黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

相変わらずの会話描写が多いです…(^-^;)

それではどうぞ!



第53Q~天帝~

 

 

 

第2Q終了…。

 

 

花月 42

洛山 44

 

 

試合の半分が終わり、点差は僅か2点。

 

双方、攻守共に全くの互角で前半戦を戦い合った両者はベンチに戻り、控室に戻っていった。

 

 

「互角だな」

 

前半戦を観戦した伊月がこのような感想を呟く。

 

「洛山は、個人の能力だけじゃねぇ、同じチームで1年以上共にしたことで培った連携もある。花月は、ほぼ急造チームでありながら、その洛山と対等に渡り合ってやがる」

 

個人の能力に加え、連携もある洛山に、花月は個人の能力で食らい付いている。誠凛のどの選手も、同じ感想を抱いたのだが…。

 

「…いえ、互角じゃないわ」

 

リコだけが、日向の分析に否を唱えた。

 

「点差、展開だけ見れば、一見互角に見えるけど、洛山は、試合開始早々に手を打ち、その後もいくつか手を打っていたわ。けれど、花月はまだ、何も動きを見せていない」

 

「っ!? そういえば、花月の監督は、最初の奇襲の後にタイムアウトを取りかけたっきり、特に大きな指示は出してなかったな…」

 

土田が、リコの言葉を聞き、思い出すように言った。

 

「洛山は、手札を複数切り、赤司君自身が積極的にゲームメイクをしてやっと互角なのよ」

 

戦況は互角ではなく、洛山の不利と分析したリコ。

 

「いくら準備期間が短かったとはいえ、あのおじ様(上杉)が何もしこんでいないわけがない。確実に、第3Qから何か手を打ってくるはずだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

花月側控室…。

 

「戦況は互角……だが、うちは向こうに良いように扱われている」

 

腕を組みながら上杉が唸る。

 

「仕方ありませんよ。こちらは急造チーム。しかも、チーム練習も少なかったですからね」

 

タオルで汗を拭いながら三杉が言う。

 

「ここからどうしましょうか…。洛山と違い、私達には打てる手が少ないのが現状です」

 

大地がこれからの行き先を懸念する。

 

「そう暗くなる必要はない。…むしろ、状況が悪いのは洛山の方なんだからな」

 

「どういうことでっか?」

 

意味が分からず、天野が聞き返す。

 

「向こうの術中にハマっても点差はシュート1本差で済んでいる。展開は互角でも、この差は大きい」

 

『…』

 

「それに、切れる手札にも限りがあるだろうし、何より…、俺も健も、赤司のゲームメイクにも慣れてきた。…そろそろ自由に動けるようになる」

 

ここまで、赤司のゲームメイクによって、実力をほとんど発揮出来ず、半ば、封じられてきた三杉と堀田だが、試合の半分を終えてそれにも慣れてきた。そうなれば、この膠着状態を抜けることも可能になる。

 

「うむ…、とりあえず、第3Qもこのままで行く。向こうも、必ずこの状況を打破すべく、動いてくるだろう。そうなれば、俺からも指示を出そう。…生嶋、松永はいつでも出れる準備はしておけ」

 

「「はい!」」

 

「相手は洛山、高校最強のチームだ。一時も気を緩めるな。最後の1滴まで搾り出せ!」

 

『はい!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

洛山側控室…。

 

「状況は……あまり思わしくはないな」

 

白金が選手達を見渡す。まず、目に付いたのは根武谷と五河。

 

「ハァ…ハァ…」

 

「ぜぇ…ぜぇ…」

 

2人共、まだ、試合の半分しか戦っていないにも関わらず、既に1試合戦い終えたかのように疲弊していた。特に、五河は限界に近い。

 

「…っ」

 

赤司も、皆に気取られないように装ってはいるが、こちらも消耗が激しい。

 

それもそのはず、赤司は三杉と堀田の2人を封じるゲームメイクをこなしながら運動量が多い空を相手にしているからだ。

 

「とりあえず、五河、交代だ」

 

本日スタメン起用された五河の交代を指示した。

 

「監督! 俺はまだ――」

 

