投稿します!
9月に入って一気に気温が下がりましたね…(^-^)
それではどうぞ!
第2Q終了
花月 58
桐皇 63
試合の半分が終わり、ハーフタイムとなり、両校の選手達は各ベンチから控室へと移動していく。入れ替わりに次の対戦校が試合前の練習を行う為にコートへとやってくる。
「点差は5点。競った展開だな」
「ああ。…だが、最後は少しきな臭い終わり方だったな」
コートから離れていく花月と桐皇の選手達を見つめながらここまでの感想を語り合う二宮と三村。
「赤司、どう見る?」
四条が横に座る赤司に尋ねる。
「ああ。青峰の調子が完全にピークになった」
問いに対し、赤司がそう返事をする。
「知っての通り、青峰はスロースターターだ。過去の試合では序盤のエース対決で後れを取る事もしばしばあった。本人もそれを自覚しているからそれを解消する為にきつめにアップをして試合に臨んだのだろう」
『…』
「その甲斐もあって普段よりエンジンのかかりが早かったようだが、それでも完全ではなかった。…だが、2度のエース対決を経てようやく完全となった」
「なるほど」
赤司の解説に四条が納得の表情で頷く。
「試合の後半戦、赤司の予想は?」
「そうだね。1つだけ言えるのは、ここからのエース対決は一方的になる」
五河の問いに赤司がそう回答する。
「2度目のエース対決が始まった時点でその兆しはあった。綾瀬は自身の大技を連発や、博打紛いの長距離スリーで得点を奪った。だが、裏を返せば大技や博打を打たなければ得点が出来なかったとも言える。そしてそれらの技にも対応し始めた」
『…』
「対して青峰はスリーを打ってはきたが、青峰からすればそれは切り札と呼ぶ程のものではなく、あくまでも自身のストリートのバスケをより生かす程度に過ぎない代物。そして、綾瀬はほとんど対応出来ていなかった」
『…』
「それが分かっていたから神城は途中からエース対決を避けた。後々の事を考えればエース対決を避けるのは得策ではないのだが、ここで格付けを済まされてしまうよりは傷口は浅くて済む」
勝負を避けて退いてしまえばそれは負けを認めた事になり、大地の調子やメンタルに影響が出る。かと言ってムキになって挑み続け、結果ターンオーバーを繰り返せば点差は開き、チームの士気は落ち、結局同じ事になる。それを避ける為に空はボールを大地以外に散らして攻める選択をした。
「なるほど。…だが、いつまでもエース対決を避ける事も出来ないだろうし、青峰を止められなければ点差は開く一方じゃないのか?」
「ああ。このハーフタイムにどれだけ立て直しと対策を立てられるかにかかっている」
赤司はそう言って花月の選手達が歩いて行った通用口に視線を向けた。
「(神城は司令塔として、綾瀬はエースとして一皮剥けた。だが、青峰はその上だ。さあ、どうする…)」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
桐皇控室…。
「よーし! 悪くねえ、悪くねえぞ!」
控室にて、福山が歓喜する。
「部屋狭いんやからそないデカい声出さんといてや」
すぐ横にいた今吉はげんなりしながら言う。
「福山君。今はしっかり体力回復に努めて下さいね」
そんな福山を窘めるように原澤が声を掛ける。
「では皆さん。ここからの話を始めます。第3Qは――」
「俺が決める。…で、いいでしょ?」
原澤の言葉を遮るように青峰が口を挟む。
「ちょっと大ちゃん!」
あまりの物言いに桃井が青峰を諫める。
「うるせーなさつき。ようやく身体が温まってきたんだ。ここらで力の差をあいつら(花月)に教えてやらねえとな」
とうの青峰は身体を解しながらどこ吹く風となっていた。
