黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

寒くなってきましたね…(>_<)

それではどうぞ!



第172Q~相棒~

 

 

 

第4Q、残り4分7秒

 

 

花月 107

桐皇 106

 

 

最終3Q終了と同時に1度ベンチに下がった青峰が第4Qが3分経過した所でゾーンの扉を開いてコートへ戻り、花月を圧倒した。

 

花月も点の取り合いを挑んだが、青峰のオフェンスは止められず、逆に花月のオフェンスが青峰と桐皇のディフェンスに阻まれ、遂には逆転を許してしまった。

 

絶体絶命のピンチに陥ったその時、大地がゾーンの扉を開き、起死回生のスリーを決めて再度逆転した。

 

「あなたの力を貸して下さい。あなたと2人なら、青峰さんと戦えます」

 

「……フッ、良いぜ、全力でフォローしてやるぜ」

 

試合は、クライマックスへと突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

ボールを運んだ今吉が青峰にボールを渡す。

 

「…」

 

その青峰の前に大地が立ち塞がる。

 

「ゾーンに入ったてめえとやるのは初めてだな。良いぜ、何処までやれるか、試してやるよ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

嬉々とした表情で青峰が仕掛ける。

 

「…っ」

 

これに大地も反応、その動きに対応する。

 

「(なるほど、これに反応するか。ゾーンに入っただけの事はあるな。…だがな!)」

 

 

――ダムッ…ダムッ…!!!

 

 

得意のストリートバスケのムーブで高速で切り返し、大地を翻弄する。

 

「…っ、…っ!」

 

ここに来てさらに変則過ぎるムーブで揺さぶりをかける青峰。大地は歯を食いしばってその動きに付いていく。

 

 

――スッ…。

 

 

背中からボールを前へ通し、大地の後ろへ青峰が抜ける。

 

「…っ!」

 

前へ抜けた青峰を大地が追いかける。…が、青峰は強引に突破。フィジカルの差も相まって突破を防げず。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

強引に大地を振り切った青峰がそのままワンハンドダンクを叩き込んだ。

 

 

花月 107

桐皇 108

 

 

「やった!」

 

「っしゃぁぁっ!!! ゾーンに入ったって結果は変わらないぜ!」

 

桜井が喜びを露にし、福山が拳を握った。

 

「っ!? 戻れ!」

 

その時、青峰が声を張り上げる。

 

「あっ!?」

 

國枝が気付いた。青峰が叩き込んだボールを松永がすぐさま拾い、大きな縦パスを出した事に。そして…。

 

「アカン!」

 

今吉が目を見開いて自陣に駆け戻る。

 

その視線の先には空と大地が速攻に走っていた。

 

「ちっ!」

 

その2人を青峰が舌打ちをしながら追いかける。

 

「よし!」

 

ボールを掴んだ大地。スリーポイントライン手前で両足を揃えながらボールを掴んで急停止し、スリーの体勢に入った。

 

「ざけんな!」

 

シュート体勢に入った大地の構えたボールに青峰が後ろから手を伸ばした。

 

『うおぉぉぉっ!!! 青峰はえー!?』

 

ゴール下から一瞬の内に追い付いた青峰に対して観客が驚愕する。

 

「…」

 

しかし、大地は青峰が現れるとスリーを中断、ボールを下げて前へと落とした。

 

「ナイスパス!」

 

そこにいた空がボールを受け取り、そのままリングに向かってドリブルをし、レイアップの体勢に入る。

 

「空坊!」

 

天野が大声で叫ぶ。

 

「マジかよ、速過ぎるだろ!?」

 

ベンチの菅野が立ち上がりながら叫ぶ。

 

先程大地のスリーのブロックに向かったはずの青峰がもう空のブロックに来ていた。

 

「…」

 

空はボールをリング…にではなく、真後ろへとフワリと浮かせるように放った。そこには、既に大地が飛んでいた。

 

「…っ!」

 

着地した青峰が再度大地のブロックに飛んだ。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

しかし、青峰がブロックに来るより早く大地がボールをリングに叩きこんだ。

 

 

花月 109

桐皇 108

 

 

『スゲー連携だ!!!』

 

