黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

暑くなったり寒くなったり、天候バグってんな…((+_+))

それではどうぞ!



第193Q~ミスマッチ~

 

 

 

1戦目、2戦目に続き、第3戦目…。

 

海常高校対陽泉高校。共にキセキの世代を擁するチームの激突は、延長戦にまでもつれ込んだ末、海常高校が勝利を掴み取った。

 

激闘を終えた両校の選手達は、ベンチの荷物をを早々に片付け、コートを離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「いやー、ホントに申し訳ないッス」

 

コートから去る海常の選手達。その中で黄瀬は、肩を借りて歩いている。延長戦での紫原との激突に全てを出し切った結果、自分の足だけでは歩けない程、疲弊していのだ。

 

「ハッハッハッ! 気にするな!」

 

申し訳なそうにする黄瀬に対し、肩を貸す三枝は豪快に笑った。

 

「いや海さんだって疲れてるんですから、俺達に任せて下さいよ」

 

「そうですよ!」

 

そんな三枝を心配するのは小牧と末広。三枝とて丸々1試合、紫原をマークし、疲弊具合は黄瀬に匹敵する程のはずであるからだ。

 

「ええからワシに任せい! お前達が戦ってる間、じっくり休んでおったらからのう。このくらいの事はさせい」

 

しかし、三枝は最後までコートに立つ事が出来なかった事に不甲斐なさを感じており、2人の気遣いを断った。

 

「――ハッ! 情けねえ姿だな。…リョータ」

 

道中、第4試合に備えて待っていた鳳舞の選手達…、その中の灰崎祥吾が横を通り抜けようとした黄瀬に話しかける。

 

「延長までアツシとご苦労なこった。そんな様で、明日()れんのかぁ?」

 

ニヤニヤと笑いながら続ける灰崎。

 

「…」

 

立ち止まる黄瀬。

 

「…あぁ、ショーゴ君ッスか」

 

ここで初めて灰崎の姿に気付いた黄瀬。

 

「試合前に何か用ッスか? 悪いけど、こっちはヘトヘトだから、話は今度にしてほしいんスけど」

 

溜め息交じりに返事をし、再び歩き始める黄瀬。

 

「ハッ! 随分行儀よくなっちまったなぁ。前みたいにちったぁ噛み付いて来いよ。それとも、柄にもなくキャプテンなんざやって噛み付く歯ごと全部抜けちまったか?」

 

尚も挑発を続ける灰崎。

 

「確か、灰崎じゃったか? 中学時代のお友達みたいじゃが、今は勘弁せえ」

 

そんな2人に、三枝が割り込む。

 

「あれだけの試合の後じゃ。こっちは明日の誠凛(・・・・・)との試合に備えて身体を休めなければならんのでのう」

 

「……あっ?」

 

眉を吊り上げて振り返る灰崎。三枝はそれだけ告げ、その場を後にしていった。

 

「…クソが。調子に乗りやがって…!」

 

黄瀬の反応と三枝の言葉に灰崎は苛立つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

両チームがベンチに入り、スタメンに選ばれた各5名の選手達がコート中央へとやってきた。

 

 

誠凛高校スターティングメンバー

 

 

4番PF:火神大我  194㎝

 

9番PG:新海輝靖  183㎝

 

10番SG:朝日奈大悟 185㎝

 

11番SF:池永良雄  193㎝

 

12番 C:田仲潤   192㎝

 

 

鳳舞高校スターティングメンバー

 

 

4番PF:大城義光 188㎝

 

5番 C:鳴海大介 197㎝

 

6番SF:灰崎祥吾 191㎝

 

8番PG:三浦祐二 174㎝

 

9番SG:東雲颯  171㎝

 

 

「これより、誠凛高校対鳳舞高校の試合を始めます。礼!」

 

『よろしくお願いします!!!』

 

「よろしく頼む」

 

「応! こちらこそ」

 

両チームの主将である、火神と大城が握手を交わす。

 

「よう、テツヤはベンチかよ」

 

