黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

遂最近、新年を迎えたと思ったら、もう1年の4分の1が終わってた…(>_<)

早いなぁ…(;^ω^)

それではどうぞ!



~殴り合い~

 

 

 

 

圧倒的なパワーでインサイドを支配する堀田。そんな堀田に対し、攻めあぐねる紫原。

 

悪い流れを変える為、兼ねてより練習を重ねていたスカイフックを披露、これにより、堀田の牙城を崩すきっかけとなった。

 

堀田を圧倒し始めた事で波に乗った紫原が、チームに完全なる流れを更なるトドメを刺すべく、ボールを掴んだその瞬間!

 

狙いすますが如く、三杉がテイクチャージを貰い、止めたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

オフェンスが切り替わり、ボールを回すチームカゲツ。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

三枝が青峰にスクリーンをかけ、三杉がマークを引き剥がし、ヘルプが来る前にジャンプショットを決めた。

 

 

第3Q、残り5分24秒。

 

 

花月 49

奇跡 53

 

 

『おぉっ、決めたぞ!』

 

「何と言うか、淡々と決めたって感じだな」

 

「ああ。派手にやり返す、でもなくな」

 

基本のプレーとチームプレーで決めたチームカゲツ何処か不気味さを感じる日向と伊月。

 

 

チームミラクルのオフェンス…。

 

 

――ガン!!!

 

 

スカイフックを打った紫原だったが、リングに嫌われる。

 

「らぁっ!」

 

リバウンドボールを火神が圧倒的な高さで掴み取った。

 

 

――ガン!!!

 

 

再びボールが紫原の下に渡り、スカイフックを狙うが、またもやリングに弾かれた。

 

「フン!」

 

今度はリバウンドボールを三枝がきっちり抑えた。

 

「…っ」

 

スカイフックを2本外し、ボールを奪われた事で表情を歪ませる紫原。

 

 

『うわー、2本共外れた!』

 

頭を抱える観客。

 

「NBAですら、使いこなせる奴が現れねえのは、使える条件以上に、習得難易度が高いからだ」

 

腕組みをするナッシュ。

 

最強のシグネチャームーブの1つと呼ばれたスカイフック。その使い手であったジャバ―以降、同じように使いこなせる者はNBAにすら現れていない。

 

「無警戒ならいざ知らず、警戒されりゃ、入らなくなるのは当然の結果だ。…にしても」

 

ここで視線を三杉に移す。

 

「(…フン、伊達にアメリカで生き残ってる訳じゃねえって事か)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「何と言うか、冷や水ぶっかけられたっつうか、波が引いたつうか…」

 

「事実そうやろな。きっかけは当然、あのテイクチャージや」

 

若松の呟きに、今吉翔一が答える。

 

「大したもんやで。あそこで止めな、試合はそこで決まっとってもおかしなかった。やけど、あの時の紫原をまともに止めに行ったら止められへんどころか逆にフリースロー献上しとった所や」

 

止めなければ勝敗に直結していたあの場面。しかし、あの時の紫原は堀田を圧倒し始めた事で確実に波に乗っており、止める事は困難。この無理難題を、テイクチャージと言う形で達成した三杉に称賛する今吉翔一。

 

「と言う事は、また膠着状態になりますか?」

 

「どうやろうな。ただ、流れを止めた(・・・)側と止められた(・・・・・)側が、対等に折り合うやろうか」

 

桜井の疑問に、今吉翔一は苦笑するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

ゆっくりとボールを運び、ゲームメイクをする三杉。

 

「…ちっ」

 

舌打ちをしながらディフェンスをする青峰。その時…。

 

「青峰っち、行ったッスよ!」

 

堀田がローポストのポジションから青峰に対し、スクリーンをかけに動き、黄瀬が声掛けをする。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

その動きに合わせるように三杉が仕掛ける。

 

「言われねえでも分かってんだよ!」

 

悪態を吐きながら背後のスクリーンをロールでかわし、三杉を追いかける。

 

「打てるもんなら打ってみろよ」

 

リングに突き進む三杉に並ぶ青峰。

 

 

――スッ…。

 

 

直後、三杉が救い上げるようにボールを放った。

 

「(スクープショット…いやちげー!?)」

 

リングに視線を向ける青峰。そこには…。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

空中でボールを掴んだ堀田が豪快にリングにボールを叩き付けた。

 

 

花月 51

奇跡 53

 

