黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

年末忙し過ぎです…( ;∀;)

それではどうぞ!



第75Q~異常~

 

 

 

第3Q、終了。

 

 

花月 79

秀徳 96

 

 

第3Q最後、緑間のスリーを大地が止め、カウンターからの花月のオフェンスで、大地が緑間をかわして決めた事により、最悪の失点を防ぎ、最終Qに希望を繋いだ。

 

選手達が各々のベンチに下がり、腰掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

「花月は何とか最終Qに繋いだな」

 

ベンチに下がる両校の選手を見つめながら日向が言う。

 

「だが、花月はここから逆転する手があるのか?」

 

「あるとは思えないな。外の要の生嶋は限界を超えていてもはや立っている事だけで精一杯。中の要の松永も限界に近い。チームの柱の神城だって攻守の両方で走り回って運動量はもう1試合分どころかもう2試合近いし、エースの綾瀬だって試合序盤から緑間をオールコートでマークしている。ここまでもっただけでも奇跡だ」

 

日向の問いに、伊月が淡々と問題点を挙げていく。

 

「逆転する為には何か秘策が必要だが、スタメンは限界間近、控えには頼れない。…ここまでか」

 

土田がこの結論に辿り着いた。

 

「だが、花月は今年の主力が全員残る。来年も目が離せないな」

 

「ああ。火神達も気を引き締めて――」

 

誠凛の上級生達は試合結果を予見出来た為、翌年の話題を始める。

 

「…」

 

ただリコだけが、神妙な表情でコートを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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秀徳ベンチ…。

 

「くそっ、トドメを刺せなかったか…!」

 

ラスト1本を決められ、悔しさを露わにする宮地。

 

「向こうもそれだけ必死だと言う事だ。焦る必要はない。第4Qで確実に追い詰めていけばいい」

 

気がはやる宮地を支倉が諭すように落ち着かせる。

 

「もう生嶋は限界をとっくに超えていますし、松永も限界寸前。時間の問題ッスよ。後は真ちゃんを中心に攻めていけば確実ですよ」

 

皆を落ち着かせるように高尾が言った。

 

「…」

 

緑間は特に言葉を発せず、静かに呼吸を整えていた。

 

「……ふむ」

 

そんな中、監督の中谷が顎に手を当てながら思案していた。

 

「どうかしましたか?」

 

その様子に気付いた木村が声を掛ける。

 

「(…おかしい、緑間を止めなければチームの勢いを止める事が出来ない事は分かっているはずだ。現状で打てる手はいくつかある。それに気付かない程ゴウは愚かではないはずだ)」

 

中谷が視線を花月のベンチ、上杉に向けた。

 

「(何を考えている? 何故を何も手を打たない。それとも既に…)」

 

「――督、監督」

 

「…ん? ああ、すまんな」

 

選手の声で一時思考を中断した。

 

「何か心配事ですか?」

 

「…いや、向こうが何の動きも見せないのが気にかかってな」

 

考え込む中谷の様子に気付いた宮地が尋ねると、花月のベンチに視線を向けながら答えた。

 

「別にそんな心配しなくてもいいんじゃないッスか? インハイの時も三杉と堀田頼りで何かする様子はなかったですし。っていうか、今時厳しいだけの結果が伴わない指導が売りの監督なんて警戒する必要は――」

 

「――高尾。そんな偉そうな言葉はダブルスコア以上の点差を付けてから言え」

 

「っ!? す、すいません!」

 

高尾の軽口を遮り、中谷が強めに言うと、高尾は身体をビクつかせながら謝罪の言葉を述べた。

 

『…っ!』

 

過去にも軽口を叩いて中谷に怒られる高尾の姿は見ていたが、今の中谷はその中でも1番の怒りを醸し出していた為、他の選手達は息を飲んだ。

 

「ここまで向こうは試合開始からこれまで大きな指示をしている様子は見られませんでした。…もしかしたら、花月は今年は諦めて来年に備えて経験を積ませる為に…」

 

「いや、それはない。向こうの監督は例え100点差付いても試合を投げ出すような真似はしない男だ」

 

途中で言葉を遮り、中谷が言い切る。

 

「まだ点差は17点。気力も希望をまだ繋げる点差だ。決して守勢に回るな。引けば向こうは勢い付く。最後まで攻め立てろ」

 

『はい!』

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

ここでインターバル終了のブザーが鳴った。

 

「おっしゃぁっ! 行くぞぉっ!!!」

 

『おう!!!』

 

