投稿します!
お久しぶりです…(;^ω^)
新年開けて、早3ヶ月。ようやく目途が付いたので投稿致します。
それではどうぞ!
~その後…~
――キセキの世代…。
中学バスケ界の名門である帝光中学にて、突如として現れた10年に1人の逸材と目された5人の天才、赤司征十郎、緑間真太郎、黄瀬涼太、青峰大輝、紫原敦。
その5人に一目置かれた幻の
彼らはその圧倒的な才能と力を以て、中学バスケにおいて、全中3連覇の偉業を成し遂げ、その名を知らしめた。
その後、彼らはキセキの世代内においての優劣をつける為…、自分こそが最強だと証明する為、それぞれが違う高校へと進学した。
黒子テツヤもまた、自分のバスケを貫く為、彼らと袂を分かち、そこで出会った新たな光、火神大我と共にキセキの世代と戦い、日本一を目指す道を選ぶ。
そんな彼らが高校へと進学した1年目の、キセキの世代の全員が出場したウィンターカップ。
大激闘の果てに頂点に立ったのは、黒子テツヤと彼の新たな光である火神大我を擁する誠凛高校であった。
この結果、かつてはそのあまり強大過ぎる才能故、歪んでしまったキセキの世代達に大きな影響を与える事となった。
その翌年、彼らは雌雄を決するべく、再び全国へと集まるのだが、そこへ、新たな猛者が現れる。
自らをより高みへと押し上げる為、アメリカでその力を揮っていた異国からのキセキ、三杉誠也と堀田健。
キセキの世代が去った全中にて、圧倒的な才能を以て全中制覇に貢献した次世代のキセキ、神城空と綾瀬大地。
この4人が一堂に介し、その圧倒的な才能と力であのキセキの世代を粉砕し、日本の高校バスケに新たな衝撃を与えた。
その後もキセキ達の激闘を幾度となく繰り広げられ、キセキの世代、最後の年の集大成となるウィンターカップ。
キセキの世代、キセキならざるキセキとその影、そして、次世代のキセキが頂点を目指し、決勝へと辿り着いた次世代のキセキを擁する花月高校と、キセキならざると影を擁する誠凛高校。
観る者全てを熱くさせた大激闘の末、花月高校が、全国の頂点へと辿り着いたのだった…。
※ ※ ※
「うーん…」
目の前のパソコンにて頭を悩ませる1人の男。文章を打っては消し、打っては消しを繰り返し、唸り声を上げている。
…ここは某出版社。その中で月刊バスケットマガジン、通称月バス部門のデスクである。男は月バスの記事の執筆に勤しんでいる。
「……やっぱりこれだとインパクトが――」
「よう新人、捗ってるか?」
そこへ、ベテラン記者である男の先輩がコーヒーカップ片手に声を掛けて来た。
「先輩、俺もう来年で3年目ですよ? いい加減、新人は止めて下さいよ」
「ハッハッハッ! 俺から言わせればまだまだ新人だ。…ほらよ」
口先を尖らせながら抗議する男。ベテラン記者は豪快に笑いながら男のデスクにコーヒーの入ったカップを置いた。
「先のウィンターカップ記事か」
「はい。特集記事まるまる俺に任されましたからね。……フゥ」
背もたれに背中を預けながらコーヒーを一口啜る男。
「キセキ達の集大成とも言える最後のウィンターカップ。それを制したのが花月高校。その原動力となった神城空と綾瀬大地は、彼らが中学生の時から追いかけて来た選手達ですから。気合い入りまくりですよ」
そう言ってニコリと笑った。
「そうかそうか! あの時会場に誘った俺に感謝しろよ!」
満足そうに笑う男を見て同様に満足気に笑うベテラン記者。
「そう言えば、取材の方はどんな感じですか?」
「おう、順調だぞ」
持っていた取材結果を男に見せる。
「失礼します。……へぇ」
渡された資料に目を通す男。資料に載っているのは、今年度卒業する、有力選手の進路である。
「やっぱり、有力選手は軒並み全国各地の強豪大学に進む予定みたいですね」
