投稿します!
いつからだろう。趣味や娯楽が、楽しむものではなく、現実から逃避する為のものになったのは…。
と言う訳で、急遽思い付いた、誰得? の話です…(;^ω^)
それではどうぞ!
全国にその名を轟かせた、キセキを冠する者達。
急遽、執り行われたエキシビジョンマッチで一堂に会し、鎬を削り合い、その試合を最後に高校バスケ界から去っていった。
その伝説となった試合から半年後…。
※ ※ ※
場所は岡山県某会場…。
ここで、今年度の全国高等学校総合体育大会、通称インターハイと呼ばれる夏の大会の試合が行われていた。
キセキの名を冠する者達が去った事で、一部の観客は離れ、その熱気は若干落ち着きを見せていたが、コート上で試合をする者達の熱気は、止まる事を知らなかった…。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
『おぉぉぉぉぉーーーっ!!!』
大歓声に包まれる会場。
――インターハイ、準決勝…。
準決勝にて、花月高校と陽泉高校がぶつかった。既に、誠凛高校が洛山高校を降し一足先に決勝の椅子に座っており、残る最後の席を賭け、昨年の夏にぶつかった両校が激闘を繰り広げていた。
――バキャァァァッ!!!
豪快に叩き込まれたダンク。
「ガンガンキメルヨ!」
片言の日本語で鼓舞する選手。決めたのは、陽泉高校のアンリ・ムジャイ。セネガルから来日した留学生であり、昨年、キセキを冠する者と渡り合った数少ない1人。今大会では、アンリの実力は、頭1つ抜けていた。
その圧倒的なスピードとアジリティで相手を抜きさり、圧倒的なジャンプ力で相手の上から豪快にダンクを叩き込み、得点を量産していた。
「…っ」
思わず表情を歪めたのは、対戦相手である、花月高校の室井総司。
「切り替えろ、取り返すぞ!」
檄を飛ばすのは今年、主将に任命された松永。
昨年のウィンターカップを制した花月高校だが、その原動力となった司令塔、エーススコアラー、リバウンダー兼ストッパーを失い、大きく戦力ダウンしていた。それでも、花月の代名詞である圧倒的な練習量から培われた運動量と、生嶋を始め、各選手達がアウトサイドシュートを身に付け、インターハイに臨んだ。新たな武器を引っ提げ、ここまで勝ち抜いて来たが、アンリ擁する陽泉高校相手に、苦戦を強いられていた。
――ガン!!!
「…っ」
帆足が放ったスリーがリングに弾かれる。
――バシィィッ!!!
リバウンド争いを制したのは、陽泉の渡辺。
「ナイスダヨ、カズキ!」
「速攻だ! 走れ!」
速攻に走るアンリに縦パスを出す渡辺。
この試合、絶好調なのは、今世代の正センター及び主将に任命された渡辺。松永、室井を相手に対等以上にゴール下を支配していた。
――バキャァァァッ!!!
縦パスを受けたアンリがそのままワンマン速攻を仕掛け、そのままダンク。先頭を走りアンリを捉える事は出来なかった。
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・・・・・・・
・・・・
――バキャァァァッ!!!
その後も、アンリが大暴れし、試合を支配する。
――ザシュッ!!!
負けじと花月もチーム一丸で奮闘するも…。
『ビ―――――――――――!!!』
試合終了
花月 58
陽泉 64
この試合は陽泉高校が勝利し、決勝戦をへと駒を進めた。
『…っ』
悔しさから涙を流す花月の選手達。昨年の冬の王者は、ベスト4で姿を消したのだった…。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
翌日、インターハイ決勝…。
誠凛高校 × 陽泉高校
昨年と夏の王者、誠凛高校と絶対防御を誇る、陽泉高校がぶつかる。
全国屈指の強豪校同士の試合…。
――バキャァァァッ!!!
