黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

暑い…(;^ω^)

それではどうぞ!



第165Q~激突~

 

 

 

第1Q、残り1分28秒

 

 

花月 25

桐皇 27

 

 

オフェンスに定評がある花月と桐皇の試合は互角の展開で進んだ。

 

「…っ」

 

表情を曇らせる大地。ここまで互角の勝負を繰り広げた双方のエースである大地と青峰。自身のスロースターターを解消するべく試合開始前からきつめにアップをする事でエンジンをかけてきた青峰だったが、それでも完全にはかかりきっておらず、ここに来てようやく完全にエンジンがかかってきた。

 

「…」

 

僅かに動揺しつつも表情には出さず、淡々とボールを運ぶ空。

 

「(動揺……してへん訳ないわな。何とか漬け込みたいのう…)」

 

空のディフェンスに入っている今吉が考えを巡らせる。

 

「…」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「(来よった!)」

 

一気に加速してカットインした空。これを読み切った今吉は先手で動いて追走。食らいつく。

 

「(自ら決めに来る……と、見せかけて…)」

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

空が急停止。

 

「(國枝の裏取ろうとしとる松永にパスやろ…!)」

 

急停止した空はドッジボールのような構えでボールを構えた。空の視線の先には、ターンで國枝の背後に回り、ゴール下に向かう松永の姿が。

 

「(ドンピシャや! 冷静に立ち返ろうとする心はやっぱ読みやすいで!)」

 

読みが的中し、内心でほくそ笑む今吉。パスコースに手を伸ばし、スティールを狙う。が…。

 

「っ!?」

 

空はパスを中断。右手で構えたボールを左手で抑える。そこからビハインドバックパスに切り替えた。

 

「あっ!?」

 

思わず声を上げる桜井。左45度付近のスリーポイントライン手前でフリーの生嶋にボールが渡った。生嶋をマークしている桜井は天野のスクリーンに阻まれ、ディフェンスに行けない。

 

「くそっ!」

 

スクリーンにかかった桜井に代わり、福山が慌ててヘルプに向かう。

 

「よし!」

 

スリーの体勢に入る生嶋。

 

「打たせっかよ!」

 

そうはさせまいとブロックに飛ぶ福山。

 

「なっ!?」

 

ブロックに飛んだ福山が声を上げる。スリーの体勢に入った生嶋だったが、福山のブロックを避けるように斜め横に飛んでいたのだ。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

放たれたボールはリングの中心を潜り抜けた。

 

 

花月 28

桐皇 27

 

 

「小癪な真似を…!」

 

スリーを決められた福山がワナワナと身体を震わせる。

 

「いや、あいつの変則のスリーは以前からあったやん」

 

半分呆れながら告げる今吉。

 

「いつまでもベラベラ喋ってねえでボールを寄越せ」

 

ボールを貰いにやってきた青峰。

 

「…ちっ、すまねえ青峰」

 

謝罪しながら青峰にボールを渡す福山。

 

「気にすんな。…お前のディフェンスには最初から期待してねえ」

 

そう言い放ち、青峰はドリブルを始めた。

 

「あんの野郎…! 他に言い方あんだろうが…!」

 

遠慮のない物言いに苛立ちながら福山は青峰に続いた。

 

「今度こそ…!」

 

気合いを入れ、青峰を待ち構える大地。

 

「良いぜ、もっと気合い入れて来いよ」

 

不敵な笑みを浮かべながら青峰は大地の前で止まった。

 

「…」

 

「…」

 

ゆっくりドリブルをしながら仕掛けるタイミングを計る青峰。

 

 

――ダムッ…ダムッ…ダムッ!!!

 

 

レッグスルーやバックチェンジを幾度か繰り返した後、青峰は加速した。

 

「(来た!!!)」

 

青峰の加速に合わせて大地はバックステップで下がりながら青峰を追いかける。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

直後、得意のストリートの独特のムーブで大地を翻弄する。

 

「…っ」

 

何とか抜かせずに食らいつく大地。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

左方向へサイドステップを踏んだ青峰が急停止し、ボールを掴む。

 

「(打たれる!)」

 

すぐさま大地も青峰の目の前に移動し、ブロックに飛んだ。

 

「っ!?」

 

しかし、青峰は右方向に飛びながら大地のブロックをかわし、そのままリングに向かってボールを放り投げた。

 

 

――バス!!!

