黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

予定より1週間オーバー。年末忙しい過ぎッス…(^-^;)

それではどうぞ!



第57Q~絶対~

 

 

 

第4Q、残り5分21秒。

 

 

花月 71

洛山 76

 

 

空、大地が五将の実渕と葉山を1ON1で攻略し、流れが花月に傾きかけたその時、赤司がゾーンの扉を開き、コート上の選手達及び会場中の空気を一変させる。

 

「…」

 

「…」

 

そんな赤司の前に立ち塞がるのは三杉。赤司のプレッシャーを一身に受けるも、表情を変えることなくディフェンスに臨んでいる。

 

『…(ゴクリ)』

 

会場中が緊張感に包まれる。2人の対峙はさながら、居合の達人同士の死合いである。

 

空気が張り詰める中、両者の戦いが始まる。

 

赤司がドライブで三杉の左手側から仕掛ける。三杉もそれに反応し、行く手を塞ぐ。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

三杉が赤司の持つボールに手を伸ばそうとした瞬間、赤司がバックチェンジで切り返す。

 

「っ!」

 

このバックチェンジを読み切った三杉が切り返し際を狙い撃った。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

切り返したと同時にバックロールターンで反転しながら三杉の横を抜けていった。

 

『抜いたぁっ!』

 

「マジかいな!?」

 

三杉が抜きさられたことに動揺するも、1番近くにいた天野がヘルプに向かった。

 

「邪魔だ。跪け」

 

ここで赤司が緩急を付けながら高速で切り返しをする。

 

「っ!? 嘘やろ!?」

 

あまりの緩急に、天野はその場で膝を付いてしまう。

 

天野を抜いた赤司はそのままリングに向かい、フリースローラインを数歩越えたところでシュート態勢に入る。

 

「打たせん!」

 

堀田がここでブロックに飛ぶ。先ほどのティアドロップを警戒し、深めにブロックに飛んだ。だが…。

 

「なに!?」

 

ここで堀田は驚愕する。赤司は飛んでいなかったからだ。

 

 

「フェイク!?」

 

「今のはタツヤばり…いや、それ以上だ!」

 

堀田する見破ることが出来ない程のフェイクの精度に、氷室、火神も驚愕した。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

目の前の障害なくなり、赤司は悠々とレイアップを決めた。

 

『うおぉぉぉっ! 赤司、1人で決めたぁぁぁぁぁっ!』

 

「マジ…かよ…」

 

三杉、堀田、天野と、花月高校においてもっともディフェンスに優れた3人を1人で抜きさって得点を決められ、茫然とする空。

 

得点を決めた赤司は歩きながら自陣へと戻っていく。

 

『…っ』

 

そんな赤司を他の洛山の選手達は俯きながら見送る。

 

「……なんだその顔は?」

 

おもむろに赤司が歩みを止めると、4人に背を向けたまま言葉を発した。

 

「まさか、もう心が折れたわけではないだろうな? それとも、ここから先、僕1人に戦わせるつもりか?」

 

『?』

 

「花月は僕1人で戦える相手ではない。戦意を失ったのならコートを出ろ。不要だ。そうでないのなら顔を上げろ。誠凛は、この程度で折れたりはしなかったぞ?」

 

『っ!』

 

赤司の言葉に4人は目を見開く。

 

「行くぞ。僕達の手で花月を倒し、失った栄光を取り戻すぞ」

 

そう4人に告げ、赤司は自陣へと戻っていくと、表情を引き締め、4人も赤司に続いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

花月のオフェンス。

 

「…これは」

 

葉山をマークする大地がその変化に気付いた。先ほどまで心が折れかけていた洛山選手達の表情が戻っていることに。そして…。

 

『っ!?』

 

ボールをキープする三杉。その前に立ち塞がる赤司。その赤司のプレッシャーが花月選手達を襲う。

 

「(んだよこれ…! これが赤司の守備範囲か!?)」

 

その身に浴びるプレッシャーから赤司の守備範囲を理解する。

 

「(エンペラーアイにゾーン加わるとここまで…! これは陽泉の紫原さんに匹敵…いえ、それ以上…!)」

 

未来が見えるエンペラーアイに100パーセントの力を発揮出来るゾーンの扉を開いた赤司のディフェンスエリアは、あの紫原をも上回っていた。

 

「冗談やないで。中央に陣取られたらどこから攻めてもアウトやんか…」

 

