黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

久しぶりの週一投稿…(;^ω^)

それではどうぞ!



第169Q~繋ぐ~

 

 

 

第3Q、残り6分10秒

 

 

花月 71

桐皇 82

 

 

「ここまで随分暴れてくれたな。だが、そこまでだ。ここからは俺が暴れさせてもらうぜ」

 

突如としてゾーンの扉をこじ開けた空が空が親指で自分を指しながら青峰に告げた。

 

 

「あの感じは…!」

 

「…っ!? 自らの手で、ゾーンの扉を開いたと言うのか…!」

 

その姿を目の当たりにした火神と緑間が目を見開きながら驚いた。

 

 

「行くぜ」

 

宣言と同時に空は青峰との距離を一気に詰め、激しくプレッシャーをかけた。

 

「っ!? …ちっ!」

 

空か発せられるプレッシャーに圧倒される青峰。

 

「スゲー、これがキャプテンの本気…」

 

ボールをキープするだけで手一杯となっている青峰を見て竜崎が驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

大地が治療の為にベンチに下がり、竜崎が代わりにコートにやってきた時の事…。

 

『監督からの指示ですが、ここからのディフェンスですが――』

 

『青峰は俺がマークする』

 

上杉からの指示を竜崎が伝えようとした所、空が遮るように青峰のマークを買って出た。

 

『今度は空坊が相手する言うんかい』

 

『はい。この中で今の青峰のマークが出来るのか俺だけでしょうし、何より、俺がやらなきゃいけない事ですから』

 

覚悟を持った表情で空が告げる。

 

『分かりました。それではそうしましょう』

 

与えられた指示の説明の途中だったが、竜崎がそう言った。

 

『監督からの指示は良いの?』

 

『監督からは、キャプテンが青峰先輩のマークを買って出たらそれで行け、と言う指示も受けていたので』

 

竜崎が続けて補足する。

 

元々言おうとした指示は、2-3ゾーンディフェンスでインサイドを固めると同時に青峰と福山の突破力を抑え、空と竜崎が外をケアすると言うもの。しかしこれは受けるダメージを最小限に抑える為の苦肉の策に過ぎない。やはり調子絶頂の青峰をどうにか出来なければ問題を先送りにしかならない。

 

現状、青峰を1対1で相手出来るのは空のみ。空が自ら相手を志願したならそれに賭けると言うのが上杉が考えたもう1つの策であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

絶えず激しく青峰にプレッシャーをかけ続ける空。

 

「(…くっ! そういや、こいつも野生持ちだったな…!)」

 

ゾーンの扉を開いた事でより前面に出る空の野生。そんな空に苦戦する青峰。

 

「こっちだ青峰! 一旦出せ!」

 

福山がボールを要求する。しかし、青峰はパスを出さない。

 

『パス出さねえぞ?』

 

『意地だよ意地。ここで引く訳には行かねえだろ』

 

パスを出さない青峰を見て、真っ向勝負をする為に逃げないのだと推察する観客。

 

「(こいつ…!)」

 

しかし実際は、パスを出す余裕がないのだ。少しでも気を抜けば…、それこそ、パスターゲットに意識を割けば次の瞬間にはボールを取られる。それだけ空のプレッシャーが激しかったのだ。

 

「…っ!」

 

機を見た空がボールに左手を伸ばした。

 

「…っ、調子に乗ってんじゃねえ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

左手がボールを捉える直前、青峰はロールしながら空の左手をかわした。

 

「やった! さすが青峰さん!」

 

空をかわした青峰に歓喜する桜井。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「なっ!?」

 

次の瞬間、青峰の表情が驚愕に変わった。

 

「抜いたと思った? 残念!」

 

背中が床に付く寸前まで後方に倒れ込んだ体勢から空が青峰のボールを捉えた。

 

『うおぉぉぉっ!!! あんな体勢でカットしやがった!!!』

 

「いいぞ神城!」

 

ルーズボールを松永が拾う。

 

「松永先輩!」

 

速攻に走っていた竜崎がボールを要求。松永はすかさず竜崎に縦パスを出した。

 

「行かせへんで」

 