ピックアップされている、全国でも指折りの実力を持つ3年生。その大半が各地方の1部に所属する大学に進学する者が大半を占めていた。
「…でも、1番気になるのは……おぉっ!?」
目当ての選手が載っている項目を探す男。見つけると、目を見開きながら声を上げた。目当ての選手は当然、キセキの世代の5人と火神大我である。
「海常の黄瀬涼太は日本のプロリーグですか!?」
資料を見て男は興奮する。
昨年、日本に満を持して開幕したプロバスケットボールリーグ。通称Bリーグ。
「ああ。東京のチームがスカウトをかけたらしい。黄瀬もこれに合意したようだぞ」
「へぇー…、けど、黄瀬君を止められる選手はBリーグにもいるんですかね?」
「おいおい、いくらなんでもプロを舐め過ぎだ。確かに、センスは頭1つ2つ…それ以上に黄瀬はずば抜けてる。現時点でも、1ON1で黄瀬を止められる奴はいないかもしれん。だが、高校卒業したばかりの選手に良い様にやられちまう程、プロは柔じゃない。国際試合を経験したベテラン選手、外国人選手と、どいつもこいつも曲者揃いだ。ある程度は、洗礼を受けるだろうよ」
「ホントですか!? やっぱりプロは凄いんですね」
ズズッっとコーヒーを一口する先輩。
「次はっと…、っ!? 緑間真太郎はドイツの大学に留学!?」
飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになるのを咄嗟に堪え、驚く男。
「おう。FIBAランキングでも上位のドイツ。それも、強豪の大学のな」
「凄い! 緑間君なら、日本人の初のブンデスリーグの選手になる事も夢ではないですね!」
期待に目を輝かせる男。
「さてさて…、っ!? 青峰大輝はアメリカ留学!?」
次の選手、青峰の進路。アメリカの文字を見て興奮する。
「最後のウィンターカップは結果こそ振るわなかったが、実力は示したからな。あの身体能力とテクニックは、アメリカでも期待出来るぜ」
「派手なストリートのムーブテクニックはアメリカでも注目の的になるでしょうね!」
アメリカの地で青峰が活躍する姿を想像し、期待に胸を躍らせる男。
「お次は……って、紫原敦はリーガACBに挑戦。これホントですか!?」
資料を捲り、紫原の項目を見て思わず立ち上がる男。
「これは俺も驚いたぜ。ある意味、1番のサプライズかもしれないな」
「彼の身体能力の高さはキセキの世代の中でも頭1つ抜けてますからね。サイズもワールドクラスですし、期待は持てますね!」
リーガACB、世界の強豪、スペインのプロチームからの誘い。これには男は驚きは隠せなかった。
「キセキの世代、ラストの赤司征十郎はっと…、おぉっ! 彼もアメリカですか!」
赤司の項目を見て声を上げる男。
「青峰とは違う州だが、その州でも指折りの強豪だ。…ま、経営学に強い大学でもあるから、家の都合もあるんだろうよ」
「彼の支配力とゲームメイク能力は日本だけで留まる器ではないですからね。今から楽しみだ!」
アメリカで、司令塔としてコートに立つ赤司を想像し、男は期待で興奮した。
「キセキの世代は全員、驚きを隠せない進路だったな。…っと、もう1人、注目の選手がいたんだった」
ここで男は思い出す。キセキの世代と同等の才能を持ち、1度は5人全員勝利した選手の事を…。
「……かぁー! 火神大我もアメリカかー!」
驚きつつも決してまさかとは思わない、火神のアメリカ行きに思わず興奮気味に頭を抱える男。
「噂じゃ、去年の夏が終わった時にはアメリカ留学の話は来てたらしいが、その時は断ったらしい。夏と冬を連覇して、キセキを冠する者達の中で最強を証明したかったのか。あるいは、別の理由があったのか…」
