黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

35 / 228
投稿します!

ひとまず、誠凛対洛山戦も終わりです。

それではどうぞ!


第35Q~開闢の王~

 

 

 

「見せてあげるわ。私の、あなた達に敗北してから身に着けた新たな武器……下弦を」

 

実渕が日向に新たなる武器を存在を告げる。

 

「(新技だと!? まさか、虚空をも上回る技か!?)」

 

新技の存在を告げられた日向は驚愕する。

 

「(集中しろ! 新技だろうが何だろうが、この1発で見極めるんだ!)」

 

日向の集中力が増す。

 

「そんなに警戒することはないわ。この技は、天や地、虚空に比べれば大した技じゃないから…」

 

 

――スッ…。

 

 

実渕がシュート態勢に入る。

 

「(きた!)」

 

実渕の一挙手一投足に日向は神経を集中させる。

 

膝を曲げ、ボールを頭上へと上げていく。日向もそれに合わせて両手を上へと上げる。

 

「(ここから何が…)」

 

曲げた膝が再び伸ばされ、ボールを持った手が伸ばされたその時!

 

「…えっ?」

 

日向がボールを見失う。

 

「(ボールは、どこだ!?)」

 

必死にボールのありかを探す。

 

ふと、実渕の視線がリングに向かっていることに気付く。その視線に気付き、後ろに振り返る。

 

「なっ!?」

 

そこには、リングへと向かうボールの姿があった。ボールは綺麗な弧を描き…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

リングの中央を綺麗に潜る。

 

 

「おぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

 

観客の歓声が沸く。

 

「ねっ? 大した技じゃないでしょ?」

 

ウィンクしながら日向に告げ、実渕はディフェンスに戻っていく。

 

「ボールが消えた…いったい、何が…」

 

何をされたのかわからない日向の頭はパニックに陥る。

 

「飛ばずにシュートを放ったんだ」

 

一連の動きを見ていた伊月が日向に声をかける。

 

「今、実渕は両足を地面から一切飛ばず、フリースローを打つようにスリーを打ったんだ。実渕の重心に集中していた日向にはボールが消えたように見えたみたいだが、こっちからは新技の全容が見えた」

 

技の正体を見たまま日向に伝えていく。

 

「なん…だと…」

 

伊月から技の正体を聞き、日向は言葉を失う。

 

実渕の三種のスリーを見破るには、野生の勘で対応するか、重心の動きを見て見極めるか。

 

だが、今の技、下弦は、ジャンプをすることなくスリーを放った。

 

『飛ばずにリングに届かせるのはすごいけど、他の3つに比べたらそこまでインパクトはなくないか?』

 

観客は今のプレーを見た感想をこう語る。

 

「冗談じゃねぇ…!」

 

だが、技をくらった張本人である日向は違う。

 

技自体は難易度は高いが派手さはない。

 

しかし、重心の動きに集中していた日向はボールを見失った。しかも、重心の動きを見ても判別もできなかった。

 

この下弦という技は、かつての3つの技を上回るものではない。この技は即ち、かつての3つの技をより生かすための技だということだ。

 

『ねっ? 大した技じゃないでしょ?』

 

「冗談じゃねぇぞ…!」

 

つまり、日向は今後、重心を見てシュートを区別することができなくなった。

 

重心に集中しては下弦にやられてしまうし、かといって、重心を見なくては実渕にスリーは防げない。

 

SG対決。日向に暗雲が立ち込める。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「1本! 返すぞ!」

 

伊月がボールを受け取り、ゲームメイクを始める。

 

洛山がディフェンスに入る。

 

「なっ…!」

 

『これは!』

 

洛山のディフェンスに、誠凛は驚愕する。

 

ディフェンス相手が入れ替わる。伊月には葉山が。そして、先ほどまで伊月をマークしていた赤司は…。

 

「赤司が黒子をマーク!?」

 

赤司が黒子をマークしていた。

 

「誠凛の心臓とも呼べるのは黒子、お前だ。お前を止めてしまえば、誠凛の息の根は直に止まる」

 

