投稿します!
遅くなって申し訳ございません。
色々調べているうちに時間がかかってしまいました。
それではどうぞ!
翌日、大会2日目…。
この日からシード校も動き出し、参加校全てが動き出す事になる。
『…』
花月高校もまた、試合に向けて準備を進めている。三杉と堀田が抜けた初の公式戦、選手達にも気合が入る。やがて、試合の時間がやってきた。
「っしゃぁっ! とっとと試合を終わらせるぞ!」
空が声を張り上げる。
「くー、気合入ってるね」
そんな空の気迫に押される生嶋。
「当たり前だ。次はキセキの世代が控えてるんだ。こんなところで躓くわけにはいかないからな」
険しい表情で生嶋に返す空。
「神城君。秀徳の戦うにはまず今日勝たなければならない事を忘れないで。今は目の前の相手に集中して」
今日の試合相手に集中しきれていない空を姫川が窘める。
「…分かってるよ」
窘められた空は軽く苛立った表情で返事をした。
「…」
そんな空を大地は心配そうに見つめていた。
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・・・・・・・
・・・・
コート上では1回戦を勝ち進んだ高校が日程通りに試合を行っている。
本日はキセキの世代同士の試合はなく、1番の注目カードが花月高校と大仁田高校の試合。
突如、インハイに現れ、キセキの世代を倒し、王者の座を手にした花月高校。その最初の試合が今日の観客の1番の目当てである。
『来たぞ!』
コート上に花月の選手達がやってくると、観客の注目が一気にそちらに向いた。
『おい、三杉と堀田がいないぞ!?』
『ホントだ! どうなってるんだ!?』
コート入りする花月の選手達の中に、三杉と堀田がいないことに観客がざわめく。
「分かっていたことだが、やはり、観客は騒がしくなったな」
観客のリアクションに、松永は苦笑いをする。
「そらそうやろ。夏はあの2人ありきでの優勝やったからな」
身体を解しながら天野が観客席を見渡す。
「…」
そんな中、空がベンチに座り、一方を睨みつけていた。
「……空、そちらを睨んでも、まずは今日勝たないと意味がないんですよ?」
不撓不屈の横断幕を睨み付ける空に大地が声をかける。
「試合が始まったら気持ちを切り替えるから心配すんなって」
鬱陶し気に大地に返すと、立ち上がり大地と少し距離を取って柔軟を始めた空。
「…今日の神城君は様子が変だわ。何かあったのかしら?」
「……昨日旅館に戻った時からあんな感じでしたから、会場で何かあったのでしょう。空の性格を考えれば、恐らく、誰かに何か言われたのでしょう」
異変を感じた姫川。空の性格を誰よりも理解している大地が予測を立てる。
「大丈夫かしら?」
「熱くなっているだけならともかく、今日の空は雑念がかなり酷いです。こうなると少々…。一応、監督や皆には話しておきます」
大地が上杉の下に向かった。
「…」
姫川は、一抹の不安を抱えるのだった。
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・・・・・・・
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やがて、試合開始の時間となり、両校の選手達がコート内のセンターサークルに集まった。
花月高校スターティングメンバー
6番PG:神城空 179㎝
7番SG:生嶋奏 181㎝
8番SF:綾瀬大地 182㎝
9番PF:天野幸次 192㎝
10番 C:松永透 194㎝
大仁田高校スターティングメンバー
4番PG:綾辻博之 173㎝
5番 C:風間孝明 191㎝
6番SG:寺沢裕 176㎝
7番SF:内海譲 182㎝
8番PF:大沢介司 188㎝
両校がセンターラインで対峙する。
『お願いします!』
双方が頭を下げ、天野と綾辻が握手を交わす。
「よろしゅうに」
「ああ」
その後、センターサークル内にジャンパーである松永と風間を残してスタメンの選手達が配置に付いた。
「…」
「…」
審判がボールを構えると、ジャンパーの2人が腰を落とし、備える。そして、審判がボールを高く上げた。
――ティップオフ!!!
「「っ!」」
ボールが上げられるのと同時に松永と風間が飛ぶ。
――バシィィッ!!!
ジャンプボールを松永が制し、生嶋がボールを掴む。
「くれ!」
すかさず、空がボールを要求する。生嶋が掴んだボールをすぐさま空に預けた。
「よし!」
空にボールが渡ると、空の同ポジションである綾辻がディフェンスに入る。空がボールを低く構え…。
「っらぁっ!」
――ダムッ!!!