「3人もアメリカに挑戦かー。是非とも、アメリカでの彼らの活躍を取材したいなー」
今や、高校だけに留まらず、日本の期待の星とも言っても過言ではない、キセキを冠する者達。記者としては、是が非でも取り上げ、記事にしたい。
「3人だけじゃねえぜ」
妄想に浸る男に、先輩記者が告げる。
「? どういう意味ですか?」
言葉の意味が分からず、聞き返す男。
「現3年の進路を取材する過程で知ったんだが、…資料の最後のページ、見てみろ」
言われるがまま、資料を捲る。
「……っ!?」
資料を読み進める男。その内容を見て思わず目を見開き、言葉を失った。
「…神城空と、綾瀬大地が、アメリカに留学…」
その内容を口にする。
「ああ。花月高校に取材に行った際に聞いた話だ」
この内容を知った経緯を説明し、コーヒーを口にする先輩記者。
「だがまあ、納得出来る話だ。2人は一応、各キセキの世代が所属するチームと誠凛を倒しているからな。そしてそいつらは次年度にはいない。1対1であの2人とやり合える選手がいない、日本に留まるより、花月の留学制度を利用して本格的に留学した方が有益だ。去年も、インターハイ直後に短期留学しているし、あれだけの逸材なら、むしろ
「…そうですか」
先輩の説明を聞き、資料をデスクに置く。
「彼らもアメリカかー。2人の才能を考えれば当然の選択なんだろうけど、もう少し、2人のプレーと活躍を、日本で見たかったなー」
後頭部で両手を組み、天井を仰ぐ男。
「キセキの名を冠する者達が全て、高校バスケ界からいなくなる。そうなると、しばらくは、高校バスケの人気は下火になりそうですね」
「仕方のない話だな。正直な話、ここまで高校バスケの熱が高まったのは、キセキの世代の5人と火神大我、そして、神城空と綾瀬大地の存在が大きいからな。そいつらがこぞっていなくなりゃ、熱は冷める」
「…」
「だが、観客は冷めても、選手達は熱くなるだろうよ」
ハッとした顔で男が振り返ると、先輩記者はニヤリと笑う。
「これまで、『キセキなくして栄冠はない』とまで言われた高校バスケ。そいつらがいなくなった今、チャンスは何処にでもあるって事だ。今、高校バスケにいるのは、その圧倒的な才能を目の当たりにしても尚、潰されず、残った奴らだ。今年は、何処も死に物狂いで優勝を勝ち取りに行くだろうからな」
と、ここで先輩記者はコーヒーを一口。
「目先の天才ばかり追うなと教えただろ? それに、逸材なんざ、またいつ何処から現れるか分からん。火神大我や、神城空と綾瀬大地のようにな」
そう語り、最後の一口を飲み干すと、空に紙コップをゴミ箱に投擲し、入れた。
「ですよね! よーし、高校バスケを盛り上げてくれたキセキ達の為にも、気合いを入れて記事を仕上げるぞ!」
男は気合いを入れ直し、再びパスコンへと向かった。
「その意気だ。頑張れよ新人。…とは言え、せっかく火が付いたバスケ人気を落とさない為に、何より、雑誌の売り上げの為にも、何かもう1つネタが欲しい所だな。…さて、一服したらプロチームの取材でも行くかな」
やる気に漲る後輩を見て、先輩記者は煙草を持って喫煙室へと足を向ける。
「先輩、大変です!」
その時、2人の下へ、1人の男が勢いよく駆け込んでくる。
「デケー声出すな。何事だ」
怪訝そうな表情で窘める先輩記者。
「凄い情報を手に入れたんですよ。見て下さい!」
窘められても興奮冷めやらぬ男は、手に持っていたipadを操作し、先輩記者に見せた。
「……っ!? おいおい、こりゃ…」
驚きのあまり、目を見開く先輩記者。
「?」
その騒ぎを近くで聞いていた男もその内容が気になり、一旦手を止めて2人の後ろからipadを除く。
「っ!? これって――」
※ ※ ※
――キュッキュッ!!!
