黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

175 / 228

投稿します!

緑間と言う選手をぶっ壊す…(;^ω^)

それではどうぞ!



第174Q~老獪~

 

 

 

『待ってました!!!』

 

『今日はこの試合を見に来たんだ!』

 

コートにこれより始まるチームの選手達が足を踏み入れると、観客のボルテージが上がった。

 

 

秀徳高校スターティングメンバー

 

 

4番SF:緑間真太郎 197㎝

 

5番PG:高尾和成  178㎝

 

6番SG:斎藤宏   180㎝

 

7番 C:戸塚徳親  193㎝

 

8番PF:木村孝介  192㎝

 

 

海常高校スターティングメンバー

 

 

4番SF:黄瀬涼太 193㎝

 

5番SG:氏原晴喜 182㎝

 

8番PG:小牧拓馬 178㎝

 

10番PF:末広一也 194㎝

 

12番 C:三枝海  199㎝

 

 

「これより、秀徳高校対海常高校の試合を始めます。礼!」

 

『よろしくお願いします!!!』

 

センターサークル内に両校のスタメン選手達が整列した。

 

「2年前のリベンジッスよ、緑間っち」

 

「…あの時言ったはずだ。勝負はお預けだと」

 

両校の主将である緑間と黄瀬が前に出る。

 

「あの時とは違うッスよ。何てったって、今日の試合は俺がいるッスからね」

 

「関係ない。お前がいようと、返り討ちにするだけなのだよ」

 

互いに宣戦布告をし合う2人。その後、フッと笑みを浮かべた2人は握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「間に合ったな」

 

ちょうどその時、会場の観客席に青峰が現れた。

 

「もう、もう少し早く来れば花月の試合も見られたのに…」

 

青峰に対し、唇を尖らせながら抗議する桃井。

 

「見る必要ねえだろ。俺達勝った奴らが大仁田程度に負けるかよ」

 

抗議を受けても意にも返さない青峰。

 

「…」

 

コート上では今まさにティップオフが行われようとしており、青峰は無言で2人の対決を見守り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

整列が終わり、両校のジャンパーを残して選手達が周囲に散らばる。

 

「…」

 

「…」

 

秀徳のジャンパー戸塚と海常のジャンパー三枝が睨み合うように対峙する。

 

「…」

 

審判が両者の間に入り、ジャンパーの2人にそれぞれ視線を向け、ボールを構え、そして高く上げられた。

 

 

――ティップオフ!!!

 

 

「「…っ!」」

 

ティップオフと同時にジャンパーの2人が同時にボールに飛び付く。

 

「(…くっ! 高い!)」

 

「ほれ!」

 

身長で勝る三枝が戸塚より高い位置でボールを叩き、ジャンプボールを制した。

 

「さすが海さん! 1本、行きましょう!」

 

ボールを掴んだ小牧が指を1本立て、ゲームメイクを始める。

 

試合は、海常ボールでスタートした。

 

「ナンバーコール! 4番(黄瀬)!」

 

「あいよ、8番(小牧)!」

 

「5番(氏原)!」

 

「10番(末広)!」

 

「12番(三枝)!」

 

緑間の号令と同時に秀徳の選手達が各々がマークするべく選手達の背番号をコールする。

 

 

「マンツーマンか…」

 

秀徳の各選手がマークを請け負う姿を見て呟く青峰。

 

海常には三枝と言う絶対的なインサイドプレーヤーがいる。その為、ゾーンディフェンスも予想していたのだが、秀徳は強気の選択をした。

 

 

「…」

 

ベンチで顎に手を当てながら試合を見守る中谷。

 

本音を言えばゾーンディフェンスで迎え撃ちたかったのだが、海常にはシューターの氏原がおり、他にも黄瀬や小牧も外がある為、やむを得なくマンツーマンを選択したのだ。

 

「…」

 

「…」

 

