黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

梅雨入りしましたね…(;^ω^)

それではどうぞ!



~その後の高校バスケ 中編~

 

 

 

――花月高校…。

 

 

かつては全国でも屈指の厳しい練習量を誇る事で有名であり、静岡県では中堅相当に位置する高校であった。

 

その評価が一変したのは、神城空、綾瀬大地を始めとした次世代のキセキと、三杉誠也、堀田健の異国からのキセキが加入した事だ。

 

その年、圧倒的な戦力を以てインターハイを制し、ウィンターカップではキセキの世代の撃破を成し遂げた。

 

更に翌年、インターハイでは立て続けにキセキの世代を撃破し、ベスト4。ウィンターカップではキセキの世代、キセキならざるキセキを撃破し、キセキラストイヤーの頂点に立った。

 

キセキを冠する者達が抜けた翌年、夏と冬の頂点を目指し、奮闘するも惜しくも届かなかった。

 

前年の悲願を果たす為、代替わりと共に新戦力を加えた花月高校の新たな戦いが始まる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「今年の優勝は間違いなしだぜ。何せ、この俺様がいるんだからな!」

 

季節は4月。新年度を迎えた花月高校バスケ部に、新たな新戦力が加わった。

 

「…っ」

 

今年度の主将に任命された竜崎は頭を抱える。理由は今、目の前で啖呵を切った新入生だ。

 

近年の成績もあり、バスケ部には多くの1年生が入部してきた。その人数は竜崎が入学した年を上回る程だ。質も上々であり、同県の静岡はもちろん、他県の中学強豪校のエース級の選手の姿も見受けられた。バスケ部に入部届を出した1年生達が集まり、それぞれ自己紹介を行ったのだが、そのトリを努めた1年生の番に回ってきた時、それは起こった。

 

 

――神城陸…。

 

 

かつてこのチームに在籍していた次世代のキセキの1人である、空の弟であり、全中2連覇を果たし、鳴り物入りで花月にやってきた1年生。今では伝説として語り継がれる、あのエキシビジョンマッチで活躍した選手だ。

 

 

「(来年、そっちにウチの(バカ)が行くから。とにかく調子乗りのバカだから苦労かけるだろうけど、よろしく頼むな。あまりに言う事聞かねえようならぶん殴って構わねえから)」

 

先月、かつての先輩である空から届いたメッセージ。

 

 

「(これは噂以上かもしれないな…)」

 

目の前でふてぶてしくも大見得を切った陸を見て、胸中で呟く竜崎。だが実力は一級品。その才能はあのキセキを冠する者達に匹敵する事は間違いない。

 

「…けど今年はいける。必ず花月を優勝させるぞ」

 

意気込む竜崎であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

それから1ヶ月が過ぎ…。

 

『ハァ…ハァ…』

 

今年も例に漏れず、花月の練習量は凄まじく、50人以上いた新入部員も、その厳しい練習に耐えきれず、10人以下となっていた。

 

バスケ部は目の前に迫るインターハイ予選に向け、練習を重ねる。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

紅白戦にて、ボールを持った陸が目の前の竜崎を抜きさる。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「くっ!」

 

そのまま突き進み、リングに向かって飛ぶと、ブロックに現れた室井の上からリングにボールを叩き付けた。

 

「イエイ!」

 

着地し、ブイサインをする陸。

 

「(あの試合ではまだ粗削りだったが、…なるほど、龍川め、相当鍛え込んだみたいだな)」

 

以前とは見違える程に基礎体力や基礎能力が向上している事を見て取れた上杉。

 

「(さすが、空先輩の弟…)」

 

ここ1ヶ月、陸と共にバスケ部で過ごした竜崎。多少、調子乗りな所もあるが、バスケに対して誠実であり、練習量はあの空と大地に勝るとも劣らない。監督の上杉の指示にもしっかり従い、着実に基礎を積み上げていた。

 

花月は、個々のレベルアップとチームの練度を上げ、インターハイ予選へと向かうのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

インターハイ予選静岡県大会では、花月に敵はいなかった。

 

経験豊富な主将竜崎と、同じく1年生の時から試合に出場していた室井。そして…。

 