「やられたのう。…けど、2度も通じへんわ。國枝。次、青峰はんが決めたらパスを遅らせるんや。後手にさえ回らへんかったら青峰はんなら止められるからのう」

 

「分かりました」

 

今のワンプレーで狙いに気付いた今吉が國枝に指示を出した。

 

「青峰はん!」

 

桐皇のオフェンス。今吉から青峰にボールが渡される。

 

「俺を倒すんじゃなかったのか? 結局仲間の手ぇ借りんのかよ」

 

「…」

 

見下すように尋ねる青峰。これに対し、大地は何も答えない。

 

「…拍子抜けだ。その様じゃ、てめえは一生そこ止まりだ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ここで青峰が加速し、仕掛ける。

 

「…っ」

 

左右に高速で切り返しながら揺さぶりをかける青峰。大地はピタリとその動きに付いていく。

 

 

――スッ…。

 

 

ひとしきり揺さぶりをかけた後、青峰はボールを掴んで後ろに飛んだ。

 

「っ!?」

 

これを見て大地がブロックに飛んだ。

 

 

――ブォン!!!

 

 

力強く放り投げられたボール。大地の伸ばした手の上を高速で通り抜ける。

 

 

――バス!!!

 

 

ボールはバックボードに当たりながらリングを潜り抜けた。

 

 

花月 109

桐皇 110

 

 

『うおぉぉぉっ!!! 止まんねえよ!!!』

 

「…くっ!」

 

ボールを拾ってスローワーとなる松永。

 

「…っ」

 

速攻を封じる為、國枝が松永の前でハンズアップをする。

 

「松永!」

 

速攻に走らなかった空がボールを貰いにいく。

 

「ちぃっ!」

 

仕方なく空へボールを渡した。

 

「大地!」

 

フロントコートまでボールを運んだ空は大地にパスをした。

 

「…来いよ」

 

ボールを掴んだ大地の目の前に青峰が立ち塞がった。

 

「(後手にさえならんかったら青峰はんなら止められる。もろたで!)」

 

勝利を確信してほくそ笑む今吉。

 

「…」

 

ボールを下げ、小刻みにステップを踏み、ボールを動かしながら牽制する大地。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

意を決して大地がドライブで仕掛ける。

 

『うぉっ!? はえー!?』

 

「…っ」

 

これに青峰は反応、即座に対応する。その後も左右に高速で切り返しながら揺さぶりをかけていく。

 

『ダメだ、抜けない!』

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

中に切り込んだ所で大地が急停止。これを見て青峰も同時に停止する。

 

「ゾーンに入った綾瀬先輩でもダメなのか…!」

 

抜ける気配のない2人の1ON1を見て竜崎の表情が曇る。

 

「…」

 

次の瞬間、大地はロールしながら青峰の後ろに駆け抜ける。

 

「(こいつは…!)」

 

しかし、青峰はすぐに気付く。大地はロールしながらパスを出した事に。

 

 

――バチィン!!!

 

 

ボールは、大地の左へと移動していた空の下へ。空は大地から出されたボールを手で弾き、リング付近へと飛ばした。

 

「っ!?」

 

高速で出されたタップパス。しかし、そのパスにタイミングを合わせたかのように大地が飛んでおり、伸ばした右手にボールが収まった。

 

「…ちっ!」

 

これを見て舌打ちをしながらブロックに向かう青峰。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

しかし間に合わず。大地がボールをリングに叩きこんだ。

 

 

花月 111

桐皇 110

 

 

『うぉーっ!!! 何だ今の!?』

 

『飛んでもねえ速さの連携だ!!!』

 

高速パスからのアリウープ。観客は歓声を上げた。

 

「空」

 

リングから手を放し、コートに着地した大地はディフェンスに戻りながら空の横に並ぶ。

 

「パスのスピードをもう少し速くして下さい」

 

「悪い、慎重になり過ぎてパスのスピードが遅かった。後、もう数㎝パスも修正する」

 

「お願いします」

 

そんなやり取りをする2人。

 

「(何の話をしとるんや?)」

 

2人の会話が聞こえた天野。意味が理解出来ない訳ではない。もし、聞いた通りの意味であるなら…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

変わって桐皇のオフェンス。今吉はやはり早々に青峰にボールを託した。

 

「こんなもんかよ、お前の実力はよ」

 