天野も赤潮ディフェンスエリアの広さを理解し、絶望する。

 

 

「花月はどう攻めるつもりだ…」

 

ゾーンに入った赤司を良く知る伊月は、先の展望が見えない展開に眉を顰める。

 

「いくら三杉でも、ゾーンに入った赤司を止められるとは思えない。去年、赤司を止められたのだって…」

 

ここで日向が黒子の方へ視線を向ける。

 

昨年、ゾーンの扉を開けた赤司を、黒子、火神の2人で止めた。実際、止めることが出来たのは黒子の助力によるところが大きかった。

 

赤司を知る者全てが思う。単独で赤司を出し抜くのは不可能だと。

 

 

「…」

 

赤司のプレッシャーを浴びながら対峙する三杉。エンペラーアイを持つ赤司出し抜くことで不可能だが…。

 

「…出し抜くつもりはないさ」

 

三杉がボールを右手で掴み、ボールを高く上げながら跳躍をする。

 

『何をするつもりだ?』

 

『まさか、フックシュート?』

 

『いやいや、まだスリーポイントラインの外側だぞ!?』

 

三杉が起こした行動に、観客は理解が出来なかった。

 

跳躍し、最高到達点にまだ達すると、右手で掴んだボールを手首のスナップを利かせ、放り投げた。

 

ボールがリング付近に到達すると、そこに堀田が現れ、ボールを掴んだ。

 

「…っ」

 

赤司はボールを追い、ゴール下までやってきたが、ここで足を止めた。

 

 

――バキャァァァァ!!!

 

 

ボールを掴んだ堀田はそのままリングに叩きつけた。

 

『堀田のアリウープだ!』

 

アリウープを成功させた堀田はリングから手を放し、ディフェンスへと戻っていった。

 

 

「…そういうことか」

 

「青峰君、何か分かったんですか?」

 

「赤司を出し抜くことは不可能だ。だったら、分かってても止められない攻撃を仕掛けりゃいい」

 

「っ! そうか、いくらゾーンに入った赤司でも、堀田のパワーには敵わない」

 

青峰の解説に火神は今の攻めの意味を理解した。

 

「そういうことですか。だから赤司君はブロックに行かなかったんですね」

 

ブロックに行っても止められない。下手にブロック行けば、バスカンを与えてしまったり、最悪、負傷退場ということもあり得る。その為、赤司はブロックに飛ばなかった。

 

「だが、攻め手が分かってる分、洛山の方が有利じゃないのか?」

 

「確かに、このままなら、な」

 

同じ手が何度も通用するほど洛山は甘くない。それが分からない三杉ではないと、青峰は考えた。

 

 

洛山のオフェンス。

 

赤司は高速で左右に緩急を付け、三杉を揺さぶる。

 

「っ!?」

 

あまりの緩急に、三杉の足は崩れ、バランスを崩してしまう。その隙に赤司が前方へ加速、三杉を一気に抜きさる。

 

「…」

 

三杉を抜いた直後、赤司の目の前には大地と天野が待ち受ける。そして…。

 

「ここだ!」

 

赤司の後方から、空が襲い掛かる。

 

「いくらエンペラーアイでも、前後、これだけの人数の未来は見れないはずだ!」

 

後方から空がボールを狙い、大地が前方から狙い、天野が赤司の動きに対応するために控えている。

 

 

「無駄だ。確かに赤司のエンペラーアイは複数人の未来を同時に見ることは出来ない。だが、ディフェンスの死角を見つけることは容易い」

 

伊月がポツリと言う。

 

 

空と大地の伸ばした手が赤司のキープするボールに触れる直前…。

 

 

――ピッ!

 

 

赤司はパスを出す。ボールは天野の股間の下を抜け、ゴール下の根武谷に渡る。

 

「ナイスパース!」

 

 

――バス!!!