一気に加速。綾辻の横を高速で抜けていく。
「っ!?」
そのあまりの速さに、綾辻は思わず目を見開いて驚愕した。
綾辻を抜きさった後、空はグングン加速していき、リングまで単独でドリブルをしていく。
「ちっ!」
引き気味にポジションを取っていた内海が舌打ちをしながら空の進路を塞ぐ。
「関係ねぇ!」
それでも構わず内海に仕掛けていく。内海は空の速さに面を食らうも何とか食らい付いていく。
――スッ…。
「なっ…!」
空がバックロールターンで反転。内海をかわし、抜きさる。
――バス!!!
内海を振り切った空がそのままレイアップを決めた。
「よし!」
先制点を決めた空が拳を握る。
『うおぉぉっ! 速ぇぇぇっ!!!』
試合開始から僅か10秒足らず。開始早々の速攻撃から先制点に、観客も盛り上がる。
「(とっとと点差付けて、試合を終わらせてやる)」
自分にそう言い聞かせながら空はディフェンスに戻っていった。
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・・・・・・・
・・・・
「……速いな」
今の空のプレーを見て、大仁田の風間がポツリと言った。
「当たり前の話だが、インハイの時よりスピードもキレも増している」
6番寺沢が空に視線を向けながら分析をしていく。
「今のを見る限り、花月は、運動量とスピードを生かしたラン&ガンスタイルで間違いなさそうだな」
「ああ。予想通りだ。なら、前日に立てたプラン通りで試合を進める。…行くぞ、勝つのは俺達だ」
8番大沢の分析に綾辻が頷き、チームに活を入れた。
ボールを風間が拾い、スローワーとなって綾辻にボールを渡すと、大仁田の攻撃が始まった。
※ ※ ※
一方で…。
別コートで試合を行っていた秀徳高校の試合が終わった。
相手は佐賀県の強豪であったが、秀徳が終始相手を圧倒。第2Q終わった時点で大差を付けた。
第3Qで緑間と高尾はベンチに退き、第4Q中盤時点ではスタメン全員がベンチに退いていた。試合はスタメンが下がった終盤に僅かに点差を詰められるも秀徳が順当に3回戦に駒を進めた。
「ま、順当に勝ったな」
「当然の結果なのだよ。今日のラッキーアイテムのメリケンサックを持っているのだからな」
勝利を喜ぶ高尾に、緑間は表情を変えることなく答えた。
「物騒だからそれ(メリケンサック)指にはめんなよ。…さて、花月対大仁田はどうなってるかな」
今日の試合、早めにベンチに下がった2人が明日の対戦相手になる2校の偵察にやってきた。
「…第3Q、もう折り返しか。……っ! これは…」
「…」
電光掲示板のスコアを見ると、高尾は軽く驚き、緑間は予想通りだったのか、表情を変えなかった。
第3Q、残り7分45秒。
花月 24
大仁田 33
試合は、大仁田リードで進んでいた。
「完全なロースコアゲームだな」
未だ、双方の得点が少ないのを見て高尾がこのように感想を言った。
「ちっ!」
コート上では、現在ボールをキープする空が舌打ちをした。リードを許している現状、何より、自分の思い通りに行かない状況に苛立ちを感じていた。
――ダムッ!!!
目の前でディフェンスをしている綾辻を高速のドライブで一気に抜きさる。だが…。
「っ!?」
その直後、寺沢と内海が空の目の前に現れる。空が停止をすると、風間と内海、先ほど抜いた綾辻が空を囲むように包囲し、どんどんコートの端へと追いやっていく。
「あの4番、わざと抜かせたな」
「そのとおりだ。4番では神城を止める事は出来ない。だが、行かせたい方向に抜かせる事は可能だ。わざと右側から抜かせ、6番と7番の待ち構える場所へ追い込んだ」
今の一連のプレーは仕組まれたものだと緑間と高尾は推察する。空を端へ追い込み、かつ包囲する為に。
「くそっ!」
さすがの空も、端で3人に囲まれてしまうと思い通りにプレーは出来ない。
「くー、戻して!」
「ちっ!」
生嶋の声を出し、ボールを貰いにいく。空は生嶋の姿を捉え、ボールを生嶋に戻した。
――バチィィッ!!!
だが、そのパスは大沢によってカットされてしまう。
『ターンオーバーだ!』
攻撃に失敗し、花月がディフェンスに戻っていく。ボールを奪った大沢は速攻に走る事はなく、ゆっくりボールを進め、綾辻にボールを渡した。
「…」
ボールを貰った綾辻はすぐさま左アウトサイドの寺沢にパスを出した。ボールを受けた寺沢も持ちすぎることなくゴール下の風間にパスを出し、風間もすぐに綾辻にボールを戻す。
大仁田のオフェンスはドリブルは最小限。とにかくボールを回しながら24秒をきっちり使うディレイドオフェンス。ボールを回しながらチャンスを窺う。
「あっ!」
ボールを回して20秒が経過したところでノーマークとなった内海にボールが渡る。
――ザシュッ!!!