この試合でも猛威を振るったのは、アンリだった。
「(ちくしょうはえー! マジでこいつのドライブ、青峰先輩ばりじゃねえのか!?)」
アンリをマークしているのは池永だが、圧倒的なアンリのスピードとアジリティに翻弄されている。
「…っ」
ベンチで腕組みをしながら渋い表情をする監督のリコ。ひとたび中に切り込まれてしまうと、後はディフェンスもブロックもお構いなしにダンクを叩き込んで来るアンリに手を焼いている。
「(改めて身に染みるわね。火神君のありがたさが…)」
昨年、卒業し、チームを去ったキセキの世代と同格の才能を持った火神大我。火神であれば、このアンリを封じる事も出来ただろうが、そんな事を今考えてもしょうがない。
「…ふぅ」
一息吐くと、リコは悪い流れを断つ為、タイムアウトの申請を取るべく、オフィシャルテーブルに向かったのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
タイムアウト終了後、誠凛はマンツーマンディフェンスからゾーンディフェンスに切り替える。これにより、アンリの得点機会を減らす事に成功した。だが…。
――バシィィッ!!!
渡辺がゴール下からアタックする田仲のオフェンスを止める。
「っ!?」
陽泉は、アンリ1人のワンマンチームでも頼り切りのチームでもない。陽泉の売りはオフェンスではなくディフェンス。紫原が抜け、スケールダウンはしたものの、未だ健在。
一方、誠凛の売りはオフェンス。チーム全員で積極的に点を取りに行き、決勝まで攻め勝ってきた。
この決勝戦、陽泉がディフェンス、リバウンド面で優勢に試合を運び、安定感を見せる一方、誠凛も要所要所できっちりと得点を決めるも、流れを掴み切れず、波に乗れない。
この差が、試合の勝敗を左右した…。
『ビ―――――――――――!!!』
試合終了
誠凛 61
陽泉 64
インターハイ決勝を制したのは、陽泉高校。
「やった! 優勝だ!!!」
「アリガトウ、ミンナ! ミンナノオカゲダヨ!」
コート上に選手達が雪崩れ込み、勝利を分かち合う。
「よくやったお前達。お前達は私の誇りだ」
ベンチにて、荒木が目に涙を浮かべながら選手達の勝利を称える。
――インターハイは、陽泉高校の悲願の優勝で、幕を閉じた…。
※ ※ ※
同年、冬のウィンターカップ…。
勝ち残ったのは夏と同じ、花月高校、洛山高校、誠凛高校、陽泉高校であった。
準決勝、第一試合
花月高校 × 洛山高校
「おぉぉぉぉぉーーーっ!!!」
――バチィィッ!!!
リバウンドを制したのは、花月高校の室井。相手選手をスクリーンアウトで完全に抑え込み、ボールを奪取。
試合は、花月優勢で進んだ。理由は2つ。今年、正センターに正式起用された室井の活躍。夏の敗戦を経て、徹底的にフィジカルとテクニックを磨き直して臨んだ今大会。同チームの先輩である松永すらも唸らせる活躍を見せたからだ。
もう1つの理由としては、花月高校には、昨年の主力であった松永、生嶋を始め、脇を固めた竜崎、室井、帆足と言った経験豊富なメンバーが揃っているのに対し、洛山高校は、全てのメンバーが今年から正式にスタメンに抜擢、キセキを冠するチーム相手の経験がなく、経験値に大きなミスマッチがある事だ。
純粋なチームとしての総合力の差はほとんどない。どちらかと言えば、洛山の方が上かもしれない。だが、先の2つの理由によって、花月高校が優勢に試合を進めた。
――ピッ!
ボールを運んだ竜崎がローポストに立つ室井にパス。
――ガシィィィッ!!!
室井がローポストからポストアップからアタックし、ゴール下へ押し込み始め、自身に人数が集まれば、囲まれる前にアウトサイドへとパス。
――ザシュッ!!!
