投稿します!
冬が到来しましたね…(^-^)
にしては自分の地域は日中は結構暖かいですが…(´▽`*)
それではどうぞ!
『タイムアップ! 花月高校! ウィンターカップ、優勝!!!』
審判がコールし、長く、熱く、激しかった決勝戦の終わりが告げられた。
「――」
勝敗を決定付けた決勝点を決めた大地が駆けだす。
「――」
決勝点のアシストをした空が駆けだす。
――コート中央で、2人は歓喜の表情で抱き合った。
「「「――っ!!」」」
その直後、同じく歓喜の表情の生嶋、松永、天野が抱き合う2人に飛び付くように抱き合う。
『――っ』
花月ベンチからも選手達が飛び出し、ある者は喜び、ある者は涙を流しながらその5人へと駆け寄った。
――ドォン!!!
轟音と同時にコート上に紙吹雪が、勝者を祝福するかのように舞い散ったのだった…。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
試合終了
花月 115
誠凛 114
「おっしゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」
高く両拳を突き上げる歓喜の空。
「おぉぉぉぉーーーっ!!!」
普段は冷静な大地がガッツポーズを取りながら涙を浮かべながら叫ぶ。
「やったでぇ!!! 優勝やぁ!!!」
天に向かって叫ぶように喜びを露にする天野。
「やった…、やった…!」
涙を流しながら喜びを噛みしめる生嶋。
「俺達は、勝ったんだな…!」
点数が表示されている電光掲示板を見た松永が、改めて勝った事を実感し、拳を握る。
「うぉぉぉぉぉぉっ!!!」
咆哮を上げる菅野。
「…花月に来て…、バスケ部に入って…、良かった…!」
バスケ部に入部してから今日までの事が走馬灯の様に蘇る帆足が、その場で静かに涙を流す。
「優勝だ! 優勝だよ室井!」
「あぁ! 優勝したんだな…!」
室井に抱き着く竜崎。そんな竜崎を抱きしめ返す室井。
「…グスッ! 皆、おめでとう…!」
涙を流しながら選手達を祝福する相川。
「…っ、良くやったぞ、お前達…!」
ベンチにただ1人残った上杉。去年の夏の優勝とは意味が違う今回の優勝。静かに拳を握り、喜びを噛みしめながら選手達を労った。
「勝ったん…だね…」
泣きじゃくる相川の横で、歓喜に沸く選手達を見つめながらボソリと呟く姫川。
「…へへっ!」
そんな姫川の視線に気付いた空が、笑顔で姫川に向けて親指を立てた。
「…っ、バカ…!」
そんな空に思わず悪態を吐く姫川。
「おめでとう…!」
笑みを浮かべると、涙を流しながら選手達を祝福した。
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・・・・・・・
・・・・
対象に誠凛の選手達。
「…っ」
悔しさを噛みしめながら下を向く新海。
「ちくしょう! …ちくしょう…!」
床に両膝を付け、床を叩きながら涙を流す池永。
「…っ!」
その場に立ち尽くし、涙を流す田仲。
「あぁ…あぁ…!」
ベンチに座りながら号泣をする降旗。
「…っ」
降旗の肩に手を乗せて励まそうとする河原だったが、その目からは涙が溢れていた。
「うぐっ! …うぐっ!」
そんな2人を目の前に、福田もまた号泣していた。
「…っ」
タオルを被り、ベンチに座りながら自身の膝を叩く朝日奈。
「…」
コートの方を、茫然としながら見ている夜木。
「…っ」
涙が溢れそうになるリコ。
「…っ!」
それをグッと堪え、顔を上げる。
「下を向かないで、胸を張りなさい」
『…っ』
敗戦を噛みしめ、俯いている選手達に発破をかけるリコ。
「今日勝てなかったのは監督である私の責任。あなた達は決して花月にも劣ってはいなかったわ」
『…』
「決勝に恥じない試合をしたわ。…だから、胸を張りなさい」
