黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

ウィンターカップ前に空と大地のアメリカでの出来事の一部をやっておきます。

それではどうぞ!



第160Q~アメリカでの出来事 side大地~

 

 

 

「今でも信じられへんわ。まさか、中学生チームに負けてまうとはのう」

 

その日の練習が終了し、自主練とその後の片付けが終わり、その帰り道。空と大地を囲んで部員達は帰路に着いていた。

 

「アメリカではどんなトレーニングしたんですか!?」

 

興奮気味に2人に尋ねる竜崎。先程、2人のウィンターカップ参加に異議を唱えた事などなかったかのように尋ねた。

 

「…まあ、いろいろ事やったけど、結構きつかったよな?」

 

「…確かに、質も量も桁違いでしたね」

 

げんなりしながら尋ねる空。同様の表情で大地が答えた。

 

「…お前達がそこまで言う程の事をやったのか」

 

全国随一の練習量を誇る花月の練習。その練習を平然とこなし、自主練もこなす2人を花月に入学してから目の当たりにしていた松永は驚いていた。

 

「斬新なものだったり、変わった練習だったり、いい経験になったよ。向こうにいた時は成長があまり実感出来なかったけど」

 

懐かしみながら空が語る。

 

「向こうで何か面白かった話とか教えてよ」

 

生嶋が尋ねる。

 

「そうだなー」

 

「そうですね…」

 

つい最近まで暮らしていたアメリカでの思い出を辿る空と大地。

 

「私が記憶に残っているはあれですかね」

 

大地がその時の事を語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

それはアメリカにやってきて1ヶ月程経過した時の事…。

 

「せっかくの休みの日にスマンな」

 

「気になさらない下さい」

 

大地はとある体育施設で用具の手入れをしていた。普段はコーチであるスティーブの指導を受けているのだがこの日は休み。

 

『休む事も立派なトレーニングだ。良く動いた後は良く休め』

 

そうスティーブに告げられていた。空は不服そうだったが、渋々聞き入れていた。

 

「…」

 

ボールを磨く大地。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

その視線は目の前で行われている光景に釘付けであった。

 

現在、目の前ではアメリカの姉妹校である高校のバスケ部の練習が行われていた。大地はその補佐に来ていた。

 

「(凄まじいですね。テクニックは当然ながら高校の全国平均を遙かに凌駕している。身体能力はキセキの世代に匹敵…、純粋なパワーやスピードならもしかしたら…)」

 

「フフッ、アヤセ、手が止まっているぞ?」

 

「…あっ、すいません!」

 

指摘され、慌ててボール磨きに集中する大地。

 

「なかなかだろう? このチームは州でナンバーツーを誇るチームだからな」

 

横で同じようにボールの手入れをしていた用務係のスタッフ、ジャンが自慢げに語った。

 

「明日に大事な試合が控えているからな。気合いの乗りも一味違うぜ」

 

「大事な試合ですか…」

 

横でこのチームの話をするジャンの言葉に耳を傾ける大地。

 

「…」

 

その後も練習の補佐をする傍ら、チーム練習に視線を向ける大地。紅白戦が始まった。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

相手ディフェンスをかわし、ジャンプショットを決める選手。

 

大事な試合を控えているだけあって紅白戦であってもチームの士気の高さが伺える。試合が徐々に激しさが増していく。その時!

 

「…あっ!?」

 

思わず大地が声を上げる。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

大地の視線の先では、1人の選手が足を抑えて蹲っていた。

 

「大丈夫だ。このくらい――くっ!」

 

駆け寄り、心配する選手達を手で制するも、1歩踏み出しただけで激痛が走るのか、顔を歪ませる。

 

「無理をするな。…おい! 誰か、肩を貸してやれ!」

 

1人の選手がそう指示を出すと、紅白戦をコートの外から見ていた選手が慌てて駆け寄り、そのまま医務室へと運んでいった。

 

「明日の試合、大丈夫なのか?」

 

「…自力で歩けない程痛めたみたいだからな。まず無理だろう」

 

「おいおい、明日の試合どうするんだよ!? あいつ抜きで戦うのか!?」

 