交代に不服を持った五河は抗議しようと立ち上がると…。

 

「充。聞き分けろ。これは勝つ為だ」

 

これを赤司が諫める。

 

「…くっ!」

 

五河は赤司に諫められ、悔しながらベンチに腰掛ける。

 

「勘違いするな、充。お前を責めての交代ではない。お前がいなければ、ここまで競ることは出来なかった」

 

「赤司…」

 

「ここから先は、お前のディフェンス力より、点を取ることの方が重要になる。ここまでよくやってくれた。後は任せろ」

 

「……分かった」

 

赤司の労いの言葉を込めた説明に五河は納得した。

 

「センターはこれまで通り、永吉がやるとして、大智を入れるの?」

 

「…そのつもりだ」

 

ここで、五河を下げ、四条を投入。従来のスタメンに戻す。

 

「…けど、五河を下げちゃったらインサイドがやばくない? 正直、永吉だけじゃきついっしょ」

 

葉山が、五河を下げたことで発生する懸念材料を口にする。

 

「無論、それも承知している。後半マンツーからゾーンにディフェンスを変更する」

 

「なるほど、そういうことね」

 

白金の説明に、実渕は納得する。

 

五河が抜けることで出来るインサイドの穴は、ゾーンディフェンスを布くことで埋めるという算段である。

 

「向こうは圧倒的な個のチームだ。わざわざ正面から受け止める必要はない。こちらは、集で対抗する」

 

『…』

 

「昨年、失った名誉を今日挽回する。全員、気力死力を尽くせ」

 

『はい!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

そして、両チームがコートへと戻ってくる。

 

『うおぉぉぉっ! 戻ってきたぞ!』

 

それと同時に会場中が完成に包まれる。

 

選手達はジャージを脱ぎ、コートへと向かっていく。

 

 

「おっ? 洛山は五河を引っ込めたな。代わりに出てきたのは……11番、四条か」

 

コートに出てきた、その中でも、洛山側の選手交代に疑問を覚える高尾。

 

「……本来のスタメンに戻したか」

 

緑間は、1人頷く。

 

「目的はオフェンス力のアップ…、多少の失点を覚悟し、点を取りに来たか…」

 

「けどよ真ちゃん、あれだとオフェンスはともかく、ディフェンスがやばいんじゃないか? 五河が下がったらインサイドが…」

 

「止める方法はある。俺の予測が正しければ、恐らく洛山は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

後半戦、第3Qが開始される。

 

花月ボール。空がフロントコートまでボールを進めると…。

 

「っ!?」

 

空は思わず目を見開く。洛山のディフェンスが変わる。

 

「……そう来たか」

 

三杉が小声で呟く。

 

前に赤司と実渕。その後ろに葉山、根武谷、四条が構える。

 

『これは…!』

 

『2-3ゾーンだ!』

 

洛山のディフェンスがマンツーからゾーンへと切り替わる。

 

 

「そういうことか!」

 

「1対1……ダブルチームでも止められないなら、チームで止めればいいのだよ」

 

「これなら、インサイドの不利も消せる」

 

ここで、高尾は緑間の考えの意味に気付いた。

 

「それにしても、横綱相撲のような戦い方をする洛山が今日はあの手この手で花月を翻弄している。珍しいな」

 

陽泉の永野が、いつもと違う洛山の姿にこのような感想を抱く。

 

「いや、むしろ、これが洛山本来の姿だ」

 

陽泉の監督、荒木が口を挟む。

 

「今の代の奴は知らないだろうが、もともと、洛山は、圧倒的な運動量と、培ってきた経験と戦略で優勝を重ねてきたチームだ。個人技を生かした戦術に加え、お前の言う横綱相撲のような戦い方になったのは、一昨年、五将の3人が加入してからだ」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ。恐らく、五将の3人が加入し、さらに、キセキの世代の赤司が加入したことで、チームで戦うことより、個人を生かして戦うほうが効率が良いと考えたのだろう」

 

『…』

 

陽泉の選手達は、荒木の言葉に聞き入る。

 

「強力な選手の加入は、時として、チームの在り方を変えてしまう。良くも悪くも、な。去年の敗北で、白金監督にも思うことがあったのだろう。…王の座を取り戻すため、洛山は本来の姿に戻した」

