黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

221 / 228

投稿します!

今更だけど、もう2024年の半分終わったのな…(;^ω^)

それではどうぞ!



~本領発揮~

 

 

 

第2Q、残り9分45秒

 

 

花月 14

奇跡 19

 

 

チームミラクルのオフェンス…。

 

「…」

 

ボールを運ぶ赤司。冷静にゲームメイクを行っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『…ねえ赤ちん、俺にボール回してよ』

 

先程の空による宣戦布告の後、紫原が赤司に声を掛けていた。

 

『あいつ…! 捻り潰してやる…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…良いだろう」

 

 

――ピッ!

 

 

赤司がそう呟くと、すぐさまローポストに立つ紫原にパスを出した。

 

 

『来た!!!』

 

『早速やり返す気だ!!!』

 

 

「…来い」

 

「言われなくても…!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

紫原の背中に張り付く堀田。紫原はポストアップで堀田を押し込み始める。

 

「…っ」

 

ガンガン背中をぶつける紫原。しかし、堀田の身体は1ミリも動かない。

 

 

「…改めて驚かされるのう。あの紫原を相手によー涼しい顔で…」

 

ベンチの三枝が、顔色1つ変えずに紫原のポストアップに耐える堀田を見て苦笑する。ウィンターカップでマッチアップした経験から、紫原のパワーが如何に規格外か、身をもって知っているからだ。

 

「じゃが、問題はここからじゃ。紫原には――」

 

 

「…っ、だったら…!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

押し込めない事に焦れた紫原は、ここでスピンムーブで反転。一気に紫原の背後を取った。

 

「おぉっ!」

 

背後を取ったのと同時に紫原はボールを右手で掴み、そのまま回転しながらリングに向かって飛んだ。

 

 

「出た! 紫原の新型の破壊の鉄槌(トールハンマー)!」

 

ベンチの火神が立ち上がる。

 

リングとの距離が空いている時用の破壊の鉄槌(トールハンマー)。従来のものとは違い、ボースハンドではなく、ワンハンドではある為、当然、パワー落ちるのだが、落ちたパワーはスピンムーブで背後を取った時の反動を使う事でカバーしている。

 

 

「むん!!!」

 

 

――バチィィィィィィ!!!

 

 

これに反応した堀田の右手のブロックがボールにぶつかる。

 

 

――グググッ…。

 

 

空中でせめぎ合う2人。

 

「甘いわ!!!」

 

 

――バチィィィィィィ!!!

 

 

「っ!?」

 

しかし、ボールは堀田の右手で弾き出された。

 

 

『なにぃぃぃぃっ!!!』

 

『あのダンクを初見で止めた!?』

 

これには観客も頭を抱えながら驚いていた。

 

 

「本来、ゴール下専用の技をローポスト用に改良した新技。如何にスピンムーブの勢いを利用しようとも、それでも本来のものよりパワーは落ちてしまうが、ポストアップで抑える事に全力を注いでしまえば、例えブロックに間に合っても、体勢は不十分になり、ブロックをする事はままならない。だが、相手がポストアップを跳ね返せる程のパワーを持った健が相手であれば、その後のムーブにさえ、付いて行ければ、ただのパワーの落ちた技でしかない」

 

三杉が解説する。

 

紫原の新型の破壊の鉄槌(トールハンマー)は、紫原のパワーに耐えるのが精一杯か、後のスピンムーブに対応出来なければ絶対的な技だが、その両方に対応出来る堀田には問題にはならなかった。

 

 

「…全く、日本もまだまだ広いのう」

 

この結果に、三枝はただただ苦笑するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

チームカゲツのオフェンス…。

 

「おっしゃもういっちょ! って、行きたい所だが、さすがに2度は厳しいな。…てな訳で、頼みます!」

 

空はパスを出した。

 

「健もエンジンがかかって来たか。…なら、俺もそろそろ動くとするか」

 

ボールは左45度付近のスリーポイントラインの外側に立っていた三杉に渡った。

 

「…来いよ」

 

「もちろん」

 

催促する青峰。三杉は笑みを浮かべながら応える。

 

「…」

 

「…」

 

対峙する2人。三杉は小刻みボールを動かし、ステップを踏みながら牽制し、青峰はその動きに合わせながら対応する。

 

 

『…ゴクリ!』

 

まるで居合の達人同士の如く対峙する2人に、思わず息を飲む観客。

 

「(…来る!)」

 

青峰が三杉の仕掛ける気配を感じ取る。

 

 

――キュッ!!!