「イヤッホーイ!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

圧倒的な資質を持つ陸を擁する花月の相手になるチームはおらず、花月は、悠々とインターハイ出場を決めた。

 

その後、合宿を経て、花月高校は、インターハイへと乗り込んだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

場所は新潟県某会場…。

 

「よし、行くぞ!!!」

 

通路の先頭を歩く竜崎が檄を飛ばし、花月がコートへと足を踏み入れた。

 

「よっと…っとと」

 

ボールをそれぞれ左右の人差し指で回転させ、額にもう1つボールを乗せ、器用にバランスを取りながらコート入りをする陸。

 

「……ん?」

 

相手ベンチに視線を向けた陸。

 

「…なあキャプテン」

 

「どうした?」

 

「あいつ…」

 

対戦相手の1人の選手を指差す陸。

 

「…ああ、大仁田の、俺と同学年の伊達だな。あいつがどうかしたのか?」

 

「結構やりそう」

 

伊達から醸し出されるオーラを感じ取った陸。

 

「そりゃ、大仁田で1年の時からエース張ってる奴だからな。得点能力だけなら、全国でもトップクラスだろうな」

 

それを聞いた陸がニヤリとした。

 

「じゃあ、今日俺があいつの相手するわ」

 

「ハナからそのつもりだ。あいつの相手は任せるぞ」

 

「ハハッ! さすがキャプテン、話が分かるね!」

 

それを聞いて陸は喜びを露にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

始まった花月のインターハイ初戦。

 

相手は全国常連の栃木の雄、エース伊達を擁する大仁田高校。今年の有力校の1校であり、その注目度は高い。しかし…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

それでも今年の花月は強かった。

 

 

第4Q、残り2分28秒。

 

 

花月  101

大仁田  70

 

 

『花月つえー!?』

 

『あの1年、例のあいつか!?』

 

『そうだよ! あの伝説の試合でキセキの世代と張り合った!』

 

コート上で頭1つも2つも抜けて活躍する陸を見て盛り上がる観客達。大仁田とて決して弱くはなく、下馬評通りの実力を有している。それを理解しているからこその驚き。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ジャブステップを踏み、ボールを小刻みに動かしながら隙を窺い、一気に加速。

 

「…っ!」

 

陸が目の前の伊達を抜きさる。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

直後、ヘルプに来た大仁田の選手をバックロールターンでかわす。

 

「いっただき!」

 

すぐさまボールを掴み、リングに向かって飛んだ。

 

「まだだ!」

 

その時、陸とリングの間に伊達がブロックに割り込んだ。

 

「(…っ、俺がスピードを緩めた隙に…!)…ちっ」

 

 

――ピッ!

 

 

ボールを叩き付ける直前、陸は手首を返し、パスに切り替えた。

 

 

――バス!!!

 

 

パスを受けた室井がそのまま得点を決めた。

 

『…っ』

 

みるみる点差は開き、大仁田の選手達の表情は暗い。

 

「顔を上げろ! まだ試合は終わってないぞ!」

 

そんな中、伊達は1人顔を上げチームを鼓舞する。

 

『…っ!』

 

この言葉を聞いた大仁田の選手達はハッとした後、顔を上げる。

 

「1本、返すぞ!」

 

『おう!!!』

 

手を叩きながら檄を飛ばす伊達。大仁田のポイントガードがボールを運ぶと、伊達へとボールを渡す。

 

「なあ」

 

「?」

 

ボールを持った伊達に対峙する陸が声を掛ける。

 

「もう勝ち目なんてないのに、何でそんなやる気なの?」

 

煽りではなく、素朴な疑問として尋ねた陸。試合時間は3分を切っており、点差は30点以上。もはや、大仁田の勝ち目は0と言ってもいい。だからこその疑問。

 

「まだ試合は終わってない。どれだけ点差が付いても、試合を諦める理由にはならないんだよ」

 

真っ直ぐな目で陸に返す伊達。

 

「(…似てる。こいつの眼)」

 

伊達の目を見て思い出す。かつて、陸に世界の広さを教えてくれた、自身の兄を始めとした、キセキを冠する者達の事を。彼らも、今の伊達と同じ目をしていた。

 

