黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

花粉シーズン終わりかけに、薬飲まずに外出て、屋外ではなくて、屋内で何故か花粉症の症状が出ると言う、毎年恒例の迷惑なあるあるにハマりました…orz

それではどうぞ!



~バトン~

 

 

 

チームカゲツ優勢で第3Qが終わり、始まった第4Q、最後の10分…。

 

両チーム共にメンバーチェンジはなく、このまま勢いのままチームカゲツが押し切るかと思われたその時!

 

黄瀬がパーフェクトコピーを使用、さらにゾーンの扉を開いたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

第4Q、残り9分38秒。

 

 

花月 76

奇跡 70

 

 

チームカゲツのオフェンスを止め、直後、堀田を弾き飛ばしてダンクを決めた黄瀬。

 

「黄瀬の奴、入ってやがる…!」

 

黄瀬の変化を感じ取った火神。

 

「かー! いつか来るとは思ってたけどよ、ゾーンも上乗せすんのかよ!」

 

苦笑する空。

 

黄瀬の代名詞とも言えるパーフェクトコピー。ここまで一切の使用をしておらず、必ず何処かで使用してくる事は分かっていた。だが、ゾーンの扉を開きながら使って来る事は想定していなかった。

 

「お前は過去に味わった事があるんだったな」

 

そんな空に声をかける三杉。

 

「あれはマジでヤバいですよ。俺と大地の2人がかりでも結局まともに止める事が出来ませんでしたから」

 

昨年のインターハイで海常との試合の折、パーフェクトコピー+ゾーンの黄瀬と試合をし、試合こそ勝利したが、空と大地のダブルチームを以てしても、相手するので手一杯だった。

 

「正直、三杉さんを相手にするより、キツイかも」

 

「言ってくれるな……と言いたい所だが、それも納得だ。あれ程の奴は、アメリカですら早々お目にかかれないぞ」

 

空の言い分に、三杉も頷くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――ダムッ…ダムッ…。

 

 

オフェンスが切り替わり、ボールを運ぶ空。

 

「(…ディフェンスが変わった)」

 

チームミラクルのディフェンスが変わった事に気付いた空。

 

ここまでは3-2のゾーンディフェンスだったが、前に赤司と黒子。後ろに火神、黄瀬、緑間の2-3のゾーンディフェンスに切り替わった。

 

「(マンツーマンで付かれてる訳でもねえのに、とんでもねえプレッシャーだ…)」

 

ゾーンディフェンスの中心にて、黄瀬が放つプレッシャーを一身に空は受け、思わず自ら仕掛ける事を躊躇してしまう。

 

「…ちっ」

 

仕方なく、空はパスを選択。

 

 

――ピッ!

 

 

その後も、チームカゲツはアウトサイドでボールを回しながらチャンスを窺う。

 

「(いつまでも外でチマチマボール回してても埒が明かねえ。ここは…)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「行くしかねえだろ!」

 

意を決して中へペネトレイトする空。当然、中では黄瀬が待ち受けている。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

黄瀬の目前でバックチェンジでボールを切り返すのと同時にボールを掴み、逆方向へとステップを踏む空。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

しかし、黄瀬はそんな空のステップに対応し、進路を塞ぐ。

 

「(俺1人じゃ、あんたを突破する事が出来ねえ事は分かってる。だから!)」

 

 

――ピッ!

 

 

直後、背後へノールックでパスを出す。ボールはスリーポイントラインの外側に立っていた大地の下へ。

 

 

「上手い! 唯一手薄の黒子の所に!」

 

思わず伊月が感嘆の声を上げる。

 

先のボール回しでゾーンディフェンスは引き付けられており、チェックに行けるのは黒子のみとなっていた。

 

 

「っ!?」

 

シュート体勢に入る大地に対し、慌てて黒子がチェックに向かう。

 

 

――バシィィッ!!!