ボールを運ぶ小牧の前に高尾が立ち塞がる。

 

「(…隙が無い。さすが、赤司さんに次ぐポイントガードなだけはある)」

 

切り込み辛く、スリーも打ちにくい、絶妙な距離を保ってディフェンスをする高尾を高く評価する小牧。

 

「(最初の1本だ。俺が無理に仕掛ける必要はない。まずは、ここだ!)」

 

左右に1度切り返した後、頭上からボールを放り、中へとパスを出した。

 

「ナイスパスじゃ!」

 

ボールはローポストに立つ三枝に渡った。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ローポストでボールを受けた三枝はポストアップで押し込み始めた。

 

「(…ぐっ! とんでもないパワーだ。だが、行かせん!)」

 

背中から伝わる圧力に顔を歪ませる戸塚。だが、腰を落とし、歯を食い縛りながら三枝のポストアップに対抗する。

 

「(ほう。こやつ、なかなかのパワーじゃ。じゃけん…)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「これには対抗出来んじゃろ!」

 

「っ!?」

 

何とか三枝を押し止めた戸塚だったが、直後のフロントターンに対応出来ず、裏に抜けられてしまう。

 

「もろた、先取点!」

 

抜いたと同時にボールを掴み、リングに向かって飛ぶ。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「ぬぅっ!?」

 

ボールがリングに叩きつけられて直前、突如現れた1本の手にブロックされてしまう。

 

「ナイス真ちゃん!」

 

「(緑間じゃと!?)」

 

黄瀬をマークしていたはずの緑間にブロックされ、驚く三枝。

 

「っしゃ、速攻!」

 

ルーズボールを抑えた高尾がボールを運ぶ。

 

「真ちゃん!」

 

フロントコートに入る直前に高尾は緑間にパスをする。ボールを掴むのと同時にフロントコートに足を踏み入れた緑間。そこから2メートル進んだ所でシュート体勢に入った。

 

「マジすか!?」

 

味方はおろか、敵すらまだゴール下にいない状況でスリーの体勢に入った緑間に驚く黄瀬。すぐさまブロックに向かうが…。

 

「…っ」

 

素早くリリースされたボールにブロックは間に合わなかった。

 

『っ!?』

 

ボールがリリースされたのと同時にゴール下に辿り着いた三枝と末広がスクリーンアウトでポジション取りをしてリバウンドに備える。

 

「無駄なのだよ。今日の俺は今に至るまで人事を尽くした。ラッキーアイテムもしっかり持ってきた。故に、俺のスリーは、落ちん!」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

『っ!?』

 

ボールはリングに掠る事無く潜り抜けた。

 

 

秀徳 3

海常 0

 

 

「いきなりッスか…」

 

従来の高弾道スリーではなく、今年のインターハイの誠凛戦で見せた、通常ループのクイックリリースによるスリー。試合開始の最初のオフェンスで披露され、驚く黄瀬。

 

「黄瀬。才能ならば、お前は俺より確実に上だろう。だが、それでも勝つのは俺達だ」

 

眼鏡のブリッジを押し上げながら緑間が黄瀬に告げ、ディフェンスに戻っていった。

 

「…上等ッスよ…!」

 

その後ろ姿を見て、黄瀬は静かに闘志を燃やした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

試合は、開始当初の海常優勢の予想を覆し、秀徳ペースで進められた。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「…くっ!」

 

ハイポストでボールを受けた緑間がポストアップで黄瀬を押し込み始めた。これに何とか耐える黄瀬。

 

 

――スッ…。

 

 

ある程度押し込んだ所で緑間はボールを掴んでターンアラウンドで反転し、シュート体勢に入った。

 

「させないッスよ!」

 

打たせまいと黄瀬がブロックに飛ぶ。しかし…。

 

「…あっ!?」

 

緑間はボールを頭上に掲げていたものの、飛んではいなかった。ブロックに飛んだ黄瀬を再度ロールをしながら掻い潜り、改めてジャンプシュートの体勢に入った。

 