 

 

投げられたボールはバックボードに当たりながらリングを潜り抜けた。

 

 

花月 28

桐皇 29

 

 

『うおー!!! いつ見てもスゲー!!!』

 

『何であれが決まるんだよ!?』

 

「青峰の奴、完全にエンジンがかかってきやがった…!」

 

動きのキレの増した青峰を見て火神が確信する。

 

 

「…ちっ、当たり前の話だが、去年よりスピードもキレも増してやがる…」

 

調子を上げる青峰を見て空が呟く。

 

「…っ」

 

得点を防げず、1人悔しがる大地。

 

 

「1本! ここ取ってこのQ終わるぞ!」

 

オフェンスが花月に切り替わり、空がゆっくりドリブルをしながらボールを運ぶ。

 

「…」

 

残り時間を考えてこれが第1Q最後のオフェンス。決めればリードで終われる為、慎重にゲームメイクをする空。

 

「下さい!」

 

右ウイング付近のポジションで大地がボールを要求する。

 

「…」

 

チラリと視線を向け、パスを出すか考える空。

 

「(……分かったよ。きっちり決めろよ)」

 

真剣な視線を向ける大地の熱意に押され、空は大地にパスを出した。

 

『来た来た! エース対決!』

 

大地のボールが渡ると、観客が歓声を上げる。

 

「…っ!?」

 

ボールを掴んだ瞬間、大地に強烈なプレッシャーが襲う。

 

「(…っ、これが完全に集中した青峰さんのプレッシャー!?)」

 

目の前に立ってディフェンスをする青峰が発するプレッシャーに気圧される大地。

 

「大地!」

 

何かに気付いた空が声を上げる。

 

「…っ!」

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

僅かに意識を切った瞬間、青峰の伸ばした手が大地の持つボールを捉える。

 

「いただき!」

 

ルーズボールを福山が拾い、そのまま速攻に向かった。

 

「あかん! 戻れ!」

 

先頭を走る福山を見て天野が声を上げる。

 

「っしゃぁっ!!!」

 

そのままワンマン速攻を仕掛けた福山はフリースローラインを越えた所でボールを掴み、そのままリングに向かって飛んだ。

 

「おらぁっ!!!」

 

右手で構えたボールをリングに振り下ろした。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「んが!」

 

しかし、ボールがリングに叩きつけられる瞬間、横から現れた1本の手にブロックされた。

 

「…ふぅ」

 

ブロックしたのは大地。ダンクを阻止出来て思わず一息吐いた。

 

『うぉー!!! 阻止した!!!』

 

 

『ビビーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここで第1Q終了のブザーが鳴った。

 

 

第1Q終了

 

 

花月 28

桐皇 29

 

 

『スゲー、第1Qから点の取り合いだ!』

 

『双方100点超えるペースだ。こんなのもはや殴り合いだぜ!』

 

ハイペースで加算される得点を見て観客は大盛り上がりである。

 

 

「最後に青峰の件があるから一概にも言えないかもしれないが、互角だな」

 

最初の10分は互角と断ずる火神。

 

「去年は花月リードで終わったけれど、それは油断やデータ不足が重なった結果に過ぎないわ。けど、今年の桐皇は最初から全力で試合に臨んでいるわ。その上でこの結果。双方の実力は互角と言っても良いかもしれないわね」

 

同様の意見をリコが出した。

 

「この先のカギになりそうなのが、エース対決の有無と神城っちの支配力って所ッスかね」

 

「どっちも強いのう! ワクワクしてきたぞ!」

 

以降の展開の重要な要素を口にする黄瀬。横で三枝が満足そうに笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

花月ベンチ…。

 

「…ちっ、逆転出来なかったか」

 

不満気に空がベンチに座った。

 

「お疲れ様です! 皆さん、しっかり休んで下さい!」

 

相川が試合に出場した5人にドリンクとタオルを配って回った。

 

「…ふぅ。疲れるのは毎度の事やけど、今日は特にやで…」

 

疲れた様子で汗を拭う天野。

 

「…ふぅ」

 