「…」
そんな青峰に福山が歩み寄った。
「あん? 何か文句でもあんのか?」
「……ハァ。お前はホント変わらねえな」
溜息を吐きながら福山が告げる。
「ねえよ。…今吉、第3Qは青峰にボールを集めろ。ここからは青峰中心で行くぞ」
『っ!?』
「っ!? ……嘘やろ」
まさかの発言に今吉だけではなく、桐皇の選手全員が驚く。それは作戦の事ではなく、福山がそれを言ったからである。
「どういう風の吹き回しだ?」
これには青峰も怪訝そうに尋ねた。福山のオフェンス意識の高さは青峰と同等かそれ以上。ましてや、福山は入部してから青峰をライバル視して何かと張り合い、時に衝突したりもした、そんな福山だからこそ、信じられない発言なのである。
「正直、今でもお前の事は好きになれねえ。その自分勝手な性格もそうだが、お前さえいなきゃ俺は桐皇のエースを張れたんだ」
「…」
「いや、あのディフェンスじゃ無理やろ」
「…今吉先輩、今は静かにしてましょう」
無言で話を聞く青峰。ツッコミを入れる今吉を制する國枝。
「お前からエースの座を奪い取る為に死に物狂いで努力した。桐皇に来てからの3年間は誰にも文句は言わせねえ。自分でも言うのも何だが、よくやったと思ってるよ。けど、結局お前には全く敵わなかった」
そう言うと、福山はフッと一息入れ、薄く笑みを浮かべた。
「お前がいたおかげで俺はここまで強くなれた。お前がいなけりゃ、ただのチームのエース止まりだっただろうよ」
「…ふん」
話を黙って聞いていた青峰は鼻を鳴らす。
「要するにだ、俺はお前の事、認めてはいるんだよ。このチームのエースはお前だ。この試合、お前に託すぜ」
『…』
己のプライドを捨て、チームの命運を託した福山を選手達は無言で見つめていた。
「…だが、1つだけ言っておくぜ」
「?」
「お前の周りには俺達がいる。お前が1人で無理そうなら俺達が全力でフォローしてやる。その事を忘れるな」
「……たりめえだ。お前らにも働いてもらうつもりだからな。気が向いたら情けでパスを出すかもしれねえから集中だけはしておけよ」
青峰は視線を逸らしながら小指で耳穴を掻きながらぶっきらぼうの返す。
「青峰…!」
「…良」
「俺じゃねえのかよ!」
思わずツッコむ福山。
「ハハッ! 見事なオチでしたで」
そのやり取りを見て今吉は愉快そうに笑った。
「…ちっ、監督、勝手に決めてすいません。これでいいですか?」
「ええ、どちらにしろそのつもりでしたから問題ありません。ここからは青峰君を中心に攻めます。他の4人は青峰君を全力でフォローして下さい」
『はい!!!』
桐皇の作戦は決まったのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
花月の控室…。
『…』
控室では選手達は誰1人口を開く事なく押し黙っていた。
「……さて、どないする?」
沈黙を破ったのは天野だった。
点差は5点ビハインド。ここまでの試合展開だけ見ればほぼ互角と言ってもいい。…ある1点を除いて。
「…」
頭からタオルを被り、俯く大地。前半戦では2度に渡って青峰とエース対決を繰り広げた。1度目は五分五分で渡り合ったが、2度目の激突は終盤、青峰が大地を圧倒していた。
「…恐らく、桐皇は第3Qからは青峰さんを中心に攻めて来るのは間違いないでしょう」
神妙な面持ちで姫川が口にする。
「…もう1人、青峰に誰か付けるか?」
菅野がそう提案する。
「得策ではありません。福山さんをフリーにする事はリスクが大き過ぎるので天野先輩は行かせる事は出来ませんし、外のある桜井さんもインサイドの要である國枝君もマークを外せない。神城君も今吉君もマークしなければならないので…」
