黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

いやー、ペースが落ちて来た…(;^ω^)

それではどうぞ!



第156Q~暗闇からの光~

 

 

 

第2Q終了

 

 

花月 39

緑川 46

 

 

試合の半分が終わり、ハーフタイムとなり、両校の選手達が控室へと戻っていった。

 

 

花月の控室…。

 

「何とか最後の1本止めて終われたが、前途は多難やのう」

 

控室にある備え付けのベンチに腰掛けた天野が口を開いた。

 

「向こうの4番、一ノ瀬が厄介だな。ここ一番で嫌な所で決めてくる」

 

松永がタオルで汗を拭いながら言う。

 

「すいません! 俺が止められないせいで…!」

 

タオルを被りながら竜崎が頭を下げた。

 

「お前はよーやっとる。正直、あれは空坊でも手こずる相手や」

 

そんな竜崎を天野が励ました。

 

「…くーとダイのありがたみが身に染みて痛感するね」

 

ポツリと生嶋がそんな言葉を口にする。

 

攻守に渡ってこれまで花月を支えていた空と大地。この2人がいない事で突破力、得点力が大きく激減しただけではなく、ディフェンス面でも2人の大きなディフェンス力に加え、その広大なディフェンスエリアによってこれまであった2人のカバーがなくなった。

 

「ハァ…ハァ…!」

 

そんな中、菅野がタオルを頭から被りながら1人肩で大きく息をしていた。

 

「…っ、大丈夫ですか?」

 

その様子に気付いた相川が心配そうに話しかける。

 

「…へっ、心配…いらねえよ。後輩に俺以上に動いて1試合どころか延長戦まで走り切る奴がいるんだ。この…程度で、へばってられるかよ」

 

菅野は強気に笑いながら啖呵を切った。

 

「(…途中出場とはいえ、ここまで全力で動いて来たのだから無理もないわ)」

 

姫川が菅野の様子を見て状態を察した。

 

ここまでスタミナ度外視で動いて来た菅野。マッチアップ相手の荻原にしても本来は格上の相手。少しでも動きが鈍ればたちまち抜かれてしまう。その為、スタミナを無視して当たるしかなかった。

 

「(…少しでも長く粘ってやる。これが俺にとって最後の活躍の場なんだ。少しでも長くチームに長く貢献するんだ…!)」

 

鬼気迫る表情で菅野が心中で覚悟を決めるのであった。

 

「…」

 

選手達の様子を見ながら思案する上杉。

 

「(やはり、劣勢なのは否めないな…)」

 

点差は7点ではあるが、実際の実力差はそれ以上にある。情報にない交代策と奇策で何とか食らいついているに過ぎない。

 

「(一ノ瀬京志郎、大した選手だ。広い視野にパスセンスも抜群。1ON1スキルも高い。司令塔としては神城を凌ぐ逸材かもしれん。…だが、ならば何故ここまで名が挙がる事がなかったのだ? 竜崎に言わせれば、人格に問題がある選手でもないと言う話だが、何故だ?)」

 

この静岡でも一切名前が挙がる事がなかった一ノ瀬。何故今日まで無名だったのか疑問を覚える上杉であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

緑川の控室…。

 

「よしよし! 前半戦はリードで終われた。やれてるぞ俺達!」

 

控室に入るや否や桶川が歓喜する。

 

「たかが7点差だぞ。喜んでいられる点差か」

 

そんな桶川を冷めた表情で諫める城嶋。

 

「スマン! 俺が全く活躍出来なくて!」

 

荻原が頭を下げた。

 

「お前はよくやっているだろ。何も出来ていないのは俺だ」

 

頭を下げた荻原を励ます井上。だが、その表情は苦悶の表情であった。

 

「2人共気にするな」

 

そんな2人を一ノ瀬が励ます。

 

「荻原。あの9番に手こずっているが、長くはもたない。もって第3Qまでだ。奴がボールを持ったら距離を取って対応しろ。奴にスリーはない。仮に決められても気にするな。実力はお前の方が上だ。自信を持っていけ」

 

「ああ!」

 