 

 

「なっ!?」

 

しかし、放たれたスリーはブロックされてしまう。

 

「マジか! あれに追い付くのかよ!?」

 

驚きを隠せない空。ブロックしたのは黒子ではなく…。

 

 

『黄瀬だぁっ!!!』

 

 

ブロックしたのは黄瀬。空のパスの直後、一気に大地との距離を詰めていたのだ。

 

「(しまった。安全に行き過ぎてしまった!)」

 

自身のプレーに後悔する大地。

 

片足フェイダウェイで距離を取ってスリーを打てば、黄瀬のブロックをかわせたかもしれない。チェックに行けるのが黒子しかいなかった事で、ブロックされる事より、決める事を重視したのだ。

 

「速攻だ!」

 

ルーズボールを拾った赤司が檄を飛ばす共にフロントコート目掛けてドリブルを開始する。

 

「…フッ、相変わらず速いな」

 

ワンマン速攻を駆けた赤司だったが、スリーポイントラインを越える前に空が追い付いたのだ。

 

「こちとら、散々温存させられて体力有り余ってますからね!」

 

皮肉のような自虐で返す空。

 

 

――スッ…。

 

 

赤司は無理に仕掛けず、ボールを背後へと放った。ボールはセンターラインを僅かに越えた所に立った黄瀬に。

 

「っ!?」

 

両目を見開く空。その位置からシュート体勢に入った黄瀬を見て、空はすぐさま猛ダッシュで黄瀬との距離を詰める。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

頭上にリフトさせたボールに手を伸ばす空。ボールに手が触れようとした瞬間、黄瀬はボールを止めて急発進。空の横を高速で抜けていく。

 

「んの野郎!!!」

 

悪態を吐きながら空は自身の横を駆け抜けようとする黄瀬がキープするボールに後方に倒れながら手を伸ばす。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

しかし、その手は黄瀬が切り返した事で空を切ってしまう。

 

「くそっ、ダメか!?」

 

全速で距離を詰めれば黄瀬が急発進する事は分かっていた。だが、そうでなければみすみすスリーを打たせてしまう為、それでも行かざるを得なかった。

 

「来るか」

 

空が抜かれたすぐ後に、三杉が立ち塞がる。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

すると黄瀬は急停止し…。

 

 

――ダムッ…ダムッ…。

 

 

左右にボールを切り返すと…。

 

「…っ」

 

三杉はアンクルブレイクを起こし、コートに右手を付いてしまう。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

同時に急発進し、三杉も抜きさる。

 

「おぉっ!!!」

 

中に切り込むと、黄瀬はボールを掴み、リングに向かって飛んだ。

 

「させん!」

 

そこへ、堀田がブロックに現れる。

 

「…っ」

 

 

――スッ…。

 

 

堀田が現れると、黄瀬は空中でロールしながら堀田のブロックをすり抜ける。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

そのままリングに向かってボールを叩き付けた。

 

 

花月 76

奇跡 72

 

 

『スゲー! またあのゾーンディフェンスを突破した!』

 

黄瀬の圧倒的な支配力に会場が盛り上がる。

 

 

「フー、こりゃしんどい」

 

汗を拭いながら苦笑する三杉。

 

「これ程か…」

 

同様の様子の堀田であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

その後も黄瀬の猛攻は止まらず、チームカゲツを圧倒していく。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

黄瀬のロングレンジスリーが決まる。

 

 

『黄瀬止まらねえよ!!!』

 

チームカゲツも黄瀬の猛威を掻い潜り、得点はするが、流れを変える事はおろか、相手の勢いを止める事すら出来ずにいた。

 

「スゲー、てか、あれ本家超えてない?」

 

小金井が引き攣りながら黄瀬を見つめる。

 

「あれはただのコピーじゃない。見ろよコガ」

 

伊月が指差すと…。

 

 

――ダムッ!!!!!!