場所は変わって、花月高校の体育館。バッシュのスキール音が響き渡る。
――ガン!!!
現在、3ON3をしており、竜崎の放ったジャンプシュートがリングに弾かれる。
「集中しろ、フリーのシュートだぞ! 練習で決められなければ試合で決まらんぞ!」
「はい、すいません!」
監督、上杉から檄が飛び、竜崎が返事をする。
ウィンターカップが終わり、早数日あまり。花月高校では既に新体制に向けて練習が行われている。
キセキラストイヤーの最後のウィンターカップ。奇跡の優勝を成し遂げた花月高校。その感動も冷めやらぬまま、次の戦いに向けて、猛練習をしている。キセキの世代の卒業により、これまで優勝候補であったキセキを擁する高校が大幅な戦力ダウンを余儀なくされるが、それは花月高校も例外ではない。花月の強力なリバウンダーであり、ストッパーでもある天野に、チームのムードメーカーであり、スラッシャーでもある菅野。更には、チームの司令塔である空と、エースである大地までも抜けてしまうからだ。キセキを冠する者達が高校バスケからいなくなる事で、全国のどのチームも優勝の可能性が出ており、全国各地で、これまで手の届かなかった優勝を目指して死にもの狂いで挑んで来る事が予想出来る。
「(戦力ダウン以上に厳しいのが層の薄さだ。インターハイまでに現メンバーを急ピッチで鍛え上げるつもりだが、それでも足らん。…やれやれ、再び優勝をさせる為にも、是非とも新入生に期待せねばならんな)」
苦笑する上杉。
「…」
「…」
他の選手達が3ON3をしている中、少し離れた場所で、空と大地が対峙していた。空がボールを持ち、大地がディフェンスをしている。
「…」
空がジャブステップを踏み、小刻みにボールを動かしながら仕掛けるチャンスを窺う。
――ダムッ!!!
機を見て、空が仕掛ける。
「…っ」
仕掛けるタイミングに合わせて大地が空を追走する。
――ダムッ!!!
同時に空がクロスオーバーで切り返し、視線をリングに向ける。
「っ!?」
この動きを見て大地はシュートを警戒。
――ダムッ!!!
しかし、空はシュートを打たず、バックチェンジで再度切り返し、大地を抜きさる。
「…くっ!」
視線のフェイクによって僅かに反応が遅れた大地だったが、それでもすぐさま反転し、空を追いかける。
「っしゃ!」
空がそのままボールを掴み、リングに向かって飛ぶ。
「まだです!」
これを見て大地もほぼ同時にブロックに飛び、空の後方からブロックを狙う。
「遅ぇ!」
――バキャァァァッ!!!
しかし、空は大地がブロックに来るより速く、リングにボールを叩きつけた。
「よっしゃー!」
着地した空がガッツポーズ。
「…次は私のオフェンスです。決めて見せますよ」
喜ぶ空とは対照に、若干悔しさを滲み出る大地。
「…」
「…」
攻守を切り替えて再び対峙する空と大地。
――ダムッ!!!
空と同様、ジャブステップからドライブを仕掛ける。
「…っ」
同タイミングで空が大地を追走。
――キュッキュッ!!!
仕掛けると同時に急停止した大地。
――ダムッ!!!
直後にバックステップをし、空と距離を空け、ボールを掴む。
「読めてるぜ、止める!」
このムーブを予測していた空はすぐさま大地との距離を詰め、ブロックに飛ぶ。
――キュッ!!!
「っ!?」
大地の次の動きに空の目が大きく見開かれる。ステップバックさらに距離を空け、そこからのフェイダウェイを予想していた空だったが、大地は後ろではなく、前へとステップしていたのだ。つまり、ステップバックではなく、アップ&アンダー。
――ザシュッ!!!