「井上。相手は全国レベルでも屈指のディフェンス力を持つ天野だ。1人ではやれないかもしれないが俺達がフォローする。強気で攻めていけよ」

 

「スマン、分かった」

 

落ち込む2人に一ノ瀬がフォローした。

 

「油断は禁物だ。だが、必要以上に気負う事もない。花月にはあの9番以上の交代策はない。打てる奇策にも限りがある。このまま一気に押し切るぞ」

 

『おう!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『来た!!!』

 

ハーフタイム終了の時間が近付き、選手達がコートのあるフロアへと戻ってきた。両校がベンチに戻ると、選手がコートへと向かった。

 

「ほんじゃ、行くで!!!」

 

『おう!!!』

 

天野を先頭に花月の選手が戻って来る。

 

「行くぞ、勝利を掴み取るぞ!」

 

『おう!!!』

 

緑川は一ノ瀬を先頭にコート入りをする。両校共に選手交代はなし。

 

「…」

 

審判からボールを受け取った生嶋が竜崎にボールを渡し、第3Q、後半戦が始まった。

 

「…」

 

ボールを受け取った竜崎がゆっくりドリブルをしながらゲームメイクを始める。

 

「こっちだ、来い!」

 

左45度付近のウィングの位置で菅野がボールを要求する。

 

「頼みます!」

 

とりあえず竜崎が菅野にパスを出した。

 

「っしゃ!」

 

ボールを受けるのと同時に気合い一閃、構える。

 

「…」

 

「……そう来たか」

 

菅野をマークする荻原。菅野にボールが渡ると、距離を取ってディフェンスに入った。

 

「(…あかん、スガの外の確率はかなり悪いからのう、あない距離取られたら八方塞や…!)」

 

焦りを覚える天野。

 

スリーを得意としていない菅野にとって距離を取られ、ドライブを封じられるのは痛い。

 

「…だが、俺にはこれしかねえんだ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

それでも菅野は得意のドライブを仕掛けた。

 

「なんの!」

 

切れ味鋭い菅野のドライブ。しかし距離を取っていた荻原は悠々とこれに対応する。

 

「…くっ!」

 

インバートのクロスオーバーで切り返すも、荻原は釣られる事無く菅野の進路を塞いだ。

 

「あかん、スガ、一旦戻すんや!」

 

「くそっ!」

 

仕方なく菅野は竜崎にボールを戻した。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「迂闊だぜ」

 

しかし、そのパスをパスコースに割り込んだ井上にカットされてしまう。

 

「速攻!」

 

奪ったボールをすぐさま一ノ瀬に渡し、速攻に走った。

 

「させませんよ!」

 

フロントコートに入ったのと同時に竜崎が一ノ瀬に並び、ディフェンスに入った。

 

「残念だが、お前では俺は止められないよ」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「…っ!」

 

並走する竜崎だが、一ノ瀬はお構いなしに強引に突き進んでいく。フリースローラインを越えた所でボールを掴み、リングに向かって飛んだ。

 

「…っ! まだだ!」

 

そう叫び、竜崎はブロックに飛び、一ノ瀬とリングに間に割り込んだ。

 

 

――ドン!!!

 

 

「…ぐっ!」

 

一ノ瀬と竜崎が激突すると、竜崎は弾き飛ばされ、一ノ瀬はそのままレイアップを決めた。

 

 

『ピピーーーーーーーーー!!!』

 

 

『ディフェンスファール、緑10番(竜崎)、バスケットカウントワンスロー!』

 

「っ!?」

 

審判が笛を吹き、ディフェンスファールとフリースローをコールすると、竜崎が起き上がりながら目を見開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「一ノ瀬っち、エンジンかかってきたッスね」

 

「ああ。用心深い一ノ瀬は前半戦は慎重にゲームを進める傾向がある。もう充分に相手の様子を見て取れた」

 

黄瀬の言葉に赤司が同意した。

 

「赤司っちに勝るとも劣らないゲームメイク能力。高いテクニックに広い視野にパスセンス。そして、赤司っちにはない、空中でぶつかりながら尚も決められる強靭な肉体…」

 

「まず間違いなく、この第3Q、点差が広がる」

 