 

――ダムッ…ダムッ…。

 

 

ドリブルを開始し、左右に切り返しながら揺さぶりを始める伊達。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「…っと!」

 

数度切り返した後、自身の背中からボールを通し、そのまま伊達本人と陸の股下にボールを通し、陸の横を駆け抜けた。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

直後にボールを掴み直した伊達はそこからジャンプシュートを決めた。

 

「ナイッシュー伊達さん!」

 

「ハンズアップ! ディフェンス、1本止めるぞ!」

 

自陣に戻りながら檄を飛ばす伊達。

 

「……へへっ、いいね」

 

そんな伊達と大仁田の選手達を見て嬉しそうに笑みを浮かべる陸。

 

直後の花月のオフェンス…。

 

「パスパース!」

 

陸がボールを要求し、ボールを運ぶ竜崎がすかさずパス。

 

「嬉しいよ。あんたみたいなのがいてくれて」

 

「?」

 

対峙する伊達に話しかける陸。

 

「全中じゃ、第4Qに入る頃にはどいつもこいつもやる気無くしてさあ、ホントブチギレそうになったから」

 

「…」

 

「正直、あのキセキのなっちゃらってのがいないから、高校もあまり期待してなかったけど、あんたみたいのがいるのなら――」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

「結構楽しめそうだ」

 

急加速し、陸は伊達を一瞬で抜きさった。

 

「(スピードが上がった!? 今までも全速じゃなかったのか!?)」

 

伊達が振り返ると、既に置き去りされていた。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「ぐっ!」

 

「がっ!」

 

ブロックに来た2人をお構いなしに陸はボースハンドダンクを叩き付けた。

 

『…』

 

試合終盤で陸のパフォーマンス能力が上がり呆然とする大仁田の選手達。

 

 

「全く、困った奴だ」

 

やれやれとばかりに溜息を吐く上杉。

 

「これまでも手を抜いていた訳ではない。陸はモチベーションの有無がパフォーマンス能力に大きく影響する。兄である空もそうだったが、陸はそれが更に顕著だ」

 

既にアメリカ行きを決めている陸にとって、日本でのバスケは準備期間としか考えていなかった。だが、点差が付いた試合終盤でも諦めず、勝ちに行く伊達を見て、モチベーションが向上したのだ。

 

 

――ダムッ…ダムッ…。

 

 

再びボールを受けた伊達が左右に切り返しながら揺さぶりをかける。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

しかし、陸はこれに惑わされる事無く対応、抜かせない。

 

「(…っ、だったら!)」

 

抜くのを諦め、ボールを後ろへと戻し、ゴール下まで走る。その後、リターンパスを受け、レイアップの体勢に入った。

 

「決めさすかよ」

 

そこへ、陸がブロックに現れた。

 

「(やっぱり来たか!)」

 

 

――ピッ!

 

 

陸がブロックに来ると、伊達はパスに切り替えた。

 

「(1人で戦うつもりはない。チームで戦う!)」

 

「ナイスパス!」

 

ボールを受け取った選手がゴール下から得点を狙う。

 

 

――バシィィッ!!!

 

 

「なっ!?」

 

しかし、そのボールは叩かれてしまう。

 

「決めさせねえって言っただろ」

 

「(バカな、速過ぎる!?)」

 

ブロックした陸を見て、驚きを隠せない伊達。

 

「おら、速攻だ!」

 

ボールを奪取した陸がそのまま速攻をかける。

 

「…っ、戻れ、戻るんだ!」

 

声を張り上げ、指示を出すが…。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

そのまま陸がダンクを叩き込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

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・・・・

 

 

その後も陸の試合を支配する。大仁田の選手達も奮闘するも、止める事が出来ない。

 

「っしゃラストぉっ!!!」

 

残り時間数秒。陸がボールを掴んでリングへと跳躍する。

 

「決めさせるかぁっ!!!」

 

そこへ、伊達がブロックへと飛んだ。

 

「楽しかったぜ。あばよ!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

陸はブロックを吹き飛ばし、ボールをリングに叩き付けた。

 

 

試合終了

 

 

花月  111

大仁田  74

 

 

「さすが、神城空さんの弟なだけはあるな」

 