空のブロックを掻い潜るようにかわした大地がそのままジャンプシュートを決めた。
「だあぁぁぁっ!!! ちっくしょう!!!」
頭を抱えながら悔しがる空。
「お返しですよ」
フッと笑みを浮かべる大地。
ウィンターカップ終了後、花月は新体制に向け、練習を積んでいるのだが、空と大地は、基礎トレーニング後のチーム練習には加わらず、1ON1を繰り返し、鎬を削っている。
「…相変わらず、2人は凄いね」
「ああ。また更にキレが増して来たな」
2人の勝負を見ながら言葉をかわす生嶋と松永。
「次の夏と冬の大会は、2人抜きで戦わなきゃ行けないんだよね…」
「ああ。だが、泣き言は言ってられん。戦力ダウンをするのは俺達だけではないのだからな」
表情が陰る帆足。しかし、松永が活を入れる。
「そのとおりです。条件は何処も同じ。夏と冬の連覇を目指して頑張りましょう!」
そこへやって来た竜崎が気合いを入れる。
「竜崎。お前は練習後にシュート、500本だ」
「……うす」
そこへ、上杉が指示を出し、竜崎がげんなりしながら返事をした。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
その後も、激しい練習を積む花月の選手達。
「よう、やってるな!」
そこへ、来訪者がやって来る。
「えっ!? 三杉さん!?」
その声に気付き、振り返り、思わず声を上げる空。やって来たのは三杉誠也だった。
「よう」
「堀田さんも!」
三杉の後ろに、堀田の姿もあった。
「どうしてここに…」
同時にやって来た堀田に、大地も驚きを隠せずにいた。
「見たぞ、ウィンターカップ決勝。見事だったぜ。優勝おめでとう」
集まる花月の選手達。三杉は選手達に賛辞の言葉を贈る。
「去年の夏、お前達と一緒に戦って以降、日本には1度も帰らなかったからな。帰省を兼ねて、お前達の決勝を見に来たんだ。ついでにそのまま年越しも迎えるつもりだ」
ここに来た経緯を説明する堀田。
「とは言え、そのままただ過ごすのも暇だし、何より、身体が鈍っちまう。だから、一緒に練習でも、と、思ってな。…どうだ? 空、綾瀬、久しぶりに1ON1でもやらないか?」
ニヤリとしながら提案する三杉。
「もちろんですよ!」
「是非とも、お願いします!」
歓喜の空と大地。
「よし、なら、バッシュに履き替えて来るから少し待ってな」
そう言って、その場を離れる三杉。
「松永……と、室井だったか? 久しぶりにインサイドの指導も兼ねて、勝負でもするか?」
「はい、お願いします!」
「よろしくお願いします!」
堀田の提案に、松永と室井も了承する。
「この人達が、あのキセキの世代を圧倒した伝説の…。あ、あの! 俺も参加してもいいですか!? 来年、もしかしたら状況によってはインサイドで戦う事があるかもしれないので…!」
「いいぞ。来い」
おずおずと参加を希望する竜崎に対し、堀田は二つ返事で了承したのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
突如やってきた三杉と堀田。その興奮も冷めやらぬまま、花月は2人を交えての練習が始まった。
「松永、パワーに差があるなら、それに応じた戦い方がある。無理に対抗しようとするな」
「はい!」
「室井。お前にはあらゆるビッグマンをポストアップを抑え込めるパワーある。その先の動きに対応出来るようにしろ」
「はい!!!」
リングの下で、松永と室井が堀田の指導を受ける。反対側のリングでは…。
「…」
「…」
空と三杉が1ON1を始めようとしていた。
――ダムッ!!!
ボールを小刻みに動かし、ステップを踏み、機を窺っていた空が仕掛ける。
「(ここだ!)」
タイミングを読み切った三杉が仕掛けた空に対し、間髪入れずに追いかける。
――キュッ…ダムッ!!!