「…」

 

「俺を倒すんじゃなかったのか?」

 

「…」

 

挑発するかのように尋ねる青峰。しかし、大地は何も答えない。

 

「…ふん、所詮てめえもその程度だったって事か。仲間に頼らなきゃ戦えねえ奴が、俺に勝てると思うなよ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

そう告げるのと同時に青峰が切り込んだ。

 

「…っ」

 

『また青峰が抜いた!!!』

 

一気に加速した青峰は大地の横を一瞬で駆け抜け、そのままリングへと突き進む。

 

「待てや!」

 

「ここは行かせん!」

 

リングに近付くと、天野と松永が待ち受けていた。

 

『これは!?』

 

ここで観客が何かに気付く。

 

 

「罠か!」

 

火神が声を上げる。

 

青峰の前方に天野と松永が待ち受け、大地が後ろから迫り来るこの状況。先程大地は抜かれたのではなく、わざと抜かせたのだ。青峰を追い込む為に。

 

 

リングに向かって飛んだ青峰。

 

「止めたる!」

 

「おぉっ!」

 

ブロックに飛んだ天野と松永がシュートコースを塞ぐ。

 

「…っ」

 

後ろから大地が二の矢の如くブロックに飛んだ。

 

「止めろ!!!」

 

ベンチの菅野が拳を握りながら立ち上がり、叫ぶ。

 

「…無駄だ、てめえら程度で俺が止められるかよ!」

 

ボールを持った右手を目一杯伸ばし、バックボードの裏からボールを放った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

放られたボールはバックボード裏からリングの中心を潜り抜けた。

 

 

花月 111

桐皇 112

 

 

『マジか!? バックボードの裏から決めやがった!!!』

 

「てめーにはガッカリだ。てめーは一生俺には勝てねえよ」

 

着地した青峰は鼻を鳴らしながらディフェンスに戻っていった。

 

「…」

 

その言葉に、大地は言い返すでもなく、表情を変える事無く見送った。

 

 

「大地!」

 

ボールを運んだ空がフロントコートに入る直前に大地にボールを渡す。

 

「…来いよ」

 

ドリブルをする大地の先に、青峰が待ち受ける。

 

「…」

 

青峰の射程に入る直前、大地は右へとボールを放った。

 

「(来た!)」

 

パスの先には空。大地はパスと同時にリングに向かって走っていた。

 

「(さっきは連携で意表を突いたから得点に繋がったが、次はあれではダメだ…)」

 

大地に的確かつ正確なパスを届けるのが空の役目。

 

「(大地の最大スピードに合わせたパス。パスのスピード…軌道…ここだ!)」

 

 

――バチィン!!!

 

 

空はボールを右手で弾くようにして叩き、ボールをリング付近へ高速のパスを出した。

 

「っ!?」

 

パスをカットしようと青峰が手を伸ばすも、僅かに届かなかった。

 

 

――バチィッ!!!

 

 

ボールは大地が伸ばした左手に収まった。

 

 

「っ!?」

 

その時、これを見た観客席の黒子が立ち上がった。

 

「…黒子?」

 

立ち上がって驚愕の表情をしている黒子に対し、火神が声を掛けた。

 

 

「…っ」

 

 

――バス!!!

 

 

空中でボールを受け取った大地はそのままシュートを放ち、バックボードに当てながら得点を決めた。

 

 

花月 113

桐皇 112

 

 

『うおぉぉぉっ!!! またスゲーのが決まった!!!』

 

「…てめえ」

 

着地した大地を睨み付ける青峰。

 

「試合前にあなたを倒すと言った言葉、あれに偽りはありません。ですが、今の私ではあなたにまだ及ばないようです」

 

「…」

 

「ですが、試合まで譲る事は出来ません。私とあなたの勝負はあなたの勝ちでいい。この試合だけは譲れません。私と空で、あなたを倒し、試合に勝ちます」

 

横に並んだ空と共に決意に満ちた表情で告げる大地。

 

「…」

 

その大地の顔から何かを思い出す青峰。

 

「(その目はテツと同じ…、そうか、お前も同じって事かよ…)」

 

かつての自身の相棒と呼べる存在であった黒子テツヤ。仲間と力を合わせる事で無類の力を発揮する幻のシックスマン。その彼と同じ目をしていた。

 