ボールを掴んでそのままドリブルをする竜崎。そんな竜崎の前にいち早くディフェンスに戻っていた今吉が竜崎の前に立ち塞がった。

 

「ここは決める!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ディフェンスに戻れているのは今吉のみ。竜崎は意を決して仕掛けた。

 

「まあまあやな。けどあかんわ」

 

クロスオーバーを読んだ今吉がすかさず進路を塞ぐ。

 

「…っ! ならば!」

 

ここで竜崎はボールを掴む。

 

「ターンアラウンドからのジャンプショット。…やろ?」

 

言葉通り、竜崎はターンアラウンドで反転した。

 

「(っ!? 読まれてる!?)」

 

「残念やけど、控えのあんさんのデータもちゃんと把握しとるで」

 

ニヤリと笑う今吉。ジャンプショットの体勢に入る前に距離を詰められ、シュート体勢に入る事なく止められてしまった。

 

「(しまった! 最悪な体勢でボールを止められた!)」

 

足元に入られ、頭上に掲げたボールを必死に死守する竜崎。

 

「こっちだ!」

 

その時、竜崎の横から空がボールを要求する声が聞こえた。

 

「た、頼みます!」

 

渡りに船とばかりに竜崎は空にパスを出した。

 

「やってくれたじゃねえかよ」

 

左ウィング付近でボールを掴んだ空。その空の前に青峰が現れた。

 

「来たか。そうこなくちゃな」

 

それを喜ぶように空がニヤリと笑う。先程、青峰の相手を任された空。その後、竜崎の口からもう1つ言葉が伝えられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

『そんなキャプテンにもう1つ、監督からの伝言です』

 

『?』

 

続けた竜崎の言葉に耳を傾ける空。

 

『この第3Qはキャプテンに委ねる。だそうです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「ここからは抑えていた分、存分にやらせてもらうぜ」

 

本来、我が強く、気性の荒さは青峰に匹敵する程の空。チームの主将であり、司令塔である為、自分を抑え、ゲームの組み立てとバランスを取る事に尽力してきた。

 

「大地には悪いが、いない間は派手に行くぜ」

 

桐皇に敗れた昨年のウィンターカップ。もっとも悔しさに塗れたのは空。借りを返す意味でも青峰とやり合いたかったが、大地が役目を買って出た為、自分の役割を考慮して我慢をした。だが、その大地は現在コートにいない。チームのピンチではあるのだが、空はこの状況を楽しんでもいるのだ。

 

「ほんじゃ……、行きますか!」

 

そう言った次の瞬間、空はドリブルをしながら飛び跳ね始めた。

 

「?」

 

その突然の行動に疑問を覚える青峰。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

数度飛び跳ねながらドリブルをした後、空はボールを強く地面に叩きつけ、同時に大きく飛び跳ねながら両膝を曲げた。

 

「(何をする気だ?)」

 

ますます空の行動が読めず、戸惑う青峰。

 

力強く叩きつけたボールが高くジャンプをし、空中で両膝を曲げた空の右手に収まる。次の瞬間…。

 

 

――ダムッ!!!!!!

 

 

「っ!?」

 

大きな轟音と同時に青峰の視界から空が消え失せた。

 

「らぁっ!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

そのまま空はボールをリングに叩きつけた。

 

 

花月 73

桐皇 82

 

 

『…』

 

静寂に包まれる会場。

 

『……おっ』

 

『おぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

思い出したかのように観客達が歓声を上げ、会場を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「何だよ今の…」

 

「青峰先輩を一瞬で…!」

 

観客席の池永、新海は驚きを隠せないでいた。

 

「あの青峰が全く反応出来てなかったぞ…」

 

同じく観客席の二宮は目を見開いて驚いていた。

 

「あのドリブル、スゲー音したぞ。まるで葉山先輩のライトニングドリブルみたいだ」

 

同様に三村も驚いていた。

 

「理屈は同じだ」

 

赤司が口を挟む。

 

「ドリブルの直前に高く飛び上がり、指の力だけではなく、落下の勢いもボールに伝えていた。威力は恐らく5本の指以上になるだろう」

 

『…』

 