「させんわぁっ!!!」

 

だがそこへ、三枝のブロックが現れた。

 

「…」

 

しかし緑間は動じず、ジャンプシュートを中断し、三枝の足元から中へと弾ませながらボールを入れる。

 

「っ!?」

 

「ナイスパス!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

ゴール下でボールを受けた戸塚がボースハンドダンクでボールをリングに叩きつけた。

 

『おぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

「いいぞ徳親! 真ちゃんもナイスパス!」

 

2人のプレーを労う高尾。

 

 

「勝負ッス、緑間っち!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ハイポストでボールを受けた黄瀬がポストアップで緑間を押し込み始めた。

 

『これは!?』

 

『出た、黄瀬のコピー!!!』

 

先程の緑間のプレーをそのままやり返す黄瀬。

 

 

――スッ…。

 

 

ここからターンアラウンドで反転…直後に再度ロールで元の位置に戻り、シュート体勢に入る。

 

「お前のそのみた技をすぐさまコピー出来るセンスには素直に敬意を表す。だが…」

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「センスだけで真似たお前の技が、幾度もなく反復練習をして磨き上げた俺の技と同等だと思わない事なのだよ!」

 

「っ!?」

 

緑間が黄瀬のシュートを叩き落とした。

 

『うぉぉぉぉーーーっ!!! 黄瀬のコピーを止めたぁっ!!!』

 

「速攻だ、走れ!」

 

ルーズボールを抑えた緑間が前線に走る高尾のパスを出した。

 

「ちぃっ!」

 

舌打ちをしながらディフェンスに戻る三枝。

 

「(まずい…、このままじゃ完全に秀徳に…!)」

 

緑間に完全に流れを持って行かれ、焦る黄瀬。パーフェクトコピーを使えば強引に流れを引き戻せるかもしれないが、時間制限がある。そうでなくても、早々に切り札を切るのではなく、切らされるのはチームの全体の士気に関わる。

 

「行かせない!」

 

スリーポイントライン目前で小牧が高尾に追い付き、回り込んだ。

 

「おっ、さすが、スピードに自信があるだけはあるな」

 

先頭を駆ける自分に追い付いた小牧のスピードを称える高尾。

 

「言っとくが、ドライブが得意なのはお前や神城だけじゃないんだぜ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

1度左にボールを切り返した後、高尾がクロスオーバーで加速し、小牧を抜きさった。

 

「来いやぁっ!!!」

 

中に切り込むと、既にディフェンスに戻っていた三枝が両腕を大きく広げ、咆哮を上げて威嚇しながら待ち受けていた。

 

「海さん! (海さんなら止められる! パスに警戒だ!)」

 

高尾では三枝から点は取れないと判断し、パスの警戒をする小牧。

 

「…ハッ! 俺を舐め過ぎだぜ!」

 

そんな空気を一笑した高尾は構わず突っ込み、ボールを掴んで飛んだ。

 

「調子に乗るなや!!!」

 

同時にブロックに飛ぶ三枝。

 

 

――スッ…。

 

 

レイアップの体勢からボールをフワリと浮かせて放り、三枝のブロックの上を弧を描くように越えていく。

 

「(スクープショットか!?)」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールはリングを潜り抜けた。

 

「ちょっと厳しいディフェンスが来たらパスしか出来ないようじゃ、芸がないだろ?」

 

したり顔で言い放つ高尾。

 

「おのれぃ…!」

 

そんな高尾を忌々しく睨み付ける三枝。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

『チャージドタイムアウト、海常!』

 

ここで海常のタイムアウトがコールされた。

 

 

第1Q、残り4分18秒

 

 

秀徳 13

海常  8

 

 

両校の選手達がベンチへと戻っていく。

 

 

海常ベンチ…。

 

「ちぃっ!」

 