「…」

 

以前の青峰であったなら鼻で一笑して事だろう。

 

「…いいぜ、それがてめえの戦い方ってなら、受けて立ってやる。そんなてめえらも、俺が粉砕してやるよ」

 

不敵な笑みでその言葉を受け、青峰は迎え撃つと返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

続く桐皇のオフェンス…。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

これまで同様、青峰に全てを託し、攻める桐皇。

 

「…っ」

 

大地も青峰を相手に必死に食らいつく。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ボールを狙い打った大地を間一髪でバックチェンジでかわす青峰。

 

「っ!?」

 

その時、切り返した青峰のボールに1本の手が迫り来る。

 

「隙ありだぜ!」

 

空が2人の勝負に割って入り、ボールを狙いに行ったのだ。

 

目の前の大地との勝負に熱中していた青峰は空に対する認識が僅かに遅れた。

 

「…っ、舐めんな!」

 

咄嗟に左手に収まったボールを駆使し、ボールを左へと流した。

 

「ナイスパスだぜ青峰!」

 

そこには福山の姿が。咄嗟に青峰はパスで切り替え、対応した。

 

ボールを掴んだ福山はそのままリングに向かってドリブルを開始する。

 

「おぉっ!」

 

リング付近まで進んだ福山はそこからリングに向かって飛んだ。

 

「させません!」

 

その時、リングと福山の間に大地がブロックに現れた。

 

「(マジかよ!? てめえさっきまで青峰の相手してやがったじゃねえか!)」

 

高速でヘルプに現れた大地。その大地が福山を阻む。

 

「(やべー! このままじゃブロックされる。どうする!?)」

 

今のままではブロックされるのは必至。ここでのターンオーバーは命取りになりかねない。その時!

 

「っ!?」

 

福山の視界に青峰の姿が映る。その青峰は指を上に指していた。

 

 

――スッ…。

 

 

その姿を見て福山はリング付近にボールをフワリと浮かせるように放った。

 

「おぉっ!」

 

その姿を見た今吉が思わず声を上げる。

 

空中でボールを右手で掴む青峰。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

掴んだボールをそのままリングに叩きつけた。

 

 

花月 113

桐皇 114

 

 

ドスン! と、コート着地する青峰。

 

『…』

 

静まり返る会場。

 

『……おっ』

 

『おぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

次の瞬間、会場が大歓声に包まれた。

 

『今度は桐皇だ!!!』

 

『スゲーのが飛び出しやがった!!!』

 

「……ハハッ、あの2人が…」

 

今のを目の当たりした桜井が思わず笑う。

 

高校入学と同時にライバル関係(福山の一方的な)であった2人。決して良いとは言えない2人の関係であったが、そんな2人から飛び出したコンビネーション。

 

「どうよ、ナイスパスだったろ?」

 

「下手くそなパス出しやがって、もう2度とてめえには頼らねえ」

 

「んだと!」

 

いがみ合いながらディフェンスに戻る2人。

 

「大ちゃん…、福山君…」

 

そんな2人を桐皇ベンチの桃井が薄っすら笑みを浮かべて見届けていた。

 

 

「人には散々言っておいて、自分も頼ってんじゃねえか」

 

2人を見てぼやく空。

 

「それだけ向こうも必死と言う事です。…やはり、一筋縄では行きませんね」

 

フゥと一息吐く大地。

 

「だが負けねえ。あんな付け焼き刃の連携じゃねえ、本当のコンビネーションを見せてやろうぜ!」

 

「えぇ、頼りにしてますよ」

 

不敵な笑みを浮かべる空。大地はそれに笑顔で応えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

花月のオフェンス。やはり空はボールを大地に託す。

 

「…」

 

ボールを受け取った大地はいくつか青峰に対して揺さぶりをかけた後、空にパスを出し、先程同様、パス&ランでリングに向かって走った。

 

「(さっきのパス、パススピードは完璧だったが、パスの軌道が理想のパスから数㎝逸れた。今度こそ完璧に修正する)」

 

自身の理想のパスコースを描き切れなかった空。次こそはと理想のパスコースを割り出し…。

 

 

――バチィン!!!