姫川が菅野の提案を悲痛の表情で却下した。
『…』
再び沈黙が控室を支配する。
「私がやります」
その沈黙を、大地が破った。
「青峰さんを止めるのは私の役目です。私が止めなければなりません。ですから、私がやります」
被っていたタオルを取った大地が覚悟に満ちた表情でそう口にした。
「…分かった。ひとまず青峰はお前に任せる」
大地の覚悟に免じたのか、空がその提案を受け入れた。
「それしかないわな。青峰は綾瀬に任せるで。…オフェンスはどないする?」
「…」
空が顎に手を当てながら思案する。
「…ボールを散らします。これまで同様、全員で点を取りに行きましょう」
暫し考え、空がそう提案する。
「空――」
その空の提案に大地が異を唱えようとする。
「お前の言いたい事は分かってる。ただ勘違いすんな。あくまでも全員で点を取りに行くって俺は言ったぜ。それは当然お前も含まれてんだからな」
「…っ」
「お前の考えてる事は分かる。県予選を欠場してチームに迷惑かけてまで修業留学したんだ。にも関わらず青峰を止められない事に焦りを感じてるんだろ? 俺は同じ立場だから偉そうに言えねえが、お前を咎める奴はこの場にいねえよ」
そう言って、空は周囲の花月の選手達を見渡す。
「ダイは青峰さん相手によくやってるよ」
「ああ。綾瀬でなければあそこまで競れなかっただろうし、綾瀬がいなければ点差はもっと開いていただろう」
生嶋と松永が大地を励ます。
「お前が全部背負い込む事ないで。俺らもお前の負担背負ったるわ」
「天野先輩…」
そう言って天野は大地の背中を叩いた。
「話は纏まったな」
これまで沈黙を貫いていた上杉が口を開いた。
「第3Qからは神城を起点に点を取りに行く。天野は――」
上杉が細かいオフェンスのパターンを説明していく中…。
「…っ」
大地は曇った表情で俯いていた。
「…」
そんな大地に空は視線を向けていたのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『来たぞ!』
ハーフタイム終了の時間が近付き、花月、桐皇の選手達がコートのあるフロアへと戻ってきた。両チームの選手達が各ベンチに集まると選手達がコートへとやってきた。両チーム共に交代はなし。
「っしゃ!!! 行くぞ!!!」
空の号令と共に空を先頭に花月の選手5人がコート入りをする。
「おらぁっ!!! 行くぞ!!!」
続いて福山の檄と共に桐皇の選手達がコート入りをした。
「ほな、1本行こか」
審判から桜井がボールを受け取り、桜井が今吉にパスを出し、第3Q、後半戦が始まった。
「…」
ボールを運んでいると、空がディフェンスにやってくる。
「後半戦最初の大事なオフェンスや。ここで行くで」
薄っすら笑みを浮かべながら今吉がパスを出す。パスの先は…。
『来た!!!』
青峰にボールが渡ると、観客が沸き上がる。
「ちったぁ気合い入れ直してきたかよ」
ボールを掴んだ青峰は目の前でディフェンスをする大地に問い掛ける。
「止めてみせます」
大地はただそう返した。
「集中しろよ。じゃねえと――」
――ダムッ!!!
「この10分でケリ付いちまうぞ」
青峰が加速し、切り込んだ。
「…っ!」
大地もこれに反応し、追いかける。
青峰が得意のストリートのハンドリングテクニックで大地を翻弄する。
「(付いて行けないスピードではありません。動きを読めさえすれば…!)」
必死に大地は青峰を追いかけながら動きの予測を立てようとする。
「あまり俺をガッカリさせんな」
――ダムッ!!!
「…くっ!」
逆を付かれ、大地の横を青峰が駆け抜ける。
――バキャァァァッ!!!