先程の選手がチームの主力選手であった為か、他の選手達の動揺は激しい。

 

「仕方のない事だ。今からあいつ抜きのチーム戦術を構築するしかない」

 

「簡単に言ってくれるけどよう…」

 

後々に分かる事なのだが、このチームは実力あるスタメン選手が集まっているが、控えの層が薄く、スタメン以外は選手の実力がガクッと落ちる。これが、州のチャンピオンチームになれない要因でもあった。

 

「…」

 

狼狽する選手達を無言で見守っている大地。

 

「…アヤセ。出てみるか?」

 

「…えっ?」

 

突然のジャンの言葉に申し出に思わず声を上げる大地。スタッフはニヤリを笑みを浮かべ…。

 

「へい! 選手に困っているならこいつを加えてやってくれないか!」

 

返事を待たずにジャンがコート上に集まる選手達に向かって叫んだ。

 

「…なに?」

 

『?』

 

あまりに突然の事に選手達も理解が追い付いていない。

 

「加えるって、あのジャパニーズをか?」

 

「おいおい、冗談が過ぎるぜ」

 

何をバカなと思う者から笑えない冗談だと肩を竦める者と、二分していた。

 

「…」

 

その中の1人の選手、おそらく主将と思われる選手が大地を値踏みするかのように見つめ、何かを思案…計っていた。

 

「……彼に参加資格はあるのか?」

 

「それは問題ない。彼は日本の姉妹校から留学生。うちのハイスクールに在籍している生徒だからな」

 

「分かった。…そこのジャパニーズ!」

 

確認を終えると、その選手は大地を呼ぶ。

 

「すぐに着替えてアップをしてくれ。終わり次第、紅白戦に参加してもらう」

 

「…」

 

そう指示を受け、僅かに考える素振りを見せた後…。

 

「分かりました」

 

そう返事をし、着ていたジャージを脱ぎ始めた。

 

「おいおい、気でも狂ったのかロバート? 本気であのジャパニーズを参加させるのかい?」

 

決定に納得出来ない選手がチームの主将であるロバートに問い掛ける。

 

「良いんじゃねえのか。面白そうだし」

 

「役に立たないならそれまでの話だ」

 

問い詰める選手を窘める主将の周囲にいた選手達。その選手達も大地から何かを感じ取っていた様子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ジャージを脱ぎ、アップを終えた大地はビブスを受け取り、コート入りをした。

 

「お前はBチームだ。ポジションは……シューティングガードで良いか?」

 

「大丈夫です」

 

「よし、それじゃ、紅白戦を続けるぞ!」

 

ロバートが指示を出すと、再び紅白戦は開始された。

 

「……くっ!」

 

ボールを運ぶBチームのハンドラー。主力選手が中心のAチーム。実力の劣る控え選手中心のBチームでは相手にならない。

 

「こっちです!」

 

攻め手に悩むハンドラー。その時、大地がパスを要求した。

 

「(ジャパニーズに何が出来……ちっ、他にパスが出せない。せめて、ボールを取られるなよ!)」

 

大地を信用していないハンドラー。ボールのキープも他にパスの出し手もないので仕方なく大地にパスを出した。

 

「…」

 

右45度付近のスリーポイントラインの外側でボールを受け取った大地。

 

「…」

 

目の前には同ポジション選手がディフェンスに入った。

 

「(こいつを見た時、何か予感がした。その予感が正しいかどうか、確かめさせてもらうぜ)」

 

大地から何かを感じ取った目の前の選手は集中を高め、腰を落として大地を待ち構えた。

 

「(アメリカに1ヶ月。私がどれだけ成長したのか……私の力がアメリカで通用するのか、今ここで確かめます!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

覚悟を決めた大地がボールを小刻みに動かしながら牽制した後、ドライブで中に切り込んだ。

 

「(速い! だが、追い付ける!)」

 

一瞬、大地のドライブスピードに面を食らうも、即座に反応し、追いかけた。

 

「(…さあ、ここからどうする――)…なに!?」

 

次の瞬間、大地を追いかけた選手が声を上げた。振り返って大地を追いかけようとした瞬間、大地の姿を見失ったからだ。

 