 

 

ボールを貰った根武谷がゴール下を沈めた。

 

「ちっ」

 

不意を突かれ、ブロックに行けなかった堀田は舌打ちを打つ。点差は再び7点に戻った。

 

 

オフェンスは切り替わる。三杉がボール運びをし、赤司がディフェンスとして立ち塞がる。

 

赤司は手の届かない高さでパスを出されないよう、距離を先ほどより詰めてディフェンスに臨む。だが、三杉はそれを嫌い、一定の距離を保とうと距離を空ける。

 

「…」

 

これ以上、距離を保つ事が不可能と判断した三杉は傍にいた空にビハインドバックパスを出した。それと同時に赤司の横を駆け抜ける。

 

 

――スッ…。

 

 

それと同時に、三杉は空に向けて指を上に向ける。

 

「…っ! うす!」

 

三杉の狙いを理解した空はリターンパスを上に高く出した。出されたパスを三杉は空中で右手で受け取り、そのまま手首のスナップを利かせ、リングに向けてボールを放り投げた。

 

 

―――バキャァァァァ!!!

 

 

先ほど同様、堀田がリングに直接ボールを叩きつけ、アリウープを決めた。点差は5点に再度戻る。

 

 

「一進一退だな」

 

「有利なのは洛山だ。花月は赤司を単独で止められない。かと言って人数をかければパスを捌かれて他が決めてしまう」

 

伊月と日向が今までと今後に展開を整理する。

 

「花月は赤司が三杉をマークしている以上、堀田へのアリウープしか得点は難しい。だが、赤司に…洛山に同じ手が2度も通用するほど甘くない。直に手詰まりになる」

 

「……勝負あったか?」

 

 

「三杉」

 

三杉の下へ、堀田が歩み寄った。すると、三杉は手を前に出した。

 

「心配はいらない。彼の『アナライズ』は今終了した。もう、何もさせない」

 

「…ふっ、ならいい。期待しているぞ」

 

三杉の返答に、堀田は満足し、自陣に戻っていった。そして、洛山のオフェンスが始まる。

 

「…っ」

 

ボールをキープする赤司。目の前の三杉の雰囲気が変わったことに気付いた。

 

「未来を視るエンペラーアイ。そしてゾーン。本当に手を焼かされたが……データは揃った、そろそろ止めさせてもらうよ」

 

「不可能だ。僕は誰にも止められない。お前がどんな戦略を用意しても、僕の眼は見逃さない。何をしてこようとただの足掻きだ」

 

「なら試してみるといい。…あと1つ言っておくと、小細工など使わないよ。俺はシンプルに行く」

 

そう言って、三杉は集中力を最大限に高めた。

 

「…」

 

ボールをキープする赤司は考える。ここで三杉が何をしてくるかを。

 

三杉本人が何をしてきても、エンペラーアイは見逃さない。ならば、味方を使って何かを仕掛けてくるか…。可能性を考えるなら、昨年、黒子テツヤが仕掛けたあれだ。だが、簡単に出来る代物ではないし、何より、打ち合わせをしたような時間はなかった。

 

「(…関係ないな。何をしてこようと、僕のこの眼がある限り、裏を掻かれることはない。いざとなれば、パスを回せばいいだけだ)」

 

何が起きても問題ないと判断した左右にボールを揺さぶり、崩しにかかり、三杉の体重が片足にかかるのを確認し、逆に切り返し、仕掛けた。

 

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

 

「っ!?」

 

だが、赤司が三杉の横を抜ける直前、三杉の手が赤司のボールを捉え、弾き飛ばした。

 

 

「なにっ!?」

 

「赤司のボールをカットしただと!?」

 

今の三杉のスティールに、緑間と高尾が驚愕した。

 

 

零れたボールを空が抑え、速攻を開始する。

 

「(馬鹿な……僕の眼は確かに三杉の未来を捉えていた…)」

 

赤司はエンペラーアイを使い、三杉の未来を視ながら仕掛けた。にもかかわらず、三杉の横を抜けようとした瞬間、その手からボールの感触がなくなった。

 

「(未来を捉え損ねた? いや、そんなことはあり得ない…!)」

 

「征ちゃん!?」

 

「っ!」

 

茫然とする赤司だったが、実渕の声で正気に戻り、ディフェンスに戻った。

 

「…速いな」

 

ワンマン速攻を仕掛けて1本決めるつもりだった空だが、洛山の戻りがそれより速く、スリーポイントライン手前で停止する。

 

「どうすっか…」

 

どのように攻めるか考えていると…。

 

「空!」

 

三杉がボールを要求する。

 

「三杉さん…」

 

どのみち自分では点を取ることは難しいと判断し、空は迷いなく三杉にパスを出した。ボールを受け取ると、目の前には赤司が立ち塞がる。

 

「ふざけるな!  絶対は僕だ! 僕が1対1で止めることなどあり得ない! そんなことはあり得ないことだ!」

 