そのままボールを掴んで飛び、リングに叩きつけた。
花月 58
桐皇 65
「去年に比べりゃ、確かに大した進歩だ。紛いなりにも黄瀬や紫原と対等にやりあったってのも頷ける。だが、俺には通用しねえ」
ディフェンスに戻り際、大地の横を通り抜けながら青峰がボソリと告げた。
「…っ」
その言葉に何も言い返す事が出来ず、大地はただ拳をきつく握って身体を震わせた。
「っしゃ! 行くぞ!」
攻守が切り替わり、空がボールを運ぶ。
「…」
「どうしたん? おたくのエースはんにボール回さへんの?」
空の目の前に立った今吉が嘲笑を浮かべながら告げる。
「…」
「そら回されへんよな。力の差は明確や。頼りになるエースがおるとホンマ助かる――」
――ザシュッ!!!
「なっ!?」
今吉が口を開いている最中、空はシュートモーションに入り、スリーを決めた。
花月 61
桐皇 65
「わりぃ、隙だらけだったんでな。後、話なげーから全然聞いてなかったわ」
見下すような表情で空が今吉に告げ、ディフェンスに戻っていった。
「噓やろ…」
呆気に取られる今吉。
「下らねえ事してんじゃねえ」
そこへ、福山が今吉に声を掛けた。
「今の神城とお前とじゃ格がちげーんだよ。つまんねえ小細工してる暇があったら死ぬ気で当たれ」
パシン! と頭を叩き、その場を離れていった。
「…フー、みたいやな」
福山の言葉を受け入れ、スローワーとなった國枝からボールを受け取り、ボールを運びを開始したのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
その後、試合は激しい攻防が続いた。
――ザシュッ!!!
チーム全体で得点を狙う花月に対し…。
――バス!!!
桐皇は青峰にボールを集め、得点を量産していた。
花月 65
桐皇 69
「今の所は拮抗しているな」
試合を観戦している四条がそう感想を漏らした。
「だが、流れや勢いがどちらに向いているかは一目瞭然だ」
そう断言する二宮。
ボールを散らしてチームで得点を稼ぐ花月に対し、桐皇は青峰がとにかく得点を量産している。大地も全く止めきれておらず、勢いや流れが花月に味方をしている事は明白である。
――バス!!!
大地をかわした青峰がフォームレスシュートを決める。
『うおー! 青峰止まんねえ!!!』
第3Qが始まって立て続けに決める青峰に観客が沸き上がる。
「…っ」
全く青峰を止める事が出来ず、大地の表情が悔しさで歪む。
――ダムッ!!!
花月のオフェンスとなり、空が大地にパスを出すと、大地が青峰に仕掛ける。
「おっしゃ抜いた!」
ベンチの菅野が歓喜の声を上げる。青峰を抜いた大地はそのままリングへと向かい、飛んだ。
「(いや違う、まさか!?)…大地!!!」
何かに気付いた空が声を掛ける。
――バシィィィッ!!!
レイアップで得点を狙いに行こうとした瞬間、後ろから伸びて来た腕にブロックされる。
「舐めてんのか? その程度で俺をかわせると思うなよ」
「っ!?」
空中で青峰が大地に囁く。
「寄越せ!」
着地した青峰がボールを要求する。
「頼みます!」
ルーズボールを拾った國枝が前へと走る青峰に縦パスを出した。
『ターンオーバーだ!』
「…ちっ」
ワンマン速攻をかける青峰を空が追いかけ、スリーポイントライン目前で捉え、回り込んだ。
「相変わらず、スピードだけは大した奴だな」
「スピードだけじゃねえぞ俺は!」
皮肉交じりに称賛する青峰に対し、空はしかめっ面で言い返す。
「今度はお前か。良いぜ、相手してやるよ」
そう空に告げ、青峰が揺さぶりをかけ始める。
――ダムッ…ダムッ…!!!