「っ!?」

 

振り返ると、大地は先程ドライブで切り込む直前の位置に立っており、ディフェンスとのスペースが出来た事で悠々とジャンプシュートを放った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

放たれたボールはリングの中心を射抜いた。

 

「何だ今のは…!」

 

一連のプレーを見ていたロバートは驚きを隠せなかった。

 

「(スピードにも驚いたが、それ以上に驚いたのはあのスピードを一瞬で殺し、同等のスピードで元の一までバックステップしたあの脚力だ…)」

 

大地が見せた驚異的な緩急の鋭さに皆言葉を失っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

その後も大地の活躍は止まらず、相手チームを圧倒。得意の急ブレーキとバックステップで得点を量産した。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

オフェンスだけではなく、ディフェンスでも目の前のマッチアップ相手を抑え、要所要所でブロックもこなし、貢献した。そして…。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

紅白戦は終了した。結果は惜しくも大地のいるBチームが僅差で敗れたが、元々の戦力差を考えれば大健闘と言える。

 

「ファンタスティック! まさかこれほどのジャパニーズがいるとはな!」

 

興奮気味にロバートが大地の元へ歩み寄ると、肩を叩いた。

 

「いきなりで悪いが、頼む! 力を貸してくれ!」

 

その後、頭を下げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

翌日…。

 

バスで1時間程揺られ、移動していた。着いた先は、大きな施設。今日ここで、試合が行われる。

 

「…」

 

当日に渡されたユニフォームに袖を通す大地。

 

大地は今日、留学先のバスケ部の選手として試合に参加する。今日の試合はチームにとって重要な試合らしく、負傷した選手の代わりとして試合に参加してくれるよう頼まれた。絶対に負けられない試合である事と同時に頭を下げられた大地は助力する事に決めたのだ。

 

ウォーミングアップをしていると、今日の対戦相手がやってきた。

 

「よう。相変わらず陰気な顔してんな」

 

その中の1人が大地の参加するチームのロバートに歩み寄り、ニヤニヤしながら話しかけてきた。

 

「お互い様だろ」

 

対して、特にリアクションするでもなしに返事をした。その後も相手チームの選手は挑発交じりに話しかけ、ロバートはあしらいつつも返事をしていく。

 

「…あぁ? 何だこのジャパニーズは?」

 

大地に気付いた相手選手が大地を一瞥しながら尋ねる。

 

「うちの選手さ」

 

「選手だぁ? まさか、こいつも試合に出るとは冗談は言わねえだろうな?」

 

「そのつもりだが?」

 

そう答えると、相手選手は笑い始めた。

 

「ハッハッハッ! 遂にバスケ後進国のジャパニーズに頼る程に落ちたか! 笑わせてくれるぜ!」

 

「「…」」

 

名指しで侮蔑の笑い声を上げる相手選手。大地とロバートは無言のまま。

 

「こりゃ、今日は試合になんねえかもしれないな!」

 

笑い声を上げたまま相手選手はそのまま離れていった。

 

「…随分と失礼な方ですね」

 

「あいつは相手チームのキャプテンのダニエル。奴は昔からああさ」

 

表情を変えずに静かに憤る大地。ロバートは嘆息する。

 

「…だが、実力は確かだ。何せ、州のチャンピオンチームを率いているのだからな」

 

表情を改めたロバートが大地に告げる。

 

「そのようですね」

 

「他の4人も要注意だ」

 

ダニエルの下に集まった4人の選手を指差す。

 

「気を付けろ。向こうのバスケはとにかく荒い。うちの州じゃ、バッドボーイズと呼ばれる程だからな」

 

「…」

 

大地の視線の先では、相手チームの選手達がゲラゲラと笑いながら会話をしていた。

 

「特にディフェンスは、ファールスレスレのプレーでゴリゴリ仕掛けてくる。あのチームと対戦すると怪我人が絶えない為、試合を断るチームもあるほどだ」

 

「…分かりました。用心しましょう」

 

ロバートの言葉を胸に刻む大地であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ウォーミングアップが終わり、試合開始時間がやってきた。