試合終了後の整列後、伊達が陸に声をかける。

 

「兄貴知ってんの?」

 

「俺達の世代で知らない奴はいないさ。1度、試合した事もあるしな」

 

「へぇー、じゃあさじゃあさ! 俺と兄貴、どっちがつえー?」

 

「そんなの決まってる。空さんさ。君はまだ、空さんには及ばない。いろんな意味でな」

 

「ハハッ! そうかよ」

 

満足の行く答えを聞き、思わず笑みが零れる陸。

 

「負けるなよ」

 

「当然! 今日は楽しかったぜ。またな!」

 

握手を交わし、陸はその場を後にする。

 

「…ん?」

 

ベンチへと戻る途中、陸はふと見上げると。

 

「(アメリカ人?)」

 

観客席の一角に座る、1人のアメリカ人に目を奪われたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

「どうだ?」

 

観客席の荒木が声をかける。

 

「…驚きました。あのレベルの選手が日本にいるなんて」

 

声をかけられたウィルがそう答える。

 

…アメリカでも中々お目にかかれない才能。まさか、日本で出会えるとは…。

 

「奴を抑えられるのは今大会でお前だけだろう」

 

「任せて下さい」

 

にこやかにウィルは答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

初戦を快勝した花月は、そのまま快進撃を続ける。

 

陸を止められる選手はおらず、花月は危なげなく決勝へと駒を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

一足早く決勝進出を決めた花月は、試合終了後のミーティングもそこそこに、現在、コートで行われている、決勝進出の最後の椅子をかけたもう1つの試合の観戦に向かった。

 

「誠凛対陽泉。去年の夏と冬の王者同士の対決だ」

 

「ああ。どっちも去年の主力が大勢抜けてはいるが、ここまで勝ち残るだけはあって今年も手強いはずだ」

 

竜崎と室井が先頭を歩きながら通路を歩いている。

 

「…ふぁ」

 

その後ろで陸が欠伸をしながら2人に続く。

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

 

観客席に辿り着くと、大歓声が上がった。

 

「おい、見ろよ!」

 

すると、花月の選手の1人が電光掲示板を指差した。

 

 

第4Q、残り6分17秒。

 

 

誠凛 31

陽泉 71

 

 

「嘘…だろ。ここまで差が付くのか。…偵察班!」

 

状況が飲み込めない竜崎が、一足早く偵察に向かわせていた1年生を呼ぶ。

 

「試合は終始、陽泉の押せ押せムードです。正直、誠凛はこれでも健闘している方かと」

 

「ここまで点差が開いた要因は?」

 

「あの10番です」

 

尋ねられた偵察班がコート上の1人の選手を指差す。

 

「…ん? あれは、外国人か?」

 

指差した先には、金髪の異国の選手がいた。

 

「何でも、今年から陽泉に留学してきた、ウィリアム・ガルシアって言うアメリカ人らしいです。あいつが攻守の両方で活躍しています」

 

「マジかよ。去年までいたアンリだって相当だったのに、今年はアメリカ人とか、反則だろ」

 

頭を抱える花月の選手。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

コート上ではウィルが2人かわし、得点を決めた。

 

 

「…っ」

 

誠凛ベンチのリコは神妙な表情で試合を見つめていた。

 

 

「…っ、今のワンプレーだけで分かる。身体能力、テクニック共に規格外だ」

 

『…っ』

 

目の前で才能を見せつけるウィルを見て、花月の選手達の表情が曇っていく。

 

「ハハッ!」

 

そんな中、陸だけは、目を輝かせながら笑っていた。

 

「良いじゃん良いじゃん! わざわざアメリカ(向こう)から来てくれるとか、最高過ぎんじゃんかよ!」

 

「…相変わらずだな、お前は。勝算あるのか?」

 

「分かんね。あいつ、本気じゃねえし。やってみねえ事には」

 

コート上のウィルを視線を贈りながら答える陸。

 

「おいおい」

 

普段は自信満々の陸が断言せず、心配になる竜崎。

 

「心配すんなって。…明日は俺も本気でやるから」

 

『…っ』

 