 

「…」

 

紫原が、静かにコートに視線を向けた。

 

 

「去年、強大な個を生かして戦ったが、集で戦う誠凛に敗れた。個では限界がある。ならば、こちらも個を束ねて戦おう」

 

ゾーンディフェンスに切り替わった洛山の選手達を見て、白金が静かに呟いた。

 

 

インサイドをゾーンで固めてきた洛山。これでは、中での勝負はもちろん、切り込むのも難しい。

 

「…」

 

空は、大地へとパスを出す。その瞬間、洛山ディフェンスが動く。

 

「…」

 

ボールを貰った大地は、隙を窺う。

 

「(…ゾーンディフェンス、ですが、こちらも、既に経験済み。…行きます!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

機を見て大地が切り込む。それと同時に洛山が大地を包囲する。

 

「っ!?」

 

とてつもないプレッシャーが大地を襲う。

 

「(このプレッシャーは、陽泉のディフェンスに匹敵……いや、それ以上…!)」

 

ボールのキープが困難になり、ゴール下の堀田へとボールを出す。当然、新たな包囲網が築かれる。

 

「……ちっ」

 

如何に堀田でも、この包囲網では思うようなプレーが出来ず、舌打ちをする。

 

「健!」

 

アウトサイドから三杉が声を出してボールを要求する。堀田はボールを三杉に渡す。ボールを貰った三杉はすぐさまシュートを放った。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

『来た、スリー!』

 

ボールはリングの中央を射抜き、後半早々、花月が逆転に成功する。

 

『くっ!』

 

後半戦最初の1本を止められなかったことに悔しさを露わにする洛山選手達。

 

『うわー、やっぱ三杉はすげー!』

 

『堀田もいるし、キセキの世代を超える2人がいる花月がやっぱ優勢か…』

 

観客達は、やはり花月の方が上回っていると口にする。

 

「…」

 

その言葉を耳にする赤司。特に反応するでもなく、洛山選手達に声を掛ける。

 

「外から打たす分には構わない。中からの失点は防げた。上出来だ」

 

「赤司…」

 

「オフェンスだ。取り返すぞ」

 

洛山のオフェンスが始まる。

 

 

赤司がフロントコートまでボールを運び、空がマークに付く。

 

「…」

 

「…」

 

淡々とボールをキープをする赤司に、空は全神経を集中してディフェンスに臨む。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ここで、赤司がドライブで切り込む。

 

「行かせねぇ!」

 

負けじと、空もこれに食らい付く。

 

 

――キュッ!!!

 

 

ここで赤司は急停止。それと同時にノールックビハインドパスでハイポストに立つ根武谷にパスを出す。

 

根武谷にボールが渡るのと同時に赤司が根武谷の下に駆け寄る。

 

「ちっ、行かせ――っ!」

 

空は赤司を追いかけようとしたが、四条のスクリーンに捕まってしまう。

 

赤司は根武谷とすれ違い様にボールを受け取り、そのままインサイドへと切り込み、シュート態勢に入る。

 

「させん!」

 

そこに、堀田がブロックに現れる。

 

「赤司!」

 

赤司の左方から葉山がボールを要求する。

 

その声を聞くのと同時に、ボールを下げ、背中から左方の葉山へのビハインドパスに切り替える。だが…。

 

「ちっ」

 

ここで舌打ちがされる。したのは三杉。赤司と葉山の間に割り込むようにパスコースを塞ぎにかかったが、ボールは葉山のもとに来なかった。

 

ボールは逆、右アウトサイドに展開していた実渕に渡った。

 

『今のって…』

 

赤司は右手で持ったボールを背中からパスを出した直後、左肘を後方に突き出し、ボールを当て、ボールの進行方向を左から右へと変えた。いわゆる、エルボーパスである。

 

「ナイスパスよ、征ちゃん」

 

ボールを貰った実渕はすぐさまシュート態勢に入る。

 

「させるかい!」

 

天野がスイッチで実渕のブロックに向かう。

 

