投稿します!
夏も終わりか…。
それではどうぞ!
時はハーフタイムまで遡る。誠凛の控室。
「第3Q、まず間違いなく、花月のペースになるわ」
『…』
「花月は良くも悪くも神城君の調子やペースに引き摺られる傾向があるわ。その神城君は基本、尻上がりに調子を上げる傾向にある。ここから後半戦、第2Q最後の新海君のスリーもあるから、まず間違いなく、ここからが花月の本領発揮となるわ」
『…』
「第3Qは、如何に花月の猛攻を抑えられるか。これがカギとなるわ」
「んだよ、随分と弱気じゃん」
不満顔の池永。
「私だってこんな事は言いたくないわ。…けど、同じ、2年生主体のオフェンス型チームとは言え、花月と正面からまともにぶつかり合えば、黒子君抜きのウチでは確実には競り負けるわ」
『…っ』
「黒子君は、出来れば第4Q終盤の勝負所…早くとも第4Q頭までは試合に出せないわ。だから…」
ここでリコは視線を火神に向け…。
「火神君。場合によってあなた頼りになってしまうかもしれないわ。その時は、頼むわ」
「うす。任せて下さい」
真剣な表情で返事をする火神。
「…ごめんなさい。火神君1人に負担をかけないようなチーム作りをしてきたつもりだったけど、結局火神君に負担をかけてしまう事になってしまうわ」
申し訳なさそうな表情のリコ。
「大丈夫ッスよ。日向キャプテンだってやってきた事ッスから。それに比べれば、たかだか1試合。余裕ッスよ」
そんなリコに対し、笑顔で返す火神。
「ありがとう。…それと黒子君。
火神に礼の言葉を伝えた後、黒子に向き変えるリコ。
「正直な話、この大会中に完成させる事は出来ないと思っていましたが、準々決勝で、限りなく実力拮抗した相手との試合で観察が出来ましたので、この試合中に間に合うかもしれません」
話を振られた黒子が答える。
「あれって、何の話だ?」
2人の話の内容に聞き覚えがなかった火神が尋ねる。
「兼ねてより、ボクの新しい武器として考えていたものがあるんです。ドリブルやシュートは、気軽に使えるものではなくなってしまったので…」
誠凛高校に入学し、最初の夏の大会で、自身のスタイルの限界を痛感した黒子が、苦心の末に身に着けた、
「んだよ。言ってくれりゃ、協力したのによ」
「さっきも言いましたが、ウィンターカップ中に完成する保証がなかったので、下手に希望を持たせなくなかったのと、変に意識されると、かえって完成が遠のいてしまうので、言えなかったんです」
隠していた事を咎めた火神。黒子は理由を答えた。
「正直、この試合に勝つには、黒子君に頼らざるを得ないわ。もちろん、私も別の対応策を考えるけど、…信じて良いのね?」
「はい。必ず完成させます」
リコの問いに、黒子は力強く答える。
「火神君」
その後、黒子は火神を呼び…。
「必ずボクが何とかして見せますから、それまで頼みます」
「おう、任せろ!」
※ ※ ※
「(情けねえ…!)」
胸中で悔しさを吐露する火神。
「(黒子に頼らなきゃいけないばかりか、その黒子が来るまで、粘る事も出来なかった…!)」
花月の猛攻に晒された第3Q。ミスディレクションの稼働時間から黒子を出せない為、この第3Qは黒子抜きで耐え凌がなければならなかった。だが、第3Q開始早々、あっさり逆転を許したばかりか、僅か10分足らずで20点近くまでリードを許してしまった。
「(黒子に任されたんだ。キャプテンである俺がやれなくてどうすんだ! この試合に勝つ為に、今も黒子が俺達を信じて新技の完成を急いでるんだ。俺がやるんだ!!!)」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
――バシィィィッ!!!