「…っ」

 

生嶋と松永も軽く肩で息をしていた。

 

「(消耗が激しい…。あれだけ攻守の切り替えが速い中で点の取り合いしていれば無理もないわ)」

 

たった10分とは思えないスタメン選手達の消耗を見て姫川が胸中で呟く。

 

「ようやく青峰が本性を出してきやがったな」

 

空がポツリと言う。

 

「さすがキセキの世代のエースと言った所やのう。一筋縄では行かへんわ」

 

溜息を吐きながら言う天野。

 

「…」

 

ここからどうするかを各々考える中、大地は黙々とタオルで汗を拭っている。

 

「大丈夫か綾瀬?」

 

その様子に気付いた松永が話しかける。

 

「ええ。大丈夫ですよ」

 

話しかけられた大地は笑顔を浮かべながら返事をした。

 

「けどよ、実際どうすんだ? 今の状況じゃ青峰にダブルチームはかけられねえぞ」

 

菅野が現状を告げる。

 

スリーのある桜井のマークは外せない。高いオフェンス力を誇る福山も然り。司令塔の今吉やインサイドの要である國枝のマークも外す事が出来ない。

 

「いえ、心配いりません。引き続き私が青峰さんを抑えます」

 

青峰をマークする大地に対してどう助け舟を出すか、考えていると大地はそれを制し、そう宣言した。

 

「その為に私はアメリカで練習をしてきました。今がその成果を出す時。止めてみせます」

 

「綾瀬…」

 

確かな決意の下、言う大地を心配そうに見つめる菅野。

 

「んぐっ…んぐっ……ぷはぁ! ……もとより、青峰は大地に任せるつもりだ。やってみせろよ」

 

ドリンクを口にした空がニコリと笑いながら大地の肩を叩いた。

 

「うむ。青峰のみならず、3年生の福山と桜井はもちろん、今吉も去年からかなり伸びている。國枝にしても、侮れる相手ではない。…綾瀬、お前がやるんだ。いいな?」

 

「はい!」

 

上杉の言葉に大地が大きな声で返事をした。

 

「細かい指示は今は出さん。桐皇のオフェンスは凄まじいがこちらも決して引けを取っていない。引き続きこちらも真っ向勝負。点の取り合いを仕掛けろ」

 

『はい!!!』

 

「神城。現状ではお前の所も狙い目の1つだ。ゲームメイクだけでなく、積極的に点を取りに行け」

 

「うす! そうこなくちゃ!」

 

指示を受けた空は満足そうに笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

桐皇ベンチ…。

 

『…ふぅ』

 

肩を軽く上気させながらベンチに座り、汗を拭う選手達。

 

「……ふぅ。さっすが、夏に陽泉と海常を倒しただけの事はある。去年と比較になんねえぜ」

 

深く溜息を吐きながら汗を拭う福山。花月の成長ぶりを肌で感じ取っていた。

 

「…ハハッ! 良いぜ。このくらいやってくれねえと戦い甲斐がねえ」

 

青峰は満足そうに笑っていた。

 

「(大ちゃん楽しそう…。けど、もうこんなに汗が…)」

 

楽しそうに試合に臨む青峰に満足する反面、その消耗ぶりを心配する桃井。

 

「お疲れ様です。しっかり水分を摂り、呼吸を整えながら話を聞いて下さい」

 

監督の原澤が選手達の前にしゃがみ込みながら告げた。

 

「今大会唯一、去年の主力が全員残っているチーム。やはり、チームの練度と成長ぶりは福山君が口にした通り、さすがの一言ですね」

 

『…』

 

「ですが、これは事前のスカウティングで分かっていた事です。花月は恐らく、引き続き今の勢いのままこちらへ向かってくるでしょう」

 

『…』

 

「非常にペースの速い試合ですが、向こうは今の勢いのまま来るでしょう。花月の恐ろしい所はこのペースを試合終了まで維持してくる事です。僅かでも守勢に回れば後手に回され、勢いに飲まれてしまうでしょう。苦しいでしょうが、彼らとは引き続き真っ向から立ち向かって下さい」

 

『はい!!!』

 

「ハッ! こちとら全国随一のオフェンス力を謳ってんだ。点の取り合いで負けっかよ!」

 