得意のストリートバスケによる変則ドリブルで左右に切り返しながら揺さぶりをかけていく青峰。
「(…ちっ、直接相手をしてると分かる。こいつ、去年よりスピードもキレも上がってやがる!)」
何とか食らいつく空。
「(これにスリーも混ぜられちゃ、…なるほど、大地が止められねえわけだよ…)」
青峰に進化に空は胸中で驚きを隠せなかった。
「…っ」
「っ!? やべ!」
ボールを掴んで横っ飛びをする青峰。慌てて飛んで追いかけるも僅かに反応が遅れてしまい、シュートブロックに間に合わない。
「させません!」
しかしそこへ、大地が現れ、青峰のシュートコースを塞ぐようにブロックに現れた。
「サンキュー大地!」
「ハッ、お前の存在は忘れてねえよ」
青峰は横っ飛びでボールを構えた体勢からビハインドパスに切り替え、ボールを横へと流した。
「「っ!?」」
放られたボールは左45度付近のスリーポイントライン手前に立っていた桜井の手に渡った。
「打たせない!」
すぐさま生嶋がチェックに入る。しかし、桜井はスリーは打たず、ボールを中へと入れた。
「ナイスパス桜井はん」
ボールは中に走り込んでいた今吉に渡った。
――ザシュッ!!!
今吉はボールを掴むのと同時にジャンプショット放ち、決めた。
花月 65
桐皇 71
「これだ。今の青峰にはパスがある。マークが集まればフリーの選手が出来てしまう」
得点までの一連の流れを見て赤司がそう言葉にする。
「それだけエースの1本と言うのは価値がある。チーム全体に勢いをもたらし、良い流れを作り出す」
この赤司の言葉通り、試合の流れは、桐皇へと傾いていった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
――バキャァァァッ!!!
青峰が大地を抜きさり、ヘルプに来た松永の上からダンクを叩き込んだ。
「…ぐっ!」
「くそっ!」
悔しがる大地と松永。
調子がピークとなった青峰は止まらず、得点を量産し続けた。迂闊にヘルプやダブルチームを作ればたちまちパスを出されてしまう為、基本大地1人が相手をしている。が、青峰を止めきれないでいた。
「…っ」
ボールを運ぶ空も難色を示していた。当初はハーフタイムで決めた作戦通りボールを散らしてオフェンスを組み立てていたが、パスを出しても各花月の選手達は得点まで繋げられなくなった。
「(ダメだ、打てない!)」
「(くそっ、動きを読まれて…!)」
ボールを受け取った生嶋と松永はシュートまで持って行けない。動きが読まれ、先回りされているからだ。
「ふむ、ようやく対応出来るようになりましたね」
「はい」
桐皇ベンチの原澤が尋ねると、桃井が返事をした。
「遂に本格的に出て来たな。マネージャー桃井のデータによる先読みのディフェンスが」
「はい」
火神が呟くと、黒子が頷いた。
桃井による桐皇の先読みのディフェンスは桐皇のもう1つの強みと言ってもいい。的確かつ正確で、その選手の癖はもちろん、未来まで予測する桃井のデータ収集能力が相手チームに与える衝撃波計り知れない。
「…」
ボールが空の手元に戻って来る。
「…ちっ」
――バス!!!