「(…けど、どっちや? 『天』で来るんか? それとも、また『地』か? いや、分からん、もしかしたら『虚空』かもわからん…!)」

 

第1Q時の『地』のシュートのイメージが残っているため、天野はブロックに行くことを躊躇う。その躊躇いが、命取りになる。

 

実渕が、後ろへ飛びながらシュート態勢に入る。

 

「くっ! 考えすぎてもうた!」

 

慌ててブロックに向かうも、間に合わず、ボールは放たれ…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

リングをキレイに潜った。

 

スリーが決まり、点差は再び2点に戻る。

 

「あーあかん! 頭でごちゃごちゃ考えてる時点で負けやー!」

 

頭を抱えて悔しがる天野。

 

「まだまだ、試合これからですよ。1本返していきましょう!」

 

空が天野に声を掛け、リスタートをした。

 

フロントコートまでボールが運ばれ、待ち受けるは洛山のゾーンディフェンス。花月は、スリーポイントラインの外側でボールを回し、隙を窺う。

 

だが、洛山のゾーンディフェンスは一糸の乱れない。パスを回し続けていると、24秒タイマーが残り10秒を切った。

 

ここで、空にボールが戻ってきた。

 

「(…ちっ、時間がねぇ。ここまで連携が取れていると、単純なパス回しじゃ崩れねぇ。だったら…!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

目の前に立つ実渕に対し、ドライブを仕掛ける。当然、洛山は空の包囲にかかる。

 

「(…来た! 引き付けて……完全に包囲される前に…!)」

 

 

――ピッ!

 

 

包囲される直前、空は逆サイドに展開していた大地にパスを出した。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

「なっ!?」

 

「…甘いな。お前の程度の考え等、全てお見通しだ」

 

空のパスは、赤司によってスティールされる。

 

「…10秒切った途端、やけに不自然にゾーンに綻びが出来たとは思っていたが、やはり罠か」

 

三杉は、今の赤司のスティールが仕組まれていたことだということを理解した。

 

洛山は、ただゾーンディフェンスで守っていたわけではなく、タイマーが10秒切るまでは穴を一切空けずにディフェンスをしていた。10秒を切り、そこで空にボールを持たせたところで僅かにゾーンに穴を作る。包囲する時も、逆サイドの大地へのパスルートだけを空けた。

 

オーバータイムが迫り、攻めあぐねている空はそれが罠だとは気付くことが出来ず、チャンスとばかりに仕掛ける。空がパスを出した瞬間、狙いすましたかのように赤司がパスルートに割り込んでスティール。

 

視野の広い空だが、ドライブ中、しかも、包囲されてしまう状況では、その視野は狭まる。空のメンタル面の未熟さを念頭に置いた、赤司の周到な罠。

 

全ては、赤司に掌の上での出来事だった。

 

ボールを奪って赤司はワンマン速攻を仕掛ける。

 

「くそっ!」

 

ターンオーバーとなり、慌ててディフェンスに戻る花月選手。

 

「…」

 

フロントコートまでドリブルでボールを進め、スリーポイントライン直前で赤司は唸る。目の前に、三杉が現れたからだ。

 

花月選手の中で誰よりも罠に気付いたこともあり、いち早く赤司を捉えることが出来た。

 

「…三杉誠也。大輝を降した実力者。だが、そのお前でも、僕のこの眼の前では無力だ」

 

ここで赤司が停止し、左右に切り返しを始める。

 

「道をあけろ」

 

「っ!」

 

三杉の重心が片足に乗ったその瞬間、切り返す。三杉はバランスを崩し、後方へと崩れる。

 

「ちっ!」

 

何とか片手を床に付け、転倒を拒否し、横を抜けようとする赤司に食らい付く。

 

「無駄だ。何人も、僕に逆らうことは出来ない」

 

食らい付く三杉を、赤司はバックロールターンで反転しながらかわした。

 

三杉をかわした赤司は、そのままインサイドへと切り込んでいく。

 

「…来い」

 

三杉をかわしている間にゴール下にまで戻った堀田が赤司を待ち構える。

 

他の洛山選手達もやってきてはいるが、いずれも、花月選手達がパスコースを塞いでおり、パスは出せない。

 

