投稿します!
サボりまくってすみません…(;^ω^)
それではどうぞ!
第2Qに入り、チームカゲツが反撃を開始。
第1Qで積み上げたチームミラクルのリードはたちまち消え、逆転を許してしまった。
たまらずチームミラクルの監督である景虎はタイムアウトを取り、流れを切る。
そしてメンバーチェンジを経て、試合は再開されるのであった…。
※ ※ ※
第2Q、残り6分36秒
花月 26
奇跡 23
タイムアウトが終わり、両チームの選手達がコートへと戻って来る。
『待ってました!!!』
試合再開を待ちきれない観客が沸き上がる。
『おい、見ろよ!』
コートに戻ってきた選手達を見た観客の一部が騒ぎ出す。
OUT 赤司
IN 火神
『赤司が下がってるぞ?』
『誰がボールを運ぶんだ?』
チーム唯一とも言える、PGが正ポジションである赤司がベンチに下がり、戸惑いの声を上げる観客達。しかし…。
OUT 空 大地
IN 三枝 陸
『カゲツの方もメンバーチェンジだ。…って』
『謎の10番だ!』
『三枝は知ってるけど、あの10番は知らねえんだよな。…誰か知ってるか?』
『知らねえ。少なくとも、前回のインターハイやウィンターカップでは見た記憶はないな』
『この試合に招待されてるぐらいなんだから、あいつも相当やるって事だろ?』
『どれほどの実力者なんだ?』
コート入りをした陸を見て、観客席からは戸惑いと同時に興味を示す声がチラホラ飛び交った。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「ハーハッハッ!!! こっからが本番だぜ!!!」
盛大に笑い声を上げながら額にヘッドバンドを付けた陸。
「調子に乗りやがって…」
そんな陸を見て、頭を額に手を当てる空。
「フフッ、不安ですか?」
「あたりめーだろ」
不安がる空を見て、大地が微笑ましく笑う。
「なんやなんや、喧しいやっちゃな。まるで若松やな」
「俺、あそこまでじゃないでしょ!?」
ポツリと呟く今吉翔一に、若松がショックを受けながらツッコむ。
「…っ」
陸を、苦虫を嚙み潰したような表情で見つめる福山。
「? どうかしたのか?」
そんな福山に気付いた諏佐。
「えっと、実は…」
過去、桐皇に陸がやって来た際の出来事を説明する桜井。
「ほー、1ON1で。ディフェンスはともかく、オフェンスで福山を圧倒出来るって事は、かなりやるって事か」
福山のオフェンス能力は、あのキセキの世代とも張り合えるレベルとも称される為、素直に感心する諏佐だった。
「遂に出て来たわね」
チームミラクルのベンチに座る、アシスタントコーチであるリコ。
「神城陸君。星南中学校の2年生。去年の全中大会でチームを優勝に導いた実力者…」
桃井が持っていたノートを開き、説明する。
「(ユニフォーム越しだから正確な数値は測れないけど、単純な肉体の数値の平均値は今の時点でも高校に入学した直後の火神君を超えてる! もしかしたら、当時のキセキの世代よりも…!)」
自身の目で陸を観察し、弾き出した数値に驚愕するリコ。
「桃井、彼はどんな選手か分かるか?」
横に座った赤司が尋ねると、桃井はノートをめくる。
「えっと、全中大会での平均スタッツは、得点は36.3、アシストは10.2、スティールは11、リバウンドは11.5、ブロックが5を記録しているわ」
「ほう、1試合の結果ならいざ知らず、平均スタッツでクアドルプル・ダブルか。それだけあの坊主が飛びぬけていたって事か」
このスタッツには景虎も驚いた。
「(試合時間が32分しかない中でこのスタッツ。少なくとも、高い身体能力に豊富なスタミナを有していると言う事か…)」
このスタッツを聞いた赤司がこう分析する。
「ここまで全体の平均スタッツが高いって事は、オールラウンダーなのかしら?」
「…いえ、神城陸君の選手としての性格は、大ちゃんに近いみたいなので、本来は積極的に1ON1を仕掛けて得点を稼ぐスコアラーのはずです。恐らくですが、星南中の監督である龍川監督が、得点だけに偏らないように仕向けたんだと思います」