さっきまでとは違い、激しく激昂する赤司。

 

「どうした? 集中が乱れているぞ?」

 

そんな赤司に、冷静に言葉をかける三杉。そして、三杉が動く。

 

「っ!」

 

ドライブを仕掛ける三杉。エンペラーアイで未来を捉えた赤司がその手に持つボールを狙い撃つ。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

だが、赤司の手がボールを捉えることはなかった。三杉は赤司の手をかわし、横を抜けていく。

 

『抜いたぁぁぁぁぁっ!』

 

赤司を抜きさり、そのままリングに向かい、跳躍する。

 

「ぬおっ!」

 

根武谷が慌ててヘルプに飛び出し、ブロックに現れる。だが…。

 

 

――バキャァァァァ!!!

 

 

三杉は根武谷の上からボールをリングに叩きつけた。

 

『おぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!』

 

その瞬間、会場中が大歓声に包まれる。

 

『赤司を抜いて決めやがった!』

 

『これで3点差!』

 

『スリーなら同点だぞ!?』

 

今のダンクにより、点差は3点にまで縮まり、花月がついに洛山の背中を捉える形となった。

 

『くっ!』

 

ジリジリと詰め寄り、ついにワンゴール差にまで詰められ、苦悶の声が洛山から漏れる。

 

「…」

 

抜こうとしたが止められ、止めようとして抜かれた赤司は茫然とする。

 

「…っ!」

 

そして赤司の横を三杉が抜けるように通り過ぎると、赤司は拳をきつく握り、歯をギュッと噛みしめると、鬼のような形相で三杉を睨み付けた。

 

「パスだ、早くしろ!」

 

赤司がボールを要求すると、根武谷がスローワーとなり、リスタートし、赤司がボールを受け取った。ボールを受け取ると、赤司はそのままドリブルを始めた。

 

「おい、赤司!?」

 

突然のドリブル。赤司は花月のディフェンス網に1人突っ込んでいく。それに慌てて洛山選手達が追いかけていく。

 

「(僕は去年までとは違う! テツヤのような援護がない限り、僕が止められるはずがないんだ!)」

 

グングン加速し、赤司はドリブルをしていく。そして、花月のディフェンスの先頭、三杉が赤司を止めるべく現れる。

 

「三杉誠也ぁっ!」

 

自身を止めた張本人、三杉が現れると、表情がさらに険しくなる。

 

「…赤司征十郎。君は言わば堅牢な城だ。堅牢な城は、崩すのは容易ではない。だが、ひとたび崩れると、それはとてもあっけなく崩壊してしまう」

 

三杉が呟くように言葉を続ける。

 

「ここで教えておこう。エンペラーアイがもたらしてしまった君自身の欠陥を…」

 

「欠陥だと? この眼を持った僕に欠陥などない! ここでお前を倒し、試合を決める!」

 

三杉の目の前までドリブルをすると、赤司は左右に揺さぶりをかける。

 

「(見えているぞ、お前の未来が。この眼がある限り、僕が1ON1で敗れることなどあり得ない!)」

 

エンペラーアイで三杉の未来を先読みし、三杉の裏を狙う赤司。未来を読んだ赤司が三杉の横を抜けていく。

 

「(勝った! やはり絶対は僕――っ!?)」

 

その時、赤司の眼に移ったのは、自分自身の姿だった。

 

「――相手の未来が見える。相手からすればこれは厄介だ。だが、逆に言えば、君は相手の未来に必ず先回りしてくるということだ。ならば、こちらはその先で待ち受ければいい」

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

赤司の手からボールが弾かれる。ボールは零れ、三杉が拾う。

 

再びターンオーバーとなり、三杉が速攻をかける。幸いというべきか、赤司以外の洛山の選手達はまだフロントコートに上がりきっていなかった為、素早くディフェンスに戻れた為、ワンマン速攻を防ぐことが出来た。

 

三杉はハイポストに立つ天野にパスを出し、天野が手元に駆け込んだ空にボールを手渡す。ボールを受け取った空がそのまま行こうとしたが、根武谷、四条に道を塞がれ、1度、大地に戻す。大地は三杉へとパスを出した。

 

「ふざけるな! こんなことがあってたまるか! 僕はもう、2度と敗北など…!」

 

先ほどまでとは違い、完全に冷静さを失っている赤司。三杉は軽く嘆息しながら赤司を見据えた。

 