 

『うおー! アリウープだぁっ!!!』

 

リングを大きく揺らす程の堀田のアリウープに、会場は沸き上がる。

 

 

「っ、ピック&ロールか…!」

 

表情を歪める火神。

 

堀田は青峰にスクリーンをかけた後、反転してゴール下まで移動していた。

 

「くそっ!」

 

悔しがる紫原。

 

紫原は堀田を追いかけ、再度、反転した堀田を追いかけようとしたが、三枝のスクリーンに阻まれてしまった。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

『チャージドタイムアウト、チームミラクル()!』

 

ここで、チームミラクルのタイムアウトがコールされた。

 

「…」

 

胸の前で腕を組みながら神妙な表情の景虎。紫原のオフェンスファールの直後、すぐにオフィシャルテーブルに申請をしていたのだ。

 

 

「ここで1度流れを切るか。良い判断だ。私でもそうする」

 

この状況でのタイムアウトに賛辞を贈る中谷。

 

「流れ止められた挙句、豪快なの決められちまいましたからね。監督がチームミラクルの監督だったらどう指示出します?」

 

高尾が尋ねると…。

 

「…うん、そうだね――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

タイムアウト終了のブザーが鳴り、選手達がコートへと戻って来る。

 

 

 OUT 陸

 

 IN  空

 

 

『おぉっ、兄の方が戻ってきた!』

 

陸がベンチに下がり、代わりに空がコートへとやって来た。

 

 

「っしゃぁっ、待ちくたびれたぜ!」

 

顔を叩きながら気合い充分の空。

 

「ちぇっ」

 

不満顔でベンチに座る陸。

 

対してチームミラクル…。

 

 

 OUT 青峰 紫原

 

 

『青峰と紫原が下がっちまったぞ!?』

 

『おいおい、青峰はともかく、紫原まで下げて大丈夫なのか!?』

 

この采配に観客席から懐疑的な声が上がる。

 

 

「…」

 

「…」

 

陸と同じく、不満げにベンチに座る青峰と紫原。

 

 

 IN 赤司

 

 

「さあ、行くぞ」

 

代わってコートに足を踏み入れた赤司が告げる。そして…。

 

 

「やっぱり来たな」

 

不敵に笑みを浮かべながら空が呟く。それは、自身と同じくコートへとやって来た赤司ともう1人…。

 

 

「はい、行きましょう」

 

愛用のリストバンドを付けながら答えた。

 

 

 IN 黒子

 

 

幻の6人目(シックスマン)、黒子テツヤが遂にコートへとやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

チームミラクルボール、スローワーとなった緑間が赤司にボールを渡し、試合は再開された。

 

「…」

 

ボールを運ぶ赤司。チームカゲツのディフェンスはこれまでと変わらず、マンツーマンディフェンス。

 

「ようやく出番だ。サクッと1本、止めさせてもらうぜ」

 

赤司の前に立ち塞がった空。瞬時に切り替え、集中全開でディフェンスに臨む。

 

「…」

 

 

――ダムッ…ダムッ…ダムッ!!!

 

 

チェンジオブペースで赤司が仕掛ける。

 

「っと!」

 

キレのあるドライブから、クロスオーバー、レッグスルー、バックチェンジを駆使しながら目の前の空を崩しにかかる。だが、空は赤司のムーブに惑わされる事無く、対応する。時折自身の眼を駆使してアンクルブレイクを狙うも、持ち前のバランス感覚ですぐさま立て直してしまう。

 

「…」

 

赤司にとって、空は相性が良いとは言い難い相手。抜くとなると一筋縄ではいかない。

 

「気合い充分だね」

 

「あたりめーだ。ここは抜かさねえぜ」

 

ニヤリとする空。

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

『はぁっ!? 何で俺が下がらなきゃならないのさ!?』

 

『ふざけんじゃねえ! 俺も納得出来ねえぞ!』

 

先のタイムアウト時、戻ってきた選手達を出迎えた景虎がまず告げたのが青峰と紫原の交代。案の定、2人は難色を示した。

 

『おーおー、期待通りの反応だな。だがまあ、ここは従ってもらうぞ』

 

想定していたのか、景虎は引き下がらず、淡々と告げる。

 

『お前らが活躍にはケチを付けるつもりはねえ。寧ろ、お前らが三杉と堀田を抑えていてくれたおかげで今もリードを保ってられてるんだからな』

 