返事をする選手達。福山は立ち上がりながら意気込みを露にした。

 

「キャプテン…、気持ちは分かるけど今は呼吸を整えんと…」

 

そんな福山に苦笑する今吉。

 

「今吉君。第1Qの内容から見て、恐らく次のQからあなたからのオフェンスの機会が増えると思います。1番の負担を強いる事になると思いますが、頼みます」

 

「ま、せやろうな…。…ハァ。しゃーない。何としてでもやったりますわ」

 

予想していたのか、今吉は深い溜息を吐いた後、気合いを入れ直したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『ビビーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

インターバル終了のブザーが鳴り、両校の選手達がコートへと戻ってきた。両校共に選手交代はなし。

 

「っしゃ! 行くぞ!」

 

ボールを受け取った空がそう声を発し、第2Qが開始された。

 

「……いや、確かにワシの所を突いて来るのは予想しとったけどや、ここまで露骨にせんでもええやん…」

 

ボヤくように口にする今吉。中央に立つ空。花月の選手達は左右に寄り、スペースを空けた。これは空が1ON1し易いようにする為。つまりはアイソレーションである。

 

「…」

 

ゆっくりドリブルをしながら仕掛けるタイミングを計る空。

 

「(桃井はんのデータのおかげで幸い、仕掛けるタイミングは読める。前半戦でやりたないけど、最悪はファールで止める事も考えんとのう…)」

 

ある種の覚悟を決める今吉。

 

 

――ダムッ…ダムッ…。

 

 

ゆっくりボールを突く空。

 

「(……来る!!!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

そう予測したのと同時に発進する空。ドンピシャのタイミングで今吉も動き、空のカットインに対応する。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

今吉が並走してきた瞬間、空はバックロールターンで反転し、今吉を抜きさった。

 

「(っ!? ホンマ嫌になるで! タイミング読み切ってファール覚悟で止めに行ったのに、それでも触る事で出来へんのかい!)」

 

異常とも言える空のスピードに細い目を見開く今吉。中に切り込んだ空はボールを掴んで飛んだ。

 

「くそっ…、決めさせるか!」

 

それを見た國枝がヘルプに飛び出し、ブロックに飛んだ。

 

 

――スッ…。

 

 

しかし、空はこれを見越してボールをレイアップの体勢から高く放った。

 

「っ!?」

 

ボールは國枝の伸ばした手の上を越えていく。

 

『スクープショットだ!』

 

「…っ」

 

手応えを感じた空。次の瞬間…。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「っ!?」

 

國枝の後ろから現れた1本の腕がボールを叩き落とした。

 

「調子に乗ってんじゃねえぞ。簡単に決めさす訳ねえだろ」

 

「青峰!?」

 

ボールを叩き落としたのは青峰。それを見てベンチの菅野が思わず立ち上がる。

 

「しまった! くそっ、警戒を怠っちまった…!」

 

今吉を抜きさると同時に國枝のヘルプを予想し、スクープショットで決めるプランを描いたが、高速の青峰のヘルプによってそのプランは頓挫した。

 

「寄越せ!」

 

「はい!」

 

ルーズボールを拾った桜井がすかさず青峰にボールを渡した。

 

「あかん! ディフェンスや戻れ! ここは止めなあかんで!」

 

必死に声を出す天野。第2Q最初のオフェンス。これを失敗し、ターンオーバーからの失点を喫してしまえば流れを桐皇に渡す事になりかねない。その為、何としてでも止めたい1本。

 

「行かせませんよ」

 

先頭で速攻に走る青峰を大地が捉え、並走する。

 

「おーおー、スピードはあの神城と並んで大したもんだな」

 

追い付かれた青峰は動じる事無くそのスピードを評価した。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

スリーポイントライン目前で青峰は急停止した。

 

「…っ!」

 

同時に大地も急停止し、ディフェンスに入った。

 

 

「…っ、よくあれだけのスピードで走りながら一瞬で止まれるもんだな」

 

トップスピードを一瞬で殺せる2人のアジリティに驚く火神。

 

 

「(さて、どう仕掛けて来ますか…)」

 