ノーマークの内海がミドルシュートを的確に決めた。
「よーし!」
決めた内海がハイタッチを交わす。
「くそっ!」
逆にオフェンスは失敗し、失点を喫した空は悔しさを露わにする。
試合は、大仁田がパス主体のディレイドオフェンスで確実に得点を積み上げているのに対し、花月はパスを出せばスティールされ、ボールを貰ってもチェックが速い為、得点には繋がらない場面が多く見られている。
花月は得意の速い展開に持ち込む事が出来ず、大仁田のペースに乗せられている。劣勢の原因はボールが回せない事なのだが、1番の要因は…。
「くそっ…!」
空の不調である。失点の多くが、空が強引に仕掛け、捕まり、そこからのパスミスである。自分の思い通りにならず、熱くなり、さらに泥濘にハマっている。
司令塔である空の不調がチーム全体に影響を及ぼし、悪循環を生んでいる。
試合は、花月が調子を戻せないまま進んでいった。
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・・・・・・・
・・・・
第3Q、残り1分49秒。
花月 29
大仁田 43
点差はじわりじわりと開いていった。
要所要所で大地が個人技で得点を上げているが、単発が多く。流れを変える事は出来なかった。
現在、大仁田のオフェンス。大仁田は、変わらずボールを回し、時間を使いながらオフェンスに臨んでいる。
「……なあ、真ちゃん? 大仁田の奴等ってもしかして…」
「高尾。お前ならすぐに気付くと思っていたのだよ」
何かに気付いた高尾。緑間がコートに視線を向けながら解説を始めた。
「大仁田のスタメンは、全員、元はポイントガードとして鳴らして選手なのだよ」
「やっぱそうか。あいつら(大仁田)パス回しが上手すぎる。決められたパターンで動くセットオフェンスじゃないのに1つ1つのパスが的確だ」
「ああ。全員が広い視野とパスセンスを備えている。それぞれがそれぞれのポジションや人の動きや流れを理解しているからフリーの選手を作り出す事など造作もない」
「…」
「ディフェンスでも同様に、特定の場所に追い込むようディフェンスをし、さらにパスコースを誘導し、スティールを誘発させている。これも、ポイントガードとして特性をスタメン全員が備えているからこそ出来る芸当だ」
「……何か聞いてるだけでやりづらそうな相手だな」
緑間の説明を聞いてげんなりする高尾。
「現に、今年の夏に、海常を追い詰め、黄瀬にパーフェクトコピーまで使わせている。容易い相手では断じてない」
「あっ、そういえば…」
ここで、高尾はインターハイで大仁田が海常と戦った時の事を思い出した。
「速い展開を得意とするチームにとって、大仁田はとにかく相性が悪い。この苦戦は当然の結果なのだよ」
大まかな説明を終え、緑間はメガネのブリッジを押した。
「にしても、全員が元ポイントガードとはなぁ」
「昨年まで大仁田の司令塔には小林圭介がいた。彼と同じポジションの者がスタメンを獲得する為には、小林圭介からスタメンを奪うか、他ポジションにコンバートをして活路を見出す他なかった」
「その結果生まれたのがあのバスケってわけか」
その説明を聞いて高尾は納得した。
「大仁田のバスケの恐ろしいところはまだある。一般的に、バスケ選手が1試合で走る距離は5キロから7キロ程だと言われている。だが、パス回しが主体の大仁田は昨日の試合を見た限り、おおよそで3キロを超えた程度だった」
「3キロって、一般的の約半分くらいしか走ってねぇじゃねえかよ」
あまりの少ない運動量に高尾は驚いた。
「さっきも言ったが、大仁田のスタメンは全員、広い視野とパスセンスを持っている。各々が最善のポジションを瞬時に見つけ、動くことで無駄な移動を減らす事でスタミナの消耗を減らし、逆に、相手はそのパス回しで走りまわされ、スタミナを奪われる」
『ハァ…ハァ…!』
花月の選手達は肩を揺らしていた。
「確かに、きつそうだな」
花月の様子を見て、高尾は頷いた。
「なるほど…。ラン&ガンみたいな速い展開を得意とする花月や誠凛みたいなチームは苦戦を免れなさそうだな。誠凛は黒子テツヤがいるからまだ何とかなりそうだけど…」