 

 

その気配どおりに三杉は切り込み、青峰がこれに対応…だが…。

 

「(左――いや、ちげー!)」

 

仕掛けた三杉に対応しようとした瞬間、青峰が踏みとどまる。左方向へと仕掛けたかのように見えた三杉だったが、これはフェイク。実際は逆方向へと切り込んでいた。

 

「くそっ!」

 

すぐに三杉を追いかける青峰。スピードとアジリティに長ける青峰は、すぐさまその距離を詰めていく。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

青峰の逆を突いた三杉はすぐさまボールを掴む。

 

 

――スッ…。

 

 

そこからステップバックで後ろへと下がり、距離を作ると、すぐさまシュート体勢。

 

「…ちっ!」

 

舌打ちをしながらブロックに飛ぶ青峰。

 

 

――ピッ!

 

 

しかし、三杉はステップバック直後、フェイダウェイで後方へと飛び、かつクイックリリースでボールを放った為、青峰のブロックは僅かに間に合わなかった。

 

 

――バス!!!

 

 

ボールは、バックボードに当たりながらリングを潜り抜けた。

 

 

『スゲー!!!』

 

『何であれで決められんだよ!?』

 

『綾瀬のお家芸のステップバックからのフェイダウェイスリー!!!』

 

『綾瀬のより速いんじゃないのか!?』

 

大地が使うステップバックからのフェイダウェイのスリーに、観客も歓喜する。

 

 

「…いや、厳密には綾瀬の方が速い。三杉のはとにかくプレーに無駄がなく、動きがスムーズなんだ」

 

基本に忠実で、基本の動きを最高峰にまで突き詰めたバスケスタイルであり、型にハマらない青峰とは真逆のスタイル。

 

「ベンチから見ても俺もフェイクに引っ掛かっちまった。まるでタツヤ…いや、それ以上だ…!」

 

同じバスケスタイルである火神の兄貴分である氷室辰也。火神は氷室と比較し、三杉はそれ以上だと断じた。

 

「(だけど今のプレーには何処か違和感を感じた。いったいに何が――)」

 

「――火神君」

 

「…ん? どうした黒子?」

 

火神が考え込んでいると、黒子が話しかけた。

 

「少し気になった事が。…三杉さんって、左利き(・・・)でしたっけ?」

 

「っ!? そうか…!」

 

黒子の質問に、火神は今の三杉の違和感の正体に気付いた。

 

火神の記憶では、三杉はシュート時は右でリリースしていた。だが、今、三杉は左でリリースしていたのだ。

 

「マジ…かよ…」

 

この事実に思わず戦慄する火神。ダンクやレイアップ、あるいは僅かに離れた位置からのフックシュートなど、リングに近い位置でのシュートならいざ知らず、リングから離れた位置からのジャンプシュートは普通は利き手で行うものである。にもかかわらず、三杉は利き手とは逆の手で、しかもスリーを決めてしまったのだ。しかも、ステップバックからのフェイダウェイ、バンクショットのおまけ付きで…。

 

 

「…っ」

 

この事実に気付いた緑間も同じく三杉に対して戦慄していた。

 

「てめえ…!」

 

思わず声を荒げる青峰。

 

「一応言っとくと、実は左利きだった。…何て事は言わないさ。俺の利き手は元々は右だ。これも血の滲むようなトレーニングの末にようやく身に付けたテクニックだ」

 

手を広げるポーズを取る三杉。

 

「おかげで今では利き手と同レベルに扱えるようにまでなった。当然、左で字や絵も書けるし、箸も使える。…今みたいにスリーもね」

 

「…っ」

 

この言葉に、青峰の表情が僅かに曇る。

 

ただでさえ、右とはリズムが違う為に止めにくい左利き。ここから三杉は左右を自在に使い分けて来る。三杉をマークする青峰にとって、手痛いアドバンテージとなる。

 

「これまで退屈させてすまなかった。ここからは思う存分楽しませてあげるよ」

 

そう言って、三杉は微笑を浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――ダムッ!!!