『だったら――』

 

『だが、その代償に、かなりのスタミナを削られちまった。特に紫原。このままじゃ間違いなく最後までもたねえ』

 

食い下がる紫原を制するかのように景虎が続ける。

 

『何度も言うが紫原。お前が試合に出られなくなったらこの試合は終わりだ。何が何でも、お前には最後の最後でコートに立ってもらわなきゃならねえ』

 

インサイドでの争いはパワーの劣る方がより疲労を加速させる。現状、パワーにおいては堀田に軍配が上がっており、余力も堀田の方がある。もし仮に、堀田と相打ちに出来たとしても、チームカゲツにはまだ、三枝がいるのに対し、チームミラクルは他にセンターをこなせる者がおらず、圧倒的に不利となる。

 

『試合終盤の勝負所で、お前らの力が必ず必要になる。それまで力を貯めておけ』

 

『…分かった』

 

『青峰も、良いな?』

 

『…ちっ、仕方ねえな』

 

渋々ではあるが、2人は了承した。

 

『話は分かったんスけど、実際どうするんスか? 正直、青峰っちもそうスけど、特に紫原っち抜きでどうやって凌ぐんスか?』

 

2人がいなくなる懸念点を黄瀬が指摘する。紫原がいないとなると、インサイドで堀田とまともに対峙出来る者がコートにいなくなる。他の者も同様の見解であった。

 

『おいおい、何腑抜けた事言ってんだ。お前ら今日まで幾度も窮地に陥ってきただろ。その度に、どうにか凌いで(・・・・・・・)来たのか?』

 

呆れ交じりに答える景虎。

 

『何の為にここで黒子(切り札)を切ると思ってんだ? 確かに、止めるのは難しい。それは事実だ。止められねえなら、やる事は1つだろ?』

 

ニヤリと笑う景虎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――止められねえなら、それ以上に点を取れ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「なるほど。…だが、無理に抜くつもりはない」

 

 

――ピッ!

 

 

ここで赤司はノールックビハインドパスでボールを左へと放った。

 

「(っ!? 分かってはいたが、以前にも増して…!)」

 

ボールの進行方向を身ながら空が大きく目を見開く。

 

「ウチには今、幻の6人目(シックスマン)がいるからね」

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

スリーポイントラインの外側、右45度付近の位置からボールを叩いた黒子。

 

「ナイスパス、黒子ぉっ!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

リング付近に飛んだボールを、火神がそのままリングへと叩き込んだ。

 

 

花月 51

奇跡 55

 

 

「…っ、昨年の冬の決勝で見たが、この身で味わうとこれほどか」

 

「なるほど、実際に目の当たりにすると、驚かされるな」

 

堀田は呆気に取られ、三杉は苦笑した。

 

「出たな、幻の6人目(シックスマン)…!」

 

ニヤリとする空。

 

「反撃返しです」

 

ポツリと黒子が呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

オフェンスが切り替わり、チームカゲツのオフェンス…。

 

「(…ま、そう来るよな)」

 

司令塔となった空がボールを運ぶと、チームミラクルのディフェンスがマンツーマンディフェンスから、3-2のゾーンディフェンスに変わる。前に緑間、赤司、黒子が立ち、後ろに火神と黄瀬が立った。

 

「(インサイドの要である紫原さん外して黒子さんを投入してきたって事は、向こうは点の取り合いを仕掛けて来る)…良いね、殴り合い、上等!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

次の瞬間、空がゾーンディフェンスに切り込む。

 

「(止める!)」

 

切り込んだ空に赤司が迫る。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

直後、空が急停止。迫る空を前に、赤司の眼が大きく見開かれる。

 

「(彼の動きだけじゃない、全体の動きの未来も視て……バックチェンジ…右だ!)」

 

天帝の眼(エンペラーアイ)で空の動きと、コート全体の敵味方の選手達の未来を視た赤司が空の持つボールに手を伸ばす。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

次の瞬間、カッと空の目が大きく見開かれる。すると、赤司の手がボールに触れるよりも速く、空がバックチェンジで切り返したボールを右手を伸ばしてボールを戻してその手をかわし、赤司を抜きさった。

 

「(天帝の眼(エンペラーアイ)で全体の動きからさらに先の未来を視て尚――まさか!?)」

 

天帝の眼(エンペラーアイ)を駆使して先の先の未来を視た赤司だったが、それでも止められなかった事に驚きを隠せなかった。

 