完全に押されている展開に三枝が苛立ちながらベンチに座った。

 

「ゴクッ…ゴクッ…ふぅっ! …緑間真太郎、さすがリョータと同じ10年に1人の逸材と呼ばれるだけはあるのう」

 

水分を摂って気持ちを落ち着かせた三枝が緑間を評価する。

 

「舐めてた訳じゃない。けど、正直、まだ甘かったみたいッス」

 

素直に油断を認める黄瀬。緑間の代名詞であるスリーさえ警戒すればどうにかなると踏んでいた黄瀬。しかし、緑間は開幕1発目こそスリーは打ってきたが、以降は中での勝負か、アシストで得点に貢献していた。

 

「どうします?」

 

打開策を小牧が尋ねる。

 

「とりあえず、俺がパーフェクトコピーで強引に流れを取り返すッス。それで――」

 

「待て黄瀬」

 

黄瀬の提案に監督の武内が待ったをかける。

 

「まだ早い。例えそれで逆転出来たとして、パーフェクトコピーを使わされた事には変わらん。そのツケは後半に響いてくる」

 

「でも…!」

 

「落ち着けと言うとるじゃろ。まだ序盤。点差も5点だ。まだ焦る必要はない」

 

納得しない黄瀬を落ち着かせる。

 

「現状、黄瀬のマークが厳しい。ならば、うちのもう1つの強みで攻める」

 

「ワシじゃな!」

 

武内の言葉に三枝がニヤリと笑う。

 

「シュートがあまり外れんから目立たなかったが、インサイドはうちの方が有利。向こうがミドルレンジやアウトレンジから攻めてくるなら、こっちはインサイドから攻め立てろ」

 

『はい!!!』

 

「末広、お前もうちの立派なオフェンスオプションの1つだ。フォローだけじゃなく、自分から決めにも行け」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

秀徳ベンチ…。

 

「フー。…出だしはまずまずと言った所か?」

 

ベンチに座った高尾が一息吐きながら言う。

 

「うむ。リードこそしているが、要所要所で向こうもきっちり決めてくる。この辺りはさすがと言った所かな」

 

中谷が海常を称賛する。

 

「スマン! 俺が相手を抑えられないせいで…!」

 

謝罪の言葉を述べる戸塚。インサイドを三枝に抑えられているせいでリバウンドが取れず、流れに乗り切れなかったからだ

 

「ありゃ仕方ねえよ。実際対戦してみると相当だ。多分、紫原でも簡単には行かねえんじゃねえの?」

 

気落ちする戸塚を高尾が励ます。

 

「さて…、向こうはどう出るかな。パーフェクトコピーで一気に点差を詰めにきたりしてな」

 

「それならばむしろ好都合なのだよ。相手に手札を切らせ、使用時間も減らせるのだからな」

 

高尾の予想に緑間が都合が良いと頷く。

 

「恐らく、向こうは中から攻めて来るだろう。現状、ここが1番の攻め手だろうからね」

 

「…っ」

 

有効なマッチアップであるセンター…、戸塚の所から攻めて来ると中谷は予想。これに戸塚の表情が歪む。

 

「ゾーンディフェンスで対抗するか?」

 

「いや、それはリスクがデカいぜ。向こうには外が打てるのか3人もいるんだからな」

 

「だったらどうする?」

 

対応策を考える秀徳の選手達。

 

「…戸塚。引き続き12番のマークは任せる。良いか?」

 

「監督…」

 

選手達が思考する中、中谷が戸塚に託す。

 

「大坪や支倉から学んだ事があるはずだ。それをここで出してみろ」

 

「っ! はい!」

 

「頼むぜ徳親。…所で、真ちゃんの方はどうだ? 今の所は順調そうだがよ」

 

「黄瀬は才能だけではない、適応力においても俺達(キセキの世代)の中で随一だ。今は以前の俺と今の俺のスタイルの違いに戸惑っているが、恐らく第2Q…速ければこの第1Q中に対応してくるだろう」