予言のような言葉を赤司が呟くのだった。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

コート上で一ノ瀬がボーナススローをきっちり決め、3点プレーを成功させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

赤司の予言通り、試合は緑川に流れが傾いた。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

一ノ瀬が竜崎を抜きさり、そのままジャンプショットを決めた。

 

「くそっ、何度もやられっぱなしでいられるか!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

代わって花月のオフェンス。焦りに駆られた竜崎が強引に仕掛ける。

 

「司令塔が熱くなったらダメだろ」

 

溜め息交じりにそう呟きながら一ノ瀬が竜崎を追いかける。

 

「…っ、だったら!」

 

振り切れず、竜崎はボールを掴み、ターンアラウンドで反転し、すぐさまシュート体勢に入った。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「っ!?」

 

「見え見えだ」

 

ボールを頭上にリフトさせようとした瞬間、一ノ瀬がボールを叩いた。

 

「…ちぃ、これ以上はさせへんわ!」

 

ボールを拾って速攻に走る一ノ瀬。嫌な気配をいち早く感じていた天野がディフェンスに戻っており、立ち塞がった。

 

「…」

 

1度立ち止まった一ノ瀬、天野を相手に無理に仕掛けず、ボールを右へと放った。

 

「よっしゃ!」

 

ボールはそこへ走り込んだ荻原に渡った。

 

「行かせねえぞ!」

 

同時に菅野がディフェンスに入った。

 

「…っ! 相変わらずしつこいな、…だが!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「動きにキレがなくなってきたぜ」

 

僅かな隙を突いて荻原が菅野を抜きさった。

 

「スガ! …くっ!」

 

抜かれたのを見て天野がすかさずヘルプに向かった。しかし、そんな天野を嘲笑うかのように荻原はパスをした。

 

「ようやく空けてくれたな」

 

 

――バキャァァッ!!!

 

 

天野がヘルプに出た事でフリーになってしまった井上がワンハンドダンクを決めた。

 

「ハァ…ハァ…!」

 

両膝に手を付いた菅野が肩で大きく息をしていた。

 

「(あかんな、スガはもう限界近いで…)」

 

菅野の様子を見て天野が危惧する。

 

決して菅野はスタミナがない訳ではない。地獄と言われる程の花月の練習を3年間耐え抜いただけあってむしろそこらの選手よりスタミナがある方である。しかし、格上の荻原を抑える為に常に全力でプレーをしてきた為、そのツケが遂に来たのだ。

 

「…なに辛気臭い顔してんだ天野。俺はまだやれんぞ」

 

その様子に気付いた菅野が天野を睨み付けながら言う。

 

「…当然や。お前にはまだコートにいてもらわんと困る。もう少し働いてもらうで」

 

「ハッ! 当然だ!」

 

皮肉交じりに言い放つ天野。その言葉を聞いた菅野は不敵な笑みを浮かべながら返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

何とか息を吹き返す菅野。だが、それでも緑川の勢いを止める事が出来なかった。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

「っしゃぁっ!!!」

 

スリーを決めて拳を突き上げる桶川。第3Qに入ってようやくの当たりが出る。

 

「…っ」

 

みすみすスリーを決められてしまい、桶川をマークする生嶋の表情が曇る。

 

「ダメ…、点差がどんどん広がっちゃう…!」

 

胸の辺りに拳を当てながら悲鳴のように声を出す相川。

 

 

第3Q、残り2分23秒。

 

 

花月 43

緑川 62

 

 

緑川は一ノ瀬を起点に得点を重ねていった。一ノ瀬が自在にパスを捌き、得点を演出。他の選手の警戒が強ければ自ら決める。不用意にヘルプに出ようものなら即座に空いた選手にパスを捌かれてしまう。

 

ディフェンスでも、一ノ瀬が竜崎を封じ込め、菅野のドライブも荻原が対応出来るようになった事もあり、生嶋は桶川が徹底マーク。松永は人数をかけて当たり、得点を抑えていた。

 

「…」

 

険しい表情をする上杉。1度タイムアウトを取って流れを切りにかかったが、それでもこの流れを変える事は出来なかった。

 