 

 

黄瀬が強引にインサイドにカットインする。

 

「おぉっ!」

 

そのままボールを掴み、リングに向かって飛ぶ。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「っ!?」

 

しかし、リングにボールを叩きつける瞬間、後ろから伸びて来た堀田の手でブロックされてしまう。

 

「行け!」

 

ルーズボールを抑えた三杉が前線に大きな縦パスを出した。

 

「まずい!」

 

思わず緑間は声を上げる。

 

「ナイスパース!」

 

振り返ったそこには、空が既に速攻に走っていたからだ。

 

「…っと」

 

そのままワンマン速攻を決めようとした空だったが、この事態をいち早く察知した赤司が空の前に立ち塞がる。

 

「(まだディフェンスに戻れてるのは赤司だけ。だったら…)行くっきゃねえよな!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

目の前で対峙する赤司に仕掛ける空。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「…あっ!?」

 

再びキラークロスオーバーを仕掛けようとした空だったが、2度目の切り返しの直前に赤司の手でボールが弾かれてしまう。

 

「(やっべ!)」

 

 

「何やってんだよバカ兄貴!!!」

 

ベンチから陸が罵倒する。

 

 

「こんの…!」

 

後方に零れたボールを上半身を後ろに倒れ込ませながら確保する空。

 

「空!」

 

「頼む!」

 

その体勢のまま、横へと走り込んだ大地にパスを出す。

 

「行かせん!」

 

大地にボールが渡るのと同時に緑間が大地の前に立ち塞がる。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

大地はすぐさま緑間に対してドライブで仕掛ける。

 

「…っ」

 

このドライブに緑間も反応し、追いかける。だが…。

 

 

――キュキュッ…ダムッ!!!

 

 

直後に大地は急停止、同時にバックステップで下がり、緑間との間に距離を作るのと同時にボールを掴み、シュートモーションに入る。

 

「ちぃ!」

 

打たせまいと緑間がすぐさま距離を止め、ブロックに飛ぶ。

 

 

――スッ…。

 

 

「っ!?」

 

しかし、大地は飛ばず、アップ&アンダーでステップインをし、ブロックに飛んだ緑間を掻い潜るようにかわし、ここで改めてシュートモーションに入る。

 

「大地!」

 

「っ!?」

 

空が大声で大地を呼び、シュートを中断してパスへと切り替える。

 

「…っ」

 

そこには、大地の後ろからブロックを狙っていた黄瀬がおり、思わず表情が曇る。

 

「健!」

 

ボールを受け取った三杉はローポストに立った堀田にパスを出す。

 

「捻り潰す!」

 

その背中には紫原が張り付く。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ポストアップで押し込み始める堀田。

 

「…っ!」

 

紫原は歯を食い縛り、表情を歪ませながらこれに耐える。

 

「(ほう、これに耐えるか。ならば、これはどうする?)」

 

 

――スッ…。

 

 

堀田はフロントターンで紫原の背後を取り、ボールを掴んでシュート体勢に入る。

 

「…っ! 次は止めてやる!」

 

すぐさま紫原が反応し、ブロックに飛ぶ。

 

「っ!?」

 

しかし、堀田は飛んではおらず、頭上にボールを掲げた所でボールを止める。

 

 

――スッ…。

 

 

そこからブロックに飛んだ紫原をかわすように再度反転する。

 

 

――バス!!!

 

 

そのままフックシュートを放ち、得点を決めた。

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!! 何だ今の!?』

 

『華麗なステップワーク! パワーだけじゃないぞ!?』

 

 

「健はパワーだけじゃないよ。こういったテクニックや駆け引きも得意なんだ」

 

解説をするように呟く三杉。

 

「くそっ!」

 

再びしてやられてしまい、紫原は悔しさを露にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「…くっ!?」

 

天野をかわし、ジャンプシュートを放った緑間だったが、一気に距離を詰めた堀田によってブロックされる。

 

 

『スゲー!!! また堀田のブロックだ!!!』

 

 

「続けてもう1本! …は、さすがに甘くねえか」

 

ルーズボールを拾った空が再び速攻を駆けようとしたが、チームミラクルはいち早くディフェンスに戻った為、断念した。

 

「三杉さん!」

 

フロントコートまでボールを運んだ空は、三杉にパスを出す。

 

「…次は止める」

 

左ウィングの位置でパスを受けた三杉。そこへ、集中力を高めた青峰が対峙する。

 

「(右か…左か……いややめだ。考えても答えは出ねえ。だったら、直感で食らいつくだけだ)」

 

動きの予測を諦めた青峰は、自然体に構え、三杉の動きに対応するディフェンスに切り替えた。

 

「…」

 

 

――ピッ!