そこへ、灰崎が現れ、尋ねた。

 

「…ああ。ヤバくなったら出て来る、かもな」

 

灰崎に嫌悪感を覚えている火神は、表情には出さないが、皮肉を交えて答えた。

 

「…ちっ、どいつもこいつも舐めやがって。いいぜ、すぐに引きずり出して、テツヤ共々潰してやるよ」

 

火神の答えに軽く不機嫌になるも、そう返し、その場を離れていった。

 

「…」

 

そんな灰崎を、火神は表情はそのまま、一瞥をくれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

センターサークル内にジャンパーの田仲、鳴海を残し、他の選手達はその周囲に散らばった。

 

「…」

 

「…」

 

腰を落とし、ジャンプボールに備える田仲と鳴海。

 

「…」

 

ジャンパーの双方を視線を往復し、2人の間でボールを構える審判。そしてボールは高々と上げられた。

 

 

――ティップオフ!!!

 

 

「「…っ!」」

 

同時にボールに飛び付く2人。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「…くっ」

 

先にボールを叩いた鳴海がジャンプボールを制した。

 

「よし、1本、行きましょう!」

 

ボールを三浦が拾い、鳳舞ボールで試合は始まった。

 

「…」

 

立ち上がり、ゆっくりとボールを運ぶ三浦。

 

「…」

 

目の前には新海。

 

東雲には朝日奈、大城には池永、鳴海には田仲。

 

「…」

 

「…」

 

そして、灰崎には火神と、誠凛はマンツーマンでディフェンスに臨んだ。

 

「(…新海)」

 

目の前の相手、新海。中学時代に全中で対戦した事のある相手。その折、屈辱的な負け方をした事もあり、三浦にとっては因縁のある相手。

 

「(全中の借りを返したい気持ちはある。…だが!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

意を決して仕掛ける三浦。

 

「止める!」

 

これに遅れずに付いていく新海。

 

 

――キュッキュッ!!!

 

 

「っ!?」

 

「(それはこの試合に勝って返す!)」

 

直後、三浦は急停止、すかさず頭上から中へとボールを通す。

 

「ナイスパス!」

 

ボールはローポストに立つ鳴海へと渡った。

 

 

――ガシィィィッ!!!

 

 

ボールを掴んだ鳴海は後ろに立つ田仲に背中をぶつけながらドリブルを始めた。

 

「…っ!」

 

腰を落とし、歯を食い縛って鳴海のポストアップに耐える田仲。

 

「おらぁ!!!」

 

 

――バス!!!

 

 

強引に押し込んだ後、右手でボールを掴み、フックシュートを決めた。

 

 

誠凛 0

鳳舞 2

 

 

「っしゃぁっ!!!」

 

得点を決めた鳴海は拳を握りながら喜びの声を上げた。

 

「今日は勝たせてもらうぜ…(ボソリ)」

 

ディフェンスへと戻る直前、三浦は新海にだけ聞こえるような声で告げる。

 

「…」

 

新海は何も返さず、ただディフェンスに戻る三浦を見送った。

 

 

「(最初のオフェンスは、灰崎君ではなく、鳴海君で来た…)」

 

顎に手を当てながら思案するリコ。

 

「(予想通り、真正面からは来ないわね)」

 

視線を相手チームのベンチの織田に向けた。

 

「…ん? あはっ♪」

 

リコの視線に気付いた織田はにこやかにリコに手を振った。

 

「…っ、ホント、食えない人だわ」

 

その行動に戸惑うリコ。ここで、試合前に父である景虎の言葉を思い出す。

 

『気を付けろ、織田の爺さんはな、普段は飄々とした調子のいい爺様だが、対戦相手となると、恐ろしく性格悪くてやり辛いクソジジイだからな』

 

かつて、彼の下でバスケをした事がある景虎の言葉。

 

「(望む所だわ。相手が名伯楽だろうと、受けて立つわ)」

 

コートの外でも、監督同士、火花を散らすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

代わって誠凛のオフェンス。

 

「…」

 

司令塔である新海がボールを運ぶ。

 

「…」

 

その新海の目の前に立つのは三浦。

 

鳳舞もマンツーマンでディフェンスに入り、それぞれのマッチアップも、先程の誠凛のマッチアップ相手がそっくりそのまま入れ替わる形となった。

 

「(…来い!)」

 

腰を落とし、集中を高めながら新海の動きを注視する三浦。

 

「…」

 

 

――ピッ!!!