必死に涙を堪えて顔を上げるリコ。
『…っ!』
その姿を見て、誠凛の選手達は涙を拭い、顔を上げ、胸を張ったのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「…」
目をきつく瞑り、天を仰ぐ火神。
「……ふぅ」
やがて大きく息を吐き、目を開けた。
「届かなかったな」
「……はい」
歓喜に沸く花月の選手達を見つめていた黒子に声を掛ける。
後1点…、僅か指先数㎜。その差が、勝者と敗者の命運を分けた。
「整列だ。胸張って行こうぜ。俺達は、全力で戦ったんだからな」
「…はい!」
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・・・・・・・
・・・・
『115対114で、花月高校の勝ち。礼!』
『ありがとうございました!!!』
センターサークル内に集まり、審判の号令を合図に、互いに礼をする。
「…ふぅ、強かったぜ。完敗だ」
空に歩み寄った火神が笑顔で声を掛ける。
「紙一重ですよ。ただ今日だけは、少し俺達にツキがあったってだけで」
同じく空も、笑顔で返す。
「またやろうぜ。次は負けねえからな」
空に手を差し出す。
「こっちこそ。次は完勝して見せますよ」
その手を空が握り、握手を交わした。
「対戦、ありがとうございました」
そこへ、大地がやってきて、火神に手を差し出した。
「お前も、これまでやり合ったキセキの世代と遜色ねえくらいに強かったぜ」
「光栄です。結局、今日の私はあなたに届かなかった。ですが、次こそは、私1人であなたに勝ってみせますよ」
「…試合に負かされた奴に言われんのは少し複雑だがよ。上等だ。次は負けねえぜ。試合でも、コテンパンにしてやるよ」
そう言って、火神は大地の手を握った。
「…」
空は視線を横へと向ける。そこには、黒子の姿があった。
「ありがとうございました。今日の試合は、これまでのバスケ人生で、1番楽しかったです」
空の横へと歩み寄った黒子が空に手を差し出す。
「黒子さん」
そう呟き、空は黒子の手をジッと見つめる。
「無冠の五将、ジャバウォック、キセキの世代、そして火神さん。他にも、ここまで、色んなスゲー奴、強い奴とやり合って来た。その中で、誰が1番尊敬出来るかと聞かれれば、俺は迷いなく黒子さんと答えられます」
「…」
「俺が黒子さんの立場だったら、ここまで来る事は出来なかっただろうし、何より、ここまでバスケを好きになる事は出来なかったと思う。だからこそ、ここまで努力し続けて、バスケを好きでいられる黒子さんには、尊敬の言葉しかありません」
「神城君…」
「だからこそ、今日、黒子さんと戦えて良かった。俺は今日、黒子さんから色んな事を教わった気がします。…だから、ありがとうございました」
そう言って、黒子に手を差し出した。
「君のような選手にそう言って頂けて光栄です。負けてしまいましたが、今日の試合は、ボクが経験した試合の中で、1番、激しく、厳しく、そして、楽しい試合でした。君達と戦えて良かったです。ありがとうございました」
そう返し、黒子はその手を握った。
「綾瀬君も、君は納得出来ないかもしれませんが、今日の君は、まるで
黒子が大地に手を差し出す。
「そう言って頂けると嬉しい限りです。…ありがとうございました」
大地はその手を握った。
他にも、天野と池永、生嶋と新海、松永と田仲がそれぞれ、一言二言交わしながら握手を交わしていた。やがて選手達は各々ベンチへと戻っていく。
「おめーら、最後に応援してくれた皆にしっかり挨拶するぞ。情けねえ面見せんな」
火神が主将として声を出し、誠凛の選手達は観客席の前へと一列に並ぶ。
「応援、ありがとうございました!!!」
『ありがとうございました!!!』
火神の号令を合図に、選手達が観客達に挨拶をした。
――パチパチパチパチ…!!!