 

 

青峰のコピーで仕掛ける黄瀬。注目すべきは…。

 

「スゲー爆音……って、あれってまさか!?」

 

会場中に響き渡る程のボールのバウンド音を聞き、小金井がある事を思い出す。

 

「そうだ。黄瀬は青峰のコピーに五将の葉山の雷轟(ライトニング)ドリブルを組み込んでる。ゾーンも相まって、さらに強力な武器になってる」

 

「うはー、止められっこなくないあれ?」

 

お手上げの小金井。

 

「ああ。出来る事は、黄瀬の体力が尽きるまで、凌ぐ事しか出来ないだろうな」

 

そう伊月は断言したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

第4Q、残り7分49秒。

 

 

花月 78

奇跡 77

 

 

点差は1ゴール差にまで詰め寄っていた。

 

 

『黄瀬凄すぎるぜ!!!』

 

『逆転するのも時間の問題だよこれ!』

 

黄瀬の独壇場とも言える試合に、観客も興奮を隠せない。

 

 

「ハァ…ハァ…!」

 

呼吸を荒げ、滴る汗をユニフォームで拭う黄瀬。

 

 

「黄瀬の奴、しんどそうだな」

 

「ああ。ただでさえ、消耗の激しいパーフェクトコピーをゾーンの状態で使ってるんだからな。しかもここまであのメンバー相手にフル出場の上、途中でボール運びもしてたんだ。よくここまでもたせたよあいつは」

 

その様子を見て状況を察する森山と笠松。

 

 

「(まだだ。まだ終われない。もっと良い流れを作って、繋げるんだ…!)…スー…フー…」

 

両膝に手を付いて呼吸を荒げていた黄瀬だったが、大きく深呼吸をして肺に酸素を取り入れ、呼吸を整える。

 

「(…っ、乱れてた呼吸を整えやがった。まだ終わんねえのかよ!?)」

 

顔を上げた黄瀬の表情を見て、まだこの脅威は終わらない事を悟り、思わず冷や汗が滴る陸。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

「っ!?」

 

「このコートにいるのは黄瀬だけではない。俺達もいると言う事を忘れないでもらいたいな」

 

陸の古武術によるパスを読み切った赤司がスティールする。

 

「赤司っち!」

 

速攻に走り、ボールを要求。すぐにその黄瀬に対し、赤司は縦パスを出した。

 

「(くそっ、ここで逆転されたらマジで流れを持ってかれちまう! …けど、どうやって…!)」

 

黄瀬を追いかける空。追い付く事は可能だが、追い付いた所で今の黄瀬を止める事は至難の業。

 

「(どうもクソもねえ。俺も――)っ!?」

 

その時、空の横を何者かが駆け抜けた。

 

「…っ」

 

ツーポイントエリア目前で、黄瀬の目の前に、三杉が立ち塞がる。

 

「恐れ入るよ、黄瀬君。今の君は、ここまで()り合ったどの選手よりも強い」

 

賛辞の言葉を贈る三杉。

 

「だからこそ、時間切れを待つなんて、勿体ない真似は出来ないな」

 

そう言い、大きく息を吸い、吐く。

 

お前(・・)が1級品でいられる内に、叩き潰す」

 

「っ!?」

 

その時、自身の目の前に立った選手の変化に気付いた。

 

『っ!?』

 

同時に、他の選手達も三杉の変化に気付いた。

 

 

 

――三杉誠也が、ゾーンの扉を開いた事に…。

 

 

 

「(何だ、さっきまでとは別人じゃねえか! この感じは、青峰や神城と同じ…!)」

 

火神は三杉から放たれる野生を感じ取った。

 

「…」

 

その場でドリブルをしながら三杉と対峙する黄瀬。

 

「(これが彼のゾーン…、まるで青峰っちと赤司っちが合わさったような感じッスね)」

 

目の前で対峙する黄瀬。誰よりも三杉から放たれるプレッシャーをその身に受けていた。

 

「光栄じゃないッスか。青峰っちですら引き出す事が出来なかったゾーンの領域。どれ程のものか、味合わせてもらいますよ!」

 

 

――ダムッ!!!!!!