 

 

ゆっくりとボールを運んでいた新海が突如動く。

 

「っ!?」

 

矢のようなパスを放ち、三浦の顔面横スレスレを通し、ローポストの田仲にパスを出す。

 

「おっしゃ来い!!!」

 

背中に張り付くように立つ鳴海が威嚇するように声を上げる。

 

 

――ボムッ!!!

 

 

しかし、田仲は仕掛けず、ボールを左方向へと弾むようにパスを出す。

 

「おっしゃ、ナイスパース!」

 

そこへ走り込んだのは池永。左アウトサイド、スリーポイントラインの外側でボールを受ける。そして、すぐさまシュート体勢に入る。

 

「なに!?」

 

スリーを放った池永。すかさずブロックに飛んだ大城だったが間に合わず。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールはリングに潜り抜けた。

 

 

誠凛 3

鳳舞 2

 

 

「…ちっ、あいつ、外もあるのか」

 

みすみすスリーを打たせ、決めさせてしまった大城が思わず舌打ちをする。

 

「ナイス判断じゃねえか」

 

「お前こそ、練習後の秘密特訓の成果が出たな」

 

不敵に笑いながら告げる池永に対し、淡々と新海は返した。

 

「は、はぁ!? 俺はただ、練習だけじゃ物足りねえからやってただけだよ」

 

焦りながら言い訳する池永。

 

「そうか。良い所にポジション取ればパスを出す。また昔みたいに悪い癖を出すなよ」

 

「うっせ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

試合が始まり、両チーム、得点に成功する。その後も両チーム攻め立てていくのだが…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「…くっ!」

 

ローポストで新海が三浦を背中で背負う形でボールを受け、ポストアップで攻め立てる。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

再度背中をぶつけると、三浦は僅かにバランスを崩す。これを見て即座に新海がシュート体勢に入る。

 

「野郎、打たせるか!」

 

ゴール下にいた鳴海がヘルプに飛び出す。

 

 

――スッ…。

 

 

鳴海がヘルプに来たのを確認した新海はジャンプシュートを中断し、パスに切り替える。

 

「あっ!?」

 

鳴海が目を見開きながら声を上げる。ボールはゴール下でフリーになった田仲の下に。

 

 

――バス!!!

 

 

フリーでボールを受けた田仲が確実にゴール下を沈めた。

 

「ナイスパス」

 

「ああ」

 

田仲と新海がハイタッチを交わす。

 

「くっそ…!」

 

プルプルと悔しがる鳴海。

 

 

続く鳳舞のオフェンス。三浦がボールを運ぶ。

 

「(灰崎さんは……ダメか)」

 

チラリと灰崎に視線を向けると、火神が灰崎へのパスコースを塞ぐようにマークしていた。

 

「(なら…)…颯!」

 

ならばと三浦は左アウトサイドの東雲にパスを出す。

 

「よし、らぁっ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ボールを受けた東雲は、目の前の朝日奈相手に早々に仕掛ける。

 

「(来た、速い!)」

 

スピードを自慢としている東雲のドライブ。朝日奈はその速さを感じながらも追走する。

 

「(デカい図体なのに付いて来るか。さすが天下の誠凛のスタメン。だけど…!)」

 

 

――スッ…。

 

 

「こっからが俺の本領だ!」

 

仕掛けた直後にボールを掴んだ東雲はターンアラウンドで反転し、その後、後ろに飛びながらシュート体勢に入った。

 

「(確かに、スピードだけは大したものだ。だけど…)」

 

 