心配する竜崎をよそに、目をぎらつかせるの陸。そんな陸を見て、チームメイトは圧倒されるのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

 

翌日…。

 

インターハイの決勝戦の日がやって来た。

 

 

 花月高校 × 陽泉高校

 

 

『おぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

大歓声に包まれる会場。

 

キセキを冠する者達がいなくなった事により、昨年から高校バスケの人気も陰りを見せていたのだが、陸とウィルと言う、新たな逸材が現れた事により、再び人気に火が付き、ファンを呼び戻した。

 

『…』

 

『…』

 

コートの中央で整列した花月・陽泉の、スタメンに選ばれた5人の選手達。

 

「へへっ」

 

「フッ」

 

その中で、陸が不敵に笑い、ウィルが薄く笑みを浮かべながら視線をぶつけ合っていた。共に待ち望んでいたこの試合。ティップオフされるのを両者共に、今か今かと待ちわびていた。

 

やがて整列が終わり、両チームのジャンパーを残してコートに散らばる。

 

『…』

 

審判がジャンパーの間に入り、ボールを構える。そして…。

 

 

――ティップオフ!!!

 

 

「「…っ!」」

 

 

――バチィィッ!!!

 

 

ボールが高く上げられたと同時にジャンパーがボールに飛び付き、同時にボールが叩かれる。

 

「よし、1本、行くぞ!!!」

 

零れたボールは花月の選手が確保し、すかさず竜崎に。花月ボールで試合は開始された。

 

「…っ」

 

ゆっくりボール運ぶ竜崎。すると、陽泉のディフェンスに変化に気付いた。

 

普段の陽泉は2-3ゾーンディフェンスであるのだが、この試合ではボックスワン。ウィルを除く、4人がインサイドを固めている。そしてウィルは…。

 

「そう来なくちゃ♪」

 

自信の目の前に立つウィルを見て満足気に微笑む陸。

 

「キャプテン、パスパース!」

 

そんな陸がボールを両腕を広げてボールを要求。

 

「……よし」

 

暫しの思案の後、竜崎は陸にパスを出した。

 

 

『キタキタ!!!』

 

早速目当ての場所にボールが行き、盛り上がる観客。

 

 

「…」

 

「…」

 

右足でステップを踏み、ボールを小刻みに動かしながら牽制する陸。

 

「いっくぜぇ!!!」

 

 

――ダムッ…ダムッ!!!

 

 

ドリブルを始め、クロスオーバーで一気に加速。

 

「っ!?」

 

加速と同時にウィルを抜きさった。

 

「ウィルがあっさり!?」

 

これまでウィルが抜かれた所など見た事がなかったチームメイトが驚く。

 

「へへっ!」

 

陸はそのままリングへと突進。

 

「打たせるな!」

 

リングへと突き進む陸に対し、陽泉は陸を囲み、包囲する。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

『っ!?』

 

陽泉の包囲網が襲い掛かると、陸はスピンムーブでその包囲網を突破した。

 

「らぁっ!!!」

 

ゾーンを突破した陸がボールを掴んでリングに向かって飛び、ボールを叩き付けた。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「んがっ!」

 

直前、陸の手に収まるボールが叩き出された。

 

『ウィル!!!』

 

ブロックしたのはウィル。

 

「(陸がスピンムーブでスピードを緩めたあの一瞬で…!)」

 

驚く竜崎。包囲網を突破する為にスピンムーブをした陸。その際に緩めたあの僅かな間でウィルはブロックを間に合わせたのだ。

 

「速攻だ!」

 

ルーズボールを拾った陽泉の選手が前線に縦パスを送る。するとそこには、既にウィルが速攻をかけていた。

 

「止める!」

 

スリーポイントライン目前で捉えた竜崎が待ち構える。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「(速い! 右!)」

 

右から仕掛けて来たウィルの進路を塞ぐべく、手を伸ばす。

 

「っ!?」

 

次の瞬間、ウィルは竜崎の左側から後ろへと抜けていった。

 

「させん!」

 

竜崎を抜いたと同時にシュート体勢に入り、後ろで控えていた室井がブロックに飛ぶ。

 

「っ!?」

 

しかし、ウィルは飛んではおらず、バックロールターンでかわしていった。

 