そのパスを受けた生嶋がスリーを沈めた。
花月は中と外の両方で得点を重ね、良いリズムをもたらしていた。
室井がリバウンドを制し、松永が中あるいは外から仕掛け、生嶋が外から決め、竜崎がボールを運び、適切にパスを捌く。他の者達がそれらの3人を支えるべく、しっかり脇を支え、チームに貢献した。
『ビ―――――――――――!!!』
試合終了
花月 81
洛山 73
準決勝第一試合は花月高校が制し、決勝へと駒を進めた。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
準決勝第二試合
誠凛高校 × 陽泉高校
夏に決勝でぶつかった両チームが激突。
陽泉高校は夏と同様、鉄壁の守備とアンリの圧倒的なオフェンス力を武器に勝ち上がってきた。この試合も夏と同じ結果になると、誰もが思っていたが…。
「どうしたよ、来いよ」
したり顔で挑発するのは池永。
「…っ」
挑発されたアンリは表情を歪める。
誠凛は、この試合、ボックスワンで臨み、池永がアンリのマークに抜擢された。その池永が取った対策は、距離を大きく取る事でアンリの圧倒的とも言えるドライブに対抗した。池永はスリーを完全に捨て、狙いをドライブのみに照準を合わせた。
「…クッ!」
スリーポイントラインの外側でボールを受けたアンリは思わず唸り声を上げる。ここまで距離を空けられてしまうと、さすがのアンリでもドライブで抜くのは困難。スリーならノーチェックで打てるが、アンリはスリーの確率がかなり低い。ここまでも仕方なく数本打ったが全く入らなかった。
「ご自慢のドライブは今日は不発か? ドライブ封じちまえばガチにでくの坊じゃねえかよ」
「ッ!? ナメルナ!」
――ダムッ!!!
この言葉に怒りを覚えたアンリは一気に加速、仕掛ける。
「っと! やっぱクソはえーな。けど、こんだけ距離がありゃ――」
――ダムッ!!!
「あっ、やべ」
池永が進路を塞ぐと、アンリはスピンムーブで池永をかわし、さらに切り込んだ。
「クラエ!」
一気のリング近くまで侵入したアンリがボールを掴み、リングに向かって飛んだ。
――ドン!!!
『ピピーーーーーー!!!』
『ディフェンス、プッシング。
ダンク直前、田仲が身体を張ってこれを阻止。ファールで止めた。
「クソッ、マタカ!」
怒りを露にするアンリ。
誠凛が用意したアンリ対策は、スリーを完全に捨て、狙いをドライブのみに絞り、止める事。万が一、突破された場合はファールで止める所謂ハック戦術で止め、フリースローを打たせる事だった。だが、この作戦が見事にハマった。
――ガン!!! ガン!!!
放たれたフリースローは、2本共外れてしまう。
アンリはジャンプシュートの確率があまり高くなく、スリーともなれば、さらに顕著となる。そして、フリースローもそこまで得意ではない。
「もーらい」
外れたボールを池永が確保した。
陽泉は、得点源であるアンリが良いリズムが作れない事で波に乗れず、対して誠凛は自分達のリズムを着実に築き上げ、試合を進めた。そして…。
『ビ―――――――――――!!!』
試合終了
誠凛 58
陽泉 54
誠凛が、夏のリベンジを果たし、決勝に駒を進めたのだった…。
※ ※ ※
翌日…。
決勝戦
花月高校 × 誠凛高校
ウィンターカップの王者を決める決勝に辿り着いたのは、奇しくも昨年と同じ、花月高校と誠凛高校。
『おぉぉぉぉぉーーーっ!!!』
試合は昨年と同様…いや、それ以上の白熱さを見せていた。
――バス!!!
池永が松永を抜きさり、ジャンプシュートを決めると…。
――バキャァァァッ!!!
室井が田仲のブロックをこじ開けてダンクを叩き込み…。
――ザシュッ!!!
新海が竜崎の隙を突いてスリーを決めると…。
――ザシュッ!!!
生嶋がスリーを決め返した。
試合は一進一退、共に意地の張り合い、両校共に1歩退かず、互角の様相を呈していた。
「1本、確実に決めるぞ!!!」
『おう!!!』
「足を止めるな! 意地でも食らい付け!!!」
『おう!!!』
両校の主将である、新海、松永が檄を飛ばし、選手達が応える。
第4Q、残り18秒
花月 87
誠凛 86
試合時間残り僅か。ボールをキープしているのは誠凛。
――ピッ!
ボールを中に外にと回しながら機会を窺う誠凛。
「…」
残り時間10秒を切った所で新海の手元にボールが戻ると…。
――スッ…。
おもむろに新海が左手を上げ、ハンドサインを出す。
「…っ」
ナンバープレーを警戒する竜崎。同時に田仲が動き、竜崎の背後に立ち、スクリーンをかける。
「スクリーン!」
これを見て室井が声を掛ける。
――ピッ!
しかし、新海はドライブをせず、パスを選択。ボールはハイポスト付近に移動した池永に渡る。
「打たせん!」
すかさず松永がチェックに入る。
――ピッ!
