそ洛山得意のボール回しで得点を重ねていったのだが、第2Q後半に入ってから状況が変わったのだ。

 

『ハァ…ハァ…』

 

肩で大きく息をする洛山の選手達。

 

「ハァ…ハァ…」

 

それは赤司も同様……いや、赤司が特に顕著であった。

 

第2Q後半から赤司が失速し始めた。目に見えて動きが鈍くなり、赤司らしからぬミスも出始めた。赤司が不調になった事で洛山の歯車が狂い始め、さらには他の洛山の選手達も失速を始めた。

 

「(…今日の赤司先輩からは全く怖さを感じない)」

 

赤司のマッチアップを命じられた新海。その責任は重大であり、覚悟を持って試合に臨んだのだが、そのプレッシャーに圧倒されたのは最初だけで、後半戦に入ると、赤司は別人のように失速した。

 

「(くそっ! 赤司が本調子だったら…!)」

 

「(本来ならもう試合に出ていられる状態じゃないんだ。昨日のあの様子では…)」

 

二宮、四条が思い返す。昨日の試合終了後の事を…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

『…くっ!』

 

コートから通路に入ると、突如赤司が苦悶の表情と共に壁にもたれ掛かり、膝を付いた。

 

『赤司、どうした!?』

 

様子がおかしい事にいち早く気付いた四条が赤司に駆け寄る。

 

『赤司!』

 

同じく赤司の様子に気付いた白金が赤司に駆け寄り、身体を抱えた。

 

『…っ!? まずい、呼吸困難を起こしている。誰でもいい、医務室へ行って医者を、担架を持ってくるんだ!』

 

『分かりました!』

 

傍にいた選手が急いで医務室へと向かった。

 

『赤司、一旦ここに座れ』

 

長いタオルを敷き、そこへ赤司を座らせた。

 

『ハァ…ハァ…』

 

苦しそうに呼吸をする赤司。

 

『いったい何が…』

 

突然の赤司の容体の変化に混乱する選手達。

 

『……神城をマークし続けたからだ』

 

白金が要因となったものを口にした。

 

『スピード、運動量が桁外れな上、動きの予測が出来ない神城を赤司は今日、1人でマークし続けた。エンペラーアイも過度に駆使してな。そのツケが今出たのだ』

 

赤司は空を止める為にかなり無理をしていたのだと白金は説明する。

 

『勝負の内容は赤司の完勝と言ってもいいかもしれない。だが、赤司も死に物狂いだったのだ』

 

苦悶の表情で白金は口にしたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

翌日、赤司は試合開始ギリギリまで回復に努め、何とか試合に出られるまでは回復したのだが、やはりコンディションは最悪であり、試合の頭から出場したが、第2Qの中盤に差し掛かる頃には肩で大きく息をし始めていた。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

新海が仕掛け、赤司の横を抜ける。カットインした新海はそのままシュート体勢に入ると、洛山の選手達が新海を止める為に中へと寄ってくる。

 

 

――スッ…。

 

 

それを見越したかのように新海は外にパスを出した。

 

「よし!」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

スリーポイントラインの外側でパスを受け取った朝日奈がスリーを決めた。

 

「ハァ…ハァ…!」

 

両膝に手を付き、苦しそうに赤司は呼吸をしていた。

 

「…」

 

そんな赤司に視線を向ける火神。

 

「…火神君」

 

「あぁ、分かってる。手心を加えるつもりはねえ。こっちだって余裕はねえし、残り時間とこの点差じゃ、何が起こるか分からねえからな」

 

火神の様子を見た黒子が話しかけるが、火神は手で制止ながらそう告げた。

 

「気を抜くな! 最後まで攻めまくるぞ!」

 

『おう!!!』

 

ディフェンスに戻った火神が檄を飛ばすと、誠凛の選手達が応えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「(こうも身体が思い通りに動かないとは…)」

 

鉛でも背負ったかのように身体が重く感じる赤司。

 

「(他の者達も似たようなものか。やれやれ、状況は最悪か…)」

 

思わず悪態を吐きたくなる赤司。

 

「(それでも諦める訳にはいかない。例え絶望的な状況であろうと、『彼ら』は諦めなかった)」

 

赤司が顔を上げる。

 

「あ、赤司…」

 

「情けない顔をするな。まだ試合は終わっていない」

 

心配そうに赤司の名を呼ぶ四条に赤司が檄を飛ばす。

 

「まだ時間はある。最後まで戦うんだ」

 

『赤司…』

 

前を向き、誠凛の選手達を見据える。

 

「(諦めてなるものか。黒子は自身の最大の武器を失い、それでもなお戦い、活路を見出した。神城は勝敗が決してもなお最後まで戦った。まだ希望が残っているのに、諦めてなるものか!)」

 

「行くぞ、洛山はまだ終わっていない。勝つのは俺達だ」

 

『おう!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

暗雲が差し掛かった洛山だったが、赤司の一言で蘇った。

 

「おぉっ!」

 

 

――バス!!!