「花月にはそのような隠し玉はない。この現状を打破する為には、自らの手で切り開くしかないのだよ」
緑間の視線が鋭くなったのだった。
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・・・・
大仁田ベンチ…。
「控えの皆さん、全員アップを始めて下さい」
大仁田の監督、高東影貴が、ベンチの選手達に指示を出す。
「全員……それは、スタメンを全員下げると言う事ですが?」
監督の指示に、控えの選手が聞き返す。
「いえ、下げませんよ。うちにはまだそんな余裕はありませんよ。今はこちらのペースで相手を抑え込んでいますが、この点差なら、きっかけ1つでひっくり返ってしまうでしょうから」
「では…」
「相手に揺さぶりをかけます。向こうの主力の大半が経験の少ない1年生ですから、いくらか動揺を誘う事が出来るかもしれません」
「分かりました」
監督の真意を聞き、控えメンバーがアップを開始した。
『大仁田のベンチが動くぞ!』
『まさか、明日に備えてスタメンの温存か!?』
ベンチが動きに気付いた観客が思わずに声に出す。
『っ!』
その声に反応して花月の選手達がそちらを見て思わず歯をきつく食い縛った。花月から見れば、大仁田のこの行動が明日の試合への温存策に見え、既に勝敗は決した思われていると判断したからだ。
「くそがぁっ…!」
その相手のベンチの動きに、特に反応を示したのが空だった。
「見てろよ!」
――ダムッ!!!
空は目の前の綾辻を抜きさった。だが、抜いた先には大仁田の包囲網が待ち構えていた。
「(この程度、キセキの世代なら楽にぶち抜くはずだ。それが出来なきゃキセキの世代となんか戦えねえ!)」
包囲されるのもお構いなしに空が強引に突っ込んでいく。
――ドン!!!
だが、その直後、寺沢とぶつかってしまう。
『ピピーーーーーーーーー!!!』
審判が笛を吹く。
「オフェンス、チャージング、緑6番!」
審判がコールする。
『うわー! オフェンスファールだ!』
『それより、神城4つ目だぞ!』
ここで空が4つ目のファールを取られてしまう。
「っ!?」
4つ目のファールを貰ってしまった空はオフィシャルテーブルに出された4の数字を見て目を見開く。
「ナイス」
ファールを奪った寺沢がハイタッチを交わす。
「神城を下げる。真崎、すぐに準備しろ」
「は、はい!」
上杉から指示を受けた真崎がシャツを脱ぎ、準備を始めた。
『メンバーチェンジ、緑!』
やがて、空がベンチに下がり、真崎がコートに入っていった。
「くそっ!」
ベンチに引っ込められる結果となってしまい、悔しさを前面に出しながらベンチに座った。
「神城…、まだ出番はある。ゆっくり呼吸を整えて…」
「俺がこの程度でバテる程やわなスタミナではないことはキャプテンも知ってるでしょう」
「……そうだったな」
落ち着かせようと馬場が声を掛けたが、空は苛立ちながら返した。これ以上は逆効果だと判断し、馬場は空から離れた。
試合は、真崎がチームを落ち着かせ、慎重にボールを回す事で、第3Qは何とか2点ではあるが点差を詰めて終わらせる事が出来た。
「…」
1分間のインターバル。空は頭からタオルを被って俯いていた。
監督がベンチに座る選手達の指示を出す中、花月のスタメンにメンバーは心配そうな視線を空に向けていた。
そして、1分間のインターバルは終わり、第4Qが始まった。
花月は上級生の真崎がチームを引っ張ることで試合を進めていた。
「…」
第4Qが始まっても、空はタオル被って俯いたままだった。
「(どうしてこうなった! 俺はキセキの世代をこの手で倒す為にここにいるはずなのに…! どうしてこんなところで!)」
キセキの世代の所属するチームではない相手に苦戦を強いられ、あまつさえベンチに下げられてしまった事実を受け入れられず、拳をきつく握っていた。
「神城君」
自問自答している空の耳に自分を呼ぶ声が聞こえ、顔を上げると、そこには姫川が立っていた。姫川は右手を大きく振りかぶり…。
――パチィン!!!