空は急停止…直後にクロスオーバーで切り返した。
「(得意のキラークロスオーバー…、このスピードとキレは以前とは段違いだが…)…甘い」
これも三杉は読み切り、1歩踏み出し、右手を伸ばして進路を塞いだ。
「…」
――スッ…。
ここで空はバックチェンジ…いや、まるでビハインドパスを出すかのように空は逆方向にボールを弾ませた。
「(なに?)」
この行動に三杉は驚くも、すぐさまそのボールに手を伸ばす。
――ポン…。
「っ!?」
目を見開く三杉。三杉がボールに触れるより速く、空がボールに触れる。上半身を後方に大きく傾け、倒れ込むような体勢でボールを叩き、ボールを三杉の後方へと弾ませる。
「(ちっ、変則も健在か!)」
規格外のバランス感覚を生かした空の変則ドリブル。ここ最近は使用頻度が減っていた事で三杉は見事に虚を突かれた。
「よし!」
すぐさま身体を起こした空が三杉の後方に零れたボールを拾い、そのままリングに突っ込む。
「ちぃ!」
反転した空を追いかけ、ブロックに飛ぶ三杉。
――スッ…。
だが、後手。空はボールを下げ、そのブロックを空中で掻い潜るようにかわした。
――バス!!!
直後に再度ボールを掲げて放り、ダブルクラッチで決めた。
「やった…。三杉さんから点を奪ったぜ!」
両拳を掲げ、大声で喜びを露にした。かつて、三杉が滞在していた時は、結局1度も三杉から1ON1で得点を奪う事が出来なかったからだ。
「やれやれ…」
そんな空を見て溜め息交じりに苦笑する三杉。
続いて、大地と三杉の1ON1…。
――ダムッ!!!
早々に仕掛ける大地。
「(小細工無し。…だが、本命は――)」
――キュッ…ダムッ!!!
急停止と同時にバックステップ。
「(さて、次は…!)」
バックステップ直後にボールを掴み、後方にステップバック…ステップした足でそのまま後方に飛び、シュート体勢に入る。
「(やはり来たか! だが間にあ――っ!?)」
――ピッ!
大地の全て読み切った…はずの三杉だったが、三杉のブロックが現れる早く大地はボールをリリース。
「っ!?」
振り返る三杉。
――ザシュッ!!!
ボールはリングを潜り抜けた。
「…よし」
これを見て大地は静かに拳を握る。大地もまた、これまで1ON1で三杉から得点を決める事が出来なかったのだ。
「…まさか、あそこまでのクイックリリースとはな」
想定より大地のリリースが速かった事により、三杉は、大地の動きを読み切ったにも関わらずブロックに間に合わなかった。
「…フゥ。恐れ入ったな」
一息吐く三杉。三杉の中で悔しさはなく、清々しさに包まれていた。
「ようやく、三杉さんの背中を捉えましたよ」
ニヤリとする空。
「さすがにそれは早計ですよ。たった1本決めただけなのですから」
そんな空を大地が窘める。
「大地だって、決めた後ドヤ顔してたじゃん」
「そ、そんな事は…!」
からかう空に対し、焦る大地。
「(本当に、成長したな…)」
そんな2人に暖かい視線を向ける三杉。
かつては、両者共に、結局1度も三杉から1ON1で得点する事が出来なかった。だが、今は本気で止めに行ったのにも関わらず、止められなかった。ここまでの成長を遂げた2人に、三杉は嬉しくて仕方がなかった。
「2人共見事だったぜ。…それにしても、お前達2人が同じチームにいて、それでも紙一重の勝利。キセキの世代と、火神大我もまた、相当力を付けたみたいだな」
「マジでバケモンですよ。試合では全員に勝ったけど…」
「正直、個人では勝った気がしません」
空と大地の表情が曇る。
「あいつらもまた、まだ未完の大器だったからな。かつてのインターハイではその内の3人と戦ったが、彼らは試合の中でも進化していた」
かつて戦った紫原、青峰、赤司と試合をした時の事を思い出す三杉。
「結局、残りの3人とは、組み合わせの関係で試合でやる事がなかったからな。あいつらが何処まで進化したか。是非とも試してみて――」
ここで三杉は言葉を止める。
「…」
顎に手を当て、何か考え込む。
「? …三杉さん?」