 

 

黄瀬は青峰のムーブに雷轟(ライトニング)ドリブルを組み合わせ、揺さぶりをかける。

 

 

『はえー! ボールが見えねえよ!?』

 

爆音で高速で切り返されるボール。一部の観客は目で追えないでいた。

 

 

 

「…」

 

しかし、三杉は翻弄される事無く、黄瀬のドリブルに付いて行く。

 

 

――ポン…。

 

 

その時、三杉の伸ばした手がボールに触れた。

 

「くっ!?」

 

弾かれたボールを黄瀬が咄嗟に抑えた。

 

「(マジかよ!? 多少の距離がある俺でさえ、時折ボールを見失うってのに、三杉には見えてるのか!?)」

 

黄瀬のキープするボールを捉え、奪いかけた事に驚きを隠せない火神。

 

「(今の感じ、ボールの軌道が読まれた…!)」

 

空や青峰のように、スピードと瞬発力でボールを叩かれた訳ではなく、ドリブルの軌道が読まれ、そこを狙われた事を理解した。

 

「読みとデータで赤司っちと同じ事が出来るんスか。…さすが、一筋縄では行かないッスね」

 

苦笑する黄瀬。

 

「(となると、スリーは無理そうっスね。小細工は通じない…)だったら、これならどうスか!?」

 

 

――ダムッ…ダムッ…。

 

 

左右に切り返し、アンクルブレイクを狙う黄瀬。

 

「…」

 

しかし、三杉は左右に振られつつも軸を崩さず、対応する。

 

「(いくらゾーンに入っているとは言え、黄瀬と同様に読みと観察力に長けた三杉相手にアンクルブレイクは起こせないか…!)」

 

崩れる素振りを見せない三杉を見て、悟る緑間。

 

「でしょうね。…元より、これで崩せるとは思ってないッスよ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

突如、黄瀬が急発進、高速で右から左へとクロスオーバーで切り返す。

 

「…」

 

しかし三杉は、切り返されて左手に収まろうとしているボールに手を伸ばした。

 

「(マズイ、読まれてやがる!)」

 

胸中で叫ぶ火神。

 

チェンジオブペースからのクロスオーバー。だが、三杉には読まれていた。ボールが黄瀬の左手に収まるのと同時に、三杉の伸ばした手がボールを捉える――。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

かと思ったその時、それよりも速く、黄瀬が再度逆へとクロスオーバーで切り返した。

 

「っ!?」

 

これに、三杉の目が大きく見開かれた。

 

「俺のキラークロスオーバー!?」

 

思わず叫ぶ空。今のは空の得意技であり、代名詞でもある、キラークロスオーバーであったからだ。

 

 

『抜いたぁっ!!!』

 

『三杉と黄瀬の勝負は、黄瀬に軍配が上がった!!!』

 

 

「おぉっ!」

 

勢いのまま、中に切り込んだ黄瀬がボールを右手で掴み、リングに向かって飛んだ。

 

「本当に恐れ入るよ。お前は凄い。今日の所は、お前が上でいい。だが――」

 

ボソリと呟く三杉。

 

「――止めさせてはもらうぞ」

 

「っ!?」

 

次の瞬間、黄瀬が目を大きく見開く。

 

 

『堀田!?』

 

 

堀田がブロックに現れたからだ。

 

「(今更キャンセル出来ない! だったら強引に突破させてもらうッスよ!)」

 

ブロックにぶつかる直前、黄瀬はボールを手元で回しながら両手に持ち替えた。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

黄瀬の持ったボールに、堀田の右手がぶつかる。

 

「(咄嗟にワンハンドからボースハンドに切り替えた。この勝負、黄瀬の勝ちだ!)」

 

ダンクは当然、片手より両手の方が出る。対する堀田は右手のみのブロック。その事から、黄瀬の勝利を確信する火神。

 

「舐めるな!!!」

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

咆哮と共に、堀田は黄瀬のボースハンドダンクを弾き返した。

 

「なっ!?」

 

負けると思っていなかった黄瀬は驚愕した。

 

「バカな。ゾーンとパーフェクトコピー併用した黄瀬の両手のダンクを、片手で押し返しただと!?」

 