「神城のスピードとアジリティは葉山さんとは比較にならない。しかも見たとおり、恐ろしく低い体勢から仕掛けてくる。恐らく、あれを止められる者は皆無だろう」

 

「っ!? マジかよ!?」

 

その言葉に驚きを隠せない二宮。

 

「ああ。…だが、通用するのはこれっきりだ」

 

「どうして断言出来るんだ?」

 

止められる者はいないと口にしていながら、2度と通用しないと矛盾する言葉を吐いた赤司に尋ねる五河。

 

「仕掛けるまでにモーションが大き過ぎる。来るのが分かっていれば事前に防ぐ事は容易いからだ」

 

事前に大きく飛び跳ねる今のドライブは、仕掛け動作の長さが弱点だと赤司は指摘した。

 

「青峰は動きが読めない上、動きを見てから止めるのは不可能。その為、綾瀬では相性が悪い相手だったが、読みよりも直感で動く神城ならば噛み合う。ここから先は、どうなるか…」

 

赤司でさえも読めない先の展開。赤司は試合を見届けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「おぉっ!」

 

「っ!?」

 

ボールを運ぶ今吉に対し、竜崎が激しくプレッシャーをかける。

 

「(俺は綾瀬先輩が戻るまでの繋ぎだ。ここで全て出し切る!)」

 

体力度外視でディフェンスに尽力する竜崎。

 

「(特攻同然のディフェンスかいな。これは厄介やで!)」

 

実力的には今吉の方が優れているマッチアップだが、体力度外視となると話は変わる。しつこく激しくプレッシャーをかける竜崎に圧倒される。

 

「(これはあかんわ!)…頼んまっせ!」

 

たまらず今吉は青峰のパスを出した。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「いただくぜ」

 

しかし、出されたパスは高速でパスコースに割り込んだ空にカットされてしまう。

 

「嘘やろ!? 速すぎるで!」

 

今吉とて竜崎の密着マークを受けてはいたが空のポジションを確認していなかった訳ではない。

 

 

「うはっ! とんでもない反応の速さッスね…」

 

「それだけやない。スピードとアジリティも段違いやのう」

 

パスが出される直前に反応し、そこから青峰の手にボールが収まるまでにボールに到達してしまう空のスピードと加速力に驚く黄瀬と三枝。

 

 

「やべー、戻れ!」

 

慌てて声を出す福山。

 

「…ちっ」

 

カットしたボールを抑え、そのままワンマン速攻を仕掛けた空を青峰が追いかける。

 

「っ!? …まさか、そんな…!」

 

次の瞬間、桜井が言葉を失う。

 

「青峰が、追い付けねえだと…!」

 

ドリブルをしながら先頭を走る空。ボールを持たずに後ろを追いかけている青峰。しかし、その距離が縮まらないのだ。

 

「…っ」

 

スピードで追いつけない空に対し、表情が険しくなる青峰。

 

 

――バス!!!

 

 

空はそのままレイアップを決め、速攻を成功させた。

 

 

花月 75

桐皇 82

 

 

「…」

 

「…ちっ」

 

すれ違い様に一瞥をくれる空。そんな空に舌打ちをする青峰。

 

 

「あの青峰を振り切るかよ…」

 

火神でさえ、かつてボールを持った青峰にちぎられた経験がある為、その青峰を追い付かせない空に驚きを隠せない。

 

「神城君に先頭を走られれば得点を防げない。ここから桐皇は迂闊にパスやカットインは出来なくなるわね」

 

いつ何処から空が現れるか分からず、多少の距離なら一瞬で潰す空がいる為、不用意なパスは出せない。ドライブにしても、切り込んだ瞬間を空に狙われる可能性がある為、これも迂闊に出来ないと断ずるリコ。

 

 

「俺にボール寄越せ」

 

ボールを拾ったスローワーとなった國枝にボールを要求する青峰。

 

「青峰はん?」

 

「ビビッて縮こまったてめえに任せるくれーなら俺がボール運んだ方がマシだ。いいから寄越せ」

 

「…っ、さよでっか、ほな頼んまっせ」

 

あまりの言葉だが、事実な為、今吉は受け入れた。

 

「…」

 

ボールを受け取った青峰はフロントコートまでボールを運んでいく。

 

「あんたがボール運ぶのか。ま、そっちの方が分かりやすくて俺としてはありがたいぜ」

 

「調子に乗ってんじゃねえぞ」

 

直接、自らの手でボールを運ぶ青峰に対してニヤリと笑みを浮かべる空。青峰は険しい表情でそう返した。

 

 

――ダムッ…ダムッ…。

 

 

ゆっくりドリブルをしながら隙を窺う青峰。

 

「…」

 

「…」

 

 

――ダムッ…ダムッ…ダムッ!!!