 

 

「(イメージ通り、今度こそ完璧だ!)」

 

その割り出したコースと寸分も狂いもないパスを贈った。

 

 

――バチィッ!!!

 

 

リングに付近に送られたパスはそこに伸ばした大地の右手に収まった。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

右手に収まったボールをリングに叩きつけた。

 

 

花月 115

桐皇 114

 

 

『おぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

「っしゃっ!!!」

 

「バッチリです、空!」

 

ハイタッチを交わす空と大地。

 

「…っ」

 

そんな2人を青峰は唇を噛みながら睨み付けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…とんでもないな」

 

観客席で試合を観戦している秀徳の斎藤が驚きの表情をしている。

 

「あんな高速のパスに良く合わせられるな」

 

ハイスピードでボールを中継している空。そんな空のパスに平然と合わせる大地に木村が驚きを隠せなかった。

 

「…ちげーよ。確かに綾瀬もスゲーが、1番スゲーのは――」

 

 

「神城?」

 

「はい。神城君は全速の綾瀬君が取れるギリギリのパスを彼の手元に正確に届けています。まさにこれ以上にない、理想のパスです」

 

パスのスペシャリストである黒子が解説する。

 

「極端な事を言えば、綾瀬君はドンピシャで伸ばした手に来たパスに合わせただけです。それも確かに凄いですが、本当に凄いのはその作業だけで済むパスを出した神城君です」

 

通常、アリウープは出されたパスに対して得点を決める者がある程度修正するのだが、空はその修正作業がいらないパスを出しているのだ。

 

「…スゲーな。形はちげーが、秀徳の高尾と緑間のあのスリーみたいなものか」

 

火神が秀徳の2人のスカイ・ダイレクト・スリーと重ね合わせた。

 

「…いえ、あの2人の連携以上よ」

 

火神が口にした言葉に対し、リコが口を挟んだ。

 

「緑間君のスリーはリズムも高さも一定だから、それでも難しい事には違いないけど、正確なパスセンスがあれば練習を積み重ねれば可能よ。けど、今のは高速で…、しかもゾーンに入った青峰君をかわしながら動く綾瀬君に合わせたパス。当然、毎回リズムは違うし高さも変わる。そんな彼に修正作業のいらないパスを届けるのは至難の業よ」

 

『…っ』

 

その解説を聞いて思わず息を飲む誠凛の選手達。

 

「センスと才能だけでは説明出来ないわ。それ以上の何かがあるわ」

 

「…もしかして、ゾーンの2つ目の扉って奴か?」

 

その何かに付いて、池永が知る可能性を口にする。

 

「いや違う。俺もあれについて詳しく知る訳じゃねえが、少なくともそれは違うって断言出来る」

 

かつてその扉を開いた経験がある火神が否定した。

 

「ええ違うわ。恐らくだけどあれは――」

 

 

「分かるのか、赤司?」

 

「恐らくだが、俺の知る限り、2人のあの連携はそれで説明が出来る」

 

尋ねる四条に赤司が答える。

 

「あれは、コンビネーション中でも最高峰に位置する究極のコンビネーション。シンクロ(同調)だ」

 

「シンクロ? シンクロって、水泳でのあれか?」

 

「一般的にはその競技か有名だが、それとは違う。サインはおろか、アイコンタクトすら必要としない、真に信頼し合った者同士で起こり得る奇跡と呼べる究極のコンビネーションだ」

 

『…』

 

赤司の解説を言葉を発する事なく耳を傾ける洛山の選手達。

 

「スピードに長けたあの2人のコンビネーションだ。ゾーンに入った青峰であっても、止める事は不可能に近い。この試合、まだ予断を許さない展開になった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

試合は点の取り合いへと突入した。

 

 

――バス!!!