青峰の前に立ち塞がる大地が次の青峰の動きに予測を立てる。従来の型にハマらない青峰のバスケは本来予測は限りなく不可能に近いが、それでもある程度は予測を立てなければまともに相手に出来ない。幸い、この試合や過去のデータがあるのである程度の予測は立てられる。

 

「(集中です。…タイミング、動きを読み切る!)…スー…フー…」

 

腰を落とし、集中力を全開にする大地。

 

「…」

 

それを感じ取る青峰。青峰の次のプレーは…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

小細工無しで一気の加速して大地の横を駆け抜けた。

 

『うおー!!! 今日の試合で1番はえー!!!』

 

最速をもって仕掛けた青峰。そのままボールを掴んでリングに向かって飛んだ。

 

「させません!」

 

しかし、大地もバック走行で青峰の後を追い、青峰が掴んだボールに右手を伸ばした。

 

「…ちっ」

 

追い付かれると思わなかった青峰は現れた大地に舌打ちをするも咄嗟に右手で掴んだボールを左手で抑え、体勢を立て直し、上半身を後方に倒しながらシュートを放った。

 

「っ!?」

 

咄嗟にフォームレスシュートに切り替えられ、驚くも、放たれるボールに手を伸ばす大地。幸い、大地は青峰の前方ではなく、横からブロックに飛んでいたので空いている左手は辛うじて届く。

 

「…っ」

 

しかし、青峰は素早くボールをリリースした。ボールはリングへと向かって行った。

 

 

――ガン!!!

 

 

ボールはリングに弾かれた。

 

 

「外した!?」

 

「いや違う。外れたんスよ。綾瀬っちの指に僅かに触れたんスよ」

 

青峰が外したと考えた小牧。しかし、横に黄瀬がそれを否定。

 

 

「リバウンド!!!」

 

大地が叫ぶ。黄瀬の予想通り、僅かに大地の指がボールに触れていたのだ。

 

「となれば俺やな!」

 

後ろから走ってきた天野がリバウンドボールに飛び付いた。

 

「どっせぇぇぇぃ!!!」

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

しかし、突如天野の横から現れた福山が腕を伸ばし、強引にボールを奪い去った。

 

「何やと!?」

 

これに驚く天野。

 

「おらぁっ!!!」

 

着地した福山がすかさずシュート体勢に入る。

 

「…っ!? させへんわ!」

 

これに反応し、ブロックに飛んだ。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

福山が放ったボールが天野の伸ばした手に当たる。

 

「にゃろう!」

 

弾かれたボールを再度抑える福山。

 

「っ! 俺の前で何本もリバウンド取り寄って…!」

 

得意のリバウンドを続けて抑えられ、憤る天野。

 

「っしゃぁっ!!!」

 

「…くっ!」

 

 

――バス!!!

 

 

再び打ちに行く福山。再度ブロックに天野が飛んだが間に合わず、決められてしまう。

 

 

花月 28

桐皇 31

 

 

「よっしゃ!!! どうだ青峰!!!」

 

青峰に向けてガッツポーズをする福山。

 

「その程度の事で威張るんじゃねえよ。後うるせーよ。若松かてめえは」

 

そんな福山にげんなりしながら返す青峰。

 

 

「…あの男、福山か。オフェンスに対する執着心は相当なものじゃのう」

 

続けてリバウンドを抑え、得点を決めた福山を評価する三枝。

 

「あのオフェンスリバウンドを取る姿は早川先輩を思い出します」

 

オフェンスリバウンドをもぎ取る姿を海常の前主将である早川と重ねる末広。

 

「もはやオフェンスはキセキの世代と比べても遜色ねえ」

 

火神も福山に高い評価を付けた。

 

 

「スマン! 止められへんかったわ!」

 

「今のは仕方ないです。元を辿れば悪いのは俺ですし」

 

頭を下げる天野に対し、手で制する空。

 

「しかしまあ、青峰がディフェンスエリアを広げてるとなると、もう少し慎重に攻める必要があるんですが…」

 

チラリと空は花月ベンチ、上杉に視線を向ける。

 

「…ま、それは性に合わないですし、監督も指示を変えるつもりはなさそうですし、…引き続きガンガン行きましょう!」

 

「せやな。次はリバウンド取ったるわ!」

 

空の言葉に天野は意気込みを露にした。

 

 

「行くぞ!」

 

ボールを受け取ったのと同時に花月の選手達はフロントコート目掛けて一斉に走っていった。

 

「正気かいな…。最初のオフェンスとちって流れ取られかけとるんからここは普通慎重に攻めへんか!?」

 

この行動に呆れ半分、驚き半分の表情をする今吉。

 

 

――ダムッ…ダムッ…!!!