 

「(あの4番、相当あの眼を使いこなしているようだが、惜しかったな)」

 

今の2人のぶつかり合いを目の当たりにしたナッシュ。

 

「(同系統の眼だったら止められてただろうよ。だが、1ON1に特化したあの眼(・・・)が相手じゃ、コンマ数㎝届かなかったみたいだな)」

 

 

赤司が自身の眼を発動させたように、空もまた、眼を発動させていた。自分とそれ以外の時間の流れがスローになる、時空神の眼(クロノスアイ)を…。

 

 

――スッ…。

 

 

赤司を抜いた直後、空は突如としてロールし始めた。

 

 

『? …あっ!?』

 

突然の空の行動に観客も一瞬(?)を浮かべるも、すぐにその理由を理解した。

 

 

「っ!?」

 

続いて大きく目を見開いたのは、黒子。赤司を抜いた直後、黒子が空のキープするボールを狙ったのだ。だが、空はそれをもかわした。

 

「野郎、行かせ――っ!?」

 

ヘルプに飛び出そうと1歩踏み出した火神だったが、頭上からボールがリングに向かって一直線に向かって飛んでいき、動きを止めた。

 

「…っ」

 

振り返ると、リングに向かって大地が既に飛んでおり、勢いよく飛んでいったボールは大地の右手に収まる。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

大地はそのまま、リングに向かって右手を振り下ろし、ボールを叩き込んだ。

 

 

花月 53

奇跡 55

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

 

歓声と共にコートへと着地する大地。

 

「コンビプレーはあんた達だけのお家芸じゃないぜ」

 

「…っ」

 

その声に反応して振り返る火神。

 

「こちとら、ガキの頃からの相棒同士だ。高校に入学してからのおたくらのコンビとは、年季が違うぜ」

 

そこには、不敵な笑みを浮かべる空がいた。

 

「野郎…!」

 

それを見て同じく笑みを浮かべる火神。

 

「負けられませんね。僕らも」

 

同様に、黒子も笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

オフェンスが切り替わり、赤司がボールを運ぶ。

 

 

――ピッ!

 

 

フロントコートまでボールを運ぶと、赤司がパス。スリーポイントラインの外側、左45度付近に立つ黄瀬にボールが渡る。

 

「君とまともにやり合うのは、一昨年の合宿以来だね」

 

「よろしくッス」

 

メンバーチェンジに伴い、黄瀬のマークに付いたのは三杉。2人が対峙すると、軽く挨拶を交わした。

 

「にしても、あの青峰っちをあそこまで抑え込むなんて、相変わらずッスね」

 

「君達の成長の速さには驚かされるよ。前はもっと付け入る隙があったんだけどね」

 

称賛する黄瀬に対し、苦笑する三杉。

 

「前は火神っちと2人がかりでもやられたッスけど、今回はそうは行かないッスよ。俺だってあれから成長しているし、何より――」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「――今は黒子っちがいるッスから」

 

「っ!?」

 

仕掛ける黄瀬。対して、三杉の反応が僅かに遅れた。

 

 

「三杉先輩の反応が遅れて…!」

 

三杉の反応が遅れた事に姫川が驚愕する。

 

「アカン、光のミスディレクションや!」

 

そのカラクリを見抜いた天野が叫ぶ。かつて、ウィンターカップの決勝で味わった黒子の新技。派手なドライブとシュートを身に付けてしまった事で生まれてしまった僅かな光。その光を利用し、瞬間的に自身に注意を向かせ、反応を遅らせる光のミスディレクションだ。

 

 

「ちっ」

 

中に切り込んだ黄瀬に対し、すぐさまヘルプに飛び出した堀田。

 

「すかさず飛び出したか。さすがの判断能力だ。だが、後手なのだよ」

 

 

――スッ…。

 

 

緑間が呟くと、黄瀬は堀田のヘルプが来るより早くパス。

 

「やろ、打たせっかよ!」

 

赤司にボールが渡り、空がチェックに向かうが…。

 

 

――バチィン!!!

 

 

しかし赤司はボールを掴まず、両手で弾くようにしてパスを出す。

 

「ナイスパス!」

 

 

――バス!!!