空の左頬を力一杯引っ叩いた。
「少しは目が覚めたかしら?」
「~~!」
決して力の弱くない姫川の張り手に、空は顔を歪ませる。
「キセキの世代以外が相手なら自分が負けるはずがない。…とでも思っていた? 自惚れないで。あなた程度、止める方法なんていくらでもあるのよ」
「っ!」
痛い所を突かれ、空は目を見開いた。
「いつまで夏の気分でいるつもりなの? もう花月には、三杉先輩と堀田先輩はいないのよ? あなたのミスを帳消しにして、あなたの代わりに点を取って、守ってくれるあの2人はもういないのよ!? このチームは、あなたが引っ張らなきゃいけないのよ!? そんなあなたが、上ばかり見て、目の前の相手を見失ってどうするのよ!」
姫川は少しずつ声を荒げていく。
「凡人であっても天才に勝つ事が出来る、無駄な努力なんてないって事を証明するんでしょ!? だったらこんな情けない姿見せないでよ! 最初から出来もしないなら、夢見させるような事言わないでよ!」
最後はその目に涙を浮かべながら空に思いの丈をぶつけた。
「(姫川の言う通りだ。俺は何やってるんだよ! 俺がチームを引っ張らなきゃならないのに、1人で暴走して、相手を侮って…!)」
姫川の言葉を聞いて、自分が如何に愚かだったかを空は認識した。
『おぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!』
観客が沸き上がる声に反応し、空が顔を上げると、真崎が抜かれ、そのまま得点を決められてしまった。
「向こうの4番は強豪大仁田で育ち、スタメンを奪った選手だ。当然スペックは高い。真崎も頑張ってはいるが、1対1で分が悪い」
大仁田は、当初は様子を見ていたが、真崎が組みやすい相手と判断し、真崎と綾辻を以外が外に広がり、アイソレーションを仕掛けてきた。
「どうする?」
上杉が空に尋ねる。
「スー…フー…」
尋ねられた空は大きく深呼吸をした。
「行かせて下さい」
空は上杉の目を真っすぐ見据え、こう答えた。
「ならば行って来い」
「はい!」
大きく返事をした空は、オフィシャルテーブルに向かい、交代申請に向かった。
「監督、神城に何か指示を与えなくていいんですか?」
特に指示を出さなかった上杉を見て、馬場が心配そうに尋ねる。
「言いたい事は姫川が言ってくれたからな」
「っ//」
当の姫川は顔を赤くしていた。
「大仁田は強い。だが、秀徳はさらに強い。ここで俺があれこれ指示を出さなくては勝てないようなら、明日、何をしても勝てん。今日負けるか、明日負けるかの違いしかない」
「…」
「俺はここで負けるような鍛え方はしてはいない。俺は、選手を信じるぞ」
上杉は決意と固め、覚悟を決めてコートに視線を移した。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
オフィシャルテーブルに向かう空の姿を大地が捉えた。
「(…空! あの表情…どうやら吹っ切れたようですね。ならば私は…!)…ください!」
大地が真崎にパスを要求し、ボールを受け取る。
――ダムッ!!!
ボールを受け取った大地はすかさずドライブ。内海をかわす。そこに、すぐさま寺沢がヘルプにやってきた。
「っ!?」
だが、大地はバックロールターンで寺沢をもかわす。大地はそのままリングに突っ込んでいく。
「突っ込む気か!?」
ゴール下には風間。だが、大地は構わず突っ込み、跳躍する。
「(戻ってくると言うなら、私は空がより輝く最高の流れを作ります!)」
大地がボールを右手に構えると、風間もブロックの態勢に入る。
「(これが私に出来る、最高のお膳立てです!!!)」
――バキャァァァッ!!!
大地は風間のブロックの上からワンハンドダンクを叩き込んだ。
『うぉぉぉーっ!』
それと同時に観客が沸き上がる。そして…。
『ピピーーーーーーーーー!!!』
審判が指を2本振り下ろし…。
「バスケットカウント、ワンスロー!」
『しかもバスカンだぁぁぁっ!!!』
バスケットカウントのコールに会場はさらに沸き上がった。
『ビビーーーーーーー!!!』
「メンバーチェンジ、緑!」
ここでメンバーチェンジがコールされる。
「頼んだぞ!」
「うす! 先輩の頑張りは無駄にしません」
空と真崎がハイタッチを交わし、真崎はベンチへ、空はコートに足を踏み入れる。
「っしゃぁっ! 行くぞォォォォッ!!!」
空が雄叫びのような咆哮を上げる。
第4Q…。空がコートに戻り、試合は、終末へと向かっていった……。
続く
基本的に、オリキャラの名前はキセキの世代や火神がいる高校以外は思いつきなので、どっかでかぶったり、あるいは何処かの漫画やらラノベやらと被るかもしれませんが恐らく一切関係ないので悪しからず。
にしても、もう少しバスケの戦術を研究しないと、ネタ不足になって書けなくなりそうです…(^-^;)
原作だけではなく、本物のバスケも見ないとダメそうです…( ;∀;)
感想、アドバイスお待ちしております。
それではまた!