宮地の掛け声をきっかけに、他の選手達が大声で応え、立ち上がり、コートへと向かっていく。

 

「…っ!」

 

その中で、緑間だけが立ち上がらずにベンチに座っていた。

 

「真ちゃん、どうかしたか?」

 

その様子に気付いた高尾が声を掛ける。

 

「……何でもないのだよ」

 

声を掛けられた緑間が両膝に手を置きながら立ち上がり、コートへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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双方のベンチから選手達がコートに戻ってくる。両チーム共、選手交代はなし。

 

「17点差かぁ。これは決まりかなー」

 

観客席の一角、洛山の葉山がポツリと言う。

 

「確かにな。点差は開く一方だ。ここから花月が逆転出来るとは思えないな」

 

根布谷も同意見である為、葉山の予想に頷く。

 

「…」

 

その中で、赤司は何やら考え込む仕草を取っている。

 

『おっ、出てきたぜ』

 

『最終Qが始まるぞ!』

 

『っていうか、今日の緑間凄すぎないか?』

 

『だよな! 今日スリー何本決めたっけ?』

 

『数えてないけど、20本くらい決めてんじゃないか?』

 

選手が出てきた事に、観客が沸き上がる。

 

「? …ここまでのスコアを見せてくれないか?」

 

「はい。どうぞ」

 

観客の言葉に引っ掛かりを覚えた赤司がマネージャーからここまで付けていたスコアブックを受け取り、眺める。

 

「これからどうする? まだ早いけど、試合の準備でも始める?」

 

「まだ控室は他の高校が使用してるんじゃない?」

 

最終Qを前に、これ以上は見る必要はないと判断した葉山と実渕がどうするか話し合う。

 

「征ちゃん、どうする? ……征ちゃん?」

 

1度赤司に尋ねるが、スコアブックを読み耽る赤司を見て怪訝そうな表情をする実渕。

 

「……フッ、なるほど」

 

何かに気付いた赤司はフッと笑みを浮かべると、スコアブックをマネージャーに返した。

 

「最後まで見ていこう。俺の予想が正しければ、第4Q、面白い事になる」

 

『?』

 

おもむろに、赤司が口にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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試合は再会され、秀徳ボールからスタート。木村から高尾にボールが渡ると、空がすかさずプレッシャーをかける。

 

「うぉっ!?」

 

ボールを保持する高尾。空の猛烈なプレッシャーに圧倒される。

 

「(マジかよ!? 試合終盤にこのプレッシャー、こいつ最後までもたせる気がないのか!?)…ちっ!」

 

ボールキープもままならなくなった高尾はパスを出す。ボールの先は大地のマークを振りほどいた緑間。ボールを受け取った緑間はスリーの態勢に入る。

 

「くっ!」

 

スリーを阻止するべく、大地がすぐさま距離を詰めてブロックに向かう。緑間がスリーを打つ為に膝を大きく沈み込んだその瞬間…。

 

「っ!?」

 

膝を沈ませたのと同時に緑間がボールを横へと流した。

 

「あっ!?」

 

ボールは宮地に渡り、そのままリング目掛けてドリブルしそのままレイアップの態勢に入る。

 

「くそっ!」

 

慌てて松永がヘルプに飛び出し、ブロックに行く。松永がブロックに現れたの同時に宮地はボールを横に流した。

 

「ナイスパス!」

 

 

――バス!!!

 

 

ボールを受け取った支倉は落ち着いてゴール下を決めた。第4Q最初の攻撃、秀徳が確実に決めた。

 

「…」

 

ディフェンスに戻る秀徳。その様子を空がジッと観察していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

「さすが百戦錬磨の秀徳だ。きっちり決めてきたな」

 

一連のオフェンスを見て伊月が感嘆の声を上げる。

 

「けどさ、緑間は何でスリー打たなかったのかな? フリーだったのに」

 

スリーを打たず、パスに切り替えた緑間の行動に疑問を覚えた小金井。

 

「綾瀬が来てたからじゃないか? 緑間は基本的に外す可能性があるシュートは打たない。俺達はここから見てるから分かるが、緑間からは綾瀬に追いつかれるように見えたのかもしれない。第3Q終了間際の事もあるしな」

 

日向が自身の分析した結果を口にする。

 

「…」

 

リコは変わらずコート上の緑間に視線を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

松永がスローワーとなり、ボールを空に渡す。

 

「行くぞ!」

 

空の掛け声と同時に花月の選手達が一斉にフロントコートに走っていく。

 

「なに!?」

 