堀田に仕掛けるか、一度仕切り直すか…。赤司に取れる選択はこの2つ。赤司の選んだ選択は…。

 

『うおーっ! 赤司がそのまま行ったぁぁぁっ!!!』

 

赤司は、堀田に仕掛けることを選んだ。

 

堀田は両腕を広げ、赤司を待ち構える。

 

赤司は、フリースローラインを到達と同時に跳躍を開始する。

 

「むっ?」

 

この行動に、堀田が思わず唸る。

 

赤司の態勢はジャンプショット態勢ではなく、ましてや、ダンクの態勢でもない、レイアップの態勢である。

 

だが、赤司の踏切位置ではレイアップでは遠い。

 

「そういうことか…!」

 

堀田は赤司の行動の意図に気付き、ブロックに向かう。

 

赤司の目の前に、圧倒的な高さを誇る大きな壁が立ち塞がる。

 

「…」

 

赤司は、レイアップの態勢からボールをふわりと浮かせるように上へと放り投げる。

 

「っ!」

 

放り投げられたボールは、堀田のブロックの上を弧を描くように越えていき…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

綺麗にリングを潜った。

 

『おぉぉぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

赤司、三杉と堀田の2人をかわし、得点を決めた。

 

 

「今のは…」

 

「五将の花宮の得意としているティアドロップ…!」

 

伊月は、昨年の冬と今年の夏の予選大会の折に、霧崎第一高校の花宮真が披露したテクニック。

 

ブロックをかわしながら決める、別名、フローターとも呼ばれる必殺のレイアップシュートを思い出す。

 

 

「マジかよ…」

 

今の赤司のプレーを目の当たりにし、空は驚きを隠せなかった。

 

三杉をかわしたことももちろんそうだが、最後のフローターは、空がキセキの世代対策に覚えた技でもある。

 

この技は、当然、難易度が高い。相手ブロックが高ければ難易度はさらに上がる。しかも、堀田クラスの選手のプレッシャーを受ければ、手元も狂う。にもかかわらず、赤司はあっさり決めてしまった。

 

ボールがリングを潜ると、赤司がそっと口を開く。

 

「大輝や敦が相手であったならば、僕は止められていただろう。如何に僕でも、2人を同時に相手出来る程、甘い相手ではない」

 

ここで、赤司が振り返る。

 

「敦も大輝も、試合に敗れこそしたが、決して劣ってはいなかった」

 

「「…」」

 

「キセキの世代を超えた? 思い上がるな。キセキの世代は、お前達ごときに超えられる程、容易くはない」

 

赤司は自陣へと歩みを進める。

 

「昨年のような愚はもう犯さない。今日、お前達を跪かせ、王の座を取り戻す。昨年の汚名を払拭し、絶対が僕であることを証明しよう」

 

それだけ告げ、赤司はディフェンスへと戻っていった。

 

「……参ったな」

 

三杉は、思わずこんな言葉が漏れた。

 

「さすが、キセキの世代を従えていただけのことはある。俺と健を同時に抜かれたのは、ここ最近ではあまり記憶にないな」

 

「…全くだな。まさか、自分より身長の低い者に、こうも容易く決められるとはな」

 

堀田は、汗をユニフォームで拭った。

 

「良いね。ファイナルの舞台は、こうでなくては」

 

「同感だ」

 

2人は、自陣に戻った赤司、及び洛山の選手達に視線を向けた。

 

「ここまでやられて、ここまで言われてしまっては、こちらも黙ってはいられない」

 

「ああ。受けた借りは、きっちり返さねばな」

 

三杉と堀田は、不敵に笑った。

 

赤司は、三杉と堀田の2人を相手に得点を決めた。

 

これにより、試合はさらに、激化していくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





若干文章のボリュームを抑えました。

執筆活動を始めた当初は、文章量が少なくて泣いていたのですが、今では無駄を省けず、文章量がやたら多くなって泣いています…( ;∀;)

これからは、話数が多くなることを覚悟で投稿スピード重視で投稿して行こうと思います。

後は、内容まで少なくならなければ…(^-^;)

感想、アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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