「っ!?」

 

この、予想だにしていない事態に、誠凛も、黒子も目を見開いた。

 

現在、伊月に葉山、日向に実渕、黒子に赤司、火神に根武谷と四条がダブルチームでマークしている。

 

田仲のみ、フリーである。

 

「っ! …くっ!」

 

必死にミスディレクションを駆使して赤司を振り切ろうとする黒子だが、赤司は惑わされることなく黒子にピタリと付いていく。

 

「無駄だ。いかにミスディレクションを使おうと、俺の目からは逃れられない。そもそも、お前を見出したのは俺だ」

 

黒子、赤司を振り切れない。

 

「伊月先輩、こっち!」

 

ただ1人、マークが付いてない田仲がゴール下まで侵入してボールを要求する。

 

伊月は、目の前の葉山をかわすことは出来ないので、田仲にパスを出す。

 

すかさずヘルプにやってきたのが根武谷。

 

「ぐっ!」

 

力付くで根武谷を押していくが、ビクともしない。

 

「くそっ!」

 

他もフリーの選手がおらず、もうすぐ3秒が経過していまうため、強引にシュートにいく。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「あっ!?」

 

「甘いわ!」

 

根武谷のブロックショットが炸裂する。

 

「速攻!」

 

ボールを奪われ、ターンオーバーとなる。

 

根武谷が前方にボールを大きく放り、四条が受け取ると、そのままフロントコートまでボールを進めていく。

 

「行かせるかぁっ!」

 

「っ! とと…」

 

火神がヘルプにやってきて、四条が足を止める。その間に他の4人もディフェンスに戻ってくる。

 

「赤司!」

 

一旦ボールを赤司に戻す。ボールを貰った赤司は葉山にボールを渡す。

 

「よっしゃ! 今度は俺だな!」

 

ボールを受け取った葉山がゆっくりドリブルを始める。

 

「くっ!」

 

すかさず、伊月がマークが付く。

 

「来たな、そんじゃ、5本、行くぞ!」

 

 

――ドォン!!!

 

 

葉山が力強くボールを付く。その衝撃からくる轟音が会場中に響き渡る。

 

「(来た!)」

 

葉山の雷轟のドリブル(ライトニングドリブル)。

 

圧倒的な速さを誇るドリブル。伊月は頭をクールにしながらディフェンスに入る。

 

 

――ドォン!!!

 

 

葉山が5本の指に力を集約させ、その力をボールに一気に伝え、そこから高速のドリブルを繰り出す。

 

「っ!」

 

伊月が鷲の目(イーグルアイ)を駆使し、雷轟のドリブルに食らいつく。

 

 

――ドォン!!!

 

 

葉山、切り替えしてかわしにかかる。

 

「まだだ!」

 

伊月、これにも何とか対応する。

 

「いいね! ここからが今年の俺の真骨頂だよ!」

 

葉山の指に力が籠る。

 

「えっ…?」

 

その瞬間、伊月はボールを見失う。

 

 

――ドォン!!!

 

 

葉山、ボールを背中側から切り替えし、伊月をかわす。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

そのままドリブルで突破し、ブロックに来た田仲をかわし、レイアップを決める。

 

 

『おぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

 

一連のプレーで観客が再び沸きあがる。

 

「今のは…」

 

「バックチェンジだ…です」

 

技の正体を探ろうとすると、火神が説明に入る。

 

「後ろから見ていたので分かりました。最後のドリブルは、前からじゃなくて、背中からボールを通す、バックチェンジという技でした」

 

伊月の後ろから、距離があるところから見ていた火神には今のプレーを全て理解していた。

 

「去年はまではクロスオーバーだけだったが、今年はあの高速の切り替えしに加えてバックチェンジまで加わるのか…!」

 

思わず伊月は歯をギュッときつく噛みしめた。

 

葉山のライトニングドリブルに、新たな切り替えしが加わり、止めることがさらに困難になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

試合は完全に洛山ペースになる。

 

黒子は赤司のマークにあい、完全に機能停止に追い込まれている。

 