第3Qと変わらずラン&ガンを仕掛けてきた事に宮地が驚く。空はスリーポイントライン付近までボールを進めると、右アウトサイドに展開していた生嶋にパスを出した。

 

「…っ」

 

フリーでボールを受け取った生嶋だったが、シュートには行かず、宮地のマークが来る前にボールをワンバウンドさせながら空にリターンパスを出した。

 

「っ! 行かせ――っ!?」

 

空を追いかけようとした高尾だったが、天野のスクリーンに捕まってしまう。

 

「っ!」

 

リターンパスを受けた直後、空の目の前には緑間がいた。高尾がスクリーンにかかるのを察知し、ヘルプにやってきた。

 

「…」

 

緑間が目の前にやってくると、空はその場で高速でドリブルを始める。前、股下、背後で左右に切り返しながら緑間に揺さぶりをかけていく。

 

「…っ、…っ!」

 

何度も左右に揺さぶりをかけ、時折仕掛ける素振りを見せる空に、緑間は表情を歪ませながらも抜かせないように対応する。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

バックチェンジ、レッグスルーからのクロスオーバーで緑間の左手側から仕掛けた。

 

「ちっ! この程度で――」

 

舌打ちを打つも、緑間が空を追いかけるも、その瞬間、緑間は空の姿を見失う。

 

「っ!?」

 

視線を下げると、自分の足元のすぐ横でで膝を曲げて上体を低くした空を見つける。だが、その直後、再び空が姿を消す。空は緑間の左脚の横に膝を曲げて上体を低くして潜り込んだ直後、右脚を後ろに伸ばし、そこから反転。限りなく上体が低い変則のバックロールターンで逆を付いた。

 

「それで俺を出し抜いたつもり……っ!」

 

一瞬面を食らうも、反転した空をすかさず追いかけようとして1歩踏み出した緑間だったが、その直後、緑間を足を止めた。

 

『抜いたぁぁぁっ!!!』

 

緑間を抜きさった空はそのままリングに突き進み…。

 

 

――バス!!!

 

 

ヘルプが来る前にレイアップを決めた。

 

『おぉ! 花月も返したぞ!』

 

決め返した空は天野とハイタッチを交わした。

 

「…ここに来てまだラン&ガンするとかあいつら正気か?」

 

既にかなりの距離を走っている花月。まるまる1Q残っているにも関わらず未だに足を止めない花月に宮地は軽く恐怖を覚える。

 

「風前の灯火ッスよ。あんな苦し紛れの特攻がいつまでももつはずがない。多少点差を詰められても、足が止まった所でトドメを刺せばそれで詰みッス」

 

圧倒される宮地を励ますように高尾が声をかける。

 

「…」

 

集まって声を掛け合う中、緑間だけが少し離れてジッと下を向いていた。

 

「真ちゃんもドンマイ。あんな奇策、2度も通じないって」

 

「……分かっているのだよ」

 

声を掛けられると、緑間は顔を上げ、そっとメガネのブリッジを押し上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

秀徳のオフェンス。高尾がフロントコートまでボールを進める。

 

「(…と、相変わらずいいディフェンスしやがる。ちょっと切り込むのは無理そうだな)」

 

仮に空を抜けてもゾーンの為、囲まれるのは確実。そこからパスを捌けるとも限らない。高尾は無理に切り込まず、パスを出した。ボールの先は左アウトサイドの宮地。

 

「ぜぇ…ぜぇ…」

 

ディフェンスをする生嶋は息も絶え絶えで、立っているの辛そうに見える。

 

「(こいつはもう限界を超えてる。さっきもスリーを打たなかったんじゃない。打てなかったんだ)」

 

先程、空がパスを出した時、宮地のマークが僅かに遅れた。その為、スリーを打つ時間はあった。にもかかわらず、生嶋はスリーを打たなかった。

 

「(こいつはもう何も出来ない。こいつの役割は外に注意を引きつける事だけ。抜くのは容易い!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「…っ!?」

 

ドライブを仕掛ける宮地。ディフェンスをする生嶋は棒立ちで抜かれる。

 

「(よし! このまま一気に切り込んで――)」

 

 

――バチィィッ!!!