 

 

疲労を感じさせない動きで誠凛を追い詰める。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

一方、誠凛も点差が付いても気を抜かず、持てる力を全て洛山にぶつける。

 

両校の意地とプライドがぶつかり合い、たった1つしかない頂点の座を巡ってぶつかり合う。そして…。

 

 

第4Q、残り11秒。

 

 

誠凛 89

洛山 80

 

 

赤司がボールを運んでいる。

 

『洛山!!! 洛山!!!』

 

観客席のベンチ入り出来なかった洛山の選手達が必死に声を張り上げて応援している。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

意を決して赤司がドライブ。目の前の新海を抜きさる。

 

「行かせるか!」

 

「止める!」

 

カットインしてきたのを見て火神、黒子がヘルプに飛び出し、赤司の進路を塞ぐ。

 

 

――スッ…。

 

 

次の瞬間、赤司はパス。ボールを外の二宮に出した。フリーでボールを受け取った二宮はすぐさまシュート体勢に入った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

放たれスリーはリングの中心を射抜いた。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

同時に試合終了のブザーが鳴り響いた。インターハイの覇者がこの瞬間、決まった。

 

 

試合終了。

 

 

誠凛 89

洛山 83

 

 

「やったぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

ベンチから誠凛の選手達が飛び出し、コート上の誠凛の選手達に抱き着き、喜びを露にした。

 

「勝った…!」

 

嬉しさを噛みしめる新海。

 

「ひぐっ! やった…」

 

涙を流しながら喜ぶ田仲。

 

「…勝った。優勝…」

 

茫然と状況を理解しようとする朝日奈。

 

「ハハッ…!」

 

無事、チームを優勝させる事が出来たリコは涙を流しながら笑顔で喜んでいた。

 

『…っ』

 

対して洛山の選手達は、拳をきつく握りしめている者、床に膝を付いている者など、一様に涙を流しながら敗戦を悔しがっていた。

 

「…」

 

赤司は無念の表情で両目を瞑り、天を仰いでいた。

 

「…ふぅ、勝ったか」

 

「優勝です、火神君。日向先輩達の悲願を果たす事が出来ました」

 

勝利に安堵する火神と昨年引退した先輩達が為しえなかった夏の制覇を黒子は喜んでいた。

 

「おめでとう。お前達の勝ちだ」

 

そんな2人に赤司が歩み寄り、勝利を称えた。

 

「勝った気がしねえよ。本調子に程遠いお前らに勝ってもな」

 

不満気に火神が返す。

 

「関係ないさ。勝負とはそういうものだからな」

 

割り切った表情で赤司が火神に告げる。

 

「…まあいい、とりあえず、今日の所は勝ちって事にしてやる。だが、本当の決着は冬に付ける。正真正銘、俺達の最後の大会でな」

 

「あぁ。冬はこうは行かない。今度こそ勝たせてもらうよ」

 

そう言って、火神と赤司は握手を交わした。

 

「黒子。冬も戦える事を楽しみにしてるよ」

 

「はい。今日よりももっと強くなります。また戦いましょう」

 

黒子と赤司が握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

優勝

 

誠凛高校

 

 

準優勝

 

洛山高校

 

 

 

ベスト5

 

 

赤司征十郎 PG 洛山高校

 

二宮秀平  SG 洛山高校

 

緑間真太郎 SF 秀徳高校

 

火神大我  PF 誠凛高校

 

五河充    C 洛山高校

 

 

 

得点王

 

 

火神大我 誠凛高校

 

 

MVP 

 

 

赤司征十郎 洛山高校

 

 

 

こうしてキセキの世代の最後の夏の熱い激闘は終わった。戦いは次なるステージ、キセキ達の最後の戦いへと進むのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





決勝戦がこんな形で終わってしまい、申し訳ございません…(;^ω^)

準決勝はどちらを勝たせるか悩んだ結果、やはり当初の予定どおり原作主人公チームを勝たせる事にしました。オリ主チーム以外の試合はどうしてもモチベーションが上がらず、細かく描写するとやはり長くなるので、短く纏めました。一応、当初のプロットどおりに進んでおります。

後、過去の話を見られた方は覚えておられるかもしれませんが、この二次での1年前、インターハイで3位決定戦をやっているんですが、それをすると花月対秀徳の試合を行わなければならないので、過去の話(第50Q)を修正し、現実どおりインターハイでは3位決定戦を行わない事にしました。つきましては、過去のインターハイ時の3位決定戦の描写は削除し、別の話に差し替えましたので悪しからず…m(_ _)m

さて、ここから遂に最後の大会に向けて話が進むのですが、大雑把な展開は決まっているも、細かい描写は未だ白紙です。これからバスケを再びもう勉強しなければ…(;^ω^)

その為、もしかしたら投稿が遅れるかもしれませんのでご了承ください…m(_ _)m

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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