「っ!?」
大地が空のパスの中継を受けてハイポストでボールを掴み、そのままレイアップを狙ったが、飛んで来た火神によってブロックされる。
「(俺が火神さんを引き付けてたのに、それでも間に合っちまうのか!?)」
火神を引きつけつつパスを中継した空。それでもブロックに追い付く火神のディフェンスに驚きを隠せないでいた。
「来い!」
「お、おう!」
着地した火神はすぐさま反転して前線へ走り、鬼気迫る表情でボールを要求。池永は圧倒されながらも火神にパスを出す。ボールを受けた火神はそのままドリブルでワンマン速攻で駆け上がった。
「行かさねえ!」
速攻に走る火神にただ1人追い付いた空が立ち塞がる。
「神城!」
構わず、火神は空に突っ込んで行く。
「(ゾーンに入った火神さんは、目を使わずに止められる相手じゃねえ。試合終盤まで控えるつもりだったが、ここを止めねえと流れを奪われかねねえ!)」
火神の連続ブロックによる得点失敗。その後に連続失点までしては、流れを手放すばかりか、持って行かれる可能性もある。
「…スー…フー」
脱力し、集中力を高める。
――
同時に空だけが、違う時間軸に立つ。
「…」
――スッ…。
「(…っ! 外された!)」
火神はフェイクを駆使して仕掛けるタイミングを外した。空の眼は僅かな時間しか発動出来ない。仕掛けるタイミングとバッチリ合えば如何なる選手であってもボールを奪えるが、タイミングを外されてしまえばその限りではない。
――ダムッ!!!
火神は空を抜きさり、背後へと抜ける。
「だがまだだぜ。まだ2撃目がある!」
空は後方に倒れ込みながらその体勢で手を伸ばし、火神のボールを狙い打つ。
――ダムッ!!!
しかし、即座に火神は切り返し、空の手をかわす。
「ちぃっ!」
バックチップをかわされ、舌打ちが飛び出る空。
「…っ!」
同時に火神がボールを掴み、リングに向かって飛ぶ。
「おぉっ!」
そこへ、大地が現れ、ブロックに飛ぶ。
「神城を抜きさるのに僅かに減速したとは言え、良く追い付いたのだよ。…だが」
――バキャァァァッ!!!
「…ぐっ!」
ブロックなどお構いなしにボールをリングに叩きつけ、大地を吹き飛ばしながらダンクを炸裂させた。
花月 78
誠凛 64
『うぉぉぉぉーーーっ!!! 火神止まらねえ!!!』
『神城と綾瀬を同時に抜いて決めた!!!』
「「…っ」」
本人達は悔しさから思わず歯を食い縛った。
「ゾーンに入った火神は、それこそゾーンに入った者でなければ、ダブルチームでも止められないだろう」
今の火神を見て、赤司がそう断言する。
「火神っちが本気になったみたいッスね」
そこへ、新たな観戦者がやってくる。
「…黄瀬か」
「何でてめえまで来るんだよ…」
明らかに嫌そうな顔をする緑間と青峰。
「何でそんな嫌そうな顔するんスか!? 試合したばっかで疲れてるから、座れるとこ探してたらここしか空いてなかったんスよ!」
紫原も同じくげんなりした表情となり、泣きそうな表情で説明する黄瀬。
「まあいいじゃないか。こうして
赤司が3人を窘める。
「さっすが赤司っち! 分かってるッスね。…あっ、桃っち、横失礼するッス」
黄瀬は赤司に感謝しつつ、空いている桃井の横の席に座った。
「花月が14点リード、とは言え、花月の押せ押せのムード…って訳でもなさそうッスね」
「さっきまではそうだったんだけどね」
「ゾーンに入った火神っちはちょっとの事では止められない。しかも、黒子っちを温存している状態。先行きは不透明。…良いッスね。最後の試合に相応しい展開っス」
タイミング良く試合に間に合い、満足気に笑みを浮かべる黄瀬であった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「…っ」
ボールを運ぶ大地。フロントコートまでボールを運ぶと、誠凛のディフェンスフォーメーションの変化に気付く。
「ゾーンディフェンスですか…」
ボソリと呟く大地。
誠凛が、マンツーマンからゾーンにディフェンスを切り替えたのだ。
「2-3…いや、2-1-2か…」
誠凛の選手達のポジションを見て呟く空。
誠凛は、後方に田仲と池永。前方に新海と朝日奈。中央に火神が陣取っていた。一見すると2-3ゾーンディフェンスに見えるが、新海、朝日奈が前よりに立ち、それに応じて火神も前に陣取っている為、2-1-2のゾーンディフェンスと判断した。
「(スリーを防ぎつつ、火神さんのディフェンスを存分に生かしたディフェンスって訳か…)」
相手の
「(ああも中に陣取られちまったら、姿丸見えの俺じゃ、パスの中継なんざそう出来ねえ。仕方ねえ…)…大地!」
外に展開したまま空がボールを要求。
「任せますよ」
攻めあぐねていた大地はそこへパスを出した。
「…っ!」
空がボールを持った瞬間、新海が距離を詰め、激しくプレッシャーをかけてきた。
「(…っ、最悪、中に切り込まれても構わない、とにかくスリーを阻止か…!)」
新海はフェイスガードでとにかく空にシュート体勢に入らせないよう激しく当たっている。カットインされても中には火神が待ち受けている。今の火神なら例えカットインされても何とかしてくれる。信頼あっての選択だ。
「(俺達じゃ、中で火神さんから点は奪えねえ。ってか? いいぜ、上等だ!)」
――ダムッ!!!