――チッ…。

 

 

「技のキレなら池永、それこそ火神先輩と比べれば、大した事無い!」

 

「っ!?」

 

ブロックに飛んだ朝日奈の指先にボールが掠める。

 

「リバウンド!」

 

外れる事を見越した朝日奈が叫ぶ。同時にゴール下敵味方の選手が集まる。

 

「(っ!? こいつ…!)」

 

絶好のポジションを取りに行った鳴海だったが、田仲がスクリーンアウトで鳴海を抑え込み、強引にポジションを掴み取る。

 

「…んが!」

 

池永もリバウンド争いに参加するも、大城に抑え込まれてしまう。

 

「(ったく、スクリーンアウトは相変わらずか…)」

 

あっさりポジションを取られた池永に呆れる新海。

 

 

――ガン!!!

 

 

ボールがリングに弾かれる。

 

『…っ!』

 

弾かれたボールに一斉に飛び付く。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

リバウンドを制したのは…。

 

「おっしゃ!」

 

外からボールに飛び付いた火神だった。

 

「よし、速攻!」

 

リバウンドを抑えた火神は新海にパスを出し、そのままオフェンスへと走った。

 

「灰崎! お前もリバウンドに参加しろよ!」

 

リバウンド争いに参加しなかった灰崎に文句を言う鳴海。

 

「はぁ? なんで俺がそんな事しなきゃならねえんだよ。…つか、そんな雑魚に抑え込まれたてめえが言うな」

 

当の灰崎は気にする素振りを見せず、どうでもいい、とでも言うような表情で返す。

 

 

「行かせないぜ」

 

「…っと」

 

速攻をかけた新海だったが、三浦がスリーポイントライン手前で追いつき、回り込むと、新海は足を止める。

 

「…」

 

足を止め、ゲームメイクを始める新海。足を止めてる間に鳳舞の選手達もディフェンスに戻る。

 

 

――ピッ!

 

 

ここで新海がパスを出す。

 

「っし」

 

ボールはハイポストに立った朝日奈に。

 

 

――ガシィィィッ!!!

 

 

背中に東雲を背負う形でボールを受けた朝日奈は、ポストアップで中へと押し込み始める。

 

「…くっ!」

 

身長差約15㎝。元パワーフォワードでもある朝日奈のポストアップに苦悶の表情を浮かべる東雲。必死に耐えているが、みるみる押し込まれていく。

 

「…ちっ」

 

見かねた大城がヘルプに向かう。

 

 

――スッ…。

 

 

ここで朝日奈はボールを掴んでターンアラウンドで反転し、シュート体勢に入る。

 

「「っ!?」」

 

これを見て、東雲と大城がブロックに飛ぶ。朝日奈は2人のブロックを避けるようにフェイダウェイ、後ろに飛びながらボールをリリースした。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールはリングを潜り抜けた。

 

「よし!」

 

シュートを決めた朝日奈は拳を握りながら喜びを露にする。

 

「いいぞ、良く決めた!」

 

そんな朝日奈を火神が尻を叩きながら労う。

 

「あざす!」

 

そんな火神の言葉に応え、朝日奈はディフェンスに戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

試合は、誠凛ペースで進む。誠凛のガードの2人がミスマッチを突きながら得点を重ねる。

 

「(うーん、誠凛(向こう)は火神君ではなく、ガードの2人にボールを集めてるね~)」

 

鳳舞ベンチの織田が顎に手を当てながら思案する。

 

「(ガード陣のポストアップは去年にはなかったパターンだね)」

 

去年、ポイントガードをしていた伊月は鷲の目(イーグル・アイ)を生かしたパス回しの特化の選手。シューティングガードの日向はスリーが中心の選手であった。

 

「(夏の時と比べて、オフェンスのパターンも増えてる。さすがリコちゃんに景虎君だ)」

 

ここまでのチームを作り上げたリコと景虎に賛辞の言葉を贈る織田。

 