 

 

フロントコートに入り、ディフェンスに現れた今吉の足元に飛び込んだ空は左右に大きく切り返しながらハンドリングを始めた。

 

「(来よった! 例の消えるドライブや!)」

 

空の必殺技のインビジブルドライブ。空が今吉の死角から死角へと高速移動を始めた。

 

 

――スッ…。

 

 

これを止める為、今吉が空の姿を捉える為に距離を取った。しかし、空は切り込まず、その場で止まってスリーの体勢に入った。

 

「そう来よったか! けど、それも予測済みやで」

 

その時、空に向かって距離を詰める1人の姿が。

 

「打たせっか!!!」

 

左右にハンドリングを始めた段階で福山が空に向かってヘルプに向かっていたのだ。

 

 

『インビジブルドライブは死角から死角へ高速で切り返して、姿を捉えようと左か右へと視線を向けた瞬間に反対方向にダックインして消えたように見せるドライブ。下がってしまえばその姿は丸見えになります』

 

前日のミーティングで桃井から解説された言葉。

 

『万が一、ドライブせずにスリーに切り替えられても、ヘルプに向かえる時間は充分にありますから1番近いポジションにいる方があのドライブを始めた段階でヘルプに向かって下さい』

 

続けて桃井がそう解説した。

 

 

「…ちっ」

 

抜く事もスリーを打つ事も出来なかった空は舌打ちをしながらスリーを中断。ビハインドパスでボールを右へと放った。

 

「来いよ」

 

ボールの先は大地。目の前には青峰が立ち塞がった。

 

「…」

 

「…」

 

右ウイング位置で睨み合う両者。

 

 

――スッ…。

 

 

大地は仕掛ける…と思わせ、体重移動を駆使してバックステップ。青峰から距離を取った。

 

「あめえ」

 

これに反応した青峰はすかさず距離を詰める。

 

「…っ」

 

距離を詰める青峰の動きに合わせ、大地が仕掛ける。

 

「…っ!」

 

ドライブに備え、青峰が急停止した。

 

 

――スッ…。

 

 

しかし、大地は仕掛けず、さらにバックステップして距離を取った。距離を空けた大地はシュート体勢に入った。

 

「ちっ!」

 

まんまとフェイクにかかった青峰は舌打ちをしながら距離を詰める。

 

 

――ピッ!

 

 

迫りくる青峰。大地は下がった足でさらに後ろに飛び、片足で踏み切ってフェイダウェイでスリーを放った。

 

「っ!?」

 

リングのある方へ振り返る青峰。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールはリングを潜り抜けた。

 

 

花月 31

桐皇 31

 

 

『マジかよ!? 何であれが入るんだよ!?』

 

「引くつもりはありませんよ」

 

そう呟く大地。青峰が大地の方へ振り返る。

 

「吐いた言葉を曲げるつもりはありません。今日私はあなたを倒します。必ず」

 

「上等だ…!」

 

確固たる覚悟を以って宣言する大地。これを見て青峰は満足気に笑ったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

始まった第2Q。

 

最初の花月のオフェンスが失敗し、ターンオーバーから失点を喫して流れを持って行かれたかに見えた。

 

しかし、直後のオフェンスで大地が青峰から得点を奪い、同点に追い付いた。

 

全国随一のオフェンス力を誇る花月と桐皇。

 

ぶつかり合うプライド。試合は加速していく……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





ネタ不足と戦いながら何とか投稿です…(;^ω^)

過去のキセキの世代との戦いが思いの外長くなった事もあり、この試合も何とか引き延ばさなければ! と言う思いに取りつかれ、なかなか筆が進まないorz

今回の試合は本当に過去の試合に比べて短くなるかもしれません。これも毎度言ってるような気がしますが…(>_<)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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