同時に、会場中を観客達による大きな拍手で包まれた。
『スゲー試合だったぞ!!!』
『最高の試合だった! 見に来て良かったよ!』
『お前らも強かったぜ!!! 胸を張れ!!!』
『ナイスファイト!!!』
誠凛の選手達に、観客達はいつまでも惜しみない歓声と拍手を贈り続けた。
『…っ』
歓声と拍手を受け、誠凛の選手達の瞳から涙が溢れ始める。誠凛の選手達は再び顔を上げると…。
『ありがとうございました!!!』
もう1度、観客達に挨拶をし、コートを去っていった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『…』
通路を歩く誠凛の選手達。
「…なあ、黒子」
その道中、火神が黒子に話しかける。
「今日の試合、俺は全てを出し切った。最高に楽しい試合だった。…けど、やっぱり悔しいな」
これまで我慢してきたものが両目から溢れ出す。
「…はい。ボクも…同じ、気持ちです」
黒子も同様に、その頬に涙が伝っていたのだった。
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・・・・・・・
・・・・
『いや、最高のゲームだったな!』
『ああ。決勝に相応しいゲームだった。見に来て良かった』
観客達が口々に試合の余韻に浸りながら感想を言い合っている。試合は終わったが、まだ閉会式が残っており、未だ、会場に残っている観客も多い。
「…」
そんな中、ナッシュが席から立ち上がり、その場を後にしようとする。
「ヘイ、ナッシュ。何処に行くんだ?」
そのナッシュにニックが声を掛ける。
「試合が終わったんだからもうここには用はねえ」
「おいおい、閉会式は見て行かないのか?」
「興味ねえよ」
そう答え、ナッシュはその場を後にしていった。
「おいおい、待てよ!」
会場を去ろうとするナッシュ、そんなナッシュを追いかけるようにジャバウォックのメンバー達がその場を後にしていった。
「…」
会場の外に出たナッシュが1度、会場の方へと振り返る。
「See you again …sora」
そう呟き、ナッシュは再び踵を返すと、会場を後にしていった。
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・・・・・・・
・・・・
「見に来た甲斐があったな」
観客席の堀田が口を開く。
「ああ。みんな、俺の想像を超える程に成長していた」
同意するように頷く三杉。
「松永。俺達がいた時は、インサイドプレーヤーでありながら、3番から5番をこなせる程の器用さが売りだった。だが、反面、インサイドプレーヤーとしては少し、フィジカルが物足りなかったが…」
「今日の試合では、長所を伸ばしつつ、しっかり鍛えられていた。現在のバスケのトレンドでもある、ジェネラリストとして申し分ないプレーヤーにまで成長した」
「生嶋。ある程度、体勢やリズムが乱れても、ボールに触れられさえしなければ決められる正確無比なスリーは俺も脱帽する程だった。だが、悪く言えば、それ以外は平凡の域を出ず、スタミナにも不安が残る不安定な選手だった」
「だが、オフボールの動きが格段に良くなった。新たに武器を身に着けるのではなく、元々の武器であるスリーをより生かす方向に進化させ、花月の飛び道具として成長した」
「花月において、影の功労者は間違いなく天野だ。リバウンドやディフェンス、スクリーンなど、チームの楔となり、脇役として勝利に貢献した」
「バスケ選手である以上、誰もが主役になりたがるものだが、天野はチームの歯車として味方を生かす役割を担う事に疑念を抱くどころかむしろ、喜びを感じるタイプ。そんな天野だからこそ、チームに絶対欠かせない選手となった」
「菅野、帆足、後、竜崎君と室井君だったかな? 彼らもベンチプレーヤーとして、花月の足りないピースを補い、勝利に貢献した」
「ああ。良くぞ、これだけの選手が集まったものだ」