 

『…へっ』

 

『…』

 

センターサークル内に集まる両チームの選手達。嘲笑うかのような対戦相手。大地のいるチームは皆真剣な表情。整列が終わると、選手達はコートへと散らばっていく。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

ティップオフがされると、大地のいるチームのジャンパーがジャンプボールを制し、ロバートが司令塔としてボールを運んだ。

 

「アヤセ!」

 

ボールを運んだロバートはすかさず大地にパスを出した。

 

「カモーン」

 

大地をマークする相手選手がニヤニヤとしながらディフェンスをする。

 

「…」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

何か言い返すでもなく、大地は無言でドライブで切り込んだ。

 

「っ!?」

 

想定を凌駕する大地のドライブスピードに相手選手は目を見開いたまま抜きさられる。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

直後に急停止し、ボールを掴んで両足を揃える。

 

「…ちっ、打たせるか!」

 

これを見て相手チームはすぐさまヘルプに飛び出す。しかし、大地はそれよりも速くクイックリリースでジャンプショットを放った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

放たれたボールはリングを潜り抜けた。

 

「いいぞアヤセ!」

 

駆け寄ったチームメイトと大地がハイタッチを交わす。

 

「…ちっ」

 

「…ふん、単なるオマケではない訳か」

 

舌打ちをする相手選手と鼻を鳴らす選手。

 

相手チームのオフェンス…。

 

「こっちだ!」

 

大地がマークする選手がボールを要求。

 

「サクッとやり返しちまいな!」

 

相手チームのハンドラーがそこへパスを出す。

 

「恥を掻かせやがって…、さっきは油断しちまったが、今度は俺様の番だ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

そう叫ぶのと同時にドライブで切り込む。

 

「…っ!」

 

これに大地は反応、すかさず並走し、進路を塞ぐ。

 

「…っ! これならどうだ!」

 

 

――ダムッ…ダムッ!!!

 

 

相手選手はクロスオーバーの後バックチェンジで切り返し、強引に大地の前に出る。

 

「おら!!!」

 

そこでボールを掴み、リングに向かって飛んだ。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「なっ!?」

 

「させませんよ」

 

しかし、リングにボールが叩きつけられる瞬間、大地のブロックが炸裂する。

 

「あの体勢から追いついただと!?」

 

背後に抜かれ、不十分な体勢であったにも関わらずブロックに追い付いてしまった大地のスピードに相手選手は驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

そこから大地は攻守に渡って活躍を続けた。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

得意の高速ドライブ→高速バックステップを駆使して得点を量産。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

ディフェンスでも自身のマークを抑え込んだ。第2Qに入っても大地の活躍は続き、大地のいるチームリードで前半戦を終えた。

 

「くそっ!」

 

楽勝と思われた試合。リードされて前半戦が終わり、悔しさを隠せなかった。

 

「…ふん。あのジャパニーズ、なかなかやるみたいだな」

 

当初、穴と思われた大地の活躍を見て認識を改めるダニエル。

 

「奴を抑え込む必要があるな。…おい、あれやるぞ」

 

「あれって、まさか…!」

 

ダニエルの指示に1人の選手が反応する。

 

「おいおい、相手はジャパニーズだぜ?」

 

「そのジャパニーズに俺達はやられてんだよ」

 

『っ!?』

 

作戦に反対する選手達にダニエルが睨みを利かせる。

 

「あのジャパニーズは強い。もはや国籍なんざあてにならねえって事だ。この試合、負けられねえんだ。黙って従え」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「っ!?」

 

第3Qに入り、相手チームのディフェンスが変わった事に大地が気付く。ボールを持っていない大地に対して周到にマークが付いている。

 

「…こっちです!」

 

激しいマークが大地を襲うが、何とかカットの動きでマークを引き剥がし、ボールを受け取る。

 

「…っ」

 

大地にボールが渡ると、大地に対してダブルチームを仕掛けた。

 

「認めるぜジャパニーズ。お前を全力で潰してやるぜ」

 

そう宣言するダブルチームの1人であるダニエル。

 

「(パスは…出せそうにありませんね。ならば、仕掛けるしかありません!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

意を決して大地はダブルチームに対して仕掛ける。ボールを小刻みに動かし、ジャブステップで牽制し、ダブルチームに出来た僅か隙間を縫うように突破する。

 

「(よし、このまま――)」

 

 

――ドン!!!