 

 

インサイドでパスを受け取った火神がそのままゴール下から得点を決めた。

 

 

花月 53

奇跡 57

 

 

「おーし!」

 

「ナイスパスッスよ、赤司っち!」

 

ガッツポーズをする火神。アシストした赤司を称賛する黄瀬。

 

「かー! 黒子さんが入るとまた一味違うぜ」

 

チームミラクルの攻撃の変化に苦笑する空。

 

「…あれが黒子テツヤ君か。アメリカですら、あの手のプレイヤーには出会った事がない」

 

自身の影が薄い特性とミスディレクションを駆使して、パスの中継と視線を向けさせて隙を作る光のミスディレクションで味方をサポート。アメリカを主戦場とする三杉も始めて相対するプレイヤーに戸惑いを隠せなかった。

 

「けどまあ、殴り合いを挑まれてる以上、こっちも負けられねえ。もっと派手に行きましょうか!」

 

タイムアウト後に始まった点の取り合いに、ワクワクが隠せない空であった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

フロントコートまでボールを運んだ空。三杉にパスを出すと、すぐさま中へと走り込む。

 

 

――ピッ!

 

 

ボールを受け取った三杉は空へとリターンパスを出した。

 

 

――バチィッ!!!

 

 

帰って来たボールを、空は掴まず、両手で弾くように軌道を変えた。

 

「っ!?」

 

ボールは、火神の股下を弾ませながら通過し、ゴール下に走り込んでいた堀田にボールが渡り…。

 

 

――バス!!!

 

 

そのまま堀田がゴール下から得点を決めた。

 

 

花月 55

奇跡 57

 

 

「っしゃぁっ! ナイス堀田さん!」

 

得点が決まり、ガッツポーズで喜ぶ空。

 

「あの野郎、黒子の十八番を…」

 

渋い表情の火神。

 

 

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

続くチームミラクルのオフェンス。赤司が放ったボールを、黒子が加速する(イグナイト)パス・廻で軌道を変える。

 

ボールは左コーナーに移動した緑間に渡る。

 

「っ!?」

 

不意を突かれた大地がすぐさまチェックに向かうが…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

間に合わず、緑間の放ったスリーがネットを潜った。

 

 

花月 55

奇跡 60

 

 

『ここで緑間のスリー!』

 

『点差が開いた!』

 

 

「…」

 

決めた緑間は特に表情には出さず、眼鏡のブリッジを押し上げながらディフェンスへと戻っていった。

 

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「あっ!」

 

チームカゲツのオフェンス。赤司を抜きさろうと仕掛けた空だったが、赤司にボールを叩かれてしまう。

 

 

「バカ兄貴、ここで取られんじゃねえよ!」

 

ベンチの陸が罵声を飛ばす。

 

「がっ、野郎!」

 

ここで空は急停止すると、背後へと倒れ込みながら飛んだ。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

同時に身体をドリルのように回転させ、その反動を使ってボールを右手で叩き、強引にパスへと切り替えた。

 

「っ!?」

 

このリカバリーにはさすがの赤司も目を見開きながら驚きの表情となった。

 

 

『何だそりゃ!?』

 

『どんな身体能力とバランス感覚してんだ!?』

 

 

ボールは、右45度付近のスリーポイントラインの外側にまで下がった大地に渡る。

 

「…っ」

 

これを見て緑間がすぐさま距離を詰める。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

直後、大地がバックステップで後ろへと下がった。

 

「(バックステップか!? それともスリーか!?)」

 

ここから再発進するか、あるいはスリーを打つか。大地には2つの選択肢がある。緑間はドライブとスリー、どっちが来ても対応出来る距離を取った。

 

「(…っ、距離の取り方が上手い。これでは、ドライブでもスリーでも止められる!)」

 

抜群の距離感でディフェンスに入った緑間。その為、これではどちらでも止められると悟った。

 

「(さすが緑間さんです。…ならば、あれ(・・)を試すしかありませんね)」

 

「(さあ来い。どちらで来ようと、止め――)」

 

ドライブとスリー、どちらが来ても対応しようとした緑間だったが…。

 

 

――ピッ!