誘いのカットイン。空は敢えて乗り、中に切り込んだ。
「(…っし!)」
同時にシュート体勢に入った。
「おぉっ!」
スリーポイントラインのやや内側でシュート体勢に入った空に対し、火神がすぐさまブロックにやってきた。
「(速い! マジで紫原さん並…いや、それ以上だ。だが、この程度は想定済みだ!)」
――スッ…。
空はシュートを中断、パスに切り替え、ボールを火神の背後に落とす。
「よし!」
そこへ大地が走り込んでボールを受け取り、そのままリングへと突き進み、そのままボールを掴んでリングへと飛ぶ。
「させるか!」
しかし、大地とリングの間に割り込むように火神のブロックが現れる。
『もう追いついた!?』
『ダメだ、鉄壁過ぎる!!!』
「…これを想定済みです!」
大地はダンクを中断。ボールを下へと落とした。
「よっしゃ!」
そこには、今度は空が走り込んでいた。
「おらぁ!」
「っ!?」
空がリングに向かって飛んだ。
「させっかよぉっ!!!」
火神は大地へのブロックに飛んでいて、間に合わない。そこへ、現れたのは、池永だった。
「火神だけで試合してんじゃねえんだよ!!!」
ブロックに現れた池永が空の持つボールに右手を伸ばす。
「…ちっ!」
これを見て空がボールを左手で抑えてダンクを中断。ボールを下げて池永のブロックをかわす。
「っ!?」
再度ボールを掲げ、ダブルクラッチを放った。
――バシィィィッ!!!
「っ!?」
しかし、放ったボールは叩かれてしまう。
「よくやった池永!!!」
ブロックにしたのは火神。タイミング的に間に合わなかったが、池永がブロックに来た事でその時間が稼げたのだ。
「おぉっ!」
――バチィィィッ!!!
「…ちぃっ!」
ルーズボールを田仲が天野から強引に奪い取った。
「ナイスガッツ田仲!」
ディフェンスリバウンドを抑えた田仲に、ベンチから福田がエールを贈る。
「速攻!」
田仲からパスを受けた新海がそのまま速攻に駆け上がる。
「…行かせませんよ」
ワンマン速攻を駆ける新海。大地がスリーポイントラインの手前で捉え、回り込む。
「相変わらず早いな。…だが、関係ない」
そう言って、新海はボールを横へと放る。そこには、火神が走り込んでいた。
「野郎…!」
火神がボールを掴むのと同時に空が火神に追い付き、立ち塞がる。
――スッ…。
右45度付近のスリーポイントラインの外側でボールを受け取った火神。ボールを掴むのと同時にシュート体勢に入った。
「っ!? くそっ!!!」
慌ててブロックに飛ぶ空。
「無駄だ。如何にお前でも届かない」
新海の言葉通り、空の決死のブロックも届かず。火神は空の遙か上でボールをリリース。
「…っ」
振り返る空。
「…」
火神は着地と同時に踵を返し、シュートの結末を見届ける事無くディフェンスに戻っていく。
――ザシュッ!!!