「だろうな。あれだけの逸材だ。先の事を考えれば、今の内に徹底的に基礎を叩き込むのが先決だ。俺でも同じ事をさせるだろうよ」
景虎も、桃井の分析に頷いた。
「とは言え、いくら公式戦でもなんでもねえ、祭りのような試合だっつっても、思い出作りや経験積ませるだけに、才能だけの実力不足の選手を出して試合をぶち壊すとも思えねえな。…肝心なのは、あいつが
そう呟き、景虎はコートへと視線を移したのだった。
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・・・・
両チームの選手達がコート上へと散らばっていく。
『っ!? てか、今気付いたけど…』
その時、観客の1人がコート上の選手達のとある変化に気付く。
TEAM MIRACLE
PG:黄瀬涼太 195㎝
SG:緑間真太郎 197㎝
SF:青峰大輝 197㎝
PF:火神大我 196㎝
C:紫原敦 213㎝
TEAM KAGETSU
PG:三杉誠也 193㎝
SF:神城陸 190㎝
PF:天野幸次 194㎝
FC:三枝海 201㎝
C:堀田健 208㎝
『どっちもデカくないか!?』
両チーム共、190㎝以上の選手を揃えた超大型ラインナップを目の当たりにし、観客席がどよめき始めた。
『スゲー! こんな布陣組めるのかよ!?』
『NBAかよ!』
「こっちの目論見はお見通しみたいッスね」
相手チームを見て呟く黄瀬。
「ああ。それと、遂に出て来たな」
火神が相手チームの1人、陸に視線を向ける。
「まだ中坊だって話だったが、ここでデカいだけのへぼい奴を出してくる訳がねえ。…マーク、誰がする? とは言っても、紫原は堀田から外せる訳がねえし、三枝は…この中じゃ、俺がマークするしかないだろうから、後は黄瀬か緑間か青峰だが…」
現状、チームミラクルのディフェンスはマンツーマン。誰かが陸のマークをする必要がある。
「俺は三杉以外とやり合うつもりはねえ」
即座に青峰が拒否する。
「だったら俺がするッスよ。どれだけやるか、俺興味あるんスよね」
黄瀬が名乗りを上げた。
「黄瀬、お前は慣れないボール運びをしなければならない事を忘れるな。余計な事に意識を割くべきではないのだよ」
そんな黄瀬を緑間が制止する。
「俺がマークするのだよ」
「…それが無難そうだな。んじゃ、任せるぜ」
火神が緑間の肩に手を置きながら頷く。黄瀬は軽く肩を竦めるも、異議を唱える事はなく、他の3人も反論しなかった。
「緑間」
5人がコート上に散らばろうとした時、青峰が緑間に声を掛ける。
「舐めてかからねえ方がいいぞ」
「…確か、お前は面識があったのだったな。無論、油断などせん。人事を尽くすのだよ」
忠告を胸に刻み、緑間はポジションに付いたのだった。
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・・・・・・・
・・・・
「さあ、行くッスよ!」
ボールを受け取った黄瀬がボール運びを始める。
「おら! 寄越せ黄瀬!」
「黄瀬ちん、パス!」
青峰と紫原がボールを要求する。
「(やる気満々ッスね、あの2人…)」
胸中で苦笑する黄瀬。
「(さて、どうするか。敢えて自分で仕掛けるのもありッスけど…)」
ここで黄瀬がとある方向にチラリと視線を向ける。
「(2人には申し訳ないッスけど、やっぱ、まずはここしかないでしょ!)」
――ピッ!
攻め手を定めた黄瀬がパスを出す。
『おっ、早速キタ!』
パスの先を見た観客が声を上げる。
「へっへっへ、あのイケメンのあんちゃん、分かってんじゃん」
「…」
パスを受けたのは緑間。緑間は左ウィングの位置でボールを受け取った。そして、その緑間に立ち塞がったのは陸。
「やっぱ来たか」
ベンチの空が神妙な表情で呟く。
「…」
ボールを小刻みに動かし、左足でジャブステップを踏む緑間。
「…」
スイッチを入れ、緑間の動きに合わせてリズムを刻む陸。
――スッ…。
数度ステップを踏んだ後、緑間は切り込むのではなく、シュート体勢に入る。
『いきなりスリー!?』
「…っ!」
これを見た陸は、頭上にリフトさせようとしたボールにすかさず手を伸ばす。
――ダムッ!!!