仕方なく空が単独で仕掛け、得点を決める。
第3Q、残り6分38秒
花月 69
桐皇 80
「開いてきたな」
四条が点差を見て言う。
「改めて、青峰が凄すぎるぜ。あんなのどうやって止めんだよ」
縦横無尽に活躍する青峰を見て五河が愚痴る。
「お前達も覚えていると思うが、青峰は中学2年での全中大会後、練習に一切参加する事がなくなった。それでも尚、キセキの世代のエースと称され、俺達(キセキの世代)と肩を並べていた逸材だ」
『…』
「高校1年の冬に敗北を知り、再び努力する事を始め、翌年の夏に個人での敗北を知った事で自分に足りないものを知り、取り入れる事で更なる進化を遂げた」
「恐ろしいぜ…、今更お前達(キセキの世代)を見ても驚かないと思っていたが…」
青峰の活躍を見て表情を強張らせる二宮。
「あの綾瀬にしたって一筋縄では行かない相手だぜ? ここまで一方的になるのかよ」
大地を相手に得点を重ね続けている事に驚きを隠せない三村。夏に三村が相手した際、全く止める事が出来ずにいただけにその衝撃は大きい。
「実際、青峰と綾瀬の間にそこまでの力の差はない」
「そうなのか?」
赤司の分析に首を傾げる四条。
「ここまで一方的になっているのは偏に相性によるものだ」
『…』
「青峰の動きを読む事は困難だ。三杉誠也程の分析力と対応力がなければね。あのスピードとアジリティに加え、ストリートのバスケにパス。更にはスリー出されてしまえば先読みする事はもはや不可能と言ってもいい」
「だよな…」
赤司の言葉に納得する二宮。
「ディフェンスでも、青峰はスリーを要警戒し、中へのドライブは半ば放置している」
「どういう事だ?」
「敢えて中に切り込ませ、綾瀬の後ろからブロックを狙っている。後ろなら綾瀬は下がる選択肢はなくなるし、左右に飛ばれても即座に対応出来る」
「…そんな攻略法があったのか」
感心しながら赤司の説明を聞く三村。
「口での言うのは簡単だが、実際、綾瀬のスピードは全国トップレベルであり、その緩急は凄まじい。最高峰のスピードとアジリティ、そして野生の勘を持つ青峰だからこそ出来る事だ。他の者では不可能だろう」
『…』
「兎にも角にも、花月は青峰を止める事だ。青峰を止めてこの勢いを止めなければ点差は一方的に開いていくだけだ」
赤司がそう断言した。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「(何て様ですか…!)」
胸中で悔しがる大地。
「(キセキの世代との力の差を埋める為に皆さんに迷惑をかけてまでアメリカに行ったと言うのに、これでは…!)」
ウィンターカップ本選出場をかけた県予選は紙一重であり、ボタン1つ掛け違えば負けていた可能性もあった。それだけの迷惑をかけてまでアメリカに行った事に罪悪感と責任感を持っている大地。
「(何の為にアメリカへ…! エースと言う大役を任された私がこうもチームの役に立てないのであれば、花月の皆さんに申し訳が立ちません!)」
――キュッ!!!
スリーポイントラインの外側でボールを持った青峰が視線をリングに向けた。
「(スリー!?)」
ここでスリーを決められた時のダメージは大きい。思わず大地が1歩足を前に踏み出す。
――ダムッ!!!
しかし青峰はスリーを打たず、一気に加速して大地の横を駆け抜けた。
「(しまったフェイク!)」
焦りによって冷静な判断が出来なかった大地。
「けど、まだです!」
強引にバックステップをしながら反転し、青峰を追いかける。ボールを掴んでリングに向かって飛んだ青峰に対し、紙一重でブロックを割り込ませた。
「あの体勢で追いつくかよ。お前も大したもんだよ」
目の前に現れた大地に賛辞の言葉を贈る青峰。
「だがな、そんな不安定な体勢で止められるかよ」
――バキャァァァッ!!!