 

 

青峰が個人技を駆使して得点を決めれば…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

空と大地が連携を駆使して得点を決める。

 

互いが得点を決め合い、互いが相手の盾を矛で貫き、逆転を繰り返していく。これの繰り返し。試合はどちらが勝つか、誰にも予想の付かない展開となった。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

青峰がフォームレスシュートで得点を決めた。

 

 

第4Q、残り14秒

 

 

花月 119

桐皇 120

 

 

残り時間、14秒を残して桐皇が逆転、リードした。

 

「この1本、絶対決めるぞ! 全員、死ぬ気で足を動かせ!!!」

 

「この1本は絶対死守だ! 死ぬ気で止めろ!!!」

 

両チームの主将が声を張り上げる。

 

「(後の事なんか知らん。この後倒れようとも、しがみ付いてでも止めたる!)」

 

ボールを持つ空に対し、残る力を振り絞る今吉。

 

「止める!」

 

「勝つんだ!」

 

「おぉっ!」

 

福山、桜井、國枝も、目の前の相手を必死にマークしている。

 

「もうてめえには何もさせねえ」

 

「…っ」

 

何とか青峰のマークを振り切ろうとする大地。しかし、青峰がそれを許さない。

 

「…」

 

刻一刻と残り時間なくなっている中、空は冷静にボールをキープしていた。

 

「……フー」

 

一旦、1歩下がり、一息吐いた空。この時点で試合の残り時間は5秒。空いた距離を今吉が潰そうとしたその時…。

 

 

――ピッ!!!

 

 

空が突如、矢のようなパスをリング付近に出した。

 

「…っ」

 

このパスに向かって大地が走り出した。

 

「っ!?」

 

そんな大地を追いかけようとした青峰だったが、天野のスクリーンが道を阻む。ゾーンに入っている青峰にスクリーンが通じる訳もなく、ロールしながら天野のスクリーンをかわす。…が、これにより加速が遅れ、僅かに大地のマークが外れてしまう。

 

 

――バチィッ!!!

 

 

ボールが空中の大地の手に収まった。後はこのボールをリングに潜らせるだけ。しかし…。

 

「決めさせっかよ! 勝つのは俺達だ!!!」

 

そこへ、青峰が現れ、大地を阻んだ。

 

「良く追い付いた青峰!」

 

これを見て福山が拳を握る。

 

 

「青峰っちのアジリティが勝った!」

 

黄瀬が前のめりになった。

 

 

「(空がくれた最高のパス。これを決めない訳にはいかない!)…おぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

大地はフックシュートのような体勢で強引にボールを放つ。同時に大地と青峰がもつれるような形となった。

 

「ファールや!」

 

思わず天野がアピールするも、審判は笛を吹かない。ノーファールとジャッジした。

 

「っ!?」

 

ボールはリングに向かって飛んでいく。

 

 

――ガガン!!!

 

 

ボールは数度リングの上を跳ねる。

 

『決まってくれぇぇぇぇぇぇぇっ!!!』

 

コート上の花月の選手達。ベンチに座る花月の選手達が立ち上がりながらボールの行方にに願いを込める。

 

ボールはクルリとリングの縁を1周し、転がり落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――リングの…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――外側に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『(勝った!)』

 

勝利を確信する桐皇の選手達。

 

「(俺達の勝ちだ!)」

 

同様に勝利を確信する青峰。今のボール。実は青峰の指先に僅かに触れていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――紙一重で桐皇が再び逃げ切った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

次の瞬間、青峰の目が大きく見開いた。その視線の先、リングの外に零れ落ちようとしているボールに飛びこむ1人の姿が映ったからだ。

 

『神城!?』

 

それは空。空がボールに向かって右手を伸ばしていた。

 

「入ってろぉぉぉぉぉぉーーーーっ!!!」

 

 

――ポン…。

 

 

ボールを右手でタップし、押し込む。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

同時に試合終了のブザーが鳴る。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

タップされたボールはリングの中へと押し込まれた。

 

 

『ピーーーーーーーーー!!!』

 

 

審判が長い笛を吹いた。

 

空がボールに触れたのと試合終了のブザーが鳴ったのはほぼ同時。試合の勝敗は審判のジャッジに委ねられた。

 

『…っ』

 

会場にいる全ての者が審判の一挙手一投足に注目する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――審判は右手を上げ、人差し指と中指の2本の指を立てると、その2本の指を降ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この瞬間、花月と桐皇による、大激闘の幕が、降ろされたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





と言う訳で、決着です。少々呆気ない結末かもしれませんが、自分に考え得る展開に出来たと思います…(^_^)/

正直、メインキャラ以外を生かせず、掘り下げられなかった無念はあります。この先はもっと全員を生かせる試合展開に出来たらと思います…m(_ _)m

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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