「(勝てる! 神城と綾瀬のいない花月なら勝てる!)」

 

勝利を確信した桶川が胸中で叫ぶ。

 

「(決して手は抜かない。最後まで全力で戦い、勝つ!)」

 

点差はあれどそれでも気を引き締め直す城嶋。

 

「(待ってろ黒子! 後少しでお前の所に辿り着ける!)」

 

荻原が約束の場所に行ける手応えを感じ取る。

 

「(勝つ! もう1度、青峰と戦う為に!)」

 

勝利に猛進する井上。

 

『いいぞいいぞ緑川! いいぞいいぞ緑川!』

 

ベンチ及び観客席のレギュラー入り出来なかった緑川の選手達の応援の声が響き渡る。

 

『…っ!』

 

開いて行く点差を前にその胸中は焦りで締め付けられていた。

 

主将とエース不在のウィンターカップ県予選。先のインターハイでは空と大地に頼り切りとなり、結果、準決勝で敗れ、続く国体では散々な結果であった。

 

『あーあ、やっぱ神城と綾瀬のいない花月はダメだな』

 

ふと、観客席からそんな声が漏れた。

 

「…」

 

ボールを運ぶ一ノ瀬。

 

「(点差は一応は安全圏だが、きっかけ1つでひっくり返る可能性がある。花月にこれ以上、策があるとは思えないが、何か起こる前にトドメを刺す!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「…っ!?」

 

チェンジオブペースで竜崎を抜きさる一ノ瀬。

 

「ぜぇ…ぜぇ…!」

 

もはや限界ギリギリの菅野。傍から見ても立っているだけでも辛そうな状態である。

 

「(冗談じゃねえ…。こんな所で終われねえ。終われねえんだよ!)」

 

身体に鞭を打って菅野がヘルプに飛び出した。

 

「(阿呆! お前が出てもうたら14番が空いてまうやろ!?)」

 

一ノ瀬に向かった菅野を見て天野が胸中で叫んだ。菅野が飛び出した事で荻原がフリーになる。外のある荻原のマークを外すのは自殺行為である。

 

 

――バチィィィィッ!!!

 

 

「っ!?」

 

しかし、菅野の手が一ノ瀬のキープするボールを捉えた。

 

「…っ!? よ、ようやったスガ!」

 

一瞬、驚いた天野だったがすぐさま正気に戻ってルーズボールを拾った。

 

「天野先輩!」

 

速攻に走っていた竜崎がボールを要求した。

 

「よー走っとったタイセイ!」

 

すかさず竜崎に大きな縦パスを出す天野。

 

「まずい、戻れ!」

 

ターンオーバー、慌ててディフェンスに戻る緑川の選手達。

 

 

――バス!!!

 

 

しかし、先頭を走る竜崎に追い付けず、竜崎はレイアップを決めた。

 

 

花月 45

緑川 62

 

 

「…今のは」

 

今のプレーを見て顎に手を当てる上杉。

 

あまりのあっさりとした菅野のスティール。菅野のプレーは正直、迂闊な動きと言わざるを得ない。空いた荻原にパスを出すか、そもそも菅野をかわす事も容易かったはず。

 

「(不意を突いたものでもなければ死角から狙ったものでもない…。今のはまるで…)」

 

同じように姫川も疑問を感じていた。そもそも、姫川は一ノ瀬のプレーに兼ねてより違和感を感じていた。しかし、その違和感の正体に気付く事が出来なかった。さっきまでは…。

 

「……相川さん、ちょっとビデオを見せてもらってもいい?」

 

試合を撮影していた相川からビデオを受け取り、これまでの一ノ瀬のプレーを見直したのだった。

 

 

「一ノ瀬…」

 

「そんな顔するな城嶋」

 

心配そうに声を掛ける城嶋を手で制する一ノ瀬。

 

「大丈夫だ。これまでどおり行くぞ」

 

そう返し、一ノ瀬はその場を離れていった。

 

 

代わって緑川のオフェンス…。

 

「…っ」

 