 

 

大地が選択したのはスリー。得意の片足フェイダウェイでボールをリリースした。

 

「っ!?」

 

しかし、緑間はこのスリーに対して、何故(・・)か反応が遅れてしまい、ボールに触れる事が出来なかった。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールはリングを潜り抜けた。

 

 

花月 58

奇跡 60

 

 

『おぉっ、スリーで返した!』

 

 

「ドンマイ緑間。ドライブを警戒し過ぎたな」

 

ヤマが外れたと判断した火神が緑間を励ます。

 

「違うのだよ」

 

「?」

 

「確かにお前の言うように、ドライブも警戒していた。それでもスリーが来ても止める備えはあった」

 

「…」

 

「今、止められなかったのは奴のシュートモーションが変わったからだ」

 

「シュートモーションが、変わった?」

 

怪訝そうな火神。

 

「なるほど、それが奴の新しい武器と言う訳か」

 

「おい、1人で納得してんじゃねえよ。いったい何が――」

 

「2人共何してんスか! オフェンスッスよ!」

 

そこへ、黄瀬が割り込み、促した。

 

「言われなくても分かっているのだよ」

 

そう返すと、緑間はフロントコートへと向かって行った。

 

「ほら、火神っちも!」

 

続いて黄瀬も向かって行ったのだった。

 

「おい! ったく、何なんだよあいつ」

 

労いに来た火神だったが、1人で納得して行ってしまい、悪態を吐いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「なあ、今、あの大地(9番)の動き、何か変じゃなかったか?」

 

「ああ、俺も思ったぜ」

 

観客席のアレンとニックも同様に、今の大地に違和感を感じていた。

 

「…ソンボル・シャッフルか」

 

すると、ナッシュがボソリと呟いた。

 

「そうか! 何か見た事があると思ったら、それか!」

 

それを聞いたザックが腑に落ちたように頷いた。

 

「ソンボ…? 何だそりゃ? ワンレッグフェイダウェイじゃねえのか?」

 

しかし、シルバーには何が何だか分からない様子。

 

「似てるが違う。通常、右利きがボールをリリースする際、曲げる足は右足だが、今あの9番は左足(・・)を曲げていた。ディフェンスは、俺や(サル)のような例外を除けば、相手のモーションを見て対応する。それは、長くキャリアを積めばより顕著になる。ただでさえ、モーションの少ないワンレッグフェイダウェイだ。そこにモーションに変化を付けられると、ディフェンスは違和感から反応が遅れる」

 

「…ほう」

 

分かっているのかいないのか、シルバーは頷く。

 

「シルバーはモーション読まなくても後出しで止めちまうから分からねえだろうがよ、急にモーションが変わると違和感がスゲーからとにかく止めにくいんだぜ」

 

ニックが体験談を語る。

 

「(スカイフック程じゃないにしても、ソンボル・シャッフルとて簡単に扱える代物じゃねえ。それを1ヶ月程度で実戦で使えるレベルにまで仕上げたか。…フン)」

 

内心で大地を称賛するも、何処か釈然としないナッシュであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

タイムアウト終了後、メンバーチェンジをした事で、試合は点の取り合いへと移行する。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

一方が得点を決めると…。

 

 

――バス!!!

 

 

もう一方がすぐさま決め返す。

 

チームミラクルは黒子がボールを中継あるいは光のミスディレクションで隙を作り出し、得点を演出。

 

対して、チームカゲツは空が自ら切り込むか、あるいはリターンパスを受けてそこからパスを出して得点を演出していた。

 

 

第3Q、残り2分35秒。

 

 

花月 64

奇跡 66

 

 

『スゲー点の取り合い!』

 

『殴り合いって言うかもうこれ、取っ組み合いだろ!?』

 

ハイペースでの点の取り合いに、観客も盛り上がる。

 

 

「ハッハッハッ! 良いね、この展開!」

 

激しい点の取り合いに、空も楽し気に笑っていた。

 

「同感だ。…だが」

 

三杉は頷きつつ、ベンチに視線を向け、合図を出すと、その合図を見た上杉が頷き、ベンチを立った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

黒子からのパスを受けた火神がジャンプショットを決める。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

『チャージドタイムアウト、チームカゲツ()!』

 

ここで、タイムアウトのブザーが鳴った。

 

「えっ、タイムアウト?」

 

自チームがタイムアウトを取った事に空は首を傾げつつ、ベンチへと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

チームカゲツのベンチにて…。

 

「監督ー、何でここでタイムアウト取ったんですか? せっかく盛り上がってたのに…」

 

楽しんでる最中、水を差された事にやや不満顔の空。

 

「頼んだのは俺だ。空は楽しいかもしれないが、少々な」

 

タオルで汗を拭いながら空を窘める三杉。

 

「…っ」

 

ここで空は、三杉がかなり汗をかいている事に気付いた。

 