「(…なるほど、灰崎君のスキルを恐れて、序盤は火神君は灰崎君のマークに専念か。うんうん。そうだよね)」

 

灰崎の得意とする強奪(スナッチ)。相手の技を真似、その際にリズムやテンポを我流に変え、それを見せられたその技本来の持ち主に技を使えなくさせる技。

 

「(灰崎君は……ちょっと今の展開にイライラしてるね~。けど、ごめんね~。彼にはもうちょっと我慢してもらおうかな~)」

 

現状、灰崎はボールをほぼほぼ持たせてもらえず、目に見えてイラついた様相を見せている。

 

「(序盤からあまり離され過ぎるのもいただけないね~。…うん、少し相手を困らせようか…)…外園く~ん。すぐ試合出れる~?」

 

「もう出番!? いつでも出られるように準備は出来てます!」

 

指名を受けた外園が元気よく返事をする。

 

「おっ、えらいねー。それじゃ、行こうかー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『アウトオブバウンズ、鳳舞()

 

「くそっ!」

 

パスカットした池永だったが、ボールがラインを割り、悔しがる。

 

 

『ビビーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

「メンバーチェンジ! 鳳舞()!!!」

 

ここで、鳳舞の選手交代がコールされる。

 

 

OUT 東雲

 

IN  外園

 

 

「頼む!」

 

「応! 任せろ!」

 

ハイタッチを交わし、コートを出る東雲と、コート入りする外園。

 

「(外園君、シューターを入れて来た。外から攻めるつもり?)」

 

外から中へと切り込む東雲から、外からスリーを決める外園に交代させた鳳舞。外園は集まった選手達に何やら指示を出している。

 

「(…どんな狙いがあるにしろ、今は現状維持ね。マークは引き続き、朝日奈君に任せるわ)」

 

リコが朝日奈に視線を向け、目が合うと、リコは頷く。

 

「(…コクリ)」

 

その意図に気付いた朝日奈も同じように頷いた。

 

 

鳳舞のオフェンス。

 

「(…来た!)」

 

ボールを運ぶ三浦。すると、大城が朝日奈にスクリーンをかけ、外園がフリーとなるべく、動く。

 

「スイッチ!」

 

「おらぁ、任せろ!」

 

スクリーンに捕まった朝日奈が指示を出し、池永が外園のマークに向かう。

 

 

――ピッ!

 

 

三浦がパスを出す。

 

『っ!?』

 

ボールはスクリーンを使ってフリーとなった外園…ではなく、スクリーンと同時に中へと走り込んだ大城。

 

「(ピック&ロールか!?)」

 

まさかの選択に目を見開く新海。

 

ハイポスト付近でボールを掴む大城がシュート体勢に入る。

 

「…くっ!」

 

これを見て田仲がヘルプに向かうが、完全に後手。

 

 

――ボムッ!!!

 

 

田仲がヘルプに来ると、大城はシュートを中断。ボールを弾ませるようにさらに中へとパスを出す。

 

「ナイスパース!!!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

ゴール下でフリーでボールを掴んだ鳴海がそこからボースハンドダンクを叩き込んだ。

 

 

『おぉぉぉぉー--っ!!!』

 

豪快なダンクに観客が沸き上がる。

 

 

続く、誠凛のオフェンス。

 

「っ!?」

 

ハイポストでボールを掴んだ朝日奈。これまで通り、ポストアップで押し込もうとした時、交代で入った外園だけでなく、大城と鳴海もディフェンスに入った。

 

「トリプルチーム!?」

 

これにはリコも驚く。

 

「…くっ!」

 

外園だけでなく、自分より大きな選手2人に囲まれ、ボールキープに必死になる朝日奈。

 

「いったん戻せ!」

 

見かねた新海が近付きながら声を出し、声のした方向へ朝日奈が何とか強引にパスを出す。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「っ!?」

 

しかし、そのパスは三浦によってスティールされてしまう。

 

「戻れ、ディフェンスだ!」

 

慌てて声を張り上げ、ディフェンスに戻る新海と誠凛の選手達。何とか速攻に走る三浦を捉え、足を止めさせ、ディフェンス体系を整えるが…。

 

「(…また!?)」

 

再び、大城が朝日奈にスクリーンをかけ、外園がフリーのポジションへと動く。

 

「またかよ!」

 

悪態を吐きながら池永が外園を追いかける。

 

 

――ピッ!