これには緑間も同様に驚愕していた。

 

「舐められたものだな。力比べで俺に勝とうとはな」

 

着地した堀田が呟く。

 

『っ!?』

 

その様子を見たチームミラクルの選手達が堀田の変化に気付く。

 

 

――堀田が、ゾーンに入っている事に…。

 

 

「すっげ、あのイケメンの兄ちゃんダンクを片手で止めちゃったよあのオッサン」

 

苦笑する陸。

 

「速攻だ!」

 

ルーズボールを拾った三杉がそのまま速攻を駆ける。

 

「戻れ!」

 

赤司が檄を飛ばし、チームミラクルの選手達がすぐさまディフェンスに戻る。

 

「…止める」

 

スリーポイントライン目前で三杉を捉え、立ち塞がる赤司。

 

「…」

 

三杉は急停止をし…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

クロスオーバーで赤司を一瞬で抜きさる。

 

「くそっ!」

 

直後、火神がすぐさまカバーに入ったが…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

三杉は構わず直進すると、火神はまるで道を譲るのかように進路を空けてしまった。

 

「(今のはフェイク!? 本物にしか見えなかった!?)」

 

火神は直前に高精度かつハイレベルに洗練されたフェイクを見せられ、これに釣られて道を空けてしまったのだ。

 

火神と抜きさると、三杉はボールを掴み、リングに向かって飛んだ。

 

「させないッスよ!」

 

そこへ、黄瀬がブロックに現れた。

 

 

『黄瀬はえー! もうブロックに来た!!!』

 

 

「…」

 

 

――スッ…。

 

 

すると、三杉は持っていたボールを真上にフワリと浮かせるように放った。

 

 

――バチィッ!!!

 

 

そのボールを、堀田が空中で掴んだ。

 

「フン!」

 

そのままリングへとボールを叩き付けた。

 

「…っ、まだだ!」

 

タイミングをズラされた黄瀬だが、着地と同時にすぐさま再度ブロックに飛び、堀田の前に立ち塞がる。

 

「このコート上で、最強は文句無しで今の君だ」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「がっ!?」

 

が、そのブロックはいとも容易く破られてしまった。

 

「だが、それでも俺と健は超えれない」

 

 

花月 80

奇跡 77

 

 

「…あのリョータを止め、さらに突破するとはのう」

 

かつてはチームメイトとして恐ろしさを目の当たりにしてきた三枝は驚きを隠せなかった。

 

 

「…いや、さすが黄瀬君だよ。止めるのも決めるのも、俺と健の2人がかりでやっとなんだからな」

 

「ああ」

 

苦笑する三杉と頷く堀田。

 

「…むぅ」

 

頬を膨らませる空。

 

「? どうかしたか空?」

 

「いや、俺と大地の2人がかりでも止める事は出来なかったから…」

 

「なに、お前も時期に止められるようになるさ。…多分な」

 

そんな空を励ましたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

ボールを運ぶ赤司。

 

「「…」」

 

待ち構えているのは、ゾーンに入った三杉と堀田のいるチームカゲツのディフェンス。

 

『…っ』

 

2人の存在感に圧倒されるチームミラクルの選手達。

 

「…」

 

どのようにゲームを組み立てるか…、ボールをキープしながら赤司が思案していると…。

 

「赤司っち!」

 

黄瀬がボールを要求。赤司はすかさず黄瀬にパスを出した。

 

「らぁっ!」

 

パスが出されたの同時に陸が黄瀬に真っ直ぐ突っ込む。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

そんな陸を黄瀬はクロスオーバーであっさりかわす。

 

「(くそっ! フェイクも無しでこの俺が…!)」

 

中に切り込むと、直後に三杉がカバーに入り、立ち塞がる。

 

 

『来た! 黄瀬対三杉!』

 

『けど、仮に三杉を抜いても、堀田が待ち構えてるぞ!?』

 

懸念点を挙げる観客。

 

 

「(さて、どう来るか…)」

 