「ぐぅっ!」
ブロックもお構いなしに青峰は大地を吹き飛ばしながらボールをリングに叩きつけた。
花月 69
桐皇 82
『おぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!』
豪快なダンクに観客が沸き上がった。
「くそっ…」
「青峰が止まらねえ…!」
ベンチの竜崎と菅野が苦悶の声を上げる。その時…。
『レフェリータイム!』
審判が笛を吹き、コールした。
「あ、綾瀬!」
慌てて松永が大地の下に駆け寄る。
「くっ…!」
大地の額から血が滴っていた。先程のダンクで吹き飛ばされた際に額をぶつけた事によって出血したのだ。
「大丈夫か?」
そんな大地に声をかける青峰。
「不本意な結果だがよ、俺の勝ちだ。お前じゃ俺には勝てねえ」
そう言い残し、青峰は踵を返していった。
「っ!?」
慌てて立ち上がる大地。
「君、1度コートを出て治療を受けなさい」
「いえ、大丈夫です。このまま続けさせて下さい」
治療を促す審判を拒む大地。
「ダメだ。治療を受けなさい」
「ここで私が外れる訳には行かないんです! このまま試合を再開して下さい!」
「もう1度試合に出るにしても治療を受けてからだ。こちらの言う事が聞けないのであれば退場処分にする事になるよ?」
食い下がる大地に対し、審判が無情の言葉をかける。
「…っ!」
納得が出来ず、言葉を発する事が出来ない大地。
『…っ』
大地の悔しさが理解出来るだけに声を掛ける事が出来ない花月の選手達。
「下がれ大地」
その時、空が大地にそう言葉をかけた。
「ですが…!」
「このまま駄々を捏ねても退場させられるだけだ。どの道、冷静さを失っているようじゃいても同じだ。いいから下がれ」
「…っ!」
空にそう言われ、悔しさを表情に滲ませながらベンチへと向かい始めた大地。
「…任せろ。お前が戻って来るまで俺が繋いでやる」
「空…」
戻り際に空が大地にそう告げたのであった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
OUT 大地
IN 竜崎
治療の為、大地はベンチに下がり、代わりに竜崎がコートへやってきた。
「…」
花月のオフェンスとなり、空がボールを運ぶ。
「(チャンスや。エースが急遽不在となって動揺しとるはずや。ここで一気に――)」
――ダムッ!!!
空が一気に加速し、今吉を抜きさる。
――ザシュッ!!!
そのままジャンプショットを決めた。
花月 71
桐皇 82
「嘘やろ!? 時間かけずに来よった…!」
エース不在の最初の1本。時間かけて慎重に攻めてくると予想していた今吉は見事に裏を掻かれた。
「まあええわ。こっちが有利なんわ変わらへんからのう」
驚いた表情をすぐさまもとに戻し、ボールを運んだ今吉はすぐさま青峰にボールを渡した。
『おぉっ!』
次の瞬間、観客が沸き上がった。
「へぇ、今度の相手はお前か、神城」
ボールを持った青峰の目の前に空が立っていた。
「去年からどこまで成長したか試してやるよ」
挑発交じりに告げる青峰。
「…」
対して空は何も言葉を返さない。
「(大地の気持ち、無念は俺も痛い程理解出来る…)」
エースの務めを果たせず、コートを去った大地の気持ちを汲み取った空。
「(今年のインターハイの陽泉戦、俺は途中でコートを去った。だけど大地は俺が戻って来るまで繋いでくれた)」
今年の夏のインターハイでの陽泉。空は途中で負傷退場をし、試合終盤までコートを去っていた。
「(大地がやってくれたんだ。今度は俺の番だ!)…スー…フー…」
大きく息を吸い、大きく息を吐いた。そして…。
――ゾーン強制開放!!!
「っ!?」
突如、空からのプレッシャーが跳ね上がり、表情を変える青峰。
「ここまで随分暴れてくれたな。だが、そこまでだ。ここからは俺が暴れさせてもらうぜ」
空が親指で自分を指しながら青峰に告げたのだった…。
※ ※ ※
始まった後半戦。
調子がピークに達した青峰の牙が花月に突き刺さり、点差を広げていく。
食い下がる大地だったが止められず、遂にはトラブルで負傷し、無念の中コートを去っていった。
絶望的な状況の中、青峰に前に立った空。
その空が、強引にゾーンに扉をこじ開け、立ち塞がったのだった……。
続く
ネタを何とか捻出しながらの投稿です…(;^ω^)
最近はメジャーリーグの大谷選手の活躍を楽しみに日々生きています。もはやバスケではない…(>_<)
本日、ワクチン接種の1回目を行いました。数時間経った現在、今の所は副反応はありませんが、明日がちょっと怖いです…(/ω\)
感想アドバイスお待ちしております。
それではまた!