しかし、池永はすぐさまパスを選択。ボールは、右コーナーに走り込んだ朝日奈に。
「…っ」
打たれる前に生嶋が距離を詰めるが…。
――ピッ!
朝日奈はスリーを打たず、すぐさまパスを選択。
『っ!?』
その時、花月の選手全員の目が大きく見開かれる。ボールは、右45度付近のスリーポイントラインの外側に移動していた池永に。
――スッ…。
残り時間2秒。池永がシュート体勢に入る。
「おぉっ!!!」
慌てて松永がブロックに飛ぶ。
『決めろぉっ!!!』
誠凛の選手全てが池永に期待と願いを託す。
「っ!?」
放たれるスリー。松永のブロックは僅かに間に合わず。
『ビ―――――――――――!!!』
ここで試合終了のブザーが鳴り、試合の命運はこの1本に託された。
――ガガン!!!
ボールはリングに数度バウンドすると、リングの縁を回り始めた。
『…っ』
会場にいる全ての者がボールの行方を固唾を飲んで見守る。
やがてボールは回るスピードが緩んでいき、そして…。
――ザシュッ!!!
リングの内側を音を立てて潜り抜けた。
試合終了
花月 87
誠凛 89
「うおぉぉぉーーーっ!!!」
咆哮を上げる池永。
「優勝だ!!!」
「やった!!!」
ラストショットを決めた池永に試合に出場した選手達が飛び込み、続けてベンチの選手達が飛び込み、喜びを分かち合った。
「やったぞおらぁ!!」
揉みくちゃにされている池永が観客席の一角を指差す。
「ハッ! あの問題児が」
「ハハッ! 良いぞー池永ー!!!」
そこには、誠凛高校バスケ部OB、日向を始め、卒業していった先輩達の姿があった。
『…っ』
対象に、花月の選手達はコートに膝を付く者、歯を噛みしめる者、天を仰いでいる者、それぞれ皆、涙を流していた。
――ウィンターカップ決勝、前年王者の花月が破れ、誠凛が3年振り2回目の優勝を果たしたのだった…。
※ ※ ※
キセキを冠する者が去った翌年の高校バスケ…。
熱は冷める事無く燃え上がり、さらなるドラマを生んだ。
月日は過ぎ、また新たな年度を跨ぐと、再び熱いドラマが始まる…。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
空高く舞う国際線のジェット機。その中の1つの席に、1人の青年が座っていた。
「…」
青年が眺めているのは、1通のエアメール。宛名にはアレクサンドラ・ガルシアと書かれている。
「…姉さんには困ったものだ。まさか、日本に行く事になるなんて」
手紙を見てぼやく青年。
この青年の名は、ウィリアム・ガルシア。通称ウィル。アレクサンドラ・ガルシアの弟である。40歳目前の両親から産まれた末っ子と言う事もあり、家族からも可愛がられている。
ウィルも姉のアレックス同様、バスケットプレイヤーであり、ジュニアハイスクール時代にはかなりの実績を見せており、幾つかの強豪ハイスクールからも声が掛かる程だ。
『お前も日本に来い! おもしれーぞ!』
進路を考えていた時、姉のアレックスから1通のエアメールが届いた。かつてはWNBAで活躍していたアレックス。病気で視力が著しく低下してしまった為に引退を余儀なくし、直後は荒れていた時期もあったが、今ではバスケクラブでコーチをしている。そんなアレックスは本格的に指導者の道を目指す事を決意。そんな時、女子のプロリーグが設立された日本のチームの1つから臨時コーチの依頼が舞い込み、これを了承すると、日本へと移住を決意、その決定にウィルを驚かせた。それから1年近く連絡がなかったのだが、ある日、アレックスから件のエアメールが届いた。
ウィルとしてはバスケ環境にそこまでこだわりはなかったのだが、さすがにこの提案には戸惑いを見せた。しかし、かつて世話になった兄貴分である、火神大我と氷室辰也の生まれ故郷でもある日本に興味もあったので、ウィルは1年だけ留学する事に決めたのだった。
※ ※ ※
秋田県、陽泉高校…。
全国区の強豪校の1校であり、
新年度を迎え、新たなバスケットプレイヤーが陽泉のバスケ部への門を叩き、入部早々、厳しい練習によってふるいをかけられ、幾人かが部を去り、残った1年生がそこから1軍2軍に分けられた。
1軍に残った1年生達に監督荒木が告げたのが、同じく1軍の現2・3年生達との紅白戦だ。これは1軍の座を勝ち取った1年生達が慢心しないよう、釘を刺す意味合いもあり、例年ならば、高校入学間もない1年生に勝ち目はないのだが…。
――バキャァァァッ!!!