黄瀬がどう仕掛けるか、脳内で即座にこの状況で黄瀬が選択するであろうパターンを予測し、対策を立てる三杉。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

三杉に対して突っ込む黄瀬。

 

 

「勝負を仕掛ける気か!?」

 

「いくら今の黄瀬でも、あの2人相手じゃ、さっきの二の舞だぞ!?」

 

日向と伊月が分の悪さを口にする。

 

 

「良いだろう、来い!」

 

待ち受ける三杉が構える。

 

「(昔の俺だったら、迷う事無く仕掛けていったッスね)」

 

プレイヤーとしてのプライドを優先していたかつて自分を思い起こす黄瀬。

 

「けど!」

 

 

――ピッ!

 

 

目前で黄瀬がボールを真横に捌く。

 

「俺も1人で戦うつもりはないッスよ!」

 

 

――バチィッ!!!

 

 

パスの先にいた黒子が即座にリターンパスを出し、ボールはパスと同時に三杉の裏まで駆け上がった黄瀬の下に戻って来る。

 

 

『三杉を抜いた!?』

 

『出た! 魔法のパス!』

 

 

「…」

 

三杉を抜き、待ち受けるのは堀田。

 

「(火神っち!)」

 

その時、黄瀬がチラリと火神にアイコンタクトを贈る。

 

「っ!?」

 

それを受け、黄瀬が何を求めているのかを察する火神。

 

 

――ピッ!

 

 

黄瀬はロールをし、その勢いでパスをするのと同時に一気に堀田の裏まで抜けた。

 

「…っ」

 

これには堀田も僅かに驚きの表情を取る。

 

 

――ピッ!

 

 

そのパスを受けた火神がボールを掴むのと同時に即座にリング付近に放った。すると…。

 

『っ!?』

 

そこには、既に跳躍していた黄瀬がいた。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

ボールを掴んだ黄瀬はそのままリングにボールを叩き付けた。

 

 

花月 80

奇跡 79

 

 

『うおー! 何だ今の連携!?』

 

『メチャメチャスゲー!!!』

 

ハイスピードのパス連携に沸き上がる観客。

 

 

「あそこでパスか。見事だ。あれは止めらんねえ」

 

苦笑する三杉。

 

 

「良いぞ黄瀬!」

 

ハイタッチを交わす黄瀬と火神。

 

「火神っち、それに黒子っちも。打ち合わせも無しで合わせてくれて嬉しいッスよ」

 

「影となって支えるのが、僕の仕事ですから」

 

「お前とは同じチームで試合するのは実質今日が初めてだがよ、今まで何度もやり合って来たからな」

 

咄嗟のパスに最高のリターンパスをくれた2人に感謝する黄瀬。

 

「俺1人じゃ、突破するのはキツイんで、力、貸して欲しいッス」

 

「頼まれるまでもない。お前に合わせる」

 

「無論なのだよ」

 

黄瀬の頼みに、赤司と緑間も頷いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

直後のチームカゲツのオフェンス…。

 

 

――バス!!!

 

 

空がボールを運び、三杉に託すと、そのまま中に切り込み、黄瀬を引き付けてパスを捌き、堀田が決める。

 

 

――バチィッ!!!

 

 

チームミラクルのオフェンス。赤司がパスを出すと、黒子が加速する(イグナイト)パス・廻でボールを一気にリング付近まで飛ばし、黄瀬にパスを出す。

 

「…っ」

 

同時に、堀田のブロックが現れるが…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

黄瀬はバックボード裏からボールを放り。得点を決めた。

 

 

第4Q、残り6分48秒。

 

 

花月 84

奇跡 81

 

 

その後もチームカゲツが三杉と堀田の連携で得点を決め、再び点差は3点となった。

 

「ハァ…ハァ…!」

 

大きく肩で息をする黄瀬。

 

 

「(もう限界だ。むしろ、ここまで良くもったと言うべきか…)」

 

黄瀬の状態を見た景虎が立ち上がると、リコに合図を贈る。

 

「(…コクリ)」

 

その合図を受け取ったリコが頷き、ベンチを立つ。

 

「(欲を言えば、何か流れを作ったタイミングで交代させたかったが、贅沢は言ってられねえか)」

 

 

ベンチの動きを視界の端で捉えた黄瀬。間もなく自分は交代させられる。今の自分の状態を見れば、それは仕方のない事だ。だが…。

 

「(まだだ、あと、ほんの少しだけ…!)」

 

それでも下がる前に、最高の形でバトンを渡したい。この試合に勝つ為に…。

 

 

――ピッ!