花月の選手達を褒めて行く三杉と堀田。
「だがやはり…」
「ああ、空と綾瀬の成長だ」
優勝にもっとも貢献した空と大地の名を挙げた。
「空はスピードと加速力と、持ち前のクリエイティビディを生かしたドライブやパスセンスが武器だった。一方でここ一番で爆発力がある反面、安定性に大きく欠ける不安定な選手だったが…」
「キャプテンに任命されて自覚を持ったことで、爆発力とクリエイティビティはそのままでだいぶ安定感は増した。スピードもさらに磨きかかり、正直、今の空相手に1ON1で止めるのは至難の業、かもな」
「対して、綾瀬は、空と遜色ないスピードに、驚異的な減速力とバックステップを武器に、一方で空とは対極で、安定感は類を見ないが、爆発力に欠けた選手だった。中でも、ギャンブル性がなく、消極的で大人しい面にもったいなさを感じたが…」
「本来得意なはずのスリーを積極的に打つようになり、時に、博打染みたプレーも見られるようになり、ここ1番で爆発力を発揮出来るようになった。あれだけ前後に緩急を付けられた上、スリーを打たれたら、これもまた止めるのは至難の業」
続いて、空と大地を褒める2人。
「2人共、今ではあのキセキの世代が相手でも真っ向から戦えるまでに成長した」
「お前の指導のおかげかもな」
「俺はあくまでも、最低限の仕込みとアドバイスをしただけだ。あそこまでの成長に至ったのは紛れもなく、あいつらの努力の賜物さ」
フッと笑みを浮かべ、コートへと視線を向ける三杉。
「(おめでとう。花月の皆。…空と綾瀬。いつかお前達が俺の敵として、ゆくゆくは同じユニフォームを着て戦える日が来るのを楽しみに待ってるぞ)」
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・・・・
「花月が勝ったか…」
観客席の一角で、そう呟いたのは、試合を見守っていた緑川高校の一ノ瀬。
「…やっぱり、この結末は複雑か?」
無粋と思いつつも桶川が一ノ瀬に尋ねる。
「不満はないさ。誠凛、花月両チーム共に、全力を出し、あれだけの激しく、素晴らしい試合を見せてくれたんだからな」
苦笑しながら一ノ瀬が答える。
「俺はこの結果に満足だ。俺達を倒してウィンターカップに出場した花月が優勝したんだからな」
城嶋は満足気な表情をする。
「…」
試合が終わってから、一言も発する事無くコートを見つめている荻原。
「…残念だったな」
誠凛の黒子との関係を知っている井上がそれとなく声を掛ける。
「……ふぅ」
暫くの沈黙の後、荻原が一息吐いた。
「誠凛が負けちまったのは残念だ。…けど、最高の試合だった。黒子はスゲーものを見せてくれた。他にも、あの火神も、他の誠凛の奴等、そして花月の奴らも、皆凄かった」
『…』
「互いに全てを出し切って、死に物狂いで戦った。だから、勝った花月はもちろん、健闘した誠凛も、胸を張ってほしいって、素直に思うよ」
「同意見だな」
一ノ瀬も頷く。
「(黒子、やっぱりお前はスゲーよ。感動した。絶対、いつかまた一緒にバスケしような!)」
荻原は満足気に笑みを浮かべたのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「テツ君達が…、誠凛が負けちゃったね」
両チームがコートを去り、閉会式の準備を進めるコートを見つめながら呟く桃井。
「後1歩届かなかった。だが、頂点を決めるに相応しい試合だったのだよ。少なくとも、俺はこの結果に不満はない」
その呟きに、緑間が返事をする。
「勝敗を分けたのって、やっぱりタイムアウト後の…」
「ああ、点の取り合いだ」
青峰が断言する。
「ハイペース、ハイスピードでのトランジションゲーム。誠凛、花月共にオフェンスに長けたチームではあるが、息吐く暇のない、あそこまでのハイペースとなれば、花月の土俵だ」
解説をする青峰。
「花月のペースに付き合った結果、試合終盤の勝負所まで温存していた黒子のミスディレクションが最後までもたず、火神も、最後の最後、ボールに僅かに届かなかった…」