そんな三杉を見て、怪訝そうに声を掛ける空。空の言葉に返事をする事無く考え込む三杉。そして、何かを思い付いた三杉がニヤリと笑う。
「…なあ、1つ、面白い事を思い付いたんだが、聞いてくれるか?」
まるでイタズラっ子のような表情で、三杉が2人に思い付いた事を口にした。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「……ハハッ!」
三杉の考えを聞いた空が思わず笑い出す。
「良いじゃないですか、それ!」
目を輝かせる空。
「実現出来るなら、最高の催しとなりますね」
同様に大地も目を輝かせていた。
「やりましょうよ! 俺、誠凛に知り合いがいるんで、そこから話を付けましょう!」
言うや否や、空が猛ダッシュで携帯を取りに走っていった。
※ ※ ※
『もしもし? 神城か、突然電話なんかかけてきてどうしたんだ? こっちは来年に向けて――えっ? 黒子さんと火神さん? いるけど……って、うわ!? いたんですか!?』
『もしもし、黒子です。ボクに何か御用ですか? …えっ? キセキの世代と火神君と連絡を取りたい? 事情を説明してもらってもよろしいですか?』
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『……なるほど、そう言うことですか。そういう事なら是非とも協力します。…いえ、させて下さい。…それであの、不躾なのですが、その話、ボクも参加させていただいても――ありがとうございます。…あ、火神君に代わります』
『話は聞かせてもらったぜ。当然、参加させてもらうぜ。お前らに借りを返してーし、何より、
『黒子です。他の皆への連絡はボクが引き受けます。桃井さん……桐皇のマネージャーの知り合いに連絡すればすぐに連絡は付くと思いますので。…それでは後程、ボクの方からかけ直しますので』
※ ※ ※
『テツ君! 突然どうしたの? …大ちゃん? 傍にいるけど…』
『おう、テツ。何か用か? こちとら、来年からアメリカ行きだからよ、今から英語を叩き込んでる最中だよ。ったく、バスケすんだから英語なんて必要ねえってのにさつきが……あっ? 大事な話?』
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『……その話、マジか? 参加するに決まってんだろ。ちょうど暇してたし、何より、ウィンターカップの鬱憤を晴らしてーって思ってたからな。…何より、
『テツ君! 話は聞いてたよ! 私に連絡してきたって事は、他の皆にも連絡取りたいんでしょ? 私に任せて! …じゃ、また後で!』
※ ※ ※
『桃っち! 突然電話なんて珍しいッスね。こっちは一足早くプロ入りッスからね。今からサインのデザイン考えて――えっ? またなんかの企画ッスか? もしかして、また黒子っちの誕生日の集まり…えっ、違う?』
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『……なんスかそれ、ちょー面白そうッスね! もち、参加するに決まってるじゃないッスか! オレ、結局、試合する機会がなかったから、1度、本気でやり合いたいって思ってたんスよ! 早速準備するスから、詳細決まったら連絡よろしくッス!』
※ ※ ※
『…桃井か。何か用か? 今? 大丈夫だ。特に忙しくないよ。…イベント? 詳しく聞かせてくれ』
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『……なるほど。話は分かった。…勿論、参加させてもらうよ。そんな楽しい催しなら参加しない理由がないからね。この話は何処まで知らせた? ……なるほど、なら、緑間と紫原は俺が引き受ける。俺から連絡をした方が話がスムーズに進むだろうからね。後程連絡を折り返す。細かい詳細を詰めておいてくれ』
※ ※ ※
『…赤司か。お前から連絡とは珍しいな。こっちは来年からドイツだからな。何分、これまで馴染みのない言葉故、急いで語学を頭に叩き込まなければならんのでな。要件は手短に頼むのだよ』