「(フェイク!?)」

 

「(本物にしか見えなかった!?)」

 

本物さながらのフェイクを見せられ、驚くを隠せない2人。

 

室井をかわしたのと同時にボールを掴み、ウィルはリングに向かって飛ぶ。

 

 

『先制点は、陽泉だ!』

 

 

ボールを掴んだ右手がリングに振り下ろされる。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

「っ!?」

 

ダンクが決まるかと思われた瞬間、右手からボールが叩き出された。

 

『陸!』

 

ブロックしたのは陸。

 

「最後方にいたあいつがウィルに追い付いた!?」

 

ダンク失敗した時には間違いなく誰よりも後ろにいたはずの陸。そんな陸が速攻を仕掛けたウィルに追い付いてしまった。

 

 

『アウトオブバウンズ、陽泉()ボール!』

 

ボールはラインを割ってしまう。

 

 

『す、スゲー! いきなりバチバチじゃん!』

 

試合開始早々、エースが仕掛け、エースが止める展開に沸き上がる観客。

 

 

「(良いね、こいつ本物だ!!!)」

 

「(あっさりと俺が…! この日本人…!)」

 

1度のぶつかり合いで互いの実力を認める両者。

 

「「(…ニヤリ)」」

 

視線がぶつかると、共にニヤリと笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

決勝戦が開始され、激しくぶつかり合う両校。

 

注目の的になるのはやはり、エースである陸とウィル。両チームの司令塔は、エース一辺倒にならない為にボールを散らすも、やはり要所でぶつかり合っていた。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここで、第2Q終了のブザーが鳴る。

 

 

第2Q終了

 

 

花月 33

陽泉 36

 

 

点差は3点。両チームの総得点を見て、ロースコアゲーム。

 

 

『…』

 

表情の暗い花月の選手達。点差こそスリー1本分だが、ここまで圧倒的なオフェンス力で勝利してきた花月にとって、このゲーム展開は完全に陽泉ペース。

 

 

『…』

 

対して、陽泉ベンチも表情は暗い。確かに普段の陽泉のペースではあるのだが、いまいち流れに乗り切れていないからだ。

 

 

「…」

 

「…」

 

 

その要因は、両チームのエースが沈黙しているからだ。

 

この決勝戦に来るまで、両チームのエースである陸、ウィルが持ち前のプレーでチームを攻守共に引っ張って来た。だがこの試合、2人の矛と盾ががっちり噛み合ってしまい、陸は6点、ウィルは8点と、ここまでの試合なら優に二桁得点は当たり前に取って来た2人としてはかなり少ない。

 

 

「ウィル、どうだ、相手のエースは?」

 

「グッドプレイヤーです。アメリカにも、なかなかいないレベルです」

 

荒木の質問に、タオルで汗を拭いながら答えるウィル。

 

「この調子で抑えられそうか?」

 

「大丈夫です。相手の動きには慣れました。ここからは本気で行きますので」

 

そう答え、ドリンクを口にした。

 

「…っ、ここまでも本気じゃなかったのかよ」

 

まだ上がある事にチームメイトは驚く。

 

「(もっとも、今のが彼の全力ならだけど…)」

 

ウィルは確信していた。自身がギアを抑えていたように、陸もまた、本気ではない事に…。

 

 

「陸」

 

「ハハッ! あのアメリカ人、最高だよ。あそこまで止められたのは久しぶりだわ」

 

上杉の言葉に、陸は笑いながら答える。

 

「けど、このままだと少しきついかな。あいつ、まだ本気出してないから」

 

『…っ』

 

陸の言葉に、花月の選手達の表情が引き攣る。

 

「て事で、監督、あれ(・・)、解禁するよ」

 

「良いだろう。存分にやれ」

 

「ヒッヒッヒッ、りょーかい!」

 

許可を得た陸がいたずらっ子のように笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

第3Q、後半戦が始まる。

 

「いっくぜアメリカ人」

 

開始早々、ボールを受けた陸が宣言する。

 

「…っ」

 

目の前のウィルが臨戦態勢を取る。明らかに陸の雰囲気が変わったからだ。

 

「(ウィルが集中力を上げた!)」

 