 

緑間に調子を尋ねた高尾。一見順調そうだが、緑間はすぐに対応されると踏む。

 

「タイムアウト終了後、黄瀬に対し楔を打ち込む。こっちも仕掛けるのだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

タイムアウト終了のブザーが鳴り、両校の選手達がコートに戻って来る。両校共に選手交代はなし。

 

「よし、1本、行きましょう!」

 

審判からボールを受け取った氏原がスローワーとなり、小牧にボールを渡し、試合が再開される。

 

「海さん!」

 

再会早々、小牧はローポストに立つ三枝にパスを出す。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ボールを受けた三枝がポストアップで押し込み始める。

 

「(来た!)」

 

ボールを持った三枝の背中に立った戸塚。腰を落とし、歯を食いしばって全力で三枝の侵入を阻む。

 

「(押し込めんようになった。…なるほど、覚悟の出来たこの面構え、パワーだけでは倒すのは難儀じゃのう。ならば!)」

 

ゴール下まで押し込む事を諦めた三枝はボールを掴んでロールしながら戸塚の背後に回り込み、シュート体勢に入る。

 

「打たすか!」

 

これを見て戸塚がブロックに飛ぶ。

 

「っ!?」

 

しかしこれはフェイク。三枝はボールをリフトさせただけで、飛んではいなかった。

 

 

――バス!!!

 

 

再度逆方向にロールして戸塚をかわした三枝はそのまま得点を決めた。

 

 

秀徳 13

海常 10

 

 

「くそっ!」

 

監督の中谷やチームメイトに三枝のマークを託されたにも関わらず、止められなかった事に悔しがる戸塚。

 

「気にすんな! 1本、取り返すぞ!」

 

ボールを受け取った高尾が戸塚を励ましながらボールを運ぶ。

 

「(身体能力なら俺の方が上。落ち着いて相手の動きを予測出来れば、止められる!)」

 

フロントコートまでボールを進めた高尾のディフェンスに入る小牧。

 

「ここまで良い様にやられたッスから、これ以上はやらせないッスよ」

 

緑間のマークに付く黄瀬。

 

「…」

 

スリーポイントラインから2メートル離れた位置で足を止めてゲームメイクをする高尾。海常は各々がマンツーマンでマークに付き、しっかりパスコースを塞いでいる。

 

「…」

 

黄瀬も緑間にボールを掴ますまいとピッタリ張り付くようにマークする。

 

「…」

 

足を止めて数秒が経過したその時!

 

「…っ!」

 

突如、緑間が動く。ボールを運ぶ高尾の下へ駆け寄る。

 

「(自らボールを貰いに行くつもりッスか!?)…させないッスよ!」

 

当然、黄瀬もすぐさま緑間を追いかける。

 

高尾の後ろを通り過ぎる緑間。すれ違い様に高尾は後ろにトスするようにボールを放る。放られたボールを受け取った緑間は…。

 

「…なっ!?」

 

次の行動に黄瀬が思わず声を上げる。ボールを受け取るや否や、緑間はシュート体勢に入ったのだ。

 

「…くっ!」

 

すかさずブロックに飛ぶ黄瀬だったが、高尾や小牧が障害となりブロックに遅れ、間に合わず。

 

「(この距離で、しかもあんな身体も泳いでリズムもバラバラの状態で…、いくら緑間っちでも!?)」

 

スリーポイントラインからはかなり離れている上、ボールを掴んですぐにシュート体勢に入った為、シュートフォームもリズムも大きく乱れた状態でのスリー。決められる訳がないと振り返る黄瀬。

 

 

――ガン!!!