 

 

暫しボールを持ったまま対峙していた三杉。三杉は1度空にボールを戻す。

 

「?」

 

仕掛けて来るとばかり思っていた青峰はこの行動に戸惑い隠せない。

 

 

――スッ…。

 

 

パスを出した三杉はすぐさま中に走り込む。

 

「来い!」

 

ハイポストのポジションを取った三杉が再びボールを要求する。

 

 

――ピッ!

 

 

要求に応じ、空は三杉にリターンパスを出す。

 

「どういうつもりだ?」

 

ハイポストでリングに背を向けた状態でボールを受けた三杉に対し、背中に張り付くようにマークした青峰だが、三杉の思惑が理解出来ず、思わず尋ねる。

 

「こういう事さ」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

青峰を背負う形でハイポストでボールを受けた三杉は、ポストアップで押し込み始める。

 

「っ…ぐっ…!」

 

意表を突いた三杉のポストアップに、青峰は押し返す事が出来ず、徐々にインサイドへと押し込まれてしまう。

 

 

――スッ…。

 

 

ローポストまで押し込み、青峰がバランスを崩した所で三杉がフックシュートの体勢に入る。

 

「ああもう! 峰ちん何やってんの!」

 

これを見た紫原がヘルプに飛び出す。

 

「待て、行くな!」

 

直後に赤司が紫原に制止をかける。

 

「っ!?」

 

ここで紫原は気付く。三杉が飛んでいない事に…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

紫原が飛び出したのを見て三杉がスピンムーブで反転。紫原をかわしてリングに向かって飛ぶ。

 

「させん!」

 

しかしそこへ、緑間がヘルプに現れ、三杉とリングの間に割り込む。

 

 

――スッ…。

 

 

しかし、三杉はシュートには行かず、ボールを外へと放った。

 

「ナイスパス!」

 

放ったボールは右隅に移動した大地へ。

 

「っ!?」

 

思わず目を見開く緑間。

 

「…っ」

 

大地をマークしていた黄瀬は、天野のスクリーンに捕まっていた。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ノーマークでボールを受けた大地は、悠々とスリーを決めた。

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

『チームカゲツが止まらねえ!!!』

 

 

「…っ」

 

自分から崩され、失点に繋がった事に歯を食いしばって悔しがる青峰。

 

「君の型にハマらないストリートバスケのテクニックには目を見張るが、アメリカ(向こう)では、派手なプレーより、こういったシンプルなプレーの方が多用される」

 

「っ!?」

 

ハッと顔を上げる青峰。そこに三杉が立っていた。

 

「この程度のポストアップを跳ね返せないようじゃ、アメリカではいい的になるだけだぜ」

 

そう告げ、三杉はディフェンスに戻っていった。

 

「……クソがっ!」

 

怒りのあまり、思わず青峰は叫ぶ。言葉を吐き捨てた三杉にではなく、不甲斐ない自分自身に腹を立てて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「おいおいおい、何だよありゃ? 青峰の奴、全然なってねえじゃねえか」

 

青峰の身体の使い方を見た若松が額に手を当てる。

 

「思い返せば、青峰はああ言った背中ぶつけてゴリゴリに攻めて来るインサイドプレーヤーとやる事ってほとんどなかったな」

 

隣に座る諏佐がかつてチームメイトとして戦った時の事を思い出す。

 

「あいつは分かりやすいエース格としかやりたがらなかったですからね。つうかあいつ、4番の癖にやってる事は実質3番…ぶっちゃけ、3番よりの2番って感じじゃなかったでしたっけ?」

 

4番のポジションを任されていた青峰だったが、その役割3番に近く。オフェンスでは外から中へ仕掛ける事が多く、ディフェンスでは基本、相手のエースとマッチアップする事が主だった為、インサイドプレーヤーとマッチアップする事は基本的になかった。

 

「無敵やと思っとった青峰にも、思わぬ弱点があったみたいやな」

 

薄く笑みを浮かべながら今吉翔一が呟く。

 

「弱点って言う程のものですか? あいつ、フィジカルだって相当ですよ?」

 