何より、誠凛の不安要素となるものが見え始めてきた。

 

「ぐぐっ…!」

 

根武谷をマークする田仲。だが、その圧倒的なパワーによって、なすすべもなく外の弾かれていく。

 

「(何てパワーだ! 押しても押してもビクともしない!)」

 

先ほどから強引にいいポジションを奪おうと試みる田仲だったが、根武谷のパワーがそれを許さない。

 

「マッスル~、ゴール下ぁっ!」

 

「ぐあっ!」

 

ゴール下でボールを受け取った根武谷がそのままゴール下を沈める。その際、田仲はそのパワーで弾き飛ばされてしまう。

 

「(これが、五将…、今までやり合ってきたセンターが子供ようにしか思えないほどのプレイヤーだ…)」

 

田仲とて、かつて星南中のセンターとして全国で戦ってきた。

 

東郷中の高島、城ヶ崎中の末広、帝光中の河野。

 

全国レベルの名に恥じない選手だった。

 

だが、根武谷永吉は彼らとは格が違った。

 

圧倒的なパワーに加え、テクニックも有しており、田仲では手も足も出ない。

 

「…」

 

誠凛ベンチにて、リコが大いに頭を悩ませる。

 

黒子テツヤが封じられている。そして何より、インサイドを完全に制圧されてしまっている。

 

火神をもっても洛山を抑えるのは困難であり、田仲も、頑張ってはいるが、現段階の実力では洛山相手に付いていくのが精一杯。

 

「監督、1度タイムアウトを取った方が…」

 

「…」

 

小金井からリコに進言が入る。

 

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

 

リコ、その進言を聞き、タイムアウトを入れる。

 

『はぁ…はぁ…』

 

肩で息をする選手達、何より、根武谷をマークしていた田仲はそれがさらに顕著である。

 

リコ、メンバーチェンジをする。伊月を下げ、新海を投入。さらに、黒子を下げ、小金井を投入。

 

体力の消耗が激しい伊月と、現状、機能していない黒子を下げた。

 

試合は再会される。だが、それでも状況は変わらない。

 

かつての洛山は、赤司から五将…あるいは、黛を経由して五将のいずれかに渡り、そこから1ON1が主だった。

 

だが、今年は根武谷がゴール下からパスを捌き、ポストプレーをこなしたり、実渕が外から中へパス。葉山も、切り込んでそこから中の根武谷や、外の実渕にパスをしたり、連携プレーを見せている。

 

そして、四条も、洛山のユニフォーム及び、スタメンを獲得しただけに、五将に引けを取らない実力者。

 

点差は、激しく動かないが、ゆっくり、着々と離されていく。

 

 

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

 

 

第3Q終了

 

誠凛 45

洛山 64

 

 

点差は20点近くまで離されてしまう。

 

誠凛は窮地に陥る。

 

洛山の攻撃を止められない。インサイドは完全に洛山に制圧されている。何より、洛山は手札らしい手札をまだ1枚も切っていない。

 

黒子テツヤも封じられている以上、手が打てない。

 

誠凛、伊月を戻す。

 

 

第4Q、1分経過…。

 

「らぁっ!」

 

 

――バキャァァァァッ!!!

 

 

火神のダンク炸裂。そして…。

 

「火神の奴、入りやがった…」

 

火神、ゾーン突入。

 

ここから誠凛が巻き上げていく。

 

ゾーンに突入した火神が攻守に渡って活躍し、洛山を圧倒していく。

 

 

――バキャァァァァッ!!!