 

 

予測通り、ボールはリングに弾かれた。

 

「ふん!」

 

リバウンドボールを三枝が抑え、秀徳のオフェンスは失敗に終わる。

 

『緑間がスリーを外した!?』

 

『いやさすがにあれは無茶だろ!』

 

「…」

 

当の本人は気にする素振りは見せず、眼鏡のブリッジを押しながらディフェンスへと戻っていく。

 

「(今日の緑間っちは訳分かんないッスよ。普段ならこんな序盤であんな無茶なタフショットは絶対に打たない。…それとも、今のを決められる自信があったって事っスか?)」

 

あまりに黄瀬の知る緑間とはかけ離れたプレーをされ、混乱する。

 

 

「ミドリン…、何であんな無茶なスリー打ったんだろう。まだ序盤で秀徳がリードしてるのに…」

 

桃井も緑間の行動が理解する事が出来なかった。

 

「…」

 

青峰はそんな緑間を無言で見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ターンオーバーからのオフェンスを海常が再び三枝が決め、成功させる。続く、秀徳のオフェンス…。

 

「頼むぜ!」

 

再び、ハンドラーの高尾に向かって緑間が自らボールを貰いに走る。

 

「(…っ、ハーフコートで緑間っちに時間を与えたらダメだ!)」

 

僅かにでも間を与えてしまえば緑間のクイックリリースでスリーを打って来る。その為、黄瀬はボールを掴んだ緑間に対してすぐさまチェックに入る。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

シュートフェイクを入れた後、緑間はカットイン。僅かにフェイクにかかった黄瀬を抜きさる。

 

「させんぞ!」

 

カットインした緑間に対してヘルプに飛び出す三枝。

 

 

――バス!!!

 

 

緑間はボールを掴み、左手に持ち替え、ベビーフックで得点を決めた。

 

 

秀徳 15

海常 12

 

 

「…っ」

 

再び緑間に決められ、歯を食い縛る黄瀬。

 

 

「ミドリン、あんなのまで。また中でのパターンが増えてる…」

 

かつては打たなかったベビーフック。緑間の中でのバリエーションが増えた事に驚く桃井。

 

「…そういう事か」

 

「…えっ?」

 

突如、青峰が口を開く。

 

「あの緑間が何で無茶なスリーを打ったか…、黄瀬に自分のスリーをより意識させる為だ」

 

青峰が解説をする。

 

「緑間は入る見込みねえスリーは基本打たねえ。高校最初の夏に火神に負けてから多少考えは変わったみたいだが、試合終盤で余程追い詰められた状況じゃない限り緑間は確率の低いスリーは打たねえ」

 

「…」

 

「黄瀬も同じ認識をしていた。だが、緑間が無茶なスリーを打った事でその認識に揺らぎが生じた。今日の緑間は僅かでも間があれば確率が低くともスリーを打ってくるってな」

 

「でも、確率が低いならきーちゃんは無理してブロックに行く必要ないんじゃない? リバウンドだって、海常が有利なんだから」

 

桃井のもっともな指摘。

 

「そこらのシューターならそれでもいいかもしれねえが、打つのはあの緑間だ。確率は低いと言ってもそれなりの確率で沈めてくる」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

コート上で緑間がタフショットでのスリーを決めた。

 

「そうなると黄瀬は嫌でも緑間がボールを持てばスリーを意識させられる。なんせ今の緑間はかつての高弾道スリーじゃなくてクイックリリースで打って来るからな。間が空くと打たれかねねえから常に後手に回される事になる」

 

「なるほど…、あのミドリンが外れる事を覚悟してスリーを打つなんて…」

 

かつての緑間を知る者ならまず信じられない選択である。

 

「こうなると緑間の独壇場だ。後手に回されて勝てる相手じゃねえからな」

 

青峰はそう結論付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

試合は緑間が起点となって試合を進めた。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

だが、海常もやられっぱなしではなく、三枝がインサイドを支配し、得点を重ねた。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

こうして、第1Q、最初の10分が終了した。

 

 

第1Q終了

 

 

秀徳 24

海常 18

 

 