 

 

暫し睨み合っていると、青峰がテンポアップ。得意のチェンジオブペースで仕掛ける。

 

 

「予測不能の青峰のプレーにアジリティが加われば、例えゾーンに入っていたとしても止めるのは困難だ」

 

火神が言う。

 

いくらゾーンと言えど、裏を掻かれれば抜かれてしまう。ましてや、予測不能な上に全国トップレベルのスピードとアジリティを持つ青峰だ。後追いでは不利である為、ある程度の動きの予測が必須。

 

「…っ!」

 

変則のハンドリングで揺さぶりをかける青峰。

 

「…」

 

空は青峰のドリブルに合わせてステップを踏みながら対応。

 

 

――ダムッ…。

 

 

徐に、青峰が踏み込んだ足とは逆方向にボールを弾ませた。

 

「…」

 

弾ませたボールに空が手を伸ばす。次の瞬間…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

青峰がそのボールに手を伸ばし、クロスオーバーで切り返し、仕掛けた。

 

 

「出た! 青峰さんの変則のチェンジオブペース!」

 

思わず池永が声に出した。

 

 

「っ!?」

 

だが直後、すぐさま空が目の前に現れ、進路を塞いだ。

 

「悪いな、ここは通行止めだ」

 

「…ちっ」

 

目の前に空が現れると青峰は停止し、右手でボールを構えながら飛んだ。

 

「打たすかよ!」

 

これにも空はすかさず反応し、ブロックに飛んだ。

 

「っ!?」

 

あまりの反応の速さに青峰は目を見開く。咄嗟にボールをリングにではなく、左方向へと放った。

 

「ナイスパス!」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールの先にいた福山がそのままジャンプショットを決めた。

 

 

花月 75

桐皇 84

 

 

「なんだよパスかよ。これは読めなかった」

 

「うるせーよ。文句あんのか?」

 

空の言葉に苛立ち交じりで返す空。

 

「ねーよ。…ていうか、どうしたよ? 得点を演出した割に、随分とご機嫌斜めだな」

 

「…ちっ」

 

指摘の言葉に青峰が表情を険しくする。

 

形だけ見れば見事なアシストだが、実際は咄嗟のリカバリーの為に出した苦し紛れのパスであり、言わば無理やり出さされたパスである為、本来得点意識が強く、パスを好まない青峰からすれば不本意な形である。

 

 

「さあ行くぜ!」

 

ボールを受け取った空は声高々に叫び、ボールを運んだ。

 

「…」

 

そんな空の前に立ち塞がるのは当然青峰。

 

 

「神城っちは青峰っちとはまた別系統に変則な上、スピードも加速力も桁違いッスからね」

 

「うむ、あ奴を平面で止めるのは至難の業じゃ」

 

かつての対戦経験から黄瀬がそう分析し、三枝は頷いた。

 

 

 

――ダムッ…ダムッ…。

 

 

ゆっくりドリブルをしながら機を窺う空。

 

「…」

 

そんな空を前に集中を全開にして迎え撃つ。

 

「スー…フー…」

 

軽く深呼吸を入れた空。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

一気に加速し、青峰の横を高速で駆け抜け、抜きさった。

 

「野郎、打たせるか!」

 

「止める!」

 

青峰を抜いたと同時にリングに視線を向けた空に対し、福山と國枝がヘルプに飛び出し、ブロックに飛んだ。

 

「「っ!?」」

 

しかし、ここで2人は空がボールを保持していない事に気付いた。

 

 

――バス!!!