 

 

このままリングに向かおうとしたその時、大地に身体に衝撃が襲う。

 

 

『ピピーーーーーーーーー!!!』

 

 

『ディフェンスファール! 黒5番!』

 

倒れ込む大地。同時に審判がディフェンスファールをコールした。

 

「おっと、悪い悪い」

 

顔を上げた大地に対し、相手選手がニヤニヤしながら謝罪した。

 

「大丈夫かアヤセ!」

 

「…っ! 大丈夫です」

 

慌てて駆け寄ったロバートが手を差し出すとその手を取って大地は立ち上がった。

 

「遂に出して来たか」

 

相手チームを見つめながらロバートが呟く。

 

「あれは強力なスコアラーがいる時に仕掛けてくるディフェンス戦術の1つだ。特定のスコアラーを例えファールしてでも止める。向こうがバッドボーイズと呼ばれる所以の1つだ」

 

「…」

 

「これから向こうはお前に対してラフプレー紛いのディフェンスを仕掛けてくるだろう。こっちも可能な限りアヤセの負担が減るように動くが、最悪はお前をベンチに下げて――」

 

「大丈夫です」

 

急遽この試合に参加する事になった大地を気遣うロバートだったが、大地は手で制した。

 

「望むところです。私とて、生半可な気持ちでこの試合に参加した訳ではありません。身体を張ってでもチームに貢献します」

 

真剣な表情で大地は言ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

その後も相手のラフなディフェンスが大地を襲う。

 

「…っ!」

 

徹底的なマークにあい、大地の得点は激減した。対して、ペースを掴んだ相手チームは流れを引き寄せた。

 

第3Q終了時には、逆転され、点差は12点にまで開いていた。

 

「すいません」

 

第3、第4Q間のインターバル。大地がチームメイトに頭を下げた。

 

「アヤセのせいではない。むしろ、お前がいなければ点差はもっと開いていた」

 

責任を感じる大地にロバートが励ます。

 

『…』

 

開いていく点差を前にチームの士気が下がっている。

 

「全員、気合いを入れ直せ」

 

その時、ロバートが活を入れる。

 

「助っ人のアヤセがこんなにも身体を張ってくれているんだ。俺達が彼を助けてやらないでどうするんだ」

 

『…っ!』

 

この言葉にハッとする選手達。

 

「アヤセばかりに負担を押し付けるな。俺達の手で勝利を掴むんだ!」

 

『おう!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ロバートの言葉に火が付き、逆襲が始まる。

 

 

――バキャァァッ!!!

 

 

これまで大地を中心にオフェンスを組み立てていたが、チーム全員で得点を重ねる本来のバスケに切り替えた。

 

「くそっ…」

 

これにより、大地1人に集中する訳にもいかず、大地のマークが緩む事となった。

 

「これで楽に動けるようになりました」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

自身のマークを振り切った大地はスリーを決めた。

 

チーム全体が勢い付き、相手チームを圧倒していく。試合時間残り3分の時点でその背中を捉えた。

 

 

――バキャァァッ!!!

 

 

しかし、ここで相手チームがハンドラーのパスからダニエルのアリウープが決まる。

 

「舐めるな! 勝つのは俺達だ!」

 

何としてでも勝ちたい相手チームが意地を見せる。

 

「怯むな! 勝つのは俺達だ!」

 

決して負けまいとロバートが声を張る。

 

そこから試合は取って取られてのシーソーゲームに発展していく。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

こちらが決めれば…。

 

 

――バス!!!