 

 

ボール運びをしている赤司がパスを出す。

 

 

――バチィッ!!!

 

 

パスの先は黒子。しかし、黒子はそのパスを中継するのではなく、掴んだ。

 

「あっ? 何のつもりだ?」

 

今まで中継しかしてこなかった黒子がボールを掴み、疑問に思うも構わず黒子との距離を詰める。

 

「っ!? 陸、来るぞ!」

 

何をして来るか、それに気付いた空が声を出す。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「――ハッ?」

 

だが、時すでに遅し、黒子はドライブで陸を抜きさった。

 

「ハァ!?」

 

陸には、目の前の黒子が突然姿を消し、気付いたら自身の後方に抜けており、何が起きたか分からない陸は混乱しながら後ろに振り返った。

 

「ここで消える(バニシング)ドライブかよ!」

 

即座にカバーに入る空。

 

「(このまま下がったら、今までと何も変わらない。超えろ! 限界を!)…黒子っち!」

 

その時、黄瀬がパスを要求。

 

「黄瀬君!」

 

その声に応じ、黒子が掌打で押し出すようにリング付近に高くボールを上げた。

 

「おぉっ!」

 

最後の力を振り絞り、黄瀬は高く上げられたボールに飛び付く。

 

「させん!」

 

そこへ、堀田がブロックに現れる。

 

 

――ガシィィィッ!!!

 

 

黄瀬の右手にボールが収まるのと同時に、空中で黄瀬と堀田が接触する。

 

「おぉぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

 

――ガシャァァァッ!!!

 

 

その体勢から右手に収まったボールをリングに投げおろすと、ボールはリングを勢いよく通過した。

 

 

『ピピーーーーーー!!!』

 

 

『ディフェンス、バスケットカウント・ワンスロー!』

 

同時に審判が笛を吹くと、ディフェンスファール及びフリースローをコールした。

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

『うおー! ここで火神の無敵のダンク!!!』

 

『しかもフリースローのおまけ付きだ!』

 

ここで飛び出した火神の代名詞とも言える大技に、観客が割れんばかりに沸き上がる。

 

 

「黄瀬ぇっ!!!」

 

ここ一番で大技を決めた黄瀬に、火神がテンション高めに駆け付ける。

 

「ハァ…ハァ…、やって…やったッスよ…」

 

意気も絶え絶えの黄瀬。今ので体力を使い切ったのか、コート上で膝を付いている。

 

 

『ビビーーーーーー!!!』

 

 

『メンバーチェンジ、チームミラクル()!!!』

 

ここでメンバーチェンジの為のブザーが鳴る。交代を告げられたのは黄瀬と黒子。

 

 

「黒子もか」

 

「仕方ありません。今のでミスディレクションは効果切れですから」

 

黄瀬の交代は予想していたが、黒子も同時であった事に、思わず口に出す緑間。黒子自身も、今のでミスディレクションが限界が来た事を理解しており、受け入れる。

 

「君、フリースローだが、打てるか?」

 

審判が黄瀬に確認を取る。フリースローを獲得した選手が交代を告げられた場合、怪我等でフリースローを打つ事が困難であった場合を除き、原則、フリースローを打ってから下がるのがルールである為だ。

 

「…そう言えば、ファール、貰ったんスよね。…っ」

 

黄瀬は膝に手をかえ、力振り絞って何とか立ち上がる。

 

「せめて最後は、カッコよく下がりたいッスからね。…打てます」

 

フラフラとしながら黄瀬はボールを受け取り、重い身体を引き摺りながらフリースローラインまで移動する。

 