「確かにのう。…けどそれはあくまで、日本のレベル(・・・・・・)での話や。三杉、それこそ、アメリカレベルからすれば全然足りひんって事やろ」

 

「マジですか…」

 

スピードとアジリティに焦点が当たりやすい青峰だが、パワーも相応に備わっている。その事は若松も理解していた。それ故に、今吉翔一の言葉に戦慄したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

『チャージドタイムアウト、チームミラクル()!』

 

ここで、チームミラクルのタイムアウトがコールされた。

 

「…フゥ」

 

チームミラクルベンチの景虎が神妙な表情でベンチの前で胸の前で腕を組みながら立ち、深い溜息を吐く。

 

両チームの選手達は、ベンチへと戻っていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

第2Q、残り6分36秒

 

 

花月 26

奇跡 23

 

 

チームミラクルベンチ…。

 

『…っ』

 

表情が曇るチームミラクルの選手達。

 

第2Qに入り、目に見えてチームカゲツの勢いに押されているからだ。

 

「さてと…、向こうもエンジンかけてきたな」

 

選手達の前で腕を組みながら立つ景虎。

 

「どうだ? 青峰、紫原」

 

三杉と堀田のマッチアップをする2人に尋ねる。

 

「あ? そうだな…、率直に想像以上だ。正直、止めんのはきついな」

 

そう言ってタオルで汗を拭う青峰。

 

「おい、らしくねえ事言ってんじゃねえぞ青峰――ぷはっ!」

 

弱気な言葉に思わず言葉を荒げる火神に青峰は持っていた倒れを顔に投げつける。

 

「ギャーギャー騒ぐんじゃねえ。…勝てるかどうか分からねえ。…ハッ! だからこそ面白れぇんじゃねえか。やっぱ、バスケはこうじゃねえとな」

 

ニヤリと満足気に青峰は笑った。

 

「あーもう! どうもこうもないよ。堀田(あいつ)ホントムカつく! 絶対に捻り潰してやる!」

 

紫原は不機嫌な様相ではちみつレモンを口にした。

 

「ハッハッハ! そうかそうか!」

 

心が折れる所かより戦意を高めた2人を見て満足そうに笑う景虎。

 

「とは言え、現状あの2人…特に堀田をどうにかしねえとな」

 

インサイドは堀田に実質占領されており、堀田をどうにかしなければ相手に良いリズムを与える事になってしまい、点差はさらに広がるばかり。

 

「ただまあ、今のメンバーじゃちょっと馬力不足だな。てなわけで、…火神を入れる。下がるのは…」

 

景虎は緑間に視線を向ける、が、すぐに視線を外し…。

 

「赤司だ」

 

『っ!?』

 

この選出に選手達は驚く。何せ、このチームで唯一の本職の司令塔だからだ。

 

「ボール運びは黄瀬に任せる。お前ならやれるはずだ。緑間は黄瀬のサポートだ。状況によっては2人でボールを運べ」

 

「(…コクリ)」

 

「分かりました」

 

黄瀬と緑間は頷く。

 

「あのさあ、わざわざ火神なんか入れなくても、あいつは俺がやるって言ってんじゃん」

 

この采配に紫原が不服とし、不機嫌そうに抗議する。

 

「まあそうカッカすんな。何もお前が堀田より劣ってるからそうする訳じゃねぇ」

 

苛立つ紫原を諫める景虎。

 

「だったら――」

 

「――聞き分けろ、紫原」

 

尚も食い下がる紫原に、赤司が横から口を挟む。

 

「この試合において、1番勝敗を左右させるのはお前だ。お前がコートに立てなくなった時点で、勝率は大きく下がると言ってもいい」

 

「…」

 

「ここまでの試合の流れを見て、お前の負担が大き過ぎる。今のままじゃ、試合終了まで保たないか、例え保っても終盤の勝負所でパフォーマンス能力が落ちる。そこらの者が相手ならともかく、堀田()を相手にそれは致命的だ」

 

「…」

 

「全てはこの試合に勝つ為だ。1人の勝利とチームの勝利。どちらが大切か等、今更問われなくても良く分かっているだろう?」

 

「…っ。分かったよ」

 

赤司に諫め、宥められ、紫原は渋々納得した。

 

「と言う訳だ。本当なら黒子も一緒に出したい所だが…」

 

そう言って、景虎は黒子をチラリと見る。

 