ボールは、リングの中心を的確に射抜いた。
花月 78
誠凛 67
『ここでスリー!!!』
『3連続得点! これは分からねえぞ!』
追い上げを見せる誠凛に観客も大歓声を上げた。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『ビ―――――――――――!!!』
ここで、第3Q終了のブザーが鳴る。
第3Q終了
花月 78
誠凛 67
「よっしゃよっしゃ! 行けるぞ!」
手応えを感じた池永が嬉々としてベンチへと戻っていく。
依然として点差は11点差あるものの、一時は18点もあった点差を2分で7点も詰めた事もあり、誠凛の選手達の表情は明るい。
『…っ』
対して花月の選手達の表情は暗い。安全圏の節目の20点差目前から得点が止まり、逆に点差を詰められたからだ。
花月ベンチ…。
「しんどなってきたな…」
ベンチに座るや否や、ドリンクを口にしながら溜息を吐く天野。
「ツーポイントエリアの中心に陣取った火神さんの威圧感は、紫原さん並だ」
「しかも、2人は積極的に前に出てスリーを阻止して、後ろの2人はインサイドのケアに全力を注いでくる。…厳しいね」
松永と生嶋も、今の状況に厳しさを感じていた。
「いいか――」
選手達の前に立った上杉が指示を出していく。
「…ふぅ」
「…」
空はタオルで汗を拭い、大地は静かに水分補給をしていた。
「神城君、大丈夫?」
そんな2人を心配した姫川が空に声をかける。
「大丈夫…ではないな。見ての通りだよ」
そう答え、横に置いていたドリンクを手に取る。
「相手はキセキの世代を倒した火神さん。キセキの世代より劣るはずがありません。分かっていた事です」
続けて大地。
『ビ―――――――――――!!!』
ここで、インターバル終了のブザーが鳴った。
「…さて、行くか!」
立ち上がった空はタオルとドリンクを姫川に渡した。
「…何か策があるの?」
「ねえよ。つうか、ここまで来たら、がむしゃらにやるしかねえよ」
ぶっきらぼうに姫川の問いに答えていく空。
「神城君…」
投げやりに聞こえる空の言葉だが、姫川はこれ以上、言葉を続ける事が出来なかった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
第4Q、最後の10分が始まる。
――ダムッ!!!
「…っ」
誠凛ボールから試合が再開され、早々に火神にボールが託される。その火神が目の前の大地を抜きさり、カットイン。
「させへん!」
大地が抜かれる事を見越して素早くヘルプに出ていた天野。
「…」
カットイン直後にシュート体勢に入った火神に対し、ブロックに飛んだ。
「っ!?」
しかし、火神は飛ぶ事はおろか、ボールを保持すらしておらず、飛んだ天野をバックロールターンでかわした。
「(フェイクやと!? あかん、キレもテクニックも俺の手に負えん!)」
――バキャァァァッ!!!
そのまま火神はボールをリングに叩きつけた。
花月 78
誠凛 69
「やった、遂に一桁だ!」
「いいぞ火神!」
ベンチの降旗、河原が声を出す。
「…」
花月のオフェンス。空がハンドラーとなり、ボールを運ぶ。
「…っ!」
新海がすぐさま距離を詰め、プレッシャーをかける。
――ピッ!
その前に空は大地にパスを出す。
「おぉっ!」
大地がボールを掴むと、今度は朝日奈が大地に当たるようにプレッシャーをかけにいく。
――ダムッ!!!
激しく当たる朝日奈。大地は仕掛け、朝日奈をかわして中に切り込む。
「…」
中に切り込み、そこで待ち受けるのは火神。
「…行きます」
大地は構わず突き進み、ロッカーモーションで緩急を付けながら火神に仕掛ける。
「…あめーよ」
しかし、火神は大地の仕掛けに崩される事はなく、その動きに付いていく。
――スッ…。
大地はここでボールを後ろへと放る。
「…っ」
これを見て火神は前に出る。スリーポイントラインの僅か内側で、空がボールを掴んだからだ。
――ピッ!
ボールを掴んだ空はすぐさまボールを前方、リング付近にボールを投げるように放る。
『っ!?』
そこには、空にパスを出したのと同時に飛び込んだ大地がいた。
「…ちっ!」
これを見て慌てて反転した火神が大地に迫り、ブロックに飛ぶ。
――バキャァァァッ!!!