「ハァ…ハァ…」

 

呼吸がかなり荒い黄瀬。

 

「…っ」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

何とか振り絞り、フリースローを沈めた。

 

 

花月 84

奇跡 84

 

 

「ハハッ! 今のが正真正銘、最後の力ッス。…もう、1歩動けそうに…ないッスよ」

 

その場で笑いながらフラフラでへたり込む黄瀬。

 

「お疲れさまでした。一緒に下がりましょう」

 

そんな黄瀬に黒子が肩を貸すと、一緒にオフィシャルテーブルに向かう。

 

 

『凄かったぞ黄瀬!!!』

 

『お前がナンバーワンだ!!!』

 

そんな黄瀬に、会場の観客達が大きな拍手を贈った。

 

 

「…ハハッ」

 

その拍手を受け、黄瀬は空いている左手をゆっくり突き上げて応える。

 

「てめえにしちゃ、良くやったじゃねえかよ」

 

「後は任せてー」

 

オフィシャルテーブル前に付くと、代わりにコート入りをする青峰と紫原が出迎える。

 

「…きっちりお膳立てはしたんスから、後は頼むッスよ」

 

そんな2人の前に、左拳を突き出す黄瀬。

 

 

――コツン…。

 

 

突き出された拳に、青峰と紫原が拳をそっと突き合せた。

 

「黒ちん」

 

今度は黒子に対して青峰と紫原が拳を突き出す。

 

「後は頼みます」

 

 

――コツン…。

 

 

同じく2人は拳を突き合わせたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「ようやく出番だ。ったく、待ちくたびれたぜ」

 

「ここまで焦らされたのは初めてかも」

 

青峰はゆっくり肩を鳴らし、紫原は自身の髪を桃井から借りたヘアゴムで束ねる。

 

「っしゃ、行くぜ」

 

「捻り潰す」

 

 

――青峰と紫原が、ゾーンの扉を開いた。

 

 

「黒子と黄瀬が繋いでくれたこの試合…」

 

「当然、無下には出来ん」

 

「たりめーだ。応えなきゃ、男じゃねえだろ!」

 

 

――続いて赤司、緑間、火神がゾーンの扉を開いた。

 

 

「…おいおい何だよ何だよ。どいつもこいつもゾーンに入りやがって。バーゲンセールかよ。……ハハッ! テンション上がっちまうじゃねえかよ!!!」

 

「かつてあなたと誓ったキセキの世代を倒すと言う誓い。この2年間で彼らが所属するチームに勝利し、先月、優勝を果たしました。…ですが、結局、優勝は出来ても勝つ事は出来ず、近いは半分しか果たされていません。ですから、ここで彼らを倒し、残りの半分を果たしましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そんなキセキの世代達に呼応するように、空と大地も、ゾーンの扉を開いたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

ゾーンの扉を開いた黄瀬。

 

その力は圧倒的で、チームカゲツを圧倒した。

 

だが、三杉と堀田がゾーンの扉を開き、力を合わせて黄瀬を止める。

 

対して、黄瀬もチームメイトと力を合わせ、チームカゲツを圧倒。

 

残った力を振り絞った黄瀬が最後の1本を決め、最高の形で青峰と紫原にバトンを渡し、その役目を終える。

 

黄瀬の奮闘に感化された青峰と紫原がゾーンの扉を開くと、同時に赤司と緑間と火神も同様に開き、それを見た空と大地も応えるようにゾーンの扉を開いた。

 

試合は、最後にして最大の戦いへと、向かうのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





最後はちょっと強引にこの展開にしました(笑)

話の展開上、チームミラクル…原作で言う所のヴォーパルソードの内、2人は何処かで引っ込めなければならないんですが、時間制限のある黄瀬と黒子しかいないんだよなー…(;^ω^)

こんな事言ったらあれですが、だんだんメインストーリー完結後のこの話、やらなきゃ良かったと言う考えが僅かによぎり、ちょっと自己嫌悪…(>_<)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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