 

 

しかし、ボールは外園ではなく、再び大城の下へと出された。

 

「っ!?」

 

中でボールを掴んだ大城。田仲がヘルプに出るか迷う。行けば鳴海をフリーにしてしまうからだ。

 

「任せろ!」

 

ここで新海が大城へのヘルプに向かう。

 

 

「あーあ、完全に後手後手だな」

 

観客席の空が呟く。

 

 

――ピッ!

 

 

大城がパスを出す。ボールはフリースローライン付近の三浦の下に。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールを受け取った三浦は即座にジャンプシュートを放ち、決めた。

 

「よーし!」

 

得点を決めた三浦がガッツポーズ。

 

「…くそっ」

 

悔しがりながらスローワーとなった田仲がボールを掴んでリング下のエンドラインの外側に立つ。その時!

 

「っ!?」

 

鳴海が田仲の前に両手を上げて立ちはだかった。同時に、他の選手達がそれぞれ、誠凛の選手達をマークする。

 

 

『おいおい、ここでオールコートマンツーマンかよ!?』

 

鳳舞のこの選択に、思わず観客が声を上げる。

 

 

「(選手達が浮足立ってるこの状況で…っ!? まさか、これも指示!?)」

 

ここでリコは、外園がコートに入った際、何やら鳳舞の選手達を集めて指示を出していた事を思い出す。

 

「もうすぐ5秒だ。早く出せ!」

 

オーバータイムが近付き、池永が田仲を急かす。

 

「くそっ!」

 

そうなる前に田仲は目の前の鳴海の後ろに僅かに見えた火神にパスを出す。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

しかし、そのパスは大城にカットされてしまう。

 

「あっ!?」

 

「だーくっそ! 打たせねえ!」

 

唖然と声を上げる田仲。池永が慌てて大城の前に立ち塞がる。

 

「…」

 

大城は無理に打たず、ボールを三浦に渡した。三浦は、ボールをその場でキープしながらゲームメイクを始めた。

 

 

「誠凛ペースから一転、鳳舞に傾き始めましたね」

 

試合を見守っていた大地がボソリと呟く。

 

「…織田さんの本領発揮か。今年の夏にインターハイを制したと言っても、火神以外はまだ2年生。しかも、去年の冬は全国に出られなかった上に2年生は全員が控えだった。誠凛が高さのミスマッチを突いたなら、織田さんはキャリアのミスマッチを突いて来た」

 

一転した試合展開に、上杉が解説する。

 

「…完全に浮足立ってんな。この程度の奇策で情けねえな」

 

「お前が言うなや」

 

叱責の言葉をかける空に、天野がツッコんだ。

 

 

「監督、このままだとまずいんじゃ!?」

 

試合展開に焦った降旗がリコに提案する。

 

「…」

 

暫し、思案したリコ。そして立ち上がる。

 

 

――ガシィィィッ!!!

 

 

コート上では再び大城が朝日奈にスクリーンをかける。

 

「またかよ! いい加減、しつこいんだよ!」

 

文句を言いながら池永が大城のピック&ロールに備える。

 

 

――ピッ!