大地は火神が来るよりも早く空中で掴んだボールをリングに叩きつけた。
花月 80
誠凛 69
『何だ今のパスワーク!?』
『花月も負けてねえ!!!』
「(…だが、ギリギリだ。あれだけ揺さぶっても紙一重なのか…!)」
冷や汗を掻く松永。
久しぶりに得点した花月。しかし、空と大地が連携で前後に火神を揺さぶったにも関わらず、火神のブロックは紙一重であり、僅かにでも遅かったらブロックされていた。
「ドンマイ、切り替えろ!」
手を叩きながらチームを鼓舞する新海。
誠凛のオフェンス。
「っ!?」
その時、空の目が見開かれる。ボールを運んでいた新海。スリーポイントラインから2mは離れている位置から突如、シュート体勢に入った。
「…ちっ!」
これを見て空がすぐさまチェックに入りブロックに飛ぶ。しかし、新海はそれよりも速くボールをリリースした。
「(あの距離、あんなクイックリリースで入る訳がねえ!)…リバウンド!」
外れると確信した空が声を出す。
――ガン!!!
予想通り、ボールはリングに弾かれる。
「「…っ」」
リバウンドボール目掛け、天野と松永がボールに飛び付く。
――バチィッ!!!
ボールを掴んだのは、2人の遙か上でボールを掴んだ火神だった。
「(っ!? 何て高さだ!?)」
「(あかん、そない上で取られたらチップアウトも出来へんやないか!)」
圧倒的な高さでボールを掴んだ火神に、驚きを隠せない松永と天野。
『…っ』
リバウンドボールを抑えて着地した火神。天野、松永、そして大地がすぐさま火神を包囲にかかる。
「朝日奈!」
火神は右ウィング付近に展開した朝日奈に視線を向ける。
「…っ!」
これを見てすぐさま生嶋が朝日奈のチェックに向かう。
――スッ…。
火神がパスを出す。
『っ!?』
ボールは、朝日奈…にではなく、自身の後方、ゴール下に、右肩越しにノールックでパスを出した。
「ナイスパス!」
――バキャァァァッ!!!
そこにいたのは田仲。ゴール下でボールを受けた田仲はそこからボースハンドダンクを叩き込んだ。
花月 80
誠凛 71
『ここでパスかよ!?』
『今後ろ見てなかったぞ!? 何であんなパスが出せんだよ!?』
司令塔顔負けのナイスパスに観客も大興奮。
「ゾーンに入ってるだけに、視野も相当広がってやがるな」
呟く空。
ゾーンの扉を開いた事で、不必要な情報が遮断されただけではなく、視野も広がっている事を痛感する空であった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
その後も激しい攻防が繰り広げられる。
――ザシュッ!!!
誠凛が火神が中心になって得点を決めると…。
――バス!!!
花月は空と大地が連携を駆使して決め返す。
試合は均衡を保ち、拮抗し始めた…かのように思えた。
――バチィィィッ!!!
「っ!?」
空から大地へのパス。からのアリウープを火神が叩き落した。
「ナイスブロック!」
ルーズボールを田仲が抑えた。
『よーし!!!』
ブロックし、ボールを奪った事に喜びを露にする誠凛の選手達。
「(よし! ルーズボールが私達の下に、流れが向いて来たわね)」
自分達のボールに出来た事に内心でほくそ笑むリコ。
「速攻!」
田仲が前方へ大きな縦パスを出す。そこには既に新海が走っていた。
「行かせるかよ!」
そんな新海をツーポイントラインに入った所で捉え、横に並ぶ空。
――スッ…。
新海は、横に空が並んだのと同時に股下からボールを後ろへと戻す。
「っしゃいただきぃ!」
そこには池永が走り込んでいた。
「…ちっ」
スリーポイントラインの僅か外側でボールを掴んだ池永。スリーを打たせない為、空が舌打ちをしながら距離を詰める。
「何てな」
しかし、池永はスリーを打たず、ボールを弾くようにして前へ飛ばした。
「っ!?」
ボールは空の横を抜けていき、再び新海の下へ。
――バス!!!
新海はそのままレイアップを決めた。
花月 84
誠凛 77
「っしゃぁぁっ!!!」
ハイタッチを交わす新海と池永。
「…あっ!?」
スローワーとなった生嶋がボールを空にパスを出したその時…。
「おぉっ!!!」
「オラオラオラ!!!」
ボールを持った空に対し、新海と池永がダブルチームで当たり始めた。それに応じ、他の誠凛の選手達も動き出す。
『まさか…!』
『ここでオールコートゾーンプレス!?』
これまで花月が仕掛けて来たゾーンプレスを仕掛けた事に驚きの声を上げる観客。
「浮足立っているこの機は逃さないわよ」
ニヤリとするリコ。
「浮足立ってる? 舐めんな!」
――ダムッ!!!