顔を顰める竜崎。右45度付近でボールをキープする一ノ瀬。緑川の選手達は片側に寄る事でスペースを空ける。ここまでも度々行われているアイソレーションで一ノ瀬で勝負する緑川の戦法である。

 

「…」

 

何かを考える姫川。これまでは厄介な戦術としか思わなかったこの布陣が今では何処か引っ掛かりを覚えるようになった。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

急発進でカットインする一ノ瀬。

 

「…くっ!」

 

抜かせまいと追いかける竜崎。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

直後に急停止。ボールを掴み、後ろに飛びながらジャンプショットを放った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

放たれたボールはリングを潜り抜けた。

 

 

花月 45

緑川 64

 

 

「ナイッシュー!」

 

桶川が一ノ瀬に駆け寄り、ハイタッチを交わした。

 

「…くそっ、くそっ!」

 

どうしても一ノ瀬を止める事が出来ず、悔しさを隠しきれない竜崎。

 

「あんなシュート決めてくるなんて…、こんなのどうすれば――」

 

「…おかしいです」

 

ベンチで弱音を吐く帆足。だが、それを遮るように姫川が呟く。

 

「どうして一ノ瀬さんはあんな効率の悪い場所からシュートを打ったのでしょうか…」

 

姫川が抱いた疑問はこれだった。バスケにおいて、スリーポイントラインのやや内側の位置はもっともシュートを決める確率が低く、効率の悪い位置とされている。

 

「決める自信があったからじゃないの?」

 

「アイソレーションでスペースが空いている状態でわざわざリスクを犯してまであそこから打つ理由はありません。一ノ瀬さんにはぶつかりながら決められる身体の強さもあります。今のはゴール下まで切り込んだ方がリスクは低いですし、巡りが良ければバスカンも狙えるはずなのに…」

 

1度疑念を抱くと、ここまでは何とも思わなかった事が疑問となっていく。

 

「…」

 

考え込む姫川。姫川の頭の中で抱いた疑問がパズルのピースの組み合わさっていく。

 

「…っ!? もしかして…」

 

ここで姫川が何かに気付いた。とある可能性に。

 

「(そう考えればここまでの疑問全てに説明が付く…!)…監督!」

 

姫川が上杉の下に駆け寄り、何かを告げる。

 

「……なるほど。それなら合点が行く」

 

話を聞いた上杉は同意した。

 

「第4Qから仕掛ける。室井!」

 

「はい!」

 

「いつでも出られる準備をしておけ」

 

「はい!」

 

指名された室井はジャージを脱ぎ、準備を始めた。

 

「帆足!」

 

「は、はい!」

 

呼ばれると思わなかった帆足が慌てて返事をした。

 

「第4Q頭から出す。すぐに準備を始めろ」

 

「…えっ!?」

 

まさかの上杉の言葉に驚く帆足。

 

「聞こえなかったのか? すぐに準備を始めろ」

 

「は、はい!」

 

ここでようやく言葉を理解した帆足はジャージを脱ぎ、準備を始めた。

 

「(ここで帆足君を…)」

 

菅野はもう限界に近い。第3Q終了と同時に下げる事は確実だろう。普通に考えれば松永を3番のポジションに戻し、空いた5番に室井を入れ、スタメンに戻すのが王道と言える。だが、上杉は帆足を投入すると言った。姫川は上杉の真意を考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここで第3Q終了のブザーが鳴った。

 

 

第3Q終了

 

 

花月 47

緑川 64

 

 

両校の選手達がベンチへと戻っていく。

 

試合の4分の3が終了し、残すところ、第4Qのみ。

 

選手達は最後のインターバル。残り10分を戦う為の力を蓄え、作戦を立てる為のインターバルが始まるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





今回は短めです。

普段の、特にキセキ世代との試合は何気に10話くらいやるんですが、今回は何とか1Q1話のペースで進めています。何とか後1~2話くらいでこの試合を終えたいです…(>_<)

ようやく花粉が落ち着いてきて、薬なしで外に出られるようになってきて、外も過ごしやすい気温になってきており、人知れず春を感じられるようになりました。今のコロナの現状もいずれはあの時はと話せるようになってほしいですね…(;^ω^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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