 

 

ブロックに飛んだ2人をバックロールターンでかわし、そのままレイアップを決めた。

 

 

花月 77

桐皇 84

 

 

「スゲーフェイク。て言うか、その前に青峰先輩を小細工無しで…」

 

ベンチの菅野は切り込んでから得点までの一連の空の動きを見て言葉を失っていた。

 

「いや、いくらゾーンに入っているとはいえ、小細工無しで抜きされる程、青峰は甘い相手ではない」

 

菅野の言葉に上杉が口を挟む。

 

「神城と青峰とのマッチアップ。切り込む直前の僅かな時間に緻密な駆け引きが行われていた」

 

「駆け引き、ですか?」

 

ピンと来ない帆足が聞き返す。

 

「切り込む直前の最後のドリブル。手からボールを離れ、その手に戻って来るまでの僅かな瞬間、神城は小刻みにステップや肩の動きで牽制した。その牽制に反応した青峰の動きに合わせ、抜きさった」

 

「あんな僅かな瞬間に…。ここからでは全く分からなかった…」

 

説明を聞いて驚く室井。

 

「一瞬の間でのやり取りだ。実際、目の前に立ってもそれこそキセキの世代クラスの実力者でなければそもそも認識すら出来んだろう」

 

「確か、裏拍子って奴か…。にしても、ホントあいつはスゲーな。変則抜きでも基本的なテクニックでもあいつが使えば必殺技になんのか…」

 

ドリブルを得意としている菅野もこれには驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――バス!!!

 

 

変わって桐皇のオフェンス。青峰が空のディフェンスを掻い潜ってパスを出し、國枝がゴール下から得点を決めた。

 

「凄いな、あれだけしつこいディフェンスを受けながらしっかりパスを出してる」

 

きっちりアシストをする青峰に感心する降旗。

 

「いや、いくらパスをする事を覚えたからって、本来の青峰のオフェンス意識はキセキの世代の中でも群を抜いて高い。する必要がなければパスなんか絶対出さねえ奴だ」

 

降旗の言葉に火神がそう言葉にする。

 

「火神君の意見に賛成です。そんな青峰君がパスを出したと言う事はつまり、そうせざるを得ない程に追い込まれていると言う事です」

 

黒子がそう補足した。

 

「けどさ、青峰も自力でゾーンに入れるんだろ? どうして入らないんだ? そうすれば互角……もしかしたそれ以上に…」

 

「それは悪手だからよ」

 

福田の指摘にリコが答える。

 

「確かに福田君の言う通り、ここでゾーンに入れば神城君と互角以上に戦えるでしょう。けど、第4Qまるまる残している状況でゾーンに入ってしまえば最後までもたない。勝負所でガス欠起こしてトドメを刺されるのがオチよ」

 

「なるほど…」

 

説明に納得した池永が頷いた。

 

「青峰君がゾーンに入らず、如何に傷口を最小限に抑えるかに勝負はかかっているわ。一時は大勢は決したと思ったけど、また分からなくなってきたわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「スマン…」

 

マークを外してしまい、得点を許してしまった松永が謝る。

 

「ドンマイドンマイ! 決められたら決め返せばいいんだよ」

 

そんな松永を空が励ます。

 

「ガンガン行くぜ。ようやく、楽しくなってきたからな」

 

静かに笑みを浮かべながら空がボールを運ぶ。

 

「…っ」

 

再び青峰が空のディフェンスに入る。

 

「……よし」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

今度は小細工無しで切り込んだ。

 

「小細工なしかよ、舐めてんじゃねえぞ!」

 

フェイク一切無しの空のカットインに軽く苛立ちながら対応する青峰。

 

「真っ向勝負が気に入らねえならお望み通りに小細工してやるよ」

 

そう宣言するのと同時に空は両足を滑らせるように前方へと動かし、仰向けに倒れ込むような体勢になった。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

直後に倒れ込む体勢からボールを右から左へとバックチェンジで切り返し、滑り込みながら青峰の横を滑り抜けた。

 

「っ!? デタラメな野郎が!」

 

空の動きに面食らうも青峰は追いかける。

 

 

――スッ…。

 

 

青峰が横に並ぶと、空は体勢を直し、バックロールターンで反転し、青峰の逆を駆け抜けた。

 

「っしゃ!」

 

同時に空はボールを掴み、飛んだ。

 

「そんなんで俺は抜けねえぞ!」

 

次の瞬間、青峰がブロックに現れ、空のシュートコースを塞いだ。

 

「おっしゃ、いいぞ青峰!」

 

ブロックを確信した福山が拳を握る。

 

「…」

 

青峰がブロックに現れると空はボールは下げ、そのままエンドラインを越えていく。

 

 

――ブォン!!!