 

 

三浦からパスが出される。

 

『っ!?』

 

大きく目が見開かれる誠凛の選手達。ボールは、大城ではなく、スクリーンで朝日奈のマークを引き剥がした外園に。

 

「やった、いただき!」

 

フリーでボールを受けた外園が嬉々としてスリーを放った。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

「…えっ!?」

 

誰もがやられた! っと、思ったその時、リリースされたボールは突如、現れた1本の手に叩き落された。

 

「火神!?」

 

思わず鳴海が叫ぶ。ブロックしたのは火神。織田の指示通り、進んでいたはずだったが、それを火神が咄嗟の機転で防いだ。

 

『アウトオブバウンズ、鳳舞()

 

叩かれたボールはそのままラインを割った。

 

「バカ野郎! この程度の事でオタオタしてんじゃねえ! これはウィンターカップの準々決勝だぞ!? これくらい仕掛けてくんのは当たり前だろうが!」

 

浮足立つ誠凛の選手達を見かねた火神が選手達に檄を飛ばす。

 

『…っ』

 

この言葉に、他の4人はバツの悪い表情となる。

 

「何か特別な事をする必要はねえ。練習通り、これまで通りやればいいんだよ。分かったら全員、頭冷やしやがれ」

 

『…』

 

一言目の叱責するような声から一転、諭すような二言目に、4人の2年生達は落ち着きを取り戻した。

 

 

「火神君…」

 

火神の檄に、落ち着くを取り戻した選手達を見て、リコはオフィシャルテーブルに向かうとした足を止め、ベンチへと座った。

 

「あの生意気だった火神君が、少しは主将らしくなったじゃない」

 

精神的にも成長した火神を見て、リコは微笑んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

1度は鳳舞に傾きかけた流れを、火神が咄嗟の機転と檄で引き戻した。試合はそのまま、第1Qまで進んだ。

 

 

第1Q、残り11秒

 

 

誠凛 21

鳳舞 14

 

 

誠凛ボール。新海がボールをキープしている。

 

「…よう、全然ボール回してもらえてねえな」

 

右ウィングの位置でマークをしている火神に話しかける灰崎。

 

キセキの世代(あいつら)に勝ったって言うから、どの程度かと思ったが、俺にビビッて仕掛けてこれねえのか? ハッ! この程度の奴に負けたあいつらもヤキが回ったか?」

 

煽るようにトラッシュトークを仕掛ける灰崎。

 

「…うるせー野郎だ。…新海、寄越せ!」

 

ボソリと返事をした火神は、ボールを要求した。

 

「…えっ!?」

 

これに戸惑う新海。

 

「…火神君?」

 

リコも同様であった。

 

序盤、誠凛は火神以外、新海と朝日奈を中心に攻めるのが試合前に決めた作戦であり、火神は後半戦に備え、灰崎を抑える事と技を盗ませない事に専念していた。

 

「良いから寄越せ!」

 

再度、ボールを要求する火神。

 

「…」

 

ボールをキープする新海は暫し考え、火神にパスを出した。

 

「ようやくやる気になったかよ。サクッと止めてやるよ」

 

ニヤリとさせながらディフェンスに入る灰崎。

 

「そうかよ。やれるもんならやってみろ。…出来るならな!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

仕掛ける火神。

 

「へっ!」

 

これに反応。追走する灰崎。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

フルドライブの後、高速ロールでリングに向かって反転し、そこからボールを左手で掴み、リングに向かって飛んだ。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「…っ」

 

ブロックに飛んだ灰崎だったが、火神は灰崎の上からボールをリングに叩きつけた。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここで、第1Q終了のブザーが鳴った。

 

 

『おぉぉぉぉー--っ!!!』

 

『第1Q最後にエース対決! 火神が制した!』

 

 

「…ちっ」

 

舌打ちをする灰崎。

 

「…」

 

リングから手を放し、着地した火神は、灰崎を一瞥をした後、ベンチへと戻っていった。

 

「(…何処かで見た技かと思ったが、前にリョータとやり合った時に使ってた技に似てんな。なるほど、あの技は火神(こいつ)からコピーしたのか…)」

 

既視感のある火神のムーブ。一昨年のウィンターカップで、黄瀬が使っていた技と記憶が一致した灰崎。

 

「(こいつが本家本元って訳か…)…いいなあ、それ」

 

不敵に笑いながら灰崎は自身の右手の親指をペロッと舐めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「おら、さっさとドリンク寄越せ!」

 

ベンチにドカッと座った灰崎が命令する。

 