「(しまった、三杉さんはここまで出ずっぱりだったっての忘れてた。堀田さんも…)」

 

視線を堀田に向けると、同様に汗を拭っていた。

 

三杉にしても堀田にしても、余裕があった訳ではない。キセキの世代を相手に、本気で相手をしていたのだ。

 

「一旦、ベンチに下がりますか?」

 

「いや、そこまででもない。…ただ、向こうのセンターとスコアラーが温存している状況で、このまま相手リードのまま点の取り合いを続けるのは避けたいかな」

 

大地が尋ねると、三杉は首を横に振った。

 

「正直、ここで点差を詰めるとなると、向こうのオフェンスを止めるほかあらへんな」

 

現状、双方共にオフェンスが成功している状況。となると、点差を詰めるにはチームミラクルのオフェンスを止めるしかないと天野が言う。

 

「あの黒子とか言う男。昨年にやりおうたが、相変わらず恐ろしいのう。突然姿を消して、突然姿を現して、神出鬼没じゃから否が応でもなく後手に回されてしまっとるのう」

 

自身の影の薄さと僅かな光を出し入れしてのミスディレクションを駆使して味方を補助する黒子のバスケに、三枝も驚愕を隠せない。

 

「後手か…」

 

その言葉を聞いて空が顎に手を当て、何かを考える。そしてハッと何かを思い付く。

 

「だったら、先手を取ったら良いじゃないですか」

 

空がおもむろに皆に告げた。

 

「先手を取るって、それが出来ひんからこないなっとるんやろが」

 

そんな空に呆れ顔でツッコミを入れる天野。

 

「出来ますよ」

 

そう言ってニヤリとさせると、空がとある方向に視線を向けた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

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・・・・

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

タイムアウト終了のブザーが鳴ると、選手達がコートへと戻って来る。

 

「さあ、行くぞ」

 

『おう!!!』

 

赤司が檄を飛ばし、続いて選手達が応える。選手交代はなく、タイムアウト前と変わらない5人がコートへとやって来た。

 

「っしゃぁっ、行くぜ!!!」

 

空が檄を飛ばすと、続いて選手達がコートへと足を踏み入れる。

 

 

『おっ?』

 

ここで観客が気付く。

 

 

「ハーハッハッハッ! 再び登場だぜ!」

 

豪快に笑いながら陸がコートへとやって来る。

 

 

OUT 三枝

 

 IN 陸

 

 

「海っちを下げた?」

 

三枝がベンチに下がった事に疑問を覚える黄瀬。

 

「あいつに再びボールの中継でも頼むのか?」

 

「させる必要性が分からないのだよ。ここまで点は取れている。わざわざ今の流れを変える理由がないのだよ」

 

火神の予想に、緑間が首を横に振る。

 

「(となれば、この選手交代はオフェンス強化の為ではなく、ディフェンス強化…)」

 

赤司が視線だけを向けたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

流れを掴みかけていたチームミラクル。

 

それを三杉がテイクチャージを誘ってこれを止めた。

 

その後、両チームの選手交代に伴って、試合は激しい点の取り合いとなった。

 

双方、得点を重ねる中、この展開を嫌った三杉がタイムアウトをベンチに要請し、流れを切った。

 

タイムアウト終了後、コートに再び、陸が足を踏み入れた。

 

空はいったい何を思い付いたのか…。

 

試合は、また新たな局面へと、移行していく……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





もう少し先の展開まで書きたかったのですが、いつもの、上手く描写出来ない自身の執筆能力を誤魔化す為にグダグダ会話で繋ぐ癖が発動し、ここで一旦筆置き…(>_<)

ぶっちゃけこの試合、周囲に眩いまでの光ばかりの為、黒子の影はその光によって蒸発してしまうので、比較的黒子の姿を捉えられる空でも他の選手同様、見失ってしまいます。率直に、原作にてナッシュが最後、あっさりボールを奪われてしまうのも仕方ないですよね。何せ、ベリアルアイは、ジョジョのキングクリムゾンの予知みたいに結果が見るのではなく、あくまで見えた者の動きの未来が視えるだけなのだから、認識出来なきゃ眼を以てしても無力なのですから…(;^ω^)

まあ、これはこの二次の独自の設定も絡めた話ではありますが…(>_<)

ホントは4話程でこの試合を纏めたかったのですが、気が付けば6話目。あと何話で終わるかな…(>_<)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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