炸裂するダンク。
「(…これほどか)」
審判をしている荒木が胸中で呟く。
紅白戦は、予想に反して1年生チームが圧倒していた。…正確には、1人の選手が2・3年生チームを圧倒していた。
――ウィリアム・ガルシア。
今年から日本へ留学してきたアメリカ人留学生。彼の実力は1年生どころか、2・3年生含めても抜きん出ていた。
「(さすがはバスケの本場、アメリカ人なだけはある。…だが、だからと言う訳じゃない)」
アメリカ人だから優れている訳ではなく、この結果は、ウィルの才能によるものだ。
「(まだ粗削りだが、こいつの才能は、
この紅白戦は、ウィルの活躍によって、1年生チームが勝利した。
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・・・・・・・
・・・・
「凄いな君! さすが本場仕込みだ!」
紅白戦が終わると、勝利の立役者であるウィルを1年生・上級生問わず、集まった。
「日本語上手いんだな」
「ああ。アメリカにいた時に会った日本人に習ったし、日本に来る前に勉強し直したから、会話くらいなら」
陽泉の部員達がウィルに質問攻めにする。
「キセキの世代?」
「ああ。2年前まで、高校バスケにはとんでもない天才達がいたんだ。ウチにも1人いたんだぜ」
会話の流れで出て来た『キセキの世代』と言う単語に興味を持ったウィル。
「マジで化け物だったぜ。しかも、その5人に互角にやり合う奴まで現れちまうし」
「へぇー」
感心しながら話を聞くウィル。かつてアメリカで一時期一緒にバスケをしていた火神と氷室を思い出すウィル。
「それってもしかして、タイガとタツヤ?」
「知ってるのか?」
「ああ。アメリカにいた時に良く一緒にバスケしたよ。2人共上手かったよ」
「やっぱりか! 氷室先輩とは入れ替わりで入部したから直接の面識はないけど、やっぱり凄かったんだな!」
共通の話題ができ、盛り上がる部員達。
「他にも、次の年には上の世代と下の世代から2人ずつ同格の奴等いてな――」
「(あのタイガとタツヤと互角やり合える奴が日本にまだいたのか…)そっか。そんな凄い奴等がいたんだったら、戦ってみたかったな…」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
紅白戦から1ヶ月経ち、インターハイの県予選が始まる。
――ザシュッ!!!
スタメンの座を勝ち取ったウィルの活躍と、全国屈指の鉄壁のディフェンス力を武器に、陽泉は危なげなく県予選を勝ち進んでいく。
「…」
試合開始早々に点差が付き、第2Q終了と同時にベンチに下がり、試合を見守っているウィル。
「…」
「つまらんか?」
試合を眺める様子を見た荒木がウィルに声を掛ける。
「えっ!? えっと…」
目線を逸らしながらしどろもどろになるウィル。過去に激怒した荒木の姿を目の当たりにした事がある為、若干ビビっている。
「隠さなくてもいい。それだけ実力があって、アメリカから来たのなら、当然の反応だ」
ウィルの気持ちを汲んだ荒木は特に叱責する事はしなかった。
「…ハァ。そうビクビクするな。かつていた
若干怯える様子のウィルに溜息を吐く荒木。
「油断も驕るつもりはないが、県予選ならこんなものだ。余程の事がなければ、まず番狂わせあり得ん」
「みたいですね」
スタメンは既に全員ベンチに下がっているが、試合は点差が詰まる所から開いていた。
「安心しろ。インターハイに行けば、もっと強い奴が現れる」
そうフォローし、荒木は試合に意識を戻した。
「…」
荒木の言葉を噛みしめたウィル。インターハイに行けば確かにレベルは上がるのだろうが、正直期待はしていなかった。
「…フゥ」
日本は環境は良いが、バスケをするには物足りなさを感じていた。何故、姉のアレックスは日本に自分を誘ったのか未だウィルは分からなかった。
「…」
留学は1年の予定だったが、インターハイを優勝したら、そこで帰国も考え始めたウィルであった。
※ ※ ※
その後も陽泉高校は危なげなく勝ち進み、無事インターハイ出場を決めた。