だがこれはフェイク。緑間はスリーを中断し、ドライブで中に切り込んだ。
『うぉっ、フェイクかよ!?』
『鮮やか! スリー以外もレベルが高い!』
「…むっ」
仕掛けた直後、唸り声を上げる緑間。
「っと、何か嫌な予感がしたんだよな」
このドライブに陸は対応、右手を伸ばし、緑間の進路を塞ぐ。
「(…この感じ、どうやらこいつは読みではなく、勘や直感で動くで動くタイプか)」
今のワンプレーで陸のディフェンスとしてタイプを判断した緑間。
――ダムッ…ダムッ!!!
陸が進路を塞ぐのと同時にレッグスルーで左右に切り返すのと同時にボールを掴み、ステップバックで陸との距離を作り、改めてシュート体勢に入る。
「…っ、やろ!」
出来た距離をすぐさま詰め、ブロックに飛んだ陸。
「バカ野郎、フェイクだ!」
これを見たベンチの空が思わず声を出す。
「あっ!?」
ここで陸も気付いた。緑間はボールを掴むも飛んでいない事に。
――ザシュッ!!!
悠々と陸をかわした緑間がジャンプシュートを決めた。
花月 26
奇跡 25
「へぇー、緑間の奴、スリーだけじゃねえ事は知ってたが、以前より圧倒的にキレが増してんな」
一連の流れるようなプレーを見た宮地(兄)が感心する。
「そりゃ、3番のポジションにコンバートするのに相当練習してましたからね」
ケラケラと笑う高尾。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「…」
攻守が入れ替わり、三杉がボールを運ぶ。
「…」
フロントコートまでボールを運ぶと、青峰が立ち塞がる。
「さて…」
どう攻めるか…。三杉が攻め手を定める。
「パスパース!!!」
その時、右ウィング付近にポジションを取った陸が両腕をブンブン振りながらボールを要求。
「うるせーガキだ」
「フフッ」
げんなりする青峰と、笑みを浮かべる三杉。
「倍返し倍返し!!! 俺にボール下さいよ!!!」
「やれやれ…」
嘆息しながら三杉が身体を陸のいるほうに向ける。
――ピッ!
同時に三杉がパスを出す。だが、ボールは陸ではなく、ハイポストに立った三枝。
「っ!?」
ボールは、青峰の顔の横スレスレを剛速球で通過する。青峰は咄嗟に手を出すも紙一重でボールに触れられなかった。
「おーし!」
――ガシィィィッ!!!
咆哮と共に背中に張り付くようにディフェンスに付いた火神に背中をぶつける。
「ぐっ…!」
背中越しに伝わる三枝の圧力。ゴール下に押し込まれないよう、火神は歯を食い縛って堪える。
「やるのう! ワシをここで押し止めるか!」
ハイポストに釘付けにされ、三枝は感心する。
――スッ…。
ボールを掴んだ三枝がフロントターンで火神の横にズレ、ボールを頭上にリフトさせる。
「…っ! やろ…!」
すぐさま火神が追いかけ、ボールに手を伸ばす。
――スッ…。
しかし、三枝はボールを止めると、逆再生かのごとく、元いた位置に再びターン。すぐさま後方に飛びながらジャンプシュートの体勢に入った。
「くそっ!」
慌てて追いかけ、ボールに手を伸ばした火神だったが、紙一重でボールに届かず…。
――ザシュッ!!!
ボールはリングを潜り抜けた。
花月 28
奇跡 25
「あれが紫原と張り合ったちゅう男か」
観客席の岡村。
「純粋なスペックは紫原には劣るやもしれんが、技や駆け引きの豊富さは見事じゃのう」
一連のプレーを見て、高い評価をした。
「へぇー、あれが噂の…、次々へと出て来るもんだな」
葉山も感心していた。
「あれで3番のプレーもこなせて、外もあるって話よ。…パワー一辺倒の何処かの誰かとは大違いね」
隣にジト目を贈る実渕。
「ハッ! ちょこまか小技に逃げやがってよ。筋肉がありゃ、全て解決すんだよ!」
腕の筋肉を隆起させる根布谷。
「あなたねえ、それで去年の大学リーグで結構やられてたじゃない。少しは彼のプレー見て勉強しなさいな」
嘆息する実渕だった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
続くチームミラクルのオフェンス…。
――ザシュッ!!!