 

 

再びダンク炸裂。

 

「うぉぉぉーーーっ! 火神止まんねぇ!」

 

ゾーンに入った火神。点差をどんどん縮めていく。

 

「(いい調子だわ。流れは今ウチのものだし、点差は確実に縮まっているわ。……けど)」

 

リコはどこか腑に落ちない表情している。

 

理由として、点差は縮まっているのに、洛山に動きがない。何より…。

 

『…』

 

コートでプレーしている洛山選手達に一切の動揺が見られない。

 

「(何を考えているの? このままでは点差が縮まって、いずれは追いつかれてしまうかもしれないのに…)」

 

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

 

「スリーキター!」

 

火神がスリーを決める。そして、第4Q残り5分。ついに点差が一桁まで縮まった。

 

「よおーーーし!!!」

 

日向が火神の肩を叩く。ガッツポーズをする火神。

 

『…』

 

その光景を、冷静な面持ちで見つめる洛山選手達。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

第3Q、終了時、ベンチにて…。

 

『第4Q、流れは1度、誠凛に傾くだろう。点差も、一桁まで縮まるかもしれない。だが、そうなっても決して動じるな』

 

『…』

 

『それは一過性のものに過ぎない。流れが誠凛にあるうちにこちらが仕掛けても効果は薄い。むしろ、逆効果になるだろう。だから、流れが誠凛にあるうちは耐え忍ぶ。そして、誠凛に流れが途切れたら…』

 

『…』

 

『そこから一気に畳みかける』

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

これが第4Q始まる前に赤司から告げられた言葉。故に、洛山選手達に動揺はない。

 

誠凛の攻撃、ボールは伊月から絶好調の火神に渡る。

 

そこに、赤司がヘルプに現れる。

 

「っ!」

 

火神、赤司を抜きにかかろうと考えるが、赤司の後ろには根武谷、四条が近くに構えており、仮に赤司を抜けても狭いインサイドで2人に囲まれる恐れがあり、それではゾーンに入った火神といえど突破は困難と判断し、断念する。

 

そこで火神は…。

 

「っ!」

 

スリーの態勢に入った。

 

赤司、すかさず距離を詰め、阻止に向かう。

 

「ちっ!」

 

 

――ピッ!!!

 

 

シュートを放つよりも先に赤司に距離を詰められてしまい、スリーを断念、反対サイドに展開していた日向にボールを渡す。

 

「(決める!)」

 

日向がスリーの態勢に入る。

 

「させないわ!」

 

それをブロックするために実渕が飛ぶ。

 

 

――ピッ!!!

 

 

それよりも一瞬早く、日向がスリーを放った。

 

ボールはリングに向かっていく。

 

「(入れ!)」

 

日向がそのスリーに願いを込める。

 

 

――ガン!!!

 

 

「なっ!?」

 

ボールは無情にもリングに嫌われてしまう。

 

「実渕のブロックが間に合った!」

 

「(いえ、私はボールに触れていないわ。私のブロックに動揺してリズムが崩れた。…そしてこれは…)」

 

ここで、洛山、動く。

 

 

――誠凛の流れが途切れた!!!

 

 

そう判断した洛山選手達、一斉に動きを見せる。

 

「マッスゥ~ル、リバウンド!」

 

根武谷がリバウンドを制する。

 

「速攻!」

 

根武谷がフロントコートにボールを力強く投げる。

 

ボールを受け取った赤司がグングン進軍していく。

 

「行かせるか!」

 

いち早くディフェンスに戻っていた火神が赤司の前に立ち塞がる。

 

赤司、すかさずパスを捌く。ボールの先には、スリーポイントラインの外側に立っていた実渕。

 

実渕、ボールを受け取るや否や、シュート態勢に入る。ディフェンスに日向も戻っており、実渕の正面に立ったが…。

 

「(くそっ! これはどれなんだ!?)」

 

三種のスリーに新たに下弦が加わり、見分けが付かない実渕のスリー。うかつにブロックに飛べば地のシュートの餌食になってしまうため、ブロックに行けない。

 

 

――ピッ!!!