インターバルとなり、両校の選手達がベンチへと戻っていく。

 

海常ベンチ…。

 

「…っ」

 

黄瀬が悔しそうにベンチに腰掛ける。ここまで緑間に良い様にやられているからだ。

 

「さすがは秀徳と言った所か。緑間には驚いたが、予測の範囲内だ」

 

選手達の前に立った武内が選手達に声をかける。

 

「三枝の活躍で充分に中に意識を向けられた。ならば外だ。氏原はもちろん、小牧も――」

 

武内が選手達に指示を飛ばしていく。

 

「(…青峰っちが夏に言っていた意味が良く理解出来たッス)」

 

『黄瀬と緑間。どっちがやり辛いかと言われれば緑間だ』

 

夏に誠凛対秀徳戦を観戦した時に青峰が言った言葉だ。

 

「(こだわりや執着を捨てた緑間っちがここまでとは。…けど、負けないッスよ。これが最後のなんだ。絶対に負けない!)」

 

タオルを被った黄瀬。その中で瞳をギラ付かせたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

秀徳ベンチ…。

 

「ふむ、やはり一筋縄では行かないねえ」

 

選手達の前に立った中谷が顎に手を当てながら呟く。

 

「すいません…!」

 

責任を感じた戸塚が謝る。

 

「戸塚が責任を感じる事はない。三枝海。彼は良い選手だ。恐らく、大坪や支倉でも手に余る相手だ」

 

そんな戸塚を中谷が励ます。

 

「…とは言え、相手の切り札の事を考えると、ここいらで少し突き放したい所だね。さて…」

 

黄瀬のパーフェクトコピーがある海常にとって、6点差などあってないような点差である。

 

「監督。第2Q、あれで行かせて下さい」

 

緑間がそう提案する。

 

「あれか…」

 

その提案を聞き、中谷が思案する。

 

「練習試合や紅白戦で試したあれか。…けど、まだ第2Qだぜ?」

 

仕掛けるにはまだ早いのではと高尾が疑問視する。

 

「先の事を考えれば黄瀬のパーフェクトコピーをなるべく使わせる必要がある。となれば、あれしかない」

 

完全無欠の黄瀬のパーフェクトコピー。極力使わせて使用時間を消耗させるか、使われても持ちこたえられるだけの点差を付ける必要がある秀徳。その一手をここで切るべきと緑間が推す。

 

「…うん。良いだろう。許可しよう」

 

暫し考えた結果、中谷は了承した。

 

「第2Qはあれで行く。…とは言え、あれは緑間に大きく負担をかける。高尾がしっかりフォローしろ」

 

「任せて下さい!」

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここでインターバル終了のブザーが鳴る。

 

「よし、行って来い!」

 

『はい!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

両校の選手達がコートへと戻って来る。両校共に選手交代はなし。試合は秀徳ボールで再開される。

 

「(まずは落ち着くんだ。例え緑間っちが何をしてきても冷静に――)…えっ?」

 

再開される試合。直後、黄瀬が自分の目に飛び込んで来た光景に思わず声を上げてしまう。

 

『なっ…』

 

『なにぃぃぃぃぃぃっ!!!』

 

それは観客も同様であった。

 

 

「これはさすがに俺も驚いた。今日の緑間は、ホント何してくるか分かんねえな…」

 

青峰もその光景に苦笑する。

 

 

コート及び会場の観客がその目を疑った光景、それは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――緑間がボールは運び、ポイントガードをしている姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、1本行くのだよ」

 

人差し指を1本立てながら緑間が静かに言ったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





だんだん魔改造が進む緑間。方向性間違えると深淵となるので気を遣いますが、少し楽しくなってきた…(^-^)

やれる事を増やす方向で緑間を進化させています。その方が緑間的にも先の事を考えれば有益そうですし…(>_<)

やはり、悩むのは試合展開と結末。さてさて、どうしようかorz

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。