 

 

相手チームが決め返す。試合は1~3点差を繰り返していった。

 

そして試合時間、残り15秒。ロバートがジャンプショットを決め、1点差となった。

 

『…』

 

相手チームは引き気味でボールを回し、残り時間を減らしていく。

 

『くそっ!』

 

一刻も早くボールを奪って逆転したい為、焦りを募らせる。

 

「…」

 

残り時間7秒。大地はボールを持つ選手とダニエルのパスコースを塞ぎにかかる。

 

「(バカめ!)」

 

その時、大地がマークしていた選手がチャンスとばかりに中へと走ったハイポストの位置まで走り、ボールを要求した。

 

「トドメを刺してやれ!」

 

これを見たハンドラーはフリーとなったその選手にパスを出した。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

しかし、そのパスはロバートによってカットされた。

 

「なに!?」

 

これには相手チームも驚きを隠せなかった。

 

「決めろアヤセ!」

 

ボールを奪ったロバートは速攻に走っている大地に大きな縦パスを出した。

 

「…っ」

 

フロントコートに突入した所でボールを掴んだ大地はそのままワンマン速攻を仕掛ける。

 

「させるか!」

 

スリーポイントラインを越えた所でダニエルが大地を捉え、横に並ぶ。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

同時に大地が急停止。ボールを掴んで頭上にリフトさせる。

 

「止まるのは分かっているんだよ!」

 

これを読んだダニエルも急停止し、ブロックに飛んだ。

 

「いいぞダニエル!」

 

ブロックを確信したチームメイトが思わず拳を握る。

 

「っ!?」

 

次の瞬間、ダニエルの表情が驚愕に染まった。大地はボールを頭上に掲げたが、飛んではいなかったのだ。

 

『なに!?』

 

この大地のフェイクに他の選手達も驚きを隠せなかった。

 

ダニエルがブロックに飛んだ後、今度こそシュート体勢に入る大地。阻む者は何もなく、悠々とジャンプショットを放った。

 

『っ!?』

 

コート上の全ての選手がボールをの行方に注目する。そして…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールはリングを潜り抜けた。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

同時に試合終了のブザーが鳴った。

 

「勝った! 勝ったぞ!」

 

勝利が決まった瞬間、チームメイトが大地に雪崩れ込んだ。

 

『…っ』

 

敗北した相手チームは茫然としていた。

 

もみくちゃにされる大地。

 

「ありがとう。今日の勝利はアヤセ、君のおかげだ」

 

そんな大地にロバートが駆け寄り、握手を求めた。

 

「これは皆さんと一緒に掴んだ勝利です」

 

そう返し、大地は握手を交わした。

 

「…」

 

大地の所に相手チームのダニエルが歩み寄る。

 

「エクセレント。負けたぜジャパニーズ」

 

ダニエルは悔しそうな表情を一変させると、そう大地に告げた。

 

「やるじゃねえかよ」

 

「なかなかタフだったぜ」

 

その後も大地の下にやってきた相手選手が労いの言葉を贈った。

 

「この借りは必ず返す。また何処かでな」

 

そうダニエルが締めくくり、その場を後にしていった。

 

「清々しいチームですね」

 

「ああ。バッドボーイズと呼ばれているが、それでもバスケに賭ける気持ちは本物だ。それ故、地元でも愛されているチームだ」

 

ラフプレーも確かにあったが、度を超えるものやスポーツマンシップに欠けるレベルの事は決して行わなかった相手チーム。バスケに対する真摯さを感じ取った大地。

 

こうして、大地が急遽参加する事となった試合は無事、勝利と言う形で締めくくる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

その後、大地はしっかり身体を休めろと言うスティーブの忠告を無視した事でたっぷり絞られる事となったのは別の話。

 

この一件で縁が出来た大地はロバート達に練習参加を乞われ、度々練習に参加する事となった。スティーブも渡りに船とばかりにこれを許可し、久しく行ってなかったチーム練習に精を出した。

 

そしてロバート達との交流は、大地が日本に帰国するまで続いたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





本当は背景とか交流の描写とかきっちりやるべきなんですが、原作キャラが一切出てこない話を長々書くのもあれだけと思ったのでギュッと縮めて1話にまとめました。唐突過ぎて訳の分からない話かと思いますが、すみません…(;^ω^)

次話は空の話となります。少々ネタバレしますと、アメリカと言えばの人物が出てきます…(^-^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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