「あっ!?」
緑間のスリーが決まる。
「バカ野郎、緑間さんはシューターだって口が酸っぱくなる程言っておいたのによ…」
頭を額に手を当てる空。
「緑間さんは青峰さんや黄瀬さん程、派手さはありませんが、技は多彩でハイレベルであり、駆け引きも豊富です。陸さんにとっては、1番やり辛い相手かもしれません」
陸をフォローする大地。
「(マジか、あっさりちぎられた! 何とかなると思ってたけど、こいつ、スリーだけじゃねえ!)」
陸も当然、緑間の事は事前に研究していた。コート上の何処からでもスリーを決められ、スリーポイントラインから2メートルまでの距離ならクイックモーションでも決めて来る。だが、それ以外のプレーに関してはそこまででもない。これが陸の認識だった。
「緑間っちがスリーだけの選手だったら、俺達と同列の扱いされてないッスよ」
そんな陸の胸中を察した黄瀬だった。
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・・・・・・・
・・・・
その後、チームミラクルは緑間にボールを集め、攻め立てる。
――ザシュッ!!!
緑間が外あるいは中から仕掛け、得点を重ね、自身にヘルプやマークが集まればパスを出し、起点になる。
――バシィィッ!!!
「あっ!?」
ボールを持った陸がシュート体勢に入ろうとするも、頭上にリフトさせようとしたボールを緑間が叩き落した。要所で陸にボールを渡し、仕掛けるも、緑間が陸を完全に抑え込んでいた。第2Qに入って、安定して得点を重ねていたチームカゲツだったが、陰りが見え始める。これにより、チームミラクルが流れを掴むかと思われたが…。
――バチィィィッ!!!
「「っ!?」」
リバウンド争い。堀田と三枝がそれぞれ紫原、火神を押し退け、堀田が抑えた。
インサイドを強化の為に火神を投入したが、それを見越して三枝を入れた為、これまで変わらず、インサイドはチームミラクルが制圧していた為、完全に流れに乗り切れなかった。
『あの10番、この試合のメンバーに選ばれるくらいだから結構やれるのかと思ってたけど、全然じゃん』
『ああ、あの10番が足引っ張りまくってるよな』
『ホント、冷めるよな』
観客からも溜め息、あるいは、陸に対する非難の声もチラホラ飛び交い始めていた。
「おーおー、手厳しいのう、あれでもよーやってる方やで」
そんな声を聞き、苦笑する今吉翔一。
「ああ。周りが化け物だらけだから霞んじまうが、あの10番、高校生レベルじゃ、全国でもなかなかお目にかかれねえレベルだ。正直、大学でもやっていけるぜ」
同様に、笠松も高く評価していた。
「…っ、クソがっ!」
思わず悪態を吐く陸。現状、自分が足手纏いになっているのが理解出来ているからだ。
「…」
そんな陸に視線を向ける緑間。
「(確かに、純粋なセンスだけで言えば、俺達と同格。単純な実力にしても、全中三連覇を決めた時の
マークする緑間も、陸を高く評価はしていた。
「おいお前」
「ああ!?」
陸に話しかける緑間。対して陸は、苛立ち気に応える。
「悪い事は言わん。今すぐ交代を申し出るのだよ」
「っ!?」
「才能は認める。お前はいずれ、俺達と肩を並べる選手になるだろう。だが、今の時点のお前は、このコートに立つには実力不足なのだよ」
非情な言葉をぶつける緑間。
「こっちは負ける気は毛頭ない。穴や弱点は徹底的に突く。これ以上、試合を壊したくないのなら、交代を志願するのだな」
そう言い残し、緑間は離れていった。
「ちっ…くしょうが…!」
怒りと悔しさのあまり、思わず拳と歯をきつく結ぶ陸であった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
第2Q、残り26秒
花月 34
奇跡 45
第2Qも残り僅か。点差は着実に広がり、チームミラクルが点差を二桁まで広げていた。
「…っ」
表情を歪ませる陸。逆転を許し、ここまで点差が広がった原因が自分にあったからだ。