 

 

生嶋を抜いた瞬間、宮地の持つボールが叩かれる。

 

「なっ!?」

 

目を見開きながら宮地が自身のキープするボールを叩いた者の正体に視線を向ける。

 

『神城だぁぁぁっ!!!』

 

宮地のボールを捉えたのは空だった。空は高尾がパスを出した直後に生嶋が抜かれる事を予見して、宮地の進行先に先回りをした。

 

「いいぞ神城!」

 

ルーズボールを松永が抑え、前方にボールを投げる。

 

「っしゃぁっ!」

 

スティールと同時にフロントコートに走っていた空がボールを受け取りそのままドリブル。

 

「カウンターだ! 戻れ!」

 

慌ててディフェンスに戻る秀徳だったが、先頭を走る空に追いつける者はおらず…。

 

 

――バス!!!

 

 

ワンマン速攻で空がレイアップを決めた。

 

『おぉ! 花月がまた2点縮めたぞ!』

 

「くそっ、少し焦り過ぎたか」

 

「ドンマイ、次、確実に決めましょう」

 

宮地から高尾がボールを受け取り、ゆっくりボールを進め、ゲームメイクを始めた。

 

「(真ちゃんは……ちょっときついな。今パス出しても綾瀬に取られる…)」

 

ホークアイで緑間の位置を確認する高尾。だが、大地のマークがきつく、断念。

 

「(だったら…)」

 

ここでパスを出す。ボールは再び宮地に渡る。

 

「ぜぇ…ぜぇ…」

 

マークするのは先程同様生嶋。

 

「ちっ、こいつ…!」

 

ボールを持った宮地は舌打ちを打つ。生嶋は先程と同じく息も絶え絶えでディフェンスをしている。だが、宮地は気付いた。自分にボールが渡った瞬間、空が高尾と自分の両方に対応出来る位置取りをしている事に。もう1つは…。

 

「(こいつ、明らかに神城がいる方に俺を抜かせようとしてやがる…!)」

 

生嶋は単に突っ立ってるだけではなく、意図的に宮地が空がいる方に抜かせるようにディフェンスをしている。このまま抜いてしまえばすぐさま空がヘルプにやってきて捕まってしまい、最悪ターンオーバーを食らう。ならばシュートを選択したいが、生嶋が前に出てプレッシャーをかけてきているので、身長差を考えてもブロックされる心配はないが、これではシュートセレクションが乱されてしまい、外れる可能性もある。

 

「……くそっ」

 

これ以上の失点は花月に良い流れを生み出しかねないと判断した宮地は無理をせず、高尾にボールを戻した。

 

「おいおい、宮地さん、ちょっと慎重になり過ぎじゃない?」

 

苦笑いをしながら戻ってきたボールを受け取る。

 

「さすがに1ON1で点を取ろうと考えるのはちょっと虫が良すぎたかな。だったら、こういう攻め方ならどうよ?」

 

高尾が徐に手を上げ、指を2本立てた。それと同時に高尾以外の4人が動き出す。支倉がハイポストまで移動し、宮地がその横を抜けていく。高尾はその瞬間に宮地にパスを出す。

 

「ちっ、ナンバープレーか!」

 

秀徳の戦術に意図に気付いた空は苛立ち気味に舌打ちをする。秀徳は選手達がとにかくポジションチェンジを繰り返しながら縦横無尽に動き回り、ボールも絶えず動かし、花月のゾーンを乱しにかかっている。24秒タイマーが残り3秒になったその時…。

 

『あっ!?』

 

観客がここで一斉に声を上げる。ボールは右アウトサイドに展開していた緑間に渡った。

 

「っ!?」

 

緑間はフリー。マークしていたはずの大地はその直前に木村のスクリーンに捕まってしまった為、緑間をフリーにしてしまった。

 

「ちっ、こんの…!」

 

一番緑間の近くにいた空が慌ててヘルプに向かう。

 

「無駄無駄。残念だけど、お前じゃ真ちゃんのスリーは止められねえよ」

 

シュート態勢に入った緑間を視認しながら高尾が笑みを浮かべる。膝を深く曲げ、飛び上がり、ボールを構えた。

 

「くそがぁっ!!!」

 

僅かに遅れて空がブロックに飛んだ。緑間の指からボールが放たれる。

 

 

――バチィィッ!!!