三杉、ドライブを仕掛けるべく、動き始める。

 

「(…見えた! 今度こそ取る!)」

 

赤司はエンペラーアイを使い、トリプルスレッドの態勢になる一瞬を狙い撃つ。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「なっ…!」

 

赤司の伸ばした手に手応えはなく、空を切った。

 

「君のその眼は確かに俺の未来を見ている。だが、いくら未来が見えても、それに君自身がついてこれなければ意味をなさない」

 

三杉は、最小限の動作かつ、最大限の加速をもって赤司の眼と手をかわし、抜きさり、そこからミドルシュートを放つ。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールはキレイにリングの中心を射抜いた。

 

『うおぉぉぉっ! ついに1点差!』

 

ボールがリングを潜ると、三杉は踵を返した。

 

「エンペラーアイを持ったことで君は敵のことを誰よりも知ることが出来るようになった。だが、逆に自分自身のことが見えなくなった。考えたことがあったか? 自分の未来が読まれるという状況を…」

 

「っ!」

 

三杉は赤司を分析し尽し、事実上、赤司の先が見えているのと同じ状況である。先ほど見た自分自身の姿は、自分の未来が見られていることを脳が無意識に感じ取り、それを自分自身の姿として投影したものだと赤司は悟った。

 

「絶対などというありもしない幻想から、早く抜け出すことだな」

 

三杉は通り抜け様、赤司に告げていった。

 

「…」

 

そう告げられた赤司は、何も言い返すことが出来ず、茫然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『限界だな』

 

内なる赤司が言葉を発する。

 

『っ! まだだ! 僕はまだ――』

 

『ダメだ。お前も分かっているだろう? 自分の弱さを…。1度崩れると脆く、立て直すことが出来ない自分のメンタルの弱さを』

 

『っ!?』

 

『責めはしない。お前はよくやってくれた。後は任せろ』

 

『……ああ、分かった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・・

 

 

「征ちゃん…」

 

茫然と佇む赤司に実渕が話しかける。

 

「…」

 

「おい、赤司、大丈夫かよ!?」

 

反応を示さない赤司が心配になり、葉山が肩を揺さぶる。

 

「……心配はいらないよ、実渕、葉山、根武谷、四条」

 

『っ!?』

 

ここでようやく返事をした赤司だが、そのある変化を選手達は感じ取った。

 

「無様な姿を見せてしまった。すまない」

 

洛山選手達に頭を下げる赤司。

 

「気にしてないから謝らなくてもいいわ。…それよりも、ここからどうしようかしら…」

 

もはや各ポジション、全てにおいて花月側が優位に立っている為、攻め手が見つからない。

 

「ならば、原点に戻ればいい。バスケの原点に――」

 

 

洛山リスタート…。

 

赤司がボールを進める。

 

「……むっ」

 

ここで三杉は赤司の変化に気付く。

 

「(…変わった…いや、戻ったというべきか…)」

 

他を圧倒するプレッシャーは鳴りをひそめ、近寄り難い雰囲気はなくなっていた。

 

「(…流れは完全に俺達にある。各ポジション俺達が有利。後ひと押しで――)」

 

空が胸中でそう考えていると…。

 

「もう勝った気でいるつもりか?」

 

空の心中を見透かしたかのように赤司が言い放つ。

 

「まだ試合は終わっていない。ここから先は小細工など使わない」

 

1度、ゾーンが切れた赤司だったが、再びゾーンに突入した。

 

「ここからはチームの力を結集しての真っ向勝負だ。たとえ、個では劣っていても、個を束ねた強さでは負けない。俺達の底力を見せてやろう」

 

洛山選手達の瞳に更なる闘志が燃え上がる。

 

追いすがる花月。追撃を振り切る洛山。決勝戦の結末がまもなく、決まろうとしている……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





結局試合終了まで終わらず、次回以降に持ち越しになりました…(^-^;)

一応、この試合は次話か、長くともその次くらいで終わらせるつもりです。年内までに終わらせることが今の目標であります。

僕司に関して、成長している部分もあれば、やはり、欠点などは未だ改善していない感じです。主に、メンタル面の弱さ(崩れると立ち直れないところ)です。これを読んでくれた方はそれぞれ思うところはあると思いますが、僕司は本来の赤司の弱さによって生まれているので、その辺はそのままにしました。

感想、アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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