『もういい加減引っ込めよ! 兄のコネで試合に出やがってよ。お前のせいで試合がつまらなくなってんだよ!』
遂に、観客から聞くに堪えない野次が陸に向けて放たれた。
「んだとコラァッ!!!」
しっかりと野次が耳に届いた陸が野次が飛んで来た方向を向いて激昂する。
「やめい」
そんな陸に、三枝が後ろから後頭部を押さえつける様に手を乗せた。
「言われて当然のプレーをしとるのはおどれじゃ。気に食わんなら言葉やのうてプレーで示さんかい」
ギロッと睨みを利かせながら言い含める三枝。
「…っ、分かったよ」
痛い所を突かれ、何とか頭を落ち着かせた陸。
「監督、陸君を1度下げた方が良いのでは?」
そう進言するのはチームカゲツベンチの姫川。
「幸い、インサイドは三枝さんのおかげでこちらが優位に動いています。空か綾瀬君を投入した方が…」
「…うむ」
この進言に、上杉が暫し思案する。
「…」
その時、ここまで試合を見守っていた龍川がすくっと立ち上がり…。
「陸! もうええ! 自由にやれぇぃ!!!」
コート上に轟く程の声量でそう指示を出した。
「えっ!? 良いの!?」
その指示を聞いた陸が聞き返す。
「構わん! 解禁せぇ!!!」
陸の問い返しに、そう返したのだった。
「ハハッ!」
これを聞いた陸が表情をニヤリとさせた。
「バカ野郎!!! 余所見してんじゃねえ!!!」
その時、空がベンチから指を差しながら声を張り上げた。
「あっ、やっば…!」
状況を理解した陸。龍川とのやり取りの間に緑間がフリーでボールを受け取っていたのだ。
「もらうのだよ」
スリーポイントライン、1メートル程離れた位置。フリーでボールを掴んだ緑間が、悠々とシュート体勢に入った。
完全フリーでこの距離からの緑間のスリー。誰もがこのスリーを沈めると、そう思っていた。この会場にいる誰しもが…。
――バシィィッ!!!
「――なっ!?」
大きく目を見開く緑間。ボールを頭上にリフトさせようとしたボールが叩かれたのだ。
「(バカな、誰が!?)」
完全にフリーなのを確認しており、間に合うはずがないが状況。
「…ふぅ、あっぶねぇ」
したり顔の陸。
「なんだと!?」
ボールを叩いた者の正体に、緑間が再び驚愕する。
「(何故こいつが!? ボールを掴んだ時点で3メートル以上は離れていたはずだ!?)」
ボールを掴んだ時点で1番、緑間の近くにいたのは陸であったが、それでも3メートルは離れた位置にいた。そんな距離からシュート体勢に入った直後ならまだしも、ボールを頭上に掲げる前にボールを叩けるのは、それこそ空か青峰でなければあり得ないはず。
「よし、良くやった陸君」
ルーズボールを拾った三杉が、そのままワンマン速攻に走る。
「ヤバい、戻れ!!!」
これを見た火神が声を張り上げ、ディフェンスに戻る。チームミラクルで1番後ろにいた緑間がスティールされた為、三杉の前には誰もいないのだ。
「…ちっ、やらせっかよ」
スリーポイントラインの直前で三杉を捉えた青峰が進路を塞ぐ。
「ナイス青峰! そのまま時間を稼げ!」
「あっ? 奪い返すに決まってんだろ」
火神の言葉を一笑した青峰が三杉に立ち塞がる。
「…」
さすがにリングまで距離があった為、ドリブルを止めた三杉。
「三杉さーん!!!」
そこへ、先程ボールをスティールした陸が2人の横を駆け抜ける。その瞬間、陸はリングを指差した。
「…そうか。分かった、やってみせろ」
意図を理解した三杉がリング付近にボールを放った。
「っ!?」
青峰が目を見開きながらリングの方へ振り返る。
「ナイスパース! いただきだぜぇ!!!」
ボールが放たれたのを見て陸がリングに向かって跳躍した。
『はっ!?』
『おいおいマジかよ!?』
これを見た観客が驚きの声を上げる。
リング付近に放ったボールにそれに飛び付く陸。何をやろうとしているのは一目瞭然。しかし、観客が驚いているのは…。
『あいつ今、
そう、陸は、フリースローラインから踏み切っていたのだ。
――バチィッ!!!