 

 

「あっ?」

 

「何っ!?」

 

空の伸ばした指の先にボールが当たる。これに空が意外そうな声を上げ、高尾が目を見開いて驚愕する。そしてそれは秀徳の選手達観客含めて予想だにしなかった出来事だった。

 

「ハハッ、俺も結構やるじゃん!」

 

自分で自分を褒め称え、空はフロントコートに走る。

 

「自分で言うな! けどま、今だけは認めたるわ」

 

突っ込みを入れながら指に当たってふわりと浮いたボールを天野が抑えた。

 

「景気良いの頼むで!」

 

前を走る空に天野が大きな縦パスを出した。

 

「ととっ…、りょうか……っ!」

 

若干高く浮き過ぎたボールを飛びながら掴み、速攻をかけようとすると、目の前に緑間が立ち塞がった。

 

「へっ、簡単に決めさせてはくれる訳ないか。が、それでも俺のやる事は変わらねえ!」

 

一気に加速し、右から仕掛けていく。

 

「この程度で…!」

 

緑間はこのドライブに瞬時に反応する。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ここで空が左へとフロントチェンジ。高速で切り返す。

 

「ぐっ…!」

 

歯を食い縛りながらも緑間は左へ切り返した空を追いかける。

 

「(ここだ!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

空を追いかける為、緑間の重心が右足に傾いた瞬間を狙い、空はここで再度切り返す。

 

「くっ、行かせ――っ!?」

 

再び逆を付いた空を追いかけようとしたその時、突如、緑間の脚から力が抜け、膝が折れ曲がり、その場で尻餅を付いてしまった。

 

『抜いたぁぁぁっ!!!』

 

緑間を抜きさった空はそのままリングに向かって前進。フリースローラインを越えた所でボールを右手に持ち替えて跳躍。

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

右手に持ったボールをそのままリングに叩きつけた。

 

『キタァァァァァァァァッ! 神城のダンク!』

 

空のワンハンドダンクに観客が沸き上がる。

 

「っしゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

ダンクを決めた空はガッツポーズを取りながら咆哮を上げた。

 

「緑間!」

 

「真ちゃん!」

 

観客が盛り上がるのを他所に、宮地と高尾が尻餅を付いた緑間に駆け寄る。

 

「っ! ……何でもないのだよ…!」

 

心配はいらないとばかりに立ち上がろうする緑間だが、立ち上がろうとして再び尻餅を付き、辛そうに膝を手に置きながらようやく立ち上がった。

 

「おい、緑間お前――」

 

ここで宮地は、緑間の脚が痙攣している事に気付いた。

 

「心配いりません。何でも、ありませんから」

 

声を掛ける宮地を遮るように緑間は問題ないと言い切った。

 

『…っ』

 

だが、目に見えて何かしらの異常を起こしている緑間を前に、秀徳の選手達は心中に不安を感じたのだった。

 

 

「っ!」

 

一連の緑間を見て、中谷は表情を曇らせながら立ち上がり、オフィシャルテーブルに向かい、タイムアウトの申請をした。

 

 

「今頃気付いたか。マサよ」

 

タイムアウトを申請する中谷を横目で見ながら上杉がポツリと呟いた。

 

 

秀徳のオフェンス…。

 

「……くっ!」

 

緑間の異常がその目で確認出来る為、秀徳の選手達は動揺を隠せなかった。

 

「(いったい真ちゃんに何が起こったんだ!? あの様子、明らかに普通じゃねえ…!)」

 

ボールをキープする高尾は緑間を横目で確認し、表情が曇る。

 

「(何処かトラブルでも起こしたか? 何にせよ、この状況はヤバい。俺がどうにかして――)」

 

 

――バチィィッ!!!

 

 

「あっ!?」

 

高尾の意識が他所に一瞬逸れた瞬間、空が右手がボールを捉えた。

 

「アウトオブバウンズ、黄ボール(秀徳)!」

 

「ちっ、おしい!」

 

弾かれたボールを追いかけた空だったが、ギリギリでボールはラインを割ってしまう。

 

 

『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

『チャージドタイムアウト、秀徳!』

 

ここで、タイムアウトがコールされる。

 

「よーし、良い調子だ!」

 

意気揚々とベンチへと下がる花月に対し…。

 

「くっ…」

 

ベンチの前まで辿り着くと、緑間はよろけながらベンチに腰掛けた。

 

「緑間! いったい何があった!?」

 

異常を改めて確認出来た秀徳の選手達は一斉に駆け寄ったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

第4Q始まった刹那、秀徳のエースである緑間が突如異常が発生した。

 

突然の事で動揺を隠せない秀徳、この事態を予見していたかのような上杉の言葉。

 

そしてこの出来事が、試合に流れと展開を大きく変える事となるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





年末の繁忙期に加え、ソシャゲのイベントが隔週で行われている為、なかなか執筆の時間が作れず。何より、執筆のモチベーションが保てないのが1番のネックです…orz

仕事中はこれ以上になく執筆意欲が沸くのに、帰宅すると途端になくなるこのやる気。ストレス溜まってんのかなぁ…。

感想、アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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