 

 

実渕、地から足を離さずシュート。

 

「(ぐっ! 下弦か!)」

 

ブロックに向かうが間に合わず、ボールはリングに向かい…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

リングの中央を射抜く。

 

『おぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

点差が再び二桁に戻る。そして…。

 

「時は来た。一気にトドメを刺す」

 

赤司、ゾーンに突入。

 

「来やがった…!」

 

それはつまり、これからほかの4人もゾーンに引き上げられるということを意味する。

 

天帝の目(エンペラー・アイ)を使ったパス回し。これにより、他の選手達のパフォーマンス能力が向上する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

試合は、機を読み、流れの変動を読み切った洛山に傾いた。

 

ゾーンに入った火神が奮闘するも、同じくゾーンに入った赤司と、赤司によってゾーンの1歩手前まで引き上げられた4人の選手を止めることは困難だった。

 

「くっ…そ…!」

 

ゴール下。インサイドで押し合いをする田仲と根武谷。だが、根武谷の圧倒的なパワーにやはりなす術も無い。

 

やがて、押し合いに負けて、田仲が弾かれ、根武谷が悠々とゴール下を沈めにかかる。

 

そこに…。

 

「田仲ーーーーーっ!!! てめぇ、負けてんじゃねぇぞ! それでも星南中のセンターかよ! 俺達とやるんだろ!? 意地見せろよぉっ!!!」

 

居ても立っても居られなかった空が観客席から声を張り上げ、檄を飛ばす。

 

「っ!?」

 

その、空の檄が耳に入る。

 

「(何やってんだよ、俺。今日、何もできてないじゃないか! 何もできないまま、終われない!)」

 

転倒しそうな態勢から歯を食いしばり、必死に態勢を立て直す。

 

「おぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

そのまま根武谷のブロックに向かう。

 

「むっ?」

 

 

――ガン!!!

 

 

根武谷、田仲の気迫に僅かに押され、手元をわずかに狂わせる。

 

「おぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

すぐさま田仲が飛び上がり、リバウンドをもぎ取った。

 

「よおぉぉぉし、ナイス、田仲!」

 

ボールを奪った田仲が着地する。

 

 

――ポン…。

 

 

「あっ!」

 

着地したその瞬間、赤司によってボールを弾かれてしまう。

 

「あぁ!」

 

ボールを拾った赤司がシュート態勢に入る。

 

「させるかーーーっ!」

 

火神がシュートブロックに入る。赤司、そのままシュートを放つ。

 

「っ!」

 

ボールはそのまま火神の横を抜けていく。

 

「(違う! これはシュートじゃねぇ!)」

 

火神は気付く。ボールをリングではなく、リングの手前に飛んでいっていることに。

 

ボールが飛んだ先、そこに人影が。それは、四条大智だ。

 

「まさか!?」

 

四条は空中でボールを掴み…。

 

 

――バキャァァァァッ!!!

 

 

そのままリングに叩きこんだ。

 

『おぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

アリウープ一閃。

 

実渕や葉山とハイタッチをしていく四条。

 

「根武谷、最後まで気を抜くな。仮にも誠凛のユニフォームを着た選手だ。油断など、禁物だ」

 

「あぁ、すまねぇ」

 

赤司が軽く叱責すると、根武谷は謝罪をし、ディフェンスに戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

ここで、誠凛は選手交代。田仲を下げて水戸部を。小金井を下げて黒子を投入。

 

変わらず、畳みかけにくる洛山。誠凛も、一縷の望みをかけて食い下がる。

 

誠凛は、昨年のウィンターカップに見せた、火神のゾーンスピードに合わせた、ゾーンの先のもう1つの扉、直結連動型ゾーン(ダイレクトドライブゾーン)に望みをかけるが、火神、扉を開けることができない。

 

通常のゾーンと違い、仲間との連携と共存が必要なダイレクトドライブゾーン。仲間への絶対の信頼と、究極なまでの集中力が必要になる。

 

だが、その、ダイレクトドライブゾーンを意識するがあまり、もう1つの扉を開けることができない。入ろうと意識するがあまり、それが雑念となり、扉を開けられない。

 

攻めに転じた洛山。赤司も黒子のマークには行かず、オフェンスに重視する。それによって、黒子が機能するようにはなったが、やはり、洛山の攻めが上回る。

 

試合は、洛山が自身のペースを乱さずに進行していく。そして……。

 

 

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

 

 

試合終了のブザーが鳴り響く。

 

 

試合終了

 

誠凛 68

洛山 83

 