陸の右手に収まるボール。
「おらぁ!!!」
右手に収まったボールをリングに振り下ろす。
「させるかよ!!!」
そこへ、火神が陸とリングに間に割り込むようにブロックに現れた。
「たっか!? けど関係ねえ! だっしゃおらぁ!!!」
――バキャァァァッ!!!
「がっ!?」
しかし、陸は火神のブロックもお構いなしに、リングにボールを叩き付けた。
「よっと」
軽く掴んだリングに揺られた後、着地する陸。
『…』
静まり返る会場。
『おぉぉぉぉーーーっ!!!』
次の瞬間、会場が割れんばかりに歓声に包まれた。
「…火神っちを吹き飛ばした?」
助走の勢いがあったとは言え、火神を吹き飛ばした事に驚く黄瀬。
「あと、その前の緑間っち!」
続いて緑間の方へ振り返る黄瀬。
「(あん時と同じだ。あの距離を一瞬で潰したスピードと、ダンクの瞬間の突然のパワーアップ。…だが、ここから見ても分からねえ。あのガキ、何をしやがった)」
かつて、桐皇学園で陸との1ON1を思い出した青峰。
「なるほど、あれがお前の言葉の真意か」
青峰の下に歩み寄った緑間が問いかける。
――舐めてかからねえ方がいいぞ。
タイムアウト終了直後、青峰が緑間にかけた言葉。
「面白いのだよ」
緑間は、眼鏡のブリッジを押し上げながら呟いたのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『ビ―――――――――――!!!』
ここで第2Q終了のブザーが鳴った。
第2Q終了
花月 36
奇跡 45
『第2Q終了です。これより、15分のハーフタイムに入ります』
「ハーハッハッハッ! 最高の気分だぜ!」
先程までとは一転、上機嫌の陸。
「どうよ!?」
ついさっき、自分に向けて野次を飛ばした観客のいる方向を指差す陸。
「調子に乗るなこのバカ!」
「あいた!」
そんな陸の後頭部を引っ叩く空。
「貯金使い果たした挙句、借金まみれにした張本人がデカい面すんじゃねえ」
「…むぅ」
唇を尖らせる陸。
「…だが、最後の1本は良かったぞ。やりゃ出来んじゃねえか」
ニヤリとする空。
「ハッ! あたぼうよ!」
ニヤリとし返す陸。
「試合はこっからだ。ひっくり返すぞ」
「応よ!」
選手達は、それぞれのベンチに戻っていったのだった…。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『最後の10番凄かったな!』
『あの火神を吹き飛ばすとか、どんなパワーだよ』
『その前のスティールも凄くなかったか? 何か気が付いたら距離詰めてよな?』
『どんなパワーとスピードしてんだよ』
最後のプレーを見て興奮が冷めやらない観客達がハーフタイムに入って尚騒めいている。
「あいつまだ中坊だろ? 火神を吹き飛ばす程のフィジカルの有してるってのか?」
「そうは見えなかったけどな」
日向や伊月もその1人だった。
観客の誰しもが、陸のパワーとスピードに驚きを隠せないでいた。
「…」
そんな観客の中で、唯一1人、違った表情をしている者がいた。
「……なるほど、あの坊主、やるじゃねえか」
その者は何かを理解したのか、満足気に頷いたのだった……。
長い事、沈黙してしまい、申し訳ありませんでした…m(_ _)m
言い訳をすると、資料が集まらなかったのと、ジャンルが違う二次に集中したせいで書き方が分からなくなったからです…(>_<)
ひとまず、現在のメインの二次が新章突入に伴って構想を練っている最中なので、こっちを投稿致しました…(^_^)v
一応、最後のセリフの人物は、原作にも少しだけ登場している人物です。正直、陸がやり過ぎて以前みたいな炎上を避ける意味で名を明かそうかとも思ったのですが、やっぱりこれは陸のスキルの正体に関わる人物なので、次話に持ち越しました。正直、今回は炎上覚悟です…(;^ω^)
感想アドバイスお待ちしております。
それではまた!