「「…っ」」
しかし、このダブルチームを空は難なく突破。
「今更この程度でオタオタ――」
ダブルチームを突破した瞬間、直後に空の持つボールに朝日奈が手を伸ばす。空がダブルチームを突破する…いや、そもそも、このダブルチームはここに誘導させ、朝日奈にボールを奪わせる為の罠だったのだ。
「行け!」
田仲の願いの籠った声。朝日奈の手がボールに迫る。
「…っ! 見えてんだよ!」
――ピッ!
空はボールを大地のいる横へと放る。
「この程度で周りが見えなくなるほど、熱く――」
――バシィィィッ!!!
大地の手にボールが渡る瞬間、伸びて来た1本の手にボールが奪われた。
「確かに熱くはなってねえ。だが、冷静にもなり切れてねえぜ」
ボールを奪ったのは火神だった。
オールコートゾーンプレスによるダブルチームも、突破した後の朝日奈のアタックも、全ては最後の火神のパスカットの誘導する為の布石だった。
――バキャァァァッ!!!
ボールを奪った火神はそのままリングへと叩き込んだ。
花月 84
誠凛 79
『遂に5点差!』
『スリー2本で逆転だぞ!』
『…っ』
遂に5点差まで詰め寄られ、焦りの色が見えて来た花月の選手達。
「…やべーな」
「…ホントですね」
空の思わずポロっと出た言葉に、反射で返事をする大地。
「ホントに、やべーな…!」
その言葉とは裏腹に、2人の口角は、上がっていた。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「…っ」
スローワーとなった松永の前に、両手を広げて立ち塞がる池永。誠凛は変わらずオールコートゾーンプレスを仕掛けるつもりである。
「はよ出せ! もうすぐ5秒やぞ!」
誰にパスを出すか迷っていた松永に、天野が檄を飛ばす。仕方なく松永は空にパスを出した。
「っしゃぁぁっ!!!」
当然、待ち受けるのは新海と池永のダブルチームである。
「…」
――ダムッ!!!
先程同様、空はダブルチームを難なく突破。
――ダムッ!!!
「っ!?」
ダブルチーム突破の隙を狙い打った朝日奈をクロスオーバーで空はかわす。
――ピッ!
直後に空は、空がゾーンプレスを突破する事を見越してフロントコートに走っていた大地にパスを出した。
「行かせねえぞ」
そこへ、同じくゾーンプレスを突破される事を見越してディフェンスに戻っていた火神が大地に並ぶ。
「(減速しねえ、ダンクか!?)」
――キュッキュッ!!!
フリースローラインを越えた所で大地が踏み切る。
「叩き落して――っ!?」
大地は、リングにではなく、後方へと飛んだ。
「(バカな!? 全速での勢いを、止まる所か、減速すらせずに後ろに飛んだだと!?)」
間違いなく大地は寸前までダンクに行く体勢だった。その為に加速していた。だが、大地は
――ザシュッ!!!
そのまま大地はフェイダウェイシュートを決めた。
花月 86
誠凛 79
「さすが、キセキの世代を全員倒した誠凛…そして火神さんだ。ホントにやべー」
「っ!?」
火神が振り返ると、そこには空がいた。
「そのあらゆる強さ、尊敬の言葉しかありません。私では敵わないかもしれません」
空の横に並んだ大地が続く。
「「それでも勝つのは、俺(私)達だ!」」
「……ったく、ホントに、お前達はよう、楽させてくれねえな」
火神は苦笑したのだった。
――空と大地が、ゾーンの扉を、開いた……。
続く
だいぶ過ごしやすい気候になりましたね…(;^ω^)
クーラーキンキンに効いた部屋でアイスを食べるのも悪くありませんが、やっぱ外に出るのがだるくなるので、秋が1番好きですね。春は花粉症なので…(ノД`)・゜・。
季節の変わり目は体調を崩しやすいのでご注意を…(>_<)
感想アドバイスお待ちしております。
それではまた!