夏合宿で最後の調整を終えると、インターハイへと殴り込みをかけた。
『おぉぉぉぉぉーーーっ!!!』
今年のインターハイの会場である新潟県某会場。
各都道府県予選を勝ち上がったチームが、全国の頂点を目指し、鎬を削り合う。
「試合まではまだ時間がある。皆、しっかりと研究しておけ」
観客席に集まった陽泉の選手達。試合は午後からの為、ライバルの試合を観戦していた。
「…」
コート上で激戦を繰り広げている各都道府県の代表チーム。
「へぇ」
感心するように頷くウィル。
荒木の言った通り、県予選より選手達のレベルは上がっていた。特に、戦術、連携が特に秀逸で、むやみやたらに個人技を仕掛ければ、痛い目を見るかもしれない。
「……ん? あの人」
試合が終わり、次の試合のチームがコート入りをすると、その中の1人をウィルが指差す。
「どうかしたか?」
「あの7番。結構やるかも」
「……ああ、あいつか」
指差した選手を見て、納得したように頷くチームメイト。
「伊達康隆。栃木県代表で全国大会の常連、大仁田高校で1年の時からエースを張ってる奴だ。高い身体能力とテクニックを武器に得点を量産する全国でも指折りのスコアラー。全国でも屈指の実力者だ」
「…」
チームメイトの解説に耳を傾けるウィル。身に纏うオーラは他の選手とは明らかに違う。その解説が大袈裟ではない事を理解した。負ける気はしないが、舐めてかかれば痛い目に合うかもしれない。
「…だが、今日は相手が悪い」
ややトーンを落としたチームメイトが視線を変える。
「っ!?」
チームメイトに釣られて視線を向けたウィル。やや遅れてコート入りした、大仁田高校の対戦校、その中の1人を見たその時、ウィルの両目が大きく見開かれた。
「…っ」
ボールを額と両手の一指し指でそれぞれボールを器用にバランスを取りながら回している1人の選手。一見、ふざけているように見えるが、身に纏うオーラが桁違いであり、先に説明を受けた伊達を遙かに上回っていた。
「前に、高校バスケ界にとんでもない天才達がいたって話しただろ。その天才達が一堂に集まって試合をしたんだ。それはスゲー試合だったんだが、その時、当時まだ中学生でありながら、その天才達に食らいついていった奴が1人いて、そいつが今年、高校に上がって来た」
「…」
「才能はキセキを冠する者達と遜色ない、ウィル、お前と対等にやり合える恐らく、唯一の選手――」
――花月高校、神城陸……。
投稿しておいて何ですが、ツッコミどころと言いますか、少々、無理があるかなと我ながら感じております…(;^ω^)
まず、アメリカで実績のあるアメリカ人がわざわざ日本にバスケをしに来ないだろうなあと言う点。普通に日本の高校バスケ界を荒らすだけだし、こんな事を言うのはあれですが、明確にレベルが低い日本でバスケをやるのは時間の無駄でしかないでしょうから。
後は、アレックスの年齢を考えて、アレックスは原作時点で31歳、この時点では35歳。ウィルが15歳ですので、若く見積もっても両親が40前後で産んだ計算になります。年齢的にアレックスの子供でもおかしくはないのですが、原作で独身と明言されている上、そのような設定にしてしまうと、アレックスのプロ引退理由がブレてしまうので、これも出来ず。なら、アレックスの親類にしなきゃいいだろうって話なのですが、その場合、先述の理由からわざわざ日本のバスケをしに来る理由がなくなってしまいます。今更日本人で新たなキセキ級の天才キャラを作るくらいなら、アレックスの弟の方が良いだろうと思い、この設定でゴリ押す事にしました。…m(_ _)m
一応、最終話にも名前だけは出しましたし…(;^ω^)
ウィルの性格は、原作ナッシュのような差別主義者でもなければ、原作時のキセキの世代と比べても遙かに穏やかな性格をしております。
1話で完結させるつもりだったんですが、案の定、1話で納まり切らず、分割する羽目に…。次話で終わるかなぁ…(>_<)
感想アドバイスお待ちしております。
それではまた!