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『……っ、そうか。そんなもの、参加するに決まってるのだよ。…そんなもの後回しだ。どの道、集中出来んだろうからな。詳細が決まったら連絡してくれ。それまでに、…最高のコンディションに仕上げておくのだよ』
※ ※ ※
『あれ、赤ちん? どうしたのいきなりー。…ん? また何かやるのー?』
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『……なるほどー、うん、参加するよー。正直、ちょーめんどいけど、…
※ ※ ※
「…はい、はい了解。そんじゃ、詳しい日取りが決まったら連絡するから、よろしくー」
電話を切る空。
「三杉さん、全員と連絡取れました。全員参加してくれるみたいです!」
満面の笑みで頭上で丸を作る空。
「そうこなくちゃな」
それを見てニヤリとする三杉。
「話が決まったなら、場所と日程を決めないとな。とりあえず、各々が今いる場所を考えて、東京近辺のストリートバスケのコートを――」
「話は聞かせていただきました!」
そこへ、何者かが話に割り込んで来る。
「…理事長?」
現れたのは、花月高校の理事長であった。
「その話、是非とも私にも協力させて下さい!」
理事長は、満面の笑みで胸の前でポンっと手を合わせながらそう言ったのだった…。
※ ※ ※
――なあ、あの話、聞いたか?
――あの話?
――知らないのかよ!? 今、SNSで超話題になってんだぜ! これ、見てみろよ。
――どれどれ……!? マジかよこれ!?
――新年早々、とんでもないサプライズじゃないか!?
――これは何としても生で見てえな!
年明け、新しい年が始まって早々、とあるイベントの発表がSNSでされた。
それを知ったバスケファンは歓喜し、瞬く間に拡散され、多くのバスケファンが認知する事となった。
昨年時にプロリーグが開幕され、盛り上がりを見せるバスケットボール。
それに匹敵…あるいは凌駕する程の盛り上がりを見せた、キセキと呼ばれる者達が激闘を繰り広げた高校バスケットボール。
そのキセキ達が高校バスケ…そのほとんどが日本を去ると言う事実に、陰りを見せる…と、思われていた。
――20××年、1月某日。東京総合体育会館にて、試合開催。
TEAM MIRACLE × TEAM KAGETSU
キセキの世代の5人に加え、火神大我と黒子テツヤを加えたチームミラクルと、激戦の末、奇跡のウィンターカップ優勝を成し遂げた花月高校。そこに三杉誠也と堀田健を加えたチーム花月。
その2チームによる特別試合が急遽、告知が為された。
バスケファン達を先のウィンターカップ…いや、それ以上に歓喜させるであろうイベントの発表…。
1つの節目を迎えたキセキ達による激闘、当分は彼らの激突を見られない…、誰もがそう思っていた。
そんな中、発表された大結集させたキセキ達による試合。
――After story…。LAST GAME…。キセキ達による、最後の激闘が、始まる…。
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます…(;^ω^)
本来なら、もう少し早く投稿したかったのですが、理由(いい訳)としましては…。
・最終話を投稿した事で、燃え尽き症候群に陥った事…。
・ようやくモチベーションが上がって来た矢先に体調不良…果てはコロナ感染…。
・何より、最終話前のプチ炎上が思った以上にトラウマだった事…。
以上の事から、本日まで投稿出来ませんでした…m(_ _)m
ようやく、いろいろ乗り越え、ここまで漕ぎつけたので、ここから後日談を投稿……と、行きたい所なんですが、この先の執筆に是非とも必要な資料が見つからないので、投稿は不定期になると思います。
ただ、どんなに遅くとも、LAST GAMEに関しては、2024年の内には書き上げるつもりでいるので、お待ちいただけたらと幸いです…(>_<)
それでは…。
感想アドバイスお待ちしております。
それではまた!