「(本気を出したウィルの完全集中。抜けるはずがない!)」

 

ウィルの勝利を確信する陽泉のチームメイト。

 

ハーフタイム終了後のエース対決。この対決の行方は、この先の展開に大きく影響する。

 

 

『…』

 

観客達もこの対決を固唾を飲んで見守っている。

 

 

「…っ」

 

ゆっくりとドリブルをしていた陸だったが、突如として、左右に身体がゆらゆらと揺れ始める。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

次の瞬間、加速。

 

「っ!?」

 

一瞬でウィルの横を抜けていく。

 

「…shit!」

 

即座に反応したウィルは反転し、バックチップを狙う。

 

「(っ!? 消え――)」

 

ボールに触れようとした瞬間、陸の姿がウィルの視界から消える。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

陸はクロスオーバーでウィルの伸ばした腕を掻い潜るようにかわした。

 

「おらぁ!!!」

 

同時にボールを掴み、リングに向かって跳躍。

 

「おぉっ!」

 

「させん!」

 

そこへ、陽泉の2メートル級のブロックが2枚阻む。

 

「邪魔すんじゃねえ!!!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「がっ!」

 

「ぐっ!」

 

しかし陸は、その2枚のブロックをいとも簡単に粉砕した。

 

 

『おいおい嘘だろ!?』

 

『自分より身長が高いブロック2枚をぶち破りやがった!』

 

陸より身長の高い選手のブロックを跳ね飛ばし、驚愕する観客。

 

 

「…出たな」

 

両腕を組みながら荒木が呟く。

 

陸の代名詞である古武道を絡めたバスケ。陸の本領とも言えるバスケだ。

 

 

「これこれ! 堅苦しいバスケはやっぱ俺にはしょーに合わねえ!」

 

自身の成長の為、基本に忠実なプレーを中学時代から強いられてきた。その縛り解除され、爽快な陸。

 

「えーっと、確か……そうそうこれだ!」

 

ウィルの横で立ち黙った陸が何かを思い出し始める陸。

 

「I beat you!」

 

「っ!?」

 

「へへっ!」

 

それを告げると、ディフェンスに戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

陽泉のオフェンス…。

 

「やり返してやれ!」

 

ボールを運んだ陽泉の司令塔がウィルにパスを出す。

 

「…フー、っしゃ」

 

ウィルにボールが渡ると、陸が立ち塞がり、臨戦態勢。

 

「…」

 

「…」

 

ジャブステップを踏みながら小刻みにボールを動かし、牽制するウィル。

 

 

――スッ…。

 

 

先に仕掛けたのは陸。ウィルの持つボールを狙い打った。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ボールに伸ばした手が触れるより早くウィルが動く。スティールをかわし、切り込む。

 

「あめー!」

 

脇を抜けていくウィルに、陸が反転しながら反対の腕でスティールを狙う。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

その手をウィルはボールを掴み、ターンアラウンドで反転しながらかわす。

 

 

――スッ…。

 

 

直後にステップバックで陸との距離を空ける。

 

「やろ…!」

 

ブロックに飛んだ陸だったが…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

フェイダウェイで後ろに飛び、ブロックをかわしながらジャンプシュートを決めた。

 

 

『うおー、ちょー鮮やか!!!』

 

『思わず見惚れちまったよ!』

 

プレーの全ての動きが流麗のダンスの如く、鮮やかかつスピーディーであり、思わず観客が歓声を上げる。

 

 

「Bring it on!」

 

「…っ」

 

「フッ」

 

陸の傍を通り過ぎる際、ウィルが陸にそう告げ、ディフェンスへと戻っていった。

 

「…ハッ! 上等上等! そう来なくちゃな!」

 

振り返った陸は豪快に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――I beat you(お前を倒す)

 

 

――Bring it on(かかって来い)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2つの才能が、本領を発揮する……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





率直に、もはや原作キャラがほとんど出ない、自己満話を投稿してしまい、素直に申し訳ないです…(>_<)

本当は1話で締めたかったのですが、ズルズル文字数が嵩み、2話では収まらずorz

もうすぐ最後なので、後少し、お付き合い頂ければ幸いです…m(_ _)m

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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