ミスディレクションが切れた結果、黒子は空にパスカットを悟られ、火神は、武器であるジャンプ力が僅かに鈍り、ボールに届かなかった。これらの要因を、花月のハイペースに付き合ったからだと青峰は断言。
「ここまでの花月の試合を研究していたのなら、花月を相手に、花月のペースに乗ってはいけない。それは誠凛とて、分かっていたはず」
「…けど、分かってはいても、乗せられちゃうんスよね」
赤司の言葉に、黄瀬が苦笑しながら続ける。
「花月を相手にしてると、不利だと分かっていても、真っ向から戦いたくなるんス。そしてそれが、楽しく仕方がないんスよ」
「理解出来るのだよ。俺達もそうだったからな。真っすぐ、真正面から挑んでくる花月を相手にすると、どうしてもその気持ちが抑えられなくなる。桐皇、海常、洛山も、ディフェンスシブのチームである陽泉でさえ、乗せられてしまったくらいだからな」
緑間が眼鏡を押し上げながら続く。
「…」
「…」
青峰も紫原も、特に口を挟まないが、表情を変えず、異論を唱えるつもりもなかった。
「互いが正面から全力でぶつかり、競い、高め合い、互いに限界をも超えていく。…その結果、俺達全員を降して花月が頂点に立ったのは皮肉な話ではあるが…」
苦笑する赤司。
「だが、この結末に満足している。花月も誠凛も、最高の試合をし、花月が勝った。皆もそうだろう?」
「そうッスね」
「これだけの試合を見せられたのだからな」
黄瀬は満足気に笑い、緑間は納得しながら頷く。
「…ふん」
「俺は別に…」
青峰は鼻を鳴らし、紫原はそっぽを向く。しかし、結果を受け入れ、納得はしている様子だった。
「さて…、試合は終わった事だし、俺も下に降りるッスかね」
大きく伸びをしながら言う黄瀬。
「あれー、黄瀬ちん、忘れ物でもしたのー?」
「いやいや、閉会式ッスよ。俺達3位スからね」
言葉の意味が理解出来なかった紫原が尋ねると、黄瀬は苦笑しながら答える。
「そう言えばそうだったな。すっかり忘れていたのだよ」
緑間も黄瀬に言われて思い出していた。
「だったらわざわざここに来ねえで最初から下で待ってりゃいいだろ」
興味のない表情の青峰。
「皆酷過ぎないッスか!?」
涙顔で移動する黄瀬であった。
※ ※ ※
閉会式…。
今し方、コートで優勝を争い、激闘を繰り広げた花月と誠凛の選手達。3位決定戦を行った海常と田加良の選手達がコートへと集結した。
『優勝、花月高校!!!』
アナウンスされ、空と大地、天野が前に出る。後1人、出なければならないのだが…。
「生嶋、松永。どっちでもいいから出ろよ」
痺れを切らした菅野が2人に声を掛ける。
「スガさん。行って下さい」
促された2人だが、松永が菅野の行くように逆に促す。
「おいおい、俺はこの大会、大した活躍してねえし。何より、補欠だぞ?」
菅野は苦笑気味に断る。
「行って下さい。3年間、誰よりもバスケに懸けていたのはスガさんですから」
続くように生嶋が背中を押す。
「俺達は来年以降に貰いますから。行って下さいよ」
「(…コクリ)」
「菅野先輩が行くべきです!」
竜崎も続き、室井も頷き、帆足も後押しした。
花月高校バスケ部において、誰よりも声を出し、先輩として選手達に声を掛け、面倒を見て来た菅野。空、大地世代が入部した事で出番はなくなり、最後の年でも竜崎、室井と言った、実力や稀有や資質を持った後輩が加入し、出番はほとんどなかった。それでも、花月の為に尽力し、ウィンターカップまでチームに残った菅野。
「スガ! はよ来いや!」
「菅野先輩、早く!」
「お願いします」
天野、空、大地が振り返り、菅野を促す。
「お前ら…!」
後輩達の気遣いに、思わず涙が溢れそうになるのを堪える菅野。
「ったく、仕方ねえな!」
照れ隠しをしながら菅野が前に出た。
空、大地、天野、菅野が前に出て、優勝トロフィー、賞状、記念品を受け取る。
――パチパチパチパチ…!!!