 

 

そこから真横にボールを放り投げた。

 

「あっ!?」

 

その時、桜井が声を上げる。

 

「良い景色だ」

 

ボールの先、左アウトサイドのサイドラインとエンドラインが交わる位置に生嶋がノーマークでボールを掴んだ。空のプレーに注視するあまり、マークを緩めてしまったのだ。

 

「くっ!」

 

慌ててチェックに入る桜井。しかし、距離があった為、間に合わず…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

生嶋が悠々とスリーを決めた。

 

「ナイスパスくー!」

 

「良い所にいてくれたぜ」

 

空と生嶋がハイタッチを交わす。

 

「今の俺はスコアラーであると同時に司令塔でもあるんだ。マークを開けたら遠慮なく行くぜ」

 

ニヤリと笑う空。

 

『…っ』

 

そんな空を見て表情を険しくする桐皇の選手達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ここから花月……いや、空の独壇場であった。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

空が自ら得点を決める。

 

迂闊にマークを外せば次の瞬間にはパスが飛ぶ為、迂闊にヘルプに行けない。青峰であっても、ゾーンに入った空を止める事は出来ないでいた。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

「なっ!?」

 

青峰からパスを受けた福山がダンクを仕掛けた瞬間、横から高速でやってきた空にブロックされてしまう。

 

「っしゃ速攻!」

 

ルーズボールを抑えた天野が空にボールを渡し、そのまま速攻に向かった。

 

神出鬼没の空。多少の距離なら一瞬で潰してしまう空の存在のせいで桐皇の得点は停滞し始めた。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

そのまま空がワンマン速攻からダンクを決めた。そして…。

 

 

『ビビーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここで第3Q終了のブザーが鳴った。

 

 

第3Q終了。

 

 

花月 88

桐皇 90

 

 

「凄い…。一時は二桁まで点差が開いたのに、シュート1本分で第3Q終えた」

 

花月の猛追に驚く田仲。

 

「…けど、その代償も決して軽くないわ」

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

肩で大きく息をする空。

 

ゾーン状態で攻守に渡って縦横無尽に活躍した空。その代償に体力を大きく削られていた。

 

「……ふぅ」

 

一息吐いて呼吸を整えた空はベンチに向かって拳を伸ばした。そこには…。

 

「綾瀬!」

 

額に包帯を巻き、治療を終えた大地の姿があった。

 

「ダイ! もう大丈夫なの?」

 

「ええ。この通り、しっかり治療を施していただきました。問題ありません」

 

心配する生嶋に対し、笑顔で答える。

 

「頭は冷えたみたいだな」

 

「おかげさまで」

 

皮肉交じりに話しかける空。大地は苦笑しながら返した。

 

「しっかり繋いでやったぜ。休んでた分、きっちり働いてもらうぜ」

 

拳を突きだす空。

 

「もちろんです。その為に戻ってきたのですから」

 

その拳に大地は拳を突き合わせたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

点差は開き、エースが一時不在となった第3Q。

 

空がゾーンの扉を自力で開き、ゲームを支配して点差を縮め、最高の形でこのQを終わらせた。

 

代償として大きく体力を削られた空。しかし、エースである大地が戦線に戻って来る。

 

互角の展開で第3Q。試合は、勝敗を分ける最後の10分を、残すところとなったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





気が付けば1年の4分の3を終えようとしている。時間経つのはえー…(>_<)

9月に入った急に気温が下がり、過ごしやすくなりました。けど、何気に猛暑で熱くなった身体を冷房に当たりながらアイスを食べるのも気に入っていたり…(;^ω^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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