 

洛山、勝利に終わる。

 

『よおぉぉぉし!!!』

 

洛山選手達、喜びを露にし、喜びを共有し合う。

 

普段であれば、決勝戦を勝利で終わるまでは一切喜びを表に出さず、次の試合にすぐさま切り替えるのだが、今回ばかりは、昨年の雪辱もあるため、喜び合う洛山選手達。

 

「…ふぅ」

 

赤司も、普段であったら選手達を諫めるのだが、この瞬間だけは許した。そして、赤司自身も、勝利で終えることができてホッとするのと同時に僅かではあるが笑顔を浮かべていた。

 

 

 

「83対68で、洛山高校の勝ち!」

 

『ありがとうございました!!!』

 

両者共に整列をする。

 

「黒子、これで1勝1敗。とりあえず、去年の借りは返させてもらったよ」

 

「はい。…赤司君の勝ちです。とても、強かったです」

 

握手をし合う赤司と黒子。黒子の瞳からは頬に伝うものが流れている。

 

「また戦ろう。そして、次も俺が勝つ」

 

「負けません。次はもっと強くなってきます」

 

2人は、新たに再戦を誓い合った。

 

各選手達も握手をし合い、健闘称え合った。

 

粛々とベンチから引きあがる洛山。敗北の悔しさから涙を流し、悲しみをよそに引き上げていく誠凛。

 

両者の激闘が、終わった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「誠凛が…負けた」

 

そ観客席からポツリと秀徳の高尾が呟く。

 

「…昨年は、あらゆるものが誠凛に味方をした。今年は、木吉鉄平不在の上、洛山が実力どおりの試合をした。これがその結果なのだよ」

 

緑間が表情を変えることなく淡々と告げていく。

 

「行くぞ高尾。試合は近い」

 

それだけ告げて席を立つ。

 

「…」

 

緑間が引き上げていく誠凛の、黒子と火神の視線を向ける。

 

「(…決勝リーグの借りを返せないのは不本意だが、優勝することで、それを果たさせてもらおう)」

 

密かに誓う緑間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

試合が終わり、拳をきつく握りこみながら悔しさを露にする空。

 

「空? 行きますよ?」

 

席から動かない空に大地が声をかける。

 

「ん? ああ…」

 

大地の声で我に返り、立ち上がる。

 

インターハイにて、かつてのチームメイトである田仲と同じコートの立てることを願っていた空の表情は暗かった。

 

「洛山は強かった」

 

「えっ?」

 

そんな空に三杉が空の頭に手を置きながら話しかける。

 

「個人のスキルはもちろんのこと、試合の流れを読む判断力。試合運び。開闢の王の名は伊達ではなかった」

 

「三杉さん…」

 

「誠凛が負けたのは決して恥ではない。彼らは主力を1人欠いた状態でよくやったさ」

 

「…はい」

 

「それとな、他者を気に掛けている余裕はないぞ? キセキの世代は、俺や健をもってしても容易く打倒できる相手ではない。…切り替えろよ」

 

「っ! …はい!」

 

空は返事をし、試合の準備へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

誠凛と洛山の試合が終わり、先の試合もスケジュール通り進行していく。

 

海常、秀徳も、順当通り勝利を収めていく。この日、最初の試合である桐皇学園も、圧倒的な攻撃力を見せ、相手に大差を付けて圧勝する。

 

試合はどんどん終わり、ついにやってくる。

 

この日、もう1つの注目の対戦カード…。

 

 

花月高校 × 陽泉高校

 

 

会場が試合開始前から異様な空気に包まれていく。

 

花月高校の…、そして、空と大地の、挑戦と激闘の火蓋が、切って落とされようとしているのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




誠凛対洛山は、このような結果となりました。

やはり、木吉鉄平不在ではこの結果が妥当かなと思います(^-^;)

誠凛ファンの方、申訳ありませんでしたm(_ _)m

次話から、花月対陽泉の試合に入る予定です。

こうご期待!

感想、アドバイスお待ちしています。

それではまた!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。