『凄かったぞ!!!』
『優勝おめでとう!!!』
『最高の試合だった!!!』
『感動した!!!』
同時に会場全体を包み込む程の惜しみない拍手が贈られた。
『準優勝、誠凛高校!!!』
アナウンスと同時に火神、降旗、福田、河原が前に出る。
――パチパチパチパチ…!!!
再び、惜しみない拍手が贈られる。
「黒子先輩、本当に良かったんですか?」
横に立つ黒子に尋ねる新海。誰が代表で前に出るか決める際、黒子が退き、火神と残りの3年生の3人に譲ったのだ。
「構いません。皆、3年間頑張って来ましたから」
未だ、涙で目を赤くしているが、満足気に答える黒子。
「それに、…多分、気付いてもらえないと思いますから」
皮肉気味にそう続けた。
『続きまして、今大会の各賞を発表します』
優勝、準優勝の贈呈が終わると、個人賞の発表へと移行する。
――ざわざわ…。
個人賞の発表に、観客達も、誰が受賞するかでざわつき始める。
『最優秀選手賞は――』
『…』
今大会のMVPの発表に、会場が沈黙する。
『――花月高校、神城空君』
『おぉぉぉぉーーーっ!!!』
発表と同時に大歓声と共に拍手が贈られる。
『MVPは花月の神城!』
『キセキの世代や火神を押しのけての受賞だ!』
この選考結果に異論を唱える者はおらず、皆が祝福した。
「へへっ、やったぜ!」
照れながらも空は喜びを露にした。
「当然の受賞なのだよ」
「ああ。今大会での神城の活躍は目覚ましい。神城なくして優勝はあり得なかっただろうからな」
当然の選出だと緑間と赤司。
『続いて、得点王は――』
続いて、得点王の発表。
『――誠凛高校、火神大我君』
得点王は、火神が受賞した。
『得点王は火神か!!!』
『だよな!』
この選出に、一部観客は予想していたのか、共に頷く合っていた。
「っしゃ」
小さく喜びを露にする火神。
「全試合で安定して得点してもんね」
「…ま、3回戦で綾瀬がまるまる欠場してなきゃ、結果は変わってただろうけどな」
桃井の言葉に、青峰が口を挟む。
実際、火神と大地の得点差はそれほどなく、青峰の指摘通り、3回戦に出場していれば、結果が変わっていた事は大いにあり得たのだ。
『続きまして、優秀選手賞の発表です』
続けて、優秀選手賞…ベスト5の発表がされる。
神城空 (花月高校2年 G)
綾瀬大地 (花月高校2年 F)
黄瀬涼太 (海常高校3年 F)
火神大我 (誠凛高校3年 F)
三枝海 (海常高校3年 C)
この5人が選出された。
――パチパチパチパチ…!!!
同時に大きな拍手で5人が迎えられたのだった…。
※ ※ ※
以上を以て、閉会式が閉幕した。
そしてそれは、新たな戦いの始まりを意味をする。
キセキ達は新たな戦場にて、キセキ達が去った高校バスケは、新たな戦いへと移行する。
長い長いウィンターカップ…。キセキの世代とキセキならざるキセキにとっての、高校最後の大会が終わったのだった……。
続く
前話投稿翌々日、体調不良を起こし、2週間も空けてしまいました…(>_<)
数年ぶりに熱が出て、幸い、コロナやインフルエンザではなかったのですが、仕事中に熱が出て、メチャメチャしんどく、数年ぶりに定時上がり+翌日に欠勤してしまいました…(T_T)
皆さんも体調には気を付けて残りの2023年を過ごして下さい…m(_ _)m
感想アドバイスお待ちしております。
それではまた!
次回、最終話!!!