「えっらそうに…」

 

そんな灰崎をげんなりした目で睨む鳴海。

 

「みんなお疲れ~。それじゃ、ここからの作戦だけど――」

 

織田が選手達に指示を出そうとしたその時。

 

「…ハッ! いらねえよ、んなの。俺にボール回せ」

 

遮るように灰崎が言葉を挟む。

 

「チマチマ小細工なんざする必要ねえんだよ。俺がさっさと決めてやる」

 

「てめ、また自己中な事言いやがって…!」

 

我が儘な物言いに怒りを露にする鳴海。

 

「あの程度の雑魚共に手こずるてめえらはあてにならねえって言ってんだよ」

 

「相手はあの火神だぞ? お前、やれるのか?」

 

淡々と尋ねる大城。

 

「余裕に決まってんだろ。つうか、あんなただ高く飛べるだけの雑魚にそこまで警戒する神経が俺には理解出来ねえよ」

 

火神を危険視する鳴海と大城を嘲笑う灰崎。

 

「…」

 

顎に手を当てながら思案する織田。

 

「…うん。いいよ。それじゃ、ここからはとりあえず灰崎君に任せようかな」

 

織田は灰崎の言葉に賛同した。

 

「っ!? 良いんですか監督!?」

 

納得出来なかった鳴海が食い下がる。

 

「いいよいいよ。本音はもうちょっと我慢してほしかったけど、思ったより点差付いちゃったし、これ以上ズルズル行かれるより、ここは灰崎君に頼っちゃおうかな」

 

「…分かりました」

 

監督の織田にそう言われてしまい、鳴海は渋々納得した。

 

「…てめえがどんな技を持とうと、全て俺の物だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…火神君」

 

作戦を半ば無視した火神をジト目で睨むリコ。

 

「すんません。やれると思ったんで」

 

火神はその視線を受けながら申し訳なさそうに謝罪した。

 

「…ハァ。まあいいわ」

 

溜息を吐きながらリコはこれ以上、言わなかった。

 

「…なあ、黒子」

 

「なんでしょう?」

 

水分を摂りながら、火神はすぐ近くで立つ黒子に話しかけた。

 

「夏の花月対鳳舞の試合のスコア、覚えてるか?」

 

「? …確か、86対75だったと思います」

 

記憶を辿り、伝える黒子。

 

「……11点差か」

 

ボソリと呟く火神。

 

「監督、ちょっといいスか? 頼みがあるんですけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

始まった第4試合、誠凛対鳳舞の試合。

 

試合は当初、ペースを握ると、鳳舞が選手交代と奇策でペースを奪い、再度、誠凛がペースを握り返した。

 

第1Q終了目前、火神と灰崎がぶつかり、ここは火神が制した。

 

試合は、第2Qへと進んでいくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





実際、灰崎の才能ってどの程度なんだろう?

原作では、高校に進学して真っ先に誠凛に負けて、心を入れ替えた黄瀬を相手に、2年生の全中前にバスケ部を辞め、恐らく、高校1年のウィンターカップ目前まで練習をしなかってであろう灰崎がパーフェクトコピーを使うまで追いつめているので、実力があるのは確かですが、あの時の黄瀬って、オーバーワークで足を怪我してるんですよね。もし、万全だったらどう結果が変わったのか気になりますし、赤司は灰崎に黄瀬の才能には及ばないと断じている。これは灰崎の才能は黄瀬の才能に及ばないと言葉通りの意味なのか、それとも実際才能面は変わらないが、灰崎がガチで努力出来る性格ではないので、それを見越しての言葉だったのか。実際、努力出来るのも才能の1つなので。自分の中で永遠の謎です。ただ、ファンブックでのパラメーターの数値の合計は火神と変わらないですよね…(;^ω^)

恐らく氷室よりは上でしょうが、実際はどうなんでしょうかね。…まあ、もし、灰崎の才能が黄瀬と同等だったなら、赤司以外はお手上げになりそうな気がしますが…(>_<)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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