「…」

 

「黒子はここで出すにはまだ時期尚早だ。中盤以降…それこそ勝負所で必ず黒子の力が必要になる。それまでは黒子は温存する。てな訳で、それまではチームカゲツ(あいつら)はこの6人で跳ね返すぞ」

 

『おう!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

チームカゲツベンチ…。

 

「…うむ、悪くない展開だ」

 

ベンチに座る選手達。その前に立った上杉が頷く。

 

「ハッハッハッ! やっぱあんたらスゲーな!」

 

ベンチに並んで座る三杉と堀田の後ろに立ち、嬉々として2人の肩を叩く陸。

 

「さっきまであんなオタオタしてた癖によう。…ってか、口の利き方に気を付けろこのバカ野郎が!」

 

「あだっ!」

 

そんな陸に、空が諫めなら持っていたペットボトルを投げつけた。

 

「じゃが、このまま行けるとは思えませんのう」

 

「当然だ。あいつらはそんな手ぬるい相手ではない。何より、向こうにはトラもいるからな」

 

龍川が上杉の横に並び、上杉に話しかける。

 

「ショウ。お前が向こうの監督なら、どう動く?」

 

「そうじゃのう…、まずはインサイドの主導権を取り返さんと話しにならん。インサイドの強化、…火神を投入するかのう」

 

尋ねられた龍川は、顎に手を当てながら自身の考えを口にする。

 

「交代は緑間…いや、赤司を下げるのも面白いのう。黄瀬や緑間もボール運びは出来るじゃろうし、これで高さもパワーも確保出来る」

 

「俺も同意見だ」

 

龍川の予想に、上杉も同様の見解を導き出しており、ニヤリと笑い、選手達に振り返った。

 

「向こうがインサイドを強化してくるのなら、こちらも動いてみるか」

 

「よろしいんですか? 現在、こちらは良いリズムを築けているんですよ?」

 

上杉の考えに、姫川が口を挟む。

 

「だからこそだ。困り果て、対策を敷いて来る相手をさらに困らせるのもまた一興だ。…三枝」

 

「なんでしょう?」

 

「綾瀬と交代だ。インサイドを中心にガンガン仕掛けていけ」

 

「了解じゃ! 任せえ!」

 

指示を受けた三枝はニヤリとしながら返事をした。

 

「よっしゃ、久しぶりに海兄と一緒に戦える! まあ大地はしばらくお預けだな。少し休んでろよ」

 

ニコニコしながら空が大地の肩をパンパンと叩く。

 

「神城、お前も交代だぞ」

 

「えっ、俺も!?」

 

まさかの言葉に空が思わず声を上げる。

 

「ボール運びは三杉に任せる。やれるな?」

 

「はい、任せて下さい」

 

「えー、せっかく自由にバスケが出来て楽しくなって来たってのに…」

 

不満気に文句を言う空。

 

「代わりに入るのは――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

タイムアウト終了のブザーが鳴る。

 

「よし、行って来い!」

 

『おう!!!』

 

景虎の号令の下、チームミラクルの選手達がコートへとやって来る。

 

 

 OUT 赤司

 

  IN 火神

 

 

チームミラクルは赤司がベンチに下がり、火神がコート入りをする。

 

 

「さあ、行こうか」

 

『おう!!!』

 

対して、チームカゲツの選手達もコートへと戻って来る。

 

 

――ざわ…。

 

 

次の瞬間、会場が騒めきに包まれる。

 

ベンチには、交代を告げられた空と大地がユニフォームの上からシャツを着て座っている。

 

2人の代わりにコート入りをするのは三枝と――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハーハッハッハッ!!! 真打登場!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豪快に笑い声を上げながら、空の弟である陸が、コートへと足を踏み入れたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





と言う訳で、ここでとりあえず締めです。

番外のこの試合は、本編の試合のように長編にはせず、短くパパっと書き上げるつもりだったのですが、この分だとまた長くなりそうかも…(;^ω^)

普段の試合だと、キセキを冠するキャラを立たせるため、超人化させたり、はたまた他のキャラを引き立て役にする必要があったのですが、この試合はもれなく全員がキセキをなので、結果、普通の試合のように出来るのがありがたい反面、空気なキャラを作れないのが難しい所ですね…(>_<)

さて、次の投稿はいつになるやら…。

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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